明日のアパレル生産を考える
JUKIマガジン
TOPインタビュー 漢帛(中国)有限公司 董事長高志偉
さん <REPORT> インタビュアー:JUKI株式会社代表取締役会長山岡建夫
アパレル交流<異業種拝見> 洋装店社長がリング・ヂャケットさんを訪問 製造卸から独自店舗での直売へと拡大218
2003目標は、常に2段階先を走ること。
トップメーカーと
お付き合いすることで
トップの技術が得られる
ITの活用で経営データも社員に公開、 下請けに徹し、自社への評価を常に忘れない。 株式会社トップレディ2
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知って得する縫いのヒント ウエストベルト落し縫いで発生する問題解決法 アタッチメントの活用で不良を削減 <JUKI PLAZA> LBH−1790 高速電子眠り穴かがりミシン “オールマイティな自動機は一品生産に最適” シャツ作りの専門集団 ――素材、サイズの変化を自在に加工 CHOYAタケナカ株式会社 <読者フォーラム/海外拠点便り/新製品情報> ダイレクトドライブ高速電子本縫千鳥自動糸切りミシン (クイックリバース仕様) LZ−2290A−SR−7 自動サージングマシン ASN−697(ハイグレードタイプ) ASN−695(スタンダードタイプ) スクエア ドライヘッドロックミシン/MO−6100Dシリーズ目標は、
常に2段階先を走ること。
トップメーカーとお付き合いする
10年前にわずか80人ではじめた縫製工場が、
3,000人の会社に成長し、
さらに2004年には
3,000人の工場を目指して工事が進められてい
る。ブラウス1着3,000元(約4万円)
という高品
質の婦人服作りで急成長する漢帛(ヘンペル)
社の高董事長を弊社山岡会長が訪ね、お話し
を伺った。
インタビュアー JUKI(株)代表取締役会長・山岡建夫漢帛(中国)有限公司 董事長 高志偉さん
Top Interview
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「jm在中国」創刊記念TOPインタビュー 山岡 高さんの会社は以前にも拝見していますが、工場 がきれいになっているのでびっくりしました。事務所も 工場も立派な建物ですね。中にある展示室も、お店のよ うに作られていて見事です。工場でも、非常に高いグレ ードの婦人服を作っていらっしゃることにも驚きました。 以前うかがった当時は、たしかフイリー(匯麗)という お名前でした。変更されたのはどんな理由からですか? 高 最近、ビジネスの面で国際化が進み、以前の名前で国際化を目指して社名を変更
有名ブランドのOEM生産も
3 2003 Vol.218
ことでトップの技術が得られる
は交渉もなかなか進みにくい点がありました。そこで、 創立10周年を迎えた2002年に、名前を漢帛(ヘンペル) 中国有限公司と替えました。 山岡 国際化……と言われると具体的にはどのようなこ とですか? 高 会社そのものが、縫製関係だけで3,000人の規模にな りましたし、香港で百貨店を経営し、2004年の3月に正式 オープンすることになっています。ここでは、有名ブラ ンドを販売しようと思っています。その一環として、 2003年8月にはカルバン・クラインとも契約し、2004年か ら生産を始める予定です。 山岡 カルバン・クラインが契約したというのは、ニュ ーヨークのファッションニュースにも報じられていまし たね。この記事を私も拝見して、高さんはいい仕事をさ れたなあ……と喜んでおりましたが、先方の方は工場を 見にきましたか? 高 はい、2度見にきました。 山岡 驚いたでしょうね。建物があまりにきれいで、工 場の品質も高い……恐らく想像とはるかに違って、驚い たと思いますよ。 高 そうですね。そのほかにもSPAのサラ(ZARA)や いくつかのアメリカメーカーのブランドとも、中国国内 で販売する製品は漢帛が加工を行う契約を締結しました。 2004年からは、パンツ、シャツ、ジャケットなど専用 ラインを1本設置して生産を始める予定です。いずれは、 店舗を開いて販売し、売れ行きによってラインを増設し ようと思っています。 山岡 中国はアパレルが盛んですが、まだ、有名ブラン ド品のOEM生産というのは少ないのではありませんか? 高 おっしゃるように少ないですね。中国の縫製工場は 両極に分かれていまして、量産を求める方向と、高品質 化を目指す方向ですが、特に婦人服では、有名ブランド のOEMはほとんどありません。それだけに、市場も生産 領域も潜在力は非常に大きいと思います。 山岡 OEM生産を行うためには高い技術力が必要ですが、 高さんの工場はその最先端を走っているんですね。 山岡 一般的には中国で生産すれば安価に作れるという のが世界の常識ですが、高さんのところは、ブラウスで1 着3,000元(約4万円)、コートで4,000元(5万5千円)とい った高級な製品を作っていらっしゃる。しかもデザインは、 縫い目を生かしたようなデザインもされている。センス がいいので驚きました。 高 専門店や中国でも一番高級なところに商品を出して います。こうした技術を見て、カルバン・クラインやサ ラなどがOEM生産の契約をしてくれるのだと思います。 山岡 ところで、御社は92年に創立されて、わずか10年 で3000人の規模の会社に成長されました。高さんはアパ レル工場を経営される前は何をされていらっしゃったん ですか? 高 この会社を経営する前は、わたしは紡績工場で仕事 をしていました。当時、中国のミシンは家庭用が多くて、 私が92年に縫製工場を創業した頃は、オペレーターは JUKIの工業用ミシンを使うことが出来ませんでした。私 は婦人服を作るなら最高級な婦人服を作りたいと思いま したから、そのためには最高級のミシンを導入しようと 決め、JUKIさんの工業用ミシンをどんどん導入していっ たのです。 この10年間で、中国の工業用ミシンも大きく発展しま した。 山岡 最初から婦人服を作られたのですか?創立10年で25倍に成長
