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<研究論文:査読論文>「音楽鑑賞教室」と「アウトリーチ活動」の境界線─理念なき文化活動と政治との関わり─

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57「音楽鑑賞教室」と「アウトリーチ活動」の境界線. 研究論文:査読論文. 1.はじめに. 学校や福祉施設で、プロの演奏者が至近距離で迫力ある演奏をする。音. 楽アウトリーチ活動と呼ばれるこのような活動は、1990年代後半から日. 本で実施されるようになってきた。現在では、自主事業¹を行っている公. 共ホール²の43.8パーセントが実施している(地域創造, 2020)とされる. ほど、全国各地で盛んに実践されている。. アウトリーチ活動とは、「日頃、芸術や文化に触れる機会の少ない市民. や地域に対して働きかけ、芸術を提供していくこと」(吉本, 2001, p3)と. され、学校や福祉施設などの施設にプロの演奏者が出向いて演奏活動をす. ることをいう。しかし、日本において、このような出張演奏を行う活動は、. 芸術鑑賞教室などと呼ばれ、アウトリーチ活動が日本に紹介される随分前. の戦後まもなくから存在している。. アウトリーチ活動や芸術鑑賞教室などと呼ばれる活動は、どちらも学校. や福祉施設で演奏する活動のことをさしており、形態だけを考えてみると. 全く同じ活動のようにみえる。だが、アウトリーチ活動は、日本語でいう. 芸術鑑賞教室などに対応する言葉として日本で受け入れられたのかといえ. ばそうではなく、異なる概念をもつ活動として実施されている。. 本論考では、アウトリーチ活動とは何かに迫るために、今までほとんど. 指摘されてこなかった政治との関わりから分析を行う。それによって、ア. 「音楽鑑賞教室」と 「アウトリーチ活動」の境界線. ─理念なき文化活動と政治との関わり─. 丹羽梓. 2020final.indd 57 2021/02/21 14:24. 58 研究論文:査読論文. ウトリーチ活動という文化活動を新たな視点から捉えることを試みる。そ. の際、アウトリーチ活動とほぼ同じ形態で現在も実施されている芸術鑑賞. 教室などと呼ばれる活動を比較対象とする。. 本論考の構成は以下の通りである。2章では、アウトリーチ活動と芸術. 鑑賞教室などと呼ばれる活動は異なるものであると認識されていることを. 確認する。3章では、アウトリーチ活動という概念と実践内容の分析から、. 芸術鑑賞教室などと呼ばれる活動とアウトリーチ活動に形態の違いがほと. んどないこと、アウトリーチ活動には理念が欠けていることを指摘する。. 4章では、アウトリーチ活動に関係している政策を分析し、アウトリーチ. 活動の発展には総務省が大きく影響していることを指摘する。そして5章. では、文化活動に省庁の政策姿勢が反映されていることを指摘する。最後. に6章で全体の論のまとめをし、今後の課題について述べる。. 本論考では、終戦直後から続く、芸術鑑賞教室や移動音楽教室などと呼. ばれている活動を、音楽鑑賞教室³と表記する。また、アウトリーチ活動. は、音楽以外にも演劇やダンス等の分野で実施されているが、本論考では. 音楽のアウトリーチ活動についてのみ取り扱う。そのため、音楽のアウト. リーチ活動のことを、アウトリーチ活動と表記する。. . 2.強調される差異. 2-1.アウトリーチ活動の定義. アウトリーチ活動の定義に関する論文は、2000年頃から登場し始める。. 1章でも触れたが、吉本光宏は2001年の論文において「日頃、芸術や文. 化に触れる機会の少ない市民や地域に対して働きかけ、芸術を提供してい. くことを、広くアウトリーチ活動と呼んでいる」(吉本, 2001, p.3)と述. べている。. この定義から考えると、アウトリーチ活動だけでなく、従来から実施さ. れていた音楽鑑賞教室も、芸術に触れる機会の少ない子ども達に対して行. う活動であるといえる。そこで、アウトリーチ活動の定義についてさらに. 詳しく見てみよう。. 吉本は前出の論文の中で、アウトリーチ活動は、「完成された作品や公. 2020final.indd 58 2021/02/21 14:24. 59「音楽鑑賞教室」と「アウトリーチ活動」の境界線. 演を鑑賞するのではなく、様々な形で、子どもたちがより身近に芸術を体. 験したり、アーティストと交流できるようなプログラムが工夫されてい. る」(吉本, 2001, p.4-5)と指摘している。また林睦は、アウトリーチ活動. について、「芸術家と享受者が対等な立場で芸術を楽しむというスタンス. と、鑑賞だけでなく、身近に芸術を体験したり、芸術家と交流したりする. という視点が、従来とは違う発想」(林, 2003, p.2 ⁴)であると述べている。. さらに津上智実は、出演者ないしは主催者側と聴衆の関係がどのように捉. えられ、デザインされているかによって、アウトリーチ活動かそうでない. かを指摘できる(津上, 2013)と述べている。. これらの論文では、確かに音楽鑑賞教室に対する直接的な言及はないか. もしれない。だが、ここからは、パッケージ化されたプログラムを実施し、. それを鑑賞するだけものが音楽鑑賞教室であると考えていることが推察で. きる。そして、そういった音楽鑑賞教室とは異なる活動がアウトリーチ活. 動であると定義されている。. つまり、アウトリーチ活動の定義を見てみると、音楽鑑賞教室とは異な. る活動であることが強調されているのである。. . 2-2.アウトリーチ活動の語られ方. 演奏者と参加者⁵が毎回異なるアウトリーチ活動は、体系的な考察を行. うことが難しいため、研究の多くが事例研究である。これらの事例研究か. ら、どのような活動がアウトリーチ活動と位置付けられているのかを分析. する。. ピアニストの揚原祥子は、「私にとって学校での公演といえば、できる. だけ多くの児童生徒に聴かせる学校行事的なもので、体育館などでの鑑賞. 教室型がほとんどであった。それに対して、私が関わったTAN⁶のアウト. リーチは、普段子どもたちが授業を受けている音楽室で演奏を行うもので. あった。聴衆である児童との距離がとても近く、反応が強く伝わってく. る。」(揚原, 2013, p.37-38)と述べている。あるいは、小学校教諭の松原. 美保は、アウトリーチ活動を実施した際の児童の感想文として、「体育館. の鑑賞授業と違い、身近で楽器の音が聴け、演奏の体験ができたり疑問に. 思ったことを質問できたりして楽しいという内容が多かった」(松原,. 2020final.indd 59 2021/02/21 14:24. 60 研究論文:査読論文. 2013, p.53)と述べている。この2つの事例では、演奏者と参加者の距離. が近い活動である点が、音楽鑑賞教室とは異なるアウトリーチ活動の特徴. のひとつとして考えられていることがわかる。. また、アウトリーチ活動に関する事例研究の中で、演奏者のことをゲス. トティーチャーと呼んでいるものが多くみられる(河添・小川, 2010;梶. 田, 2010など)。ゲストティーチャーという呼び名は、演奏者だけに使わ. れるのではない。学校現場において、総合的な学習の時間等に招かれる外. 部講師を呼称する語として使用されている。アウトリーチ活動の演奏者は、. 演奏だけを行う演奏者に比べて、参加者との交流が重視されている。その. ため、演奏者というより講師という感覚で学校現場に迎えられていること. が多いのではないかと考えられる。つまり、講師である演奏者は、児童生. 徒とのやりとりが前提とされているのである。このように演奏者に対する. 呼称から、演奏者と参加者との間に双方向の交流があることがわかる。. これらの事例研究から、アウトリーチ活動は、演奏者と参加者が近い距. 