レ タ ー
ニ トロベ ンゼ ンの熱分解初期過程
神津 直',阿久津好明',新井 売' ,田村昌三書
ニ トpベ ンゼンの熱分解反応の初期過程について.半経験的分子軌道法計算お よび石英反応 容鰭中におけ る熱分解実験に より検討を行 った。その結果,半径故的分子軌道法
PM 3法に よ り井出された結合解離エネルギーの値が.
C‑N結合L M割の方が
N‑0結合開裂 より小 さいこと.
およびェ トpベ . /ゼl /とヨウ素を弗存 させた熱分解実験に よりヨー ドベ . /ゼンのみが生成 し.
ニ ト。ソベ ンI t fソは生成 しないことがわか った。 これ より
,C‑N結合の開裂が ニ トロべ . /ゼ ンの熱分解の開始反応であることが示 された。
t . は じめに
エネルギー物質は単位体構内に多大なェネルギーを 含有 している物質であ り.外部か ら熱や術撃などのエ ネルギーが与えられると分解,爆発を起 こし.大 きな エネルギーを発生す る。エネルギー物質の化学構造 と エネルギー発生挙動 との関係を系統的に杷蛭す ること は. E l 的に応 じたエネルギー物質の分子設計をす る上 で有効であると考えられ る。
芳香族 ニ トF 7化合物は代表的なェネルギー物質の一 つ として知 られてお り.その熱分解俄格の解明のため,
これ まで多 くの研究がなされて きたが,その詳細は, まだ明らかになっていない。
そこで,本研究においては,芳香族ニ トt 7化合物の うち痕 も基本的な構造を持つ ニ トF Zベ t /ゼ ンを選び.
その分解開始反応に関す る知見を得るため.分子軌道 法計井および熱分解実験による検討を行 った。
2.
計 井
2.1計算方法
これ までの研究か ら. ニ トpベ . /ゼ . /の熱分解の初 期過程 として
Fig.1 に示 した三つの披堺が捷案 されて いるl l . しか し. これ らの幾枚は生成物か ら推定 され た ものであ り,乗際にどの機構で熱分解が開始 され る のか明 らかではない。そ こで, これ らの反応に関 し.
分子軌道法計井によ り結合解離エネルギーあるいは活 性化エネルギーを求め,それぞれの機構の妥当性を評
1995
年
3月
2日受理
● 東京大学工学部化学 システム工学科
〒
113東京都文京区本郷7‑ 3‑ 1 でEL 03‑3812‑2111内線
7293 FAX 03‑58001;871I.C‑Nbondcleavage
O N 0 , ‑ 0
・・ ・N
O2 1II.N・Obondclcavage
O
‑N0
. ‑0 ‑NO
・0 II‑I0 ‑NO 一 ・0
・ ・.NO
ll・2III.Nitro‑Nitritcisomeri之ation
O ‑N0
2 ‑0 ‑ONO
IIHa oNO ‑ & 0
・・・NO
m‑ 2
Flog.1
h
itialprocessforthermaldecompositionoL nitrobenzene価 した。
計井は東京大学大型計井蛾セ ンターの
HITAC M‑880
に よ り.半経験的分子軌道法 ‑ /pタラ. Lバ . Jケー ジ
MOPACver.6.01の
PM3近似を用いて行った2 ) .
ラジカル解謄反応に関 しては二つの計井方法を試み た。反応物 と生成 ラジカルについてそれぞれ構造庇適 化を行い生成熱を求め,その蓋を結合解離エネルギー とす る方法 ( 計井法 1 ) と.結合長を徐 々に長 くし, その艦に構造位適化を行い生成熱を求め.結合点が十 分に大 きくな り.ほは一定 となる生成熱の債 と.元の 分子 の生成熱の差を結合併発エ ネルギーとす る方法
Kayaku Gakkaishi.Vol.56.No.4.1995 1177‑
30。
抑
Ⅷbouqrq l≡V
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0 . 1 5 n m
d N : : ' 昏‑ o = g ‑ p ‑ m ̲ A ヽ 00
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l l0.15 0.2 0.25 BondJengthlnm) Fig.2 Therelationshipbetwe
enC‑Nbondlength aJ)dheatofLorTrLati
onofnitrobenzene
覗 ‑
◎ : ・ . ・
・o
zN√ ‑ 0、N̲.Fig.3 Isomerizationreacdonbetweez)nitroben訳rLe aJ
ldpheJtyhitrite
( 計 井法
2,Fig.2
参照 ) であ る。 生成熱 がL 一定 に なるのは.完
全にこっの ラジカルに分解 した ときであ り.分解反応 では,縫 合解雌 エ ネルギーが活性化エ ネ
ルギーに対応す る もの と考え られ る。 ニ トp‑ナ イ
トライ ト苑性 化反応 に関 しては
Fig.3
の よ うに角
Oを変 化 させ る こ とに よ り遷 移状態 を求 め.その ときの生成熱 とニ トロベ ンせ . /の生成蕪 と
の 基か ら活性化 エ ネルギー
を求め た。
2
計井結 果を
.2計井括黒 と考察
Table
lに示す。 二GBの方法 に よる括 柴
は.ほほ' 同様
の偵 向を示すが.
