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鉄 (Fe) の酸化に関するポテンシャル図 Keyword: ポテンシャル図計算 自由エネルギー表示 酸化反応 酸素分圧の計算 はじめに鉄 (Fe) は 酸化することにより酸化鉄と総称される 酸化数に応じて 酸化第一鉄 ( ウスタイト :FeO) 赤鉄鋼( ヘマタイト :Fe 2O 3) 磁鉄鉱(

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Academic year: 2021

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1

鉄(Fe)の酸化に関するポテンシャル図

Keyword:ポテンシャル図計算、自由エネルギー表示、酸化反応、酸素分圧の計算

はじめに

鉄(Fe)は、酸化することにより酸化鉄と総称される。酸化数に応じて、酸化第一鉄( ウ スタイト:FeO) 、赤鉄鋼(ヘマタイト:Fe2O3) 、磁鉄鉱(マグネタイト:Fe3O4)と呼称

されている。ヘマタイトは、工業的用途の一つとしてベンガラという顔料に使用されている。 また、マグネタイトは古くから磁性材料として研究されてきたが、最近、二次電池の材料、 磁性ナノ粒子の特性を利用した磁性材料の開発、癌治療への応用などの新しい用途展開が 期待されている。ここでは、鉄の酸化に関するポテンシャル図について以下の 4 課題に関 して熱力学ソフトの使用方法とともに簡単な熱力学的説明も行う。

課題1:圧力 1.01325bar で、温度を 0℃から 1000℃、酸素分圧を 10-30bar から 1bar まで

変化させたときの、鉄のポテンシャル図を表示せよ。

(本ソフト使用すると簡単にFe の酸化・還元に伴うポテンシャル図を表示できるので、そ の方法について説明します。)

課題2:圧力 1.01325bar で、温度を 700℃と固定して、酸素分圧を 10-30bar から 1bar ま

で変化させた時の鉄の相変化を表示せよ。(組成変化も含んだポテンシャル図の表示方法に ついて説明します。)

課題3:圧力 1.01325bar で、温度を 700℃と固定して、酸素分圧を 10-30bar から 1bar ま

で変化させた時の鉄から酸化鉄までの自由エネルギーを表示せよ。(温度一定で、酸素分圧 を変化させた時の鉄から酸化鉄までの自由エネルギーの変化について説明します。)

課題4:圧力 1.01325bar で、温度を 700℃と固定して、酸素分圧を 10-30bar から 1bar ま

で変化させた時の鉄から酸化鉄までの自由エネルギーの変化を説明し、酸化による相変化 (Fe→FeO)の時の酸素分圧を求めよ。(鉄が酸化して酸化鉄に変化するときの自由エネル ギーの変化並びに酸化に伴う相変化時の酸素分圧を求める方法を熱力学の基本式をベース に説明します。計算に必要な熱力学情報を得る方法も説明しています。)

(2)

2

課題

1:圧力 1.01325bar で、温度を 0℃から 1000℃、酸素分圧を 10

-30

bar から

1bar まで変化させたときの、鉄のポテンシャル図を表示せよ。

●計算熱力学ソフトの使用方法(状態図の表示のための事前入力法1)

パソコン画面上のCaTCalc を立ち上げ、画面上段の System をクリックする。

●計算熱力学ソフトの使用方法(状態図の表示のための事前入力法2)

(*データベースの「RICT-Pure.EDB」は製品版です。お持ちでない場合は「PureLiq.adb」 「PureSol.adb」「IdealGas.adb」の三つすべてのデータベースを選択してください) ①最初に鉄のFe クリックする。 ②次に酸素のO をクリックする。 ③データベースとしてRICT-Pure_ v1.EDB を選択する。 ④最後にLoad をクリックする。 ・下図に示すような画面が表示されるのでData をクリックする。

(3)

3

●計算熱力学ソフトの使用方法(状態図の表示のための事前入力法3)

①Phases リストにある Pure Solis をクリックする。 ②Solid Phases リストの Fe(s)の項をクリックする。

③Fe(s)の欄で、右クリックして、プルダウンメニューの中の Feed Species をクリックする。 ④Feed Species for Calculation の項に Fe in Fe(s)が表示されていることを確認する。 以後、O2の場合は、Gas の項をクリックして、上記と同様に O2を選択してFeed species の欄にO2が表示されていることを確認する。

