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講演要旨

近畿・大阪の地価動向」

―平成28年度地価公示価格から―

(株)谷澤総合鑑定所 常務取締役

不動産鑑定士 真里谷和美 氏

平成28年4月26日 大阪第一ホテルにて 【要約】 1.全国ベースの概要 ◆全国全用途 ・8 年振りに全用途でプラス 0.1%。 ・地価公示のポイントは全国に 23085(継続地点)ある。そのうち上昇地は 35%、下落地は 45%。 ・三大都市圏では 52%のポイントで上昇。地方圏では 21%の地点で上昇。地方中枢都市は 80%の地点 で上昇。地方中枢都市の地価上昇が目立つ。 ・大阪圏の上昇ポイントは 38%。大阪府は 24%。大阪の状況は地方圏に近い。 ◆全国住宅地 ・全国ベースでマイナス 0.2%。全国の 32%のポイントで上昇。東京圏は 50%、名古屋圏は 55%で上 昇。大阪圏は 31%にとどまる。

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・地価が上がっている県は 9 県しかない。下がっている県は 36 道府県。大阪府は 0%。 ・最大下落率県は秋田県でマイナス 3.5%。8 年間で4割強の下落。 ・東京圏はプラス 0.6%、名古屋圏はプラス 0.8%。大阪圏はプラス 0.1%。 ・地方中核都市は全体で 2.3%上昇。仙台 3.2%、福岡 2.8%、札幌 2.0%、広島 1.4%。 ・これに対し大阪市は 0.5%上昇。東京都区部の 2.8%、名古屋市の 1.6%に比べ、大阪の弱さが目立つ。 ◆全国商業地 ・全国ベースで 0.9%上昇。 ・大阪圏の上昇率は 3.3%。東京圏の 2.7%を上回る。地方中核都市は 5.7%の大幅上昇。 ・上昇県は 16 府県。東北各県と三大都市圏の各県で上昇。ただし和歌山はマイナス。 ・県別では、大阪府が 4.2%アップの全国 1 位。 ◆全国工業地 ・全国ベースで 0.0%。回復傾向にあるが、ポイント数が少ないので参考にならない。 ・ただし、大型の物流用地需要は極めて堅調。都市圏を中心に上昇。 ・千葉県舟橋市で 13.7%の大幅上昇があった。 2.変動率上位順位 ◆住宅地 ・ベスト 10 に北海道が 7 つ入る。 ・1 位の倶知安はニセコスキー場隣の別荘地。オーストラリア人の人気が高い。 ・2 位から 7 位まで札幌市が独占。2 位は札幌屈指の高級住宅地で 15.9%アップ。 ・9 位は東京港区の超高級マンション用地で 13.2%上昇。 ・8 位と 10 位は福島県いわき市。震災の復興需要。昨年はベスト 10 全てが同市内。 ◆商業地 ・ベスト 10 に大阪が 6 つ入る。 ・ランク 1 位は心斎橋 2 丁目の「旧ヤマハビル」で 45.1%上昇。価格は 827 万円。昔から心斎橋は坪 2000 万円という相場を超えた。 ・4 位は宗右衛門町の「Luz心斎橋」の 36.2%。価格は 955 万円。坪換算で 3000 万円超え。心斎 橋、戎橋辺りはインバウンド効果を大きく受けている。 ・6位に茶屋町が入った。32.1%上昇の 135 万円。7 位の金沢は新幹線効果で 31.2%上昇。8 位は 北区小松原町で 27.4%上昇。9 位難波は御堂筋沿いで 26.6%アップ。

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3 地方中枢都市の概要 ◆札幌市の住宅地 ・札幌市の住宅地は 2.0%上昇。北海道全体ではマイナス 0.5%。 ・市内の65%で上昇。上昇率 1 位は、全国 2 位にランクインした高級住宅地で 15.9%。 ・住宅地の最高価格地は 28.4 万円(7.2%上昇) ◆仙台市の住宅地 ・仙台市は住宅地の 95%で上昇。上昇率は 3.2%。宮城県は、県別上昇率全国 3 位。県全体では 74% が上昇。 ・最高上昇地点は新駅効果もあって 12%上昇。 ・住宅地の最高価格地は 27 万円(8.9%アップ)。 ◆広島の住宅地 ・広島市は住宅地の 68%で上昇。上昇率は 1.4%。 ・最高価格地は 63.8 万円(7.6%アップ)。大阪 1 位の 59.8 万円より高い。最高上昇地点は 8.5%上昇。 ◆福岡の住宅地 ・福岡市は住宅地の 94%で上昇。上昇率は 2.8%。 ・最高価格地は 60.5 万円(6.9%アップ)。大阪 1 位地とほぼ同じ。最高上昇地点は 11.5%上昇。 ◆商業地 ・各市の最高上昇率は、札幌 26.4%(44 万円)。仙台 15.0%(115 万円)、広島 13.6%(234 万円)、 福岡 24.5%(102 万円)。各市とも高い上昇率を示している。 ・最高価格地は、札幌 290 万円(11.5%)。仙台 248 万円(12.7%)、広島 235 万円(11.9%)、福 岡 698 万円(12.0%)。 ・地方中枢都市の最高価格地は、住宅地ではファンドバブルがはじけた平成 20 年価格を上回わったが、 商業地はまだ戻っていない。 ・広島の最高価格地点の八丁堀は、新設ポイントで比較できないが、それ以外の各都市は平成 20 年の価 格水準と比べると、札幌 80%、仙台 76%、福岡 88%。各都市共あと 1、2 年でファンドバブル時の 価格水準を超える。東京はとっくの昔に超えている。大阪は、今回のインバウンド効果で心斎橋、道頓 堀辺りは 20 年水準を超えた。 4 個別地点の動向 ・高度商業地等における店舗需要で上昇→①銀座は全国最高価格地で 22.9%アップの 1930 万円。②心

