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概 要 骨粗媒症の定菫的診断に

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Academic year: 2021

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(1)

川 崎医 療 短 期 大 学 紀 要

2 2

号:

55‑59 2 0 0 2   5 5  

被写体厚が X 線写真の骨構造解析に及ぼす影響 一 腰椎側面像における縦筋・横筋の検討 一

北山 彰 \ 荒尾 信 一 \ 天 野 貴 司\

林 明 子 \ 板 谷 道 信 \ 友 光 達 志 汽 曽 根 照 喜 凡 福 永 仁 夫

3

E f f e c t s  o f  O b j e c t i v e  T h i c k n e s s  on Bone S t r u c t u r e  A n a l y s i s  o f  X ‑ ray Photograph 

‑ I n v e s t i g a t i o n  o f  Lengthwise and C r o s s w i s e  S t r i p e s   P r o j e c t e d  on t h e  L a t e r a l  Lumber Image‑

Akira KITAYAMA1, S h i n i c h i  ARA01,  Takashi AMAN01,  Akiko HAYASHI1 ,  Michinobu ITAYA ,   1 T a t s u s h i  TOMOMITSU 汽

T e r u k i  SONE 3  and  Masao  FUKUNAGA 3 

キーワード

:骨粗魏症,骨梁構造解析,ディジタル画像処理,被写体厚,筋強調フィルタ法

概 要

骨粗媒症の定菫的診断に X 線写真を用いた骨構造解析法を適用する場合,骨構造が同じであれば,被写体厚が異なって いても解析値は一定となることが重要である

.そこで今回我々は被写体厚の変化が骨構造解析に用いられる腰椎側面像に

描出される縦筋,横筋に及ぼす影響について検討した.

その結果,健常例,骨粗媒症例ともに骨は同じであっても,被写体厚が厚くなると, X 線写真上に描出される縦筋,横 筋の数はどちらも増加する傾向が認められ,特に縦筋に比べて横筋の増加が顕著であった

.したがって,骨粗魏症の診断

に X 線写真を用いる場合には,解析値が被写体厚によって変動しないように,撮影時に腹帯や水枕などを用いて被写体厚 を一定にする工夫をしたり , 骨梁像の描出能が撮影条件によって変化しないように撮影管電圧などを一定にすることが必 要である

1 . 緒

E

近年,わが国では高齢化社会の到来とともに加齢に 伴う退行性疾患が増加している

なかでも骨の退行性 疾患の一つである骨粗縣症の患者数の増加は顕著なも のがあり叫その予防や治療は医学的のみならず,社会 的にも強く要望されている.

図 1

に健常な腰椎椎体の断面と骨粗縣症の椎体断面

との比較を示すが, これら椎体の骨梁構造の違いから わかるとおり,骨粗縣症とは骨量の減少と骨の微細構 造の劣化 によって骨強度が脆弱化 し,その結果,骨折

平成1

4

1 0

2 2

日受理)

1川崎医療短期大学放射線技術科,引

I I

峙医科大学附属病院 中央放 射線部,3川 崎 医 科 大 学 核 医学教室

' D e p a r t m e n t  o f   R a d i o l og i c a l  Technolog y ,   Kawasak i  C o l l e g e  o f   A l l i e d  H e a l t h  P r o f e s s i o n s  

2 Department o f  Radio l o g y ,  Kawasak i  Medical Schoo l  Ho s p i t a l   ' Department o f  Nu c l e a r  Medic i ne ,  Kawasaki  Med i c a l  Sc h o o l  

を起こし易くなった全身性の骨疾患と定義されている

3).

骨粗縣症の診断,予防および治療の導入には

,骨強度

を定量的に計測することが臨床上重要であるが,現在,

骨粗縣症の診断では, X 線写真に投影された骨梁像か ら骨の強度を推定する骨構造解析法が種々 ,試みられ ている

4,5).

しかしながら

X 線写真を用いた解析 法では,たと え骨構造そのものは

じであっても

対象とする被写 体

の厚さが異なると被写体から発生する散乱線等の状態 が異なるために,その結果, X 線写真上に描出される 骨梁像に差が生じ,解析値が変動することが予測され る

よって今回我々は

,被写体厚の変化

が腰椎側面像 に描出される骨梁像としての縦筋,横筋に及ばす影響 について検討した .

2.

