前 立 腺 肥 大 症 と 腎 機 能 に 関 す る 実 験 的 研 究
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(2) 1300. 大. で あ るが 試 獣 は 勿 論 雄 性 成 犬(大 を 標 準 と し た)で 犬2匹. 体3〜4年 の. で は16. 間 の 注 射 に 足 り る量 の 浸 出 液 が 得 ら. れ な い).肥 年 と11年. 大 前 立 腺 剔 出 用 と し て は 前 記7 の 犬 を 用 い た.浸. 出 液 の 製 法,保. 存 お よび 投 与 方 法 等 は 総 て第1編 る.実 験 方 法 も同 じ く第1編. 重. が,あ. あ り,正 常 前 立 腺 は4年. よ り得 た(犬 の 正 常 前 立 腺1個. 〜14週. 藤. 道. ま りは つ き り した もの で は な く,そ の. 他 は 注 射 開 始 前 と比 べ て 特 に 挙 げ る よ うな 変 化 を 示 さ な か つ た.体 減 少 した 時(2週, 少 に 過 ぎ ず4週. 重 も増 減 が あ つ て 最 も 8週)で. も0.88kgの. 減. の ご と き は 逆 に0.05kg増. 加. が 見 られ る(第1表).す. なわ ち全 身状 態 と し. と同 様 で あ. 第1表. と同 一 条 件 で 行. つ た .す な わ ち そ れ ぞ れ の 例 に つ い て 注 射 前 の 全 身 状 態(外 体 重).血 測 定.水. 観,挙 動,口. 中Rest‑N,. 喝,食. Cl, Urお. 慾 お よび. よびUrの. 試 験 お よび 尿 所 見 を 検 査 した 後,注. 射 を 開 始(始. め1週. 間 は5cc宛,以. 宛 を 毎 日皮 下 注 射)し. 後 は2cc. て か らは2週. 間 目ご と. に 上 記 各 項 の 変 動 を 検 査 し た. Ⅲ 1). 実. 験. 成. 績. 犬 の 正 常 前 立 腺 浸 出 液 注 射 例:. 正 常 前 立 腺2個 10.5kgの. 使 用 の 内,. て は 殆 ど認 む べ き変 化 は な い と云 つ て 良 い.. 1個 は 体 重. 犬 で 使 用 前 立 腺 重 量 は6.6g,他. の. 1個 は 体 重10.6kgの. 犬 で 前 立 腺 重 量 は6.8g. で あ つ た,年 令 は2匹. と も4才 で あ る,剔 出 前. 立 腺 は い ず れ も両 葉 の 発 育 均 等 で 良 好,外 観. (第16表. 参 照). b). 血 中 成 分 の 測 定:. i). 血 中Rest‑N:. 値 は20.14mg%に (14週)と. (Folin‑Wu)注. 射 開 始前. 対 し て 最 高 は20.86mg%. 増 加 し,最. 低 は19.54mg%. (2. お よび 触 知 上 変 化 は 認 め られ な い.こ れ 等2. 週)で. 個 の 正 常 前 立 腺 浸 出 液 は 混 合 して 例 用 した の. 全 期 間 を 通 じ て 正 常 値 の 範 囲 で あ る(第2. で あ る.こ の 前 立 腺 の 組 織 所 見 は 第1図. 表).. に示. あ り一 定 の 変 動 を 見 な い ば か りで な く,. す が 重 複 を 避 け て 前 者 の もの だ け を 掲 げ た.. 第2表. 組 織 写 真 の 個 所 選定 が 良 くな か つ た が,顕 微 鏡 的 に は 間 質 の 筋 繊 維 と腺 管 部 とは 正 常 の 割 合 を 占 め,結. 締 織 繊 維 は 割 に 少 い.腺 組 織 は. 分 岐 胞 状胞 で あつ て腺管 の 状態 は 整然 と して い る,上 皮 細 胞 は 単 層 また は 所 々 重 層 を な し, 主 と し て 円 柱 状 上 皮 よ りな る.ま た 部 分 的 に は 上 皮 細 胞 が 増 殖 し多 層 に 重 畳 し時 に 乳 嘴 状 とな つ て い る と ころ もあ るが,写. 真 に 見 られ. る 上 皮 剥 離 は 標 本 作 製 の 不 手 際 が あ るの で こ れ は 全 般 的 の 所 見 で は な い が,と. もか く上 記. 所 見 は 写 真 上 で も観 察 出 来 る.(第1図) 試 獣 は 体 重10.8kgの a). もの を 用 い た.. 全 身 状 態:口 喝 が まず 現 わ れ るが 大 体. 4週 頃 か ら は つ き りし て 来 る,そ. して 同 じ頃. か ら 犬 は 稍 落 着 き を な く して 米 た よ うで あ る. ii) mg/dlに. 血 中Cl.. (Rusznyak)注. .57. 比 し て 注 射 後 の 値 は 一 様 に 少 し く増. 加 し て い る が 最 高 値 は2週 で あ り,最 つ て,そ. 射 前 は439. 低 値 は16週. の 差 は10.44〜0. の450.01mg/dl. の440.12mg/d1で .55mg/dlで. ら 殆 ん ど 本 法 の 実 験 誤 差 の 範 囲(2%以 と 云 う こ と が 出 来 る(第3表). .. あ あ るか 内).
(3) 前 立 腺 肥 大 症 と腎 機 能 に 関 す る実 験 的 研 究. 第3表. 1301. る が 最 高0.249mg/dl(6週),最 mg/dl(2週)で. 低0.225. い ず れ も 正 常 域 で あ る.. 以 上 を 一 括 す る と第6表. に 示 す 通 りで あ つ. 第6表. て そ れ ぞ れ 注 射 前 値 を1と 線 で 示 す と第7表. して 増 減 を 比 率 曲. の ご と く1を. 中心 と して. 第7表 iii). 血 中Ur..(van. 検 査 はUrと. と も に,都. Slyke‑Cullen)こ 合 で14週. の. ま で の経. 過 しか 追 究 出 来 な か つ た が い ず れ も 変 動 の 判 定 に 支 障 は な い も の と 考 え る.注 11.98mg/dlに. 対 し てClと. 射 前 の. 反対 に一 様 に 僅か. な 減少 を 示 し て い る が そ の 最 も甚 だ し い もの で も2週. の11.06mg/dlで. あ つ て,有. 意 の も. の とは 云 え な い(第4表).. 第4表. 0.9〜1.05以. 内 に 固 定 し て い る.要. す るに重. 大 な 永 続 性 変 化 は 全 く 見 当 ら な い し,全 iv). 血 中Ur:. 数値. は 正 常 域 を 示 し て い る.. (Folin‑Denis‑Wu)第5表. e). 第5表. 水. 試. 験:. 注 射 前 の 水 試 験 成 績 は 第8表 比 重1.015, 100%排. 8時. の 如 く飲 水 前. に 微 温 湯300ccを. 泄 時 間 は2.5時. 間,こ. 目 に 最 低 比 重 を 示 し1.002で. 飲 ませ. の 間1.5時 あ つ た.稀. 間 釈 お. よ び 水 分 排 泄 試 験 を 終 つ た と こ ろ で 味 パ ン2 個 を 与 え(以 に 示 す ご と く 注 射 前 値 は0.245mg/dlで. あ. 6.5時. 下 同 じ)引. 続 き濃縮 試 験 に入 り. 間 で 最 高 比 重1.022に. 達 し て 固 定 す る,.
