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女性理学療法士とキャリアデザイン

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Academic year: 2021

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理学療法学 第 40 巻第 8 号 706 はじめに  平成 24 年 6 月現在の日本理学療法士協会会員総数は 77,844 人で,そのうち女性会員は 33,549 人,43.1%であり,平均年齢 は 31.8 歳である。日本理学療法士協会の会員数は年々増え続 けているが,会員割合は,ほぼ変わらず,若い女性会員が多い のが現状である。  平成 22 年,私たちがかかえている諸問題を把握し,問題提 起,環境づくりへの啓発活動,研修システムの構築などを協会 に提案し,広く社会へ向けて提言することを目的として,女性 理学療法士の会が発足した。発足時,活動を開始する前に実態 把握のため,日本理学療法士協会が行ったアンケート調査に参 画した。 対象および方法  この調査は,日本理学療法士協会が,女性理学療法士会員の 就労環境を全国規模で把握し,就労継続しやすい環境づくりへ の啓発活動や研修システムの改善のための資料とするために 行った。調査対象は日本理学療法士協会の女性会員 2,500 人を 乱数法にて抽出し,回答は自記式調査票を郵送配布・回収した。 結  果  回答数は 1,126 人,回収率 45.0%であった。調査報告書より, 離職率,復職支援,福利厚生利用状況,妊娠期の就労状況等に ついて抜粋した。  離職率は全数で 3.25%,既婚者では 7.13%,未婚者では 0.3% であり,離職率は低いといえる(表 1)。また,離職者の 65.8% が理学療法士への復職を望み(図 1),復職後は 34.2%が,短 時間労働を希望していた(図 2)。理学療法士の領域では離職 率が低く,復職希望が高いという結果であった。福利厚生の利 用状況について,産前産後休暇・育児休業制度はほぼ利用でき ている(表 2)。しかし育児時間制度は,他の産休制度に比べ て利用できる割合が低い(表 3)。妊娠期の就労状況では,経 産婦の 5 人に 1 人が切迫流産を経験していた(表 4)。また, 妊娠期に身体的・精神的・社会的に様々な負担を負っていた (表 5)。  日本理学療法士協会は,これからは,短時間正職員制度の活 用など,結婚・妊娠・出産等のライフイベントの中で,就労で 理学療法学 第 40 巻第 8 号 706 ∼ 707 頁(2013 年)

女性理学療法士とキャリアデザイン

─就労環境とその問題点─

清 宮 清 美

**

専門領域研究部会 教育・管理理学療法 特別セッション「パネルディスカッション」

Physical Therapist and Carrier Design for Women: Working Environment and the Problems

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埼玉県総合リハビリテーションセンター (〒 362‒8507 埼玉県上尾市西貝塚 148‒1)

Kiyomi Kiyomiya, PT: Saitama Prefectural Rehabilitation Center キーワード:キャリアデザイン,就労環境,女性理学療法士 表 1 婚姻暦と就労状況 (人) 現職者 離職者経験者 合計 婚姻暦 あり 430 33 463 なし 613 2 615 合計 1,043 35 1,078 図 1 離職者の再就職意識 図 2 離職者の復職要因

Japanese Physical Therapy Association

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女性理学療法士とキャリアデザイン 707 きる環境を整備することが課題であると報告している。 考  察  近年,育児休暇の権利は男女平等に与えられ,復職の制度も 整えられてきているが,実際の出産に関しては女性に負担がか かるため,仕事を継続しようとする時,様々な葛藤を感じる女 性が多いと思われる。時間的な制約を,知識や技術で補うには 限界があり,結局は時間の取り方を工夫して遣り繰りしている のが現状である。そこで,ワークライフバランスの考え方や ワークシェアリングの導入により,就労環境の整備を検討する ことや,短時間の就労など,ライフイベントにあわせて自己の 就労形態を変えていくことも一案である。また,これらの条件 整備にあわせて,現役復帰を容易にする条件としてのリカレン ト研修が必要であり,継続して提案していきたい。  妊娠・出産時のトラブルでは,切迫流産や切迫早産が多いこ とがわかった。負担のかからない移乗介助方法など,妊娠期間 中の健康状態の維持についての啓発研修は,対象者のみならず すべての会員を対象に行うべきものと考える。 結  論  この度の学術大会は,女性が生き生きと働き続けることの大 切さを,改めて考えるよい機会となった。働き続ける理由は 様々であるとは思うが,理学療法士の仕事はやりがいがあるか ら離職率が低く,復帰希望者が多い。就業形態を変えても理学 療法士を続けたいと希望する者に対して,これからは新しい自 分らしい働き方を選ぶことができるようなシステムを構築する ことが,必要であると考える。  これらの課題について,女性理学療法士の会では,日本理学 療法士協会に助言・協力を要請し,対応策を検討して行きたい。 文  献 1) 日本理学療法士協会:2010 年女性理学療法士就労環境調査報告書. 表 2 産前産後休暇の利用状況 (人) 利用できる (できていた) 利用できない (できなかった) 必要性が わからない 無回答 非該当 合計 現職者 384 12 16 3 15 430 離職経験者 25 3 2 1 2 33 無回答 1 0 0 0 0 1 不正回答 1 0 0 0 0 1 合計 411 15 18 4 17 465 表 3 育児時間制度の利用状況 (人) 利用できる (できていた) 利用できない (できなかった) 必要性が わからない 無回答 非該当 合計 現職者 235 59 120 3 13 430 離職経験者 11 3 16 1 2 33 無回答 1 0 0 0 0 1 不正回答 1 0 0 0 0 1 合計 248 62 136 4 15 465 表 4 妊娠中・出産時のトラブルなどありますか(ありましたか) (人) 人 % 特になし 132 29.7 切迫流産 86 19.3 流産 28 6.3 切迫早産 62 13.9 早産 18 4.0 帝王切開 47 10.6 吸引分娩 55 12.4 その他 17 3.8 合計 445 100.0 表 5 妊娠中・出産時の不安などありますか(ありましたか) (人) 人 % 特になし 37 4.4 生理上の負担 231 27.7 社会的な負担 101 12.1 身体上の負担 234 28.0 精神的な負担 226 27.1 その他 6 0.7 合計 835 100.0

Japanese Physical Therapy Association

参照

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