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で最短化する方法がとられた. たとえば, 図 2(a) は, 図 1(c) のスタイナー木の分岐点を SP とし, 端子,, と SP を含めて 2 端子分割することで図 2(b) のような最短経路が得られる. しかし, 実際の配線では, スタイナー木の線分上に 障害物 がある場合があり, その回避

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Academic year: 2021

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障害物回避を考慮したスタイナー木配線法

An Obstacle Avoiding Approximate Minimum Steiner Tree Router

豊永 昌彦 1) 松下 充 2) 川真田 雅則 1) Masahiko Toyonaga 1) Mitsuru Matsushita 2) Masanori Kawamata 1)

1)高知大学理学部 2)高知大学大学院理学専攻情報講座 Information Science Division, Faculty of Science, Kochi University あらまし 高性能 VLSI レイアウト設計で求められる配線長最短 化をするための障害物回避を考慮した擬似スタイナー木 による配線法を提案する.従来のスタイナー木からの配 線が障害物において配線長冗長化する問題を解決する ため,本手法は 3 ステップ,すなわち 1)準 Hanan 格子の 生成,2)準 Hanan 格子の線分のランダムな削除,3)前述 の様々な経路から最短となるスタイナー木を選択して出 力,で構成する. 提案手法を実装して評価実験をおこなったところ,端 子数 6 以内の多端子ネットで,厳密なスタイナー木を得ら れ,また端子数 10,20, 40,50 の多端子ネットでは,準 Hanan 格子線分長の 28.8%から 34.0%まで短縮した配線 構成が得られることがわかった.これは,端子数 6 までの 多端子ネットの厳密解の準 Hanan 格子線分長と同等の 短縮率である. Keyword: 迷路配線法,多端子ネット,スタイナー木, Hanan 格子 1.はじめに 高性能 VLSI のレイアウト設計では,配線最短化がそ のまま動作速度の改善につながる.そのため,配線長最 短が保障される配線手法.迷路配線法が利用されてき た. しかし,迷路配線法[1]は,そもそも端子数 2 のネットの 経路を求める手法であるため,端子数が 3 以上の多端子 ネットでは最短経路が求められない問題があった.これ は,迷路配線法が,配線領域をデザインルールで決めた 格子間隔上で始点から終点までの経路を横型探索 (Breadth First Search)で求める方法であるからである.配 線を格子上で求める理由は,VLSI 製造上の制約からで ある.迷路配線法を端子数 3 以上へ適用するためには, 多端子ネットをあらかじめ 2 端子ペアに分割するためネッ ト全体の最短化が狙えない.例えば,図1(a)に端子 A,B,C の3端子ネットの配線例では,A-C および C-B を 2 端子ペアとすると図 1(b)のように冗長な配線長をもつ配 線結果となる.この例では,図 1(c)の方がより配線長が短 いことがわかる.

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A B C (a)端子数 3 のネット

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A B C (b)端子数 3 の配線

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A B C (c)端子数 3 の最短経路(スタイナー木) 図 1 端子数3のネットの配線例 そこで多端子ネットとして図 1(c)の経路を計算する方法 (スタイナー木計算[2])により多端子間の分岐点(スタイナ ー点)を含めた 2 端子分割を迷路配線法で配線すること Technical Reports on Information and