ブラウス3,000元、コート4,000元
高 いえ、会社を創業した頃は紳士服と婦人服の両方を やっていましたが、96年に婦人服を専門にしました。生 産枚数は、96年までは年間300万着くらいの規模でしたが、 2002年には900万着に増え、2003年には1000万着を越える と思います。 山岡 そうして急激に大きくなるとオペレーターの教育 や管理の仕組みが必要になると思います。商品もただ作 ればいいというわけではなくて、最高級の商品作りには それなりにオペレーターにも技術が必要になりますね。 どんな風にされてこられたのですか? 高 ゼロから育てるのでは間に合わないので、経験者を 採用しますが、いいオペレーターがたくさんきてくれる んです。経験者が、“私も採用してくれ”と工場の門の ところで待っているほどです。採用するときには、専門 学校を卒業したか、経験者を採用しました。ほとんどの 人材が専門学校卒業生ですね。設備や生産管理の専門家 などもそうです 山岡 とはいえ、オペレーターもそれまでと違う高級な 服を作るわけですから、そうした技術を身に付けること が必要でしょうし、何よりも会社自身が最高級品を作る 技術を身に付けなければならないわけですね。何か秘訣 はあるのですか? 高 設備でも品質でも、最高の技術を身に付けるなら、 世界中で一番先進的なメーカーと付き合うことが大切です。 世界で最高の技術をもっているメーカーと付き合うことで、 そうした企業がもっている最高の技術を知ることができ るし、そうした技術を生み出してきた考え方ややり方を 教えてもらうことができる。たとえば私の会社では、92 年の設立時から、ミシンはJUKIを導入してしましたし、 現在約2000台のミシンはすべてJUKIの製品です。そして、 2003年から2004年にかけて、99年以前のミシンはすべて 新しいものに買い換える予定です。 山岡 すでに一部は発注いただいたそうですね。それは ありがとうございます。でも、JUKIは漢帛さんに買って いただいているだけでなくほかの工場さんにもご購入い ただいています。なぜ、漢帛さんの工場だけがそんなに 成功されているのでしょうか? 高 もう一つ言えるのは、私の目標が高いということも あるかもしれません。高い目標を設定していますのでそ れを達成するためにはハードもソフトも一番いいものが 必要なのです。 中国にミシンメーカーはたくさんありますが、設備の 品質、アフターサービス、パーツの供給、技術指導…… どれをとってもJUKIはどのメーカーより優れています。 また生産管理などの面でも随分教えていただきました。 そうしたことが私たちの技術を向上させる大きな力にな っているのです。私がJUKIの設備にこだわって、新しい 設備の導入に非常に積極的なのは、そういう理由からです。 新しい技術をどんどん取り入れて、最高の婦人服を作 りたいと思っているのです。本縫自動玉縁縫機APW− 195を導入し、196が出ればすぐに買いますし、298が発売 になれば買います。新しい設備を入れることでどこにも 負けない新しい技術をもつことができるのです。やがては、 中国だけでなく世界で一番いい商品を作りたいと思って います。 ですから、JUKIさんでも、新しい設備が出来たら、す ぐにご紹介いただきたいのです。開発の面でモデル工場 としてお使いいただいてもいいと思っています。新しい 製品のテストは喜んでさせていただきます。 山岡 分かりました。設備をよくすればいい仕事がくる とは限りませんが、設備が悪いところにいい仕事がこな
最高の技術を得るために、
最高の相手と組むことが必要
事務棟にある展示室は、専門店 の店内そのままのレイアウト・内 装で商品を見ることができるよう になっている。 新 工 場のパース。 一大ファクトリーパ ークである。 広々として静かなアトリウ ム。竹が植えられている。Top Interview
