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研究成果報告書

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Academic year: 2021

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様式C-19

科学研究費助成事業(科学研究費補助金)研究成果報告書

平成25年3月31日現在 機関番号:15301 研究種目:基盤研究(C) 研究期間:2010 ~ 2012 課題番号:22591635 研究課題名(和文) 骨再生に優れた新しい生体吸収性骨セメントの開発

研究課題名(英文) A newly biodegradable bone cement inducing osteoanagenesis

研究代表者 高畑 智宏(TAKAHATA TOMOHIRO) 岡山大学・医学部・客員研究員 研究者番号:80571223 研究成果の概要(和文):独自に開発した骨接着性リン酸系多糖誘導体を用い、生体吸収性骨セ メントを創製し、物性と骨再生に関する実験データを集積した。本セメントは既存の骨セメン トよりも優れた骨接着性を認めた。動物実験モデルでは骨欠損部に本セメントを充填すること で本セメントは徐々に吸収され、骨へと置換された。新規骨セメントとして今後臨床応用がで きるようさらなる研究を継続していく予定である。

研究成果の概要(英文):The purpose of this study was to investigate the effect of new bone cement consisting of Phosphorylated Pullulan, which has the nature of bioadhesive and biodegradable. This new cement bonded significantly better to hydroxyapatite as compared with commercially available bone cements. In vivo experiments, this cement was effective for the bone reconstruction compared with calcium phosphate cement. From this fine result, we plan to continue this project so that can apply to clinical practice.

交付決定額 (金額単位:円) 直接経費 間接経費 合 計 2010 年度 1,500,000 450,000 1,950,000 2011 年度 1,000,000 300,000 1,300,000 2012 年度 1,000,000 300,000 1,300,000 総 計 3,500,000 1,050,000 4,550,000 研究分野:バイオテクノロジー 科研費の分科・細目:外科系臨床医学・整形外科学 キーワード:骨再生 1. 研究開始当初の背景 超高齢化社会の到来に伴い、高齢者の骨折 や関節疾患は寝たきりへと移行する大きな 要因である。これらの疾患の治療において人 工関節やプレートをレジン系の骨セメント (PMMA セメント)で固定する手法が用い られてきた。しかし、PMMA セメントは発 熱や血管内流出による重大な合併症も報告 されている。一方、リン酸カルシウム系セメ ントは生体親和性が高く、生体で吸収される というレジン系セメントにない優れた特性 を有するものの、脆い、骨への接着性が乏し いなどの問題点がある。上記の問題を解決す べく、アパタイト接着性多糖複合体を用いた 高機能性硬組織セメントの開発に着手した。

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2. 研究の目的 独自に開発した骨接着性を有するリン酸 系多糖誘導体(図 1)を用い、生体吸収性骨 セメントを創製した。本材は生体親和性が高 く、かつPMMA 骨セメントを超える骨への 接着強さを有している。本研究では本骨セメ ントの物性と骨再生に関する実験データを 集積するとともに、BMP などの成長因子や 骨再生を促す薬剤を併用することにより、更 なる骨誘導能向上を図る。 図1 3. 研究の方法 (1) 本骨セメントの物性評価 PMMA セメント、リン酸カルシウムセ メントを比較し、圧縮強さや接着強さが どのように変わるかを検討する。また、 薬剤徐放性についてもバンコマイシンを 使用し検討する(図2)。 図2 (2) 本骨セメントの生体内における吸収速度 の調節 本セメントを種々の動物(マウス、ラ ット、ウサギ、ブタ)の骨内に留置し、 体内での吸収速度ならびに周囲骨の再生 能を検討する。まず、マウス、ラットで 初期実験を行い)、より臨床応用に近い中 型動物(ウサギ、ブタ)で実験データを 集積した。 マウスでは大腿骨骨内を24G 針で掻爬 し(図3)、リン酸化プルランを注入後 1 カ月でμCT を撮影した。 図3 ウサギの実験では、尺骨に1cm 長の骨 欠損を作成し(図4 左)、同部位に本セメ ントを留置した(図4 右)。術後 1 カ月で 組織学的検討と放射線学的評価を行った。 図4 (3) 成長因子など薬剤との併用による骨誘導 能の向上 BMP などの成長因子や骨再生を促す 薬剤を併用することにより、更なる骨誘 導能向上の可能性を種々の動物を用いて 検討する。 4. 研究成果 (1) 本骨セメントの物性評価 ① チタンおよびアパタイトへの剪断接 着強さ 本骨セメントは既存の PMMA セメント やリン酸カルシウムセメントを比べ、チタン およびアパタイトに対して優れた剪断接着 能を有した(図5)。

