平成 23~24 年度プロジェクト研究 調査研究報告書
教員養成の改善に関する調査結果
教員養成等の在り方に関する調査研究(教員養成改善班)
報告書
平成 25(2013)年 3 月
研究代表者 工藤 文三
(国立教育政策研究所初等中等教育研究部長)
教員-005
は し が き
本報告書は,国立教育政策研究所におけるプロジェクト研究「教員養成等の在り方に関 する調査研究」の一環として,平成23年度から24年度にかけて実施した「教員養成の改善 に関する調査研究」(教員養成改善班)の研究成果をとりまとめたものである。
本調査研究の目的は,教員養成の改善を目指した「特色ある教育活動」(Good Praxis of Teacher Education)を収集し,それらの取組に共通する理念,改革の方向性,教育組 織改革,教育内容・方法の改善等を明らかにすることにあった。
参画した所外委員は,所属大学や機関において教員養成の現状にある種の危機感を抱き ながら,将来の改革・改善の実現のために理論的かつ実践的に考えてきた経験を有してい る。そうした各委員がそれぞれの経験を踏まえ議論を重ねた結果,「個別的に見える教員 養成教育改善の努力の中に,大学とそこに置かれた教職課程が取り組むべき共通の課題と 教育実践の指針が認められ,教員養成の未来を考える大きなヒントがある」という確信を 持つに至った。そこで,教員養成教育改革に意欲的に取り組み,独自の理念に基づいて教 職課程の管理・運営組織を構築し,カリキュラム,教育方法等の改善(組織的FD)に取り 組んでいる大学・学部に焦点を当て,聞き取り調査等を行った。
類似の調査研究は,これまでにも学会,研究機関,大学等で実施されているが,その多 くは「事例の提示」にとどまっている場合が多い。本調査研究ではこの限界を超えるべく,
個別具体の教員養成教育改革に共通する内容を探ることを通じて,教員養成教育改善のた めに必要な条件を考え,政策提言にまでつながる組織モデルの構築を目指した。
本調査研究の成果の一端は,中央教育審議会「教員の資質能力向上特別部会」の場で,
国立教育政策研究所からの提言として報告した。そこでは,大学の教職課程の今後の在り 方について,「育成すべき教員像と教員として必要な資質能力を明示することの意義」,
「教職課程運営の組織体制の在り方」,「体 系 的 な 教 員 養 成 プ ロ グ ラ ム の 構 築 と 実 施 プ ロ セ ス の 重 要 性 」 等 を 指 摘 し た 。
本報告書が,今後の教員政策を検討する上での基礎資料として,また,改革に取り組も うとする大学の指針として活用されることを願うとともに,ご多用の中,本調査研究にご 協力いただいた方々に感謝申し上げる。
平成25年3月
研究代表者 工 藤 文 三
(国立教育政策研究所初等中等教育研究部長)
目 次
はしがき ・・・・・・ 1
プロジェクト研究の概要 ・・・・・・ 5
第1章 調査研究及び調査結果の概要
1.調査研究の概要 ・・・・・・ 11
2.調査結果の概要 ・・・・・・ 16
第2章 教員養成教育改善の課題の設定
1.教員養成改革の契機 -政策動向への積極的対応- ・・・・・・ 19 2.教職課程の管理運営体制の改善,再構築 ・・・・・・ 22 3.中教審答申「教職生活の全体を通じた教員の資質能力の総合
的な向上方策について」(平成 24 年 8 月)が示す新たな課題設定 ・・・・・・ 23
第3章 教員養成教育改善を実現する組織の在り方
第1節 専攻,講座組織の見直し ・・・・・・ 27 第2節 教科担当と教職担当教員の協働体制の構築 ・・・・・・ 31 第3節 「教職センター」の機能拡充,「実務家教員」の活用 ・・・・・・ 34 第4節 組織的 FD・SD の実施 ・・・・・・ 39
第4章 教員養成プログラムの改革
第1節 育成すべき教員像とプログラム改革 ・・・・・・ 43 第2節 専門科学と教職の架橋 ・・・・・・ 47 第3節 理論知と実践知の架橋-教職に関する科目の改善- ・・・・・・ 51 第4節 教育実習と教育的体験の重視 ・・・・・・ 56 第5節 養成教育と現職教育の架橋 ・・・・・・ 61
資料
・訪問及び書面による調査への回答結果 ・・・・・・ 69
・訪問及び書面による調査への回答結果(追加調査) ・・・・・・ 165
参考資料
・中央教育審議会教員の資質能力向上特別部会基本制度
ワーキンググループ報告資料