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TOPインタビュー 漢帛(中国)有限公司 董事長 高志偉さん いことは間違いないですから。 山岡 高さんを拝見していると、今のお話でもそうですが、 非常に情熱を持っておられますね。そういう姿勢は社員 に皆さんにも伝わるのでしょうね。デザイン室を拝見し ましたが非常に斬新なデザインをされているし、オペレ ーターの皆さんの技術が非常に高い。やはり高さんのそ うした姿勢が、よく浸透しているのではないかと思います。 高 募集すれば社員がたくさん集まるといいましたが、 当社では給料も他の工場に比べてずっと高いはずです。 ですから、募集していなくても仕事をさせてくれとたく さんの経験者がきます。10人募集すると300人が応募して くる状態で入り口に行列ができます。また、社員のツテ を頼って採用してほしいという人がたくさんきます。き れいな工場で高品質の商品を生産していますから、社員 も誇りを持っていますし、この工場を辞めたくないと思 っていますから、仕事を覚えるのも真剣です。 山岡 それと、私どもの生産管理セミナーなどを御社で 企画すると、自分の会社の社員だけでなく、周辺の会社 にも声をかけて参加を呼びかけますでしょう。立派ですね。 こういうことをする人はいないですよ。 高 会社がよくなるためには、自分のところだけでなく、 周辺にある同業の工場が一緒によくならないとだめなん です。地域の企業がよくなれば、私の会社ももっと良く なると思っているんです。ですからできるだけ一緒に学 んでいただこうと思いまして……。 山岡 工場を拝見するまえは、こんな高度な設備を使い こなせるのだろうかと心配もありましたが、工場では、 全く問題なく生かしていらっしゃる。それと前回うかが ったときに、高さんは竹を植えたいとおっしゃっていま したね。この事務棟の2階のアトリウムに見事に竹が根付 いています。竹は地植えでないと難しいといわれている んですよね。それを高さんは根付かせてしまった。高さ んには夢を実現させる独特のセンスがあるように思えます。 山岡 92年には80台のミシンで始められたそうですが、 いま、ミシン80台の規模の工場もたくさんあると思います。 10年後に2,000台の工場になるには、どんなアドバイスを されますか? 高 難しいですね。いまは、出来ないでしょう。 山岡 では、当時80台だった工場はたくさんあったと思 いますが、他の工場が成功されずに、なぜ、高さんが成 功されたのですか? 改革解放以来チャンスはすべての 経営者に平等にあったはずなのですが、どうして高さん は成功されたのでしょうか? 高 難しいご質問ですが、そうですね、私は毎朝、散歩 をするという習慣を持っていまして、その途中で階段を 上るのですが、そのときに“私の会社はいつも他の会社 より2段上にいたい”と思っているのです。毎朝それを確 認して、もし2段階進んで上にいなければ、その日はさら に高い目標をイメージするようにしているのです。 品質や売上だけでなく、生産管理などの管理面でもそ れを確認し、いつも2段階先頭にいるかどうかをチェック するのが習慣になっています。常に前向きにいれば、夢 はいつかは実現します。 山岡 その夢ですが、工場を新しく作られるそうですね。 この工場もまだ新しいので驚いているのですが……。 高 2005年くらいまでに、近くに新しい工場を作る予定 ですすめています。2、3年前までは全くゼロだったカジ ュアル系のジャケットなども、最近では生産枚数が200万 着を越えるようになり、まだ増えそうです。2003年の当 社の売上高は約8億元ですが、3∼5年後には25億円を越え るのではないかと思います。工場も現在の2倍が必要にな ります。 そこで、新しく作ることにしました。ビジネスセンタ ー(事務棟)が14,000㎡で、工場のオペレーターが2,000人 増えます。JUKIさんには、新工場用に自動機や専用機を どんどん推薦していただきたいと思っています。 山岡 高級費婦人服用に、最近オイルを使わない、ドラ イヘッドのミシンを開発し、シリーズ化しています。油 汚れがなくなるので、婦人のランジェリーなどにはぴっ たりの商品で、御社のような高級品の縫製工場にも有効 と思います。 高 そうですか、それは楽しみですね。 山岡 次回うかがったときには新しい工場を拝見できる ことを楽しみにしています。ありがとうございました。常に2段先を進みたい
夢に近づく――新工場を建設
経営者の情熱が夢を実現させる
IT化で、工場間も経営データをフル活用、
下請けに徹し、自社への評価を常に忘れない。
婦人用フォーマルウエアのトップレディさんは、経営管理だけでなく、生産管理・工程分析・社 員の技能習得状況など、多くの分野にパソコンを活用して、データに基づく見える経営を進め ている。 ㈱トップレディ 代表取締役社長坂本 郁三
さん 取締役専務会場 政之
さん 本社工場長坂本 健二
さん 代表取締役社長坂本郁三さん 専務取締役会場政之さんREPORT
フォーマル、ベルベットに徹し
I
T活用で、報告書もメールで提出
