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学校教育におけるアイヌ民族教育の現状に関する調査

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Academic year: 2021

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(1)Title. 学校教育におけるアイヌ民族教育の現状に関する調査. Author(s). 清水, 敏行. Citation. 僻地教育研究, 55: 79-87. Issue Date. 2000-12. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/1699. Rights. 本文ファイルはNIIから提供されたものである. Hokkaido University of Education.

(2) 学校教育におけるアイヌ民族教育の現状に関する調査. No.55. 2000.12. 学校教育におけるアイヌ民族教育の現状に関する調査 清 水 敏 行. (北海道教育大学函館校). SurveyontheCurrentEducationoftheAinuPeopleintheSchooI Toshiyuki SHIMIZU. 化や歴史が取り扱われるというのは,教師一人一人の熱. はじめに. 意によるところが大きくならざるをえない。アイヌ民族. 1997年7月1日に「アイヌ文化の振興並びにアイヌの. について児童に教えることには多くの教師が賛成であり. 伝統等に関する知識の普及及び啓発に関する法律」(略. ながらも,実際に授業がなされないのは,取り扱いたく. 称,アイヌ文化振興法)が施行された。同法が施行され. ても専門知識がない,教材作りで参考になるものが身近. て,3年が経過している。この間に,学校におけるアイ. にない,時間的な余裕がないといったことに理由がある。. ヌ民族教育に向けて,どのような取り組みがなされてき. 確かに,少なからぬ教師が実際に授業で取り扱っている. たのか,北海道の教育行政を中心に,その現状について. が,その多くは,ごく部分的に取り扱うにとどまってい. 調べることが本稿の目的である。. る。熱意や関心,専門知識といった偶然的要素が,その 取り扱い内容を左右しているのが現状である。. 筆者は,これまで,『僻地教育研究』に「北海道の小. 本稿では,アイヌ文化振興法の施行以降,このような 現状に北海道がどのように取り組もうとしているのか,. 学校社会科副読本におけるアイヌ民族」(1996年3月), 「小学校におけるアイヌ民族教育に関する調査」(1998. 年3月)の二つを発表してきた㈲。前者は,北海道の市. 現状報告することにしたい。. 町村の副読本を調べたものであるが,特に函館市を含む 渡島支庁・桧山支庁内の町村の副読本をすべて収集し,. 1.アイヌ文化振興法制定に至るまでの動き. また函館校の図書館に収蔵されている過去の副読本と照. 合しながら,考察したものである。後者は,1996年8月. 北海道教育委貞会(以下,道教委と略す)は,1984年. に函館市内の小学校教貞388名(3年以上の担任)を対. に小学校及び中学校におけるアイヌ民族の歴史や文化に. 象に市教委の協力を得てアンケート調査を実施し,その. 関する『学校教育指導資料 アイヌの歴史・文化に関す. 結果をまとめたものである。. る指導の手引き』を発刊し,道内の小中学校すべてに配 布した。続いて,1992年には『高等学校教育指導資料. これらの拙稿で述べたことは,大まかにとらえるなら. アイヌ民族に関する指導の手引き』を発刊している。. ば,次のようなものになる。/ト学校におけるアイヌ民族. このような北海道レベルにおける取り組みは,道教委. の取り扱いは,実態として社会科でなされることがほと. んどである。この社会科では,文部省の学習指導要領. に設置された1973年の「ウタリ指導に関する研究協議会」. に始まる。アイヌ文化振興法制定までの経過は,次のよ うになる(2)。. (1989年改訂)によって3年・4年に地域社会の学習を. することになっており,それに沿って社会科副読本が市 町村によって作成されている。北海道の市町村の社会科 副読本では,その地域性から,アイヌ民族に関する記述. 1973年度∼80年度. がなされていることが多い。その記述の内容を見るなら. りタリ指導に関する研究協議会. ば,質量ともに,かなりのばらつきがあり,まったく記. 1981年度. 述のない副読本もある。これまでの北海道教育委員会に. アイヌ教育問題懇話会の開催. よる,副読本に関する取り組みは,差別的表現の削除に. 1982年度∼83年度. 向けた努力の域を越えるものではなかった。このような. アイヌ教育研究協議会の開催. 教育行政の中において,道内の小学校でアイヌ民族の文. 1984年. ー 79 −.

