景
全
寺
和
西
院
流
に
就
い
て
金
山
穆
詔
一 西 院 流 は 廣 澤 根 本 六 流 の 一 で あ る。 し か し て 此 の 流 に は 八 結 等 多 く の 聖 敏 口 訣 を 傳 ふ る が、 今 此 等 に つ い て 沙 汰 せ ん と す る に あ ら す、 た い 此 流 に 高 耐 大 師 の 阿 弟 に し て、 ま た 付 法 の 弟 子 た る 貞 観 寺 箕 雅 僧 正 の 記 な る 六 貞 逼 記、 及 び 此 の 六 貞 通 記 の 口 訣 と も 見 ら る、 三 代 別 記 な る も の を 傳 ふ。 此 の 六 貞 逓 記、 及 び 三 代 別 記 は、 當 流 の 説 に 依 れ ば、 高 祀 大 師 入 唐 し 延 暦 二 十 四 年 六 七 入 の 三 ヶ 月 に、 長 安 青 龍 寺 に 於 て 灌 頂 を 受 け 給 ひ た る 時 の 秘 印 秘 明 を 記 ぜ る も の に し て、 こ れ 洵 に 當 流 の 宗 極、 密 宗 の 道 肝 な り と す、 今 此 の 六 貞 通 記 及 び 三 大 別 記 の 如 何 な る も の な る や を 明 か し、 以 て 當 流 の 道 肝、 密 宗 の 宗 極 の 存 す る と こ ろ を 略 叙 せ ん と す、 な ほ そ れ に 先 だ ち 當 流 の 相 承 を 附 記 し よ う と 思 ふ。 二 大 師 付 法 の 弟 子 数 多 あ る も、 密 宗 の 道 肝 を 傳 へ 其 付 法 の 殊 勝 な る は、 實 慧、 眞 雅 の 爾 大 徳 で あ る。 し か し て 實 慧 附 法 の 弟 子 に 暉 林 寺 の 眞 紹 あ り、 眞 紹 の 法 を 織 承 し た る も の は 宗 叡 で あ る。 宗 叡 は 眞 紹 西 院 流 に 就 い て 一西 院 流 に 就 い て 二
の
俗
甥
な
る
が
初
め
比
叡
山
に
上
り
剃
髪
し、
智
円謹
大
師
よ
り
雨
部
の
密
法
を
受
け、
後
東
密
に
蹄
し、
實
慧
に
金
剛
界
を
受
け、
更
に
眞
紹
を
禮
し
て
阿
閣
梨
位
灌
頂
を
授
か
り、
貞
観
四
年
眞
如
親
王
に
從
ひ
て
入
唐
し、
玄
慶
よ
り
金
剛
界、
法
全
に
胎
藏
の
灌
頂
を
受
け、
密
軌
を
持
し
て
蹄
朝
し、
後
東
寺
の
長
者
に
任
せ
ら
れ
た
る
人
な
る
が、
宗
叡
に
依
つ
て
大
師
の
法
流
に
異
彩
を
帯
ぶ
る
に
至
つ
た、
此
の
宗
叡
附
法
の
資
に
南
池
院
源
仁
あ
り、
源
仁
は
眞
雅
の
法
流
を
傳
へ
た
る
と
と
も
に、
ま
た
宗
叡
の
法
賑
を
相
承
せ
る
人
で
あ
る、
し
か
れ
ば
大
師
の
法
流
は
一
慮
實
慧
眞
雅
と
分
か
れ
た
れ
ど
も、
源
仁
に
至
つ
て
其
の
法
流
統
一
せ
ら
れ、
一
系
譜
と
な
れ
る
も
の
で
あ
る。
其
の
源
仁
の
附
法
に
盆
信、
聖
寳
の
爾
大
徳
あ
り、
其
中
聖
寳
は
小
野
流
の
元
粗
に
し
て、
盆
信
は
廣
澤
の
元
頑
で
あ
る。
帥
ち
盆
信、
寛
平
法
皇、
寛
塞、
寛
朝、
濟
信、
性
信、
寛
助
等
と
次
第
相
承
す
る
法
流
を
廣
澤
流
と
云
ふ。
但
し
廣
澤
流
の
稽
號
は
寛
朝
の
時
よ
り
起
る。
帥
ち
此
師
廣
澤
の
遍
照
寺
に
住
せ
し
が
故
に、
地
名
に
約
し
て
得
た
る
名
欝
な
る
が、
當
時
小
野
に
仁
海
信
正
あ
り、
殆
ん
ど
同
時
の
名
匠
な
う
し
か
ば、
仁
海
の
小
野
に
樹
し、
自
ら
廣
澤
の
名
稻
を
得
る
に
至
り
し
も
の
で
あ
る。
か
く
の
如
く
廣
澤
流
の
薦
號
は
寛
朝
の
時
よ
り
起
り
し
も、
此
の
流
の
粗
は
盆
信
で
あ
る、
盆
信
は
幼
に
し
て
宗
叡
の
室
に
入
り
て
薙
髪
し、
後
仁
和
三
年
東
寺
に
於
て
源
仁
よ
り
爾
部
の
灌
頂
を
受
け
宗
叡
相
承
の
法
全
の
聖
教
等
を
授
與
せ
ら
れ、
昌
泰
二
年
寛
平
法
皇
の
御
受
戒
師
と
爲
り、
延
喜
元
年
十
二
月
円十
三
日
法
皇
に
傳
法
灌
頂
を
授
け
奉
り、
法
皇
の
嚴
旨
を
蒙
り
て
六
貞
逼
記
の
口
訣
た
る
別
記
を
作
る、
こ
れ
所
謂
三
代
別
記
の
中
の
最
初
の
一
代
で
あ
る。
寛
平
法
皇
は
仁
和
三
年
二
十
五
に
し
て
王
位
に
登
り、
昌
泰
二
年
十
月
十
四
日
實
算
三
十
三
に
し
て
盆
信
を
國
師
と
し、
落
飾
し
給
ひ、
寳
衣
を
脱
い
で
壊
色
に
換
へ
法
號
を
察
理
と
繕
し
給
ふ、
後
盆
信
よ
り
傳
法
灌
頂
の
職
位
を
受
け
給
ひ、
胎
藏
界
念
諦
次
第
一
巻、
金
剛
頂
蓮
華
部
心
念
諦
次
第
二
憲
其
他
+
入
道
念
諦
次
第
等
を
製
し、
又
盆
信
の
例
に
任
せ
て
別
記
を
書
し、
香
隆
寺
の
寛
塞
に
授
け
給
ふ。
寛
室
は
蓮
壷
寺
信
正
と
い
ひ
ま
た
香
隆
寺
と
號
す、
紳
日
律
師
の
入
室
の
資
に
し
て、
寛
平
法
皇
の
御
灌
頂
の
弟
子
な
り、
延
命
院
元
呆
具
支
灌
頂
の
師
に
し
て、
天
暦
二
年
遍
照
寺
寛
朝
に
傳
法
灌
頂
を
授
け、
叉
先
規
を
追
う
て
第
三
代
の
別
記
を
書
し
て
之
を
與
ふ。
寛
室
の
次
に
遍
照
寺
寛
朝、
北
院
濟
信
大
御
室
性
信、
成
就
院
寛
助
と
次
第
相
承
せ
リ、
其
寛
助
の
下
に
数
多
の
資
あ
り、
贋
澤
の
諸
流
相
分
か
る、
帥
ち
寛
助
付
法
の
弟
子
に
畳
法
親
王
畳
鎮、
寛
遍、
永
嚴、
信
誰、
聖
恵
親
王、
眞
碁
の
七
人
あ
り、
何
れ
も
智
行
抜
群
に
し
て
一
流
の
租
と
な
る。
畳
法
親
王
の
法
流
を
御
流
と
號
し、
信
讃
信
正
の
法
流
を
西
院
流
と
幕
し、
永
嚴
法
印
の
法
流
を
保
壽
院
流
と
い
ひ、
聖
恵
親
王
の
法
流
を
華
藏
院
流
と
い
ひ、
寛
遍
僧
正
の
法
流
を
ば
忍
辱
山
流
と
幕
し、
豊
鍍
上
人
の
法
流
を
ば
傳
法
院
流
と
號
す。
以
上
廣
澤
の
根
本
六
流
と
云
ふ
眞
碁
の
持
明
院
流
は
廣
澤
六
流
の
外
な
り。
三
西
ノ
院
流
の
耐
た
る
信
謹
信
正
を
ば
堀
池
ノ
僧
正
又
は
法
浄
院
或
は
三
ノ
宮
信
正
と
號
し、
叉
は
西
ノ
院
と
も
総