(4)

4

●計算熱力学ソフトの使用方法(状態図の表示のための事前入力法4)

下図のような状態図を計算するための入力画面が現れる。状態図を計算するためのデー タの入力方法を以下に示す。 ①Fe(S)の項の Value に 2 を入力する。2 モルを意味するが、1 モルでも計算結果は同じで ある。ここでは、後の説明のために2 モルとしている。

②Gas の項の Unit 欄を右クリックし、プルダウンメニューより log10(P)を選択し、Value にx を入力する。 ③X の項に-30 と 0 を入力する。 ④Temperature の項に 0 と 1000 と入力する。 ⑤Phase Diagram を選択する。 ⑥全項目を確認し、Calculate を実行する。

(5)

5

●計算結果の説明(ポテンシャル図の表示)

①状態図をワード等に貼り付けたい場合は、メニューバーのEdit をクリックし、Copy to clipboard を選択すると、ワード等のソフトに図をコピーできる。 ポテンシャル図の計算結果が下図に示すように自動で表示されます。 ・室温から300℃以下では、酸素の分圧の大きさに関係なく、ヘマタイト(Fe2O3)が安定 に存在している。鉄を大気中に放置すると酸化されるが、反応速度が非常に小さいので、鉄 の表面のみがヘマタイトに変化し酸化されることになる。 ・磁性を有するマグネタイト(Fe3O4)は、ヘマタイトとウスタイト(FeO)の間で安定に 存在している。 ・ウスタイト(FeO)は、一般的に化学式 Fe1- xO で表される。結晶構造中に鉄の空格子を 多量に含んでおり、不定比化合物と呼称されている。xの値は非化学量論数で0.25>x≧0) の範囲にある。この熱力学の計算では、FeO として計算している。 ・鉄は酸素分圧が低く、高温の状態でのみ安定に存在している。 ・上図の赤い線は、これから説明する700℃での酸素分圧の変化を示す線である。 2Fe-O2 P=1.01325bar

CaTCalc

log10(P_O2_Gas) -10 -20 -30 T e m p e ra tu re ( C ) 1000 900 800 700 600 500 400 300 200 100 Fe2O3(s) Fe3O4(s) FeO(s) Fe(s)

(6)

6

課題

2:圧力 1.01325bar で、温度を 700℃と固定して、酸素分圧を 10

-30

bar か

1bar まで変化させた時の鉄の相変化を図示せよ。

●計算熱力学ソフトの使用方法(700℃における各相の表示方法)

①Fe(s)の項の Value に 2 を入力する。2 モルを意味するが、先述と同様に 1 モルでも計算 結果は同じである。ここでは、後の説明のために2 モルとしている。

②Gas の項の Unit 欄をクリックし、プルダウンメニューより log10(P)を選択し、Value にx を入力する。 ③X の項に-30 と 0 を入力する。温度間隔として1又は 0.5 を入力しても良い。 ④Temperature を 700℃と入力する。 ⑤Equilibrium Calc を選択する。 ⑥全項目を確認し、Calculate を実行する。

(7)

7

●計算結果の説明(700℃における各相の表示結果)

酸素の分圧の変化(x 軸)に伴う、Phase Amount(y 軸)が出力される。各相の温度変 化が下図のように自動でグラフ化される。

・鉄(Fe)は logPO2が -22.4 まで安定である。鉄の mol 数は 2 モルになっている。最初 の設定を1 モルとすると、その場合は、mol 数は 1 モルとなる。 ・鉄が酸化されて生成するウスタイトは、鉄のlogPO2の値が -22.40 から-18.67 まで安定 に存在している。Mol 数は 2 原子の 2 倍なので 4 モルとなる。 ・マグネタイトはウスタイトがさらに酸化されて生成するが、logPO2の値が -18.67 から -10.91 まで安定に存在している。マグネタイトの mol 数は((2×7) / 3)=4.66 モルとなる。 ・ヘマタイトはlogPO2の値が -10.91 から-最大圧力まで安定に存在している。ヘマタイト のmol 数は (10/2) = 5 モルとなる。 2Fe-O2 T=700C, P=1.01325bar CaTCalc log10(P_O2_Gas) -10 -20 -30 m o l (a to m ) 5 4.5 4 3.5 3 2.5 2 1.5 1 .5 Fe(s) Fe2O3(s) Fe3O4(s) FeO(s) 金属鉄 (Fe) ウスタイト (FeO) マグネタイト (Fe3O4) ヘマタイト (Fe2O3) -22.40 -18.67 -1091