(3) 清 水 敏 行. す。……私はこれでは北海道の歴史を子どもに教えてい. 『学校教育指導資料 アイヌの歴史・文化に関する. く上で,本当の教育ではないんではないかと考えていま. 指導の手引き』発刊. す。」(7)と話している。. 1989年度∼90年度 アイヌ教育研究協議会の開催. このような発言は,道教委による社会科副読本の調査 研究が進むに従い,教育上の問題点が見え始めたからな. 1992年. されたと言える面もあるが,北海道りタリ協会がそのよ. 『高等学校教育指導資料 アイヌ民族に関する指導. うな問題を,注視し問題視し始めたという点とも密接に. の手引き』発刊. 関連している。1981年度に開催された「アイヌ教育問題 懇話会」から,北海道りタリ協会の代表が,一連の研究. このような道教委の取り組みは,国の政策の展開と無. 関係ではないであろう。1973年度に,「りタリ指導に関. 協議会にも参加するようになっている。また,北海道り. する研究協議会」が道教委内に設置されているが,この. タリ協会の要望を受けて,この年から道教委内に,りタ. 時期はアイヌ民族に対する国の政策の新たな始まりの時. リ教育相談貞を設けるようになった。ナタリ教育相談貞. 期であった。. は,道内市町村の社会科副読本の作成など,学校におけ. それはりタリ対策事業の始まりである。1973年9月に,. るアイヌ民族に関する教育の相談を受け,指導・助言す. 北海道が策定した「北海道りタリ福祉対策」(1974年度. ることを仕事としている(8)。当時の北海道りタリ協会は,. ∼80年度)を円滑に進めるため,国は北海道りタリ対策. 野村理事長の上記の発言にも見られるように,学校教育. 関係省庁連絡会議を発足させ,1975年度からりタリ対策. について,社会科副読本の検討の必要性を説き,「教育. 事業を予算化し実施するに至った(3)。りタリ対策事業は,. 大学,その他教貞養成の大学のカリキュラムの中にアイ. 北海道開発庁が担当し,開発予算の枠組みの中で実施さ. ヌの単元をいれ,先生の卵のうちに十分な指導をするこ. れた。国のりタリ対策事業と,その資金的支援を受ける. と」を主張している。この点は,1984年5月に北海道ナ. 北海道のりタリ福祉対策とは,北海道旧土人保護法の存. タリ協会総会で可決された「アイヌ民族に関する法律. 続の枠組み内で始まっており,それはアイヌ民族の民族. (案)」(以下,アイヌ新法案と略す)の条文にも引き継. 的自立を目的とするものではなく,生活環境整備を中心. がれている。アイヌ新法案は「第三 教育・文化」として,. にして進められるものであった(4)。. その中に,アイヌ子弟の民族教育の推進,アイヌ民族文. このナタリ対策事業,北海道りタリ福祉対策には,社. 化の伝承・保存とともに,学校教育・社会教育科からア. 会経済的な事業だけではなく,文化的事業も含まれてい. イヌ民族に対する差別の一掃,大学におけるアイヌ民族. る。アイヌ文化の保存と振興にかかわる,北海道の現在. 関連の講座開設などを盛り込んでいる。アイヌ新法案が. の文化政策は,1973年度より始まっている。その予算の. 出された1984年の末に,道教委は小中学校向けに,『学. 内訳を見る限りでは,北海道の単独事業と補助事業から. 校教育指導資料 アイヌの歴史・文化に関する指導の手. なっており,道のアイヌ文化政策は,国の開発予算と関. 引き』を発刊したのである。. 連をもちながら実施されてきたことが推測される(5)。学. アイヌ新法案は,「先住民」としての民族的権利の回. 校教育における「アイヌ教育に関する実態および社会科. 復を目指したものである。1980年代は,国連などの国際. 副読本の記述の問題」等に関する研究協議を行なうた. 機関において先住民族の権利回復を目指す動きが活発に. め(6),1973年の「ウタリ指導に関する研究協議会」は,. なり始めた時期でもある。アイヌ新法運動は,この国際. このような状況の中で発足した。. 的な動きとつながりながら展開するようになる。北海道. 70年代では国や北海道の主導の面が強かったが,80年. 庁は1984年10月に「りタリ問題懇話会」を設置し,北海. 代にはアイヌ民族が北海道旧土人保護法の廃止とアイヌ. 道旧土人保護法及びアイヌ新法について検討を始め,. 新法の制定を求めるようになり,これまでの学校教育の. 1988年3月に知事に答申を報告している。その答申には. 政策もアイヌの人たちによって批判されるようになる。. 先任権を肯定的にとらえる意見が盛り込まれていた。ア. 1982年9月の講演会で,野村義一・北海道りタリ協会理. イヌ民族自立のための大枠的な制度を構想したものであ. 事長は,「今ずっと教育の現場をみますと,案外,アイ. り,特に,学校数育の問題について触れた箇所はない。. ヌ問題が現場の中におろされていないということです。. 先任権を,北海道旧土人保護法に代わる新法を制定する. このことは,私どもが道教委にお願いして,小学枚3・. 上での,一つの有力な根拠になりうるとしたことが何よ. 4年で使っている社会科の副読本を90種類ほど集めてみ. りも画期的であった。. たんです。その中にアイヌ問題がどの程度記載されてい. 国内外の動きに押され1995年3月に,政府は「りタリ. るかみたわけですが,これが案外少ないです。そして書. 対策のあり方に関する有識者懇談会」を設置した。1996. いてある事項であっても,数行ぐらいでやめているんで. 年4月に内閣官房長官に提出された答申は,アイヌの − 80 −.