(4) 130. 大. 従 つ て 比 重 差 は20で る.こ. 藤. 重. あ. 第8表. れ は完全 に 正常 の. 腎 機 能 を 示 す.以 後2週. は 第9表. 下 注射 の 如 く飲. 永 前 比 重1.017,最. 高. 比 重1.025,最 1.002,比. 低 比 重. 重 差23 .4週. は. 飲 水 前 比 重1.016,最 比 重1.028,最. 高. 低 比 重. 1.002,比 10表).. 重 差26(第 6週. 重1.016,最. は 飲 水前 比 高 比 重1.025,. 最 低 比 重1.002,比 23(第11表). 重差. . 8週 は 飲. 水 前 比 重1.017,最 1.026,最. 第9表. 高比. 低 比 重1.002,. 比 重 差24(第12表).. 12. 週 も 飲 水 前 比 重,最. 高. お よ び 最 低 比 重,比. 重. 差 は8週. 道. と全 然 同 じ成 績. で あ る(第13表).. 14週. は 飲 水 前 比 重1.016,最 高 比 重1.026,最 1.002,比 14表).. 低 比重. 重 差 は24(第 16週. は飲 水 前. 比 重1.018,最. 高 比 重. 1.028,最. 低 比 重1.002,. 比 重 差26(第15表)で あ つ て注射 前か ら注 射全 期 間 を 通 じ て(第8〜15. 表)全. 部 健 常 な 腎 機 能 を 示 して い る.こ れ を. 状 態 に あ る.す な わ ち 犬 の 正 常 前 立 腺 浸 出 液. 纏 め 同 時 に 尿 所 見 と全 身 所 見 を 現 わ した も. を16週. の が 第16表. 碍 を 与え な い と云 う こ とに な る.な お 本 例 実. で あ る が,見. 排 泄 時 間 は2.5〜4.5時 能 は 正常.稀. られ る通 り100%. 間で あ つ て水分 排 泄. 釈 能 で は 全 例 最 低 比 重 は1.002. 間連 続 注 射 し て も腎 機 能 に 何 等 の障. 験 中 学 会 出 席 の た め10週. を 示 し,濃 縮 能 に お い て 最 高 比 重で は か え つ. 2). て 注 射 開 始 前 が 最 も 低 く1.022で あ り 最 も 高. 前立 腺 は7年. い 場 合 は1.028. (4週,. っ て 比 重 差 も20(注. 16週)で. 射 前)が. あ る.従. 最 低 であつて. の検 査が 出来 なか. つ た. 犬 の 肥 大 前 立 腺 浸 出 液 注 射 例: の 犬 で 体 重12.6kgよ. り これ. を 殺 し て 直 ち に 出 来 るだ け 無 菌 的 に 前 立 腺 を 剔 出 す る.使 用 前立 腺 は 重 量12 .5g,外. 観上. 注 射 開 始 後 は い ず れ も増 加 し て い る(第17. 極 く軽 度 の 凹 凸 が あ り全 般 的 に は 弾 力 性 で 軟. 表)し,飲. い が 凸 部 は 硬 度 が や ゝ増 し て い る.色 調 そ の. 水 前 比 重(第18表)も. 略 一 定 した.
(5) 前 立 腺 肥 大 症 と腎 機 能 に 関 す る実 験 的 研 究. 他 に 著 変 は な い.組 織 所 見 は 第2図. 1303. 第10表. の 通 りで あ る.す. な わ ち 腺 組 織 の 増 殖 と ゝも に 間 質 の 増 殖 も軽 度 に 認 め られ,腺. 上 皮細 胞 は 重 層を. な し段 子 骨 形 な い しは 扁 平 で あ り,円 柱 状 上 皮 は 殆 ど な い.こ. の上 皮が 至 る とこ. ろ増殖 して多 数 腺腔 内 に脱 落 して 腺 腔 を 充 満 し て い る 所 もあ る.ま た 澱 粉 様 小 体 を 有 す る 腺 腔 も所 々 に あ り, これ を 容 れ た 腺 腔 で は 上 皮 細胞は圧 迫 萎縮 を 示 して い る.間 質 に は 軽 度 の 浮 腫 が 認 め られ るが 細 胞 浸 潤 は 殆 ど見 られ な い.づ. 第11表. ま り中等. 度 混合 性 肥 大 と 云 う べ き で あ る(第2図).こ. の程. 度 の 前 立 腺 肥 大 を有 す る 場 合,そ. の犬 の腎 に 実 質的. 変 化 が あ る もの か ど うか は 人体 で は 実 際 問 題 と して 検 査 不 可 能 の こ とで あ る の で 前立 腺 剔 出 と同 時 に 両 腎 も 摘 出 して 検 索 して 見 た.両 腎 と もに 外 観,割. 面 お よび. 腎 血 管 等 に 異 常 を 認 め ず, 右 腎 は6*3.8*2.7cm, 重 量36.5g,左. 腎 は5.8. 4.1*3.2cm,重. 量38gで. あ っ た .左. 標 本 を 作 製 し て 組 織 像 を 見 る と第3図. 腎か ら に 示す. ご と く上 皮 細 胞 の 蛋 白 様 変 性 が 主 と して 細 尿 管 主 部 に 見 られ,か. つ小 腔 泡性 分離 が 認 め ら. 試獣 の体 兎 重は10.1kgで. あ つ て,注. 射 は14. 週 周 続 け た. 本 例 は第1編. に も附 記 した 水 試 験 失 敗 例 で. あ る.し た が つ て 水 試 験 は10週. で 打 切 つて. れ る.管 腔 中 に は 蛋 白 様 物 質 が 見 られ る等,. し ま つ た,し か し血 液 成 分 其 他 の 検 査 は14週. 高 度 とは 云 え な い ま で も明 ら か にNephrose. まで 続 行 した.犬. の 状態 を 呈 し て い る こ とを 発 見 した .こ の1. あ る の で 一 応 そ の 成 績 を 記 載 す る こ とに した.. 例 だ け で 決 定 す る こ と は 危 険 で あ るけ れ ど も. a). 全 身状 態. の 肥 大 前立 腺 が 入 手 困 難 で. 8週 よ り稍 々 落 付 き を な く. 人 体 に お い て も前 立 腺 肥 大 症 患 者 で 腎 機 能 不. し て き た 様 で,こ. 全 を 起 し て い る者 に あ つ て は 少 く も上 記 の 腎. した 感 が あ つ た ほ か,同. 組 織 像 に 相 当 す る位 の 変 化 は あ る もの と考 え. 見 ら れ る よ うに な つ た.本. るべ きで あ ろ う.. 射 を 続 行 して も犬 は 水 を 特 別 欲 しが ら な い こ. れ は10週. 頃に 少 し く増強. じ頃 か ら幾 分 瘰 痩 が 例 で特 異 な点 は注.