西 院 流 に 就 い て 三西 院 流 に 就 い て 四 す、 此 院 は も と 仁 和 寺 に あ り、 西 ノ 院 の 名 稽 は 此 時 よ り 始 ま る。 此 師 は 後 三 條 帝 御 三 ノ 王 子 輔 仁 親 王 の 御 子 な り、 幼 に し て 出 家 し、 學 業 早 く 成 り、 保 安 五 年 年 二 十 七 歳 に し て 御 室 の 観 音 院 に 於 て、 寛 助 大 僧 正 よ り 傳 法 灌 頂 を 受 け 附 法 の 資 と な る。 鳥 朋 上 皇 は 師 を 國 師 と し て 落 飾 せ ら る。 寛 助 大 僧 正 附 法 の 弟 子 三 十 鯨 人 あ り し も、 廣 澤 の 流 底 を 端 し て 稟 承 せ る も の は 師 な り と 云 ふ。 練 細 秘 傳 鋤 に 曰 く、 成 就 院 大 僧 正 者 骨寛 助 ノ 事 也、 御 流 ノ 淵 底 斯 時 二 始 り、 附 法 三 十 人 ノ 内、 上 足 者 保 壽 院 ノ 永 嚴 法 印、 附 法 ハ 堀 池 ノ 宮 信 正 ナ ソ 云 云、 子 細 ア リ 先 ヅ 法 流 ヲ 堀 池 二 傳 フ、 御 遺 命 二 依 テ 後、 高 御 二 授 ケ 給 ヘ ソ、 故 誇 知 ヌ 御 流 ト ハ 成 就 院 ヲ 以 テ 最 初 ト 爲 ス、 各 各 ノ 秘 傳 堀 池 ヨ リ 高 御 二 傳 フ 云 云。 信 謹 の 資 に 任 畳 あ り、 西 院 法 印 と も 號 す。 此 記 を 西 人 と 云 ふ、 西 院 の 任 畳 と 云 ふ 意 な り、 任 畳 附 法 の 資 に 最 寛 あ り、 三 位 法 印 と も 云 ふ、 此 の 師 の 記 を 二 と 云 ふ、 こ れ 三 位 法 印 と 云 ふ の 意 な り。 最 寛 の 附 法 に 宏 漱 律 師 あ り、 本 名 は 繹 遍 と 號 す、 少 輔 律 師 と も 云 ふ。 金 玉 保 壽 院、 常 喜 院、 小 嶋 流、 勧 修 寺 流 等 の 諸 流 に 達 し、 ま た 當 流 の 灌 頂 を 最 寛 に 受 け、 そ れ よ り 一 家 の 大 事 を 悉 く 之 を 傳 授 せ り、 付 法 の 仁 多 し、 其 中 能 暉 を 以 て 當 流 潟 瓶 の 弟 子 と せ り、 宏 教 一 日 石 清 水 入 幡 宮 に 詣 で、 付 法 の 弟 子 を 所 誓 し 入 幡 の 夢 想 を 戚 じ、 潟 瓶 の 仁 を 能 輝 と 定 め た り と 云 ふ、 能 輝 は 宏 敢 に 隨 逐 し て 關 東 に 下 り、 宏 敏 よ り 淵 底 を 蓋 し て 受 法 し、 宏 敏 入 滅 の 後 上 洛 し て 西 山 の 月 輪 寺 の 大 悲 心 院 に 住 せ り、 附 法 弟 子 十 数 人 あ り 其 中 東 寺 寳 菩 提 院 の 亮 繹 を 以 て 潟 瓶 の 弟 子 と 爲 す、 亮 繹 は 弘 安 二 年 十 一 月 十 一 日 大 悲 心 院 に 於 て 能 灘
よ
り
傳
法
灌
頂
を
受
け、
寳
菩
提
院
を
創
め
て
開
租
と
な
り、
後
長
者
に
加
任
せ
ら
れ、
暦
癒
四
年
七
月
二
十
六
日
入
十
四
歳
に
て
寂
す、
傳
法
の
弟
子
二
十
籐
人
あ
り、
し
か
も
其
中、
頼
我
及
び
高
野
山
玄
海
を
以
て
付
法
の
弟
子
と
定
む、
し
か
し
て
高
野
山
に
て
は
玄
海
の
法
流
は
宥
快、
成
雄
等
と
次
第
相
承
せ
る
も、
後
そ
の
相
承
断
絶
し
て、
元
緑
年
中、
高
野
山
の
畳
音、
御
室
箕
乗
院
孝
源
大
信
正
に
隨
て
之
を
相
承
せ
る
も
頼
我
の
血
賑
は
宏
壽、
宏
寛、
藪
濟、
俊
雄
等
と
相
績
し
て
今
に
絶
え
す。
四
六
題
貞
記
は
前
段
所
述
の
如
く、
一
宗
の
大
事、
當
流
の
最
極
秘
要
に
し
て、
こ
れ
眞
雅
僧
正
大
師
よ
り
相
承
し
給
へ
る
道
肝
で
あ
る。
し
か
し
て
六
逼
の
中、
前
五
逼
は
爾
部
傳
法
灌
頂
の
印
明
の
説
慮
を
記
せ
る
も
の
に
し
て、
第
六
通
は
阿
闊
梨
位
灌
頂
の
印
明
を
示
さ
れ
た
る
も
の
で
あ
る。
帥
ち
六
蓮
の
中
最
初
の
二
逼
は、
胎
藏
大
日
の
眞
言
た
る
烈
個
ミ
誕
慮
の
五
字
明
の
説
慮
を
明
か
し、
次
の
二
蓮
は
無
所
不
至
の
印
の
説
慮
を
示
し、
第
五
遙
は
無
所
不
至
の
印
と
五
股
の
印
と
を
以
て
爾
部
理
智
円の
二
塔
と
な
す
説
慮
を
明
か
し、
第
六
通
は
喩
祇
経
序
品
に
依
り、
五
股
の
印
と
亡
の
明、
帥
ち
智
印
智
明
を
示
し
給
ひ
し
も
の
で
あ
る。
當
流
に
て
は
此
の
六
適
貞
記
は
高
祀
大
師
御
在
唐
中、
帥
ち
延
暦
二
十
四
年
六
七
入
月、
長
安
の
青
龍
寺
に
於
て
恵
果
和
爾
よ
り、
灌
頂
を
受
け
給
ひ
し
と
き
の
秘
印
秘
明
な
り
と
傳
ふ。
帥
ち
高
租
の
御
請
來
録
に
ニ ル ニ ノ テ ニ テ ニ ヅ ニ テ ト ン ク ノ ニ六
月
上
旬
入
二學
法
灌
頂
壇
一ゆ
是
日
臨
天
悲
胎
藏
大
曼
陀
羅
一依
法
拗
花。
偶
然
着
二中
台
砒
盧
遮
那
如
來
身
上
司
阿
闊
梨
西 院 流 に 就 い て 五西 院 流 に 就 い て 六 ソ ク ナ リ ト シ 玉 フ チ ン ニ ヶ テ リ レ ケ ヲ ス
讃
日。
不
可
思
議
不
可
思
議。
再
三
讃
歎。
帥
沐
五
部
灌
頂
一受
三
密
加
持
司從
レ此
以
後
受
二胎
藏
之
梵
字
儀
軌
殉
學
諸
奪
之
テ喩
伽
観
賀
二 覧 ン デ ノ ニ デ ク テ ツ ニ テ タ リ テ シ 玉 フ コ ニ ク七
月
上
旬
更
臨
二金
剛
界
大
曼
茶
羅
司重
受
二五
部
灌
頂
一。亦
抱
花
得
工既
盧
遮
那
司
和
爾
驚
歎
如
前。
入
月
上
旬
亦
受
二傳
法
阿
閣
梨
位
之
灌
頂
司
云
云
又
曰
く
