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雑誌名 東京学芸大学紀要. 総合教育科学系

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特別支援教室と在籍学級の効果的な連携の構築 :  特別支援教室専門員の調整機能に注目した予備的検

著者 大橋 力也, 村山 拓

雑誌名 東京学芸大学紀要. 総合教育科学系

巻 71

ページ 261‑266

発行年 2020‑02‑28

その他の言語のタイ トル

Collaborative Partnership between the Special

Educational Resource Room Teachers and the

Regular Class Teachers : Focused on the

Cordination Function of the Special

Educational Resource Room Staffs

URL http://hdl.handle.net/2309/152427

(2)

* 1 東京都板橋区立高島第二小学校・東京学芸大学教職大学院

* 2 東京学芸大学 特別支援科学講座 特別ニーズ教育分野(184-8501 小金井市貫井北町 4-1-1)

特別支援教室と在籍学級の効果的な連携の構築

―― 特別支援教室専門員の調整機能に注目した予備的検討 ――

大 橋 力 也

* 1

・村 山   拓

* 2

特別ニーズ教育分野

(2019 年 9 月 20 日受理)

1.研究の背景・目的

1.1 問題の背景

 現在,発達障害をはじめとする特別な教育的支援を 必要とする児童・生徒への対応は学校教育にける重要 な課題であり,特別支援教育に関する施策の構築は喫 緊の課題である。平成 17 年 12 月,文部科学省は「特 別支援教育を推進するための制度の在り方について

(答申)において,「特別支援教室構想」を示し,次の ように記している。「制度として全授業時間固定式の 学級を維持するのではなく,通常の学級に在籍した上 で障害に応じた教科指導や障害に起因する困難の改 善・克服のための指導を必要な時間のみ特別の場で行 う形態(例えば「特別支援教室(仮称)」とすること について具体的な検討が必要)」との提言がなされた。

 また,『生徒指導提要』には,「学習上の不適応から 児童生徒を救うためには,『わかる授業』の推進や児 童生徒の関心意欲を引き出し主体的に学べるよう指導 上の工夫をするなど教育課程実施上の改善措置を図る ことが不可欠」と示されており,さらに「現在の学習 上の不適応原因をつぶさに分析し,一人一人の事情に 即した指導方法を打ち出して,適切な指導を行うこ と」が求められている。

 『特別支援学校学習指導要領解説自立活動編』には,

障害のある児童・生徒について「過去の失敗体験等の 積み重ねにより,自分に対する自信がもてず,行動す ることをためらいがちになることがある」ことや「課 題に取り組んでもできなかった経験などから自己に肯 定的な感情をもつことができない状態になっている場

合がある。その結果,活動が消極的になったり,自暴 自棄になったりすることがある」と示されており,同 書から「自信がもてるように励ますこと」や「得意な ことを生かして課題をやり遂げること」が指導の上で 一層重要であることが分かる。

1.2 特別支援教室と特別支援専門員

 東京都教育委員会では,通常の学級に在籍する発達 障害又は情緒障害のある児童・生徒を対象に,発達障 害教育を担当する教員が各学校を巡回し,特別な指導 を児童・生徒が在籍校で受けられるようにするものが 特別支援教室であるとの方針を示した。特別支援教室 は,東京都特別支援教育推進計画第三次実施計画(平 成 22 年 11 月)及び東京都発達障害教育推進計画(平 成 28 年 2 月)に基づいて,都内の公立小学校では,

平成 28 年度から 3 年間に亘り設置が開始され,平成 30 年度には都内の全ての公立小学校に設置された。

 平成 27 年に発行された東京都教育委員会作成の リーフレットでは,特別支援教室導入により期待され る効果として,次の三点が示されている。第一に,

「これまでの通級指導学級による指導を全ての小学校 で実施することで,より多くの児童が支援を受けられ るようになり,在籍校での個別指導や小集団指導を通 して,児童の学力や在籍学級における集団適応能力の 伸長が図られる」ことである。巡回指導教員が拠点校 のみならず,各小学校での指導を実施することによ り,通級指導教室を利用する児童や保護者の移動の負 担が軽減されるばかりでなく,移動に伴う在籍学級で の学習空白の軽減,さらに在籍学級での学習や学校生

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活におけるポジティブな効果を期待していることがう かがわれる。第二に,「在籍学級担任と巡回指導教員 との連携が緊密になり,指導内容の充実が図られる」