離であり、双方向の交流があるものと考えられているといえる。しかもア. ウトリーチ活動は、当初から音楽鑑賞教室とは異なる概念であるというこ. とが主張されていた。それは、鑑賞だけではないこと、演奏者と参加者と. の交流があること、対等な立場で楽しむ活動であることなどである。. しかし、鑑賞だけではない活動は客観的に判断できるとしても、演奏者. と参加者の交流、対等な立場で楽しむ活動というのは、客観的判断が難し. い。何を交流とするか、どのような状態を対等だと考えるかは、主観的判. 断にならざるを得ない。にもかかわらず、アウトリーチ活動は、演奏者と. 参加者との交流があり、対等な立場でその場を楽しむ活動であるという意. 味づけで語られ、その意味づけのもとにアウトリーチ活動に関する先行研. 究がなされてきた。. . 3.曖昧な境界線. 3-1.芸術を普及する活動. 高崎市民オーケストラ(現在は公益財団法人群馬交響楽団)は、第2次. 世界大戦直後の1945年11月に創設されたオーケストラである。結成当初. 2020final.indd 60 2021/02/21 14:24. 61「音楽鑑賞教室」と「アウトリーチ活動」の境界線. は、戦争によって疲弊した人々を元気づけるため、喫茶店の階上や小学校. の講堂を使って演奏活動を行っていた(熊倉, 1997)。そして、オーケス. トラ結成2年後の1947年から、小学校での移動音楽教室を開始している. (友岡, 2004)。. その後、学校でクラシック音楽の生演奏を鑑賞する機会が、政府主導で. 次第に整えられてゆく。まず、1950年に文部省によって、芸術の鑑賞機. 会の地方格差解消のため地方公演が実施されるようになり、さらに、. 1967年には青少年芸術劇場が開始された。続く1968年には、文部科学省. の外局として文化庁が創設され、それにより、1974年にはこども芸術劇. 場⁷、そして1984年には中学校芸術鑑賞教室が開始された(文部科学省 . 学制百二十年史)。このように、戦後、政府によって小中学生に対する芸. 術鑑賞の機会の充実が図られた。. そして1990年代に入ると、文化政策やアートマネジメント分野で、ア. ウトリーチ活動という言葉が登場するようになる。伊藤裕夫は、芸術文化. 振興に関する論文で、「芸術鑑賞教育(ワークショップやアウトリーチ・. 普及活動)による「理解ある観客」開発」(伊藤, 1996, p.133)が重要で. あると述べ、アウトリーチという言葉を登場させている。ここでは、アウ. トリーチという語についての言及はない。しかし、1996年の段階で、ア. ウトリーチ活動が芸術鑑賞教育のひとつの形態として理解されていたと考. えられる。. そして1998年、一般財団法人地域創造⁸(以下、地域創造)によるアウ. トリーチ活動が開始された。「公共ホール音楽活性化事業⁹」と呼ばれる. この事業は、アウトリーチ活動の先駆的モデルであり、アウトリーチ活動. の普及・発展に貢献している¹⁰。. 2001年に地域創造から出版された『平成12年度調査研究報告書 アウ. トリーチ活動のすすめ』(地域創造, 2001)には、アウトリーチ活動が以. 下のように定義されている。. . 文化施設では、日頃、芸術や文化に触れる機会の少ない市民に対し. て、文化施設や芸術団体が働きかけをおこなうことを意味する。美. 術館では従来型の教育普及活動に対比して、とくに「館外」活動に. 2020final.indd 61 2021/02/21 14:24. 62 研究論文:査読論文. 限定して使用されることもあるが、劇場やホールでは芸術普及活動. 全般を示すケースが多く、本報告書でも、芸術普及活動全般をさす. 用語として用いた。(地域創造, 2001, p.ⅱ). . ここでは芸術普及活動全般が、アウトリーチ活動とされている。. さらに2年後の2003年には『雑誌 地域創造』において、アウトリー. チ活動の特集記事が組まれている(地域創造, 2003)。その中でのアウト. リーチ活動の定義は以下の通りである。. . アウトリーチは芸術普及、教育普及、あるいは館外活動、などと言. われることもある。(中略)本稿では、アウトリーチをそれらを包. 含する広い意味で扱うこととし、用語もアウトリーチに統一した。. (地域創造, 2003 p.23). . このことから、地域創造においてアウトリーチ活動は、2003年までは、. 芸術普及活動であると定義されていることがわかる。. 戦後から続く音楽鑑賞教室は、芸術鑑賞機会の充実を図ることで、芸術. を普及させるねらいがあった。また、2003年頃までのアウトリーチ活動は、. 芸術普及活動と定義されている。これらのことから、音楽鑑賞教室とアウ. トリーチ活動いずれも、芸術普及活動のひとつとして考えられるため、両. 者の違いがはっきりしない。音楽鑑賞教室が名称を変えてアウトリーチ活. 動となったとも言えるだろう。. . 3-2.混乱する現場. 『日本のプロフェッショナル・オーケストラ年鑑』¹¹(以下オーケストラ年. 鑑)には、各オーケストラ団体の一年間の活動歴が掲載されている。その. 中に「音楽鑑賞教室(文化庁主催公演を含む)」という項目がある。2018. 年の音楽鑑賞教室の実施状況をみてみると、37団体中35団体が実施して. おり、その回数は全オーケストラ合わせて1年間で972回に及ぶ(オーケ. ストラ年鑑2019)¹²。オーケストラの活動だけ考えてみても、毎年多くの. 音楽鑑賞教室が実施されていることがわかる。. 2020final.indd 62 2021/02/21 14:24. 63「音楽鑑賞教室」と「アウトリーチ活動」の境界線. さらに見ていくと、「室内楽規模の活動など」という項目があり、メン. バー数名による小規模な活動についても報告されている。この項目では、. 活動名、会場、活動回数が書かれているが、表記は各団体の任意である。. この中で、学校で実施されている活動名を挙げてみると、「音楽鑑賞教室」、. 「アウトリーチ公演」、「スクールコンサート」などとなっている。活動内. 容の詳細については記述がないため断定することはできない。だが、音楽. 鑑賞教室とアウトリーチ活動はどちらも、内容如何にかかわらず、学校で. 実施するコンサートのことをさしているのではないかと推測できる。. 一方、学校でのアウトリーチ活動の普及を受け、音楽教育実践ジャーナ. ルでは「音楽教育におけるアウトリーチを考える」という特集が組まれた。. この特集の前書きでは、アウトリーチ活動に関する論考が「これだけまと. めて並ぶ特集は、音楽教育の分野では、従来あまりなかったのではなかろ. うか」(藤井, 2013, p.5)と述べられている。学校においてアウトリーチ. 活動が普及し、その活動が従来の音楽鑑賞教室と異なるものであるという. 認識が広まってきていることが示唆される。この特集でのアウトリーチ活. 動の定義は以下である。. . 音楽家や音楽団体・機関が、普段音楽に触れる機会の少ない人々に. 働きかけ、音楽を普及することである。そして音楽の提供者と享受. 者が対等な立場で一緒に楽しむ双方向的な活動というスタンスが特. 徴である。(林, 2013, p.6). . この定義では、演奏者と子ども達が対等な立場で一緒に楽しむ活動であ. ることが強調され、音楽鑑賞教室との違いが提示されている。しかし、同. 特集の中で小学校教諭である斎藤豊は、アウトリーチ活動のひとつとして. 音楽鑑賞教室を捉えている。. 斎藤は、音楽教育における様々なタイプのアウトリーチ活動を分類し、. 分類したタイプのうち1つを、鑑賞系―鑑賞型―芸術鑑賞教室タイプと定. 義づけた。そのタイプの具体例としてオーケストラの音楽鑑賞教室を挙げ、. 鑑賞する能力の育成を目的とした音楽鑑賞活動が中心であるとしている. (斎藤, 2013)。. 