馬鈴薯に関する生理、生態学的研究 VI 生育に伴う炭酸同化、蒸散並びに呼吸作用の消長に就いて-香川大学学術情報リポジトリ

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馬鈴薯に関する生理、J生態学的研究

Ⅶ 生育に伴う炭酸同化、蒸散並びに呼吸作用の消長に就いて

串 潤三郎・大 森 浩 Pわysiolog・icalandecologricalStudiesonpotatoplants

Ⅵ OnthevariationヲOfcarbondioxideassimi1ation，

transpiration and葺eSpiration at Variou戸StageSOfgrowth

By

Jun之Abpro如AKAanq首i吏OShiOMORI

（匝boratory ofCrop Science）

Ⅰ 緒

言 高等植物に於ける炭酸同化，蒸散並びに呼吸作用は，その生活甥象申極めて重要な意養を有するも のであるが，農作物の生育に伴うこれらの拘長に・関する研究は概して少い．

筆者等は馬鈴薯に於ける上記≡作用と該作物体生育との関係に就いて考究ん，2，3の結果を得た

ので玄に報告する．

‡ 実瞼材料及び方法

〔：A〕供託材料

実験材料と．してほ北海道塵馬鈴薯「■’男陪賓」を用い，昭和25年3月20日播経，慣行故に・依り育聾した，

〔B〕測犀潰 （a）炭酸同化作許：上位第6其の晴天下に於ける炭酸同化産物である還元糖を，ミクロ・ベルトテ

ン漁に腐り定量したが，丁別に生長，呼吸及び転流等に依る精粋盈を測定して前記の値を補正し席料

乾物重1g・，1時間当・りの同化盈を求めた・

（b）蒸散作用：測定時に・於ける外囲条件変化の影響を除くため比較発散の方法を勲、た・即ち地

上部を水を潤した椅子魔桓挿入し偲監掛こ償り葉蘭発散盈を測定した・他方平田式の濾紙蒸発計を

用いて蒸発盈を測定し，上青己真南発散盈との比を以て表示した・

（c）呼吸作用：地上部及び塊茎を夫々吸引デシケー・−ダー内に層閉して250cの定温器申に保ち・呼

吸の結果排出した炭酸瓦斯畳をオールザツト瓦斯分析装卸こ依り測定し，00c，1気圧に於ける試料

1kg，1時間当りの容横を算出した・

Ⅱ

先ず作物体の生育状況に就いて述べると，播種後地上に萌芽が現れたのは4月16計であったが，以

後5月17日に至る聞草丈の増加著しく生育は甚だ旺盛であった．然し乍ら5月12日に始り5朋2日に亘

る開花期の終頃より，草丈ゐ伸長は精々按慢となり，下葉の賛変が認められた6月7日以俸は次第に

枯凋した．次に塊茎に醜い七見かこ・，党ず桂薯凍6月7日項迄健存した後崩壊した・他方新薯は花暦の

着生を認めた5月3日前後よりその肥大生長を開始したが，5月17日頃以後は旺盛な発育を示した・僚

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鰻 生育期間中に於ける草丈並びに塀当り薪薯富畳の変化を示すと・第1図の如ぐである・

従来の癖究に依れば（3・45・9り14−7），馬鈴薯植物体

地上部の生長は開花前期頃迄に暑々完成するも

？であ

珊 而して痴薯の生長肥大ほ開花前に・ほ魔ど見るべ g く¶．●−−・・・・・・● 耳 丈 5P ◆ロ 80 20 10 0 新港血盟 きものなく，却って開花後急速な肥大生長が見 られることが報告せられているが，本実験に於 抑ょ ける作物休め生育状況も添上記の成績とよく− 100 致する． 文 今上．述の如き生育状況の変化に．伴う炭酸同化，

蒸散並びに呼吸作田の酋長に就いて検するに，

先ず炭酸剛≒準用は発来植物体に於ける有機物

合成の基礎をなすものであって，作物体の生育

即ち第2函に於て見られる如く，地上部の生長停止

▲．＿＿▲＿＿▲＿＿＿． 」 ⊥，．・・・・・」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・▲

V Y Y Y Y Ⅵ Ⅵ

8 10 17 g4 81 7 1仏 月 日 蕃1図 草丈並びに1株当り新蕃畢畳の変化 状況と密接な関係のあることは．多奮を重しない． 並びに新薯肥大激化の分岐点たる開花期迄漸増 し，爾後漸減の様相を呈した．同校な事実は既 Ⅴこ蘭くワ」1の，小麦（19“1￠〉，√ムラサキクァゴヤシく16）， 甘庶（ユ218），戯麻（12）等を材料として実験せら れ，或は外的要素（10・・16），或は内約要素几121＄）に その原因が府せしめられている．而して野口し11） 昧水椙の生育並びに光合成生産物の給費，貯蔵 に就いて研究し，菓で剛ヒされた炭水化物−−澱 瀞が，生育の初期，中期でほ菓部の発育のため に消費きれ，また†部ほその中に貯え．られるが， 出穂の噴から にその中に貯蔵されるのでその方の移行が盛に 勤 判 増 生 遮 蔽 比 較 発 散 00紬帥▼仙