ことである。各小学校に巡回指導教員が出向くことに より,連絡調整の機会が増えることと,その内容の精 緻化が期待されていると考えられる。第三に,「教職 員や保護者が指導の内容を知る機会が増え,理解が図 られること」である。特に,巡回指導教員による特別 の指導が在籍校で実施されることにより,その指導内 容や方法に触れる機会が用意されること,またそのこ とによる,特別支援教室を利用する以外の時間の学 習,生活への波及効果をねらっていると考えられる。

例えば,松谷ほか(2016)は,日本の実情に即したイ ンクルーシブ教育システムの実現を目指すには,通常 の教育と 特別支援教育が連携・協働が必要であるこ とを示した上で,インクルーシブな学級経営において 環境調整や課題改善を導入して授業改善に取り組むこ とが,障害のある子どもや困難のない子どもも含め

て, 全ての子どもにとって有益な支援になると指摘し

ている。

 特別支援教室での特別な指導は,加藤(2015)の整 理に基づけば,自立活動と各教科等の補充指導の二つ に大別される。小学校学習指導要領における「通級に よる指導における特別の教育課程」(第 1 章第 4 の 2 の(1)のウ)にも,「特別支援学校小学部・中学部学 習指導要領第 7 章に示す自立活動の内容を参考とし,

具体的な目標や内容を定め,指導を行うものとする。

その際,効果的な指導が行われるよう,各教科等と通 級による指導との関連を図るなど,教師間の連携に努 めるものとする」と記されている。

 このような取り組みの結果,従前より多くの発達障 害のある児童・生徒が通級指導学級で行われてきた特 別な指導を受けられるようになった。一方で,そのよ うな効果が見られるが故に,特別支援教室と在籍学級 との連携の仕組みを整備することや連携機能の向上は より一層の課題となる。そのため,特別支援教室と在 籍学級のより効果的な連携を図るため,校内委員会等 の校内体制構築のための改善策を検討する必要があ る。関連するステークホルダーは多数挙げられるが,

特別支援教室設置時に特別支援教室と在籍学級との調 整役として全校配置された特別支援教室専門員の調整 機能に注目することが有効であると考えられる。

 特別支援教室専門員は,特別支援教室の運営に必要 な連絡調整,児童の行動観察記録の作成,報告,個別 の課題に応じた教材の作製等を行うスタッフである。

例えば,東京都の令和元年度の特別支援教室専門員の

募集案内では,業務内容として,次の九点が挙げられ ている(東京都教育委員会 2019)。

① 特別支援教室で指導を受ける児童・生徒の時間割を 調整し,変更が生じた際には,随時対応する。

② 巡回指導教員及び臨床発達心理士等の巡回日を連絡 調整する。

③ 特別支援教室での指導内容に応じて使用する教室や 教具を調整する。

④ 巡回指導教員の指示に基づき,個別の課題に応じた 教材を作成する。

⑤ 巡回指導教員及び学級担任の指示に基づき,児童・

生徒に対して学習支援を行う。(ただし,指導は含 まない。)

⑥ 特別支援教室における指導の記録を作成する。

⑦ 在籍学級での生徒の行動観察及び記録を作成し,巡 回指導教員へ報告する。

⑧ 巡回指導教員の指示に基づき,特別支援教室におけ る指導の様子や在籍学級における配慮事項等を在籍 学級担任や教科担任等へ伝達する。その他,伝達事 項等の連絡など,巡回指導教員と在籍学級担任や教 科担任等の連絡調整の補助を行う。

⑨その他東京都教育委員会が特に必要と認める業務。

 以上から,特別支援教室専門員は,特別支援教室を 利用する児童への直接の指導は行わないものの,学習 指導に関わる広範な業務を行うことが確認できる。ま た,特別支援教室を利用していない時間帯の児童の,

在籍学級での行動観察や報告等が含まれていることに 注目することができる。

 なお,同募集案内では,特別支援教室専門員の応募 資格を示している。まとめて示すと以下の三点である。

① 教員免許状を保持する,ないし取得見込みであるこ と。

② 臨床発達心理士等の発達障害の児童・生徒の支援に 関する専門的な資格を持ち,学校での児童・生徒の 支援の経験を有すること。

③ 公立学校等で特別支援教育支援員又はそれに準じた 職務の経験を 2 年以上有すること。

 つまり,支援を要する子どもについての一定以上の 知識,理解や実務経験を求めており,高度な役割が期 待されていることも確認できる。

 しかし,そのような特別支援教室専門員は,まだ導 入してからの時間が長くないこともあり,その機能や 実態,課題に関する研究は決して多くない。そこで,

特別支援教室専門員の調整機能に注目し,効果的な連 携方法について検証することをねらいとした研究を行 うこととした。

東 京 学 芸 大 学 紀 要 総合教育科学系 第 71 集(2020)