2020final.indd 63 2021/02/21 14:24. 64 研究論文:査読論文. このように、実施する側であるオーケストラ、受入れ側である学校いず. れも、音楽鑑賞教室とアウトリーチ活動の差異を明確に認識していないこ. とが推察されるのである。. . 3-3.鑑賞だけではない音楽鑑賞教室、鑑賞するアウトリーチ活動. 次に、実際に行われた活動の具体的な内容を挙げ、音楽鑑賞教室とアウ. トリーチ活動との相違について検証してみよう。. まずは、アウトリーチ活動である。地域創造が実施する「公共ホール音. 楽活性化アウトリーチフォーラム事業¹³」で、これは小学生を対象とした. 木管五重奏¹⁴による45分の内容となっている。. イベール作曲〈木管五重奏のための3つの小品より 1〉、自己紹介、楽. 器に関するクイズ、石川亮太編曲〈山の音楽家じゅんばん協奏曲〉、モー. ツァルト作曲〈きらきら星変奏曲〉、クルークハルト作曲〈木管五重奏曲. 第4楽章〉である。. 筆者はこの事業にアシスタントコーディネーターとして関わっており、. 活動中の参加者の様子を観察することができた。クイズの場面では、参加. 者を好きな楽器の周りに集めてから出題していたため、演奏者と集まって. きた参加者との間に一体感が生まれていた。そしてクイズ後には、楽器に. 触ったり、演奏者に質問したりする姿がみられた。このプログラムの場合. は、演奏者と参加者の双方向の交流がみられ、アウトリーチ活動の定義に. 当てはまる。しかし、4曲目は鑑賞してもらうことを目的としていたため、. 音楽鑑賞教室ということもできるかもしれない。. 次に、音楽鑑賞教室である。『オーケストラ年鑑』の「音楽鑑賞教室. (文化庁主催公演を含む)」に該当すると思われる事業は、文化庁による文. 化芸術による子供育成総合事業の巡回公演である。小学生を対象とした東. 京フィルハーモニー交響楽団による90分の内容¹⁵を見てみよう。. ロッシーニ作曲歌劇〈ウィリアム・テルよりスイス軍の行進〉、楽器紹. 介、ブラームス作曲〈ハンガリー舞曲第5番〉冒頭部、〈小さな世界〉、ベ. ートーヴェン作曲〈交響曲第5番「運命」より第1楽章〉抜粋、事前に考. えてもらった歌詞を合唱しながらシベリウス作曲交響詩〈フィンランディ. ア〉と〈校歌〉を共演、そしてアンコールは、外山雄三作曲〈管弦楽のた. 2020final.indd 64 2021/02/21 14:24. 65「音楽鑑賞教室」と「アウトリーチ活動」の境界線. めのラプソディより八木節〉である(文化庁ホームページ)。. 東京フィルハーモニー交響楽団の担当者に話を聞いたところ¹⁶、座って. 鑑賞する曲は少なく、ボディーパッカッションや合唱などで参加する曲の. 方が多いとのことだった。参加者に楽しいと思ってもらうことが重要なの. で、そのためにプログラムを工夫しているそうである。. このプログラムの場合は、人数が多いため、個人同士の直接的な交流は. 難しいかもしれない。しかし、参加者自身が作った歌詞を歌ってオーケス. トラと共演するという活動は、双方向の交流と言えるのではないだろうか。. このように、前者の木管五重奏によるアウトリーチ活動と、後者のオー. ケストラによる音楽鑑賞教室の内容を比較すると、どちらも鑑賞だけでは. ない活動が盛り込まれており、演奏者と参加者の交流といえるような内容. も含まれている。内容から考えると、ここで例示した音楽鑑賞教室は、ア. ウトリーチ活動とも分類できる。. . 3-4.欠けている理念. アウトリーチ活動は、日本で実践され始めた当初、芸術普及活動のひと. つとして位置づけられていたため、音楽鑑賞教室との差異が曖昧だった。. そしてアウトリーチ活動と音楽鑑賞教室の明確な差異を示せないまま、. 「アウトリーチ活動」という名称のみが独り歩きし、全国に広まることと. なった。. 1990年代は、92年に文化経済学会〈日本〉、98年に日本アートマネジ. メント学会が設立され、文化政策やアートマネジメントの必要性が言われ. 始めるようになった時期でもある。これらの学会設立は、これまでの文化. 活動を見直すきっかけとなった。戦後から使い古された「音楽鑑賞教室」. という言葉よりも、新しく登場した「アウトリーチ活動」という言葉の方. が現場の人々に響いたのである。そして実践の増加に伴い、アウトリーチ. 活動に関する研究も増加していった。. アウトリーチ活動に関する先行研究について、小井塚ななえは、大きく. 3つの関心の潮流があるとしている。それは、「手法」、「活動の効果」、「関. 係性」への関心である(小井塚, 2016)。. この3つに関心が集まっている理由には、アウトリーチ活動の定義が関. 2020final.indd 65 2021/02/21 14:24. 66 研究論文:査読論文. 係していると考えられる。にもかかわらず、「鑑賞だけではなく、双方向. の交流があり、演奏者と参加者が対等な立場で楽しむ活動」というアウト. リーチ活動の定義をみると、活動形態についてしか言及されていない。そ. のため、アウトリーチ活動に関する研究は、具体的な手法やその効果など. についてばかりが取り上げられているのである。. つまり、アウトリーチ活動は形態のみが発達し理念が欠けているといえ. る。そして、理念が欠けているアウトリーチ活動は、どのような活動もア. ウトリーチ活動であると言えてしまう曖昧さを生み出している。. . 4.明確な境界線. 4-1.アウトリーチ活動のパラダイムシフト. 2010年に地域創造から『新・アウトリーチのすすめ 文化芸術が地域. に活力をもたらすために』が出版された。この中では、アウトリーチ活動. の意義や役割を見直す時期であるとされ、アウトリーチ活動における4つ. のアプローチが提案されている。4つのアプローチと目的は、以下の通り. である。. . A.劇場・ホール内での鑑賞・体験サポート(目的:子どもたちや. 高齢者、障害者、社会的弱者等の劇場やホールにおける鑑賞活動. の促進). B.派遣型アウトリーチ①(単発・集中型)(目的: 文化・芸術に触. れる機会の少ない、あるいは困難な住民や地域に対して、文化・. 芸術を体験する機会を提供). C.派遣型アウトリーチ②(継続・長期型)(目的:文化・芸術を教. 育や福祉現場の日常的な活動として位置づけ). D.連携・協働型アウトリーチ(文化以外の政策分野と連携して企. 画・実施)(目的:文化・芸術をとおした地域の課題(教育、福. 祉等)への取り組み)(地域創造, 2010, p.15). . 2003年までとの違いで特徴的なのは、「D.連携・協働型アウトリーチ」. 2020final.indd 66 2021/02/21 14:24. 67「音楽鑑賞教室」と「アウトリーチ活動」の境界線. として、文化以外の政策分野と連携し、地域の課題へ取り組むことが目的. となっている点である。. これによって、アウトリーチ活動は、芸術普及活動とは異なる意義をも. つことになった。つまり、芸術普及活動として定義されていたアウトリー. チ活動が、地域創造によって2010年にパラダイムシフトが起こり、芸術. を通した地域課題への取り組みへと変化している。. 芸術によるアウトリーチ活動が、日本独自の意味を帯びて実施されるよ. うになったのはこの時からではないかと考えられる。. 4-2.総務省とアウトリーチ活動. 1980年代から1990年代にかけて、公共文化施設は建設ラッシュに沸い. た。公共ホールだけでも、1980年から1999年の間に1917もの館が開館し. ている(地域創造, 2008)。. しかし、立派な建物(ハード)は建ったものの、そのホールを運営して. いくノウハウ(ソフト)が蓄積されていなかった。莫大な予算(税金)を. 