骨粗霧症:診 断と治療の進歩
7
0
0
全文
(2) 664. あ る.胸 腰 椎 側 面X線 写 真 は,X線. の斜 入 に よ っ. て 左 右 の 辺 縁 が 上 下 に ず れ て 見 え た り,後 左 右 に ず れ て 見 え る た め,ポ. 縁も. イ ンテ ィ ングの 再. 現 性 が 低 く な る こ と は 知 っ て お くべ きで あ る. 3)椎. 体 圧 迫 骨 折 に お け る 良 ・悪 性 の 鑑 別. 脊 椎 は 骨 転 移 の 好 発 部 位 で あ り病 的 骨 折 を 来 す こ とが 少 な く な い が,良. 性 圧 迫 骨 折 との 鑑 別. が 問 題 に な る こ と も し ば し ば で あ る.X線 骨 シ ンチ グ ラ ム,computed magnetic. resonance. tomography(CT),. imaging(MRI)は. に 用 い られ る が,と. 写 真,. そ の鑑 別. き に十 分 な鑑 別 が 困 難 な 時. も あ る. 単純 写 真 で骨 破 壊 像 が 明瞭 であ れ ば腫 瘍 性 病 変 が 考 え ら れ る が,そ. の変 化 が 軽微 な症 例 で は. 単 純 写 真 だ け で は 鑑 別 が 困 難 な こ と が 多 い.CT は 単 純 写 真 よ り も骨 破 壊 や 骨 折 の 有 無,脊. 椎周. 囲 の 腫 瘤 形 成 な どの 評 価 が 容 易 で あ り,鑑 別 診 断 に 役 立 つ こ と が 多 い.MRIで. は,急. 性 あるい. は亜 急 性 の圧 迫 骨 折 の場 合 にみ られ る骨 髄 の反 応 性 の 異 常 信 号 に よ っ て,腫. 図1.椎 体 圧迫 骨折の タイ プ (1)〓 状 椎(2)扁 平 椎(3)魚 椎. に な る.一 (T1強. 算 出 で あ る.つ. ま り,一 般 に椎 体 計 測 は 第4胸. 椎 か ら第4腰. 椎 ま で を,椎. 央 高(Hm)・. 後 縁 高(Hp)を. 比,且m/Hp比. 般 に は,良. 瘍 との鑑 別が 困難. 性 骨 折 は帯状 の異 常 信 号. 調 画 像 で 低 信 号, T2強. 調 画 像 あ る い はGd. 体 前 縁 高(Ha)・. 造 影 で 等 信 号 が 多 い)を 特 徴(図3)と 中. し,悪. 性. 骨 折 は 椎 体 お よ び椎 弓 根 に 見 られ る び ま ん 性 の. 算 出 し て, Ha/Hp. 異 常 信 号(Tl強. の 他,後 縁 高 に つ い て は そ の 上 下. 調 画 像 で 低 信 号, T2強. 調画像. あ る い はGd造 影 で 高 信 号 又 は 不 均 一 な 信 号)と. の 椎 体 の 後 縁 高 と比 を 求 め,そ れ ぞ れ 定 め た カ ッ. 椎 体 後 面 の 膨 隆 を特 徴 とす る(図4).し. トオ フ 値 と比 較 す る 方 法 で あ る.国. が ら画 像 診 断 の み で は鑑 別 が 困 難 な こ と も あ り,. 際的に よく. 用 い ら れ て い る 圧 迫 骨 折 の 評 価 法 の 一 つ と して は,視. 分 類 は,正. 央,お. よ そ20〜25%低 下),中. technique2)が. 常(grade. 椎 体 前 縁,中. O),軽. あ る(図2).そ 度 変 形(grade. 下 し,椎. 等 度 変 形(grade. お お よ そ40%低 日本 内科学会 雑誌. 央,お. 2,椎. 体 前 縁,中. (vacuum. 1,. ・平成17年4月10日. 血 性 壊 死 あ る い は骨 折 の 非癒 合. に よ る 亀 裂 内 に ガ ス が 貯 留 し た もの で,と 液 体 貯 留 が 見 ら れ る こ と が あ る.腫. きに. 瘍 や 骨髄 炎. に よる圧 迫骨 折 で見 られ る こ とは きわめ て稀 で. 央,お 下. あ る.こ の ガ ス 像 と ほ ぼ 一 致 し てT2強 液 体 を 示 す 強 い 高 信 号 が 見 ら れ る.. よ び/あ る い は後 縁 高 が. 第4号. cleft)(図5)は,阻. 折 後 の 偽 関 節 と考 え ら れ て お り,骨. 下),重 度 変 形(grade. 下 し,椎 体 面 積 が40%低 第94巻. の. 体 面 積 が10〜20%低. し,椎 体 面 積 が20〜40%低 体 前 縁,中. 椎 体 圧 迫 骨 折 で 認 め られ る椎 体 内 の ガ ス 像. よ び/あ る い は 後 縁 高 が お お. よ び/あ る い は 後 縁 高 が お お よ そ25〜40%低. 3,椎. 経 過 観 察 で 初 め て 診 断 さ れ る 例 も み ら れ る3).. 覚 的 な 評 価 法 で あ る半 定 量 的 計 測 法. semiquantitative. か しな. 下)で (58). 調画像で.