ス ニ ニ ス テ ニ ス ル コ ニ ル テ 許 レ我 以 レ入 一灌 頂 道 場 司沐 受 明 灌 頂 一再 三 焉。 受 二阿 闊 梨 位 二 度 也。 云 云 ス ル コ ニ 唱 ル コ 画 テ ー 此 の 如 く 青 龍 寺 に 於 け る 六 七 八 月 の 灌 頂、 所 謂 沐 ニ受 明 灌 項 再 三 焉 受 陶 閣 梨 位 二 度 也 の 灌 頂 の 御 口 決 を 示 さ れ た る も の は 六 通 貞 記 な り と す。 尤 も 六 七 入 月 の 御 灌 頂 に つ い て は、 小 野 廣 澤 の 所 傳 異 な り、 小 野 流 に て は 六 月 七 月 の 御 灌 頂 は 胎 藏 金 剛 爾 界 の 許 可 灌 頂 に し て、 入 月 の 御 灌 頂 は、 正 し く 傳 法 灌 頂 な り し と 相 傳 す。 即 ち 許 可 灌 頂 と 傳 法 灌 頂 と は 各 別 な り と 見 る も、 廣 澤 流 に て は、 許 可 灌 頂 の 外 に 別 に 傳 法 灌 頂 を 立 せ す、 隨 て 六 七 爾 月 の 受 明 灌 頂 は 帥 傳 法 灌 頂 に し て、 入 月 の 御 灌 頂 は、 喩 祇 灌 頂 等 の 最 秘 印 明 の 御 受 法 な り し と 傳 ふ。 依 て 廣 澤 流 に て は、 許 可 灌 頂 と 傳 法 灌 頂 と は 無 淺 深 に し て、 許 可 印 明 の 外 に 傳 法 の 印 明 な し と 傳 ふ。 (尤 も 後 代 に は 廣 澤 方 に も 許 可 の 作 法 を 爲 す に 至 り し も ) 郎 ち 當 流 の 説 に 依 ら ば、 六 月 は 胎 藏 七 月 は 金 剛 界 の 傳 法 灌 頂 に し て、 六 通 貞 記 の 中 前 五 逼 は、 此 の 爾 界 の 傳 法 灌 頂 の 印 明 を 明 か せ し も の に し て、 第 六 通 は 入 月 御 灌 頂 の 秘 印 秘 明 な り と す。 し か れ ど も 六 蓮 貞 記 の 文の み に て は、 前 四 通 は 理 印 理 明 に し て、 第 五 蓮 は 理 塔 と 智 塔 の 印 を 記 せ る も の で あ る。 隨 て 六 通 貞 記 の 文 の み に て は、 六 月 の 胎 藏 の 灌 頂 に は 理 印 理 明、 七 月 の 金 剛 界 の 灌 頂 に は 智 印 ま た は 理 印 に 智 円明 を 授 與 し 給 ひ し も の の 如 く 思 は る も、 三 代 別 記 よ ケ 見 る と き は 胎 藏 に は 智 印 理 明、 金 剛 界 は 理 印 智 明 を 用 ひ 理 智 二 塔 の 印 に 互 に 理 智 の 明 を 加 へ て、 爾 部 不 二 の 深 旨 を 表 現 せ る こ と を 知 ら る、 の で あ る。 即 ち 貞 記 の 前 五 萢 は 三 代 別 記 に 依 て、 初 め て そ の 深 旨 顯 は れ し も の と 云 ふ べ し、 第 六 蓮 は 智 印 智 明 の 義 分 明 に し て こ れ 一 宗 の 大 事、 當 流 の 最 極 秘 要 で あ る。 五 今 圖 遙 貞 記 と 三 代 別 記 の 内 容 を 記 し、 更 に 當 流 の 宗 極 と す る と こ ろ を 略 叙 せ ん に、 六 蓮 貞 記 の 第 一 の 記 に は 大 日 經 第 三、 同 疏 第 十 一 巻、 秘 藏 記 等 を 引 い て 製 儲 ミ 冬 寂 の 五 字 明 の 説 慮 を 示 し、 第 二 の 記 駕 は 大 日 經 疏 第 一、 秘 藏 記 等 を 引 い て 五 字 明 の 眞 言 及 び 灌 頂 の 義 を 明 か し、 第 三 の 記 に は 大 日 經 第 四 聖 槻 音 儀 軌 を 引 い て 無 所 不 至 の 印 の 出 慮 を 示 し、 第 四 の 記 に は 秘 藏 記 を 引 い て 無 所 不 至 の 印 母 等 を 明 か し、 第 五 の 記 に は 秘 藏 記 を 引 い て 爾 部 灌 頂 の 印 た る 理 智 二 塔 の 本 説 を 示 す、 即 ち 無 所 不 至 の 印 を ば 理 塔 と 名 け、 五 股 の 印 を ば 智 塔 と 名 く、 し か し て 理 塔 は 到 個 ミ 良 寂 の 五 字 所 成 の 塔 に し て 智 塔 は 貢 字 所 成 の 塔 な る 秘 旨 を 明 か す。 第 六 の 記 は 喩 紙 經 に 依 り、 五 股 の 印 と 改 の 明 郎 ち 智 印 智 明 の 大 事 を 明 か す も の で あ る。 西 院 流 に 就 い て 七
西 院 流 に 就 い て 八
以
上
六
通
貞
記
の
當
分
よ
り
見
れ
ば、
初
め
の
四
萢
は
理
印
理
明
の
出
慮
を
記
せ
る
も
の
に
し
て、
第
五
蓮
に
は
理
智
二
塔
の
説
慮
を
明
か
し、
第
六
通
は
智
印
智
明
の
大
事
を
示
さ
れ
た
る
も
の
で
あ
る。
し
か
し
て
前
記
の
如
く
此
の
六
蓮
貞
記
は、
貞
観
寺
眞
雅
僧
正
の
記
に
し
て、
南
池
院
源
仁、
圓
城
寺
盆
信
の
二
代
は
六
通
貞
記
に
依
て
灌
頂
の
印
明
を
授
け、
此
の
外
に
別
に
印
信
と
か
別
記
と
か
云
ふ
も
の
あ
ら
ざ
り
し
な
り、
し
か
る
に
盆
信、
寛
平
法
皇
の
仙
命
を
蒙
り
始
め
て
六
蓮
貞
記
の
秘
旨
を、
別
記
に
認
め
法
皇
に
授
け
奉
り、
法
皇
ま
た
別
記
を
以
て
法
三
の
宮
及
び
寛
室
に
授
け
奉
り、
寛
塞
ま
た
別
記
を
以
て
寛
朝
に
授
け
ら
る。
此
の
盆
信、
法
皇、
寛
塞
の
三
代
相
綾
の
印
信
を
三
代
別
記
と
云
ふ。
左
に
三
代
別
記
を
示
さ
ば
三
代
相
承
印
信
金
剛
界
愚
哨
印
普
賢
一
字
心
密
言
日
貢
胎
藏
界
五
股
印
満
足
一
切
智
々
五
字
眞
言
日
夷
何
ミに
桑
抱
延
喜
二
年
壬
戌
二
月
二
十
三
日
圓
城
寺
僧
正
被
書
進
法
皇
御
入
壇
者
去
年
十
二
月
十
三
日
也
(以
上
一
代
)
金
剛
界
大
峯
都
婆
印
普
賢
一
字
明
す
胎
藏
界
外
縛
五
股
印
満
足
一
切
智
々
五
字
明
奨
個
ミ
築
宿
延
喜
入
年
五
月
三
日
法
皇
命
奉
授
法
三
宮
給
同
十
入
年
入
月
十
七
日
命
授
蓮
毫
僧
正
給
(以
上
二
代
)
胎
藏
界
西 院 流 に 就 い て 九西 院 流 に 就 い て 一 〇
外
縛
五
股
印
満
足
一
切
智
々
五
字
明
剥
何
ミ
褻
宿
金
剛
界
大
峯
都
婆
印
普
賢
一
字
心
り天
暦
二
年
五
月
九
日
蓮
毫
信
正
被
授
遍
照
寺
僧
正
云
々
(以
上
三
代
)
以
上
の
六
適
貞
記
及
び
三
代
別
記
を
は、
ロ
傳
に
依
ら
す
卒
爾
に
見
れ
ば
六
通
貞
記
に
依
て
傳
授
せ
ら
れ
た
る
源
仁
盆
信
の
二
代
は
胎
藏
の
灌
頂
に
は
理
印
理
明
に
し
て、
金
剛
界
の
灌
頂
は
智
印
智
明
を
結
諦
せ
ら
れ
た
る
か
の
如
く
思
惟
せ
ら
れ、
ま
た
盆
信
が
法
皇
に
授
け
奉
り
し
と
き、
及
び
法
皇
が
法
三
宮
並
に
寛
塞
に
授
傳
し
給
ひ
た
る
と
き
は、
初
金
後
胎
の
次
第
に
し
て
初
夜
金
剛
界
の
御
灌
頂
に
は、
大
峯
都
婆
印
帥
ち
無
所
不
至
の
理
印
に
改
の
智
明、
後
夜
胎
藏
の
御
灌
頂
に
は
外
五
股
の
印
帥
ち
智
印
に、