使って建てられた公共ホールに閑古鳥が鳴く様子は、ハコモノ行政と批判. された。. そのような状況の中、林は、公共ホールにとって「アウトリーチ活動は. 「普段、芸術に触れる機会の少ない市民に芸術を普及する」という点が公. 共ホールの存在意義を説明すると同時に、公共ホールの活性化と聴衆開発. に役立った」(林, 2009, p.284)と指摘している。. 公共文化施設建設は総務省の管轄である。公共ホールは、市民への貸し. 出し以外の利用用途がほとんど検討されないまま、建物の建設が着々と進. められていった¹⁷。ちょうどその頃に実施され始めたアウトリーチ活動は、. 公共ホールの名誉挽回に一役買うことになり、アウトリーチ活動と公共ホ. ールは強固に結びつき、お互いに発展していくことになったのではないか。. この仮説を裏付けるかのように、その後、1998年に特定非営利活動促. 進法(以下NPO法)が成立する。NPO法の成立によって、林は、「芸術. に関するNPOがアウトリーチを提供したり、芸術のアウトリーチ活動に. 特化したNPOなども誕生したりしてアウトリーチ活動の供給元の幅が広. がった」(林, 2009, p.285)と指摘している。. 2020final.indd 67 2021/02/21 14:24. 68 研究論文:査読論文. アートを主軸として活動するNPOはアートNPOと呼ばれる。これには、. 劇団やオーケストラなどの芸術団体だけでなく、病院や被災地で芸術活動. を行う、芸術を社会のために活用するNPOも含まれている。. NPO法の成立の背景には、1995年の阪神淡路大震災の際の市民による. ボランティア活動が関係している¹⁸。震災復興のために活動していた芸術. 団体にとって、NPO法の成立は活動を続けるための追い風となった。さ. らに、活動の様子が全国に紹介されることでアートNPOの増加に繋がり、. アウトリーチ活動の知名度の上昇に貢献したと考えられる。. 続く1999年から、総務省による平成の合併と呼ばれる政策が行われた。. 総務省の発表によると、1999年に3232あった市町村が、2010年には1730. 市町村となっている(総務省, 2010)。. この合併について、総務省は、行財政の効率化は評価できるが、旧市町. 村の活力喪失、旧市町村地域の伝統・文化、歴史的な地名等の喪失などが. 問題であるとしている(総務省, 2010)。そのため、合併の副作用として、. 住民の旧市町村民としての誇りの喪失、地域の伝統・文化などをどのよう. に継承していくかなどの課題が生まれてしまった。. これらの解決方法のひとつとして、文化以外の政策と連携して課題解決. することを目的とするアウトリーチ活動が活用されたのではないか。実際、. 筆者がアウトリーチ活動のコーディネーターとして合併した市町村に赴く. 際、合併前の旧市町村を意識した意見を聞くことが多い¹⁹。旧市町村に平. 等になるようにアウトリーチ活動の実施先を選定したり、旧市町村の住民. 同志が交流できるプログラムにしたりと、合併で生まれた課題にアウトリ. ーチ活動が活用されている。. . 4-3.芸術普及ではない目的. 4-2で見てきたように、1980年代あたりからアウトリーチ活動に関係す. る政策が次々と行われていた。そして、1994年には、芸術文化振興とは. 関係のない政府機関である総務省によって地域創造が設立された。. アウトリーチ活動を牽引してきた地域創造は、2010年、地域の問題解. 決という新たな目的をアウトリーチ活動に加えた。ここから、アウトリー. チ活動と音楽鑑賞教室との差異が明確になってくる。芸術普及活動という. 2020final.indd 68 2021/02/21 14:24. 69「音楽鑑賞教室」と「アウトリーチ活動」の境界線. 目的で実施されてきたアウトリーチ活動と音楽鑑賞教室は、それぞれ別の. 道を歩み始めるようになった。. 結果、新しい目的が付与されたことで、アウトリーチ活動は、公共ホー. ルの存在意義のため、あるいは市町村合併などによって起こる課題の解決. の手段として利用されるようになる。地方で進む過疎化や高齢化、合併後. の周辺地域の活力喪失など、芸術とは全く関係ない地域問題に、アウトリ. ーチ活動は次第に関わりを強めていく。. アウトリーチ活動は、文化施設ではない場所で実施することが前提の活. 動である²⁰。それにもかかわらず、総務省の政策と結びつくことで、大量. に建設された文化施設(ハコ)の存在意義の証明のために、アウトリーチ. 活動が盛んに実施されるという矛盾が生じてきた。. そして、アウトリーチ活動は、芸術普及活動という意図から急速に遠ざ. かり、地域の課題解決のための方法として各地で利用されるようになって. いった。地域創造の実施する事業である「公共ホール音楽活性化事業」と. いう名称からも、芸術普及ではなく、地域の公共ホールを活性化するとい. う目的が見てとれる。. このように総務省が創設した地域創造によって、総務省管轄の公共ホー. ルを中心に、総務省が推進する地域活性化のために地域の課題解決という. 目的が加えられ、アウトリーチ活動が発展していったのである。. . 5.文化の主役は誰か. 5-1. 戦後日本における文化政策の系譜. 4章では、文化活動のひとつであるアウトリーチ活動と総務省との関係. を分析した。本章では、文化活動と政治との関わりをより明確にするため. に、戦後日本における文化政策と政治との関係を確認してみよう。. 戦後の文化政策の歴史は、その政策の内容によって分けることができる。. 根木昭らは、芸術政策²¹を3つの時期に分け、それぞれの特徴を整理し. ている。その区分は、終戦(1945年)から1950 年代末までの第1期 、. 1960年代から1980年代末までの第2期、そして1990年 以降の第3期であ. る。第1期は、芸術家に対し発表の場を与え、国民に鑑賞機会を提供する. 2020final.indd 69 2021/02/21 14:24. 70 研究論文:査読論文. ことを目的とした時期である。第2期は、文化庁が創設し文化政策の基本. が確立された時期である。そして第3期は、芸術政策は新しい局面に入り、. 新たな課題が生まれてくるであろうとしている(根木他, 1997)。. この論文では、「国」の表記として、第1期では「国(文部省)」、文化. 庁が創設された第2期と第3期では「国(文化庁)」と記述されている。. 芸術政策(文化政策)を実施しているのは、文部省または文化庁(文科. 省)と捉えられている。. 戦後の文化政策において、第2期つまり1980年代末までは、その主役. は文部省または文化庁であり、文化政策を語る際には、文化庁やそれに関. 係する政策を考えればよかった。しかし、1994年に自治省の外郭団体と. して地域創造が設立され、文化政策に関わる省庁が文化庁だけではなくな. り、文化政策を以前のように語ることができなくなった。第2期までとは. 違い、1990年以降の第3期は、文化政策の主役が多様化し複雑な状況が. 生まれてきたといえる。. 根木らの論考では、第3期は1990年から現在とされている。ただしこ. の論考が書かれたのは1997年であるため、1997年以降から現在までの文. 化政策について検討する必要がある。. 1997年以降の文化政策に関わる大きな出来事として、文化に関する法. 律の制定が挙げられる。2001年に制定された文化芸術振興基本法である。. この法律が制定された時の首相は、小泉純一郎であった。小泉内閣は、郵. 政民営化に代表される公営組織の民営化を急速に進めた。しかし、文化芸. 術振興基本法では、芸術の振興や、劇場や音楽堂の充実を図ることが定め. られており、国民が芸術に触れる機会を国が保障するものとなっている。. 