(3) 665. 図2.椎. 体 の 前 緑高,中 央 高,後 縁 高 の ポ イ ン テ ィ ング とSemi管quantitative. O〜grade. 3の. techniqueで. のgrade. シ ェー マ. 左 図 の よ う に,椎 体 前 縁,中. 央,後. 縁 の 上 縁 ・下 縁 の6点. を 決 定(ポ イ ン テ ィ ン グ)し,そ. の長. さを算 出す る. 図3.良 性圧 迫骨 折 73歳 男性.肺 癌 の既往 あ り. T1強 調 画像 で第2腰 椎 に帯状 の低信 号領 域が認 め られ,第3腰. 椎 には びまん性 に低 信号領域 が. 見 られる. 骨シ ンチ グラム では数 椎体 に高集 積を認 め る.CTで は骨破 壊像 はな い.第2,第3腰 度の違 い は,圧 迫 の程 度 と骨折の 新鮮 度の違 い と考 え られる.. 椎で信 号強. な い. 2.骨. 骨 盤 骨 や 大 腿 骨 頸 部 はIFの 好 発 部 位 で,多. 盤 骨骨折. 発. す る こ と が 多 く,骨 硬 化 性 変 化 や 溶 骨 性 変 化, あ る い は そ れ らの 混 在 し た 病 変 と し て 認 め られ. 骨 粗 霧 症 に関連 した骨 盤 骨骨 折 の う ち臨床 上 間 題 と な る の は,insufficiency あ る.IFは,骨. 粗 霧 症,骨. 治 療 後 に 生 じ る骨 折 で,明. る(図6).軟. fracture(IF)で. 軟 化 症,ま. 骨IFのX線. た 放射 線. 骨 下 骨 に発 生 す る こ と も あ る.仙 所 見 は し ば し ば 軽 微 で,腸 管 ガ ス の 重. な り の た め に 指 摘 困 難 な こ と も多 い.ま. ら か な 外 傷 歴 を伴 わ (59). 日本内 科学会雑 誌. 第94巻. 第4号. た部 位. ・平 成17年4月10日.
(4) 666. T1強 調画像. T2強 調画像. 図4.悪 性圧 迫骨 折 55歳 女 性.胃 癌 の病歴 と急性背 部痛 あ り.第4腰 椎 はT1強 調 画像 で びまん性 に信 号強 度の 低下 を認め,T2強 調画 像 で不均一 な高 信号 を認め る. 椎 体の後 方へ の膨隆 が見 られ る.. T1強 調画像. 80歳. T2強 調画像. 図5.vacuum c管eftを有 する脊 椎骨 折 女性.レ ン トゲ ン写真 にて圧 迫骨 折を起 こ した椎体 内 にガス像 を認 め る.T1強 調画 像で は,. 低 信号 を呈 してい るが,T2強 考 え られ る.. 調画 像で は線状 の高信 号 を認 め, vacuum. cleftに相当 して い ると. に よ っ てX線 所 見 が 異 な り,特 に 恥 骨 や 坐 骨 で は. 3.四. 骨 吸 収 が 強 く,腫 瘍 と 紛 ら わ しい こ と も多 い. 骨 シ ン チ グ ラ ム やCT,. MRIは. 肢骨骨折. 病 変 を鋭 敏 に と ら. 大 腿骨 頸 部 は骨 粗 霧 症 に伴 う骨 折 の 好 発 部位. え る こ とが で き,仙 骨 に お け るH型 の 病 変 と い う 特 徴 的 分 布 が 腫 瘍 との 鑑 別 に 最 も重 要 で あ り,. で あ る.骨 折 線 が 不 明 瞭 で,骨 の偏 位 を伴 わ な. 骨 シ ンチ は 多 発 性 骨 折 の 分 布 を 把 握 す る の に 有. い場 合 に は骨 折 の 同定 が 困 難 な こ とが あ る.骨. 用 で あ る.. 皮 質 の連 続性 の消 失 や 骨頭 の 角 度 の変 化 に も注. 日本 内科学会 雑誌. 第94巻. 第4号. ・平成17年4月10日. (60).