(4) NO.55. 学校教育におけるアイヌ民族教育の現状に関する調査. 2000.12. 施策を構想することを退け,アイヌ文化の保存・振興,. 副読本を使うのは,小学校3年と4年の2年間(中学年) である。/ト学校6年の教科書が歴史学習の中でアイヌ民. アイヌの人々に対する理解の促進などを基本的な理念と. 族について記述していることはあるが,まとまって勉強. 人々の先住性を認めつつも,先住民族権に基づき新たな. して掲げた。その関連記述を引用しておく(9)。「りタリ. するには不十分な記述である。そのため,道内市町村は. 対策の新たな展開の基本理念は,今日存立の危機にある. 社会科副読本にアイヌ民族の記述を盛り込むことによっ. アイヌ語やアイヌ伝統文化の保存振興及びアイヌの人々. て,中学年の児童に,アイヌ民族について学習する機会. に対する理解の促進を通じ,アイヌの人々の民族的な誇. を提供している。これが,アイヌ民族に関する学校教育. りが尊重される社会の実現と国民文化の一層の発展に資. の特徴の第一である。. なぜ,3年・4年になるのかというと,この2学年の. することであり,この基本理念と関係施策の具体性との 調和を図ることが必要である。」. 間に,社会科では地域社会を学習することになっている. このような基本理念に基づき,新しい施策として,①. からである。改訂前の現行の学習指導要領では,3年で. 「アイヌに関する総合的かつ実践的な研究の推進」,②「ア. 学ぶ内容の一つに「地域の人々の生活の変化」を,4年. イヌ語をも含むアイヌ文化の振興」,(卦「伝統的生活空. で学ぶ内容の一つに「地域の発展に貢献した先人の働き」. 間の再生」,④「理解の促進」をあげている。国と地方. をあげている。社会科副読本の記述は,このような内容. 公共団体(実態的には地方公共団体とは北海道のこと). のところでアイヌ民族について取り上げている。それで. の財政的支援を受ける「アイヌ文化振興・研究推進機構」. は,2002年から実施される学習指導要領で,何が変わっ. (仮称)を設け,これらの施策を実施していくことになっ. たのか。. ている。特に,学校数育と関連するのが,④の「理解の. 3年・4年について別々に記述するのではなく,それ. 促進」である。そこでは,「アイヌの人々に係わる諸施. ぞれの内容をまとめてしまい,2年間を通じて学習する. 策の新たな展開に当たっても,人権擁護に資する活動の. ようにしたことが大きな変化であり,それに伴ない内容. 一層の推進への配慮が望まれる。そのような観点から,. が削減され,年間の授業時間数が大幅に縮小した。これ. アイヌ文化を含めアイヌに関する知識や教育の普及・充. までは3年・4年で合計210時間であったのが,155時間. 実を通じて,アイヌの人々ヤアイヌ文化についての理解. にまで55時間が減らされた。このような授業時間数の削. の促進を図ることが極めて重要であると考えられる。そ. 減のためなのか,理由は定かではないが,これまでの学. のためには,教員の養成・研修から学校教育の現場に至. 習指導要領よりも,地域社会で扱われる歴史的時間幅が. る流れの中で活用しうる教材等の作成,配布が望まれる」. より狭いものにされている。要するに,アイヌ民族を扱 う上で,歴史的な面を学習させることが,今までよりも. と記述されている。. 難しくなるのはないかということである。. この「理解の促進」を実践する場として学校教育が注. 目されている。具体的には,教師自身がアイヌ民族とア. 小学校で歴史を学習するのは6学年である。そのため, 今までも,3年・4年の社会科副読本がアイヌ民族の歴. イヌ文化に対する正しい知識と理解をもつようにするこ と,そして教員が授業において児童・生徒に教える上で. 史について,取り扱うことには難しさがあった。道教委. 役立つ教材等を作成し配布することである。北海道内の. が発刊した『学校教育指導資料 アイヌの歴史・文化に. 学校でも,アイヌ民族について取り扱われてきているが,. 関する指導の手引き』は,試案として,3年・4年で,. これまでの実績を踏まえながらも,さらに展開されるこ. アイヌ民族について学習する事項を,地名の由来,暮ら. とが目指されるようになる。. しの様子や文化・伝統行事,和人との交易の様子として おり,内容の取扱いの注意として,「児童の発達段階を 踏まえ,深入りしないように留意する。」こととしてい が功。例えば,和人とアイヌ民族の交易であれば,6学. 2.学習指導要領の改訂. 年の歴史学習で,あらためて取り扱うことになっている。. 1989年3月に改訂された,現在の学習指導要領は,1998 年に改訂され,2002年から実施されることになっている。. また,コシャマインの戦い,シャクシャインの戦いも,. この学習指導要領の改訂によって,学校教育におけるア イヌ民族に関する授業が,どのような影響を受けること になるのか。いまだ本格的には実施されていない状況で. 試案を見る限りでは,6学年の歴史学習で学ぶことが勧. められている。札幌市の社会科副読本はアイヌ民族の文 化に関する記述では充実しているが,歴史に関する記述. あるため,ここでは,抽象的にはなるが,考えられる影. はまったくない。このような記述の有り様は,現行の学. 響を論じておくことにする。. 習指導要領に沿っていると見ることができよう。. それでも,現行の学習指導要領(1989年改訂)の中で. 北海道内の市町村における小学校の社会科副読本は,. も,地域社会の歴史について学ぶことは,ある程度は可. 学習指導要領に沿って作成されている。小学校の社会科 − 81−.

