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減数分裂の制御機構解明と動物生産 への応用

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Academic year: 2021

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 哺乳動物の卵子は、卵巣内で形成され、減数分裂を行 いながら受精可能なステージ(第二減数分裂中期)まで 成熟し、排卵されます(図1)。しかしながら、近年、

加齢などの要因から成熟の途中で減数分裂が停止し、受 精に至らない事例が数多く報告されています。しかし、

実際に若齢マウスから採取した卵子を体外で培養する と、ノンストップで第二減数分裂中期まで進行するため、

成熟過程で減数分裂が停止する現象を体外で再現し、そ の原因を特定することは容易ではありません。卵子の成 熟過程において重要なのは、減数分裂で染色体が正しい 数に分配されることであり、そのためには、染色体の分 配装置である紡錘体が正しく機能しなければなりませ ん。生殖細胞である卵子における紡錘体の形成・維持の メカニズムは体細胞とは大きく異なります。減数分裂が 途中で停止する原因を明らかにするためには、まず、減 数分裂時における紡錘体の形成や染色体の分配(極体の 放出)メカニズムを解明する必要があります。

 卵子の減数分裂に関わる鍵因子の探索を目的として、マ ウスの卵子を用いたこれまでの研究において、Aktと mTORの2分子が、紡錘体の形成や染色体の分配、さら に減数分裂を完了させる際に重要な役割を果たしているこ とを見出しました(図2)。AktとmTORは、セリン/スレ オニンキナーゼと呼ばれるタンパク質で、リン酸化すると

活性化し、機能を発揮します。これまでに私たちは、Akt とmTORが、卵子では分裂中期の紡錘体上または紡錘体 極に局在し、リン酸化される部位により、特有の機能を発 揮し、その絶妙なバランスが紡錘体の形成や染色体の分 配(極体の放出)の制御に深く関わっていることを明らか にしてきました。このAktとmTORの卵子内での局在や、

ユニークな活性化の機序は卵子に特異的なものであり、ま た減数分裂に特異的な制御機構と言えます。

 未成熟な卵子を体外に取り出して成熟させる技術(体 外成熟培養)は、動物生産や生殖補助医療などの領域で 広く利用されています。体外で受精可能な卵子を獲得で きるようになった今、減数分裂の制御機構を正しく理解 することは、受精・発生能力の高い卵子を効率よく生産・

選別するための技術開発に直結する重要課題です。この 研究をさらに展開することにより、卵子の体外操作技術 の発展につなげていきたいと考えています。

研究の背景

研究の成果

今後の展望

減数分裂の制御機構解明と動物生産 への応用

広島大学 大学院生物圏科学研究科 助教

星野 由美

〔お問い合わせ先〕 TEL:082-424-4213(研究室) E-MAIL:[email protected]

2014-2016年度 若手研究(A)「第一減数分裂 中期停止の発生機序の解明と染色体異常のない卵子 の獲得」

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図1 卵巣内における卵子の形成と成熟の概要

卵巣内には数十万個の卵子が存在しますが、その多くは形成・成熟(減 数分裂)の過程で死滅してしまうため、排卵されて受精のチャンスを獲 得できるのは0.1%以下のごく僅かな卵子です。

図2 マウスの卵成熟を制御するメカニズム

卵子は、核と細胞質の成熟を伴って受精可能な状態まで成熟します。卵成 熟は、とても複雑なメカニズムによって制御されていますが、ここでは核 の成熟(紡錘体形成や染色体分配)に関わる機序の一部を示しています。

生物系 

Biological Sciences

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