本社工場長坂本健二さん 5階建てと3階建てが隣り合って いる東京本社ビル。 甲府で昭和25年(1950年)に創業したトップレディさ んが、現在本社がある江戸川区南小岩に移転してきたの は昭和28年のこと。以来今年で50年目を迎えた。アパレ ル工場としては古株である。 フォーマルとベルベットを専門に扱い、技術力は定評 がある。フォーマルはこの不況でも比較的良いジャンル といわれているが、「そういうことで、他のジャンルか らフォーマルに入ってくる工場さんがあって、結構厳し いんです」と同社社長の坂本郁三さん。ベルベットも扱 う工場が少なくなり、同社に持ち込まれる話も多いが、 量的には一時よりずっと減りました……とのこと。 「それでも、一度でいいから四輪車に乗ってみたい…… と言っていた昔の苦しい時代を考えれば、大変だなんて いっていられません」と坂本さん。苦しさを吹き飛ばす 元気……これが仕事を呼び込む源かもしれない。お話を うかがっている間中、苦しい、大変だ、仕事がない…… といった後ろ向きの言葉がまったく聞かれなかったが、 これは苦しくない……というわけでは決してないと思う。 社員に対する社長としての矜持だろう。 同社はまた、早くからデータによる管理を導入し、独 自のシステムを作り上げていることでも知られている。 それが、ITの導入でさらに高度化し、緻密に行われて いる。 同社には、東京本社工場(15名)のほかに、岩手工場(70 名)、矢巾工場(38名)、青森工場(33名)の4工場が ある。全部で156名の社員がいて、17名の班長がいるが、 本社にいる社長から班長さんへの指示や報告はすべてメ ールで行われる。現場で仕事をしている班長さんが、パ ソコンを使って進捗管理や在庫管理や工程管理を行い、 品番ごとに編成や配置を決めているのである。 これが出来るのは、製品ごとの必要工数や作業者の能 力がきちんと把握されているからで、こうした高いレベ ルで管理ができるのも、データが緻密に取られているか らなのだ。データ重視で
緻密な管理
課題作品をチェックし、コメントを つけて班長さんに戻す。ていねい な指導が研修効果をいっそう高 める。 一人一人の社員の技能レベル がひと目で分かる技能習得表。 生 産 の 進 捗と 流れを記したパ ート図。これを見 ると全工場の負 荷や 進 捗 状 態 が 明 確 に 把 握 できる。通称“謎 の巻物”。 本 社 工 場ではボト ムを担 当する。岩 手工場が受注した スーツのボトムを作 ることも多い。裁断 後の生地が送られ てきて仕上げ、岩手 工場に戻してセット にされる。ミシンの 横には工程分析表 と作業指示書が掲 示され、生産数、タ クトタイムなどのデ ータが記されている。高い技能は明確な評価から
一人一人の技能をデータで管理
取材で東京本社に伺った日、会議室には17着のフォー マルの上衣が掛けられていた(写真参照)。各工場にい る同社の17名の班長さんたちはすべてサンプル縫いが出 来る高い技術を持っているが、その班長さんを対象に、 年に何度かトップから丸縫いの課題が出される。その提 出作品である。 各班長はそれを自分で裁断・縫製し、サンプルとして 完成させて提出する。提出された作品は専務の会場政之 さん自らが審査員となって綿密にチェックされ、1位∼ 17位までランク付けされる。各作品は改善点があれば正 しいやり方が添付され、班長の元へ戻される。班長クラ スの技能向上を目指す研修プログラムである。 こうしたことで、各班長の技能習得状況は手にとるよ うに把握されているが、一般の技能者もこの点は同様で ある。一人ひとりの技能習得状況が工程ごとに5点法で 評価されており、全員に公開されている。チェックポイ ントは、品質とスピードである。しかも、こうした評価 の記録データは蓄積されており、前回の習得状況、1年 間の伸びなどが簡単に見られるようになっているのである。 「社員一人一人の技能習得状況はすべて把握されていま す。一人一人はいま、どの工程がどのくらい出来て、ど の工程が出来ないのか、データが作られていて、全員が それを知っています。それが分かるから自分で技能を向 上させる意欲が生まれるんです」と岩手工場を担当する 専務の会場政之さん。 トップレディさんが作っているアイテムは、東京本社 が布帛・ベルベットのスカート、岩手工場が布帛のスーツ、 ジャケット、ベルベットのジャケット、スカート、矢巾 工場が布帛のスーツ、ジャケット、ベルベットのワンピ ースとスカート、青森工場が布帛のスーツとジャケット である。 基本的に受注は各工場で行い、セット物の ボトムは本社で作ることが多い。仕事の平準 化は各工場で行い、負荷状態を見て工場間で やりくりをする。そうしたことが出来るのも、 ITを利用して、データが管理されているか らでもある。 具体的にいえば、得意先別・班別の売上管 理から進捗管理、達成率、工賃票、工程分析表、 社員の技能習得表、受注−納品−返品−再出 荷といった品番ごとの在庫管理、まで、デー タがパソコンで管理され、社員にも公開され ているのである。データ公開は、給与配分の 労働分配率まで及び、「役員報酬もかつては 10数パーセントだったのですが、いまでは一 桁台、賞与もゼロ。社員が信頼してくれない といけませんから、車なども社費ではなく私 費で買います」と会場政之さん。こうした姿 勢は社員にも浸透して、日曜日に工場で服を 作るなど研修にも熱心に取り組む。 文化服装学院でデザインを勉強し、卒業と 同時に会社に入った工場長の坂本健二さんは「お かげでいい勉強させてもらっています」という。 データ重視と誠実な姿勢は、同社の経営の骨 太な柱になっているようだ。 会 議 室に掛けら れた17着の上衣。 班長さんたちの課 題作品である。 