対 象 お よ び 方 法

対象には屍体から摘出した 2 0 歳代男性の健常例第 2

(2)

5 6  

北山 彰 ・ 荒 尾 信 ー ・ 天 野 貴司・林 明 子 ・ 板 谷 道 信 ・ 友 光 達 志 ・ 曽 根 照喜•福永 仁 夫

心領域の切出画像]

[健常例]

[骨粗縣症例]

1

健常例と骨粗縣症例の腰椎椎体の断面の比較

健常例では骨梁構造は太く分布は密であるが,骨粗媒症例の 骨梁は細く分布は粗であり,穴開き構造が目立つ.

(文献2)より)

三 ニ

75kV  100 mA 

I 腰椎側面像の撮影 I

↓ 

I ディジタル化 I

E 3 0 0 L

諾幽 2 嘔

被写体厚:

15

,

20,25,  30cm 

水槽

︐ 

ロ ロ ロ ロ ロ

腰椎

散乱線除去用グリッド

↓ 

1

関心領域の設定

I

I 露光量変換 ↓  I

I 平滑化処理 ↓  I

↓ 

│(原画像)一(平滑化画像)

↓ 

I 二値化処理 I

I 縦筋・横筋の解析 ↓  I

増感紙/フィルム

2

実験の配置および手順

筋 強 調 フ ィ ル タ 法

腰椎 ( 摘出骨骨密度: 0.857g / c m り と 7 0 歳代女性の骨 粗魏症例第 2 腰椎(摘出骨骨密度: 0 . 3 5 3g  / c m り を 使 用した.

図 2 に実験の配置および実験の手順を示す.

3

[腰椎側画像: L ,‑L

[露光量変換後の画像]

2

腰椎側面像から切り出した関心領域の画像とその露光量変 換後の画像

露光量変換を行うことによって骨梁の描出能か向上している

X 線撮影台の上に摘出腰椎を沈めた水槽を置き,被写 体厚に相当する水の深さを, 1 5 , 2 0 ,   2 5 ,   3 0 c m と変化 させて,椎体の側面 X 線撮影を行 った.撮影条件は,

管電圧 7 5kV 管 電 流 l O O m A ,撮影時間は第 2 腰椎中央部 の写真濃度が 1 . 0

0 . 1 となるよう に調整 した.撮影し た X 線写真は , フィルムデジタイザ ( LD ‑ 4 5 0 0 ;コニカ)

を用いて,標本化 0 . 1 m m , 量子化 8b i t にてディジタル 化を行い,デ ジタル画像データとしてパーソナル コン ピュータ ( Macintosh7 3 0 0 / 1 8 0  ;  Apple ) に取 り込ん だ.次に,パソコン上で第 2 腰椎中央部から 1 2 8 X  1 2 8   p i x e l の関じヽ領域 を切り 出し,その領域について,フィ ルム特有の低濃度部, 高濃度部でのコントラストの低 下を補正するために,使用した感光系の特性曲線を用 いて露光量変換

6)

を行い,腰椎の骨梁がよく描出された 画像を得た ( 図 3 ) .そして,その骨梁が強調された画 像に対 し筋強調フィルタ法 を適用して骨梁の二値化画 像を 作成し,縦方 向および横方向の骨梁構造を示す縦 筋と横筋の本数を計数した.ここで,二値化処理の閾 値には関心領域のピクセル値の平均値を使用した.

なお,画像処理にはパブリ ック ドメインソフト NIH Image V e r .  1 .  6 1 を,筋の計数には表計算ソフト Excel V e r .   5 .   0  ( M i c r o s o f t ) を使用した.

3 . 結 果

まず,

図 4 に,被写体厚 ( 水の深さ)を変化したときに得 られた健常例および骨祖魏症例の 露光 量変換後の画像 を示す.健常例ではゴツゴツとした骨梁像が,一方,

骨粗穀症例では健常例に比べて,淡く細かい骨梁像が

(3)

被 写 体 厚 が

X

線 写真の 骨 構 造 解 析 に 及 ぼ す 影 響

5 7  

健常例

[椎体のみ]

骨粗縣症例

[椎体のみ] [被写体厚15cm]

4

被写体厚を変化したときに得られた健常例および骨粗縣症例の露光豆変換後の画像

健常例ではゴツゴツとした骨梁像が,骨粗縣症例では淡く細かい骨梁像が観察される.健常例,骨粗媒症例ともに,被写体厚が厚くなる につれ骨梁の描出能が低下している.

