南オセチア紛争とは
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y オセット人はコーカサスの南北で分断され、北オセチアはロシアに、南オセチアはグル
ジアに属してきた。ソ連のもとでは、南オセチアは自治州とされ、かなりの権限を行使で
きた。
y ペレストロイカにより、グルジアの民族主義が高まると、特に民主主義的指導者であっ
た、ズヴィアド・ガムサフルディアが同国内のマイノリティのグルジア化を始め、南オセチ
アとアブハジアはグルジアとの対立を深めていく。
y 1989年11月23日に・ガムサフルディアは、支持者(3万~6万人)を引き連れ、ツヒンヴァ
リで示威行進。平和的な集会とされたが、数百人の武装兵が随行し、負傷者400人、死
者6人を出した。
y 1991年1月5日に ツヒンヴァリに警官隊とガムサフルディアの親衛隊が投入され、オセッ
ト人に対する大規模な弾圧を始めた。オセット人は、自警団を結成してこれに対抗、ツヒ
ンヴァリからグルジア人を追い出すことに成功。
y 91年12月にソ連が解体してグルジアが独立すると、南オセチアの自治州としての地位
は取り消される(日本のマスコミはほとんど「自治州」と書いているので注意!)。
y 1992年1月19日 南オセチア共和国の独立に関する住民投票が行われ、92%以上がこ
れに賛成した。
南オセチア紛争とは
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y 1992年2月、住民投票を受け、ツヒンヴァリ周辺にグルジアの砲兵と装甲車両が配備さ
れ、砲撃開始、紛争状態に。
y 92年3月8日にエドゥアルド・シェワルナゼ(ガムサフルディアは、チェチェンに亡命、自
殺?)がグルジアの指導者となるも状況変わらず。
y ロシアが南オセチアを徹底的に支援し、南オセチアがグルジアに勝利。グルジアは、ロ
シア軍基地の国内への設置(1999年のOSCEイスタンブルサミットで閉鎖が決められ、つ
い最近までかかったが、大体閉鎖が終わっていた)、グルジアのCIS(独立国家共同体)
およびCIS安全保障条約(1999年に他のアゼルバイジャン、ウズベキスタンなどと脱退。
ウズベキスタンは2006年に再加盟)加盟などを条件にロシアとの停戦に合意。
y 92年6月24日にロシア、グルジア、南北オセチア4者による紛争調停の原則に関する協
定が署名される。
y 92年7月14日に ロシア・グルジア・南北オセチア混成の平和維持軍が導入され武装闘
争は一応終結。その後も小競り合いは続くが、「凍結された紛争」(アブハジア、ナゴル
ノ・カラバフ、沿ドニエストルと並び)とされてきた。
y 以後、南オセチアは、憲法、国家、軍、警察、選挙によって選ばれる議会や大統領など、
「国家」の体裁を整え、国家承認が得られないため、「未承認国家」として本日に至る。
住民の90%はロシアのパスポートをもち、実質的にロシアの属国状態になっている(ア
ブハジアの紛争の経緯、現状もかなり似ている)。
サアカシヴィリ政権と南オセチア
y 2003年11月のバラ革命で大統領になったサアカシヴィリの重要課題にグルジア全土
の奪還
→ アジャリア自治共和国の奪還に成功
→ 南オセチアの奪還は可能性があるが、アブハジアは困難。まず、南オセチアを奪
還しようと武力行使をするが失敗
→ 2006年7月にアブハジアに軍事侵攻。
→ 2006年9月からロシアとの関係がこれまで以上に冷却化
→ 2007年7月、2014年冬季オリンピックがソチで開催されることに決定し、ロシアのア
ブハジアへのてこ入れが強化される
→ 2007年8月、グルジア北部に空爆(自作自演説も)
→ 2007年末からグルジア内政が混乱。11月には反対デモが大規模に行われ、戒厳
令、メディア統制、不当逮捕などが行われる。大統領選挙の前倒しが発表され、2008
年1月にサアカシヴィリが再選するも、様々な疑惑も出てくる。
y 2008年2月にはコソヴォの独立を宣言を受け、アブハジア、南オセチアもロシアや国
連に独立承認のアピールを再び活発化
y 2008年2月以降、ロシアがアブハジア、南オセチアへの関与を強化し、下院が独立承
認を議決するなどグルジアへの緊張が高まる
y 2008年4月半ばから、ロシアはアブハジア、南オセチアへの派兵増強。グルジアの軍
事状況を詳細に調べ、北コーカサスのロシア軍を再編成して対グルジア戦の準備を
進める(NATO拡大への牽制)
y グルジアも対ロシア戦の準備を進め、アメリカにも打診
欧米諸国の反応
y 欧米諸国はロシアの攻撃を強く批判(グルジアの侵攻にはあまり言及がない)
ロシアは、サアカシヴィリはミロシェビッチと同じで「ジェノサイド」をしており、欧米
がセルビアにしたことと同じことをしたのだと反論
y グルジアの人道支援目的で黒海に入った米国やドイツ、スペインの艦艇にポーラ
ンドのフリゲート艦が加わり、ロシアは不信感を隠さないのみならず、 「NATO諸
国が人道支援を名目に海軍部隊を増強している」と不快感を表明。
y NATOとロシアの決定的決別
y ポーランドはロシア軍のグルジア侵攻で、グルジアのサアカシビリ政権を支持。今
月20日、これまで保留になっていた米国とミサイル防衛(MD)施設の受け入れや
地対空誘導弾パトリオットの配備に合意し、ロシア政府が猛反発。
y ロシア軍は22日にグルジアからの撤退完了を表明したが、「平和維持活動」のた
め南オセチア自治州とアブハジア自治共和国に近いグルジア領を「緩衝地帯」と
位置付け、検問所を設置することを表明し、ポチへの駐留も続けるようであり、欧
米諸国の懸念が広がっている。
y アメリカ議会では、ソチ五輪の開催地変更を訴える声が拡大。
y アメリカのオバマは適切な対応ができず、支持率を落とす。逆にマケインは強硬な
対露姿勢で、支持率を上げる。
y ロシアとの「新冷戦」の声も