(6) 1304. 大. 藤. とで あ る.す な わ ち 口 喝 は. まで は増 減 を繰. 返 した が8週 向 い10週. 道. 第12表. 一 向 に現 わ れ て来 なか つた . 体 重 は6週. 重. 以後 は減 少に. で は0.79kgの. 減. 少 で あ つ た(第19表).し か し全 身 状 態 と して は 未 だ 決定 的 な変 化 は現 われ てい な い.(第27表 b). 参 照). 血 中 成 分 測 定:第20. 表 に 一 括 す る.注 射 前 値 は い ず れ も 正 常 で あ つ た. i). 血 中Rest‑N注. 射. 前 は25.18mg%で. 正常で. あ るが注 射 開始後 は 規則 正 し い 漸 増 を 示 し て14週 は29.00mg%に な お10週. で. 第13表. 達 し た. で は28.84mg%. を 示 し た(第21表). ii). 血 中Cl.注. 射 前値. は317.25mg/dlで 10週. あ るが. で は458.13mg/dl,. 週 は463.14mg/dlで. 14 あ つ て,. Clも 階 段 状 の 漸 増 を 示 す (第22表). iii). 血 中Ur:正. は8.50mg/dlで. 常 値. あ るに対 し. て 矢 張 り規 則 正 し く漸 増 し て14週. は11.37mg/dlに. 達 す る.(第23表) iv). 血 中Ur:こ. れ も緩. 徐 な が ら漸 増 し て 注 射 前 値 0.212mg/dlに. 対 し て14週. は0.273mg/dlに. 例 と云 うべ き もの で あ る.こ の 様 な 例 は 割 に 遭 遇 す る もの で あ つ て,そ れ が 明 らか に 試 獣. 達 す る.(第24表) 以 上 の 注 射 前 値 を1と 線 を 取 つ て 見 る と 第25表. して 増 減 率 を 以 て 曲 の ご と くUrの2. の 個 有 性 に よ る もの と考 え られ る場 合 も あ る が 時 に は 判然 と した 解 釈 の つ き か ね る こ と. 週 を 除 い た 外 は い ず れ も殆 ど均 等 な 逓 増 を 示. も少 くな い.こ. し て い て 最 終 の14週. 第26表. 値 は総 て正 常 域 を 越 え. た 明 らか な 増 加 を 呈 し て い る.. c). 水 試 験:先. に も述 べ た 様 に 本 例 は 失 敗. の 例 の 場 合,注. 射前成績 も. に 掲 げ て あ る の は 予 め3回. 施 行 して. ど うに か 恰 好 の つ い た と思 わ れ る第3回. 目の. 成 績 で あ る.今 に して 思 え ば この 犬 は 始 め か.
(7) 前立 腺肥大症 と腎機能に関す る実験的研究 ら試 獣 と し て 不 適 な もの で. 1305. 第14表. あ つ た.す で に 予 行 試 験 の 2回 と も100%排. 泄 まで に. 7.5時 間 と10時 間 と云 う時 間 を 要 して い る.し か も毎 回の採 取 尿量 は少 量宛 であ つ て100%の. 排 泄 量 に達 す. る頃 に は 排 尿 量 は 僅 少 とな つ て 比 重 は 非 常 に 高 くな つ て い るの で あ る.と 第3回. ころが. 目に は記 載 の成 績 を. 示 し.犬 も次 第 に 検 査 に 馴 れ て来 る だ ろ う と考 え ら れ た し,こ の 犬 が 温 順 で あ つ て体 重 そ の 他 試 獣 と し て 捨 て難 い もの で あ つ た. 第27表. に10週. 点 を 示 し た が,2週 100%の. 以後は. 排 泄 量 に達 す る こ. とは な く,わ 10時. 第15表. まで の 要. ず か に4週. に. 間 で や つ と230ccの. 排 出 を 見 た が9時 血 尿 とな り,か. 間頃 よ り つ 毎時 間 の. 排 尿 量 は4〜8ccと. 云 つた. 有 様 とな っ て300ccに. は程. 遠 く,比. 示 し. 重 も1.030を. て い た の で こ ゝ で 中 止 し た. 他 の週 も殆 ど 同 様 の 経 過 で あ つ て8時. 間 あ る い は9時. 間 で98〜155.5ccま. で の. 排 尿 量 が や つ と で あ つ た. しか も こ の 頃 に は比 重 も 1.025〜1.036と た ゞ6週. 云 う高 値 を 示 す の で あ る.. だけ は 飲水 後 尿比 重は漸 次 低 下 の一. 途 を た ど つ て9時 ccで. し か も9時. あ つ て,. 2時. 間 毎 の 集 尿 で10cc余. 最 低で と 云 う状. 態 に な り な が ら も 比 重 は 低 下 す る ば か りで あ つ た .飲 1.018で. 水 前 比 重 も 注 射 前1.020,. こ の 辺 ま で は 正 常 に 近 か つ た が,. 週 は1.025, 1.030と. 2週. 6週1.031,. 8週1.035,. 目 4. 10週. 常 時 高 比 重 尿 を 示 す に 至 つ た.し. 泄 に達. した こ とは な く最 高 比 重 も比 重 固 定 時 間 も は つ き り した も の は 掴 め ず,僅 か に 最 低 比 重 だ. 間 の 排 尿 量 は 僅 か に147.6 間 目 の 比 重 が1.006で. が つ て本 例 で は 注 射 開 始 後 は100%排. た. け が 稍 々 把 握 出 来 易 い 状 態 で あ つ た が,こ. れ. と て も 正 確 な もの とは 云 い 得 な い場 合 が 多 か つ た. 尿 所 見 が ま た 特 異 で あ つ て,注. 射 前 は 勿 論,. 各 週 と も飲 水 前 尿 は 淡 黄 ま た は 琥 珀 黄 色 で 清 澄 で あ つ た が,性 両 性,弱. は 弱 酸 性,酸. 性,中. 性,. 塩 基 性 で 一 定 せ ず しか も常 に 沈 渣 中.