Computer Science from Kochi Vol. 8 (2016), No. 11

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で最短化する方法がとられた.たとえば,図 2(a)は,図 1(c)のスタイナー木の分岐点を SP とし,端子 A, B, C と SP を含めて 2 端子分割することで図 2(b)のような最短経路 が得られる. しかし,実際の配線では,スタイナー木の線分上に「障 害物」がある場合があり,その回避のため,迷路配線法で 配線が冗長になる場合がある. (a)スタイナー点 SP (b)点 SP と端子の配線 図 2 障害物のある配線例 しかし,実際の配線問題では図 3 の矩形で表したよう な障害物があるため,配線の迂回が生じる場合がある[3]. そのため,スタイナー点を利用しても最短な配線が得ら れなくなる.よって,障害物を含めた多端子ネットの最短 配線手法が求められる. 図 3 障害物による配線の迂回の例 本論文は,障害物回避を考慮したスタイナー木配線法 を提案するものである.提案手法は,3 つのステップで構 成する.まず,第 1 に準 Hanan 格子を求め,第 2 にその 準 Hanan 格子の線分を,ランダムな枝刈で端子間を結ぶ 最小木を作り,第 3 に,第 2 の方法を繰返して最短経路 を持つスタイナー木を求めるものである.Hanan 格子[4] は,各端子から水平垂直に線分を生成して作った格子で ある,図 4 に多端子 A, B, C の Hanan 格子の例(破線)を 示す. 図 4 Hanan 格子の例 本提案手法では,端子から水平垂直の線分検索にお いて,障害物か他の検索線分を見つけた場合に,そこで 線分生成をやめて得られた新たな近似的な Hanan 格子 (準 Hanan 格子)[5]を新たに定義する.多端子 A, B, C の 準 Hanan 格子の例,および障害物を含む場合の例を図 5(a),図 5(b)にそれぞれ示す. (a) 準 Hanan 格子の例 (b) 障害を考慮した準 Hanan 格子の例 図 5 準 Hanan 格子の例

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提案する配線法で最短な配線が得られるかどうかを評 価するため,様々な端子数をもつ多端子ネットのテストデ ータを生成し,評価実験をおこなったところ,端子数 3,4,5,6 のネットでは,スタイナー木と一致する配線経路が 得られることが判明した.また端子数 10, 20, 30, 40, 50 の ネットでは,準 Hanan 格子の配線長の 30%の配線長まで 短縮化した配線経路が得られることがわかった. 以下の 2 章では,本手法について詳細な説明をおこな い,3 章では,評価実験について紹介し,その効果を示 す.最後に 4 章でまとめを述べる. 2.障害物回避を考慮した擬似スタイナー木生成法 提案手法のアルゴリズムを図 1 に示す.まずステップ 1 は,多端子ネットの全端子について,準 Hanan 構成を生 成する処理である.まず,配線領域内で上下左右の 4 方 向の隣接点 P を調べ,もし点 P が配線可能であれば,P にトレースバックコード TB(検索方向情報)を設定する処 理である. 図1.障害物回避を考慮した擬似スタイナー木生成法 同点 P について,ステップ 1.1 において場合わけ処理 を行う.まず,ステップ 1.1a として,点 P の TB 方向への隣 接点 P’が配線可能なら,リストへ点 P*を追加する,あるい は,ステップ 1.1b として,点 P が障害物で別方向の隣接 点 P*が配線可能なら P*をリストへ追加する,あるいは,ス テップ 1.1c として,隣接点 P が他の端子からの TB なら Step1 を終了する.上記のステップ 1.1a とステップ 1.1b の 場合は,ステップ 1.2 として,リストの点を P として再びステ ップ 1.1 から繰り返す処理である. 次にステップ 2 において,準 Hanan 格子から枝刈を 300 回試みる.まず,ステップ 2.1 において,準 Hanan 格子の 線分をランダムに 1 本除去,ステップ 2.2 において,同線 分の除去により端子が未接続なら元に戻す処理である. (a)配線領域の格子モデル (b)端子からの線分探索 B C A (c)準Hanan格子 B C A (d)枝刈と繰返しで得られた線分 図 2.障害物回避を考慮した擬似スタイナー木生成例 次にステップ 3 において,前述のステップ 2 を 2000 回 試行し,準 Hanan 格子から様々な順番で枝刈したものか ら,配線長が最短となる配線経路を求める処理である. 3 端子ネット A, B, C のスタイナー木生成例を図 2 で説 明する.図 2 では,配線格子を線,格子点を○として配線 領域をあらわし,ラベルA,B,Cはネットの端子位置を示