(5) 清 水 敏 行. 能であった。3年の内容である「地域の人々の生活の変. 人々の願い,地域の人々の生活の向上に尽くした先人の. 化」では,「自分達の市(区,町,村)を中心にした地. 働きや苦心を考えるようにする。. 域の人々の生活について,家屋や道具,交通などの移り. ア 古くから残る暮らしにかかわる道具,それらを. 変わりを中心に調べたりそれを年表にまとめたりして,. 使っていたころの暮らし. 地域の人々の生活は,およそ100年くらいの間に大きく. イ 地域に残る文化財や年中行事. 変わってきたことを理解できるようにするとともに,地. り 地域の発展に尽くした具体的事例. 域の文化財や年中行事に関心をもち,人々の願いについ. て考えることができるようにする。」師となっている。. この文章中には,地域の生活の移り変わりを100年と. 4年の内容である「地域の発展に貢献した先人の働き」. いう歴史的時間幅で見るという言葉はない。新しい学習. では,「地域の文化や開発などに尽くした先人の具体的. 指導要領解説を見ると(1刀,生活の変化は現在の高齢者が. な事例を調べて,先人の働きや苦心を当時の人々の生活. 子どものころ,父母が子どものころとしている。. の様子や考え方,技術や道具などの面から理解できるよ. 解釈は色々あろうが,明治後半期か大正時までが歴史. うにするとともに,現在にあっても地域の人々の生活の. 的時間幅になるのではないか。また,学習指導要領の解. 向上と安定のためにいろいろな努力がなされていること. 説には,江戸時代までという言葉もなくなっている。先. に気付くようにする。」(1勿となっている。簡単に言えば,. 人の働きかけの例として,「藩校」という言葉も残って. 3年では地域における人々の生活や年中行事・文化財な. いるが,先人の具体的事例として,現行では文化か開発. どを具体的に取り上げるようにしており,4年では地域. のいずれかを取り上げることになっていたのが,今回の. の文化や開発(北海道であれば開拓の歴史が含まれよう). 改訂によって開発,教育,文化,産業などのいずれかを. を具体的に学ぶようにしている。また,学習指導要領は. 取り上げることになっている。. 3年で扱う時期を,ほぼ100年としており,文部省の学. 細かいところまで指摘し過ぎかもしれない。印象とし. 習指導要領解説は4年で扱う開発事例のところで,「地. ては,アイヌ民族について3年・4年で取り扱うことに. 域や児童の実態を十分に考慮した上で」江戸時代までを. 支障となりうる記述の変更ではないかということであ. 含めて,よりよい開発事例を教材化する必要があるとし ている(1頚。. る。 これまでも,学習指導要領の中のわずかな記述を手が. このように現行の学習指導要領は,歴史学習を6学年. かりに,社会科副読本にアイヌ民族が記述されてきたと. としながらも,地域社会の学習の中で,慎重にではある. 見られるのであるが,そのわずかな記述もまた,一枚,. が,開発事例を学ぶさいに,最大限で江戸時代まで遡れ. 二枚とはがされてしまったような印象である。. るとしている。アイヌ民族の歴史を,開発事例として記. このような改訂による記述の変化によって,実際に,. 述することには無理がなくはない。そのため,道内の社. 社会科副読本の記述がどのように変わるのか,あるいは,. 会科副読本では(筆者が調査したのは道内64市町村の副. 副読本の記述はこれまで通りになるのか,注意しておく. 読本),和人による北海道開拓の苦労話を詳しく記述し. 必要がある。. ても,アイヌ民族についてはまったく記述しないものも. 既に述べたように,中学年の社会科の授業時間数は大. 散見される(道南の渡島・櫓山支庁では戸井町・厚沢部. 幅に減らされた。このことも,また,副読本に,また実. 町の2冊がまったく記述なしになっている)(1魂。. 際の授業に,どのような影響を及ぼすのか気になるとこ. 学習指導要領における,このような記述をもってなの. ろではある。学習指導要領の記述の些少な変化よりも,. か明らかではないが,地域社会の歴史を学ぶということ. この時間数の削減のほうが支障になる懸念がある。. から,アイヌ民族の歴史について,中世・近世まで遡っ. このような変化とともに,もう一つ指摘しておくべき. て記述する社会科副読本もまた少なくない。例えば,筆. ことは,総合的な学習の時間が設けられたことである。. 者が調査した渡島支庁・桧山支庁の27市町村の半数ほど. 3年で105時間(社会科は70時間),4年で105時間(社会. で,社会科副読本は15世紀半ばに起きたコシャマインの. 戟いについて言及している(1尋。江戸時代以上に遡ってい. 科は85時間),5年で110時間(社会科は90時間),6年で 110時間(社会科は100時間)となっている。総合的な学. る。. 習の時間は国語と算数に次ぐものとして登場した。その. 今回改訂された学習指導要領は,3年・4年の学習内. 目的は,「生きる力」や「自ら学び,自ら考える力」を. 容の一つとして,次のような項目があげられている(摘。. 育てることにある。その具体的な内容の例示として,学 習指導要領は「例えば国際理解,情報,環境,福祉・健. 地域の人々の生活について,次のことを見学,調査し. 康などの横断的・総合的な課題,児童の興味・関心に基. たり年表にまとめたりして調べ,人々の生活の変化や. づく課題,地域や学校の特色に応じた課題などについて,. 一 82 −.