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斎橋は 22.9%上昇で 827 万円。③広島は八丁堀で 13.6%上昇の 234 万円。 ・交通インフラや再開発で上昇→①仙台市青葉区で 15%。②虎の門付近で 17%アップ。③金沢は新幹線 効果で全国7位の上昇。④名古屋は駅裏で、リニア効果で全国3位の 38.4%。⑤博多は駅前で 24.5% 上昇。 ・観光、リゾート需要の高まりで上昇→①倶知安で 19.7%上昇。②京都東山区で 21%上昇。③湯布院で 15%上昇。 5 大阪の状況 ◆住宅地 ・府全体では 0%。大阪市や北摂の各市でわずかに上昇。その他の市町村は下落。府全体の 35%が下落、 横ばい 40%。 ・今後も上昇は期待しにくい。0%前後での推移か。 ・大阪市は 0.5%上昇、東京、名古屋、中地方中枢都市と比べ上昇率は見劣りする。 ・市内 1 位は浪速区の 5%上昇。次いで北区 4.1%、中央区 3.1%、天王寺区 2.8%。 ・価格1位は上汐 4 丁目で 59.8 万円(上昇率は1位の 10.1%)。これまで 1 位の真宝院は 2 位で 57.2 万円(1.4%上昇)。 ・バス便の遠隔地や丘陵地、及び土砂災害の可能性のある地域は下落傾向が強い。池田の伏尾台でマイナ ス 3.7%、東大阪市五条町でマイナス 4.5%。 ・地方の過疎地は価格が成立しない。千早赤阪村(マイナス 3.2%)や淡輪(マイナス 2.8%)はそれに 近い状況。 ◆商業地 ・県別上昇率で大阪は全国 1 位(4.2%)。府全体の 63%地点で上昇。 ・大阪市は 7.8%上昇。中央区 12.8%、北区 10.7%、西区 10.6%。難波に近い浪速区で 7.1%上昇。 ・大阪の価格 1 位はグランフロントで 1180 万円(16.8%)。名古屋の最高価格地は、名駅 4 丁目の地 価調査ポイントで、時点修正で 1020 万円。大阪との差はわずか。 6 インバウンドやJ-REIT からみた大阪の地価動向 ・大阪へのインバウンド、特に東南アジア、中国からの観光客は今後も続くと思われるので、インバウン ド効果を期待できるところは堅調に推移すると思われる。 ・J-REIT の取得額も将来的には今の倍まで行くだろうと思われるので、地価には好影響を与えると思わ れる。 ・ただし、地価は“そろそろピーク”との意見を多数聞く。来年以降どうなるかは不透明。

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【本文】 1.今年の特徴は 今年の地価公示の特徴は、都心の商業地が高騰したことです。そしてその上昇率ベスト 10 に大阪が 6 ポイントも入ったのみならず、心斎橋ポイントが 45.1%アップの全国 1 位になったことです。これは地価 公示制度が始まって以来初めのことです。 この余波を受けたのか、今回ベスト 10 に東京が 1 ポイントも入いりませんでした。これも初めてのこと です。東京も 2 割以上上がっているのですが、もともと水準的に極めて高いところにあったので、高い上 昇率にはならなかったのです。 その他では、札幌、仙台、広島、福岡の地方中枢都市が、三大都市圏以上の高い上昇を示しました。 今回のこのような商業地における地価上昇の最大要因は“インバウンド効果”ということかと思います。 来日外国人観光客数は、日本全国で昨年1年で 1974 万人、年度ベースでは 2000 万人を超えました。対前 年比較で約 47%もの増加です。特に大阪への観光客数の増加率は 91%ですから 1 年で倍増しました。その 大半は中国人ですが、“爆買い”で大量に物を買って帰るのです。その影響を一番受けたのが心斎橋で、 45.1%上昇で全国 1 位に輝きました。 なお当初は名古屋もリニア新幹線効果でここ数年高い上昇率を示しています。用地買収の関係もあって、 先行的、投機的に上がっているのではないかということ、つまり実需ではないのではという議論もありま すが、駅裏ポイントで、全国3位の 38.4%上昇を示しています。 2.地価公示の概要~全国ベース ①全用途 《資料 1》をご覧いただければお分かりのように、平成 28 年は全用途平均でプラス 0.1%になりました。 これを受けて、新聞各紙の一面は「8 年ぶりに全用途でプラスに転じた」という記事になりました。 では本当に全用途で地価は上がっているのでしょうか。全国に地価公示ポイントは 23085(継続地点) か所ありますが、そのうちで上昇したところは 35%、下落したところは 45%です。ですから下落ポイント の方が数としては多いのです。横ばい地点は残り2割くらいです。この横ばい地点が、今後どっちに向か うのかが、来年以降の地価を左右することになるでしょう。この1年に関しては、上昇地点が増えたとい うことで、全用途平均ではわずかにプラスに転じました。 都市圏別でみますと、大阪、名古屋、東京の三大都市圏は全用途の 52%の地点で上昇しました。地方圏 は 21%の地点しか上昇していません。 では大阪圏はどうかということですが、まず大阪圏の範囲です。大阪圏は、大阪の中心部から 50 キロ圏 内と法律で決まっています。北は亀岡市から南は五條市くらいまでがその範囲になりますが、この大阪圏 でプラスになっているポイントは全体の 38.4%、約 3 分の 1 です。大阪府だけを取り出せば、上昇ポイン トは全体の 24%しかありません。三大都市圏平均で 52%の地点で上昇していますから、大阪圏はかなり低 い数字です。とても上昇しているとは思えないような状況です。

