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水理模型実験による越波飛沫の計測について

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Academic year: 2022

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水理模型実験による越波飛沫の計測について

九州大学 学生会員 ○仲村 渉

正 会 員 山城 賢 横田雅紀 1. はじめに

海水の塩分を含む潮風は,鉄筋コンクリート構造物等の腐食・劣化,農作物の枯死・減収,広域に及ぶ停電 など,多岐にわたって塩風害を引き起こす.道路や橋梁等の社会基盤の長寿命化や農業生産の確保が喫緊の課 題である我が国において,塩風害は今後一層重大な問題となるであろう.ところで,台風来襲時のニュース等 で,岸壁から大量に飛び散る海水飛沫の映像を目にするが,その映像にあるように,海岸構造物は波浪制御等 の役割を果たす一方で,塩風害の原因となる大量の海塩粒子(微小な海水飛沫)の発生源となり得る.しかし,

その発生過程は複雑で未解明である.以上より,本研究では,海岸構造物での波の打上げに伴う海水飛沫の生 成と輸送過程を解明することを目的に,水理模型実験による越波飛沫の計測を試みた.

2. 実験内容

2.1 計測手法の概略

図-1に示す断面2次元造波風洞水路に護岸模型を 設置し波と風を同時に作用させる.そして,越波に伴 い発生する飛沫をバックライト法により可視化し,

高速度カメラで撮影する.撮影は護岸背後の複数個 所で行い,撮影した映像から,画像解析により撮影範 囲における飛沫の粒度分布を求める.

2.2 可視化実験の詳細

図-2に示すように,高速度カメラ((株)フォトロン製)をバ ックライトの光源と対面するように設置し,撮影範囲を両者の間 に設定した.バックライトにはメタルハライドランプ((株)フォ トロン製)を使用し,被写体となる飛沫と光源の間に乳白色のア クリル板を設置し直接光を拡散させた.なお,光源の光の強度は 撮影映像の鮮明度に強く影響するため,照明の角度や設置位置を 調整した.また,撮影範囲を水路ガラス面から20cmの護岸背後 とし,アクリル板を水路ガラス面から21cmに設置した.これは,

事前の検討で調べた,水路の側面に付着する飛沫をデフォーカス し,画像解析での誤計測を防ぐための最適な距離である.また,高速度 カメラのフレームレートとシャッター速度についても事前に検討し,

それぞれ3600fps,1/3600sとした.なお,図-2に示す水路の観察部は遮光性のテントで覆い暗室とした.

2.3 解析方法

本研究では,画像解析に市販のソフトウェア((株)ディテクト製Dipp-Macro)を使用した.まず,撮影し たサンプル映像において解析するフレームを設定する.次いで,画面内での計測する飛沫を1つ指定し,その 飛沫の濃度を閾値と設定して,その値より0-画素の背面(アクリル板)と1-画素の対象(飛沫)に分割する2 値化処理を行う.2値化画像で飛沫に相当する部分の粒径と数を計測し,画像内における粒度分布を得る.

2.4 実験条件

実験には図-1に示す断面二次元造波風洞水路(長さ28m, 高さ0.5m, 幅0.3m)を使用した.この水路内に,

海底斜面および直立堤の模型を作成した.水深は30cmとし,入射波は修正Bretschneider-光易型スペクトルを 図-1 断面二次元造波風洞水路

図-2 可視化実験の概略

高速度カメラ

30cm

アクリル版

照明 撮影範囲

21cm 20cm

28.0m

造波装置 0.5m 送風機

0.8m 4.0m 半円ダクト

方形ダクト 吸込みダクト

20.0m 防波堤

0.3m 1:50 8.3cm 13.6cm

18.7cm

1:1.5 12.6cm

II‑058 土木学会西部支部研究発表会 (2015.3)

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有する不規則波で,有義波高と有義波周期は(H1/3,T1/3)=

(7.0cm,1.0s)とした.風の条件は,送風機を用いて風速

5.8m/s の弱い風を起こした. 図-3 に実験装置の撮影箇所を

示す.黒枠で囲った範囲が高速度カメラで撮影した範囲であ り,不規則波中のある特定の一波に着目し,その波による飛 沫の発生・輸送状況について撮影し解析した.

3. 計測結果

図-4 に飛沫の飛散の時間経過の例を示す. 2 値化処理により飛沫 は白で表され,その他は黒で表される.なお,水塊を白で表さないよ

うに粒径が35mm以上の粒子を削除して解析し,時間経過による飛沫の挙動を比較した.これらの画像より,

例えば赤丸と緑丸で囲った飛沫のように飛沫が護岸背後へ飛来している様子をよく理解できる.一方黄丸で 囲った飛沫は移動していない.これは水路のガラス面に付着した飛沫を計測したためである.図-5に飛沫の粒 度分布を示す.これは撮影した全ての画像(全701フレーム)に写る飛沫の数の平均値を縦軸としている.図 -5より,飛沫の粒径が小さいほど数が多い傾向にあることが分かった.なお,粒径が1mm以下において,非 常に小さい飛沫は解析ソフト上で飛沫として捉えていない.また,水路のガラス面に付着した飛沫の誤計測と,

飛散途中で形状が変化し粒径が 35mm を超えたものは削除していることから、図-5 の粒度分布図の精度は検 討が必要である.

4. おわりに

造波風洞水路を用いて,直立護岸で発生する越波飛沫に関する水理模型 実験を行い,飛沫の可視化と画像解析による計測を試みた.その結果,

現段階においてある程度は計測が可能であることが分かった.今後は計 測手法の改良を行い,具体的に飛沫の発生と輸送について検討する予定 である.

<参考文献>

山城 賢・改田将平・知念 卓・吉田明徳(2013):風作用下での越波量の出現頻度 に関する実験的研究,土木学会論文集B2(海岸工学),Vol.69,No.2,pp.I_771-I_775

図-4 2値画像処理の結果の例

図-5 粒度分布図 図-3 実験装置の撮影部

0 2 4 6 8 10

< 1.00 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20 22 24 26 28 30 32 34 35.00 <=

個数

粒径(mm)

10cm

10cm

II‑058 土木学会西部支部研究発表会 (2015.3)

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