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Separation of Zinc from Electro Plating Wastewater 電気めっき廃水の金属分離(Zn)に関する研究

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Academic year: 2021

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電気めっき廃水の金属分離(Zn)に関する研究 

古賀弘毅*1  御幡弘明*1  

Separation of Zinc from Electro Plating Wastewater 

Hiroki Koga, Hiroaki Obata   

亜鉛めっき廃液の中から亜鉛を分離回収し,精錬所へ資源として還元するための沈殿分離法について検討した。

沈殿分離法には一般に多く用いられている中和沈殿法,鉄粉を沈殿助剤として用いる鉄粉法,そして鉄粉の代わり に塩化第二鉄溶液を用いる塩化第二鉄法を検討した。これらの方法についてpH調整のアルカリ剤に水酸化カルシウ ムを用いた場合,沈殿物中に含まれるカルシウム量が増大しスラッジ発生量も多くなった。一方,アルカリ剤に水 酸化ナトリウムを用いた場合,沈殿物の量が減少し亜鉛の濃度が高くなった。中和沈殿法では中性付近では亜鉛を 完全に沈殿分離できないのに対して,鉄粉法,塩化第二鉄法ではpH=8でも完全に亜鉛を沈殿分離することができた。 

本事業は九州経済産業局モデル循環システム事業の一環として,(株)九州テクノリサーチの委託を受け行った。 

 

1  はじめに 

めっき業界では廃液処理は避けて通れない課題であ る。九州では年間約2,500トンのめっきスラッジが発 生している1)。亜鉛めっきにおける金属亜鉛の消費量 はめっき業界全体の金属消費量のうち約3割を占める と言われており,それから算出すると亜鉛めっき関連 のスラッジは年間約750トン発生していると推測され る。亜鉛スラッジは他の金属と比べ比較的再生が容易 と言われているが,現在のところ,ほとんどが有効利 用されることなく産業廃棄物処分場で埋め立て処理さ れて い る。 し かし な がら 産 業廃 棄 物処 分 場の 容 量は 年々逼迫しており,処分コストも高騰を続けている。

現状のままではスラッジ処分費用がめっき業界に与え るダメージは一層大きくなることが予想される。従っ てめっきスラッジの削減と有効利用法を開発すること はめっき業界にとって喫緊の課題である。 

めっきスラッジの削減のためにはスラッジの減容化 が必要不可欠であり,有効利用法のひとつとしては含 有金属成分の精錬山元への原料化が有効である。原料 化のためにはコスト的に含まれる目的成分の比率があ る程度高いことが求められる。そのためには濃縮操作 が必要であり,スラッジ中の目的成分ができるだけ高 濃度になるよう選択的な処理が必要となる。 

今回は九州めっき工業組合の会員企業であるA社の 亜鉛めっき廃液をモデルケースとして,沈殿処理法を 中心に亜鉛の分離条件を検討した。 

 

2  実験方法  2-1  供試料 

実験にはA社の亜鉛めっき廃液を用いた。A社のめっ き廃水処理フローの概略を図1に示す。亜鉛めっきの ラインを中心に表現しているが,実際にはNiめっきや Snめっきも行われており混合槽にはこれらのめっき廃 液も持ち込まれる。また,クロメート処理ではクロム 酸が用いられていることから混合槽にはクロムが混入 する。今回は処理フローの中から最も高濃度に亜鉛を 含むシアン処理後の廃水を用いた(図中①)。供試料の 分析結果を表1に示す。遊離シアンは簡易試験紙によ り分析し,その他の元素はICP発光分析装置(日本ジャ ーレルアッシュ製:ICAP-88型)により分析した。 

                   

  図 1  A 社亜鉛めっき廃水処理フロー概略図   

   

*1  機械電子研究所   

(2)

 

図 2  沈殿処理操作の概略   

           

2-2  沈殿処理法について 

沈殿処理法には,中和沈殿法,鉄粉法そして塩化第 二鉄法を用いた。それぞれの処理操作の概略を図2に 示す。中和沈殿法は溶液にアルカリ剤を加えてpHをア ルカリ側へ移行させ重金属を水酸化物として沈殿させ る方法である。鉄粉法及び塩化第二鉄法は溶液にあえ て鉄イオンを供給し,中和沈殿法と同様に水酸化物沈 殿を得る方法である。鉄イオンを添加することで鉄が 沈殿凝集剤の役割を果たして沈殿粒子を粗大化し,濾 過しやすくする効果がある2)。また,鉄の水酸化物が 生成する際に他の微量金属を取り込んで沈殿するいわ ゆる共沈作用が期待できる。本研究では供試料200ml にこれらの方法を用いて分離した沈殿物及び濾過残液 を分析し,最も亜鉛を効率よく分離できる方法を選定 することを目的とした。具体的にはアルカリ剤につい ては粉末状の水酸化カルシウムまたは10mol/l水酸化 ナトリウム溶液について比較した。また,pHや鉄など の添加量を変化させて沈殿生成物の分析を行った。 

               