夷
儲
ミ
褻
慮
の
理
明
を
結
諦
し
給
へ、
ま
た
第
三
代
即
ち
寛
塞
が
寛
朝
に
授
傳
し
給
ひ
し
と
き、
は
じ
め
て
初
夜
胎
藏、
後
夜
金
剛
界
の
次
第
に
依
て
行
は
れ
た
る
も
の
如
く
思
は
る
も
後 の 口 訣 に 依 て 見 れ ば、 六 通 貞 記 に 依 て 授 傳 あ り し 源 仁、 盆 信 の と き も、 爾 部 の 灌 頂 に は 智 印 に 理 明、 理 印 に 智 明 を 結 諦 せ ら れ た る も の に し て、 ま た 盆 信 が 法 皇 に 授 け 奉 り、 法 皇 が 法 三 宮 及 び 寛 室 に 授 け 奉 り、 ま た 寛 室 が 寛 朝 に 授 傳 し 給 ひ し 三 代 の 御 灌 頂 は、 共 に 初 胎 後 金、 帥 ち 初 夜 胎 藏、 後 夜 金 剛 界 の 次 第 に て 授 傳 あ り し も の な り と す。 帥 ち ﹁ 別 記 次 第 日事 ﹂ な る 一 帖 の 口 決 に 曰 く 問 三 代 別 記 ノ 次 第、 前 二 代 ハ 金 ヲ 先 ト ス ト 見 タ リ、 若 シ 初 金 後 胎 ノ 義 相 ナ ソ ヤ、 且 ク 彼 ノ 廣 澤 ノ 傳 法 次 第 或 ハ 初 金 後 胎 ト 記 ス ル カ 如 シ 如 何。 ム テ 答 三 代 共 二 初 胎 後 金 勿 論 也。 但 シ 今 前 二 代 金 ヲ 先 二 記 ス ル 事、 且 ク 挾 二深 意 一歎、 謂 ク 從 本 垂 泌 ノ 義 ヲ 表 ス ル 也。 是 則 チ 佛 界 本 有 ノ 書 字 ノ 智 膿、 衆 生 本 有 ノ 蝿 字 理 性 ノ 大 悲 門 二 出 ル 義 分 タ ソ。 灌 頂 ノ ヒ フ ニ
儀
則
チ
尤
モ
相
二叶
此
義
一故
也
云
々。
此
等
ノ
ロ
訣
及
び
後
に
引
用
す
る
六
適
三
代
秘
決
等
の
意
に
依
れ
ば、
初
心
の
行
者
四
度
を
修
す
る
次
第
よ
り
い
へ
ば
最
初
金
剛
界
の
大
法
を
修
し、
五
相
の
秘
観
に
依
て
本
有
の
五
智
を
謹
し、
後
に
胎
藏
の
密
行
を
修
す
る
は、
こ
れ
自
謹
圓
極
の
後、
大
悲
化
他
門
起
出
つ
る
次
第
な
り。
か
く
の
如
く
金
剛
界
を
修
し
て
自
謹
を
成
じ、
次
に
大
悲
利
他
の
胎
藏
の
大
法
を
行
せ
る
行
者
が、
傳
法
灌
頂
の
職
位
を
受
く
る
時
は、
己
に
受
得
せ
る
大
悲
胎
藏
の
行
儀
に
任
せ
て、
最
初
に
從
本
垂
の
胎
藏
の
密
壇
に
入
る、
こ
れ
傳
法
の
大
儀
は
大
阿
闊
梨
の
職
位
を
縫
い
て、
密
敏
を
弘
宣
せ
ん
が
爲
め
な
り、
ま
た
先
に
金
剛
界
の
大
法
を
修
し、
還
同
本
畳
せ
る
本
有
金
剛
界
の
智
禮
よ
り、
大
悲
護
念
に
出
ん
が
爲
西 院 流 に 就 い て 一 一西 院 流 に 就 い て 一 二 め に 傳 法 灌 頂 に は、 最 初 に 從 本 垂 の 胎 藏 門 に 入 り、 灌 頂 の 事 業 を 成 す る の で あ る。 此 等 の 日 訣 の 意 に よ れ ば、 當 流 は 本 有 金 剛 の 佛 智 を 道 膿 と な す も、 こ の 本 有 金 剛 の 智 燈 は、 こ れ 始 畳 修 生 の 行 に 依 つ て 現 謹 せ る 本 修 不 二 還 同 本 畳 の 無 上 の 大 畳 禮 な る こ と を 知 ら る、 の で あ る。 隨 つ て 理 智 円不 二 を 説 く も 寧 ろ 智 を 本 と し 雨 部 不 二 を 説 く も、 金 剛 界 を 本 と し、 因 果 不 二、 磯 す 不 二 を 説 く も、 果 を 本 と し ご を 本 と す る こ と 等 を 看 取 せ ら る の で あ る。 此 等 の 激 旨 を 示 さ ん 爲 め、 當 流 所 傳 の 口 訣 を 引 用 せ ん に、 ﹁ 六 通 三 代 秘 決 ﹂ に 曰 く、 テ ニ ニ ニ 問 北 院 僧 正 ノ 記 二 云 ク、 南 池 圓 城 二 代 ノ 傳 受 者、 依 工 六 通 貞 起 更 不 レ及 二別 聾 ト 云 ヘ ソ。 然 者 別 記 ハ 法 皇 ノ 御 時 ヨ リ 遍 照 寺 ノ 僧 正 二 至 マ デ 三 代 相 綾 シ ラ、 而 モ 六 蓮 ノ 記 文 ニ ハ 異 ナ リ ト 見 タ リ、 彷 ラ 彼 此 ノ 義 相 各 別 ナ リ ヤ 將 タ 又 一 揆 ス ヘ キ ヤ。 答 貞 記 別 記 惣 別 ノ 不 同 ア ソ ト 云 ヘ ト モ、 其 ノ 義 相 二 付 テ 傳 法 ノ 次 第 ハ 一 揆 セ 川 ガ 故 二 各 別 ト 云 フ ベ カ ラ ズ、 但 シ 南 池 圓 城 ノ 二 代 ハ 貞 記 二 付 テ 其 ノ 傳 法 ノ 次 第 ヲ ロ 訣 シ 給 ヘ ル ヲ、 法 皇 ノ 御 時 嚴 旨 ヲ 些 久 リ シ ニ 依 テ、 彼 口 決 ヲ 別 記 シ 給 ヘ ル バ ヵ リ ナ ソ 。 間 然 者 何 力 故 ソ 貞 記 ニ ハ 理 印 理 明、 智 印 智 明 ト 此 ヲ 載 セ、 三 代 ニ ハ 智 印 理 明、 理 印 智 明 ト 記 シ 給 フ ヤ。 答 彼 ノ 貞 記 ハ 惣 テ 一 宗 ノ 大 事 ヲ 記 シ 給 ヘ ル 故 二、 初 ハ 傳 法 ノ 印 明 ヲ 載 セ、 後 ニ ハ 喩 祇 ノ 大 事 ヲ 出
シ 給 ヘ リ。 故 二 先 ッ ニ 逼 ハ 五 字 ノ 明 ヲ 墨 テ 衆 生 本 有 ノ 剥 字 二 付 テ 生 成 養 育 シ テ、 六 大 成 佛 ス ル 義 相 ヲ 表 シ、 灌 頂 受 得 シ テ 諸 佛 ノ 大 悲 ノ 軌 則 ヲ 顯 セ ソ。 次 ノ ニ 通 ハ 無 所 不 至 ヲ 出 シ プ、 六 大 ノ 三 摩 耶 身 ヲ 決 定 シ、 先 蓮 惣 合 シ テ 本 有 ノ ソ ト ハ ヲ 顯 獲 セ ソ。 次 ノ 一 涌 賃 理 智 ノ 塔 波 汝 ヲ 秘 號 シ、 後 ノ 一 逼 ハ 喩 舐 ノ 大 事 ヲ 秘 抄 セ リ、 是 ヲ 以 テ 前 ノ 五 蓮 ニ ハ 理 智 ノ 塔 印 二 於 テ、 互 二 理 智 ノ 明 ヲ 加 ヘ テ 灌 頂 不 ニ ノ 法 門 ヲ 含 罎 セ ル 故 二、 此 口 決 ヲ 別 記 ス ル 時、 智 印 理 明 ヲ 記 シ テ 初 夜 二 從 本 垂 泌 ノ 胎 藏 ノ 灌 頂 ノ 不 ニ ヲ 示 シ、 理 印 智 明 ヲ 以 テ 後 夜 二 還 同 本 畳 ノ 金 界 ノ 灌 頂 ノ 不 ニ ヲ 授 ケ 給 ヘ リ、 是 レ 傳 法 灌 頂 ノ 大 事 ノ ニ シ テ 未 タ 一 宗 ノ 総 ノ 大 事 二 非 ス、 故 二 強 二 別 記 ト 稽 セ ラ ル 者 也。 且 ハ 其 由 シ 大 御 ノ 御 記 二 委 悉 シ 給 ヘ リ。 問 傳 法 灌 頂 ノ 軌 則 ハ 專 ラ 成 佛 得 道 ノ ヲ キ プ 其 頓 謹 ヲ 決 定 ス ペ シ、 故 二 初 心 ノ 行 者 先 ッ 十 入 道 ノ 不 ニ ノ 総 行 ヲ 以 テ 初 後 平 等 初 心 帥 極 ノ 深 旨 ヲ 信 修 シ 了 テ、 次 二 金 界 ノ 密 行 二 入 テ 五 相 ノ 頓 謹 ヲ 顯 シ テ 後、 胎 藏 大 悲 ノ 利 他 門 二 臨 メ リ キ、 而 ラ 今 マ 登 壇 傳 法 ノ 行 儀 叉 此 趣 タ ル ヘ キ ヲ 以 テ、 醍 醐 ノ 余 流 ハ 初 金 後 台 ノ 作 法 タ ソ、 尊 師 相 承 已 二 理 致 二 叶 ヘ ル 者 歎、 就 中 高 租 御 蹄 朝 ノ 最 初 二 高 雄 ノ 灌 頂 ハ 金 界 ノ 儀 式 ナ リ、 労 以 テ 指 南 三 足 レ ソ。 所 以 二 廣 ク 本 説 ヲ 勘 ル ニ、 三 昧 耶 戒 ノ 作 法 ハ 無 畏 ノ 輝 要 二 依 レ リ、 而 二 繹 要 ニ ク デ ニ デ テ ス ノ テ 今 者 且 依 二金 剛 頂 舞 設 二 方 璽 作 一一斯 修 行 一ト 云 ヘ リ。 西 院 流 に 就 い て 一三