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地方圏全体では今申し上げたように 21%の地点でしか上がっていませんが、札幌、仙台、広島、福岡の 地方中枢都市に限ってみれば、約 80%のポイントで上昇しています。 このように大阪圏は、三大都市圏、地方都市圏との比較の中で一番上昇地点の割合が少なく、三大都市 圏どころか地方中枢都市と比べても見劣りし、地方圏に近い状況です。 なお、全用途でプラス 0.1%になったからと言って、上昇ポイント数は 35%ですから、全国で上がって いるというわけではありません。地価公示のポイントは三大都市圏に 45%、地方圏に 55%ありますが、地 価が上がっている都市圏の割合が高いので、結果的にプラスになったのです。ですから全国ベースで見れ ば、まだまだ下がっているといえます。プラスが見えない地点が、全国にはたくさんあります。 ちなみにポイント数の内訳は住宅用地に約 71%、商業地に約 25%、工業地が残りの 4%です。住宅地で 上がっていない割合が多いので、商業地で多少上がったとしても、これが相殺されますので、全体でプラ ス 0.1%という形になりました。 ②住宅地 住宅地は、全国ベースでマイナス 0.2%です。昨年のマイナス 0.4%からは若干下落率は縮小しているも のの、依然としてマイナスです。 ポイント数でみると、住宅地は全国の 32%ポイントで上がっています。ですから約 3 分の 1 で上がりま した。三大都市圏で見ると 45.6%のポイントで上がっています。東京圏で 50%、名古屋圏で 55%です。 それに対して大阪圏は 31%です。大阪圏の上昇地点割合はかなり低いといえます。 ちなみに、住宅地が上がっている県はどこかというと、全国で 9 県あります。1 位は福島県の 2.4%、2 位が宮城県の 1.9%。この両県は高台移転といった震災の復興需要があったため大きく上がりました。3 位は沖縄県です。都市圏では東京、千葉、神奈川、愛知、福岡が上がりました。熊本県も 0.1%上昇で、 19 年ぶりにやっとプラスになったのですが、今回の地震で、来年はマイナスになるでしょう。 では大阪はどうかと言うと、大阪府はプラスマイナス 0%です。人口が増えないということもあって、 なかなかプラスに転じていかないようです。 それ以外の 36 道府県で下落しています。上昇している宮城県や神奈川県でも、上昇率が鈍化傾向に入っ ています。唯一下落率が拡大している県が 2 県あります。それは滋賀県と三重県です。 滋賀県では、これまで唯一上がっていた大津市が、今回マイナスに転じました。三重県は、県南部の下 落が拡大したことが、その要因です。 なお、全国で下落率が最大の県は秋田県で、マイナス 3.5%です。昨年はマイナス 4.2%でした。若干下 落率は縮小したものの、2008 年からの 8 年間で約 4 割強の下落になりました。下げ止まらない状況が今も 続いています。人口が大きく減っているのがその要因です。 ③商業地 今回一番元気があったのが商業地で、昨年のプラスマイナス 0%から、今年は全国ベースで 0.9%上昇で

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す。 《資料 1》を見ていただくとお解りのように、大阪が極めて大きく上がりました。大阪圏の商業地の上 昇率は 3.3%で、東京圏の 2.7%を上回っています。 なお、地方中枢都市は 5.7%アップと、三大都市圏よりも上がっています。ただし地方中枢都市は、大 阪圏や東京圏といった広範囲の概念とは違い、ごく狭い各都市の市域に限っていますので、一概には比較 できません。そうはいっても今回大きく上がったのは確かです。 全国 47 都道府県のうち上昇した県は 16 府県です。北海道は昨年のマイナス 0.9%から今年はプラス 1.2%とプラスに転じました。東北では、福島が 0.9%、宮城が 3.2%、首都圏では埼玉が 0.7%、千葉が 0.9%、東京が 4.1%、神奈川が 1.4%、北陸では新幹線効果で賑わっている石川が 1.6%、中部圏では愛 知が 2.7%、近畿圏では和歌山を除いた 2 府 2 県でプラスになりました。奈良はプラスマイナス 0%です。 インバウンド効果がまだ弱いようです。宿泊施設が少ないこともあって、なかなか収益に結びつかないよ うです。 大阪は、住宅地はそれほど上昇しなかったのですが、商業地大きく上昇し、大阪府が 4.2%アップで、 全国1位になりました。中国地方では広島が 0.8%、九州では福岡で 1.1%、沖縄で 2.0%でした。 ただ先ほど申し上げたように全国の 40%以上のポイントで下落していますので、県ベースで見れば、30 県で下落しています。昨年は 33 県でしたので、3 県がマイナスからプラスに転じました。プラスになった のは石川、兵庫、広島の 3 県です。 ④工業地 工業地は、昨年のマイナス 0.6%からプラスマイナス 0%になりました。回復傾向にあります。特にイン ターネット通販の普及で、大型の流通用地が極めて堅調で、都市圏を中心に地価は上がっています。ただ、 工業地のポイント数は全体のわずか 4%しかありませんので、この数字はあまり参考にはならないと思い ます。 工業地で一番上がったのは沖縄で 3.5%です。2 番目は宮城の 2.6%、3 番目が神奈川の 2.1%です。沖 縄には工業用地はほとんどありませんから、ほんの少しの需要があれば、もともとの水準も低いので、一 気に上昇します。それが今回です。 なお千葉県舟橋市の工業地が、今回 13.7%という非常に大きな上昇を示しました。物流系の用地利用が 非常に活発だということの証左です。 ⑤三大都市圏等の住宅地 次に、三大都市圏と地方中枢都市に絞って見ていきます。住宅地は、名古屋圏がプラス 0.8%、大阪圏 が 0.1%、東京圏が 0.6%です。大阪圏が一番低い上昇率です。 札幌などの地方中枢都市は 2.3%アップですから、最も上がっています。その中では、仙台が 3.2%と、 大きく上がりました。次いで福岡の 2.8%、札幌の 2.0%、広島市の 1.4%です。