2-3  分析方法について 

沈殿物の分析には蛍光X線分析装置(理学電気工業 製:RIX3001型)を用いてファンダメンタルパラメータ 法により定量した。定量にあたってはナトリウムのピ ークが亜鉛のピークによって大きく妨害を受けるため 今回は分析項目から除外した。また,本来多くの金属 は水酸化物として沈殿していると思われるが,便宜上,

すべての元素を酸化物として計算した。また,多くの

割合を占める水分については変動が激しいため分析対 象からは除外した。濾過残液中の亜鉛の分析にはICP 発光分析装置(日本ジャーレルアッシュ製:ICAP-88 型)を用いた。 

表 1  めっき廃水供試料の分析結果 

  3  結果 

3-1  中和沈殿法 

中和沈殿法を用いてめっき廃水を処理し,その沈殿 物及び濾過残液を分析した結果を表2に示す。 

まず,アルカリ剤に水酸化カルシウムを用いた場合,

沈殿物中の亜鉛量に着目すると,pH=7.9の時が最も濃 度が高く,pH値が大きくなるほど濃度は低下した。濾 過残液中の亜鉛濃度は,pH=7.9の場合にやや多く検出 されたものの,その他の条件ではほとんど検出されな かった。一方,pHの上昇とともにカルシウムの比率が 増えた。供試料中の亜鉛濃度を130.6ppmとした場合の 沈殿物組成比から全体の沈殿発生量を算出したところ,

pH値の大きなものほど大きくなった。亜鉛の沈殿量は 一定とすると全体の沈殿物の発生量にはカルシウムが 大きく影響しており,水酸化カルシウムの添加量が多 くなるに従って沈殿発生量が増大することがわかった。 

一方,アルカリ剤に水酸化ナトリウムを用いた場合,

いずれの条件においても沈殿物中に含まれる亜鉛濃度 は60%程度と極めて高濃度となった。濾過残液中の亜 鉛量はpH=12以外は概ね100%近い沈殿分離が可能であ った。pH=12の条件で濾液中の亜鉛濃度が高かった理 由は亜鉛が両性金属であるためにややアルカリ性の強 い液性では沈殿の一部が溶出するためと考えられる。

沈殿物中の亜鉛濃度から全体の沈殿物発生量を算出す ると,いずれも50mg前後と水酸化カルシウムを用いた 場合よりも少なかった。 

                     

Al2O3 4.21 2.28 1.46 0.48 0.56 0.49

CaO 23.51 53.83 70.08 0.26 1.21 4.82

Cr2O3 0.25 - - 0.20 0.22 0.26

Fe2O3 4.09 2.15 1.08 3.91 2.15 1.85

K2O 0.05 - - 0.02 - 0.03

MgO 2.32 2.14 6.44 - 1.64 5.03

MnO - 0.23 - - 0.06 0.06

P2O5 3.43 1.79 0.96 3.67 3.03 1.79

SO3 4.03 6.51 3.96 0.57 1.15 0.51

SiO2 16.83 10.52 6.44 25.14 32.73 25.18

ZnO 41.28 20.57 9.72 65.65 57.16 59.89

( % ) 過残液中Zn量 8.4 < 0.1 < 0.1 2.7 0.2 7.4

( ppm ) 全沈殿発生量 73.7 158.1 334.5 48.5 56.8 51.2

( mg )

アルカリ剤 水酸化カルシウム

pH 7.9 10.5 12.1 8.1 10.2 12.0

水酸化ナトリウム

2  中和沈殿法による沈殿物及び濾過残液の分

(3)

3-2  鉄粉法 

鉄粉法を用いてめっき廃水を処理し,その沈殿物及 び濾過残液を分析した結果を表3に示す。この実験で は中和沈殿法で最も沈殿発生量が低く抑えられた条件 を用いることとし,アルカリ剤に水酸化カルシウムを 用いる場合はpH=8.5,水酸化ナトリウムを用いる場合 はpH=10に設定した。なお,添加した鉄粉のうち未反 応のものについては磁石で分離しできるだけ沈殿物に 混入しないようにした。     

アルカリ剤に水酸化カルシウムを用いた場合,沈殿 物の分析結果をみると中和沈殿法と同様にカルシウム が大きな割合を占めたが鉄粉量の増加とともに減少し た。鉄は鉄粉量が多くなるに従い割合が高くなった。

亜鉛の割合はいずれの条件においても大きな差は見ら れなかったが,中和沈殿法と比べるとその割合は全体 的に低かった。また,全体の沈殿発生量はいずれの条 件においても大きな差はなかった。 

一方,アルカリ剤に水酸化ナトリウムを用いた場合 では,水酸化カルシウムを用いた場合と比べて沈殿物 中の亜鉛濃度は高くなったものの,鉄の割合が大きく なっており中和沈殿法と比べると低い結果となった。

また,沈殿発生量は全ての条件で低く抑えられたが,

これも中和沈殿法と比べると優位性は見られなかった。 

                       

3-3  塩化第二鉄法 

塩化第二鉄法を用いてめっき廃水を処理し,その沈 殿物及び濾過残液を分析した結果を表4に示す。この 実験でも鉄粉法と同様にアルカリ剤に水酸化カルシウ ムを用いる場合はpH=8.5,水酸化ナトリウムを用いる 場合はpH=10に設定した。なお,塩化第二鉄溶液は鉄 として500ppmとなるように調製したものを用いた。 