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2.研究の内容・研究の方法

 本研究では,各区市町村における特別支援教室拠点 校への視察,巡回指導教員及び在籍学級担任,特別支 援教室専門員,特別支援教育コーディネーター,特別 支援教室拠点校の管理職への面接調査を通して連携事 例や課題等を整理することを主たる作業課題とする。

特別支援教室専門員に注目して構想した調査研究では あるが,その連携機能に焦点を当てる場合,特別支援 教室専門員だけでなく,密接な連携をともにする巡回 指導教員や在籍学級担任等へのヒアリングも重要と考 えたためである。そして,特別支援教育の充実につな がる効果的な連携の特徴等について考察することを目 的とし,それに沿って,以下の 2 つの主質問を設定し た。

① 巡回指導教員と在籍学級担任,特別支援教室専門員 の連携が推進されることにより,校内における特別 支援教育の充実へと繋がる効果がもたらされるの か。もたらされる場合,その連携の特徴は何だと考 えられるか。

② 校内委員会等を通して校内における特別支援教育を 充実させるためには,特別支援教室専門員にどのよ うな調整機能が求められるのか。

 それらの主質問に対する回答を質的データとして取 り扱い,特別支援教室と在籍学級の効果的な連携事 例,校内における特別支援教育の充実に関する要因は 何 か, と い っ た こ と に つ い て,M-GTA(Modified Grounded Theory Approach,修正版グラウンデッドセ オリーアプローチ,木下 2007)により検討すること とした。

 面接調査から各協力者の回答や発言等のスクリプト を作成し,一次データとした。その後,先述した 2 つ の主質問の観点に基づいてスクリプトの分析を行っ た。とりわけ,スクリプトから特別支援教室と在籍学 級の効果的な連携に関する要素であると考えられる部 分を抽出して概念形成を行った。形成された概念か ら,共通の概念をまとめて定義付けをして,カテゴ リーを生成した。生成したカテゴリーと概念を分類表 にまとめて,妥当性を高めることを目指した。また,

スクリプトから概念形成をする際には,全体の中で大 きな影響を占めるものを明確にし,重要な問題を特定 するために「カテゴリー関連図」を作成した。図の作 成を通して,特別支援教室専門員の調整機能に焦点を 当てた特別支援教室と在籍学級の効果的な連携から校

内における特別支援教育の充実に関連する要件につい て検討することとした。

 なお,本稿で参照している聞き取り内容がすべて小 学校の教職員から得られたものであることから,以下 では,指導・支援の対象となる子どもを「児童」の表 記としている。

3. 研究の結果及び考察

3.1 カテゴリーの生成

 各学校における面接調査の分析を通して得られた共 通の要素に注目し,特別支援教室と在籍学級の効果的 な連携に関するカテゴリーを生成した。それらの各カ テゴリーから,特別支援教育の充実につながると考え られる内容について以下で考察する。

3.1.1 学校経営上の検討課題

 第一のカテゴリーは,特別支援教育を中核に据えた 学校経営を行う上での課題である。

 学校全体の特別支援教育の充実を目指すために,根 底として特別支援学級や特別支援教室等,特別支援教 育に関わっている児童のみに焦点を当てるのではな く,通常の学級に在籍する様々な理由から問題を抱え て学級に適応できない(知的面・認知面や情緒面には 大きな問題はみあたらない)児童への配慮も十分考慮 に置くことが重要と考えられた。また,特別支援教育 の充実を目指した内容の一つとして,「特別支援教室 とは何か」,「特別支援教室ではどのような学習をして いるのか」等が析出された。訪問調査から,特別支援 教室付近の廊下に分かりやすくイラストや写真が用い られた資料を使って掲示し,全校児童及び教職員に意 識させる取り組みの実践例などが見られ,特別支援教 室の役割や機能についての理解を広げることが,特別 支援教室専門員の機能向上や調整機能の発揮にも関連 することが示唆された。

 さらに,特別支援教育を中枢に置いた学校経営を行 う上での具体策として,自己申告の「学習指導」の欄 に特別支援教育に視点を置いた授業実践の記述を求め る例が見られた。特別支援教室専門員の行動観察の方 法や内容,視点等とも関連して検討を要するものと考 えられる。

3.1.2 校内委員会の実施

 第二のカテゴリーは,校内委員会の適宜実施に関す るものであった。校内委員会を他会議とは独立したも のとして位置付けることにより,各月で設定及び必要

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に応じて適宜実施する等の体制作りに関連するものと いえる。