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では大阪市はどうかと見ますと 0.5%です。東京都区部は 2.8%、名古屋市は 1.6%ですから、東京都区 部と名古屋は、地方中枢都市に匹敵する上昇になりましたが、大阪市はそれに比べてもかなり弱いという ことです。 3.全国住宅地の変動率上位順位(資料 2) ここで全国住宅地の変動率上位順位を見ますと、非常に珍しいことにベスト 10 のうち 7 つが北海道です。 上昇率 1 位の〈倶知安-3〉は、ニセコスキー場の隣にある別荘地ですが、ここは今になって急に上がっ たということではありません。2001 年の同時多発テロ以降、オーストラリア人はそれまでカナダにスキー に行っていたのですが、カナダも危ないということで、たまたま北海道の雪質が極めて良いということも あって、ニセコ人気が高まっていったのです。それ以後、一時期円高で少し足が遠のいたのですが、最近 の円安でまた割安感が出てきて、上がってきたということです。 今回、倶知安町は 19.7%の大幅アップで、昨年の 7100 円が 8500 円になりました。実際は 1 万円、2 万 円というようなベースではなく、もっと大きく上がっているかと思います。 上昇率 2 位の〈札幌中央―1〉は 15.9%上がりました。ここは札幌屈指の高級住宅地ですから、15%上 がるのは納得がいきます。 3 位以下 7 位まで札幌のポイントですが、6位までのポイントは住宅、マンション、事務所、アパート が混在した地域で、なぜここがこんなに上がったのかは不明です。仙台と札幌の価格差を、今回元に戻し たというようなことがあったのかと思います。仙台が大きく上昇したので、それとの兼ね合いで価格修正 が行われて、大きく上がったという意見です。 9 位の〈港―16〉は港区南麻布の超高級マンション用地です。そういったポイントですから、希少性 が高いこともあって 13.2%上昇しました。実際、マンションの売れ行きは極めて好調です。 8 位と 10 位は、福島県いわき市のポイントです。昨年の住宅地ベストテンは全ていわき市でしたが、こ れは震災の復興需要という理由です。今年も昨年に引き続き上がったポイントが多数あったのですが、こ の 2 ポイントがベストテンに残こりました。 4.地方中枢都市の概要 ①札幌の住宅地 では次に地方中枢都市についてみていきます。 札幌の平均上昇率はプラス 2.0%、昨年はプラス 0.7%でした。なお北海道全体ではマイナス 0.5%です。 北海道における上昇地点の 95%が札幌に集中しています。札幌以外ではほとんどが下がっているのが実態 です。 札幌は市内全地点の 61%が上昇しました。因みに北海道全域におけるプラス地点は 20.4%です。札幌の 上昇地点の割合は結構高いといえます。 札幌で一番上昇率が高かったのは、戸建て住宅地の最高価格地〈札幌中央-1;26.3 万円〉でプラス 15.4% です。戸建住宅地で 15%以上上がるのは非常に珍しいといえます。