・平成 23 年 8 月 22 日 德永保 国立教育政策研究所長
(当時)報告資料 ・・・・・・ 209
・平成 24 年 3 月 16 日 高岡信也 総括客員研究員報告資料 ・・・・・・ 227
・資料「政策動向:教員の養成・研修制度の改善」
(高岡信也 総括客員研究員作成) ・・・・・・ 231
プロジェクト研究の概要
1.研究の目的
中央教育審議会「教員の資質能力向上特別部会」の審議の状況を踏まえつつ,教職生 活全体を通じて基盤となる資質能力が培われる教員養成段階を中心に,諸制度の在り方 について調査研究を行い,教員養成課程の質保証などに関する基礎的な知見を得て,教 員の質の向上に関する施策の企画立案に資することを目的とする。
2.研究の期間
平成 23 年度~平成 24 年度
3.研究の体制 ①研究代表者
工藤文三初等中等教育研究部長
②研究体制
「調査分析班」「教員養成改善班」「コアカリキュラム班」「教員養成 FD 班」で分 担するとともに,相互に連携して調査活動を実施することとした。
(各班の研究分担者は 7~10 頁を参照)
調査分析班 (平成 23 年度)
・教職課程を置く大学・学部の教員養成教育に関する体制,意識,実態,取り組み動向 についての質問紙調査とその分析
教員養成改善班 (平成 23~24 年度)
・教職課程を有する国公私立大学のうち,特色ある教育活動,教育改善を実施している と思われる大学・学部について訪問又は質問紙による調査とその分析
コアカリキュラム班 (平成 23~24 年度)
・中等教育において理科,算数・数学,保健体育の各教科を教えるために必要な指導力 と教職課程の内容・方法についての検討とモデルカリキュラムの作成,及び初等教育 において必要な指導力と教職課程の内容・方法についての検討とモデルカリキュラム の作成
教員養成 FD 班 (平成 24 年度)
・教員養成を担う大学教員のための研修方法,内容,研修プログラム構成,評価の在り
方等,及び優れた大学教員の資質能力やその修得機会についての訪問又は質問紙によ
る調査とその分析
4.調査研究の経過
【平成 23 年度】
調査分析班
・平成 22 年 12 月~23 年 3 月にかけて質問紙調査「全学教員養成責任者対象調査」「学 部教員養成責任者対象調査」「教職課程授業担当者対象調査」を実施し,回答を分析。
・調査研究成果については,「教員養成の充実・向上に関する調査結果 教員養成等の 在り方に関する調査研究(調査分析班)報告書」(平成 23 年 12 月 平成 23 年度プロ ジェクト研究調査報告書:教員-004)を参照。
教員養成改善班
・大学への訪問又は質問紙による調査を実施し,その結果を分析。
・中間とりまとめを踏まえ,中央教育審議会「教員の資質能力向上特別部会」に報告及 び政策提言を行った。(その内容については本報告書「参考資料」を参照。)
コアカリキュラム班
・中等教育において理科,算数・数学,保健体育の各教科を教えるために必要な指導力 と教職課程の内容・方法についての検討を実施。
【平成 24 年度】
教員養成改善班
・中教審答申(平成 24 年 8 月)を踏まえ大学への訪問又は質問紙による追加調査を実 施し,調査研究成果をとりまとめ。
・調査研究成果については,本報告書を参照。
コアカリキュラム班
・中等教育における理科のモデルカリキュラムの作成を検討するとともに,初等教育に おいて必要な指導力と教職課程の内容・方法についての検討を実施。
教員養成 FD 班
・教員養成を担う大学教員のための研修方法,内容,研修プログラム構成,評価の在り
方等についての質問紙調査,及び優れた大学教員の資質能力やその修得機会について
の訪問又は質問紙による調査を実施。
研究分担者(総計 102 名)
(役職は平成 25 年 3 月現在([ ]を除く))
[所内委員] ◎は班代表,●は事務局
氏名 所属・職名
分析 班調査教員 養成 改善 班
コア カ リキ ュ ラム 班
教員 養成 FD 班
高岡信也
総括客員研究員,教員研修センター理事◎
小倉 康
客員研究員,埼玉大学教育学部准教授○ 鳩貝太郎
名誉所員・客員研究員,首都大学東京客員教授
○
大槻達也
[次長(平成 24 年 3 月まで)]○ 長屋正人
[研究企画開発部長(平成 24 年 4 月まで)]○ 萬谷宏之
研究企画開発部長(平成 24 年 5 月から)○
北風幸一
[研究企画開発部総括研究官(平 成 25 年 2 月ま で)]○ ○ 藤原文雄