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リン酸カルシウム骨セメント 0 5 10 15 20 25 チタン アパタイト 剪断 接着強さ  (M P a) PMMA骨セメント 試作骨セメント 図 5 ② 各種セメントの圧縮強さの比較 本骨セメントは既存のリン酸カルシウム セメントに比べ優れた圧縮強さを示した。さ らにβ-TCP を混合することにより圧縮強さ を増強することが可能であった(図6)。 図 6 ③ 薬剤徐放能の検討 本骨セメントは現在整形外科領域で使用 されているPMMA 骨セメントよりも優れ た薬剤徐放性を認めた。図7 はバンコマイ シンを使用して行った徐放能検査である。 抗菌薬や成長因子などを本セメントに混和 することで局所に薬剤を効果的に作用させ ることが可能である。 図 7 (2) 本骨セメントの生体内における吸収速度 の調節 マウス大腿骨骨内を24G 針で掻爬し、リン 酸化プルランを注入後 1 カ月でμCT を撮影 した。注入前(図8 左)と比して注入後(図 8 右)で骨化傾向を認めた。 図8 以下、ウサギ尺骨骨欠損モデルでの結果を 示す。 組織学的検討では術後1 カ月で本セメント は完全に吸収され(図 9 左)、サフラニン染 色では軟骨化骨の形成を認めた(図9 右)。

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図 9 対照としたリン酸カルシウムセメント群 では同セメントは術後 1 カ月で吸収されず、 残存していた(図10、黄三角部)。 図 10 放射線学的評価としてμCT を用いて検討 した。術後1 カ月で撮影したところ、本セメ ント群ではセメント留置部位は骨組織に置 換されていた(図7 左)のに対して、リン酸 カルシウムセメント群ではセメントは吸収 されず残存していた(図11 右)。 図 11 (3) 成長因子など薬剤との併用による骨誘導 能の向上 骨形成成長因子であるBMP-2 を本セメン トに含有させた結果、本セメントのみの群と 比べ、術後1 カ月の時点でより旺盛な骨形成 を認めた(図12)。 図 12 本研究では、整形外科領域で使用できる新 たな骨セメントの有用性について実験を行 った。本セメントは既存の骨セメントより優 れた骨またはチタンへの接着能を持ち、さら に優れた骨再生能を認めた。薬剤の徐放能も 既存の骨セメントより優れていた。これらの 結果は本セメントの用途を拡大できうるも のであり、骨セメントとしてだけでなく、今 後は現在主流となっているチタン製インプ ラントへのコーティングや様々な薬剤含有 製材への応用が可能である。 今後は本セメント製材の臨床応用に向け て引き続き研究を継続していく予定である。 5.主な発表論文等 (研究代表者、研究分担者及び連携研究者に は下線) 〔学会発表〕(計 3 件) ① 山根 健太郎、ウサギ尺骨骨欠損モデル を用いたリン酸化プルランの骨再生能の 検討、第 27 回日本整形外科学会基礎学術 集会(2012)、2012 年 10 月 27 日、名古屋 ② 馬崎 哲朗、硬組織接着性多糖誘導体リ ン酸化プルランによる薬剤徐放能の解析、 第 26 回日本整形外科学会基礎学術集会 (2011), 2011 年 10 月 21 日、前橋 ③ 高畑 智宏、硬組織接着性多糖誘導体リ ン酸化プルランの開発、日本整形外科学 会(2011)、Web開催 6.研究組織 (1)研究代表者 高畑 智宏(TAKAHATA TOMOHIRO) 岡山大学・医学部・客員研究員 研究者番号:80571223 (2)研究分担者 尾崎 敏文(OZAKI TOSHIFUMI) 岡山大学・大学院医歯薬学総合研究科・ 教授 研究者番号:40294459 (3)連携研究者 吉田 靖弘(YOSHIDA YASUHIRO) 岡山大学・大学院医歯薬学総合研究科・ 准教授 研究者番号:90281162

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塩崎 泰之(SHIOZAKI YASUYUKI) 岡山大学・岡山大学病院・医員 研究者番号:00596041 馬崎 哲朗(MAZAKI TETSURO) 岡山大学・岡山大学病院・医員 研究者番号:70644392 山根 健太郎(YAMANE KENTARO) 岡山大学・岡山大学病院・医員 研究者番号:60644391

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