西 院 流 に 就 い て 一 四 又 傳 法 ノ 儀 式 專 ラ 略 出 經 ノ 第 四 ノ 巻 ヲ 本 説 ト セ ソ、 故 二 儀 軌 ノ 奥 ノ 題 ニ ハ、 金 剛 界 大 乗 現 謹 甚 深 秘 密 喩 佛 大 曼 茶 羅 大 悲 無 碍 大 灌 頂 ト 題 セ ソ、 此 等 ノ 説 皆 金 界 ヲ 先 ト セ リ ト 見 タ ソ、 況 ヤ 又 灌 頂 ノ 義 相 ハ 寳 生 如 來 ノ 三 摩 地 ナ リ、 五 部 ノ 中 寳 部 ナ レ ハ 智 界 ノ 法 門 タ ル 謂 ヒ ナ ソ。 何 ソ 當 流 強 二 胎 藏 ヲ 先 ト シ テ 從 本 垂 ノ 儀 二 付 骨ノ、 智 印 理 明 ヲ 初 夜 ノ 行 相 ト セ ル ヤ。 答 上 乗 秘 密 ノ ヲ キ テ ハ 頓 謹 成 佛 ヲ 軌 則 ト ス ル 條 勿 論 ノ 事 也。 凡 ソ 自 謹 ハ 化 他 ヲ 兼 ネ 化 他 ハ 叉 自 讃 二 蹄 ス、 佛 心 ト 云 者 大 慈 悲 也、 自 謹 進 修 ノ 道 二 於 テ 堂 二 大 悲 利 他 ノ 行 相 是 レ 緩 ウ セ ン ヤ、 故 二 初 心 ノ 行 者 念 諦 ノ 時 キ、 先 ッ 修 生 佛 果 ノ 爲 メ ニ 金 剛 界 ヲ 傳 受 シ テ 成 佛 ノ 儀 ヲ 信 謹 ス ル ハ 專 ラ 大 悲 胎 藏 ノ 利 他 ノ 法 門 二 出 ン カ 爲 メ ナ ソ。 然 二 今 眞 實 二 職 位 ヲ 受 ル 時 キ、 當 時 受 得 セ ル 胎 藏 ノ 行 儀 二 任 テ 從 本 垂 ノ 密 壇 二 入 ソ、 加 持 ノ 門 ヨ ソ 印 可 ヲ 決 定 ス ル ナ ソ、 是 則 チ 傳 法 ノ 大 儀 ハ 大 阿 閣 梨 ノ 職 位 ヲ 縫 テ 秘 激 ヲ 弘 宣 セ ン カ 爲 メ 也。 若 シ 此 行 儀 ヲ 用 ヒ ズ バ、 断 種 ノ 料 力 難 レ謝 者 歎。 叉 此 ノ 化 他 ノ 行 相 返 テ 自 謹 二 叶 ヘ ル 故 二、 從 本 垂 透 ノ 佛 必 ズ 還 同 本 畳 ス ベ キ ヲ 以 プ、 後 夜 二 金 剛 界 二 入 ル ナ ソ、 (金 剛 二 ニ ァ ソ 修 生 ト 本 有 ト ナ リ、 今 還 同 本 畳 ハ 佛 界 本 有 金 界 二 還 ル 義 ) 加 之 今 職 位 ヲ 受 ル 新 阿 閣 梨 又 傳 法 ヲ 可 レ許 年 齢 二 及 ブ 時、 先 二 還 同 本 畳 シ ッ ル 本 有 金 剛 界 ノ 智 騰 ヨ ソ、 大 悲 護 念 二 出 一プ、 從 本 垂 近 ノ 胎 藏 門 ヨ リ 又 灌 頂 ノ 事 業 ヲ 授 ル 行 相 ア ル ベ シ。 是 レ 本 初 ノ 畳 膿 ヨ ソ 修 生 二 趣 ク ヲ 果 中 ノ 因 行 ト シ テ 密 激 ヲ 弘 宣 ス ル 大 遣、 諸 佛 大 士 ノ 灌 頂 ノ 軌 則 タ ル 者 ナ ソ、 情 ラ 以 レ ハ 進 修 ノ 行 相 ハ 化 他 ヲ 本 ト ス、 化 他 ノ 法 門
ハ 自 謹 ヲ 所 入 ト セ リ、 自 謹 ノ 極 位 ハ 又 本 有 二 蹄 ル 趣 キ、 則 チ 灌 頂 ノ 初 台 後 金 ノ 儀 式 タ ル ナ ソ。 故 二 高 租 ノ 大 唐 ノ 傳 受 ハ 先 ヅ 台 次 二 金 ナ フ、 是 レ 受 明 灌 頂、 則 チ 傳 法 ト 一 ナ ル 道 理 タ ル ガ 故 二 准 色 タ リ 又 南 池 ノ 金 界 ノ 秘 記 二 後 夜 ノ 掲 ヲ 載 ラ レ タ ル 此 等 何 レ ノ 流 ヵ 仰 信 セ ザ ラ ン ヤ、 當 流 後 夜 金 界 ノ 轟 鏡 尤 モ 此 文 ニ ァ リ 。 但 シ 醍 醐 ノ 初 金 後 台 大 師 蹄 朝 ノ 時 キ、 高 雄 ノ 儀 式 ナ フ ト 云 フ 准 振 二 至 テ ハ、 彼 御 灌 頂 ハ 是 レ 結 縁 登 壇 ノ 儀 ナ ソ、 夫 結 縁 灌 頂 ハ 專 ラ 修 生 二 臨 メ テ 四 部 ノ 弟 子 等、 下 種 結 縁 ノ 行 相 ト シ テ 阿 頼 耶 識 ノ 中 二 金 剛 界 ノ 種 子 ヲ ウ ウ ル ナ リ。 此 ノ 故 二 是 ヲ 結 縁 ト 名 ク、 尤 モ 金 界 二 付 テ 其 ノ 軌 則 ヲ 整 フ ベ キ 次 第 也。 今 マ 傳 法 授 職 ハ、 昔 シ 大 組 毘 盧 遮 那 金 薩 二 授 ヶ、 金 薩 又 龍 猛 二 傳 へ 給 ヒ シ ヨ リ 以 來 タ 偏 二 大 悲 下 化 ノ 法 門 二 出 テ、 密 敢 弘 宣 ノ 軌 則 ト シ プ、 是 ヲ 受 職 ノ 密 儀 ト セ ブ、 結 縁 ト 其 義 既 三 異 ナ ソ、 事 業 豊 二 一 准 タ ラ ム ヤ、 次 二 本 説 二 至 テ ハ 爾 部 ノ 中 二 金 界 ハ 惣 目 胎 藏 ハ 別 名 也、 謂 ク 金 剛 頂 十 入 會 ノ 中 ノ 第 十 六 會 ノ 諸 法 平 等 無 ニ ト 稻 ス ル ハ、 是 レ 胎 藏 ノ 一 會 ナ リ ト 師 訓 セ フ、 防 テ 惣 目 二 付 テ 別 名 ノ 義 相 ヲ 行 セ ム 事 何 ゾ 強 二 異 途 ノ ア ヤ シ ミ 有 ラ ム ヤ、 何 況 ヤ 本 有 ノ 金 界 ヨ ソ 垂 遊 胎 藏 門 二 出 ル 行 儀、 亦 是 金 台 不 ニ ニ シ テ 理 智 一 昧 ノ 深 行 タ ソ、 故 二 南 法 二 向 テ 一 切 ヲ 深 槻 ス ト モ 則 チ 不 ニ ノ 奥 趣 タ ル 道 理 必 然 ナ ル 者 歎。 問 貞 記 二 所 レ載 一 宗 ノ 惣 ノ 大 事 ト ハ 是 レ 何 ノ 印 明 ゾ。 西 院 流 に 就 い て 一 五