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「都心回帰」という言葉を最近よく使いますが、これは東京や大阪に限ったことではなく、北海道でも 東北でも、その地域の中心都市に人が集中するこの現象は、近年非常に濃厚になってきています。 札幌のような地方都市は圏域が小さいことから、中心部の一番良いところに人気が集中しだすと一気に 価格が上がってしまいます。結果プラス 15.4%ということになるのです。札幌では、住宅地の最高価格地 はマンション用地の(札幌中央―23;28.4 万円)で、ここも 7.2%の上昇を示しています。 REITなどの不動産投資の資本は、東京ではなかなか買えないということで、これら地方圏のマンシ ョン用地へ向かっています。大阪、名古屋そして福岡に行き、札幌にも行きます。広島への投資というの はまだ聞きませんが、これら地方圏の大都市に投資が集中しだして、マンション系住宅用地もこのところ 値上がりしています。 ②仙台の住宅地 仙台は、住宅地の全ポイントの 95%がプラスになりました。宮城は、県別の上昇率上位ベスト 3 に入っ ていますが、県全体で 74%のポイントで上昇しました。 最高上昇地点の〈若林―27;96,300 円〉は、新駅効果もあって 12.0%の高い上昇率です。戸建て住宅の 最高価格地の〈仙台青葉-2;22.1 万円〉は 5.2%、マンション用地の最高価格地の〈仙台青葉-3;27 万円〉 は 8.9%と、高い上昇率を示しました。 ③広島市の住宅地 広島は、住宅地の全ポイントの 68%がプラスになりました。広島市の住宅地の最高価格地は〈広島中- 10〉というマンション地で、プラス 7.6%の 63.8 万円です。マンション用地のポイントとして、大阪 1 位 〈天王寺―6〉の 59.8 万円よりも価格は高くなっています。最高上昇地点は〈広島東-7;21.8 万円〉でプ ラス 8.5%。去年は水害の影響もあったのですが、大きな上昇率を示しました。 ④福岡市の住宅地 福岡は、最高価格地点〈福岡中央―2;60.5 万円〉がプラス 6.9%。一番上昇した〈早良―27;34 万円〉 は 11.5%です。福岡でも大きく上昇しています。 福岡は、住宅地の全ポイントの 94%がプラスになりました。因みに大阪市は 33.4%、大阪府は 24.1% ですから、これら地方中枢都市の上昇割合は極めて高いといえます。 ⑤商業地の動向 地方中枢都市の商業地の動向です。 各都市の最高上昇率は、札幌が〈札幌中央 5-13;44 万円〉で 26.4%、仙台が〈仙台青葉 5-5;115 万円〉 で 15.0%、広島市が〈広島中 5-2;234 万円〉で 13.6%、福岡が〈博多 5-3;102 万円〉で 24.5%。それ ぞれ極めて高い上昇率を示しています。

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地方中枢都市の最高価格地は、住宅地に関しては、ファンドバブルがはじけた平成 20 年価格を上回わり ましたが、商業地に関しては、まだそこまで戻っていません。ちなみに、広島の最高価格地点の八丁堀〈広 島中 5-1;235 万円〉は、平成 22 年に出来た新しいポイントですから、比較はできませんが、それ以外の 各都市は、平成 20 年の価格水準と比べると、札幌は 80%、仙台で 76%、福岡で 88%の水準です。福岡は 非常に元気だといえます。 各都市共あと 1、2 年で 20 年のファンドバブル時の価格水準を超えるでしょう。東京はとっくの昔に超 えましたし、大阪は今回のインバウンド効果で心斎橋、道頓堀辺りは 20 年水準を超えました。 5.全国の商業地の変動率上位順位(資料 3) ここで全国の商業地の変動率上位順位をみてみます。 上昇率 45.1%で全国ランク 1 位は〈大阪中央 5-23;827 万円〉の心斎橋筋 2 丁目ポイントです。旧ヤ マハビルがあった場所です。ここは昨年売却され、いま取り壊し中です。この場所の公示価格は坪換算で 2734 万円です。心斎橋は、昔から坪 2000 万円という一つの相場があったのですが、今回これを上回りま した。インバウンド効果を一番受けたということでしょうか。 それよりも価格的に高い「Luz心斎橋」は全国第 4 位の 36.2%アップの 955 万円です。このポイント 〈大阪中央 5―2〉は宗右衛門町にありますが、去年の最高上昇地点です。今回は第 4 位ですが、公示価格 は 955 万円、坪換算で 3160 万円と 3000 万円越えです。戎橋の北東角のH&Mが入っているビルですが、 所在地が宗右衛門町ということで、名前の格差が上昇率に若干影響したようです。 「宗右衛門町」と「心斎橋」は違うのです。宗右衛門町といえば“飲み屋街”的なイメージがどうして も付きまといます。そんなこともあって今回は、上昇率としては心斎橋の方が上にいったということです。 大阪は“北は阪急百貨店、南は高島屋”というのが、伝統的に大阪のトップ商業地の序列ですが、今回 宗右衛門町が 36%上がりましたので、7 月 1 日発表の相続税路線価で見れば、南は価格的には高島屋から この宗右衛門町に逆転すると考えています。 ただ宗右衛門町は容積率は高くありません。400%か 500%位しかありません。まして心斎橋のヤマハビ ル辺りは 360%位しかありませんので、大きなビルは建てられません。中層ビルに高級な店舗を入れてい くしかないようです。 それはそうなのですが、心斎橋における 2000 万円、3000 万円という価格水準で、収益的に見合うのか 疑問に思ってしまいます。この水準でペイするのはドラッグストアぐらいではないでしょうか。 ここ数年ファストファッション系も、この辺りに進出してきましたが、彼らが入居しているビルの多く はファンド物件がらみで、相当高い賃料を取れるでしょうが、ファストファッションの売上だけでは多分 赤字だろうと思います。当然、家賃を度外視したアンテナショップ的な店が、この価格を形成しているよ うなところもあるかと思います。 今回、坪 2700 万円という価格が出ましたが、この価格が高いのか安いのか。実際の取引は倍以上でしょ から、これをどう評価するかは本当に悩ましいところです。