ぎじゅつしゅうとくひょう 1きせい24ケ月間 こうていひょう 1 ぜんごきりかえろっく 2 まえきりかえつぎ 3 わりアイロン・テープはりヘム上げ 4 サーシング 5 うしろちゅうしんきりかえはぎ 6 ダーツぬい 7 前後パターンシーマー 8 うしろわりアイロン・テープはりヘム 9 ポケットづくり 10 ポケットつけ 11 ポケットアイロンふくろぬい 12 ファスナーつけ 13 ファスナーうらつけ 14 わき・かたはぎ 15 わき・かたはぎ・わりアイロン 16 みかえしかたはぎ・アイロン・ネームつけ 17 えりぬい・アイロン 18 えりつけ 19 えりつけ・アイロン 20 肩わりぬい 21 だんさらいきりりこみいれ 22 コパステッチ 23 まわりかえし 24 はんそで・ヘムあげ・ぬい 25 2まいそでづくり 26 149 タ イ ム 120 150 150 100 60 160 120 120 100 200 180 200 76 62 30 160 280 300 170 105 105 180 30 40 25 5 5 5 5 5 5 5 5 5 4 4 4 4 5 5 5 5 5 5 5 4 4 4 5 5 4 まつり・そで・すそ ハン 4 4 5 4 4 4 5 3 4 3 4 5 4 3 3 4 4 3 3 トリン 4 4 3 3 4 4 4 3 1 3 3 2 2 フォン 3 3 3 3 3 3 3 4 5 5 3 5 5 5 3 ルオン 5 5 5 5 5 4 4 5 4 4 3 3 4 4 4 パーン洋装店社長がリング・ヂャケットさんを訪問
製造卸から独自店舗での直売へと拡大
クラシコの技術をベースに流行に
機敏なディティールを取り入れる
訪問者 洋装店社長辻庸介
さん 訪問先 リング・ヂャケット 専務取締役緒方克之
さん 技術部長金子 一
さん 工場長金子 実
さん 大阪の南部、岸和田市と泉佐野市にはさまれた貝塚市は、 井原西鶴描くところの「日本永代蔵」の舞台になった水 間寺のあるところとして知られる。その貝塚市の静かな 住宅街にあるのがリング・ヂャケット貝塚工場。リング・ ヂャケットさんといえば、いまセレクトショップで人気 のある幾つかのブランドを手がけるファクトリーである。 都心・中野の住宅街に工場を持つ辻さんも「ここに工 場が!」と驚くほどの、静かな住宅街の細い道の先にリ ング・ヂャケットさんの工場はあった。手作りの歴史を感 じさせる工場だ。同社の創業は昭和29年(1954年、会社 組織は同32年)。創業以来50年になろうとするが、その 歴史は、クラシコの服作りの歴史でもある。 「創業者の福島乗一は服作りの専門家ではありませんで した。住友海上に勤務していて、イギリス帰りの同僚が 買って帰ってくる背広を知り、いわゆるセビルローのす ばらしさに感動し、日本でその背広を作ろうとしました。 最初は日本の職人も見たことがありませんから、それを 教えようと、休みの日には一流ホテルに出かけて、コー ヒーを飲んで外国人の服を見るようなこともしました」 と当時を振り返って専務取締役の緒方克之さんは言う。「な にが違うかといえば、ラインがきれいで、フィットして、 しかも動きやすく機能性がある。当時の日本の服は重くて、 かっちりしていて動きにくいものでしたから全然違います。 どうやったら作れるのか、その研究の毎日でした。そん な中からイタリアの服作りを知り、勉強にも行きました」 と技術部長の金子一さん。 そんな同社がこだわるクラシコの手作り感覚を生かした、 現代風な肩パットなしの軽量な服(センツァ・インテル) は、いまや熱烈なファンを生んでいる 「最近肩パットなしの軽い服が出始めていますが、非常 に着やすいですね。流行に機敏にディティールを取り入 れたセンスある服づくりは参考になります」と辻さん。 同社は、基本的に製造卸であったが、4年前から大阪 キタの裁判所裏に独自にショップを展開している。「メ ーカーが店舗をもつと、卸を優先するために、どうして も残り物を売りたくなる。それではダメなんですね。専 門店として独立するために、まず、製造とは切り離し、 店員をプロにして、オーダーも受けられるような店舗に しました」(緒方さん)。 「卸だけでは、量が増えるとどうしても値引きの対象に なり、原価率が上がりがちです。現在は、卸と店舗の売クラシコ技術にこだわって50年
手作りの良さを生かす
製造卸からショップを展開
さんリング・ヂャケット
さん辻
異業種交流による情報交換を目指して、高級婦人服を専門に手がける
洋装店社長の辻庸介社長に、イタリアクラシコ技術で最先端の紳士
用ジャケットを作るリング・ヂャケットさんを訪問していただいた。
リレー訪問 異業種拝見
上比率は、75対25くらいですが、いずれはこれを、50対 50にまで持っていきたい」と緒方さん。 めざすは20∼25坪の1店舗で売上が1億円……これを 幾つか展開して、売上を伸ばしたい……というのが作戦だ。 「イタリアクラシコの服が若者に支持され、それがセレ クトショップと結びついたことで、独自の店舗展開も出 来るようになったのではないかと思います。エグゼクテ ィブ用の服となると客層も限られますが、ちょっと手を 伸ばせば買える値段で、20代∼40代のお洒落な層に支持 されています。ショップの展開が成功された理由が分か ります」と、辻さん。アパレル製造の世界で、話題にな ることが多いショップ展開の具体的な成功例は貴重な情 報のようだ。 「イタリアクラシコの技術にこだわって服作りをしてき ましたが、ここ4,5年若い人が服作りをしたいと遠い ところからわざわざ訪ねてくる。