法律の制定は、国が主導となって文化芸術振興をするためのもののように. みえる。. ところが実際はそうではなく、法律を制定することで、今まで芸術団体. や地方自治体が独自に行っていた芸術文化振興が明文化され、民間や自治. 体レベルでの活動が推進された。つまり、文化芸術振興基本法は、文化芸. 術活動の民営化を推し進める法律なのである。. さらに2003年には、地方自治法の改正により、指定管理者制度も導入. された。これは、公共ホールなどの公共施設の管理運営を民間に委託でき. 2020final.indd 70 2021/02/21 14:24. 71「音楽鑑賞教室」と「アウトリーチ活動」の境界線. るというものである。. 小泉内閣による民営化の動きは、文化芸術の分野にも大きく影響を与え. た。2001年以降の文化政策について第4期と呼べるかはさらなる検証が. 必要であるが、小泉内閣以降、文化政策や実践において民間の影響力が増. 大していったと考えられる。. . 5-2.文化庁による芸術文化振興. 2014年に文化庁が発表した文化芸術立国中期プランには、全国の文化. 力²²を強化することを目標に、2020年までの政策プランが描かれている。. 目指す成果の指標として、以下の7項目が挙げられている。. . ・国民が自信と誇りを持ち、心豊かな生活を送っている. ・国民の芸術鑑賞活動が活発に行われている. ・国民の文化芸術活動が活発に行われている. ・訪日外国人旅行者数が大幅に増加している. ・文化体験を目的とした外国人観光客の割合が向上している. ・美術館や博物館,音楽ホール等「上野の杜」への来訪者数が増加. している. ・在留外国人の日本語学習者の割合が向上している(文化庁,. 2014). . 文化庁は、芸術立国をめざすために、国民の活発な文化芸術活動と芸術. 鑑賞活動を推奨している。この政策プランからも分かるように、文化庁は、. 素晴らしい文化力をもつ国とは、国民が芸術を鑑賞し、そして文化芸術活. 動を自ら行うことであると考えているといえる。. さらに、小・中学生への取り組みについては、この中期プランの中で、. 「義務教育中毎年1回以上は、文化芸術の鑑賞・体験ができるような環境. を整えることを目指す」(文化庁, 2014, p.6)としており、子ども達への. 取り組みについても、芸術の鑑賞・体験が重視されていることがわかる。. このように、芸術政策の基盤整備と振興が図られた第2期を過ぎた現在. においても、文化庁(文部科学省)は、鑑賞至上主義・体験至上主義の立. 2020final.indd 71 2021/02/21 14:24. 72 研究論文:査読論文. 場であることがうかがえる。この立場は、時代にそぐわないようにみえる. が、芸術文化振興という文化庁の理念から考えると不思議なことではない。. . 5-3.総務省による地域活性化と芸術文化振興. 一方、(自治省も含む)総務省は、ハコモノ行政批判や、平成の合併政. 策による住民の精神的ケアの必要性など様々な課題を抱えていた。そこで、. ちょうど実践され始めていたアウトリーチ活動に自らが抱える課題を巧み. に組み込むことで、社会と芸術の新たな関わり方を提示することに成功し. た。. すでに述べたように、2001年、日本で初めて文化芸術に関する法律で. ある文化芸術振興基本法が制定された。この法律では、文化芸術を振興す. ることが目的とされている。第二条の2には、以下のように書かれている。. . 文化芸術の振興に当たっては、文化芸術を創造し、享受することが. 人々の生まれながらの権利であることにかんがみ、国民がその居住. する地域にかかわらず等しく、文化芸術を鑑賞し、これに参加し、. 又はこれを創造することができるような環境の整備が図られなけれ. ばならない(文化芸術振興基本法, 2001). . 以上のように、芸術文化の振興において、鑑賞と参加が重要であるとさ. れていることがわかる。. しかし、その後、2017年に法律が改正されると、法律の名称は文化芸. 術基本法となり、「振興」の文字が消えた。しかもこの法律の目的は、「文. 化芸術に関する施策に対して基本理念を定める」(文化芸術基本法,. 2017)とされ、芸術振興という意図はなくなっている。. 改正によって最も特徴的なのは、基本理念第二条10(文化芸術基本法,. 2017)である。. . 文化芸術に関する施策の推進に当たっては、文化芸術により生み出. される様々な価値を文化芸術の継承、発展及び創造に活用すること. が重要であることに鑑み、文化芸術の固有の意義と価値を尊重しつ. 2020final.indd 72 2021/02/21 14:24. 73「音楽鑑賞教室」と「アウトリーチ活動」の境界線. つ、観光、まちづくり、国際交流、福祉、教育、産業その他の各関. 連分野における施策との有機的な連携が図られるよう配慮されなけ. ればならない。(文化芸術基本法, 2017、 傍線筆者). . この改正された文化芸術基本法は、まさにアウトリーチ活動の新たな目. 的である文化芸術以外の政策との連携に通じるものである。. さらに、5-1で指摘したように、文化芸術に関する法律の制定は、文化. 芸術活動の民営化を推進した。それにより、指定管理者やアートNPOな. どの多様な主体による、様々な実践が行われるようになったことが推察さ. れる。. しかし、民間に頼った文化政策は、実践が増加することはあっても、理. 念が育つことはない。すなわち民営化の影響を受けた文化政策は、アウト. リーチ活動と同様に、理念がないと言えるのではないか。そのため、理念. なき文化政策は、芸術文化振興以外を目的とする省庁に活用されていると. 考えることができる。. いずれにしても、地域活性化を理念とする総務省は、地域創造を通して. 芸術と他分野の政策との連携を行い、そこに地域活性化を結びつけた。そ. して、2017年には法律にも芸術と他分野の政策との連携が明文化される. ことになった。それによって、芸術による地域活性化の法的根拠が生まれ、. 活動がさらに発展することになったと考えられる。. . 5-4.中央集権 vs地方分権. これまで述べてきたように、現在の文化政策は文化以外の政策とも関連. し多様化している。多様化した文化政策の様相は、そのまま文化活動にも. 当てはめることができる。. 文化庁は、芸術文化振興を理念としており、国民に等しく芸術を享受す. る機会を提供することが重要であると考えている。公平・平等である必要. があるため、文化庁がお墨付きを与えた作品やプログラムを全国各地に提. 供することで、公平性・平等性を担保している。それは、トップダウン、. つまり中央集権型の方法で政策を実施しているといえる。. 文化庁が主導で実施している音楽鑑賞教室は、予め決められたプログラ. 2020final.indd 73 2021/02/21 14:24. 74 研究論文:査読論文. ムを全国各地で行う。芸術団体は、事前に文化庁に企画書を提出し、その. 企画書通りにプログラムを実施するのである。言うならば、全国どこでも. 文化庁公認のレディメイド作品を鑑賞することができるということであろ. う。文化庁の中央集権型の姿勢が、音楽鑑賞教室という文化活動にも反映. されている。. 一方総務省は、地域活性化を理念としている。地域活性化は、地域の実. 情を把握し、状況に合わせて柔軟に対応していく必要があり、地方分権と. いう考え方で政策が行われている。. 地域創造が実施しているアウトリーチ活動は、実施先の下見や打ち合わ. せを入念に行い、地域の課題解決に貢献できるプログラムを作成する。そ. のため、自治体や参加者の状況に応じてプログラムを検討する必要があり、. 同じプログラムを実施することはできない。世界にひとつだけのオーダー. メイドのプログラムを実施するのである。総務省の地方分権型の姿勢が、. アウトリーチ活動の実践にも反映されているといえる。. 