(6) NO.55. 学校教育におけるアイヌ民族教育の現状に関する調査. 学校の実態に応じた学習活動を行うものとする。」(咽と. 策という言葉に見られるように,国や通がアイヌ民族を. している。. 問題ある対象として見なすなかで,学校教育におけるア. 2000.12. イヌ民族の見直しが始まったのである。それに対して,. 国際理解については,外国語会話(要するに英会話) や,外国文化に触れたり親しんだりすることが示されて. アイヌ文化振興法制定は,たとえ国によって先任権が認. いる。国際理解=英語学習=英語文化圏の文化学習とい. 知されずとも,アイヌ民族が80年代から進めたアイヌ新. う大きな流れができあがる懸念はあるが,異文化理解と. 法制定の動きの中で成し遂げられたものであり,学校教. いうことでアイヌ民族の文化や歴史について授業を組立. 育におけるアイヌ民族の取り扱いにおいても新しい段階. てる機会はあるのではないか。これは内なる国際化とい. に入ることが期待される。. アイヌ文化振興法は,アイヌ民族の文化振興,アイヌ. うことで,在日外国人のことも,授業の課題になるはず。 ロシア人に対するように,いまだ人種差別が北海道内で. 民族の文化・伝統に対する国民の理解促進が大きな目的. 平然と横行しているのが現状である。ロシア人の公衆浴. となっている。そのために,同法は公益法人を設置し指. 場問題は北海道が抱える新しい差別であるとすれば,ア. 定することを規定している。この公益法人は,1996年4. イヌ民族の問題は北海道の古くからの差別である。総合. 月の「ウタリ対策のあり方に関する有識者懇談会」の答. 的な学習で,このような異なる民族の理解や共感を育て. 申にも,仮称であるが「アイヌ文化振興・研究推進機構」. る必要がある。. として記されていたものである。それが現在の,財団法. 間との相互調整であるが,大事な点は,これまで社会科. 人アイヌ文化振興・研究推進機構(略称はFRPAC)で ある。アイヌ文化振興法の制定を受けて,1997年6月に. で主として取り扱われてきたために,アイヌ民族につい. は,北海道が設立準備をし,主務官庁である北海道開発. て3年・4年で学習することになっていた大枠を,大枠. 庁及び文部省から,公益法人としての設立許可を,11月. としないでもかまわない可能性が出てきたことである。. にはアイヌ文化振興法に基づく指定を受けていが功。. ここで,問題になるのが,社会科と総合的な学習の時. FRPACの組織を構成する理事会・評議員には,北海. もちろん総合的な学習の時間で,3年から6年までの4 年間に系統的に学習させることも可能であろう。道内の. 道りタリ協会の人たち,さらに,アイヌ文化の実践者も. 社会科副読本の中には,3年・4年の児童の理解を超え. 役貞・評議貞となっている。FRPACの業務は,アイヌ. るレベルの記述もある。5年・6年になれば,この社会. 文化振興法によって定められている。. 科副読本は利用されないし,教科書にはアイヌ民族のこ とはほとんど触れられていない。だからこそ,3年・4. 第8粂(業務)指定法人は,次に掲げる業務を行うも. 年の2年間の内に,あれこれ学ばせるということになっ. のとする。 1 アイヌ文化を継承する者の育成その他のアイヌ文. てしまっていた面がある。. 化の振興に関する業務を行うこと。. アイヌ民族について学ばせる機会は,総合的な学習の. 時間の中でも可能である。そうなれば,社会科副読本の. 2 アイヌの伝統等に関する広報活動その他の普及啓. 発を行うこと。. 取扱いもまた検討されなくてはならないだろう。アイヌ. 3 アイヌ文化の振興等に資する調査研究を行うこ. 民族の記述を充実させる一方で,社会科副読本の利用を 総合的な学習の時間9時間においても弾力的に利用でき. と。. るようにし,3年・4年と5年・6年で,学ばせるべき. 4 アイヌ文化の振興等に資する調査研究を行う者に. 対して,助言,助成その他の援助を行うこと。. ことを適切に学習させることが望ましい。社会科の授業. 5 前各号に掲げるもののほか,アイヌ文化の振興等. 時間の時間数が大幅に削られたことを考えるならば,総 合的な学習との相互調整を行い,アイヌ民族に関する授. を図るために必要な業務を行うこと。. 業を,総合的な学習の時間にスライドさせ,総合的な学. このような業務を行うための予算は,2000年度で7億. 習の中で社会科と連携を図りながら,系統的に学習させ. 2千220万円であるが,公的な補助金(国・道で同額) 7億1千875万円となっており,予算のほぼ全額が補助. ていくことが将来的には望ましいかもしれない。. 金によって賄われている。2000年度の事業は,上記の1. 3.アイヌ文化振興法以降の取り組み. ∼4の業務に沿って展開されている。事業項目を見ると. 委内に設置されたのは,北海道において北海道りタリ福. (丸括弧内は予算額),「アイヌ文化の振興」(3億6千542 万円),「アイヌ語の振興」(3千759万円),「アイヌの伝. 祉対策が始まろうとしていた時期であり,その後,国に. 統等に関する普及啓発」(1億274万円),「アイヌに関す. おいてもぅタリ対策事業を始めた時期である。りタリ対. る総合的かつ実践的な研究の推進」(5千370万円)となっ. 1973年に,「ナタリ指導に関する研究協議会」が道教. − 83 −.