(8) 1306. 大. 藤. 重. 道. 第16表. 第19表. 第17表. 第20表. 第18表. 前 立 腺 は11年 に 精 子 の 相 当数 を 認 め た(第6週 らな か つ た).. の みは 見 当. このた めか 蛋 白 も痕 跡 あ るい. て 剔 出 す る.外. で 体 重14.4kgの. 犬 を殺し. 観 的 に は 栗 実 状 で 表 面 不 平,. 硬 度 は 稍 々 弾 鞏 で あ り,鞏 硬 な 扁 豆 大 まで の. は 弱 陽 性 を 示 し,赤 血 球 と白血 球 も また 僅 少. 結 節 を 多 数 触 知 す る,色 調 其 他 に 著 変 な く,. が 認 め られ た.. 両 葉 も均 等 で 発 育 良 好 で あ る.組 織 所 見 は第. 3). 犬 の肥大前立腺浸出液注射例. 4図 に 示 す が 腺 組 織 は 異 常 に 増 殖 し,た め に.
(9) 前 立 腺 肥 大 症 と腎 機 能 に 関 す る実 験 的 研 究. 第21表. 1307. 間 質 は 狭 少 とな り筋 組 織 は 萎 縮 性 で あ る.腺 上 皮 は 主 と して 骰 子 形 で あ つ て 不 規 則 に 著 明 増 殖 し,乳 嘴 状 を 呈 す る もの も多 数 あ り,胞 体 の 境 界 は 不 鮮 明 の もの が 多 く腺 腔 は これ ら上 皮 の 脱 落 が 無 数 に 認 め られ る.澱 粉 様 小 体 は 少 し く認 め る だ け で あ つ て,間 浸 潤 は 極 く僅 か で あ る.す. 質 の円形 細 胞. なわ ち 高度 の腺 腫. 様 腺 管 性 肥 大 像 で あ る.重. 量 は17.5gで. あ. つ た. 試 獣 は 体 重10.7kgの. 第22表. も の を 用 い,. 16週. 間 注 射 を 継 続 し た. a). 全 身 状 態:. 2週 間 目 よ り口 喝 が 見 ら れ,. 次 第 に 増 強 す る と共 に3週. 頃 よ り落 着 きを な. く し て 不 機 嫌 に な り10週. 頃 か ら不 安 状 態. を 呈 し,い. ず れ も次 第 に 亢 進 し12週 頃 よ り. 不 安 状 態 に 加 え て無 気 力 性 とな つ て衰 弱 を 示 し た.食. 慾 は9週. 頃 か ら 減 退 し て 終 り頃 に は. 顕 著 な 食 慾 不 振 を 示 し た.さ. ら に11週. の半. ば 頃 か ら後 肢 に 浮 腫 が 現 わ れ 漸 次 著 明 に な つ た が 前 肢 に は 認 め ら れ な か つ た.体. 重はか な. り 急 速 に 減 少 し て16週 で は7.0kgと. な つ て,. こ れ は 注 射 前 に 比 し て 実 に3.7kgの. 減 少で. あ る(第28表), b). (第46表. 参 照).. 血 中 成 分 測 定: i) 血 中Rest‑N注. 射 前 値 は16.01mg%. で あ つ た も の が 逓 増 し て16週. は33.08mg%. と な つ た(第29表). ii) 血 中Cl注. 第23表. 射 前 は253.22mg/dlで. あ つ た が 急 速 に 増 加 し て 最 終 値 は551.37 mg/dlに. ま で 増 加 し た(第30表).. iii). 血 中Ur:Urだ. け が2週. で 少許 減. 少 を 示 す が 直 ち に 漸 増 し て 注 射 前8.25mg/dl の も の が16週. に は16.62mg/dlと. なつ た. (第31表). iv). 第24表. 血 中Ur注. 射 前 に0.200mg/dl. で あ つ た も の が 急 激 な 増 加 を 伴 つ て16週 は 実 にO.741mg/dlに Rest‑N,. Cl. Urお. 示 す れ ば 第33表 各 注 射 前 値 を1と. 達 し た(第32表). よ びUrの. 全経過 を 実 数 で表. の と お り で あ る.こ. れ等の. して そ れ ぞ れ の 増 減 比 率 を. 曲 線 で 示 す と 第34表 倍 に 達 す るUrの. に. の ご と く急 増 し て3.7. 増 加 率 は め ざ ま しい もの が.
(10) 1308. 大. 第25表. 藤. 重. 道. あ る.そ. の 他Rest‑N,. Cl, Urも. と もに急 激 に 増. 加 して を り いず れ も注射 前 に 対 し て2倍. 以 上 の増 加 で. あ る. c). 水 試 験:. 型 の ご と く注 射 前 試 験 か ら記 載 す る と,第35表. の. ご と く飲 水 前 比 重10.20, 8時35分. 水300ccを. 飲 ませ. 排 泄 能 は 順 調 で あ つ て2.5 時 間 で 最 低 比 重1.003に. 達. し以後 順 次 比重 は上 昇 を示 す. 100%排. 泄 は4.5時. に し て303ccと. 間. な り,こ. ゞ. で 味 パ ン2個 を 与 え る(以 下 同 じ). 7.5時 間 で 最 高 比 重1.027に. 固 定 す る.此. 重. 差 は 従 つ て24で あ つ て 全 く 健 常 な 腎 機 能 を 示 した.注 射 後2週. は 第36表. に 示す. よ うに 飲 水 前 比 重 お よ び 最 低 比 重 は注 射 前に 同 じで あ り, 100%排. 泄 時 間 は5時. 間 を 要 した が 別 に 有 義 の も の と考 え られ る点 は な か つ た.た. ゞ し8時 間 で 固 定 し. た 最 高 比 重 は1.022で. 第26表. 差 は19と. 比重. な り既 に 低 下 が. 見 ら れ た.と. ころ が4週. と. な る と飲 水 前 比 重 も1.015 を 示 し最 低 比 重 は1.002で あ つ た が 最 高 比 重 が1.O19, 比 重 差17と 37表),. 更 に 低 下 し第. 6週 で は 飲 水 前 比. 重 が1.010,. 最高 比 重で も. 1.018で あ つ て 明 らか な 常 在 性 稀 薄 尿 症 と濃 縮 能 の 低 下 が 現 わ れ て 来 た(第38 表),こ の 傾 向 は 以 後 益 々 顕 著 とな つ て8週 で は 第39表 の よ うに 飲 水 前 比 重1,008,.
(11) 前立腺肥大症 と腎機 能に関する実験的研究. 1309. 第27表. 第28表. 第30表. 第29表. 最 高 比 重1.015,最 と な る.し. 低 比 重1.003,. 比 重 差 は12. か も水 分 排 泄 能 と 稀 釈 能 に 関 し て. は さ し た る 変 化 を 見 な い の で あ る. 10週 は 飲 水 前 比 重1.008, (第40表)で 第41表. 最 高 比 重1.012, あ る.. と 第42表. 比 重1.006,. 12週,. 14週. 比 重 差10 はそ れぞ れ. に 見 られ る よ うに 飲 水 前. 最 高 比 重1.010と. な り,比. 重 差.