(8)

8

課題

3:圧力 1.01325bar で、温度を 700℃と固定して、酸素分圧を 10

-30

bar か

1bar まで変化させた時の鉄から酸化鉄までの自由エネルギーを図示せよ。

●計算熱力学ソフトの使用方法(700℃における各相の表示方法)

①Axis タブを選択する。 ②[Y-Axis]-Variable のプルダウンメニューを表示する。 ③Energetic Quantities を選択する。 ④Apply をクリックする。

●計算結果の説明(700℃における各相の自由エネルギーの表示結果)

酸素の分圧の変化(x 軸)に伴う、各相の Gibb Energy(y 軸)が出力される。ここでは Gibbs Energy を自由エネルギーと呼ぶことにする。 2Fe-O2 T=700C, P=1.01325bar CaTCalc log10(P_O2_Gas) -10 -20 -30 G ib b s E n e rg y ( k J) -100 -200 -300 -400 -500 -600 -700 -800 -900 GFe GFeO GFe2O3 a=-22.40 b=-18.67 c=-1091 GFe3O4

(9)

9 ・最上段の直線は鉄の自由エネルギー(GFe)である。鉄は固体であるため、圧力の影響は ほとんど受けない。そのため、酸素分圧が変化しても、自由エネルギーの変化はほとんど無 い。何故変化しないかは、課題4 で説明する。 ・鉄が酸化されて酸化第一鉄(FeO)に変化するのは、酸素分圧が logPO2=-22.40 の時で ある。何故このような値になるは課題4 で説明する。 ・鉄が酸化されてウスタイト(FeO)へ変化する時の自由エネルギーは、631.8(kJ/mol) と非常に大きい。この差の値は、酸素の自由エネルギーに相当する。両者の自由エネルギー の和が酸化第一鉄(FeO)の自由エネルギーと等しくなった時に鉄は酸化鉄に変化する。よ り詳細な説明は、上記と同様に課題4 で説明する。 ・マグネタイト(Fe3O4)やヘマタイト(Fe2O3)に関しても同様である。

(10)

10

課題

4:圧力 1.01325bar で、温度を 700℃と固定して、酸素分圧を 10

-30

bar か

1bar まで変化させた時の鉄から酸化鉄までの自由エネルギーの変化を熱力

学の式をベースに説明し、酸化による相変化(Fe→FeO)の時の酸素分圧を求

めよ。

●熱力学の基本式をベースに鉄の酸化反応の説明

鉄が酸化されてウスタイトに変化する反応は以下のようになる。 鉄の自由エネルギーをGFe、酸素の自由エネルギーをGO2、酸化鉄の自由エネルギーをGFeO とすると、反応に伴う自由エネルギーの変化(ΔG)は以下の式となる。 ガス相である酸素の自由エネルギーは以下のように与えられる。 ここで、GoO2は酸素の標準自由エネルギーである。 固相である鉄の自由エネルギーは、圧力が低い場合は、以下の式で与えられる。 ここで、Goは鉄の標準自由エネルギー、Vm は鉄のモル体積である。鉄のモル体積は 7.4× 10-6(m3/mol)である。分圧は非常に小さいので、1bar として PV 項を計算すると 0.74 (J/mol)となる。この値は Fe の自由エンルギーの 40574(J/mol)に比較して非常に小さい く、体積項は無視しても構わない理由である。鉄、ウスタイト、ヘマタイト、マグネタイト 等の固相の自由エネルギーが分圧の影響を受けずに、ポテンシャル図でフラットであるの はこのためである。これより、 この式を展開すると となる。ここで、 とおくと、以下の式になる。

2Fe+O

2

=2FeO

ΔG=2G

FeO

-(2G

Fe

+G

O2

G

O2

= G

oO2

RTlnPO

2

G

Fe

=G

o

Fe

+Vm(P

o

-1)