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大阪だけではなく東京も名古屋も商業地は大きく上がりましたが、20%以上上がると監視区域の検討を しなければならないということもあって、東京は 20%未満に上昇率を抑えているのではないかという少数 意見もあります。名古屋も少し押さえて 40%未満にしています。因みにこれがランク5位のポイントで 38.4%上昇です。名古屋駅裏ポイントで、リニア新幹線効果で上がったとされる昨年1位のところです。 しかしながら大阪は、〈大阪中央 5-23〉ポイントそのものが売買事例に該当したため、そういう事もで きなかったということと、実際インバウンド効果も十分あるだろうということで、今回この価格での公示 となりました。 全国 6 位に茶屋町(大阪北 5-16)が入りました。32.1%上昇の 255 万円です。商業が集積しだしてきて います。特にファッション系の進出が目立っています。 7 番目の金沢は、新幹線効果です。31.2%アップの 45 万円です。 意外な所が 8 位の北区小松原町(大阪北 5-3)で 27.4%上昇の 135 万円です。東通り商店街ですが、周 辺が上がってきたため割安感が出てきたということでしょう。9 位の「なんば池田ビル」は御堂筋沿いで す。26.6%アップの 462 万円です。 10 位は札幌です。去年は 1.5%アップ。それが今年は 26.4%上昇です。なぜこれほど上昇したかよくわ かりません 6.地価の上昇がみられた個別点の動向 地価上昇がみられた個別点の動向を少しご紹介します。まず交通インフラの整備や再開発がらみで上が ったポイントとしては仙台の青葉区があります。ここは 15%上がりました。東京では虎の門付近の再開発 が進んでいます。地下鉄日比谷線の新駅ができるということで、その虎の門駅に近いポイントで 17%上が りました。金沢では先ほどご紹介したように新幹線の開業で駅近ポイントが 31.2%上がっています。名古 屋では、駅裏のポイントでリニア新幹線に伴う大規模開発が進むということで、全国上昇率第 3 位の 38.4% 上昇です。博多は再開発効果で駅前が 24.5%上昇しています。 高度商業地における店舗需要の高まりで上がったところとしては、東京銀座(中央 5-2)の 22.9%増の 1930 万円です。インバウンド効果の東京版かと思います。この他では、広島の八丁堀(広島中 5-2;234 万円)は、大型商業施設が新規開業したということで 13.6%の上昇を示しています。 観光・リゾート需要の高まりで上がったポイントとしては、先ほどご紹介した倶知安町があります。京 都の東山区(東山 5-7;120 万円)では 21.2%上昇です。ここはホテル需要です。 マンション業者とホテル業者が争うと、マンション系は勝てません。マンションの採算ベースの 1.5 倍 から 2 倍の高額で、ホテル業者が買っています。ですからホテル立地の可能性のある地点は 20%以上上が っています。それが京都の東山であったり、大阪でもそういうところがあります。 もう 1 つ、今回湯布院で 15.4%上昇しました。去年はプラスマイナス 0%でした。この 1 年で外国人が 増えたのかどうかわかりませんが、外国人観光客の人気もあるということで、中心商業地が大きく上がり ました。

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なお、湯布院は震災の影響を受けましたので、来年はどうなるのかは今のところ不明です。 7.大阪の地価公示の概要(資料 4) ①大阪住宅地 では大阪の公示地価です。住宅地については、先ほど申し上げたように大阪府全体で昨年のマイナス 0.1%から、今年はプラスマイナス 0%になりました。政令都市である大阪市と堺市、それと北摂系の豊中、 吹田から枚方あたりまではプラスになりましたが、それ以外の都市は平均でマイナス 0.2%と下落傾向に あるというか、上がっていません。 具体的には、大阪府には 33 市 9 町 1 村ありますが、そのうちの 19 市 7 町 1 村がマイナスです。府全体 の 35%が下落、40%が横ばいです。約半分がプラスかマイナスかよくわからない状態です。 今回、下落ポイントが減って上昇ポイントが若干増えました。問題は横ばいポイントです。ここが今後 プラスに転じるのかマイナスに転がるのかで随分違ってきます。ただ上がる要素は一つもありません。 大阪は、今後マイナス 0.1%とかプラスマイナス0%で推移するのではないかと思っています。アベノ ミクスとか、住宅取得減税とか、さらには住宅ローンも非常に安く借りられる状況の中でさえ、なかなか プラスに転じていかないのですから。 バブル時は団塊の世代が、ファンドバブル時は団塊ジュニア世代が住宅取得層として存在していたので すが、それ以降は人口がどんどん減ってきて、労働環境も正規労働者が少なくなってくるようなことで、 住宅取得能力という意味では今後期待できそうにありません。先細りが目に見えています。 人口減と高齢化が一番先に進んでいるのが大阪ですから、やっとプラスマイナス 0%になりましたが、 今後は再びマイナスに転じて行くものと思われます。 大阪市はプラス 0.5%になりましたが、上がっているところと下がっているところの二極化が激しく出 てきています。そんな中、今回浪速区が一番上がって 5.0%です。ではなぜ浪速区なのかというと、ポイ ント数が少ないということもありますが、東京資本は、浪速区に対する見方が大阪資本とは違うのです。 「難波にこんなに近くて、こんなに安いところがある」という見方をするのです。外国系の投資も比較的 堅調ということで浪速区が 1 番で、北区の 4.1%よりも上にいきました。 因みに中央区は 3.1%、天王寺区が 2.8%です。この辺りはマンション系のニーズが高いところですが、 戸建てポイントはわずかしかありませんので、1 か所上がると全体が大きく上がってしまう地区でもあり ます。ただし、住宅地全般に関して言えば、あまり上がっていません。 ②大阪商業地 大阪府の商業地は、全国ベースでは東京よりも上がっています。県別全国 1 位でプラス 4.2%です。上 昇したポイント数は 212 で、全体の 63%です。去年は 200 ポイントでしたので、今回少し増えました。横 ばいポイントは 91 で去年と変わっていません。下落ポイントが去年の 47 が 34 に減りました。下落ポイン トが減って、上昇ポイントが増えたということです。