(12) 1310. 大. 第32表. 第33表. で 低 下 し て 来 て,. が 更 に1.009に. 16週. で は最 高 比 重. な つ た(第43表).. こ れ を 要 す る に16週. ま で の 経 過 の うち 著. 明 な 変 化 が 見 られ る が そ れ は い ず れ も 濃 縮 能 に 関 す る点 に 限 られ て い る こ と で あ る.つ ま り飲 水 前 比 重(第44表)と 下,従. 重. 道. 第34表. 第31表. は8ま. 藤. つ て 比 重 差(第45表)の. 最 高 比 重 の低 減 少 と云 う こ. とで あ つ て 両 表 に 明 らか で あ る.本 例 の 水 試 験 成 績 の 要 点 を 一 括 し,そ れ に 体 重,尿 所 見 お よ び 全 身所 見 を 附 加 した の が 第46表. で あ る..
(13) 前立腺肥大症 と腎機能に関す る実験的研究 第35表. 1311 尿 所 見(第46表. 参 照)は. 全 部 酸 性 で 清 澄,淡. 黄色 で. あつ たが 導尿 の機 械 的原 因 と思 わ れ る 赤 血 球,白. 血球. の 少 数 が 注 射 開 始 前 か ら見 られ,上. 皮 細 胞 も少 し 混 じ. て い て,注 後2週. 射 開 始 前 と注 射. までは蛋 白の 痕跡陽. 性 を 呈 し た.カ. テ テ リザ チ. オ ン に 別 に 困 難 も特 殊 性 も 感 じなか つた が 本例 は 全検 査 に 赤 血 球 の 僅 少 が あ り, 白血 球 も上 皮 細 胞 も また 僅 か な が ら見 ら れ た.尿 は8週. 蛋白. に 再び 痕跡 証明 され. た が そ の 後 消 失 し, 14週. 第36表. で は 弱 陽 性 とな り16週 は 明 らか な 陽 性 とな つ た.し か し円 柱 は つ い に 発 見 さ れ な か つ た.. Ⅳ 総括な らびに考按 度 々 引 用 し た がMus sgnugの 業 蹟 は 前 立 腺 浸 出 液 の 長 期 連 続 投 与 に よつ て 惹 起 さ れ る腎 とそ し て肝 の 組織 所 見に 重点 が おか れ て い る.し た が つ て 水 試 験 に お い て も ま た 血 中Rest‑N,. 第37表. 血 圧 な ど も必 ず し も定 期 的 に 追 究 し て い な い.し か し な が らそ の 時 々 の検 査 成 績 と最 後 に 試 獣 の 腎 お よび 肝 に 見 ら れ る組 織 学 的 変 化 に よつ て わ た く しの この 犬 の 前 立 腺 使 用 例 に も大 い に 役 立 つ て い る. 犬 の正常 前 立腺 浸 出液使 用 例(第1例)は. これ を16. 週 間 連 続 注 射 し て も全 身 状 態 に ほ とん ど異 常 を 来 さず.
(14) 1312. 大. 第38表. 藤. 重. 道. 血 中 Rest‑N, びUrに. Cl, Urお. よ. つ いて もま た は 水. 試 験 や 尿 所 見 に お い て も何 等 認 む べ き影 響 を与えな い に 拘 わ ら ず,中 等 度 混 合 性 肥 大 前 立 腺 浸 出液 を 用 い た 第2例. で は す でに血 中. Rest‑N,. Cl, Ur,. Urに. そ. れ ぞ れ体 内蓄 積 を来 す こ と が 判 つ た し,第3例. の ごと. く明 ら か な 肥 大 を 示 した 前 立 腺 浸 出 液 を もつ て す れ ば 血 中 成 分 は 勿 論,全. 身的 に. も深 刻 な 影 響 が あ り,水 試. 第39表. 験 に お い て も著 明 な濃 縮 能 障 碍 が 惹 起 さ れ た.第2例 の水試 験 は試 獣 選択 の 失敗 と し か 考 え られ な い が, Mussgnugに. も1例. これ に. 似 通 つ た 報 告 が あ る.す な わ ち体 重26.3kgの. 犬 を用. い て 注 射 前 は 全 く健 常 な 水 試 験 成 績 を 示 し た が, 5cc 宛 の 浸 出 液 を 毎 日皮 下 注 射 して 丁 度3週. 間 目 の検 査で. 尿 比 重 が 最 初 の1時 1.033を. 第40表. 間か ら. 示 し これ を 最 低 と. して 毎 時 間 の 比 重 が1.037 ま で の 間 に 固 定 した ま ゝで あ つ た が 排 泄 能 は3時 100%に る.こ. 間で. 達 して い る の で あ の時 期 では 後 肢 に軽. 度 の 浮 腫 が あ り,血 圧 も始 め95mmHgで が145mmHgと. あ つ た もの なつ てお り. ,全 身 状 態 もひ ど く犯 され て い た.こ. れ が 更 に1ケ. 月. 間 注 射 が 続 け られ た 後 で は 1時 間 排 尿 量 の 最 高 が10.6 ccと. い う甚 だ し い 減 尿 症. を示 す と共 に最 高 比 重 は.
(15) 前立腺肥大症 と腎機能に関す る実験的研究. 表41第. 1313. な 状 態 を 呈 す る こ とが あ る の は 理 論 的 に は 判 らな い こ とで は な い に し て も珍 ら し い 例 に 属 す る と云 つ て い る の は 解 釈 に 苦 しむ.面. 白い. こ とは わ た くし の 例 と高 比 重,尿. 量減 少 の点 で一 致 し. て い る こ とで,若. しわ た く. しの場 合 が 犬 の 個 体 性 に 原 因 す る も の で あ れ ば, Mussgnugの. 実 験 例 も時 に. 途 中 で こ う した 経 過 を 示 す か ど うか は 犬 に よ る と考 え. 第42表. ら れ な い で もな い こ とに な るが 同 氏 の解 釈 で は は つ き り と した 説 明 を つ け て い る よ うで あ る. 以上 の実 験 の後 に試 獣 の 腎 を 剔 出 し て フ ォル マ リン 固 定 後 組 織 学 的 に 検 索 して 次 の 所 見 を 得 て い る.す な わ ち 細 尿 管 上 皮 の蛋 白 性 溷 濁,細. 尿管 主部 上 皮の. Bilirubin沈. 着,乳. 頭間質. の少 量 の石 灰 沈 着 お よ び Bowman氏. 第43表. あ り,肝. 嚢 の拡 張 で に は 殆 ど見 る べ. き変化 が な い と云 う こ と で あ る(Mussbnug). Prostatikerの. なお. 腎 機 能 障碍. が 単 な る腎 負 担 軽 減 を は か る 目的 で1週 間 以 上 に わ た る留 置 カ テ ー テ ル に よつ て も改 善 され な い も の が1回 あ るいは 数 回の 輸血 で非 常 に 良 くな る こ とは 多 数 の 例 で 経 験 され る こ とで あ るが Prostatikerの 1.011に 低 下 して い た.こ. の頃 の 犬 の全 身状. 態 は 全 く死 に 瀕 して い て3日. 腎機能不全. は 亢 進 した 緊張性 貧血 性 素 質 が 根 底 に あ つ. 後 に 殺 して そ の. て,こ れ に 対 し て 輸 血 が 腎 血 管 痙 攣 に 緩 和. 腎,肝 の 組 織 学 的 検 査 が な さ れ て い る.前 立. 性 に働 くた め で あ る と云 う.事 実 犬 に 注 射 さ. 腺 浸 出液 注 射 に よつ て そ の 経 過 中 に この よ う. れた前立腺浸出液(こ の場 合犬の前立 腺)が.