(5) 667. 図6.77歳 A.仙. 女 性,骨. 盤 骨insufficiency. 骨 の 両 側 に 軽 度 の 骨 硬 化 性 変 化 を 認 め る(黒 →).左. 化 性 変 化 が 混 在 し た 病 変 が み られ,骨 B.坐. 骨CT像. C.仙. 骨MR像. D.骨. シ ン チ(後. (→).骨. fracture. 恥 骨 上 枝 お よ び 坐 骨 に は 骨 破 壊 と骨 硬. 腫 瘍 と 紛 らわ しい(白. →).. で は 仙 骨 にH型 の 信 号 の 変 化 を 認 め る 管 面 像)で. は 仙 骨 のH型 の 集 積,恥. 盤 骨 の 病 変 の 分 布 はinsufficiency. 図7.21歳. 女 性,Crohn病. 骨,坐. fractureに. 骨,第10胸. 椎 へ の 集 積 が 認 め られ る. 特 徴 的 で あ る.. でス テ ロイ ド投与 中,転 倒 によ る右 大腿 骨頸部 骨折. 股 関 節の 単純写 真(A)で,右 大 腿骨 頸部 に骨皮 質の わずか なず れが認 め られる(→).MRI 1強 調 画 像(C)で は右 大 腿骨頸 部の 骨折線(→)お よび周 囲の浮 腫性 変化 が明 らかで ある.. (61). 日本 内科学 会雑誌. 第94巻. 第4号. T. ・平成 で7年4月10日.
(6) 668. 図8.68歳. 女性. 脛 骨 のinsufficiency. お よ びreinforcement. line(bone. fracture. bar). 骨 は全 体 に 骨 梁 に 乏 し く,骨 皮 質 も 薄 い.脛 に は 帯 状 の 骨 硬 化 像 が み られ,脆 見 で あ る(→).骨. 骨 外顆. 弱性骨 折 を示す所. 髄 を 横 走 す る よ う な 線 状 構 造 は骨. 粗〓 症 に 伴 うreinforcement 別 す る 必 要 が あ る(矢. lineで あ り,骨 折 と 区. 図9.48歳 女 性,ス デ ロイ ド性骨 粗霧症 によ る圧 迫骨 折 SLEに てス テ ロイ ド内服中. Th 12椎 体 に椎 体の 著 明な 扁平化 を伴 う圧 迫骨折 を認 め る.骨 硬 化 像を 伴 い,ス テ ロイ ド骨粗 霧症 によ る圧迫 骨折 に特 徴的 と さ れる.. 頭).. 図10,40歳. 女 性,低. リ ン血 性 骨 軟 化 症(く. 全 体 的 に 骨 梁 は 粗 造 で あ る.両 側 大 腿 骨 の 蛮 曲(bowing)が zone(pseudofracture)を. 認 め る(→).骨. 盤 骨 や 大 腿 骨 の 腱 ・靱 帯 付 看 部 に は 過 剰 な 骨 化 を 認. め る. 7年 後(B)に. 日本 内科学 会雑誌. 第94巻. は左 大 腿 骨 頸 部 は 骨 折 を き た して い る(→).. 第4号. ・平成17年4月10日. る 病). あ り.左 大 腿 骨 頸 部 内 側 にLooser's. (62).
(7) 669. 意 す る 必 要 が あ る 。 骨 シ ンチ グ ラ ム やMRIは の よ う な 骨 折 の 発 見 に 有 用 で あ る.特. こ. 完 全 骨 折 に 至 る こ と もあ る.. にMRIは. 骨 折 に 伴 う骨 髄 の 浮腫 性 変 化 を 敏 感 に 捉 え る こ と が 可 能 で,特. 5.骨. 異 性 に 優 れ て い る こ とか ら有 用. 折 診 断 に お ける各 放 射線 学 的 ア プ ロー チ. 性 が 高 い(図7). 橈. 骨 遠 位 部 で は い わ ゆ るColies骨 折 が よ く発 生. す る.遠. 位 骨 片 が 背 側 に 偏 位 す る も の で,通. は 正 側2方. 簡 便 な単 純X線 写 真 の 骨 折 の 存 在 診 断 にお け る. 常. 役割 は 大 きい.骨. 向 の 撮 影 で 明 ら か な こ と が 多 い が,. 粗〓 症 の 診 断 と 治 療 効 果 判 定. の た め に,脊 椎X線 写 真 に 基 づ く椎 体 計 測 は 不 可. 偏 位 の 少 な い 場合 は 見 逃 し や す い こ と は 知 っ て. 欠 の 評 価 法 で あ る.た. お く必 要 が あ る.. 位 で あ っ た り,変 形 を伴 わ な い 骨 折 で あ っ た 場. 皮 質 骨 の 断 裂 を 伴 わ な い 骨 折 はX線 写 真 で は 診 断 困 難 で あ る が,治. 合 に は,診. 癒 期 に な る と帯状 の骨 硬化. 