(7) 清 水 敏 行. ており,予算額に見られるように,アイヌ民族を対象に. 4 和人の文化と対比して特徴的な部分だけに着目す. した学術研究よりも,アイヌ民族自身の文化振興に重点. るのではなく,アイヌ文化を全体的にとらえる。. 5 可能な限り通史的な叙述とする。. をおいていることがわかる。 これらの事業の中で,学校教育にかかわるものは,「ア. 6 「伝統的なアイヌ文化」を時代から切り離された. イヌの伝統等に関する普及啓発」の中の「/ト中学生向け. ものとして固定的に提示するのではなく,アイヌ文. 副読本の作成・配布事業」(1千500万円)であり,「ア. 化の歴史的な変化の流れのなかに可能な限り位置づ. イヌ文化の振興」の中の「アイヌ文化活動アドバイザー. 派遣事業」(2千87万円),「アイヌ口承文芸ビデオ鑑賞. ける。その際には文化の歴史に価値の尺度を持ち込 まないよう留意する。. 会事業」(504万円)である。学校教育に直接関係するの. 7 近代・現代のアイヌの人々の生活を提示し,やは. は「/ト中学生向け副読本の作成・配布事業」であり,「現. りアイヌ文化が動いてきた歴史の流れのなかに位置. 在の学校教育の場において,アイヌの人々や伝統につい. づける。. 8 アイヌ文化の地域差・時代差を,モデル的なもの. て体系的に学ぶことのできる副読本はありません。この. であっても,可能な限り理解させる。. ため,学校教育の中で活用できるアイヌ民族に関する副. 9 先住民族・少数民族・先任権などの概念につい. 読本を新たに作成し,全国の小中学枚へ配布することに. て,取り上げる。. よりアイヌの伝統等についての知識の普及啓発を図ろう. とする事業です。」¢功とされている。 この「ねらいと留意点」で,特徴的なことは,これま. FRPACの事業の中で,小中学校向け副読本の作成に ついて,現在までの動きを述べておく。1997年7月の財. でも社会科副読本の記述,さらにアイヌに閲した授業実. 団設立後,『アイヌ民族に関する副読本(仮称)』を作成. 践が伝統的なアイヌ文化がいまも続いているという誤解. する検討を始めており,1998年度・1999年度・2000年度. を児童にさせてしまってはいないかということへの配慮. の3カ年計画で取り組んでいる。1998年皮には副読本を. が繰り返し述べられていることである。アイヌの人たち. 作成するための基本方針と計画を定め,1999年度には『ア. は,いまもチセ(住居)に住み,アットウシ(着物)を. イヌ民族に関する指導資料』を作成,発行している¢カ。. 着て,熊を捕まえる狩猟生活をしているという誤解であ. この資料は全国の学校に配布されているという。2000年. る。これは,アイヌの人たちについての知識の不足によ. 皮内には,小中学校向けの副読本を発行する予定となっ. るものであるが,そもそもに和人は自分たちと比較して 「特有」な部分だけを関心の対象にするという和人中心. ている。. の考え方にも問題があるとされている。. 『アイヌ民族に関する指導資料』は,1992年に発刊さ. 「ねらいと留意点」では,このような指摘に続けて,. れた『高等学校教育指導資料 アイヌ民族に関する指導. の手引き』以来,8年ぶりの資料になる。今回の資料は,. アイヌの人たちは,明治以降は,和人による同化の圧力. あくまでも,学校の教貞にアイヌ民族に関する正確な知. を受けてきたが,「しかしそのなかでも,自分たちの生. 識と理解をしてもらうこと,それを目的としたものに. 活や家族などを維持するために新しいものを取り入れる. なっており,これまでの資料に見られた指導案を含む実. という,アイヌの人々による主体的な努力が行われてき. 践的な内容のものとは違っている。以下,『アイヌ民族. たのです。そこにあったのは,一方的に抑圧されただけ. に関する指導資料』に示されている,「ねらいと留意点」. の歴史ではないと考えます。」㈹と述べている。歴史や. を紹介しておくことにする¢勿。. 文化を見る視点を,そもそもにどこに置くべきなのか, それを,この「ねらいと留意点」は問題にしていると言. える。. 1 信頼できる研究の成果を踏まえ事実に即した叙述. FRPACは財団法人であり民間団体であるが,その予. を提示する。. 算は国と道の補助金でほぼ全額賄われていることは,既. 2 本書の編集の段階では「児童・生徒にかかわる範 囲」に視野を限定せずに考える。児童・生徒に配布. に指摘しておいた。北海道の教育行政とのかかわりも,. する副読本の編集にあたっても可能な限り広い視野. 当然にもってくるということである。. に立つことを目指すが,現時点で教材化・教育が困. そこで,道教委が策定した「第三次北海道教育長期総. 難だと判断される点については,指導資料の段階の. 合計画」を簡単に見ておくことにする。この計画期間は. 1998年から2007年の10カ年計画となっている。計画の開. 記述にとどめることもありうる。. 3 アイヌ民族の歴史を,日本史のなかで過去の一時. 始年度からわかるように,この計画の策定作業は1996年. 期に付属するものではなく,独立して成立するもの. から始まっている。この年の4月には,「りタリ対策の. としてとらえる。. あり方に関する有識者懇談会」が,アイヌ文化振興法の − 84 −.