(16) 1314. 大. 藤. 重. 道. 腎 機 能不 全 を起 す 最初 の 侵 襲点 は血 管 で あ る. 第44表. こ と も実 験 的 に 証 明 さ れ て い て 腎 血 管 緊 張 は haemorrhagische る.そ. Schockで. あ る と云 つ て い. し て こ の 腎 血 管 の 緊 張 は 中 毒 性 の もの. で あ つ て こ れ こそ 動 物 実 験 に お け る 腎 障 碍 の 唯 一 根 本 的 原 因 で あ る と 云 う(Mussgnug). またChabanier45) は 機 械 的 原 因 な しに 起 る無 尿 の 際 に そ の 腎 組 織 に は い つ も次 の 変 化 を 認 め て い る. 1) 潤.. 淋 巴球 あ る い は 多 核 細 胞 の 浸. 2) 上 皮 の 溷 濁 腫 脹(時. に 変 性 を 示 す). を 伴 つ た 細 尿 管 障 碍 お よ び 円 柱 形 成 で あ り, さ らにStrauβ46)に. 第45表. よつ て 前 立 腺 肥 大 症 の 際. に は 細 尿 管 障 碍 な らび に 糸 毬 体 変 性 が 見 られ る こ とが 確 認 さ れ て い て,こ. のProstatiker. の 腎 と実 験 使 用 犬 の 腎 に 見 ら れ る著 明 な 細 尿 管 性 障 碍 は 完 全 に 一 致 し,こ の 変 性 的 な 細 尿 管 障 碍 は 永 続 す る腎 血 管 痙 攣 の 結 果 必 然 的 に 見 られ る もの で あ り,こ れ 等 の 一 致 が 両 者 の臨牀 症状 の共 通 性 を 現 わす こ と に な る と Mussgnugは 昇 もprimar. 結 論 し,さ vascularの. と解 釈 し て い る.. 第46表. らに試 獣 の血圧 上 腎 障 碍 のた め で あ る.
(17) 前立腺肥大症 と腎機能に関す る実験的研究 第47表. 1315. 実 際 前 立 腺 肥 大 症 の 場 合 に は 肥 大 した 前 立 腺 に よ る尿 潴 溜,感. 染 と さ らに 前 立 腺 毒 素 と. が 腎 障 碍 の原 因 で あ り,こ れ ら3つ の 原 因 は 相 互 に 密接 な 関係 が あつ て重 篤 な腎 不全 を 呈 す るので あ る. 殆 ど大 多 数 で は3要. 素は 揃 つ. て 認 め ら れ るが,し か し重 篤 な感 染 が な く, また 上部 尿管 お よび腎盂 に拡 張 が 証明 出来 な い か,あ. る い は 僅 か の 拡 張 しか な い 場 合 に も. 腎 障 碍 が 見 られ る こ とが あ る,こ れ は 肥 大 前 立 腺 の 毒 素 だ け で も腎 疾 患 を 起 し得 る こ とを 示 す もの で,研. 究 の 結 果 は 腎 お よび 上 部 尿 路. に 対 す る 中 毒 性 障 碍 が 腎 疾 患 を 惹 起 す る最 も 重 要 な 要 素 で あ つ て,こ の 下 地 の あ る と ころ へ 感 染 と尿 潴 溜 が 加 わ つ て 来 る と云 う見 解 が 有 力 で あ る.つ. ま り 毒 素 の 作 用 に よつ て 腎. 血 管 の 痙 攣 が 起 り,つ い に は 腎 実 質 に 及 ん で 腎 機 能 の 停 止 に ま で 到 る の で あ る が,こ 果 尿 管 お よ び 腎 盂 の 壁 にtoxische あ る い はAtonieが. の結. Hypotonie. 起 り これ は 弛 緩 性 拡 張 を. 伴 うに 到 つ て 宿 命 の 残 尿 が 上 部 尿 路 に 現 わ れ て 来 る(Mussgnug).こ. の 残 尿 は 非 常 に感 染. し 易 くな つ て い る の で 尿 の 逆 流 を 一 層 起 し易. 第48表. く し,前 立 腺 毒 素 も ま た 細 菌 毒 素 に よ つ て強 力 とな つ て来 る.か. くてCircum. 起 る と考 え られ る. Mussgnugも. vitiosusが 概 ね この 様. に 推 察 して い る. この 解 釈 を 以 て す れ ば わ た く しの 人 の 前 立 腺(第1編)お. よび 犬 の 前 立 腺 を 使 用 した 本. 編 の 実 験 結 果 は 明 快 な 解 答 が 与 え られ る こ と に な る し,ま た わ た くし の実 験 の 腎 組 織 所 見 (第1編)か. ら し て も明 らか に 一 致 し て い るの. で あ る. こ ゝで 第1編. と第2編. を 総 合 的 に 見 て,最. も顕 著 な 影 響 の 現 わ れ る飲 水 前 比 重 と比 重 差 お よ び 体 重 に つ い て,人. と犬 の 前立 腺 浸 出液. 使 用 例 の 関 係 を 検 討 し て 見 る と,注 射 前 の 値 を そ れ ぞ れ1と. し て増 減 率 で 曲 線 を 比 較 した. の で あ るが 体 重 に つ い て は 第47表. の ご とく. 正 常 前 立 腺 使 用 例 は 一 応 除 外 して 最 も甚 だ し い減 少 を 示 す の は 人 の 高 度 腺 性 肥 大 前 立 腺 使 用 例(第1編. 第4例)で. 腺 性 肥 大 例(第2編. あ り,次 で 犬 の 高 度. 第3例),人. の 混合 性肥.