m  5  厚 体 写 頃

例 岬 叫 墨 一

常 内 氏 窃 呻 粗

健 骨

[被写体厚15cm] [20cm] 

[20cm] 

[20cm] 

[25cm] 

[25cm] 

[椎体のみ] [被写体厚15cm]

[25cm] 

[30cm] 

[30cm] 

[30cm] 

[20cm]  [25cm]  [30cm] 

5

被写体厚を変化したときに得られた健常例およぴ骨粗縣症例の骨梁の二値化画像

健常例に比べ骨粗媒症例では骨梁の分布が細かく,また,健常例,骨粗縣症例ともに,被写体厚が厚くなるほど骨梁の分布が細かくなる 傾向が認められる.

(4)

5 8  

北山 彰 ・ 荒尾信ー ・天野貴司・林明子・板谷道信 ・ 友光達志・曽根照喜 •福永仁夫

20  20 

[縦筋] [横筋]

X  X  X  E 1 5 ~

'一、

15 ~

X  X 

゜゜

X  X  ̀ ‑ ‑ ‑  

10)  : ゜ ゜゜゜ 10

溢 溢

5‑ 〇健常例

51 〇健常例

x 骨粗縣症例 x 骨粗縣症例

0 ' '   0 . .  

0  5  1  0  1  5  20  25  30  35  0  5  1  0  1  5  20  25  30  35 

被写体厚 ( cm ) 被写体厚 ( cm )

図6 被写体厚の変化に対するX線写真上に描出された縦筋と横筋の本数の変化

骨粗腺症例の方が健常例よりも計数される筋の数は多く,また,健常例,骨粗牒症例ともに被写体厚が厚くなるほど,筋の数が多くなる 傾向が認められる.そして,その傾向は縦筋よりも横筋の方が顕著である.

観察された.また,被写体厚が厚くなるにしたがい,

被写体から発生する散乱線のために,健常例,骨粗魏 症例ともに骨梁像は不鮮鋭に低コントラストとなり,

骨梁の描出能が低下していることがわかる.

図 5は,図 4の露光量変換後画像に筋強調フィルタ 法を適用して得られた健常例および骨粗縣症例の骨梁 の二値化画像である.健常例に比べ骨粗魏症例では骨 梁の分布が細かく,また,健常例,骨粗魏症例ともに 被写体厚が厚くなるはど,骨梁の分布が細かくなる傾 向が観察された .

図 6 に,被写体厚の変化に対する骨梁の二値化画像 から計数された縦筋および横筋の本数の変化を示す.

骨粗魏症例では健常例に比べ,計数される筋の数が多 かった.また,健常例,骨粗縣症例ともに被写体厚が 厚くなるはど,計数される筋の数は多くなる傾向が認 められ,その傾向は縦筋よりも横筋の方が顕著であった.

4. 考 察

図 1 に観察されるように,健常例では骨梁構造が太

<密に分布しているために, X 線写真上では図 4 のよ うにゴツゴツとした大きく荒い骨梁像が描出される.

一方,骨粗魏症例では ,骨梁は細く分布も粗であるた めに X 線写真上に投影される骨梁像は細く淡い. した がって,これらの画像から筋強調フィルタ法によって 骨梁像を抽出して,縦筋と横筋の本数を計数すると,

健常例では骨梁像がゴツゴツと大きいために計数され る筋の本数は少なく,一方,骨粗縣症例では骨梁の分

布密度は低いものの,一本一本の骨梁が細いために計 数される筋の本数は健常例よりも多くなったと考えら れる.

縦筋,横筋のどちらにおいても,被写体厚が厚くな るにつれて計数される筋の本数が増加する傾 向が認め られたことについては,被写体厚が厚くなるほど被写 体から発生する散乱線が増加するために,描 出 される 骨梁像の鮮鋭度および写真コントラストが低下し て , 骨梁が描出されにくくなり ,相対的に雑音の成分が増 加したことが原因であると考えられる .

また,この傾向が縦筋よりも横筋において強く認め られたことについては,散乱線除去用グリッドの縞目 の方向によって画像上の縦方向と横方向では散乱線の 除去能が異なること , そして,横方向の骨梁(横筋)

は,縦方向の骨梁(縦筋)に比べて,人が生活するう えで通常は荷重がかかりにくく,その結果,骨梁の構 造は細く, したがって , X 線写真上で散乱線等の影響 によって消失しやすいことなどが原因であると考えら れる.