(8) 2000.12. 学校教育におけるアイヌ民族教育の現状に関する調査. NO.55. 土台になる答申を提出している。このような時期に,道. アイヌ文化体験交流会の開催促進や道外の小中学生の体. 教委の計画策定作業が始まっていることは,計画の中に. 験交流に関する情報等の提供. アイヌ民族の関連事業を盛り込み,そのような事業を. 事業主体 民間. FRPACの実施事業とさせていくことを可能にしたと見. 児童生徒のための副読本の作成・配布. ることができる。道教委とFRPACが,アイヌ民族に関. 事業主体 民間. する教育・文化の面において連携する構図ができあがっ 教育相談貞の設置は既に述べたナタリ教育相談貞のこ. ている。計画に示されている施策の体系を見るならば,. とであり,1981年度より設置されている事業である。副. 次のようになっている餌。. 読本の作成は,既に見てきたようにFRPACの事業であ り,民間とは具体的にはFRPACのことである。体験交. 施策の体系. 流もFRPACが行っている事業であり,道教委のこの事 生涯学習の推進. 業もFRPACの事業のことを指していると見られる。. 豊かな心を育てる教育の推進. 振興」である。この実施計画は次のようになっている¢刀。. 次に,「文化の振興」における「アイヌ文化の保存と 人間尊重の教育の推進 アイヌ民族文化財の保存と伝承. アイヌ民族の歴史・文化等に関する教育の充実. アイヌ民族文化財の調査等. 道. アイヌの人たちの生活文化の記録保存. 道. アイヌの民族文化財の保存・活用に携わる. 社会の変化に対応する教育の推進. 専門職貞等の充実 初等中等教育の充実. アイヌ文化の伝承・保存団体の活動への支援民間. 高等教育の充実. 民俗芸能等の発表機会の充実. 社会教育の充実. アイヌ語指導者の研修の充実. 道. 文化の振興 アイヌ語の振興. アイヌ文化の保存と振興 アイヌ民族文化財の保存と伝承. アイヌ語指導者の育成. アイヌ語の振興. アイヌ語講座の開設 上級者の育成. アイヌ文化の振興. ラジオ講座の放送. アイヌ文化の理解の促進. アイヌ語学習者の発表機会の提供. 民間. アイヌ語弁論大会の開催. スポーツの振興. まず,「人間尊重の教育の推進」の中の「アイヌ民族. アイヌ文化の振興. の歴史・文化等に関する教育の充実」であるが,その施. アイヌ文化に関する総合的実践的研究等への支援. 策の基本方向は,「アイヌの人たちの歴史や文化などに. 民間. ついての理解を深めるため,アイヌの人たちを講師とし. ユーカラ等の口承文芸伝承者の育成. 民間. て招いたり,アイヌ文化を体験するなど,多様な教育活 動を推進します。」「子どもたちや地域の人々がアイヌの. 伝統的な生活文化に関する資料の作成. 民間. 解説書・マニュアルの作成. 人たちの歴史や文化,アイヌ語などについて学習したり,. 専門的なアドバイザーによる指導・助言 民間. アイヌの人たちと交流する機会を充実します。」とな っている¢頸。この「アイヌ民族の歴史・文化等に関する. 伝統工芸技術の復元・再生. 教育の充実」のための実施計画は,次のようになってい. 優秀な伝統工芸作品の表彰. る鯛. 伝統工芸品や古式舞踏,口承文芸の鑑賞機会の提供. 民間. アイヌ文化の向上発展に関する功績者や. 。. 民間. 民間. アイヌ民族の歴史・文化等について助言指導を行う教育. 道外におけるアイヌ文化の総合的な紹介 民間. 相談貞の設置. アイヌ文化体験交流の促進や情報等の提供 民間. 事業主体 道. アイヌ文化の国際交流化活動への支援. − 85 −. 民間.