(18) 1316. 大. 藤. 第49表. 重. 道. き り した 影 響 の 差 異 は 認 め ら れ な い. この 第2編. に お い て使 用 した 犬 の 前 立 腺 は. 総 て 犬 を 殺 して か ら直 ち に 剔 出 した も の で あ るか ら,前 立 腺 の 全 組 織(内 もの)を. ・外 腺 を 含 んだ. 使 用 した こ とに な る.し か して 上 記. の 実 験 成 績 よ り判 断 す る と人 間 の 肥 大 前 立 線 が 内 腺 だ け を 用 い た 結 果 と差 異 を 認 め 得 な い と云 う こ とが 判 り,第1編. に お い て た とえ 全. 前 立 腺 組 織 を 用 い て も殆 ど結 果 は 変 ら な い の で は な か ろ うか と云 う こ とが 推 測 さ れ るの で ある. V 1.. 結. 論. 犬 を 試 獣 と し て これ に 犬 の 正 常 前立 腺,. 中等 度 混合性 肥 大前 立 腺 お よび高 度腺 性 肥 大 前 立 腺 よ りそ れ ぞ れ 浸 出 液 を 作 つ て14〜16 週 間 毎 日連 続 皮 下 注 射 を続 け,そ. の結 果 を 次. の 項 目に 従 つ て 検 討 し た . 2.. 正 常 前 立 腺 浸 出 液 使 用 例 で は 全 身 状 態,. 血 中Rest‑N, 大 例(第1編 が10週 (第2編. 第3例),そ. の 次が 表 に は 無 い. 値 で 比 べ て 犬 の 中等 度 混 合 性 肥 大 例 第2例)と. な るが,そ. の後 の変 化が. 調 べ て な い の で これ は 確 言 出 来 な い.最. も減. Cl, Urお よ びUrな. らび に 水. 試験および尿所見において重大な永続性 の変 化は全然見 られなかつた. 3.. 中等度混合性肥大前立腺浸出液使用例. では水試験は失敗 して結果が出せないが その. 少 度 の 少 い の は 人 の 軽 度 腺 性 肥 大 例(第1編. 10週 ま で の経 過 で は 体 重 の 減 少(約7.8%減. 第2例)で. が 見 られ た.水. あ る.し か もそ れ 等 相 互 の 間 に は. 個 体 的 な もの で あ る と考 え ら れ,こ. 確 然 と した 程 度 の 差 が 認 め ら れ る. 飲 水 前比 重 に お い て も第48表. の ご と く体. 重 とほ ゞ一 致 した 順 位 の 変 化 を 示 し て い る. 比 重 差 で は16週. で は 上記 と同 様 の 結 果 で. あ るが 各 週 の経 過 に 前2者 認 め られ る(第49表).. とは 非 常 な 差 異 が. (第48,. 49表 に も犬. の 中 等 度 混合 性 肥 大 前 立 腺 使 用 例(第2編 2例)は. 試 験 の 失 敗 は お そ ら く試 獣 の.. 第. 水 試 験 で 判 然 と した 成 績 を 得 て い な. い の で 除 外 した). これ を 要 す る に 人 の 前 立 腺 で も犬 の 前 立 腺. の犬 は 尿. 中 に 殆 ど常 に 精 子 を 発 見 し た. 4.. 第2例. で14週. で は 血 中Rest‑N,. 間 注 射 を 続 け た と ころ Cl, Urお. よ びUrは. れ も規 則 正 し い漸 増 が 見 られ,こ. いず. れ等 の最終. 値 は 正 常 域 を 越 え た もの で あ つ た. 5.. 高 度 の腺性 肥 大 前立 腺 浸 出 液 使 用 例. (第3例)で. は全 身状態 で は 口喝 が まず現 わ. れ て 次 第 に 増 強 し落 着 き を 失 つ て くるが これ が 漸 次 不 安 さ ら に 無 気 力 状 態 を 呈 して き て,. で もそ の 肥 大 の 程 度 が 試 獣 に 与 え る 影 響 を 決. 11週 の 半 ば 頃 か ら後 肢 に 浮 腫 が 見 ら れ , 16週. 定 す る と断 言 出 来 る.け れ ど も組 織 所 見 に よ. で は ま す ます 高 度 とな つ で 来 た .. る肥 大 程 度 の 違 い は 比 較 的 の 問 題 に 属 す る 事 柄 で あ るか ら 明 確 な 限 界 は つ け ら れ な い こ と になる. しか し以 上 の わ た く しの 実 験 か ら し. い て 云 え ば 人 と犬 の 前 立 腺 使 用 例 の 間 に は っ. 6.. 血 中Rest‑N,. も著 明 で あ り特 にUrの 7.. Cl, Urお よ びUrの 逓 増 増 加 が 目立つ た .. 水 試 験 に お い て も明 瞭 な 濃 縮 能 の 障 碍. が 起 つ て 来 た..
(19) 前 立 腺 肥 大 症 と腎 機 能 に 関 す る実 験 的 研 究. 8.. 尿 所 見 も全 身 状 態,水. 試 験 に伴 つ た変. 化 が 現 わ れ た. 9.. 第2例. た もの で あ り,そ の 変 化 は 肥 大 前 立 腺 に 起 因 す る 中 毒 性 物 質 に よ る と解 釈 す る の が 最 も妥. に 使 用 した 中 等 度 混 合 性 肥 大 前. 立 腺 の 供 給 犬(7才)は,そ. 当 で は な い か と 考 え る.. の腎 の 組織 学 的. 検 査 に よつ て 既 に 明 らか にNephroseを. 起し. て い る こ とが 証 明 出 来 た. 10.. 1317. 稿 を終 るに 臨 み 終 始 御 懇 篤 な 御 指 導 と御 校 閲 の 労 を 賜 わ つ た 恩 師 根 岸敎 授 な ら び に 前 立 腺 入 手 に 当 り 御 指 導 御敎 示 を賜 わ つ た 田 部,浜. 以上 の実 験 成 績か ら前立 腺 肥 大 症 に. 崎 両 病 理 学敎 授 は. じめ 両 病 理 学敎 室 の 方 方に 深 甚 の 謝 意 を 表 し ま す.. 惹 起 さ れ る腎 機 能 障 碍 は 腎 実 質 の 変 化 を 伴 つ. 文 1). Casper. Lehrb.. 2). Farrell・. J.. 3). 落 合 爲 吉・. 4). Farrell. Urol.. Urol.. 39,. 4,. Aufl.. 1923.. 26). 1938.. 日 本 泌 尿 器 科 学 会 誌 . 44.昭28.. and. 118,. d.. 献. Lyman. Amer.. J.. Phisiol.. 1937.. 5). 高木. 繁:大. 阪 医 事 新 誌.. 6). Hirokowa. 7). Winkler. 8). Sergijewsky. and. ges.. Med.. Biochem. Dermatol.. 6,昭10.. Ztschr.. 19 , 1909.. Wschr,. 93,. J.. 9) 10). Barnes. J.. 71,. Urol.. Serrallach. and. Biol.. iii,. 28). 高 橋. 明:東. 京 医 学 大 観.. 39). 根 岸. 博:治. 療 学 雑 誌.. 13,昭.. 30). 稲 田. 務:診. 断 と 治 療.. 29,昭.. 31). Tandler. u.. 11). 山下義夫. 12). 泰. 13). Macht. Ztschr.. Comptes. f.. Rendus. 14). Macht. v.. Hermann. Henningsen. 15). Gudernatsch.. Matsumoto. 4,. 16). 35,. Moskowicz. Urol.. 5,. klin.. Wsch.. Kraus. Ztschr.. urol.. 34). Widrich・. Gynak.. 41,. Ztschr.. 1936. Urol.. 1936.. f.. Entwickmech.. Arch.. urol.. Chir.. u.. Gynak.. 1934.. Jasienski. Ztschr.. urol.. Chir.. u.. Gynak.. 284,. 41, 1936.. 36). 大 村 順 一:岡. 山 医 学 会 誌.. 37). Mussgnug:. Ztschr.. 38). Dannheiser. 39). Israel. Diskussion.. 40). Fucks. Ztschr,. 63年,昭.. 26.. urol.. Ztschr.. Chir.. Urol.. 43,. 26,. 1937.. 1932.. d.. 1912. Virchow's. Ztschr.. 1920.. 1920.. Arch.. Organism.. Berl.. 昭3‑4.. 19. J.. 4,. 17.. soc.. Ref.. Urol.. u.. u.. 33). 35). 京 医 学 会 誌 .. J.. 18.. d.. 1907.. 日 本 内 分 泌 学 会 誌.. and. Zuckerkandl. 3.. 1935.. Paees:. 勉 造:東. 4,昭.. 28.. 1908.. 