音楽鑑賞教室とアウトリーチ活動の実施方法には、文化庁の中央集権と. 総務省の地方分権という政策に対する姿勢が端的に反映されている。文化. 政策の第2期までを牽引してきた文化庁は、文化政策が多様化した現代に. おいても、その権威を誇示するかのように、音楽鑑賞教室という文化活動. に中央集権的な姿勢を反映させている。そしてそれに対抗するかのように、. 第3期に文化政策へ仲間入りをした総務省は、アウトリーチ活動という文. 化活動に、地方分権的な姿勢を反映させている。. つまりレディメイド型で中央集権的な音楽鑑賞教室と、オーダーメイド. 型で地方分権的なアウトリーチ活動という構図を考えると、両者は全く別. の概念であり、その差異は明確になる。. 文化庁は、2017年に京都移転の準備として、京都市内に文化庁地域文. 化創生本部を設置した。これは、同じ年に行われた文化芸術振興基本法の. 改正を踏まえ、新たな政策ニーズに対応するため(文化庁ホームページ). 設置したとされている。. 地域文化創生本部では、新しい取組みとして「文化財を活かした観光・. まちづくり」(文化庁ホームページ)を挙げている。このことから、新た. な政策ニーズとは、5-3で示した、文化芸術基本法基本理念第二条10にあ. 2020final.indd 74 2021/02/21 14:24. 75「音楽鑑賞教室」と「アウトリーチ活動」の境界線. る、観光やまちづくり、福祉などの他分野との連携のことをさしているこ. とがわかる。. 観光やまちづくりなどは、その地域の実情に合ったオーダーメイド型の. 政策を行う必要があり、レディメイド型つまり中央集権的な姿勢では成り. 立たない。したがって、文化庁は、文化芸術振興基本法の改正という文化. 政策の潮流に合わせるように、中央集権型だけではなく地方分権型の姿勢. も取り入れようとしていると考えられる。このように、今後、文化庁の政. 策は、中央集権型と地方分権型を組み合わせながら実施されるようになっ. ていくのではないかと思われる。. しかし、本論考で考察した音楽鑑賞教室については、総務省(地域創. 造)のアウトリーチ活動との差別化のため、また、文化芸術振興の中心で. あることを誇示するため、中央集権的な姿勢を崩さずにこれからも実施さ. れていくであろう。現場での混乱は解決されないまま、省庁のプライドを. 保つための文化活動は続けられていくのである。. . 6.おわりに. アウトリーチ活動は、芸術普及活動という位置付けのもと、演奏者と参. 加者が対等な関係でコミュニケーションをとりながら行われる活動であり、. 従来の音楽鑑賞教室とは異なる活動であることが強調されてきた。にもか. かわらず、実践内容からは、音楽鑑賞教室とアウトリーチ活動の差異を明. 確にすることは難しく、これらは境界線のないひと続きのグラデーション. のような活動に思える。しかし、それぞれの活動について、政治との関わ. りから分析すると、音楽鑑賞教室とアウトリーチ活動は、文化庁と総務省. の理念や政策姿勢が反映されており、異なるものであるということが見え. てくる。. アウトリーチ活動は、理念なきまま実践されているというその曖昧さに. よって、文化芸術とは関係のない総務省に活用されることになったのでは. ないだろうか。. 本論考では、事象の多様さから事例研究に偏りがちである文化活動に関. する研究に、新しい視点を取り入れることで、先行研究とは別の角度から. 2020final.indd 75 2021/02/21 14:24. 76 研究論文:査読論文. の理論構築を試みた。そして今回は音楽鑑賞教室とアウトリーチ活動とい. う一見似通った文化活動に対して、政治との関わりを分析した。ただし、. 他の視点からの分析も可能であるし、それによって本論考とは全く別の見. え方になることも考えられる。また、中央集権と地方分権に関する議論に. ついては、海外の事例との比較検証なども可能である。. 今後は、別の視点からの分析や、今回の分析で見えてきた文化活動と政. 治の関連が、演奏者や参加者にどのように影響しているかなど、さらに踏. み込んだ分析ができればと考えている。. 註. 1. ホールの主催事業またはホール設置主体による受託を受けて実施する文化事業のこ と。. 2. この調査では、「コンサートホール、劇場、多目的文化ホール、能楽堂、オペラハウ ス、映像ホールなど、舞台芸術の公演等を主目的とする施設のこと」(地域創造, 2020 p.7)をさしている。. 3. 音楽鑑賞教室は、日本オーケストラ連盟が発行する『日本のプロフェッショナル・ オーケストラ年鑑』で使用されている言葉である。(日本オーケストラ連盟『日本の プロフェッショナル・オーケストラ年鑑2019』). 4. 林睦「音楽のアウトリーチ活動に関する研究-音楽科と学校の連携を中心に-」(大 阪大学博士論文, 2003)は、日本で初めて書かれた、アウトリーチ活動に関する博 士論文である。. 5. コンサートでは聴衆や観客と呼ばれるが、これらの語は聴いたり観たりするだけの 人々という受動的な印象がある。アウトリーチ活動は、演奏者との交流がある活動 とされているため、参加者と表記した。. 6. 特定非営利活動法人トリトン・アーツ・ネットワークのこと。2001年に第一生命ホ ールにおける自主企画公演の主催団体として設立され、コミュニティ活動としてア ウトリーチ活動を行っている。. 7. 子ども達に芸術を鑑賞する機会を提供するために民間で設置された鑑賞団体である が、文化庁の助成によって全国で公演を開催している。. 8. 1994年の設立時は、財団法人地域創造。2014年に一般財団法人地域創造へ移行。. 9. 通称「おんかつ」と呼ばれるこの事業は、毎年実施市町村を募集し全国各地で行わ れている。. 10. 毎年10市町村程度の地域で、現在も継続して実施されている。1市町村につき、4回 アウトリーチ活動を実施するため、この事業だけでも年間約40回のアウトリーチ活 動を実施していることになる。. 11. 日本オーケストラ連盟によって発行されている。日本オーケストラ連盟には日本の. 2020final.indd 76 2021/02/21 14:24. 77「音楽鑑賞教室」と「アウトリーチ活動」の境界線. プロオーケストラ38団体が加盟している。. 12. ちなみに、2017年は全オーケストラで910回実施されている(オーケストラ年鑑 2018)。. 13. 地域創造が実施しているアウトリーチ事業のひとつである。この事業は、3人~ 5人 の若手演奏者で室内楽編成のグループを作り、アウトリーチ活動を実施する。本論 考で紹介したのは、2017年に実施されたプログラムである。. 14. 木管五重奏は、フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴット、ホルンによる五 重奏である。. 15. 文化庁のホームページで巡回公演のプログラムを公開している。https://www. kodomogeijutsu.go.jp/junkai/r2_kouen.html[2020年12月10日閲覧]. 掲載したプログラムは、東京フィルハーモニー交響楽団による2020年度のプログラ ムである。https://www.kodomogeijutsu.go.jp/junkai/dl/plan/r02/a01.pdf[2020年12月 10日閲覧]. 16. 東京フィルハーモニー交響楽団事務局に問い合わせをし、担当者に巡回公演の内容 についてインタビューを行った。(2020年9月15日、東京フィルハーモニー交響楽 団事務局にて). なお、巡回公演の様子は、東京フィルハーモニー交響楽団のホームページにも画像 付 き で 掲 載 さ れ て い る。