アルカリ剤に水酸化カルシウムを用いた場合,沈殿 物の分析結果をみると中和沈殿法と同様にカルシウム が大きな割合を占めた。しかし,鉄粉法と比べると沈 殿物中に含まれる鉄量はさほど高くはならなかった。

亜鉛の割合はいずれの条件においても大きな差は見ら れなかったが,中和沈殿法と比べるとその割合は全体 的に低かった。また,全体の沈殿発生量はいずれの条 件においても多量に発生しており大きな差はなかった。 

一方,アルカリ剤に水酸化ナトリウムを用いた場合 では,水酸化カルシウムを用いた場合と比べて沈殿物 中の亜鉛濃度は極めて高くなっており,中和沈殿法と 同等であった。鉄粉法と比べると鉄の割合がさほど大 きくはなっていないことが原因と考えられる。また,

沈殿発生量は全ての条件で低く抑えられ,中和沈殿法 と同等であった。 

                        4  まとめ 

A社の亜鉛めっき廃液からZnの沈殿分離について中 和沈殿法,鉄粉法,塩化第二鉄法を検討した。 

全般を通じてアルカリ剤に水酸化カルシウムを用い る場合,沈殿中には多量のカルシウムが混入すること となり,結果として亜鉛の濃度が低くなるとともに,

沈殿発生量としても増大することがわかった。 

一方,アルカリ剤に水酸化ナトリウムを用いた場合,

カルシウムの混入が激減するため相対的に亜鉛の濃度 は増大し,中和沈殿法及び塩化第二鉄法ではいずれの 条件においても50%を超えた。鉄粉法では過剰の鉄分 を混入することとなり,鉄の水酸化物の沈殿が多く発 生するため相対的に亜鉛濃度が低めとなった。 

今回の試験では鉄粉または塩化第二鉄を添加するこ との利点が明確とならなかったが,鉄が凝集剤として 表 3  鉄粉法による沈殿物及び濾過残液の分析結果

Al2O3 0.87 0.90 1.33 0.57 0.82 1.08

CaO 57.95 53.60 23.55 1.46 1.69 0.78

Cr2O3 0.07 0.07 0.07 0.20 0.13 0.09

Fe2O3 9.51 13.69 34.87 10.55 23.96 44.01

K2O 0.02 0.02 0.03 0.02 0.02 0.02

MgO 0.82 1.42 1.20 1.29 1.56 0.89

MnO 0.10 0.14 0.11 0.06 0.06 0.07

P2O5 1.37 1.36 1.87 2.62 2.07 1.09

SO3 2.79 3.14 1.12 0.45 0.63 0.56

SiO2 7.98 9.50 13.08 27.40 24.90 16.89

ZnO 18.51 16.44 22.65 55.32 44.10 34.47

( % )

過残液中Zn量 0.2 0.3 1.1 0.3 0.3 0.1

( ppm ) 全沈殿発生量 175.4 197.3 142.3 58.6 73.6 94.2

( mg )

0.01g 0.05g 0.1g

水酸化ナトリウム(pH=10.0)

アルカリ剤 水酸化カルシウム(pH=8.5)

鉄粉量 0.01g 0.05g 0.1g

Al2O3 0.74 0.83 0.73 0.45 0.42 0.38

CaO 69.42 66.02 70.55 1.35 1.46 1.71

Cr2O3 0.06 0.09 - 0.19 0.18 0.12

Fe2O3 2.09 4.67 5.55 4.15 10.45 16.61

K2O 0.02 0.02 0.02 0.02 0.02 0.02

MgO 1.09 0.65 0.67 1.22 1.11 1.78

MnO 0.11 0.08 0.09 0.05 0.06 0.05

P2O5 1.12 1.46 1.11 2.23 2.36 2.26

SO3 3.50 2.62 3.18 1.00 0.91 1.02

SiO2 6.22 6.37 5.35 29.32 25.39 22.63

ZnO 15.60 17.17 12.76 59.91 57.54 53.32

( % )

過残液中Zn量 0.2 3.2 1.5 0.2 0.2 0.3

( ppm ) 全沈殿発生量 208.1 184.7 251.9 54.2 56.4 60.8

( mg )

1ml 5ml 10ml

水酸化ナトリウム(pH=10.0)

アルカリ剤 水酸化カルシウム(pH=8.5)

塩化第二鉄溶液

添加量 1ml 5ml 10ml

表 4  塩化第二鉄法による沈殿物及び濾過残液の分

(4)

の機能を果たすことから,今回検討していない脱水性 の点で利点があるかもしれない。実際のめっきスラッ ジでは含水率が概ね70%以上となっているものが大半 であり,含水率の縮減がスラッジ減容化の課題であり,

今後の検討課題としたい。 

 

5  参考文献 

1)九州経済産業局:めっきスラッジのリサイクルに伴 うモデル循環システムの調査研究,p.2(2005)  2)小坂幸夫:めっき向上の排水処理技術,p.43,海文

社(1988) 

参照

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