• 検索結果がありません。

ニオイのストレス低減効果とそのメカニズムに関する研究

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2022

シェア "ニオイのストレス低減効果とそのメカニズムに関する研究"

Copied!
1
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)人間科学研究. Vo1.18,Supp1ement(2005). 修±論文要旨. ニオイのストレス低減効果とそのメカニズムに関する研究 一A. Study. ofthe. Stress. ReductionE冊ects. 武田. and. 宗博(Munehiro. their. Takeda). Mechanism一. 指導:児玉. 昌久教授. ことが示され、外部情報を取り入れようとする際に特定の. 【はじめに】. 我々は実生活において心地よいニオイを嗅いでリラック. 生理反応が生じるというsensoワintake理論によるメカ. スしたり、とあるニオイを嗅いだときに過去の記憶を鮮明. ニズム解明の可能性を得た。しかし同時に、対象となる指. に思い出したりする。このような経験を通して、ニオイは. 標、用いるニオイ物質など様々な要因によって関逮性のあ. ヒトに対して様々な影響を与えていることを実感している。. るニオイ評価が異なるという、複雑な推論を出すに至った。. また、西洋の伝統的なアロマセラピーにおいては、主に精. 研究2.空気中のd−limonene暴露効果のSensory. int2ke. 理論からの検証. 油を用いたトリートメントのなかで特定の精油が特定の生. 本研究では生理活性作用の研究が進んでいるcedro1研. 理・心理的な影響を与えると解釈されている。しかし昨今、. このようなニオイの作用メカニズムを科学的に解明して、. 究と比較することにより、d−1imoneneによる影響を同じ. より効果的に芳香物質を利用しようとする動きが産業界を. 視点から検討した。またsenso町intake理論になぞらえて、. 中心に進んでいる。この動きに同調して、ニオイの元とな. ニオイ評価の持つ意味を探索した。結果的にd−limonene. る揮発性化学物質の分析とその生理活性作用に関する研究. の影響はcedro1のものとは異なっており、ニオイ評価の関. が盛んになり、最終的には人問の生理・心理に対する影響. 与の仕方もsensoryintake理論を明確に支持するには至. を包括的に研究する必要性が高まってきた。そこで医学、. らなかった。. しかし、d−1imonene暴露によって心理指標が生理指標. 心理学、農学などの知識を集約した、学際的な研究が有効. よりも明確に変化したことから、研究Iにおけるストレス反. であると認知されつつある。. この一運の社会的・学術的な流れを受け、本論では今後. 応の回復増進には、心理的な変化が生理指標へ影響した可. も社会の重要課題であるストレスマネシメントの観点から、. 能性が示唆された。さらに、この観察された反応パターン. ニオイを用いたストレス低減に着目した。また本論の着眼. は、他のニオイ物質を用いた先行研究の結果に類似してお. 点は、ニオイをどのように感じることがニオイの作用に影. り、ニオイ物質暴露による特定の反応パターンの存在も示. 響しているかという点にあった。この感じかたを「ニオイ. 唆された。. 評価」として扱い、以下2つの研究を行った。 【まとめ】. 以上のように、ニオイ評価などの心理的な過程がニオイ. 【実験概略】. ニオイ物質:d−1imoneneおよび(±)lina1oo1. 物質暴露による影響に関与していることは明確にされた。. 生理指標:収縮期血圧、拡張期血圧、心拍数、末梢血流量. しかし先行研究ではこのようなメカニズムそのものに個人. 心理指標:p1easantness,energetic. 差があるという報告もある。したがってニオイに対する評. arousa1,tense. 価とニオイによる生理・心理的な影響との問に、万人に共. arOuSaI 暴露方法:バブリングによって空気中に気散させたニオイ. 通する一律な関連性の傾向を検討することは必ずしも妥当. ではない可能性が考えられる。今後この関連性に関する研. 物質への暴露. 究は、質的なデータ観察からいくつかの反応パターン(ニ. 研究1.ストレス反応の回復に影響を与える=オイ評価. オイ評価と各反応問の)を見つけ出し、それを個人差とし. 本研究では暗算課題による実験的なストレス状態からの. て捉えることから発展してゆくと考えられる。とくにスト. 回復過程において、ニオイ物質がストレス反応の回復に貢. レスマネジメントの観点から考えると、ストレッサーとの. 献することを示した。そしてその回復増進作用にニオイに. 対処方略のパターン(個人差)と、ニオイ効果発現のメカ. 対する評価が関与していることも示した。この結果から本. ニズムパターン(個人差)との適した組み合わせを発見す. 実験状況においては、大まかにいうとニオイに対する感覚. ることで、ニオイ物質の具体的な有効利用が可能になると. 的な評価の方が、経験的な評価よりも明確に関与している. 考えられる。. 一38一.

(2)

参照

関連したドキュメント

2.基本モデル 3.通商政策の効果 3−1輸入関税の効果 3−2輸出補助金の効果 3−3輸出自主規制の効果

Humbird (2016) “Process Design and Economics for the Production of Algal Biomass: Algal Biomass Production in Open Pond Systems and Processing Through Dewatering for

T.Edura, M.Nakata, H.Takahashi, H.Onozato, J.Mizuno, K.Tsutsui, M.Haemori, K.Itaka, H.Koinuma, Y.Wada, “Single Grain and Single Grain Boundary Resistance of Pentacene Thin

そして本書の眼目は後半部,因果的効果の推定以

可視化する車載器の開発が行われており,鹿島ら 1)や新 田ら 2)は走行中や走行後に行う情報提供で燃料消費量が

成果が期待されている点にある。 DARPA の研究開発費は 2019 年度において 33 億 2100 万ドルである が、その配分先は企業に 62.5% 、大学に 18.1% 、非営利機関に 3.9%

近年,米国を中心にアクセラレーターについての学術研究が報告されており,アクセラレーターのポ ジティブな効果を検証した研究( Hallen et al.,2014; Winston-Smith and

The results of this study suggest that the addition of nonverbal information by the pie chart eliminates the attributive framing effect, and that the gesture may affect