39, IX,. 1948.. 分 泌 の つ ど い.昭.. 1931.. 1930.. 35,. 58,. 合,内. Chirr. exper.. Urol.. 阿 部 四 郎:落. 32) Bachromejew:. Corner. 27). 1932. &. Ztschr. urol.. Chir,. Urol.. 26,. u.. Gynak.. 1932.. 295, 35,. 1932.. 1935. 41) 17). Huggins. 18). 朝 原 達 雄:日. 19). &. Albarran. Webster. J.. Urol.. 59,. Helle. Ann.. d.. Mal.. u.. Rubritus. Handb.. d.. Urol.. v.. 1948. Lichtenberg.. 本 泌 尿 器 科 学 会 誌 . 34,昭18.. u.. Blum. 42) d.. Kraus:. V.. 1922.. Ztschr.. urol.. Chir.. u.. Gynak.. 40,. Org. 1935.. gen. ‑urin. Urol.. 1898. &. Lichtenberg's. Handb.. d.. 20). Ribbert・. 21). 高 木. V. Zieglers. Beit.. 61,. 43). 楢 原 憲 章.手. 44). Ellenberg. 45). Chabanier. 46). Strauβ. 術. u.. 5,昭.. 26.. Baum. Anatom.. d.. Hundes.. 1916. 1891.. 新 誌.. 繁:実. 験 医 報.第13年‑第14年,東. 京 医 事 Ztschr.. Urol.. 1930.. 2579号.. 22). 高 橋 明:皮. 膚 科 泌 尿器 科 誌 .. 23). 深 瀬 信 之. 24). 田 村 一:日. 本 泌 尿 器 科 学 会 誌 .. 19,. 25). 斎 藤 幹:日. 本 泌 尿 器 科 学 会 誌.. 23,昭.. 15. 1935.. ・日 本 泌 尿 器 病 学 会 誌 .. 15,大.. 15.. 1930. 9.. Ztschr.. urol.. Chir.. u.. Gynak.. 40,.
(20) 1318. 大. 藤. 重. 道. Dept. of Dermato‑Urology, Okayama UniversityMedical School. (Director: Prof. Dr. H. Negishi) Experimental. Studies. on. on Ⅱ. Chapter.. On. Hypertrophy. Kidney. Kidney. of Prostate. as. Function.. Function. Dog's. as well. due. to. the. Extracts. of. Prostate.. By Shigemichi. Ohto. 1. After having prepared some extracts,made respectivelyfrom a dog's normal prostate, moderately hypertrophied prostate in mixed form, as well as from highly glandular hyper trophied prostate, both of dog, injected them subcutaneously in a dog, in doses of 5‑2cc per day, occurred test, and occurred. for about 14‑16 weeks successively,and examined such as general view, changes to Rest‑N, Cl, Ur as well as Ur within blood; moreover, employing some fluid in view to urinal symptoms, has endeavoured to find out those changes that have in kidney functions.. 2. Among the casesin which extractsout of dog'snormal prostategland were admi nistered,no important perpetualchanges could be recognized. 3. In the case where extractsfrom the moderate hypertrophiedprostatein mixed form were administered, (2nd case),fluid testproved to be utter failure,submitted no results, but. probably. this may. be due. to some. individual. quality. of. test animals,. in. the. urin. of. which one couldalwaysdetectcertain spermo.However,duringten‑weeks courseallotted to thiscase,lossof body weight,(aboutminus 7.8%),together with a regulargradual increaseon the part of Rest‑N, Cl, Ur and Ur in blood, could be detected,whose final values. all have. 4. Among first such depression,. 11th week; 5. above. The. exceeded. normal. area.. cases in which highly glandular hypertrophied gland were administered,. symptoms which. as thirst, then ended. came. loss of spirit, followed. in the appearance. of edems. in the back. by. anxiety. limb. as well as. at the middle. of ,. growing higher and higher, increase. all, the. of Rest‑N,. last‑mentioned. one. Cl,. Ur. showed. and. Ur. within. a special. blood. has. also. been. clearly. seen;. increase.. 6. Moreover,in fluidtest,a clearobstruction of concentration ability couldbe seen. 7. As for urin,herealsoappearedchangesthathaveaccompanied to generalview and fluid. test.. 8. The dog which supplied the moderately hypertrophied prostate in mixed form employed in 2nd case (7 years),has been verifieddiagnosed owing to histological search of its kidney, that has given riseto a distinctNephrose.. 9. Fromtheaboveresults obtained by experiments, itisthought mostproper forus. to consider that the kidney trouble discoveredin hypertrophy of prostateis apt to be accompanied with certainpoisonouschanges of kidney parenchyma , which may be ascribed to the poisoned substancedue to hypertrophy of prostate ..
(21) 前 立 腺 肥 大 症 と腎 機 能 に 関 す る実 験 的 研 究. 大 藤. 第1図. 論 文 附 図. 第2図. 犬 正 常 前 立 腺. 第3図. 犬肥大前立腺(中 等度混合性肥大). 第4図. 中 等 度 混 合 性 前 立 腺 肥 大 を 示 した 犬 の 腎 組 織 像.軽 度 のNephroseを. 1319. 示 す.. 犬肥大前立腺(高 度腺腫様腺管性肥大).
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