(9) 清 水 敏 行. 学校教育の中でのアイヌ民族の課題は,80年代からア. アイヌ文化の振興・研究推進体制の充実 民間. イヌ文化振興法制定の時期までは,アイヌの児童が差別. アイヌ文化の理解の促進. 児童生徒のための副読本の作成・配布. を受けないよう対処することや社会科副読本から差別的. 民間. な表現を削除することであった。それもまた重要な課題 FRPACの『財団のあらまし 平成12年度』と照合す. である。アイヌ文化振興法制定以後は,このような問題. る限りでは,ここにあげられた実施計画の事業で,事業. 対処的な政策にとどまることなく,学校教育の中で教師. 主体が民間となっているもののほとんどすべて,もしく. たちがアイヌ民族の文化や歴史を取り扱えるような学習. はすべてが,FRPACの事業となっていると見られる。. 環境の整備に向けた政策が必要となる。そのような事業. そうであれば,道教委のアイヌ民族関連の施策は,基本. はFRPACを中心に始まりつつある。これからはその推. 的にFRPACを通じて実施されているとみることができ. 移を見守りながら,学校教育そのものの変化とあわせ,. る。このことは,道教委の政策実施プロセスに,. アイヌ民族教育の望ましい姿を考えていくことが必要で. FRPACという財団法人の運営を通じて,アイヌの人た. あろう。. ち自身が参画し携わるようになってきたことを意味して. いると言える。国・道とアイヌの人たちが,これまで見 注. てきた教育・文化の分野において,どのような協力関係 を築いていくのか,今あるバランスが望ましいものなの. (1)拙稿,「北海道の小学校社会科副読本におけるアイ. か議論もありうるであろうが,このような協力関係が政. ヌ民族」,『僻地教育研究』,北海道教育大学僻地教育. 策実施の段階においてではあるが制度的に築かれてきた. 施設,第50号,1996年3月,17∼51頁。同,「小学校. ことは評価されるものである。これがアイヌ文化振興法. におけるアイヌ民族教育に関する調査」,『僻地教育研. 以後の成果と言えよう。. 究』,北海道教育大学僻地教育施設,第52号,1998年 3月,43∼53頁。 (2)拙稿,「北海道の小学校社会科副読本におけるアイ. 4.む す び. ヌ民族」,23頁。. 筆者は,1998年当時,千歳市立末広小学校の佐々木博 司教諭にお会いし話しを何ったことがある幽。末広小学. (3)『北海道開発庁30年史』,北海道開発庁,1981年,238. 校での取り組みが傑出しているのは,各学年にわたり系. (4)北海道新聞社社会部編,『銀のしずく アイヌ民族. ∼239頁。. 統的にアイヌ民族の文化を学習させていることであり,. は,いま』,北海道新聞社,1991年,154∼156頁。. (5)「事業別政策調書」(アイヌ文化保存対策費),. その学習方法も,本物を使った体験学習を重視している ことであった。アイヌの人たちが地域に暮らしているな. http://www.pref.hokkaido.jp/skikaku/sk−SSnji/seisa. らば,お会いして協力をお願いする,協力を得ながら,. kuasesutyosyo/北海道教育庁10/kyo−10p22.pdf。. (6)米田優子,「学校教育における『アイヌ文化』の教. 本物のアイヌ文化を子どもたちに体験させ,アイヌの人 たちの心を理解してもらう,そのような授業が見事に実. 材化の問題点について」『北海道立アイヌ民族文化研 究センター研究紀要』,第2号,1996年3月,140頁。. 践されている。本物と体験,これが非常に印象に残った。. (7)札幌市教育委員会指導室編,『アイヌの歴史・文化. このような試みは,確かに,いまだ「面」ではなく「点」. 等に関する指導資料1』,札幌市教育委員会,1986年,. なのであろう。だが,佐々木教諭の共鳴者をもって広がっ. ていく可能性もある¢功。. 35貫。 (8)拙稿,「北海道の小学校社会科副読本におけるアイ. 教師一人一人の情熱は大事であるが,情熱ある教師が いなくてはアイヌ民族の授業が行われないというので. ヌ民族」,24頁,及び「事業別政策調書」(りタリ対策. は,これまでの状況は大きく変わることはないであろう。. 教育相談貞設置費),http://www.pref.hokkaido.jp/. そのためにも国や道の取り組みが重要になる。それを理. Skikaku/sk−SSnji/seisakuasesutyosyo/北海道教育庁. 解しているからこそ,道教委もFRPACも,副読本の作. 2/kyo−2−15.pdf。. 成に力を入れているところなのであろう。作成され,児. (9)「りタリ懇談会答申」,『北海道新聞』,1996年4月. 童に配布された副読本がどのような使われかたをするの. 2日。. か,果たして使われるのか,そのために,どの学年の,. ㈹ 北海道教育委貞会,『学校教育指導資料 アイヌの. どのような授業に,どのように組み入れるのか指針も必. 歴史・文化に関する指導の手引き』,1984年,8頁。. 要になってこよう。この点では,学習指導要領の改訂に. ㈹ 文部省,『小学校指導書社会科編』,学校図書株式会. ついても考慮されるところが出てこよう。. 社,1989年,23頁。. − 86 −.

(10) 5 5. 0 N. 学校教育におけるアイヌ民族教育の現状に関する調査. (1勿 同上,34頁。 (13)同上,35頁。 ㈹ 拙稿,「北海道の小学校社会科副読本におけるアイ ヌ民族」,27∼28頁。 ㈹ 同上,30∼31頁。 ㈹ 文部省,『小学校学習指導要領解説 社会編』,日本 文京出版株式会社,1999年,148頁。 綱 同上,42頁。 (咽 同上,143頁。 ㈹ 財団法人アイヌ文化振興・研究推進機構,『財団の あらまし 平成12年度』。 榊 同上,16頁。 釦 財団法人アイヌ文化振興・研究推進機構,『アイヌ 民族に関する指導資料』,2000年,97頁。 ¢勿 同上,ii∼iii頁。. 幽 同上,ii頁。 糾 『心豊かに学び 新世紀のふるさとを拓く人を育む. −21世紀の北海道教育長期プランー第三次北海道教育. 長期計画山16∼17頁。 ¢頚 同上,29頁。 鯛 同上,101頁。 田 岡上,142〝143頁。. ㈱ 佐々木博司教諭の論文としては,例えば,「からだ をとおして学び理解を深める」,『子どもと教育』,1998 年8月,16∼27貫。 ¢功 佐々木博司教諭の取り組みに刺激を受け,アイヌ文 化の授業に取り組んだ例として,様似町の様似小学校 の事例がある。この取り組みはホームページに紹介さ れている。. http://city.hokkai.or.jp/∼ayaeduanabi/O10000.html. − 87 −. 2000.12.

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