 例えば,養護教諭との連携に関する内容などがここ に含まれた。保健室は,何らかの問題を抱えているた めに学級にいられない児童の居場所としても機能して おり,養護教諭は児童の悩みや相談を共感的に聞き,

心理的安定を提供できる立場にいる。そのような状況 から養護教諭が有する児童の情報を特別支援教室専門 員が特別支援教育コーディネーターとともに共有し,

校内委員会等において学校組織として課題解決に向け て連携・協同できるような体制作りが期待される。

 また,校内委員会を実施する上で,児童の実態把握 及び情報共有をするだけでなく,児童と家庭に対して 学校は今後どのような支援を行うべきか,外部機関と の連携等をどのように設定していくか等,教職員とス クールカウンセラー(以下SC),スクールソーシャル ワーカー(以下SSW),巡回の臨床心理士等が緊密に 協議し,対応を進める必要があると考えられる。校内 委員会において,学校組織として児童の情報共有を行 う上で知能検査の実施状況や特別支援教室の利用状況 等を項目立てて,表のように視覚化して誰もが把握で きる状態にしておく等の例が,調査を通して得られて いる。

3.1.3 全教職員への働きかけ

 第三のカテゴリーは,在籍学級担任と巡回指導教員 の情報交換に関するものである。情報交換を行うため の時間設定及び在籍学級担任を初めとした全教職員に よる特別支援教室における個別指導・小集団指導の参 観等の内容がこのカテゴリーに含まれる。

 特別支援教室及び在籍学級の双方で活用できる特別 支援教育に関する教材作成など,個々の特別な支援や 合理的配慮を要する児童だけでなく,学級全体の児童 が日々の学校生活及び学習に負荷なく取り組むことが できるユニバーサルデザインに基づく授業づくりや学 校づくりが目指されることになる。特別支援教室で行 われている日々の授業実践について,在籍学級担任だ けでなく,全教職員が空き時間等を利用して参観する 機会を設定するなどの例が見られた。日常の在籍学級 とは異なる児童の学習態度や行動の変容等を校内全体 で共有することにより,特別支援教育への理解・推進 を図ることや,前項で示した校内委員会へと関連づけ られることによって,特別支援教育の推進へとつなげ ていくことの重要性が示唆された。

3.2 カテゴリー関連図を用いた検討

 面接調査を行った各協力者のトランスクリプトから 特別支援教室と在籍学級の連携に関する概念項目につ いて,特別支援教室専門員の調整機能に注目しながら

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図 1 カテゴリー関連図

東 京 学 芸 大 学 紀 要 総合教育科学系 第 71 集(2020)

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検討し,カテゴリー関係図を作成したところ,図 1 の ようになった。

 図を手がかりにしながら,特別支援教室専門員の調 整機能に関連する特別支援教室と在籍学級の連携か ら,校内における特別支援教育の充実へとつなげるた めの要件を五点挙げる。

 第一に,特別支援教育の充実を中核に置いた学校経 営を行う上で,特別支援教室における指導状況(指導 記録)等の管理職への報告・連絡・相談を行うことで ある。1.2 に示した特別支援教室専門員の機能として,

例えば巡回指導教員と在籍学級担任との連携は明示さ れているが,管理職との連携や調整の機能も併せて期 待されていることが示唆された。

 第二に,校内委員会の適宜実施,及び管理職・在籍 学級担任・巡回指導教員・SC・SSW・養護教諭・生 活指導主任・特別支援教育コーディネーターといった 関係する教職員との連絡調整を図るなど,学校組織と しての児童の実態把握を行うことである。 

 第三に,在籍学級担任及び巡回指導教員との情報

(行動観察による児童の様子や指導時間の調整,授業 で活用する教材教具等)を共有するための時間確保が 課題となっていることである。実際に行動観察や教材 作成も特別支援教室専門員の業務として明示されてい ることから,その業務の質を確保しつつ,校内支援体 制の構築に期待される役割を果たすことが求められて いるといえる。

 第四に,学校生活での児童の心理的安定の提供であ る。特別支援教室と在籍学級の効果的な連携を図る際 に,「学校組織との連携」や「指導や学習支援に関す ること」だけでなく,「在籍児童の心理的安定」や教 員・児童・保護者等,「対人に関すること」について も特別支援教室専門員が大きな教育的役割を担ってい ることが示唆された。特別支援教室を利用する児童に とって,在籍学級での日々の学校生活は困難なことが 多くあり,不安定になりやすい。特別支援教室専門員 の存在は,児童への安心感をもたらせることが期待さ れており,特別支援教室を利用する時間のみならず,