次に,被写体厚の変化に対する縦筋と横筋の変化の ようすが,健常例と骨粗縣症例で差が認められるかど うかを検討するために,被写体厚の変化に対して縦筋 と横筋の本数の比をとってみたが,健常例と骨粗魏症 例で,縦筋と横筋の変化のようすに差は認められなか

った(図 7 ) .

(5)

被写体厚か

X

線写真の骨構造解析に及ぼす影響

5 9  

1 . 0  

0 . 9  

0

R  

0  

溢眠\溢藻

0 . 6  

[縦筋/横筋]

g  o x   X0 

〇 健 常 例

x

骨 粗 縣 症 例

0 . 5  

0  5  1  0  1  5  20  25  30  35 

被写体厚 (cm)

7

被写体厚の変化に対する計数された縦筋と横筋の本数の比 健常例と骨祖採症例で縦筋と横筋の変化に差を認めない.

5  係 吉

︱ ︱R  五 ロ

被写体厚の変化が腰椎側面像の骨構造解析に及ぼす 影響について,腰椎側面像に描出される縦筋と横筋の 本数を検討した結果,健常例,骨粗媒症例ともに骨は 同じであ っても被写体厚が厚くなると, X 線写真上に 描出される縦筋,横筋の数はどちらも増加する傾向が 認められ,特に縦筋に比べて横筋の増加か顕著であっ た .

したが って,骨粗豚症の定量的診断において X 線写 真を 用いる場合には,骨梁構造は同じであ っても被写

体厚の相違によ って解析値が変動する可能性があるた め,十分な注意が必要である . そして,解析値が諸条 件によって変動しないようにするためには,撮影時に 腹帯や水枕などを用いて被写体厚を一定にする工夫を したり,骨梁像の描出能が撮影条件によって変化しな いように撮影管電圧等を一定にすることが必要である

と考えられた.

6 . 文 献

1)鈴木 隆 雄 , 林 泰 史 , 福 永 仁 夫 , 吉 村 典 子 , 荻 野 浩 , 藤 原佐枝子,塚原典子,伊木雅之:図でみる骨粗魏症

2 0 0 2

(疫 学編),

O s t e o p o r o s i sJ p n .  1 0 ( 1 )  :  7  ‑31,  2 0 0 2 .  2 )  L i s   M  :  Age ‑ r e l a t e d   Changes i n   Sp i n a l  Bone  M a s s ,  

S t r u c t u r e  and S t r e n g t h ,  J .   J p n .   S o c .   Bone Morphorn .  8  :  9  ‑1 8 ,   1 9 9 8 .  

3 )

山本逸雄 :骨粗 縣 症 の 定量 診断,

CLINICALCALCIUM  5  ( 1 1 )  :  7 ,   1 9 9 5 . 

4)北山 彰,板谷道信,友光達志,荒尾信一,天野貰司, 林 明子,曽根照喜,福永仁夫,山下一也:骨梁の画像解析,

日放技学誌,

5 6 ( 3 ) :  4 6 0 ‑4 7 1 ,   2 0 0 0 .  

5 )  Ch i n a n d e r  MR, G i g e r   ML, Marte l l   JM, Fa v u s MJ  :  C o m p u t e r i z e d   Analys i s o f   R a d i o g r a p h i c   Bone  P a t ‑ t e r n s  :  E f f e c t   o f   Imaging C o n d i t i o n s  o n  P e rformance ,  Med. P h y s .  2 7 ( 1 )  :  7 5 ‑ 8 5 ,   2 0 0 0 .  

6)北山 彰,友光達志,曽根照喜,福永仁夫:骨梁像のフラ クタル次元解析における露光量変換法の有効性, 日骨形態 誌,

8( 1 )  :  7 1 ‑7 5 ,   1 9 9 8 .  

7)北山 彰,板谷道信, 山下一也, 友光達志,曽根照喜,福 永仁夫,山北幸重,山内広世:筋強調フィルタ法による腰 椎骨梁の定量解析,川崎医療短期大学紀要,

1 9:  87‑91, 

1 9 9 9 . 

(6)

参照

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