ΔG=2G

o

FeO

-(2G

o

Fe

+ G

oO 2

+RTlnPO

2

ΔG=2G

o

FeO

-2G

o

Fe

- G

oO 2

-RTlnPO

2

ΔG

o

=2G

o

FeO

-2G

o

Fe

- G

oO 2

(11)

11 鉄が酸化されて酸化第一鉄(FeO)に変化するときは、平衡状態となるので、両者の自由エ ネルギーは等しくなり、ΔG=0となる。よって となる。これより、Fe と FeO の平衡状態における酸素分圧は以下の式で求められる。 この結果は、前述の酸素分圧と自由エネルギーの関係の図を参照されたい。上記の式より (ΔGo)を求めることができると、酸素分圧を計算することができる。

●酸素分圧の計算に必要な自由エネルギーの値を求める3方法

・酸素分圧を求めるには、個々の自由エネルギーの値が必要である。以下に示すように、 自由エネルギーを求める方法は以下の 3 通りがある。ここでは全てについて説明するが、 必要に応じて選択すると良い。 (a)個々の自由エネルギーを求める方法 (b)一括して個々の自由エネルギーを求める方法 (c)反応式より直接、反応の自由エネルギーを求める方法

(a)個々の自由エネルギーを求める方法

●計算熱力学ソフトの使用方法(個々の自由エネルギーの値を求める方法)

ΔG=ΔG

o

-RTlnPO

2

ΔG

o

=RTlnPO

2

lnPO

2

ΔG

o

/RT

(12)

12 ①Pure Solid の項をクリックする ②Fe(S)を選択して、ダブルクリックする。 ③Property Calculation 画面が表示される。 ④Temperature を 700℃と入力する。 ⑤Calculate をクリックする。

●計算結果の説明(700℃における鉄の自由エネルギー他の結果)

以上にように鉄に関する自由エネルギー、エンタルピー、エントロピー、比熱等の数値を得 ることができる。 ・同様な方法でO2とFeO のデータも下の表のように得ることができる。

(13)

13

(b)一括して個々の自由エネルギーを求める方法

●計算熱力学ソフトの使用方法(一括して自由エネルギーの値を求める方法)

①Pure Solid の項をクリックする

②Solid Phases リストで Fe(S)を選択し、計算に必要な Fe と FeO 以外の「+」チェックを 外す。(Solid Phases 横の「+」クリックで全チェックの ON/OFF ができます)

③Utility をクリックする。 ④List Species をクリックする。 ⑤Only G value 選択するする。エンタルピーやエントロピー等の他の熱力学情報が必要な 場合はG,H,S,V,Cp をクリックする。 ・その後、計算を行うための温度条件を入力する指示がでる。今回の場合は973K を入力す る。この場合は、K のみしか対応していないので、℃で入れないように注意する。 ・すると、計算結果をクリップボードに保存しているので、Excel 等にデータを貼り付ける と以下のように表示される。

(14)

14

●計算結果の説明(一括して

Excel に貼り付けたデータ)

・指定された以外の液相や不定比化合物の情報も出力されるが、必要な Fe と FeO の固相 の自由エネルギー、及び酸素の自由エネルギーの値を得ることができる。Gas と Liquid の データ必要でないときは、データ画面でPhases の Gas と Pure Liquid の+を外すと良い。 ・多くの反応式を計算する場合、この方法を使用すると、この系の反応に寄与する全ての情 報を得ることができるので便利である。

(c)反応式より直接、反応の自由エネルギーを求める方法

●計算熱力学ソフトの使用方法(反応式を利用して求める方法、その1)

・まず、Data の画面で、赤印で囲まれた Reaction Calculation をクリックする。

Datafile RICT-Pure.EDBRICT-Pure.EDBRICT-Pure.EDBRICT-Pure.EDBRICT-Pure.EDBRICT-Pure.EDBRICT-Pure.EDBRICT-Pure.EDBRICT-Pure.EDBRICT-Pure.EDBRICT-Pure.EDB Phase Gas Gas Gas Gas Gas Fe(l) Fe.947O(l) Fe3O4(l) FeO(l) Fe(s) FeO(s)