工場を見せて大変だか ら……と説明しても、親と相談してどうしてもやりたい…… と再度来る人もいます。きちんと技術を身につけたら、 その技術が評価されるような社会にしたいですね」と金 子一さん。同社は、丸縫い教室を日曜日を使って実施し ているが、多くの社員が参加するという。 同社が手がけるアイテムは紳士上着、ジャケット、コ ートなどで、一部婦人服も作る。工場のスタッフはパタ ーンを入れて約50名。他に大分工場に約20名がいる。流 れは、貝塚工場で裁断し、大分でパーツを作り、再度、 貝塚工場に戻して組立を行う。 裁断は、手でカット。これを見た辻さんは、CAM(裁 断機)の導入を勧める。道が狭くて入らない……と嘆く 緒方さんに「私の工場も住宅街ですし、CAMは分解し て入れられる。私のところは工場もここより狭い。ここ ならば十分に入ります。1枚裁断でも圧倒的にCAMの 方が早いですよ」との話しに緒方さんは、導入に向けて 検討するために、辻さんの工場見学を申し込まれた。…… ということで、次回は、リング・ヂャケットの緒方さんが、 辻洋装店を訪問されます。 この訪問を通じて辻さんは「紳士服の生き残りの姿を 拝見して、婦人服にもかなり当てはまる事があり、とて も参考になりました。」
丸縫いの訓練は日曜日に
職人が技術で評価される時代にしたい
本社近くの北区西天満4-7-1にあるショップも訪問。 周囲の環境にあった落ち 着いた雰囲気のお店だ。 ラインは1本だが、このラインでオーダー服も流さ れる。ベテランの職人さんが多いが、それでも平 均年齢は約30歳と少し。若い女性が多いという ことでもある。手作り工程も多い。 工場内で。左から同社専務取締役緒方克之さん、辻洋装店社長 辻庸介さん、技術部長金子一さん、工場長金子実さん。ウエストベルト落し縫いで発生する問題解決法
ウエストベルトの落し縫い工程で
縫い外れ、縫い込み、ねじれなど不良の解決法
アタッチメントの活用で不良を削減
知って
得する
縫いのヒント
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図1 落し縫い押え 図5 生地ガイド 図6 ミシンヘセット 図2 縫仕様 スカートやスラックスのベルト落し縫い工程は一般的に普 通本縫いミシンで落し縫い押えを利用して縫製していますが、 ステッチの裏側が途中で外れたり、縫い込んでしまってもわか りません。このため、不良が多く発生することとなります。 なお、落し縫い押えには右、左とありますが、通常は左を利 用していると思われます(図1)。 ウエストベルトの落し縫い工程には専用に開発されたアタ ッチメントがあります。これは上記のような通常の縫製方法と は逆に、ベルトの端をガイドして裏側から縫うようにしたもので す(図2)。こうすることにより、裏側に出やすい不良を防止す ることが出来ます。このアタッチメントではベルトを斜めに起こ すとともに案内棒を利用することでウエストベルトの落し縫い 位置を確実に拾うようにしています。 また、表裏の縫いずれを防ぐためには上下送りミシンの利 用が効果的です(図3)。上送り、下送りも落し縫いに適した ゲージセット(品番MAQ−04900−BA0A、図4)があります。 JUKIのベルト落し縫い用アタッチメントは上下送りミシンDL U−5490用に開発されたもので専用の押え、送り歯、ガイドな どのセットが用意されており、以下のような特長を持っています。 ●下送りの歯は斜めのものを使い、ベルトをガイドに押さえつ ける役割をしています。 生地ガイドは布の厚さにより3mm、5mm、7mmの3種類が あります(図5)。 ベルトの幅は25mmから35mmまで調整可能です。 一般的な縫製方法 改善方法 裏 面 表 面 25∼35mm 落し縫い押え右 落し縫い押え左 針板 B1109-490-W00 押え B542-491-WA0 上送り歯 B3026-491-W00 送り歯 B1613-490-W00 図4 ゲージセット 図3 上下送り糸切りミシン 1 2 3 4 3mm 5mm 7mm実際にベルト落しアタッチメントを利用した縫製方法は図6の ようになります。 また、個別のパーツが必要な場合は図4の各パーツ品番で ご注文ください。 (高橋賢二)
巻き具購入時のワンポイントアドバイス
図7 アタッチメント製作入門 今回はアタッチメントのまとめとして、一般的な分類と購入する 際のワンポイントアドバイスです。 フェラー、へマーなどの巻き形状だけで選択すると効率が悪い 縫製となったり、縫製不可能なことも起こり得ます。 1.巻き具の取り付け方向による選択 巻き具アタッチメント類については、その取り付け方向によっ て四つに分類する事が出来ますが、縫いの方向は縫製工程上、 大事な要素の一つです。 縫製する素材の種類と形状などにより適切なものを選択しま す(図7)。 (1)上から入る:特にテープ付け工程に多く使用し、押えに取り 付けて使用する事が多い 〈メリット〉 カーブ縫いが出来る ベット面が広く活用出来る 〈デメリット〉 サイズの大きい巻き具を取り付けると、押えが重くなる (2)横から入る:アングルバインダー、あたはカノコラッパ等と呼ば れ、針落ち付近でほぼ直角に縫う巻き具です。 〈メリット〉 バイヤステープのように伸縮性のあるテープに対応します。 