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すものとする. ステップ 1 における,多端子ネットの全端子について, 準 Hanan 構成を生成する処理で,配線領域内の端子の 上下左右の 4 方向の隣接点 P を調べている様子を図 2(b)に示す.同図ではどの隣接点 P も配線可能であるた め,トレースバックコード TB(矢印)が設定されている. 図 2.(c)は,ステップ 1.1 で生成された格子(準Hanan 格子)の結果を示している. 次にステップ 2 において,図 2.(c)の準 Hanan 格子から 線分をランダムに 1 本除去し,ステップ 2.2 において,同 線分の除去により端子が未接続なら元に戻す処理を 300 回試みた結果を図 2.(d)に示す. 次にステップ 3 において,前述のステップ 2 を 2000 回 試行するが,本例では,ステップ 2 の結果と同じ図 2.(d)と なる. 3.評価実験 提案する障害物回避を考慮した擬似スタイナー木生成 法を C 言語(MinGW/Cygwin)で実装し,Windows7 環境 で実行した.実験データは 100×100 格子の配線領域に 端子数 3,4,5,6,10,20,30,40,50 の多端子ネットの端子を配 置したものを使用する.端子位置は,乱数のシードを変 えて 5 種類ずつランダムで配置した. 端子数 3,4,5,6 の多端子ネットのデータで,本手法が求 めた線分長と,スタイナー木から求めた厳密解の線分長 と実行時間を比較する.また,端子数 10,20,30,40,50 では, 本手法が求めた線分長と準 Hanan 格子の線分長からの 改善率をと実行時間を比較する. 端子数 3,4,5,6 多端子における線分長とスタイナー木 の線分長との比較結果を,表 1.1,表 1.2,表 1.3 および表 1.4 に示す.各表において,「配線長」は,提案手法で得 られた線分長,「厳密長」は,スタイナー木の線分長,「時 間」は処理時間(秒)を表す.また,各データから提案手 法で得た準 Hanan 長を「準 H 長」,および「短縮率」は準 Hanan 長に対して得られた線分長の割合を示す.表 1.1 から表 1.4 より,いずれの端子数のパターンでも全て厳密 解と同値で,最短経路を得られているという結果が出た. さらに短縮率の平均は 34.5%であるが,これは厳密解と 準 Hanan 長の短縮率 34.5%となっている. 端子数 10,20,30,40,50 の端子数の実験では,厳密解を 見つけることが難しいため,準 Hanan の線分長からの削 減率のみを評価した.各データは,先ほどと同様にランダ ムに端子数毎に 5 種類のデータ A,B,C,D,E を作成して評 価した.表の記号は先ほどと同じである. 端子数 10 の結果を示す表 1.5 によれば,A における短 縮率は 28.6%,端子数 20 の結果を示す表 1.6 によれば, A における 29.0%,端子数 30 は,表 1.7 によれば 31.4%, 端子数 40 は,表 1.8 によれば 32.6%,端子数 50 は,表 1.9 によれば 34.0%という結果が出た.この結果から,50 端子までの数であれば,経路は準 Hanan 格子の約 30% 程度まで削減できていることがわかる. 6 端子までの実験結果でも,厳密解の配線長は準 Hanan の 30~40%程度の削減りつであったことから,本手 法で求められた配線経路は十分スタイナー木に近いもの のであるといえる. 参考までに,提案手法でえられた端子数 10 端子,20 端子,40 端子,50 端子の準 Hanan 格子と,最終の配線 結果を図 4.1(a),図 4.1(b),図 4.2(a),図 4.2(b),図 4.3(a), 図 4.3(b),図 4.4(a),図 4.4(b)にそれぞれ示す.なお,40, 50 端子においてループが残される結果も見られる. 4.まとめ 高性能 VLSI の配線設計でより短い配線を得るため, 障害物回避を考慮した多端子配線の新手法を提案した. 提案手法は,準 Hanan 格子を生成し,同格子からランダ ムに線分を削除することで最短配線経路を得る. 提案法を実装した計算機実験で,端子数 6 以内では, スタイナー木の厳密解を得た.また端子数 10, 20, 30, 40, 50 の多端子ネットでは,配線長が準 Hanan 格子の線分 長の 28.8%から 34.0%にまで削減でき,6 端子までの準 Hanan 格子の線分長と厳密解との短縮率と同等であるこ とがわかった. なお,本手法では 40, 50 端子において,一部ループが 残る問題が見られる.今後,ループ除去の機能追加が望 まれる. 参考文献

[1] Lee, C. Y. (1961). An algorithm for path connections and its applications. Electronic Computers, IRE Transactions on, (3), 346-365.

[2]Hanan, Maurice. "On Steiner's problem with rectilinear distance." SIAM Journal on Applied Mathematics 14.2 (1966): 255-265.