J︰11∪Ⅵlさ

▲．．．．．＿＿L＿．．．．＿−−L一一−−▲ Y V Y Y とヱ；空￠ 2リ ℡ ll lO ごム 第2国 衆酸同化並びに蒸散作用の消長

なり，更に結実彼は新たに剛ヒされた殆ど金部の澱粉が穂に・移ることを報告している・叉田川・大森

く15）が馬鈴薯植物の生育期間中に於ける各券官遼透圧の滑長に就いて検した処に依れば，r鱒上部各界

官に於ては生育の進行に伴い漸次蕗透圧め上昇が見られるが，開花終了時を最高として，爾後蓼透圧

の漸減を認あたことより一同化生産物卜主として糖額が⊥時茎葉，特に茎肉に貯蔵せられるものと解

している点，叉事実LuTMAN（6）も開花期に於て茎組織申に・多畳の糖堺の蓄積あることを観察してい

る点等と併せ考える噂誠に興味深い処である・即ち馬鈴薯に於てほ瀾花期迄ほ虎ず地上部の生長並

びに茎葉内に周化生産物の蓄積が行われ，次いで開花期後急速な新巻の肥大生長が認められることを

証し得るものと思惟される． 次に蒸散作用は植物体に於ける養分の摂取並びに・その麹よ部への転流に大なる意養を有するもの

であるが，特に馬鈴薯の如く短期間に成熟する作物に・あっては，蒸散作用の滑長がその生育状況と深

い関連のあることは当然考え得る処である・即ち第2馴こ示す如く，花雷潜生前に於て既に最高値が

見られ，爾後漸減の傾向を示す点は上記の事項を避雷するものと思考される・

更に呼吸作用ほ周成の相物体の維持並びに新たな部分の構成に必要な力渡的物質代謝の指榛と看

徹すことが出来るが，そのカ源的物質は炭酸同化生産物に由来するものである故，呼吸作用の滑長も

亦作物体の生育と不可分の関係にあることは論を供たない・而して第3区Ⅰ′に：見られる如く，馬鈴薯の

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幽

地上部に於ける呼吸作用は花雷着生時感激増ピた後‡㌻年賦変時迄は漸減の楼相を富し，以後榔柳こ

伴い可なりの増加を示し年；，∴㌻・こ．？率琴昧花欝常盤？前額並び笹棉押掛ち於て摺菅な帝陳代謝が行わ れることを示すものと解される．叉塊茎の 呼吸作用を見るに・（第3図参照）兜ず線審 に於てほ花常着生前最高に．達した後−」時減、′ふ 〉 0−−ゝ，○ 析猫呼吸作用 で緑∴∴抑 ＋岬 返したが，開花期には精々増大の傾向を赤 した・他方新薯の呼吸作用は生育初卿羊は 旺盛であるが，その発育に従って漸減する ことを認めた・これらの点ほ馬鈴薯の生育′ 鶴上拓空目険酸瓦斯野 ケーーー・− に・伴う同化産物並びに．貯蔵物質の変化及び 甲 転流と関連するものであって，AppLE・ MAN＆MILLER（1），Sも．NGH＆ ■ l l． ▲■． ■． t Y Y t Y Ⅶ 一 Ⅶ t ▼ 1 ■ ■ ■∵∴∵1 12 21 よ￠ 8 t2 t9 ！★ 81 8 18 月 日 MATHUR（−8）等も同様な専琴案報莞してし→‡ J、 第3図 呼吸作用の滑反

る・葡叉極めて類似の現象ほ飯泉（立簸びに筆者郡、ゐ既に報告ざる如く，甘藷塊棍の生育期輌呼鈴

ても見受けられ注目に億する処である． i .. 以上に述べた如き馬鈴薯の生育賂伴う炭酸同胞蒸散並びに呼吸伶用消長の相互蘭係を概説境野こ

先ず地上部生育の初期に於てほ，草丈の伸長ほ旺盛であつ、で；礎って地上部に於ける、呼吸作用屯墟で

あり，且蒸散作用も顕著である．然し乍ら未だ啓薯よJりの聾命補給も阜づている頃で㌧おって．甜欝の 呼吸作用ほ盛であるが，地上部に於ける炭酸同化作動ま未だ僅少である・次いで花蕾の着生を認める に及び，地上部の生育ほ益々著しく，その呼吸作用は最高に達し，蒸散作用は依然として旺盛である．

