微分積分続論 平成年度前期
谷 口 説 男 九州大学大学院数理学研究院
平成 年月 日
目 次
第 章 変数関数の積分
変数関数の積分定義と性質
反復積分
極座標
広義積分
第章 変数変換
平行移動
線形変換
一般の変数変換
第章 線積分
曲線,道,線積分
反対向きの曲線,道
ポテンシャル関数
第章 グリーンの定理
グリーンの定理
ベクトル場の発散と回転
第章 変数関数の積分
変数関数の積分定義と性質
反復積分
変数変換
円柱座標
球座標
広義積分
第章 面積分
面積分定義と性質
ガウスの定理発散定理
ストークスの定理
講義スケジュール
週 日 講義内容
月日 変数関数の積分定義と性質
日 〃
日 〃,反復積分
月日 極座標
日 広義積分
日 変数変換
月日 〃
日 線積分
日 〃 グリーンの定理
日 中間試験
日 変数の積分
月日 〃
日 面積分
日 〃
日 教場試験
第 章
¾変数関数の積分
Ü 変数関数の積分定義と性質
本章を通じて用いる記号を準備する.
の定める二つの区間 から長方形をつぎのように定める
Ê
の分割は, の分割
を用いてつぎのように定義される.
ただし
の面積を
とおく.
Êを有界関数とする.の に関する上方和と下方和をつぎで定める.
ただし
有界な Êの上積分,下積分をつぎで定義する.
はの分割 はの分割
有界な Êが積分可能可積分であるとは,
が成り立つことをいう.このときをつぎのように表す.
,と順序を入れ替えての表示を利用する理由は次節で明らかになる.
で与えられる分割 に対し
とおく.以下, Êは有界であるとする.
が存在し, となる.
第章 変数関数の積分
!"# の定理の分割の列, ,は
を満たすとする.
このとき,つぎが成り立つ.
$
$
が積分可能となるための必要十分条件は,
となるの分割の列, ,でさらに つぎを満たすものが存在することである.
という収束のみを証明する.
とする.の分割で
%
となるものをとる.
と表わす.Æを
を満たすように選ぶ.とし,をとを合わせたの分割とする.このとき,定義より直ちに
%
つぎに,
とおけば,以下の評価式が成り立つことを示す.
% %
これが証明できれば,と合わせて
%% %
となる.,という操作により,$ を得る.
は次のようにして証明できる.
#
とおく.ならばとなる. のうち,直線 と交わるものすべてからのへ の寄与は高々
であり,直線と交わるものすべてからの寄与は高々 であ る.よって,全体のへの寄与は高々
%
となる.これよりを得る.
より任意の
となる分割に対し,
これより主張が得られる.
!"# の定理を用いるとつぎのような積分可能性の特徴づけができる.
変数関数の積分定義と性質
有界な Êが積分可能となるための必要十分条件は, Êが存在し,任意の
なるの分割
と任意の
に対し,
が成り立つことである.このとき
となる.
必要性
とする.分割
,
に対し,つぎが成り立つ.
!"# の定理&' により,とすれば,
$
となり,主張を得る.
十分性,とする.
を
となるように選ぶ.このとき
!"# の定理&' により,とすれば
として,
同様の議論をに適用しを得る.よって,となり,は積分可能となる.
積分の基本的な性質を挙げよう.
Êは積分可能, Êとする.
線形性% は 積分可能で,つぎが成り立つ.
%
%
正値性 ならば,
は積分可能である.
(
は積分可能である.とくに
第章 変数関数の積分
なる分割
をとる.
とする.&' により,
%
%
%
これより,再び&'により,% は積分可能で,その積分は
%
に一致する.
ならば,
である.!"# の定理&' により,として,主張 を得る.
%
!であるから,が積分可能であることをいえば良い.%
と変形すれば, を仮定してよい.このとき,
,
であるから,
%
よって,&' により,
は積分可能 再び,&' により,は積分可能となる.
(
である.また, ならば である.よって,
&' により
は積分可能 再び,&' により,は積分可能となる.
であるから,線形性より が積分可能であることがいえる.また,
と,積分の線形性,正値性を合わせると
すなわち
積分可能性を保証する具体的な条件を挙げよう.
"は点で不連続とおく.かつ
Æ
となる分割が存在すれば,は積分可能となる.ただしに対し,Æ
である.
変数関数の積分定義と性質
一般性を失うことなく はの細分となっているとしてよい.
とする.
Æを
Æ
となるように選ぶ.
を での境界と接するものの全体とし,
Æ
"
とおく. ,#
とおく.とする. は#上で一様連続であるから,
したがって
はの細分であるからが#を満たせば,
が存在し,となる.よって
%
の選び方より
%
以上より,とすれば,
となる.&' により,は積分可能となる.
&'の逆も成立するが,その証明はこの講義の範疇を超える.
以下のような は積分可能となる.
上連続である.
の不連続点の個数は高々有限個.
,$,とする.% は連続とし,% とおく. は
上,連続である.
%
は 上一様連続であるから,任意のÆ に対し, Æが存在し,
が
!
を満たせば% %
!が成り立つ.
分割を小長方形
%
&
%
&%
%
%
&
%
%
&
%
&
を含むものとすれば,
Æ
ならば が存在し,となる.
第章 変数関数の積分 上の, は, の特別な場合である.
今までは積分を長方形の上で考えてきたが,これをの部分集合に拡張しよう.
'が面積確定であるとは, が積分可能となることをいう.ただし, は'の定義関 数,すなわち, 'ならば
,さもなくばとなる関数である.
面積確定な'に対し,その面積をつぎで定める.
'
' は面積確定であるとする.有界な ' Êが積分可能であるとは,そのへの拡張
',!'が,上積分可能となることをいう.さらにこのとき,
とおき,の'での積分と呼ぶ.
Êが積分可能であり,' が面積確定であれば,&'により, の'への制限
'Êは積分可能となる.
互いに交わらない' '
は面積確定であり, は各'上積分可能であるとする.この とき,'
'
は面積確定で,は'上積分可能であり,さらにつぎが成り立つ.
という関係式より,明らかである.
&' は面積確定な集合による分割へと拡張できる.
'は面積確定であり, 'Êは積分可能とする. '
&$
は,面積確定 な集合'
による'の分割とする.すなわち,'
は互いに疎,'
'
&,であり,
'
'
を満たす.
)'
を仮定する.ただし,)( (である.さらに)
'
とする.このとき,
)
'
'
であるから
)
'
)
である.また
)
'
なので,主張を得るには
'
変数関数の積分定義と性質 を示せばよい.
とする.の積分可能性より,の分割 で
となるものが採れる.
とおく.
Æとし,
Æ
%Æ
Æ
%Æ
Æ
と定義する.
Æ
Æ %
が成り立つ.Æ
Æ とする.
Æとなるようなに対し,
'
Æ
'
%
Æ
'
と総和を分解する.
'
Æ
'
Æ
'
Æ
* '
であるから,
第項 Æ
% Æ
第項
となる.,Æ,として,が従う.
&' と同じ仮定の下,つぎが成り立つ.
'
'
とする.)
)
'
をそれぞれ
)
)
%
となるようにとる.
'
'