西 院 流 に 就 い て 一 六 ハ ス ル 答 貞 記 ノ 第 六 二 所 レ載 喩 祇 ノ 秘 説 也。 是 ヲ 蘇 悉 地 ノ 大 事 ト モ 云 ヘ ソ、 是 レ 三 部 ノ 中 ノ 蘇 悉 地 ノ 法 二 非 ス、 理 智 本 有 ノ 不 ニ ノ 大 事 タ ル ナ リ、 他 門 ニ ハ 此 ノ 秘 經 ヲ 不 ン傳 故 二 別 シ テ 蘇 悉 地 ノ 法 ヲ 宗 ト ス ル 鰍、 自 宗 ハ 此 經 ノ 大 事 ヲ 傳 ル ヲ 以 テ 爾 部 ノ 外 二 蘇 悉 地 ノ 別 法 ヲ 大 事 ト ハ 習 ハ ザ ル 者 也。 故 二 此 經 ヲ 大 事 ト 傳 ブ、 此 經 ノ 中 ニ ハ 猶 序 品 ノ 印 明 ヲ 惣 ノ 大 事 ト セ ソ、 金 智 不 塞 共 二 龍 智 二 受 テ 前 後 ノ 相 承 彼 此 更 二 異 途 ナ シ、 是 ヲ 喩 祇 ノ 灌 頂 ト モ 名 ヶ、 叉 ハ 五 部 ノ 灌 頂 ト モ 號 シ、 又 ハ 阿 閣 梨 位 ノ 灌 頂 ト モ 幕 ス、 一 宗 ノ 大 事、 密 敏 ノ 奥 旨 タ リ、 其 印 ト 云 ハ 本 有 理 智 ノ 姿 タ、 五 部 惣 合 ノ 五 股 印 也。 此 レ 爾 部 不 二 ノ 三 摩 耶 身 ニ シ テ 法 界 ソ ト ハ ノ 印 ト 稽 ス、 叉 ハ 五 部 一 味 ノ 源 底 ト 習 ヘ リ、 但 シ 此 印 二 於 テ 金 界 ノ の デ ニ ツ ヲ 智 印 ト 稽 ス ル ハ 惣 ハ 別 ヲ 兼 ル 故 二、 且 ク 修 生 淺 略 門 二 名 ル ナ リ、 一 蔓 ノ 摩 尼 隨 レ色 分 影 謂 ヒ 歎、 實 ニ ハ 不 二 而 二 至 極 深 奥 ノ 秘 印 ナ リ。 次 二 明 ト 云 フ ハ 普 賢 一 字 也、 是 レ 因 果 不 二 彼 經 序 品 ノ 大 事 ト シ テ 本 初 ノ 一 法 タ ソ、 故 二 此 字 ハ 五 十 字 隨 一 ノ ご 字 二 非 ズ、 理 智 法 然 ノ 一 法、 本 有 言 説 ノ 惣 ノ 貢 字 也。 然 レ バ 則 チ 法 界 一 味 ノ 種 子 ニ シ 一ブ 其 形 圓 塔 ノ 如 ク ナ リ、 故 二 此 ノ 字 彼 印 ヲ 以 テ 五 部 秘 經 ノ 極 説 ト シ、 一 宗 ノ 大 事 ト ス ル ナ ソ、 委 ク ハ 奥 義 二 記 ス ル カ 如 シ、 又 ハ 大 師 ノ 御 記 並 二 池 ノ 抄 等 委 悉 セ リ。 問 秘 經 ノ 惣 印 惣 明 二 住 ス ル 行 者 ノ 深 親 用 心 如 何。 答 佛 界 ト 云 フ ハ 本 有 ノ 智 膿 ナ ソ、 此 智 ハ 智 自 ラ 理、 理 自 ラ 智 ニ シ テ 理 智 不 ニ ノ 法 門 タ ソ、 (五 大 ハ
色 怯 ノ 理 也 識 大 ハ 心 法 ノ 智 也 ) 凡 夫 ノ 帥 身 二 自 ラ 五 部 五 智 ア ソ、 此 ノ 理 智 円六 大 普 遍 ノ 故 二 六 凡 四 聖 二 亙 一グ 常 恒 ナ ソ、 是 ヲ 以 テ 胎 卵 灘 化 何 物 ヵ 五 智 ノ 本 有 ヲ 備 ヘ ザ ラ ン ヤ、 其 五 智 漸 ク 顯 現 ス ル 姿、 左 右 ノ 手 掌 ノ 五 指 タ ソ、 左 右 ノ 五 指 ノ 惣 合 セ ル ヲ 未 敷 蓮 華 ノ 本 徳 ト ス、 當 流 二 先 ヅ 蓮 華 合 掌 ト 云 ハ 此 位 ナ ソ、 又 小 野 二 如 法 華 ト 名 ヶ テ 爾 部 一 揆 セ ソ、 秘 密 灌 頂 ノ 傳 ハ 此 ノ 習 タ ル 歎、 是 猶 法 然 己 有 ノ 分 ニ シ テ、 未 ダ 修 生 ノ 徳 タ ラ ザ ル 故 二、 菩 提 心 論 二 凡 心 如 合 蓮 ト ハ 云 ヘ ル ナ ジ、 而 二 本 有 ノ 畳 禮 ハ 必 ズ 法 爾 二 修 生 ノ 徳 ヲ 有 セ リ、 本 畳 ノ 法 位 ハ 修 生 ニ ア ラ ザ レ バ 化 他 ニ ァ ラ ハ シ 難 キ 故 也、 帥 チ 理 所 ニ ナ リ ト テ ニ リ モ ナ リ レ テ ト ノ ハ 必 ズ 智 ア ル ヲ 以 テ 大 師 ノ 日 ク 錐 工理 智 不 二 一於 庇 智 一有 皿本 畳 始 畳 司錐 工膿 一 司還 有 二 二 名 一云 ヘ ル 此 擦 ナ リ、 此 修 生. 理 智 無 師 自 畳 二 顯 登 セ ル ヲ 又 一 切 智 智 ト 名 ク、 菩 提 心 論 二 佛 心 如 満 月 ト 云 ヘ ル ハ 是 ナ ソ、 其 ノ 功 徳 ノ 燈 ハ 必 ズ 化 他 二 向 フ 光 ア フ、 化 他 ノ 源 ハ 叉 自 謹 二 蹄 ス ル ヲ 以 テ、 一 切 智 智 ト 云 ハ 是 レ 遮 那 ノ 自 禮、 佛 果 ノ 奥 極 ナ リ、 其 ノ 佛 果 ノ 奥 極 本 誓 ノ 貌 二 顯 ル 時、 本 有 ノ 理 智 ノ 修 徳 ノ 一 大 五 股 ノ 惣 印 ト ナ ル ナ リ、 是 故 二 自 心 ノ 合 蓮 ヲ 改 メ テ 五 智 円ノ 具 徳 ヲ 開 ク 姿 ト セ リ。 此 ノ 印 エ 住 シ テ 法 然 一 法 ノ 普 賢 一 字 ノ 明 ヲ 諦 ス ル ニ、 自 誰 ノ 畳 禮 ヲ 化 他 二 示 シ プ、 心 王 毘 盧 遮 那 ノ 自 然 畳 ヲ 唱 フ ル 謂 七 ナ レ ハ、 何 今 更 二 外 二 観 恵 ノ 方 便 ヲ 求 テ、 帥 成 ノ 軌 則 ト セ ン ヤ。 叉 此 ノ 本 有 ノ 合 蓮 ハ 製 字 ノ 色 法 ナ フ、 其 剥 字 ノ 色 法 生 成 養 育 シ グ、 還 テ 佛 果 本 有 二 同 ス ル ヲ 佛 境 界 ノ 灌 頂 ノ 義 相 ト セ リ、 弟 子 ノ 剥 字 ノ 大 地 二 師 ノ 言 字 ノ 智 水 ヲ 漉 ク 深 行 此 意 ヲ 顯 ス ナ リ、 智 印 理 明 ヲ 西 院 流 に 就 い て 一 七
西 院 流 に 就 い て 一 入 胎 ノ 化 他 ト シ、 理 印 智 明 ハ 金 ノ 還 同 ト シ テ 且 ク 爾 部 ノ 灌 頂 ヲ 儲 ク ト 云 ヘ ト モ、 實 ニ ハ 理 智 法 爾 二 不 二 一 味 ナ ル 道 理 其 趣 キ 顯 ル 者 歎 。 此 の ﹁ 六 通 三 代 秘 決 ﹂ は 最 初 に、 六 逼 貞 記 の 前 五 遙 と、 三 大 別 記 と は、 文 相 相 異 な る が 如 く な る も、 其 義 趣 一 な る こ と 即 ち 六 通 貞 記 に て は、 爾 都 灌 頂 の 印 明 は 理 印 理 明、 智 印 智 明 の 如 く 見 ゆ る も、 三 大 別 記 の 如 く 理 智 の 印 明 に 理 智 の 明 を 交 へ て 結 請 す べ き も の な る こ と を 辮 じ、 次 に 當 流 に 爾 部 傳 法 灌 頂 初 胎 後 金 の 次 第 に 依 る は、 爾 部 相 望 せ ば 胎 藏 は 從 本 垂 近 の 化 他 門 に し て、 金 剛 界 は 還 同 本 畳 の 自 謹 門 な り、 し か し て 傳 法 灌 頂 の 大 儀 は、 大 阿 閣 梨 の 職 位 を 縫 い て 密 激 を 弘 宣 せ ん が 爲 め な る ゆ ゑ、 先 づ 初 夜 に 胎 藏 の 壇 に 入 る、 し か し て 化 他 の 行 相 返 て 自 謹 に 契 ひ、 還 同 本 畳 す べ き を 以 て 後 夜 に 金 剛 界 の 大 法 を 受 く る の で あ る。 此 の 事 入 結 に ﹁ 須 爾 部 前 後 事 ﹂ な る 口 訣 あ り、 簡 に し て よ く 其 要 を 示 せ り、 曰 く 初 夜 授 胎 藏 事 問 爾 界 ノ 次 第 傳 受 セ シ ム ル 時 ハ、 先 ヅ 智 界 ヲ 授 ケ、 後 二 理 界 ヲ 授 ク、 傳 法 灌 頂 ノ 時 ハ 何 ゾ 先 ヅ 理 界 ヲ 授 ク ル、 彼 此 円 一 純 ナ ル ベ シ、 其 道 理 如 何 。 答 密 教 ノ 習 ヒ 專 ラ 師 傅 二 任 ス、 行 法 ノ 次 第 ハ 先 ヅ 金 後 二 胎 ナ リ。 (見 御 遺 告 ) 授 職 灌 頂 ハ 初 胎 後 金 (見 請 來 録 表 )大 師 相 傳 ノ 次 第 此 ノ 如 シ、 叉 彼 ノ 本 書 ノ 金 剛 界 ノ 奥 二 後 夜 ノ 偶 有 ヅ、 異 途 無 キ 歎、 智 円 界 ノ 後 夜 ノ 事、 此 等 二 依 テ 次 第 ス、 次 二 道 理 ヲ 述 ブ レ ハ、 是 レ 深 意 有 ル ベ シ、 先 ヅ 金 剛 界 ハ 修 因 戚