アウトカーブ、インカーブの縫いが可能です。 〈デメリット〉 伸縮性の無いテープ(縦目テープ)には使用出来ません。 (3)手前から入る:手前よりミシンの送り方向と同じ方向にテー プが供給されるタイプの巻き具です。 〈メリット〉 ビニールテープ、レザーテープのように伸縮性のないテー プに適した方向です。 〈デメリット〉 直線縫い専門となりカーブ縫いが出来ません。 (4)斜めから入る:このラッパは (2)と (3)の中間 のタイプです。 〈メリット〉 伸縮性のない(縦テープ)(ビニール系テープ)でも、ある程 度のアウトカーブ、インカーブの縫いが可能です。 〈デメリット〉 小さなカーブ縫いは出来ません。 2.素材、縫製補助材料などの縫製条件による選択 アタッチメントを利用した縫製の場合生地の特性や、縫製の 形態、利用する補助材料の違い……などを確認して、1で述べ た方向性やアタッチメントとミシンの組み合わせを設定します。 チェックポイントは以下のような点です。 (1)生地の特性は、 薄物か、中厚か、厚物か特殊な物か、伸縮性はあるかない か 生地の腰があるかないか、織り込みはどうか、化繊、天然か (2)縫製箇所は、 地縫か、飾り縫か、直線縫か、(内カーブか外カーブか)、 平縫か、段縫の枚数はどうか、定尺縫か、エンドレス(筒縫) か (3) 縫製補助材料は、 テープを使用するかしないか テープの種類、テープの幅は何mmか 芯紐を使用するかしないか、太さは何mmか、硬さはどうか その他ファスナーや飾りビーズ等のものを使用するかどうか などがチェックポイントになります。1
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11 2003 Vol.218オーダーシャツは、1品生産の仕事である。となる とベテランの職人さんによる丸縫いの仕事と思いがち だが、ここでは、工程ごとに卓越した技能を持つプロ の職人さんによる流れラインの仕事として行われてい る。 ライン化を実現するためには、職人さんの技能を前 提として、パーツごとにジャスト・イン・タイムを可 能にする、周到に組みあげられた工程管理システムが 必要である。実は、これこそ、いま盛んに喧伝されて いる受注生産の基本“1枚流し”の原理であり、それ がここではかなり以前から行われているのだ。 オーダーシャツを作り続けてきたCHOYAタケナカ㈱ の創立は平成5年10月13日。創業以来ちょうど10年に なるが、前身のタケナカ㈱時代の実績を加味すれば、 創業は1923年と80年の伝統を有する。皇室を始めとし て、各界の著名人のシャツを作り続けてきたオーダー シャツの名門である。 現在、同社のシャツは北海道から九州まで、全国の 百貨店を中心に販売されており、全国の百貨店から入 ったオーダーは、東は千葉県柏の工場、西は大阪・枚 方工場に送られ生産される。生産する枚数は年間50万 枚にもおよぶ。生産は、同社の南柏と枚方工場で約40 %、丸縫い、部分縫いを委託している協力工場で60% を生産している。 一口にシャツといっても、いわゆるYシャツから、 モーニングやタキシード用の前立にフリルの着いたも の、さらに大きなサイズでは、ウエスト175センチな どというオーダーも入る。多様である。それらをいか に効率的に作るか、そこが同社のノウハウである。 同社は、ダンヒルやバーバリーなど著名なブランド のほとんどを扱っている。オーダー生産の仕組みは、 以下のようになっている。 まず、各ブランドの生地を百貨店に販売。百貨店で はその生地を使ったオーダーシャツを販売し、採寸し た後、エリ、カフス、前立……などデザインへの要望 を受け、生地、採寸データとともに同社に発送する。 小売価格帯は、10,000円∼50,000円。同社が扱う生地 は約1000種である。「店頭でお約束するお客様への納 期は2週間ですから、搬送の時間を考えると、当社に 与えられた時間は1週間です」と取締役社長の加茂彰 さん。 同社の工場は約100人、パーツ班と組立ラインの2班 編成である。受注したシャツは、CADにデータが入 力される。その後、生地とデータがCAM(裁断機) に送られて、1枚ずつ裁断される。特殊なものは手裁 断である。裁断後、パーツごとに5枚を一束にして、 パーツ工程に送られる。パーツ工程で加工後、この一 束の5枚セットのまま、組立工程に送られる。組立工 程では、各パーツを上から順番に組みつけていけば、 それぞれのシャツが出来上がるという仕組みである。 パーツの管理がきちんとされていれば、組み立ても間 違いなく行われることになる。このパーツ工程での加 工から組立工程へのパーツ供給の仕組みが、一つのノ ウハウである。
LBH-1790
高速電子眠り穴かがりミシンオールマイティな自動機は一品生産に最適
シャツ作りの専門集団
――素材、サイズの変化を自在に加工
JUKI PLAZA
JUKI PLAZA
JUKI PLAZA
JUKI PLAZA
取締役社長 加茂 彰さん 取締役生産部長 大岡 勝さん 生産部生産第一課課長 酒井光雄さんCHOYAタケナカ株式会社