https://www.tpo.or.jp/information/detail-20190116-01.php. [2020年12月10日閲覧]. 17. 市民へのホールの貸し出しは「貸し館」と呼ばれ、公共ホールにとって、現在にお いても重要な役割のひとつである。地域創造の調査によると、2018年度の専用ホー ル(コンサートホール、劇場、多目的文化ホール、能楽堂、オペラハウス、映像ホ ールなど、舞台芸術の公演等を主目的とする施設)の96.8%が貸し館を実施してい る(地域創造, 2020)と報告されている。. 18. 阪神淡路大震災のボランティア活動とNPO法との関係については、金井恵里可 「NPOと公共性」(1999)を参照。. 19. 例えば、地域創造が発行する報告書には、アウトリーチ活動実施先の選定理由が書 かれている。それによると、合併前の旧市町村でホールのない地域や、合併した島 嶼部地域など、市町村合併を意識した理由が挙げられている。(『平成25年度公共ホ ール音楽活性化事業報告書』p.74、『平成29年度公共ホール音楽活性化事業報告書』 p.30). 20. 4-1で検証した地域創造の『新・アウトリーチのすすめ 文化芸術が地域に活力をも たらすために』には、「訪問型の事業はアウトリーチの基本です。」と書かれている。 ここでは主な実施先として、学校や福祉施設が挙げられている。(地域創造, 2010, p.18). 21. 文化政策の中でも、特に芸術各分野(文学、音楽、美術、演劇、舞踊その他の芸術) におけるプロフェッショナルとしての活動を対象とした活動に関する政策のことを さしている(根木他, 1997)。. 22. ここでの文化力とは、トリエンナーレ、芸術祭、民俗芸能、風俗慣習、文化芸術創 造都市の関係者が集うサミット(文化庁, 2014)などとされ、風俗慣習からサミッ トまで幅広い。. 2020final.indd 77 2021/02/21 14:24. 78 研究論文:査読論文. 参考文献. 揚原祥子「音楽でのコミュニケーションを軸にした試み ─NPO法人トリトン・アーツ・ ネットワークにおける活動について」『音楽教育実践ジャーナル』 10.2(2013) pp.37- 43.. 藤井浩基「特集の趣旨」『音楽教育実践ジャーナル』10.2(2013) pp.4-5.. 林睦. 「音楽のアウトリーチ活動に関する研究─音楽家と学校の連携を中心に─」(大阪大 学博士論文, 2003). 「音楽のアウトリーチ活動に関する一考察 ─日本における導入の10年と今後の課題 ─」『音楽教育学の未来』日本音楽教育学会編(音楽之友社, 2009) pp.280-290.. 「音楽教育におけるアウトリーチを考える─基本的な考え方,歴史的経緯,最近の動 向」『音楽教育実践ジャーナル』 10.2(2013)pp.6-13.. 伊藤裕夫「芸術文化振興に対する、芸術家と享受者の意識の差について」『文化経済学会 論文集』2(1996) pp.131-134. 〈https://doi.org/10.11195/jace1995.1996.131〉[2020年 12月10日閲覧]. 梶田美香「音楽科におけるアウトリーチの効果 ─小学校からの実践報告─」『学校音楽 教育研究 日本学校音楽教育実践学会紀要』14(2010) pp.215-225.. 金井恵里可「NPOと公共性」『文教大学国際学部紀要』9-2(1999)pp.29-65.〈http:// id.nii.ac.jp/1351/00003731/〉[2021年1月23日閲覧]. 河添達也・小川彩由子「鑑賞授業における音楽アウトリーチ活動の実践研究」『島根大学 教育臨床総合研究』9 (2010)pp.169-178.. 小井塚ななえ「演奏家の成長におけるアウトリーチの教育的意義 ─事例分析と聞き取り 調査を通して─」(東京藝術大学博士論文, 2016). 熊倉浩靖「群馬地域文化の先覚者・井上房一郎 ─95年の歩みと哲学―」『文化経済学会 論 文 集 』3(1997) pp.157-161.〈https://doi.org/10.11195/jace1995.1997.157〉[2020年 12月10日閲覧]. 松原美保「地域の芸術家を学校へ ─音楽教育におけるアウトリーチの実践 小学校の事 例から」『音楽教育実践ジャーナル』 10.2,(2013) pp.52-55.. 根木昭・枝川明敬・垣内恵美子「芸術政策の構造的枠組の変遷」『文化経済学会〈日本〉 論 文 集 』3(1997) pp.103-107.〈https://doi.org/10.11195/jace1995.1997.103〉[2020年 12月10日閲覧]. 斉藤豊「音楽の授業におけるアウトリーチ活動の展開 ─アウトリーチ活動の目的と形態 からみた分類の試み」『音楽教育実践ジャーナル』 10.2(2013) pp.71-79.. 一般財団法人地域創造. 『雑誌 地域創造 Spring vol.14』(地域創造, 2003). 『文化・芸術による地域政策に関する調査研究 報告書 新[アウトリーチのすす め]』(地域創造, 2010). 『平成25年度公共ホール音楽活性化事業報告書』(地域創造, 2014). 『平成29年度公共ホール音楽活性化事業報告書』(地域創造, 2018). 友岡邦之「芸術と日常の再接続 ─群馬県高崎市での文化政策における試み─」『文化経 済 学 』4.2(2004) pp.87-89.〈https://doi.org/10.11195/jace1998.4.2_87〉[2020年12 月10日閲覧]. 2020final.indd 78 2021/02/21 14:24. 79「音楽鑑賞教室」と「アウトリーチ活動」の境界線. 津上智実「神戸女学院大学のアウトリーチ教育と3大学連携 ─「コミュニケーション としての音楽」再発見の試み」『音楽教育実践ジャーナル』 10.2(2013)pp.29-36.. 吉本光宏「アートと市民・子どもをつなぐ「アウトリーチ活動」 ー芸術による社会サー ビスの可能性ー」『ニッセイ基礎研REPORT』(2001)pp.2-7.. インターネット検索資料. 文化庁. 「文化芸術振興基本法」『文化庁ホームページ』〈https://www.bunka.go.jp/seisaku/ bunka_gyosei/shokan_horei/kihon/geijutsu_shinko/kihonho.html〉[2020年8月30日閲覧]. 「文化芸術基本法」『文化庁ホームページ』〈https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunka_ gyosei/shokan_horei/kihon/geijutsu_shinko/kihonho_kaisei.html〉[2020年8月30日閲覧]. 「文化庁 文化芸術による子供育成総合事業」『文化庁ホームページ』〈https://www. kodomogeijutsu.go.jp/〉[2020年8月30日閲覧]. 「文化庁 文化芸術による子供育成総合事業 巡回公演事業」『文化庁ホームページ』 〈https://www.kodomogeijutsu.go.jp/junkai/index.html〉[2020年12月10日閲覧]. 「文化芸術立国中期プラン」『文化庁ホームページ』〈https://www.bunka.go.jp/seisaku/ bunka_gyosei/hoshin/pdf/plan_2.pdf〉[2020年8月30日閲覧]. 「地域文化創生本部」『文化庁ホームページ』〈https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunka_ gyosei/chiho/sosei_honbu/index.html〉〈https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunka_gyosei/ chiho/sosei_honbu/pdf/92057301_01.pdf〉[2020年12月10日閲覧]. 