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気仙大橋の津波減災のための試設計と効果

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Academic year: 2022

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気仙大橋の津波減災のための試設計と効果

(株)長 大 正会員 ○虻川 高宏 八戸工業大学 正会員 長谷川 明

1.はじめに

2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震により,

岩手県・宮城県・福島県を中心とした広範囲に土木構造物 の被害が発生している.太平洋沿岸に位置する橋梁は津波 による被害が甚大で,多くの橋梁で通行止めとなり救援・

復旧の障害となった.特に陸前高田において,気仙川河口 に架かる気仙大橋と姉歯橋が津波で流失したことにより対

岸との通行が遮断され,10km以上の迂回を余儀なくされた.そこで被害の大きかった気仙大橋を事例として,

津波減災のための試設計と効果について検討を行なった.

2.気仙大橋の概要 路線名:一般国道45号

橋 長:181.5m 支間割:[email protected][email protected] 有効幅員:12.5m(2.0m+4.25m+4.25m+2.0m)

竣 工:1982年(S57) 地盤種別:Ⅲ種地盤

上部工:3+2径間連続鋼鈑桁橋 下部工:逆T式橋台・壁式橋脚 3.被災状況

主桁は,気仙川上流に約300m流されており,RC床版の一部は さらに約100m上流に流されている.支承はゴム支承であり,セ ットボルト破断,アンカーボルト破断,積層ゴムの破断等様々な 破壊形態となっている.橋台・橋脚に大きな損傷は見られない.

4.気仙大橋の安定性について

気仙大橋の流失した要因を推測するため,安定性について検討を行う.自重Dlに対して津波による水平力

Fx,浮力Bu,揚力Fzの外力から安全率sfを求めた.水平力Fxは以下のモリソン式を用いて算出する.

dt

ABdq ρ C Aq C 2 ρ

Fx= 1 w d 2 + m w ・・・・・(1)

ここで,ρwは海水の密度(1030kg/m3),Cdは抗力係数で既往研究1)の最大より2.0と仮定し,qは流速(m/s),

Cmは慣性力係数,A は上部工の投影面積(m2),Bは幅員(m),dq/dt は加速度である.本検討において加速 度の影響は無視する.揚力Fzは既往研究2)よりFz=Fxと仮定する.安全率(滑動Hsf,浮き上がりUdsf,転倒

Mysf)は以下のように算出し,sf値が1未満となる場合,滑動,浮き上がり,転倒することを意味する.

Fx k Hsf Dlhc

= ・・・・・(2)

Fz Bu sf Dl Ud

= + ・・・・・(3)

( )

Fx

2 Fz h 2 Bu

B 2 Dl B Mysf

+ +

=

・・・・・(4)

ここで,hは投影高さ(m),khcはレベル2地震動(タイプⅡ)の設計水平震度0.67(許容塑性率μ=3と仮 定)とし,橋梁で想定する設計水平力を抵抗力とした.浮き上がり,転倒については支承の引張抵抗力は無視 し自重のみを抵抗力とした.

キーワード 東日本大震災,津波,橋梁,安定計算,気仙大橋

連絡先 984-0051 宮城県仙台市若林区新寺一丁目226 ()長大 仙台技術部 TEL 022-781-8628 写真-1 気仙大橋被災後全景

図-2 気仙大橋流失状況 図-1 上部工断面 土木学会第67回年次学術講演会(平成24年9月)

‑51‑

Ⅰ‑026

(2)

図-3に流速毎の安全率を示す.破線は,主桁に囲まれた桁間 閉塞空間内に空気が閉じ込められ,その浮力を想定した場合を 示し,その割合を25%,50%,100%とした.

浮き上がり,転倒において,流速5~6m/sで安全率1を下回 るが,空気が閉じ込められた場合,安全率は急激に低下する.

桁空間の25%で流速3mにおいて安全率1を下回る結果となっ

た.水平力に対しては,流速6m/s程度で安全率1を下回る.

5.桁高の影響

流速5m/sにおいて桁高をH=1.40m~2.10mに変化させた場 合を図-4に示す.気仙大橋の桁高H=1.80mから1.40mと低く した場合,滑動安全率で0.3程度,浮き上がり,転倒安全率で 0.1程度の安定性向上が図れる.

図-5 に桁高や桁本数等を変化させた上部工概算工事費の分 布を示す.経済的な桁高は桁高支間比1/20のH=1.80m程度と なり,H=1.40m 程度まで桁高を低くするには,7%程度の工事 費増加の負担となる.近年合理化構造として採用実績が豊富な 少数主桁は桁高が高いため,従来形式で桁高を低くする事によ る津波に対する安定性向上効果は比較的大きいと考えられる.

また,図-6に示すように桁高を低くすることにより桁間閉塞 空間が大幅に減少するため,浮力低減効果も期待できる.

6.安定性向上対策案

気仙大橋において,浮力・揚力が津波安定性に大きな影響を およぼしていると考えられる.そこで,安定性向上対策として

①桁高の低減,②主桁腹板に開口を設ける,③アンカーケーブ ルによる主桁の橋脚定着,④床版の一部をグレーチング化等の 浮力・揚力対策が有効であると考えられる.

7.まとめ

気仙大橋を例に,津波に対する桁高の影響を安定計算から考 察した.鋼鈑桁橋において浮力および揚力が,安定性に対する 大きな要因であると推測される.今後はコンクリート橋も含め,

抗力係数や揚力等の妥当性について実験等で検証し,具体な津 波対策および効果について検討していきたいと考えている.

謝辞

本検討の対象橋梁である気仙大橋について,国土交通省東北 地方整備局より資料をご提供頂きました.ここに記して謝意を 表します.

参考文献

1) 庄司ら:橋桁に作用する砕波段波の流体力に関する実験的 検討 土木学会論文集B2(海岸工学)Vol.66,No.1,2010 2) 鴫原ら:2004年インド洋津波におけるスマトラ島北西部沿 岸の被災橋梁に関する数値計算 土木学会論文集B2(海岸 工学)Vol.65,No.1,2009

0.60 0.80 1.00 1.20 1.40 1.60 1.80

1.40 1.50 1.60 1.70 1.80 1.90 2.00 2.10

桁高(m)

安全率

Hsf Udsf Mysf

Udsf(桁空間25%含む)

Mysf(桁空間25%含む)

Cd=2.00 Fz=Fx q=5m/s

図-4 桁高の安全率への影響(流速5m/s)

500,000 550,000 600,000 650,000 700,000 750,000

1.00 1.20 1.40 1.60 1.80 2.00 2.20

桁高(m)

上部工概算工事費(千)

5主桁 6主桁 8主桁 合成床版橋 少数主桁

図-5 桁高と上部工概算工事費

0.00 5.00 10.00 15.00 20.00 25.00 30.00

800 1000 1200 1400 1600 1800 2000 2200 2400

桁高(mm)

断面積(m2/m) 5主桁

6主桁 8主桁 合成床版橋 少数主桁 復元 桁間閉塞空間含む

桁間閉塞空間含まない

図-6 桁高と浮力断面積

0.00 1.00 2.00 3.00 4.00

3 4 5 6 7 8 9 10

流速(m/s)

安全率

Hsf Udsf Mysf

Udsf(桁空間25%含む)

Mysf(桁空間25%含む)

Udsf(桁空間50%含む)

Mysf(桁空間50%含む)

Udsf(桁空間100%含む)

Mysf(桁空間100%含む)

Cd=2.00 Fz=Fx

図-3 気仙大橋の安定性 土木学会第67回年次学術講演会(平成24年9月)

‑52‑

Ⅰ‑026

参照

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