皿2,m2に おいて基 7 5 ' ・ 大 きい。 こ
れ は, ラジカルの生成熱 計 井 には.非 制
限Hartree‑Fo
ck
法を用 いてい る ことや,解 合伸長 の 方向に よ り.エ ネルギーが異 な って
くる場 合があ る こ とに起因 している. 曲接 ニ トロ. <
ンゼ l /か ら起 こる反 応に注 目す る時 .
C‑N結 合開裂
がL エ ネルギ ー的 に収 も有利 であ る こ と が分か る。 し
たが って, ニ トロベ ンゼ ンの熱分解開始 反応は
.C‑N結合開封 である ことが予想 され る
3.
実 験 。
3.1実験方法 計井結果の確認
のため. ヨウ糸の存在下 で . i トt 2ペ ンゼ ' /の熱分
解 を行 うことに よ り,熱分解に よる生成 ラジカルの捕捉 を試み
た。 内径
6mm.長 さ
15c t B の管状 石英反応容執 こニ トF
Zベ . /ゼ ン (lE E S) と ヨウ素 (
2喝 )
を いれ 脱 気 し.所定温 度 の同 気炉 で一 定時 間
Tablo 1 Calctllatedbonddissociationenerw forthe initialpr∝essofthermaldecompositionoE
nitrobeJlヱene
reaction bnddissociationenerg
yl
kJ/mo) ]
medtod1method2 I 228.
9 233.9
Ⅱ‑I 4
13.1 426.0
Ⅱ‑2 246.4
205.0
D‑I 324.3(adVatio
nenergy)
加熱 した。 その後液体襲来で冷却 し.反
応生収物 をア セ トンに痔解 し
,FZ Dガス クp† トグ
ラフ (( 揺) 島津 製 作所製 GC‑6A 型) を用 いて
分析 した。 分 析 は .
長 さ
3m.内
様 3⊂ コの
SUSカ ラ ム (充填 剤 :液 相
OV‑101 5, 0 . I.担
件UtliprtHP60/80} ・,シ 1) を
用 い. カ ラム温
碇70‑220℃,昇温速度
5℃/min..
注 入 口温度
3.2乗鞍
2着
60℃で行 った。
果 と考察
炉温
450℃〜600℃.加熱時間
30‑60
秒で実故 を行 っ たが,いずれ の場 合 もヨー ドベ ンゼ
ンが生成 し
,ニ ト F 2ソベ ンゼ ンは生成 しなか った。
ヨー ドベ ンゼ ン
は.熱 分解に よ り生成 した
フ ェニル ラ
ジカル と ヨウ瀬が反 応 し.生 じた ものであ る。 また.
ナ イ トライ トを経 由 して生成す ると考 え られ る 7;ノール
な どの存在 も認 め られ なか った。 この ことか ら
,C‑N
結合は
N‑0結 合 よ りも容 易に開 裂 し. ニ トロベ ン
ゼ ' /の熱 分 解
は C‑N結合開毒 削こよって開始 され る こ とがわか った。
これ は計井に よる予想 が正 しい ことを示 してい る。
4.ま と め
ニ トE ,ペ ンゼ t /の. Q分解 の初期過程を明 ら かにす る ため.分子軌道出汁井 と. ニ ト. 'べ . /.
t fl /の ロウ演存 在下 での ラジカル捕捉突抜 を行 っ
た結果, ニ トpベ ン ゼ ンの熱 分解 の開 始反 応は
C‑N結 合開裂 であ るこ と が明 らか にな った。 また.予想 さ
れ る枚数の分解開始 反応に対 して.分子軌道法計井 に よる相対的 な
評伝か ら.熱分解初期過 掛 こ関
す る知 見を得 ることがで きる といえ る。
1)T.a.BrmandK.J.文
Ja献
m
e
s.Chem.Rey..93. 2667(1993)2)MOPACVer
.6,JJ,P.Stewart.QCPEBuI1..9. )0(1989)
:RevisedasVet.6.0)byT.Hira
n
o.
Univer s i
tyoETomachines,JCPENewsletter.1.10(1989)
A studyoninitiationofthermaldecompositionofnitrobenzene
byNaoshiKOHZU*,YoshiakiAKUTSU',Mitsuru ARAI' むId旭 samitsuTAMURA*
InitiationofthermaLdecompositionofnitrobenzenewasinvestigatedbythecalcuhtion
w
i
th semi‑empiricalmolecularorbitalmethod,PM 3andthethermaldecompositionex・perimentusingaquartzcell.
ThedissociationenergyofC‑NbondcalculatedwithPM 3islessthanthatofNl0 bond,andonlyiodobenヱeneisob与ervedinthethermal decompositionexperimentof nitrobenzeneinthepresenceofiodine.Fromthesereslllts,CINbonddeavagelSProvedto betheimitialstepinthethermaldecompositionofnitrobenzene.
(*DepartmentofChemiCal System Engineering,FacultyofEngineering.The UniversityofToky0,7‑ 3‑ 1Hongo.Bumkyo‑ku,Tokyol13,JAPAN)
KayakuGakk8ishi.Vot・56.Nol4.1995 ‑17p‑