群馬交響楽団. 「群馬交響楽団 楽団プロフィール」『群馬交響楽団ホームページ』〈http://www. gunkyo.com/about/prpfile/〉[2020年8月30日閲覧]. 文部科学省. 「学制百二十年史」『文部科学省ホームページ』〈https://www.mext.go.jp/b_menu/ hakusho/html/others/detail/1318528.htm〉[2020年8月30日閲覧]. 日本オーケストラ連盟. 「日本のプロフェッショナル・オーケストラ年鑑2018」『日本オーケストラ連盟ホー ムページ』〈https://www.orchestra.or.jp/library/uploads/dab6835e028b30f1f640c74fea06 5233065b0d3f.pdf〉[2020年8月30日閲覧]. 「日本のプロフェッショナル・オーケストラ年鑑2019」『日本オーケストラ連盟ホー ムページ』〈https://www.orchestra.or.jp/library/uploads/ba62efacf9382064b47ef1e8e91de 8e6d09ea889.pdf〉[2020年8月30日閲覧]. 総務省. 「平成の合併についての公表」『総務省ホームページ』〈https://www.soumu.go.jp/ gapei/pdf/100311_1.pdf〉[2020年8月30日閲覧]. 一般財団法人地域創造. 「平成12年度調査研究報告書 アウトリーチ活動のすすめ 地域文化施設における 芸術普及活動に関する調査研究」『一般財団法人地域創造ホームページ 出版物・調 査報告書』〈https://www.jafra.or.jp/library/report/12/index.html〉[2020年8月30日閲覧]. 「地域の公立文化施設実態調査(平成19年度)」『一般財団法人地域創造ホームペー. 2020final.indd 79 2021/02/21 14:24. 80 研究論文:査読論文. ジ 出版物・調査報告書』〈https://www.jafra.or.jp/library/report/19/a1.html〉[2020年 8月30日閲覧]. 「2019年度「地域の公立文化施設実態調査」報告書」『一般財団法人地域創造ホーム ペ ー ジ 出 版 物・ 調 査 報 告 書 』〈https://www.jafra.or.jp/library/report/2019/index. html〉[2020年9月26日閲覧]. 東京フィルハーモニー交響楽団. 「北海道・北東北地域での5年の歩み 文化庁「文化芸術による子供の育成事業」巡 回公演より」『東京フィルハーモニー交響楽団ホームページ』〈https://www.tpo.or.jp/ information/detail-20190116-01.php〉[2020年12月10日閲覧]. (都市イノベーション学府博士課程後期・都市イノベーション専攻). 2020年12月31日査読を経て受領. 2020final.indd 80 2021/02/21 14:24. 81「音楽鑑賞教室」と「アウトリーチ活動」の境界線. Boundary of “Concerts in school” and “Outreach programs” Relationship between cultural activities without a philosophy and politics. Azusa NIWA. The purpose of this study is to find out new perspectives on ‘Concerts in school’ and ‘Outreach programs’ through their relationship with politics. Concerts in school and outreach programs are the performance activities by professional musicians. Concerts in school are aimed music appreciation, and outreach programs are defined that it has music appreciation and communication programs. However, it isn’t clear the difference concerts in school and outreach programs by considering the form. Because outreach programs are evolving without a philosophy. It became clear the difference between concerts in school and outreach programs by making comparison incorporating political. Outreach programs are led by the Japan Foundation for Regional Art-Activities. Japan Foundation for Regional Art-Activities was established by the Ministry of Internal Affairs and Communications. Concerts in school are led by the Agency for Cultural Affairs. Ministry of Internal Affairs and Communications built public cultural facilities and merge municipalities in 1980s-2000s. Outreach programs begun to start in late 1990s in Japan. Ministry of Internal Affairs and Communications try to solve the problems which was occurred by their politics by using outreach programs. On the other hand, Agency for Cultural Affairs think that it is important to appreciate and participate to art for people. Concerts in school have influenced by an idea of art and culture promotion and centralized attitude for Agency for Cultural Affairs. Outreach programs have influenced by an idea of regional revitalization and decentralized attitude for Ministry of Internal Affairs and Communications.. 2020final.indd 81 2021/02/21 14:24

参照

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