在籍学級で学ぶ時間においても,その行動観察等を通 した支援的役割が期待されていると考えられる。

 第五に,特別支援教室及び在籍学級の双方で活用で きる特別支援教育に関する教材作成である。特別支援 教室における特別な指導と在籍学級での指導・学習が 連関をもって児童の発達を促していることは言うまで もないが,特別支援教室での学習が手がかりとなっ て,当該児童の学級適応や学校生活での学習習慣の形 成につながったり,様々な学校生活上の課題等の解決

へとつながることもある。特別支援教室で行われる指 導が日常的な学校生活へと般化させていくために,例 えば,特別支援教室に来室する以外の学習場面でも活 用できるような教材作成が期待されていると考えられ る。

4.今後の課題と展望

 本研究を通して,特別支援教室と在籍学級の連携事 例を収集した。そして,校内体制の整備を通した特別 支援教育を充実させるための要素について検討した。

効果的な連携とは,管理職の学校マネジメントに基づ いた特別支援教育の理解・推進により,学校組織とし て児童一人一人の実態に応じるべく,それぞれの立場 から専門性を発揮できる環境の設定から教職員一人一 人の意識を高めていくことである。

 今後,「連携」の特徴や学校教育における波及的な効 果等について,さらに調査及び検討を進めることで,

特別支援教室と在籍学級との連携の特徴,さらに特別 支援教室専門員の役割や機能の可能性等について検討 を進めていく必要がある。

文献

加藤康紀(2015)『はじめての通級 これからの通級』学研.

木下康仁(2007)『ライブ講義M-GTA 実践的質的研究法:修 正版グラウンデッド・セオリー・アプローチのすべて』,

弘文堂.

中央教育審議会(2005)「特別支援教育を推進するための制度 の在り方について」(答申)

東京都教育員会(2010)『東京都特別支援教育推進計画・第三 次実施計画』

東京都教育委員会(2015)「小学校の『情緒障害等通級指導学 級』が『特別支援教室』に変わります」リーフレット.

東京都教育委員会(2019)「令和元年度(令和元年 10 月 1 日付 採用)東京都公立学校特別支援教室専門員 募集案内」.

松谷典枝・川合紀宗・河口麻希・村上理絵(2016)「特別支援 教室(仮称)」構想の動向:インクルーシブ教育システム の構築・推進に向けて」,広島大学大学院教育学研究科附 属特別支援教育実践センター第 14 号,123‑131.

文部科学省(2010)『生徒指導提要』,教育図書.

文部科学省(2017)『小学校学習指導要領(平成 29 年告示)解 説総則編』,東洋館出版.

文部科学省(2018)『特別支援学校学習指要領解説自立活動 編』,開隆堂出版.

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*1 Takashima Daini Elementary School, Itabashi, Tokyo

*2 Tokyo Gakugei University, Department of Special Needs Education

特別支援教室と在籍学級の効果的な連携の構築

―― 特別支援教室専門員の調整機能に注目した予備的検討 ――

Collaborative Partnership between the Special Educational Resource Room Teachers and the Regular Class Teachers:

Focused on the Cordination Function of the Special Educational Resource Room Staffs.

大 橋 力 也

* 1

・村 山   拓

* 2

O’HASHI   Rikiya and MURAYAMA Taku

特別ニーズ教育分野

Abstract

In this paper, the main tasks are the qualitative studies for the collabollation between the special educational resource room teachers and the regular class teachers. The tasks are conducted through the field research in the pilot schools for the special education rooms in the districts, and the interview survey for the special education teachers, the regular class teachers, the special education coordinators, and the teachers in the administrative positions. Collecting the qualitative data, the categories are formed with respect to the effective collaboration between the special education resource teachers and the regular class teachers through the Modified Grounded Theory Approach. The further research would be based on the categories for the enrichment for the special needs education.

Keywords: Special Education Resource Room, Special Education Resource Room Staffs, Modified Grounded Theory Approach

Department of Special Needs Education, Tokyo Gakugei University, 4-1-1 Nukuikita-machi, Koganei-shi, Tokyo 184-8501, Japan

要旨 : 本稿では,各区市町村における特別支援教室拠点校への視察,巡回指導教員及び在籍学級担任,特別 支援教室専門員,特別支援教育コーディネーター,特別支援教室拠点校の管理職への面接調査を通して連携事 例や課題等を整理することを主たる作業課題とした。各校の面接調査の分析を通して得られた共通の要素か ら,特別支援教室と在籍学級の効果的な連携に関するカテゴリーを生成した。それらの各カテゴリーに対し て,特別支援教育の充実につながると考えられる項目の考察を行った。

キーワード : 特別支援教室,特別支援教室専門員,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ

参照

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