Formula Fe FeO O O2 O3 Fe Fe.947O Fe3O4 FeO Fe FeO

---T G(kJ/mol) G(kJ/mol) G(kJ/mol) G(kJ/mol) G(kJ/mol) G(kJ/mol) G(kJ/mol) G(kJ/mol) G(kJ/mol) G(kJ/mol) G(kJ/mol) 973.15 227.9397 -0.429 82.2507 -214.353 -112.695 -35.4037 -335.016 -1284.45 -347.415 -40.574 -356.447

(15)

15

●計算熱力学ソフトの使用方法(反応式を利用して求める方法、その2)

①Phases リストの Pure Solid を選択する。

②Solid Phases リストの Fe(S)の項を右クリックし、Add to reactant list を選択する。 ③Reactants の項に Fe(s)が表示されていることを確認する。

④mole との項に 2 を入力する。

⑤上記と同様にして Gas の項の O2を選択して、Add to reactant list をクリックして、 Reactant の項に Gas の O2が選択されていることを確認する。

⑥mole の項に 1 を入力する。

⑦Phases リストの Pure Solid から FeO を選択し、今度は Add to product list をクリック する。Products の項に FeO(S)が表示されていることを確認する。 ⑧mole の 2 を入力する。 ⑨Temperature の項に 700 を入力する。 ⑩Calculate を実行する。

(16)

16

●計算結果の説明(反応式と熱力学情報の表示)

・以下のような結果が得られる。 ・2Fe(S)+O2(Gas)=2FeO(S)の酸化反応に伴う各種情報が表示される。 ・反応の自由エンルギーは、dG=-417.5(kJ)となる。この値は、後述の個々の自由エネル ギーを基に計算した結果と良く一致している。 ・この方法を用いると、直接、反応に伴う自由エネルギー変化(ΔG)を求めることができ る。 ・いろいろな反応式に適用できるので、各種計算のチェックに利用できるのでとても便利で ある。

●上記の方法で

ΔG

o

の値を求めて、

Fe→FeO の相変化の酸素分圧の求める方法

(1)鉄が酸化されてウスタイトへ変化する場合。 熱力学の式の項で説明したように、上記反応のΔG は以下の式となる。 ΔGoは以下の式となる。 上記の方法で求められた個々の自由エネルギーを入力して計算すると、

ΔG

o

= 2 × (-356.4) -2 × (-40.6) - (-214.2) = -417.4(kJ)

となる。この値は、先述の反応の自由エネルギーの式から求めた-417.5(kJ)の値と一致し ている。この値を以下の式に代入する。 となる。これより となる。この式にR=8.314(J/molK)、T=973.15(K)を代入して計算すると

logPO

=22.41

となり、本ソフトで計算した値の22.40 とほぼ同じ値となる。 以上のように、ΔGoを求めて、相変化の酸素分圧を求めることができる。

ΔG

o

=2G

oFeO

-2G

oFe

- G

oO 2

ΔG

o

=RTlnPO

2

=2.303 logPO

2

logPO

2

ΔG

o

/(2.303×RT)

ΔG=2G

o

FeO

-2G

o

Fe

- G

oO 2

-RTlnPO

2

(17)

17 (2)ウスタイトが酸化されてマグネタイトへ変化する場合 この場合は以下の式が与えられる。

6FeO+O

=2Fe

O

4 上記の反応の自由エネギーΔG(ΔGbo)を求めて、以下の式に代入する。 上記の式より、FeO→Fe3O4の相変化の分圧を求めることができる。 (3)マグネタイトが酸化されてヘマタイトへ変化する場合 この場合は以下の式が与えられる。

4Fe

O

4

+O

=6Fe

O

上記反応も同様に、ΔGo(ΔGco)を求めて、以下の式に代入する。 上記の式より、Fe3O4→Fe2O3の相変化の分圧を求めることができる。 以上にように、本ソフトを使用して、どのような計算手法で酸素分圧が求められているか を知ることができるので、ソフトの使用方法と同時に熱力学の基本概念を理解することが できる。

ΔG

bo

=RTlnPO

2(b)

ΔGc

o

=RTlnPO

2(c)

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