卓越した技能を持つ専門家集団が、 こだわりの1品生産を可能にする。 納期は2週間。裁断は1枚ずつ。そんなCHOYAタケナカでシャツ作りの陣頭指揮を とるのがシャツ一筋に45年という取締役生産部長の大 岡勝さん。今でもサイズ外や特別なシャツは大岡さん が手作りするという。 「オーダーシャツは、パーツやネームの刺繍の書体 までが違う。どの工程でも間違えたら商品になりませ ん。オーダーのシャツ作りは失敗が許されないのです。 お客様の中には、前回と同じに……とご注文される方 もいらっしゃって、その意味で、再現性のある自動機 は非常に有効です」と大岡さん。 同社の特徴は、手作り感覚のオーダーシャツ作りだ が、そんな同社が新しく採用したのが、高速電子眠り 穴かがりミシンLBH−1790。同社では、従来から穴 かがりミシンLBH−791を導入されていたが、これを ボタンダウン専用にして、前立のボタンとカフスボタ ンの穴かがり用に2台導入された。 「ボタン穴の形状や目数、糸が変わっても調整が不要、 色糸交換などもテンションが自動バランスなので切れ る回数が少ない。とにかく止まりません。お客さんの 中には、前立のボタン穴ごとに糸色を変えて欲しいと いう注文もあり、これにも対応できる。こんな便利な 自動機はありません」と生産第一課長の酒井光雄さん。 なによりも糸換えや形状の頻度が高い同社の穴かが りには、縫いパターンのワンタッチ切り替え、自動で の糸のテンション調整機構をもつLBH−1790はぴっ たりである。 オーダーシャツの宿命は、進物で使われることが多 いために、繁閑の差が大きいこと。しかし同社は、 CHOYAの伝統を踏まえて、技能向上にも力を入れ、 閑散期を活用して技能育成に努めている。 「技能者は若くても10年以上のベテランで、各工程 の専門家。どんなシャツが来ても、一級の対応が出来 る。納期の遵守と品質がシェアにつながっているので はないかと思います」と社長の加茂さん。同社は、高 齢者雇用の優秀事業所であるが、これは技能重視の結 果でもある。 オーダーシャツの市場が縮小しつつある中で、シェ アを拡大する同社の“品質・技術重視”経営は、傾聴 に値する。 多様な穴かがりをワンタッチで調整 再現性に優れていることが強み 「繁閑の差が40 %もある中で、い かに納期を守る か、それが 信 頼 につながってい ると思います」と 取 締 役 社 長 の 加茂彰さん。 ①衿ステッチは、通常13-16針/3 のところを同社では22 針/3 で縫う②カフスは外周差を考慮して内側に湾曲する ように作られている。着心地はいうまでもない。③折りたたみ も表にしわが出ないように、シャツに合わせて工夫している。 オーダー工場とい っても普通の工場 と変わらない。パ ーツ班と組立班の 2 班 編 成に、デー タ入力班があるの が特徴といえよう。 高 速 電 子 眠り穴 かがリミシンLBH −1790。カフスと 前立専用に2台が 導入されている。 すぐ横でLBH-791 がボタンダウン用 に使われている。 シャツの生地は各メーカーのも のを百貨店に販売し、百貨店が その生地を元に販売する。同社 にある生地の在庫はかなりの量 に上る。 生産工程は、裁断、パ ーツ、組立と流れるが、 5枚ロットにして送られる。 通し番号と色別による 管理が基本である。 ボタン付けはLK-1903。サイズやデザインが全部違う ので、インデキサーは使用できない。一つずつボタンを つけてゆく。 1 2 3 「このミシンは保 全担当者が触る ことはほとんどなく なりました。縫い 形 状も調 整もオ ールマイティに出 来るので、とにか く便利です」。生 産部生産第一課 長酒井光雄さん。
●中国が開かれたとはいえ、社会主 義国家であり、中国で仕事を行う場合 には、中国人の個人主義な性格、行 政が決める福利厚生等の状況を良く 事前調査し、納得して進出する事が 大切です。たとえば、献血(900元)、 一週間の有給、残業・日曜・国定休日 出勤の給与取扱などなどさまざまな問 題があります。 田中康夫・上海楽菱時装有限公司 ●いま、最も重要なのは、情報収集能 力をいかに高めるかということです。経 済環境の変化、将来の方向……など をしっかり把握して自社の戦略を立て ないと生残れません。中国については、 生産コストは安いが品質に問題がある、 出来高給だから品質面がおろそかに なっているなどがあり、検品制度の充 実がこれからの課題といえるでしょう。 小澤元・(有)栄徳 ●アパレル産業全体のために、日本 の流通の無駄をなくすような構造改 革はできないものなのでしょうか。それ が肝心です。そのような取り組みの事 例がありましたら紹介してください。 水出俊哉 ●いま、関心をもっているのは、アジア、 特にアフリカ・東欧・中米……の繊維・ アパレル情報です。生き残りのために は、オンリーワン企業になる、特化する、 突出、独創、独自、逸脱、シュンパツ力、 いちかばちか、複眼的志向、経営環境 の変化にすばやい対応(縫製工場は 特に)、コストで中国に勝る(イタリアに 勝るだけが生きる道ではない)、軸足は 世界(特にアジア)、FTA時代にフォ カス(今後一番大事)……などがポイ ントです。 正田康博 文化服装学院 ●いま関心があるのは、縫製技術です。 やはりこれが基本。その意味で取り組 まなければならないテーマは人材育成 ですね。 彦根 知明 シーアイ繊維サービス(株) TOKレディスインナー ダイレクトドライブ高速電子本縫千鳥自動糸切りミシン(クイックリバース仕様)