[3] Ajwani, G., Chu, C., & Mak, W. K. (2011). FOARS: FLUTE based obstacle-avoiding rectilinear steiner tree construction. Computer-Aided Design of Integrated Circuits and Systems, IEEE Transactions on, 30(2), 194-204.

[4] Snyder, Timothy Law. "On the exact location of Steiner points in general dimension." SIAM Journal on Computing 21.1 (1992): 163-180.

[5] 川真田雅則, 豊永昌彦” 多端子ネットの近似 MST 配線の 一手法,” 平成 27 年度電気関係学会 四国支部連合大会 1-36(2015 年 9 月 26 日高知工科大)

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(a)準 Hanan 格子 (b)提案手法による配線 図 4.1 10 端子の実験結果 (a)準 Hanan 格子 (b)提案手法による配線 図 4.2 20 端子の実験結果 (a)準 Hanan 格子 (b)提案手法による配線(ループがある) 図 4.3 40 端子の実験結果 (a)準 Hanan 格子 (b)提案手法による配線(ループがある) 図 4.4 50 端子の実験結果

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名称 配線長 厳密長 時間 準H長 短縮率 A 82 82 1.11 238 34.0% B 103 103 1.01 302 34.0% C 131 131 1.03 360 36.0% D 151 151 1.03 434 35.0% E 71 71 1.23 145 49.0% 平均 107.6 107.6 1.082 295.8 37.6% 名称 配線長 厳密長 時間 準H長 短縮率 A 188 188 1.17 549 34.0% B 97 97 1.28 254 38.0% C 121 121 1.17 410 30.0% D 114 114 1.16 375 30.0% E 174 174 1.16 540 32.0% 平均 138.8 138.8 1.188 425.6 32.8% 名称 配線長 厳密長 時間 準H長 短縮率 A 142 142 1.5 311 46.0% B 135 135 1.33 443 30.0% C 173 173 1.39 536 32.0% D 191 191 1.34 638 30.0% E 168 168 1.34 552 30.0% 平均 161.8 161.8 1.38 496 33.6% 名称 配線長 厳密長 時間 準H長 短縮率 A 169 169 1.66 496 34.0% B 187 187 1.54 625 30.0% C 222 222 2.68 631 35.0% D 175 175 1.65 516 34.0% E 94 94 1.68 274 34.0% 平均 169.4 169.4 1.842 508.4 33.4% 表1.1 3端子における線分長比較 表1.2 4端子における線分長比較 表1.3  5端子における線分長比較 表1.4 6端子における線分長比較 名称 準H長 配線長 短縮率 時間 A 728 206 28.0% 3.38 B 963 310 32.0% 3.37 C 655 160 24.0% 3.31 D 626 195 31.0% 3.33 E 841 235 28.0% 2.73 平均 762.6 221.2 28.6% 3.224 名称 準H長 配線長 短縮率 時間 A 1501 420 28.0% 12.4 B 1485 401 27.0% 11.94 C 1210 363 30.0% 10.68 D 1195 308 26.0% 14.18 E 1184 401 34.0% 11.74 平均 1315 378.6 29.0% 12.188 名称 準H長 配線長 短縮率 時間 A 1691 520 31.0% 28.9 B 1470 470 32.0% 32.5 C 1615 511 32.0% 32.62 D 1587 458 29.0% 33.39 E 1473 482 33.0% 33.01 平均 1567.2 488.2 31.4% 32.084 名称 準H長 配線長 短縮率 時間 A 1800 577 32.0% 69.6 B 1855 632 34.0% 69.21 C 1706 563 33.0% 73.02 D 1904 582 31.0% 72.78 E 1653 539 33.0% 72.58 平均 1783.6 578.6 32.6% 71.438 名称 準H長 配線長 短縮率 時間 A 1931 630 33.0% 137.61 B 2157 726 34.0% 141.76 C 2114 705 33.0% 134.97 D 1931 681 35.0% 135.27 E 2076 724 35.0% 136.12 平均 2041.8 693.2 34.0% 137.146 表1.9 50端子における線分長比較 表1.5 10端子における線分長比較 表1.6 20端子における線分長比較 表1.7 30端子における線分長比較 表1.8 40端子における線分長比較

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