果 ノ 義、 密 日教 修 行 ノ 人、 尤 モ 受 學 ス ベ シ、 次 二 胎 藏 界 ハ 從 本 垂 遜 ノ 故 二、 其 義 宜 ク 後 ナ ル ベ シ、 是 レ 行 者 二 望 テ 此 ノ 如 ク 之 ヲ 授 ク、 今 灌 頂 ト 言 フ ハ、 大 悲 護 念 ナ ソ、 大 阿 闊 梨 耶 ノ 恵 癒 機 ノ 受 者 二、 胎 藏 界 ノ 灌 頂 ス ル コ ト 其 ノ 義 已 二 相 慮 ス、 從 本 垂 泌 ノ 門、 大 悲 護 念 ノ 故 二 先 ヅ 胎 藏 ヲ 授 ケ シ ム ノ 道 理 宜 ク 然 ル ベ シ、 從 本 垂 跡 ノ 後、 須 ク 本 豊 二 還 同 ス ベ キ ガ 故 二、 又 以 テ 後 夜 二 金 剛 界 ヲ 授 與 ス、 此 ノ 如 ク 爾 部 ヲ 授 テ、 阿 閣 梨 位 ヲ 紹 テ、 後 ノ 阿 闊 梨 ト 爲 テ、 癒 機 ノ 人 二 授 ケ シ ム、 是 レ 阿 閣 梨 ノ 所 存 二 望 テ 前 後 ス ル ナ リ 。 し か し て 上 記 の 如 く 三 代 別 記 は 六 通 貞 記 の 中 の 前 五 通 即 ち 爾 部 傳 法 灌 頂 の 印 明 を 記 す る の み に し て 未 だ 第 六 に 載 す る 所 の 一 宗 究 覧 の 大 事 た る 智 印 智 明 を 示 さ す、 こ の 第 六 通 所 載 の 外 五 股 の 印 に す の 明 は こ れ 喩 祇 經 序 品 に 依 れ る も の な る が、 當 流 に て 此 の 印 明 を 殊 に 宗 極 と な す は、 こ の 印 明 は、 佛 界 本 有 を 表 す る に 依 る。 ﹁ 再 三 秘 決 ﹂ に 曰 く、 阿 閣 梨 位 灌 頂 ノ 印 明 ハ、 佛 徳 ノ 根 本、 本 有 ノ 法 門 ナ リ、 佛 陀 ハ 畳 ノ 義、 畳 ハ 是 レ 智 徳 ナ リ、 一 切 智 ト 云 フ ハ 帥 手 是 レ 五 智 ナ ソ、 其 ノ 佛 膿 ヲ 顯 示 セ ハ、 一 印 會 ノ 大 日 ナ ソ、 最 上 無 比 ノ 法 禮 ヲ 表 示 シ テ 濁 一 法 身 ノ 一 會 ヲ 顯 現 シ タ マ ヘ ル ナ ソ、 彼 ノ 大 事 ノ 印 明 ハ 此 ノ 義 門 ヲ 表 示 セ リ 云 々。 鍮 祇 ノ 大 事 た る 智 印 智 明 は 本 有 金 剛 の 畳 膿 を 表 す る が 故 に、 此 の 印 明 を 宗 極 と な す も の で あ る。 し か し て 本 有 金 剛 の 畳 禮 と 云 ふ も、 此 の 本 有 は 修 生 究 寛 還 同 本 畳、 修 本 不 二 の 佛 界 本 有 の 奥 極 で あ る。 此 西 院 流 に 就 い て 一 九
西 院 流 に 就 い て 二 〇 の 如 く 本 修 を 超 越 せ る 上 の 本 有 金 剛 の 禮 な る も、 一 慮 本 修 相 樹 し て い へ ば、 寧 ろ 修 生 修 顯 圓 満 の 禮 で あ る。 故 に そ の 印 は 唯 本 有 を 表 す る 蓮 花 合 掌 に あ ら す し て、 本 有 の 五 智 を 開 顯 せ る 五 股 の 印 に し て、 そ の 明 も 因 界 本 有 を 表 す る 奨 字 に あ ら す し て、 毘 盧 遮 那 自 謹 の 畳 膿 を 表 す る 孝 字 で あ る。 か く の 如 く 智 印 智 明 は 佛 果 究 寛 の 畳 膿 を 表 す、 し か し て 當 流 は 此 の 佛 果 本 有 の 畳 禮 を 表 す る 智 印 智 明 を 宗 極 と な す。 爾 部 傳 法 灌 頂 の 印 明 も 智 印 智 明 の 喩 祇 の 大 事 も、 共 に 理 智 不 二 の 宗 極 を 表 す る も、 傳 法 と 喩 祇 の 大 事 と を 一 癒 相 望 し て い へ ば、 爾 部 傳 法 の 位 は 理 智 の 印 に、 理 智 の 明 を 交 へ て 結 諦 す る が 故 に、 こ れ な ほ 建 立 を 假 り て 理 智 不 二 を 表 す れ ば 相 樹 の 義 あ り、 濁 一 法 身 の 絶 樹 の 不 二 に あ ら す、 し か る に 第 六 蓮 に 示 す 喩 祇 の 大 事 は 唯 智 に し て 法 界 を 鑑 す 絶 封 不 二 を 表 す る も の で あ る。 し か し て 此 の 絶 封 不 二 の 極 致 は 智 印 智 明 に か ぎ ら す、 理 印 理 明 に て も、 そ の 深 旨 を 成 す べ け れ ど も、 理 印 理 明 は 胎 藏 の 理 膿、 衆 生 の 因 心 本 有 を 表 す る も の に し て、 智 印 智 明 は 金 界 の 果 徳、 佛 界 本 有 の 畳 騰 を 表 す る も の で あ る。 今 灌 頂 は 如 來 五 智 の 法 水 を、 衆 生 本 有 の 菩 提 心 禮 に 漉 ぎ、 成 佛 の 軌 剴 を 表 す る 佛 界 の 境 界 た る が 故 に 殊 に 智 印 智 明 に つ い て 絶 封 不 二 の 深 旨 を 明 か す も の で あ る。 六 し か し て 上 記 の 如 く 當 流 に て は、 六 遙 貞 記、 及 び 三 大 別 記 に 出 つ る 爾 部 灌 頂 の 印 明、 及 び 貞 記 第 六 の 喩 祇 の 大 事 を 以 て、 高 頑 大 師、 長 安 青 龍 寺 に 於 て 恵 果 和 省 よ り 授 傳 し 給 る 六 七 入 月 の 御 灌 頂 の 印
明 な り と 習 ふ も の で あ る。 帥 ち 外 五 股 の 印 に 五 字 の 明、 所 謂 智 印 理 明 は 六 月 上 旬 の 台 藏 の 御 灌 頂 の 印 明 に し て、 無 所 不 至 の. 印 に 露 命 こ の 理 印 智 明 を は、 七 月 上 旬 の 金 剛 界 の 御 灌 頂 の 印 明 な り と す、 し か ニ ス ル コ し て 此 の 爾 部 の 灌 頂 は こ れ 傳 法 灌 頂 に し て ま た 受 明 灌 頂 で あ る。 