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大阪市は全体で 7.8%と大きく上がりました。一番上がったのは中央区の 12.8%、次いで北区 10.7%、 西区 10.6%、福島区 9.4%、浪速区 7.1%です。やはり浪速区が上位に入いりました。阿倍野区、天王寺 区は 6.5%です。マンション系とインバウンド系の影響を受けたところが上がったということです。 その他では、堺市や吹田市がわずかに上がっています。 今回、大阪府の商業地で一番上がったのは箕面市で 5.4%です。北大阪急行の延伸予定地に公示ポイン トがあって、そのポイントがマンション用地ということで 18.4%上昇しました。その影響で、市全体が上 がりました。 ③高価格順位(資料 5) 大阪の住宅地、商業地の高価格順位です。住宅地で一番高いところは〈天王寺―6〉の上汐 4 丁目で 10.1% アップの 59.8 万円です。ここはマンションポイントですが、マンションポイントは、ここ 2、3 年はどこ でも 10%台の上昇を示しています。 バブル以降、真法院町(天王寺-2)がずっと 1 位だったのですが、今回は 2 位になりました。上昇率 1.4% の 57.2 万円です。 このポイントは面積が 119 ㎡しかありません。ですから本当に大阪の最高地点として相応しいのかとい う議論はこれまでもされてきましたが、他に場所がないということで、長年最高地を維持してきました。 今回2番になりましたが、この 1.4%という上昇率は全国的に見ても低いかと思います。 4 番目の上本町 8 丁目は、今回新設されたポイントです。 商業地価格 1 位は〈大阪北 5―28〉のグランフロント大阪の 1180 万円です。上昇率は 16.8%。 因みに名古屋の最高価格地(名駅 1 丁目)は 935 万円です。ただし名古屋の場合、県の最高価格地点は 名駅 4 丁目の名古屋ビルで 1020 万円です。大阪は地価調査ポイントと地価公示ポイントは共通ポイントで すが、名古屋は違うのです。 この名古屋の最高価格地の名駅 4 丁目を、時点修正すると 1080 万円位になります。従って大阪のグラン フロントとの差はわずか 100 万円です。 他の主要都市の最高価格地を見ますと、横浜は 950 万円、福岡は 698 万円です。福岡がかなり上がって きました。 ④三大都市における最高価格地は ここで、三大都市における最高価格地を比較してみますと、東京の最高価格地は銀座 4 丁目で 4010 万円、 大阪はグランフロントの 1180 万円。かなり大きな開きがあります。名古屋は今申し上げた通りです。 なお、大阪のグランフロントは数年前に新設されたポイントです。それ以前は、大阪駅前の第一生命ビ ルが最高ポイント地でした。その前は「ナビオ阪急」でした。 実は名古屋の地価がどんどん上がってきて、大阪の全国 2 位の位置が危うくなってきたということもあ って、グランフロントが誕生した際にポイント替えを行ったのです。結果、今は名古屋よりも上にいます

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が、近々名古屋に抜かれる可能性はないとはいえません。 なお、東京、名古屋、大阪のトップ地に関しては、大体のバランスを取るという意味もあって、大きく 上がることはありません。 大阪のトップ地のグランフロントは、半分以上がオフィスということもあって、インバウンド効果をあ まり期待できません。しかしながら店舗部分は比較的良いし、オフィスも今年は大きな供給がありません ので、今後空室率、賃料ともに改善していくだろうということで今回 16.8%上がりました。 同様に第一生命ビル(大阪北 5-29)もほとんどがオフィスですから、上げようがないのですが、今回 8.8% 上がりました。その点、ナビオ阪急(大阪北 5-1)は全部店舗ですから本当はもっと上がっていいのです が、ここはビルが古いということと、容積率があまり高くないので高止まりしています。上がりにくい事 情があるようです。 ⑤上昇率順位表と下落率順位表(資料 6、資料 7) 大阪の住宅地と商業地の上昇率ベスト 5 です。 住宅地はほぼマンション系です。天王寺の上汐で 10.1%、北区や中央区で 5~8%上昇です。先ほどご紹 介した浪速区(桜川)が 5 位にランクインし、5%上昇です。 商業地は先ほど申し上げたように全国 1 位、2 位、4 位、6 位、9 位ということで、全国ベスト 10 に 5 つランクインしました。 次は下落率の順位表です。住宅地は大体顔ぶれが共通していて、遠隔地か丘陵地で、その中でも土砂災 害の危険性あるところはかなり敬遠され、軒並み下落しています。1 位の東大阪のポイントは土砂災害の イエロー地域です。 2 位の〈池田-6〉は伏尾台です。ここは昨年もランクインしましたが、バス圏の住宅地です。地域内の 府立高校も今年から募集を停止しました。そういう地域です。 高槻や茨木もそうですが、丘陵や山手のバス圏の住宅地はどんどん下がっています。駅前回帰というか、 郊外の戸建を売って、駅前の便利なマンションに買い替える流れができています。これは地方圏でも同じ です。 3 位の千早赤阪村は、村に 1 ポイントしかないのですが、ここはどこまで下がるかわかりません。 田舎の田んぼを売り出しても1万円にしかならないという話をよく聞きますが、これは別荘地でも全く 同じです。琵琶湖の北にある別荘地を不動産ブームの時に買われた方もおられるでしょうが、実際、そこ を売り出そうとすると「1万円なら」と業者が買い取るそうです。「ただ」と言う訳にはいかないので「1 万円だけ出しましょう」ということらしい。 地方の過疎地は、人口が減って市場が消滅しているのです。価格が成立しない地域がたくさんあります。 千早赤阪村がそうだとは言いませんが、それに近い状況になりつつあります。淡輪の〈岬―1〉も同様です。 商業地に関しては、門真、松原、東大阪、守口あたりは人口減少が激しい地域で、シャッター通り商店 街と言われる商業地が、下がっている状況が続いています。