性 変 化 と し て 描 出 さ れ る.ま. た,大. line(bone. bar)が. 腿骨や脛骨. あ る(図8).こ. 断 が 難 し い.CTは,. X線 被 曝 の 問 題. が あ る が 骨 折 線 や 骨 片 の 描 出 に 有 用 で あ り,三 次 元 再 構 成 画 像 に よ っ て 骨 折 の 全 体 像 の 把 握 や,. で 比 較 的 よ く見 ら れ る 所 見 と し て,reinforce ment. だ し解 剖 学 的 に 複 雑 な 部. 複 雑 な 解 剖 構 造 を 呈 して い る 領 域 の 観 察 に 役 立. れ は骨. ち,単. 純 写 真 で認 識 で きな い骨 折 や 関節 内 骨折. 髄 を横 断 す る よ う な 枝 分 か れ を 伴 う細 い 線 状 構. が 明 瞭 に 描出 で き る.MRIはCTと. 造 と して 描 出 さ れ,慢. 節 内 病 変 ・骨 髄 病 変 ・軟 部 組 織 病 変 の 描 出 に優. 性 的 な ス トレ ス に よ る 骨. 新 生 を見 て い る もの と推 測 さ れ て い る.. れ て い る.骨. シ ンチ グ ラ ム は 異 常 所 見 の 特 異 度. が 低 い とい う 問 題 点 が あ る が,骨 4管 骨 折 を き た す 他 の 疾 患. は 高 く,潜. 比 較 す る と関. 折 の描 出 感 度. 在性 骨 折 や 多発 骨 折 の評 価 に有 用 で. あ る. 骨 粗 霧 症 に よ る椎 体 変 形 と 鑑 別 が 必 要 な疾 患 と し て,骨 病,椎. 軟 化 症osteomalacia,. 間 板 変 性 性 疾 患 が あ る.ス. こ れ らモ ダ リ テ ィ ー の 長 所 と 短 所 を 理 解 し て. Shauermann. 骨折 の診 断 に お け る検査 の道 応 を決定 す べ きで. テ ロ イ ド骨 粗. あ る.. 懸 症 に よ る 圧 迫 骨 折 で は 圧 潰 ・変 形 し た椎 体 に 文. 硬 化 性 変 化 が 見 ら れ る の が 特 徴 と され る(図9). 骨 軟 化 症 に 特 徴 的 なLooser's 骨 折(pseudofracture)は,大 尺 骨 近 位 部 伸 側,肩. zoneあ る い は 偽. 枝 な ど に 好 発 す る,2〜3mm幅 る 透 亮 像 で あ る(図10).典. 1) Kim N, et al : Underreporting of vertebral fractures on routine chest radiography. AJR 172: 297-300, 2004. 2) Genent HK, et al : Vertebral fracture assessment using a semiquantitative technique. J Bone Miner Res 8:1137 1148.1993.. 腿 骨 近 位 部 内 側,. 甲 骨 の 腋 窩 縁,肋. 骨,恥. 献. 骨. の 骨 皮 質 と1藍行 す. 3)上. 型 的 に は両 側 対称 性. 谷 雅 孝,他:ス. ト レ ス 骨 折 と 病 的 骨 折.画 像 診 断. 17:. 655‑664,1997.. で,周 囲 に 骨 硬 化 あ る い は 骨 膜 反 応 を 認 め る が,. (63). 日本内科挙会雑誌 第94誉 第4号・平成17年4月10日.
(8)
関連したドキュメント
8%をしめ脳卒中,認知症,高齢 による衰弱についで第4位である.古い骨を破壊・吸収 する骨吸収と骨を造る骨形成の一連の過程をリモデリン
胆道癌診断のアルゴリズム 臨床症状 リスクファクター 血液検査、US CT、MRCP(MRI) 胆管癌 胆嚢癌 乳頭部癌
原発性骨粗鬆症の 危険因子 低骨密度 既存(脆弱性)骨折 喫煙 過度の飲酒 ステロイド薬使用 骨折家族歴 運動不足 低体重 Ca摂取不足
本症例は,著者が作成した仮想症例であり実在し ている症例ではない.制作側として本症例の特徴
骨粗鬆症検診は、健康増進法基づき実施され、市町村が市区町村の区域内に居住地を有する 40 歳、45 歳、50 歳、55 歳、60 歳、65 歳及び
49:888 <シンポジウム 7―3>パーキンソン病の病因・診断・治療研究の進歩 パーキンソン病の病態:運動症候と非運動症候 武田 篤 1) 馬場 徹 1) 菊池 昭夫
154 【目的】 パノラマ X
2 骨粗しょう症連携手帳 は 骨粗鬆症財団が編纂し、 骨粗しょう症患者さんに配布しています