党政鮎柁作用も簡転り逢瀬わ舶を宋e，∴覆審よりわ蕃尭確執油衷そわ壷軸を激ピ潜わて鱒

鄭こ於村若呼吸作用は低学す凱雛開花如こ入慈と，蛍丈さま頼長停頓状療を茎し，毎上前と絡げる

蝉坂作用た璃多少の低下，要談搾如こほ可なりゐ表政が見られるに反し，庚酸剛i廉励ま巌尉芋達ず

る．他方種常に於てほその呼吸作用ほ増大すると共に，新著ほ肥大生長を尚嬉しており，薩盛な畔唆

作用を営む・禰宴草費葦変時前後輪てやま，海上潜め蜜離停止した鎮，漸次稚痢が認められ如

荻酸同化作熟ま漸波み傾向を示すか；一呼吸並びに蒸散の両作用は再び勧占め様相を羞L，新巻ほ盛々

∫ 弛失して成黙に近ザぐと兵に，その呼吸作勧ま義蓮のユ儀を辿る．

′ ヽ

Ⅱ 摘

要 木琴斬究ほ馬鈴薯槽物体の生育佐伴う茨酸同化一議懲並びに呼吸作用の消長を追求する目的や，「男 簡薯J、を実験如如とじて行づたものであるが，その突放療奥を示すと次の如くである．

1．炭酸同化作用は地上部の生長停止が見られる開花期迄漸増し，爾後漸減の棟相を呈した．

鵠孝パ蒸散作用は花触前をこ紆て既に最高に達しメ爾後漸減の傾向を示すがト枯閲疫伴い甫び多少 め辻昇を見たシ 3．地上部の呼吸作用ほ花菅着生時迄漸増した後，下葉費変時迄は漸減の様相を呈するが，楷凋に 伴い司：なりの増加を示忠恕．− 4．種賓の呼吸作用ほ花菅雛前最高私達した鎮一時滅逸するが，開花期虹は梢貞増大した． 5．新繋の呼吸作用は生育初期には旺盛であるが，肥大生長に伴い漸減した． （本報琶の要旨は昭和27年1月26日開催の第2回日本作物学会四国地域談話会に於て講演発表済で ある），

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、ニ 引 牒 文 献

1 （￠）App乙ガnIAⅣ，￠．0．＆痛もL恥、E．む．りOur．Ag・r．Re

鰐）飯泉茂：生態学研究，12（1949），11き． β）稽見五郎・佐藤偽書；鼻及園，14（19さ9），、17お． （4）竜宇田治平・小野正夫・五十嵐清平；農及園，10（1935）．77S． β）J古宇田浩平●小野正夫・五十嵐滞平：轟及園，10（193恥！海．i

（餅←uTMこAy，B・F・：A皿er・Jour．tBot．，6（1919），18i．

12一（1940），228⊥

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樽谷勝：日作91回講釈会務象（1951）． （軒桓軒感助‥褒及園・1き（19卿・1015・

（10）宇野口蠣膏：日作紀，10（193野；1菰

（11）、野口開音 ニ園．芦4（1949），597； 軋中平鱒・、N・千年p・Bot・，㊥（1935），29l・ ＆山地uR；PiB．：Ahn．Appl．Biol．，24（1937）；469． （12）SIyGE．B． （13）SIM柑1R． 軋︰軋 1

噂姉齢髄．岡蓮聾三：義海温鵜苫採種組合連合会貴料，5（1949）．

（15）田川隆・大森浩：香川農大学術報告，2（1妬1），141．

℃描5せ嵐k躍M．1D．＆HI軋G．R．：pl左ntPh斎siol．，12（1碍7），2＄S．

￠7）1山オ健害i野田健見，；生軌2（1947），37． 一色鱒）．叫崎守正・春田博樹；日作紀，ュ3（拶彪），31き．人 R‘su山岳

、In9ider to9bt云in so甲einior甲atio中学i）n the、varia七iqnsof carbonldioxide・a＄Similation・

く transpiration andrespiration く in p9tatOplantSat Variousstagesof growth，′the pz・eSenトinves・ tigationwasund＄rtakenLWithpotatoesof the、Vari声tyIrish Cobbler・TheLeざperimentalresults

Oもt左inedmaybeノSum甲ri次dasfollow＄：

ユ・T匝qarboTl＞dioxideassimi1ationincreasedgradually岬til，thefloweringstage，atWhi￠h

the

2・Thetranspirationreachedth寧、捏ghes寧gradepriortq：th寧裡peチranCe，Offloやr・buds，th斡

itShowedthetendencyof gTadualdecrease，althoughalittleincrease concomitantwith，the

Withering was also recogni2：ed・

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Of flower・・buds，followed by a temporary decrease，however，itincrea＄ed畠埠ghtly＼at the

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5．Therespirationofnew tuber wasvigorousatthe earlystage．of grbwth，but’．then drop・ Pedgてadua11y，・aCP9rding：申，的e｝prOgreSSivelS−agesOftllberm叫呼ityi

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