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8.インバウンド需要から見た大阪都心部の地価動向 インバウンド需要から見た大阪都心部の地価動向について簡単にお話します。外国人観光客数は、平成 27 年全国ベースで前年比 47%プラスの約 2000 万人です。そのうち大阪への外国人観光客数は前年比 91% プラスの 720 万人です。 特に中国人観光客は全国で 107%のプラスです。1 年で倍増えています。大阪へは 2.7 倍になっています。 これは関空のLCCの影響が大きいと思われます。成田と関空では1時間違いますので、近隣アジア圏か らは成田よりも大阪の方がより来やすいのでしょう。 関空におけるLCCの就航便数は去年、便全体の 25%を超えました。今年は夏季スケジュールからいく とLCCの割合は 33.3%になる見込みです。実に 3 分の1がLCCです。アジア近隣の外国人観光客は“関 空へ”ということです。 そういった観光客が大挙して大阪に押し寄せてきていますので、大阪の宿泊施設の稼働率はいま極めて 高い状況にあります。全国的に見ても 1 位の稼働率です。結果、部屋数が足らないので客室単価は 2 割以 上上がりました。こういったインバウンド需要は今後も続くでしょうから、これらに関係する地域の地価 は、今後も堅調に推移すると考えられます。 9.J‐REIT から見た大阪都心部の地価動向 J‐REIT から見た物件取得動向です。2012 年後半に大きな金融緩和があったため、2013 年は物件取得が 2 兆 3000 億円と極めて多かった。リーマンショックで塩漬けになっていた土地が、この時一度に売りに出 されて、取引価額が大きく増えたのです。2014 年、2015 年は、物件取得額は約 1 兆 6000 億円で横ばいで す。この時は“地価が上がる”ということで、一般事業者が土地を買われたということで、REIT はなかな か買えなかったのです。 その結果、J-REIT の取得累計は 2016 年 2 月末で 16 兆円を超えましたが、将来的には 30 兆円位までい くだろうといわれています。まだ倍くらいまで増えるということです。 このことが地価にどう影響するかですが、これだけ金利が安くなってきて、利回りも相当低くなってい る中で、物件の高止まり警戒感が出てきていますので、利回りが期待できる地方に資本が移りつつあるの かなといったところです。因みに 2015 年時で、大阪が J‐REIT 取引に占める割合は 10%弱です。 東証 REIT 指数を見ますと、マイナス金利の影響で、今年になって上昇傾向は出てきていますが、去年一 年では約 8%程度下がっています。 この好調さがいつまで続くかは、ひとえにインバウンドにかかっています。観光客数は 2020 年には 4000 万人という当初予想の倍まで増えるでしょうし、世界における観光客数は増え続けますので、去年のよう に一度に増えるということはないとしても、戦争でもない限り、徐々に増えていくことは間違いないと思 います。 東南アジア諸国が今経済発展していますから、一番身近な先進国である日本に、当然多数やって来るで しょう。また近年中国人観光客が随分増えていると言っても、中国人全体のパスポート保有率はたった 6%

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です。日本は 24%ですので、日本並みになればというか、1 割の富裕層だけでも日本の人口よりも多いわ けですから、今の倍くらいまで増えれば相当数の外国人観光客が増える可能性があります。今のところ確 実なものとしては東京オリンピックまでは確実に増えていくだろうと考えられています。 ただ地価に関して言うと「そろそろピークかな」という意見が、いろいろなアンケート調査などを見ま すとよく見受けられます。「2020 年まで持たない。その 1、2 年前がピークだろう」とか、中には「昨年の 7 月がピークだった」という意見もあります。若干警戒感が出てきていることは事実です。消費税増税の 問題もありますし、景気の先行きも去年に比べますと、今年は減速感があります。中国経済がどうなるの かというリスクもあります。なんとも言えない状況かと思います。 今回地価は 45%アップという大きな上昇がありましたが、“個人的には、去年もう少しあげておくべき だったのではないか、”というのが、地価公示作業が終わった時の感想でした。その辺なかなか難しいとこ ろですが、次の地価調査、来年の地価公示がどうなるか、私も個人的に興味があるとところです。 (終わり)

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参照

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