隨 て 御 請 來 録 に 受 明 灌 頂 沐 再 三 と あ る そ の 再 と は 雨 部 の 灌 頂 を 六 月 七 月 に 各 別 に 受 け 給 ひ し を い ひ、 三 と は 七 月 上 旬 金 剛 界 御 灌 頂 の 因 み に 受 け 給 ひ し 受 明 灌 頂 の 第 三 重 の 印 明 な り、 し か し て 其 の 印 明 と は 印 に 二 義 あ り、 一 に は 無 所 不 至 の 印 一 に は 外 五 股 の 印 に し て、 明 は 倶 に 寳 な り、 印 に 二 義 あ る も 外 五 股 の 印 に す の 明 を 受 明 灌 頂 の 第 三 重 と な す べ き か、 し か れ ば 八 月 の 阿 閣 梨 位 の 御 灌 頂 も、 外 五 股 の 印 に 町 の 明 な れ ば、 受 明 灌 頂 の 第 三 重 と 入 月 御 灌 頂 の 印 明 と 全 同 な る べ し と い へ ど も、 入 月 の 御 灌 頂 に は 殊 に 喩 祇 の 秘 印 秘 明 な る こ と を 顯 は し、 阿 閣 梨 位 の 御 灌 頂 と し て、 授 傳 あ り む も の な り と 傳 ふ。 ﹁ 再 三 秘 決 ﹂ に 曰 く、 御 請 來 録 ノ 意、 受 明 灌 頂 二 沐 ス ル コ ト 再 三 ノ 文 言 二 付 テ、 池 記 二 深 義 ア リ、 爾 部 ヲ 各 別 二 授 ク ル ハ 是 再 ノ 義 二 相 當 レ ソ、 彼 ノ 蹄 命 ノ 句 ヲ 除 ク ハ 是 レ 則 チ 第 三 ノ 重 ナ リ、 爾 部 一 味 ノ 明 ハ 第 三 重 ノ 分 タ ソ、 此 ノ 智 界 ノ 印 明 ハ 自 利 ノ 果 徳 也、 彼 ノ 理 界 ノ 印 明 ハ 大 悲 利 他 ノ 門 也、 此 ノ 理 智 ノ 印 明 ハ 互 二 彼 此 相 ヒ 用 ル、 謂 ク 智 ノ 印 二 理 ノ 明、 又 理 ノ 印 二 智 ノ 明 ナ リ、 但 シ 智 界 ノ 印 明 ハ 自 利 ノ 果 徳 ナ ル カ 故 二、 此 ノ 第 三 重 ト ス、 受 明 灌 頂 ノ 極 ナ リ、 理 智 ヲ 印 明 二 蓮 シ テ、 互 二 不 二 ヲ 表 示 ス ル ハ 爾 部 各 別 ノ 意 猶 以 テ 義 分 ア リ、 故 二 受 明 灌 頂 ノ 分 齊 タ ル 者 也、 阿 闊 梨 位 ノ 灌 頂 ノ 印 明 ハ 佛 徳 ノ 根 本 本 有 ノ 西 院 流 に 就 い て 二 一
西 院 流 に 就 い て 二 二 法 門 ナ ソ、 佛 陀 ハ 畳 ノ 義、 畳 ハ 是 レ 智 徳 ナ ソ、 一 切 智 ト 云 ハ 即 チ 是 レ 五 智 ナ ソ、 其 ノ 佛 膿 ヲ 顯 示 セ ハ、 一 印 會 ノ 大 日 ナ ソ、 最 上 無 比 ノ 法 膿 ヲ 表 示 シ テ、 濁 一 法 身 ノ 一 會 ヲ 顯 現 シ 玉 ヘ ル ナ ソ、 彼 ノ 大 事 ノ 印 明 ハ 此 ノ 義 門 ヲ 表 示 セ ソ、 此 ノ 濁 一 法 身 ハ 凡 夫 ノ 得 脱 ヲ 隔 タ ソ、 故 二 自 在 神 力 加 持 三 昧 ノ 徳 生 死 ノ 凡 夫 ノ 爲 二 慮 用 ノ 身 ヲ 示 現 シ タ マ ヘ ソ、 骨是 レ 法 身 紳 憂 ノ 加 持 方 便 也、 顯 教 所 説 ノ 慮 化 等 ニ ハ 異 ナ ル ナ リ、 是 レ 自 在 棘 力 法 身 ノ 智 徳 タ リ、 胎 藏 ノ 大 日 ト 云 ハ 帥 チ 此 ノ 理 法 身 ナ ソ、 從 本 垂 迩 ノ 門 。 大 悲 方 便 ノ 義 ナ ソ、 外 五 股 ノ 印 契 ハ 本 有 法 身 ノ 印、 彼 ノ 五 字 ノ 眞 言 ハ 大 悲 利 他 ノ 明 ナ ソ、 凡 ソ 灌 頂 ノ 義 門 ハ 專 ラ 此 ノ 印 明 一戸 當 レ リ、 灌 頂 二 二 門 ア リ 傳 法 ト 結 縁 ト ナ リ、 此 ノ 二 門 灌 頂 二 諸 ノ 灌 頂 部 ヲ 囁 ス、 故 二 傳 法 灌 頂 二 受 明 灌 頂 ヲ 擾 ス ル ナ リ、 叉 阿 闊 梨 位 ヲ モ 此 ノ 中 二 轟 ス ヘ キ 也、 若 シ 功 能 二 依、 テ 統 振 ノ 義 ヲ 存 セ ハ、 彼 ノ 阿 閣 梨 位 二 一 切 ヲ 撮 在 ス ベ キ ナ ソ、 是 レ 本 有 ノ 総 法 五 部 ノ 根 源 ナ ル ガ 故 ナ ソ 云 々。 な ほ ﹁ 須 重 義 ﹂ に 曰 く、 ス ル コ ニ ク ル コ テ 御 請 來 録 云 ク、 沐 二受 明 灌 頂 一再 三 焉、 受 阿 閣 梨 位 二 度 也 云 々。 今 此 再 三 阿 閣 梨 位 二 付 テ 三 重 ノ 義 分 ヲ 存 ス ベ シ ヤ。 答 池 雑 秘 云 湘 再 三 ト 云 ハ 其 意 如 何 受 明 灌 頂 ハ 是 レ 傳 法 灌 頂 ナ リ、 彼 ノ 傳 受 二 付 テ 三 重 ノ 義 ア ソ、 先 ヅ 爾 部 ヲ 別 二 受 ル ヲ 以 テ 一、 一重 ト ス ル 也、 次 智 界 ノ 明 二 蹄 命 ノ 句 ヲ 加 ル ハ 傳 法 灌 頂 ノ 淺 略 ノ 重 也、
今 蹄 命 ヲ 除 デ 第 三 重 ト ス、 彼 ノ 再 三 ノ 言 ハ 此 ノ 義 門 也、 阿 闊 梨 位 ヲ 受 ル コ ト 一 度 ト 云 フ ハ 大 事 ナ リ ド モ ハ テ ス ト ト 云 々。 錐 下 廣 澤 無 重 爲 占 習、 已 二 二 重 三 重 ト 云 ヘ フ、 淺 略 深 秘 ヲ 以 テ 三 重 ノ 義 分 ヲ 存 セ ン モ 何 ノ 失 ソ 乎。 問 今 此 三 重 ハ 小 野 ノ 義 相 二 同 ジ カ ル ベ シ ヤ。 答 義 分 各 別 也、 先 ヅ 小 野 ノ 三 重 ト 云 フ ハ 爾 部 各 別 ノ 淺 略 ヲ 初 重 ト ス、 是 レ 而 ニ ノ 不 ニ ニ シ テ 修 生 ノ 義 分 ナ ソ、 次 二 爾 部 一 味 ノ 深 秘 ヲ 第 二 重 ト ス、 不 ニ ノ 而 ニ ニ シ テ、 本 有 ノ 道 理 也、 次 二 不 ニ ノ 不 ニ ヲ 第 三 重 ト ス 至 極 大 不 ニ ニ シ テ 法 然 ノ 已 有 タ リ、 是 ヲ 傳 法 秘 密 ノ 不 ニ ノ 第 三 重 ト シ、 叉 ハ 因 根 究 寛 ノ 三 句 ニ モ ァ テ タ リ、 但 シ 第 三 重 二 付 テ、 或 ハ 本 有 修 生 叉 猶 淺 深 ニ ノ 習 ヒ 有 ル 者 歎。 而 モ 今 此 三 重 ノ 義 分 ハ 爾 ラ ズ、 爾 部 各 別 ノ 相 承 二 二 重 ヲ 存 シ テ 再 ノ 義 ト ス、 謂 ク 爾 部 ラ 印 明 二 各 々 不 ニ ヲ 表 シ テ 智 印 理 明、 理 印 智 明 ト 授 ク ル ハ 只 傳 法 ノ 義 相 ナ レ バ 初 後 二 重 ノ 不 二 也、 但 シ 此 二 重 ハ 始 有 ノ 不 二 に 限 ラ ズ、 深 ク 本 有 ノ 義 分 ヲ モ 兼 ネ タ レ ド モ 爾 部 各 別 ノ 謂 ヒ ナ レ バ、 且 ク 淺 略 ト ス ル ナ リ、 次 二 後 夜 金 界 ノ 時、 直 二 普 賢 一 字 ノ 明 ヲ 授 テ 還 同 本 畳 ノ 義 相 ヲ 示 ス パ、 爾 部 一 味 ノ 道 理 ナ ル 上 へ、 本 有 理 智 ノ 深 秘 タ ル 明 ヲ 受 傳 ス ル ハ、 是 レ 第 三 重 二 當 レ リ、 此 印 明 ハ 不 ニ ノ 上 ノ 大 不 二 ノ 所 擾 タ ル 者 欺、 此 ノ 上 へ 猶 糸 ノ 序 品 ノ 大 事 ア リ、 阿 閣 梨 位 ↓ 度 ト 云 ヘ ル 灌 頂 ハ 是 レ 也、 則 チ 宗 ノ 源 底 ニ シ テ 秘 密 ノ 奥 極 タ リ、 故 二 三 重 ノ 名 言 ハ 相 似 レ ド モ、 其 義 分 聯 力 差 降 ア ル 歎、 若 シ 強 二 細 心 簡 揮 セ 西 院 流 に 就 い て 二 三