初等中等教育研究部総括研究官◎ ○ ○ ○ 松尾知明
初等中等教育研究部総括研究官○ ○
白水 始
初等中等教育研究部総括研究官(平 成 24 年 8 月か ら)○
川島啓二
高等教育研究部総括研究官◎
神代 浩
[教育課程研究センター長(平成 24 年 7 月まで)]○ 勝野頼彦
教育課程研究センター長(平成 24 年 8 月から)○ 角屋重樹
教育課程研究センター基礎研究部長◎ 宮内健二
教育課程研究センター研究開発部長○ 猿田祐嗣
教育課程研究センター総合研究官○ ●
銀島 文
教育課程研究センター基礎研究部総括研究官○ ● ○ 後藤顕一
教育課程研究センター基礎研究部総括研究官○
五島政一
教育課程研究センター基礎研究部総括研究官○ 淵上 孝
[教育課程研究センター基礎研究部総括研究官(平成 24 年 7 月まで)]
● ○ ○
今村聡子
教育課程研究センター基礎研究部総括研究官(平成 24 年 8 月から)
● ○ ○
松原憲治
教育課程研究センター基礎研究部主任研究官○ 清原洋一
教育課程研究センター研究開発部教育課程調査官○ 田代直幸
教育課程研究センター研究開発部教育課程調査官○ 林 誠一
教育課程研究センター研究開発部教育課程調査官○ 村山哲哉
教育課程研究センター研究開発部教育課程調査官○ 長尾篤志
文部科学省初等中等教育局視学官,教育課程研究センター研究開発部教育課程調査官
○
氏名
所属・職名 分析 班調査教員 養成 改善 班
コア カ リキ ュ ラム 班
教員 養成 FD 班
水戸部修治
教育課程研究センター研究開発部教育課程調査官○ 笠井健一
教育課程研究センター研究開発部教育課程調査官○ 水谷尚人
教育課程研究センター研究開発部教育課程調査官○ 樋口雅夫
教育課程研究センター研究開発部教育課程調査官○ 津田正之
教育課程研究センター研究開発部教育課程調査官○
[所外委員]
氏名 所属・職名
調査分析 班
教員 養成 改善 班
コア カ リキ ュ ラム 班
教員 養成 FD 班
岩田康之 東京学芸大学教員養成カリキュラム開発研
究センター教授 ○ ○
鞍馬裕美 明治学院大学心理学部専任講師 ○ 紅林伸幸 滋賀大学教育学部教授 ○ 山崎準二 東洋大学文学部教授 ○
岡村吉永 山口大学教育学部教授 ○
狩野浩二 十文字学園女子大学人間生活学部教授 ○ 北神正行 国士舘大学体育学部こどもスポーツ教育学
科教授 ○
町田健一 国際基督教大学大学院教授,教職課程主任 ○ 渡辺恵子 東京学芸大学准教授
(教員養成評価プロジェクト担当) ○ ○
有賀正裕 大阪教育大学特任教授 ○
池田延行 国士舘大学体育学部教授 ○
池野範男 広島大学大学院教育学研究科教授 ○ 今関豊一 順天堂大学スポーツ健康科学部准教授 ○ 植田敦三 広島大学大学院教育学研究科教授 ○
太田伸也 東京学芸大学教育学部教授 ○
岡出美則 筑波大学体育専門学群教授 ○
小川正賢 東京理科大学大学院科学教育研究科教授 ○
小澤治夫 東海大学体育学部教授 ○
川勝 博 名城大学総合数理教育センター長・教授 ○
氏名 所属・職名
分析 班調査教員 養成 改善 班
コア カ リキ ュ ラム 班
教員 養 成 FD 班
木原成一郎 広島大学大学院教育学研究科教授 ○
國宗 進 静岡大学教育学部教授 ○
近藤真庸 岐阜大学地域科学部教授 ○
斉藤規子 昭和女子大学人間社会学部准教授 ○
清水美憲 筑波大学人間系教授 ○
高橋和子 横浜国立大学教育人間科学部教授 ○
高橋健夫 日本体育大学体育学部教授 ○
千葉和義 お茶の水女子大学サイエンス&エデュケー
ションセンター長 ○
永田潤一郎 文教大学教育学部准教授 ○
中原忠男 環太平洋大学学長・広島大学名誉教授 ○
長見 真 仙台大学体育学部教授 ○
中村和弘 東京学芸大学教育学部准教授 ○
中村光一 東京学芸大学教育学部教授 ○
橋本健夫 長崎大学副学長,
大学教育機能開発センター長 ○
長谷川奈治 科学技術振興機構理科教育支援センター企
画室 調査役 ○
細越淳二 国士舘大学文学部教育学科教授 ○
松浦武人 広島大学大学院教育学研究科准教授 ○
宮川保之 東京都台東区立柏葉中学校長 ○
山口武志 鹿児島大学教育学部教授 ○
山極 隆 [玉川大学学術研究所特任教授(平成 24 年
5 月まで)] ○
吉田明史 奈良県立法隆寺国際高等学校長 ○
渡邉正樹 東京学芸大学教育学部教授 ○
※理科学校種別ワーキンググループ委員は別紙 ○
(26 名)