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三つの政治文化 : ボランティアを進める政治・社会的文化-香川大学学術情報リポジトリ

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Academic year: 2021

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第五章 三つの政治文化−ボランティアを進める政治・社会的文化 はじめに 神江 仲介  香川県東部を、ほぼ南北に縦断する絹長い形で位置する三木町は、いくつかの村が合併したコ ミュニティである。基本的に、高松市郊外地区として発展している地域、かなり郊外から離れて いるが琴電沿線の地域、そして南に広がる農村地域に分かれる。三木町は、西地区から東地区、 そして南地区へと移動するにしたがって、高松市郊外の最も都市化された地域から束部のやや都 市部から遠い地域、そして過疎化しつつある南部域に分けられる。西地区には香川大学の農学 部、医学部︵付属病院も︶が存在し、束地区には旧型、新型特養の二つが所在する。コ〇〇五年 の調査をまとめるに当たりこの三つの地域を原則として、現大宇地域=旧村をまとめることによ りデータペースを作り、二〇〇五年度に実施した町民調査の分析をする。  人口動態と産業上の実態としては左に見るような状態である。 西地区では、人ロ八四六一人︵一九五五年︶から一こ入九人︵ニ○○○年︶と二九二八人増 5

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表5−1 三木町人口の増減 年栽 西地区 南地区 K地区、 南地区 T地区、 南地区 H地区. 東地区 S地区 東地区 I地区 総人口 1955 8461 3091 4520 5228 2440 3277 27017 1960 8124 2804 4239 4954 2287 3007 25415 1965 7960 2492 3800 4735 2141 2888 24016 1970 8280 2175 3537 4606 2006 2704 23308 1975 8748 1950 3642 4814 2090 2686 23930 1980 9011 1851 3717 5050 2408 2952 24989 1985 9808 1730 3771 5049 2586 3077 26021 1990 10277 1608 3748 5452 2781 3100 26966 1995 10966 1488 3603 5811 2825 3073 27766 2000 11389 1283 3482 6552 3133 2930 28769 えた。 二〇〇〇年国政調査での 業就業者は五・ハ%である。 一 ● 五歳以上就業者中農林漁  束地区の全体では、人口五七T七人︵一九五五年︶から 六〇六三人︵二〇〇〇年︶と三四六人増えた。二〇〇〇 年国政調査での 九・八%である。 - i 五歳以上就業者中農林漁業就業者は  南地区の全体では、人ロコー八三九人︵一九五五年︶ から一一三一七人︵二〇〇〇年︶と一五二二人減った。 一 1 一〇〇〇年国政調査での一五歳以上就業者中農林漁業就業 者は一三・四%である。  本論においては、政治態度、信頼、ボランティアの順に 述べられるが、論述の基本的問題意識は、高齢社会におけ るボランティアを促進する政治文化は何であるか、であ る。特に焦点を、非高齢者も高齢者も携わる、高齢者に対 するボランティア=高齢者ボランティアに当てている。 邱

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第五章 三つの政治文化−ボランティアを進める政治・社会的文化 第一節 三つの地域社会における社会経済的地位の違い  二〇〇〇年国勢調査で未成年人口も入れて高齢者人□をみると二〇・六%であり、二〇歳以上 のサンプルで西地区が三一%、束地区が三一%、南地区が三四%であった︵表5−2︶。高齢者 の内訳では西地区と束地区では後期高齢者が前期と同等かより少ないのに対し、南地区では五% 以上上回っている。あえて都市から農村の連統体でランクをつけると、西地区︱束地区−南地区 となるであろう。これはまた、地域の産業構造ともほぼ対応している。  農林漁業・商エサ:目営業その他の高齢期に限定して比率をサンプルで見ると、﹁表5−3 各地     西 東 南 若 年 1 7 1 0 1 2 中 年 4 1 3 0 4 6 中 老 5 S 3 6 5 2 前 期 3 0 1 6 2 4 後 期 1 9 1 7 3 6 ・ 後 期 7 5 歳 o 前 期 6 5 歳 ロ 中 老 5 a 歳 ロ 申 年 卸 息 -2 0 歳 ・ 匝願罰圖 ヽ 圖圖 m矩廊回胆

朧朧 ' . り 証囲言 崖居言

j ぶ25S.I I. ’ I I ’ , 2 8 S I I I ’ E ・ , : , 2 7 % ‥ ‥ ‥ ‥ ・ ン : ・ : ・ 1 1 1 : ・ . ・ : ・ : : ・ : ・ : ・ 9 % ・ . ・ : ・ . … … … 7 % … … …   ・ 差 年 1 0 0 S 9 0 S 8 0 S 7 0 % 6 0 S I 5 0 S I 4 0 S 3 0 S 2 0 S 1 0 S   O S ま 侑 屎 宙 楠 R 死 袖 R 各地区の人口 表5−2 農 商 エ n 鴬 ・ 若 年 O 12 巾 年 0 3 0 中 老 1 8 3 前 期 4 6 5 後 期 15 1 東 若 年 0 0 0 E∃Ξl 自 営 そ の 仙 崩 エ サ ー ピ ス 豊 鉢 漁 畠 ・ ]副 回│ 昌‘ トL−トト﹄ 唾 匹匹匹匹一匹mmms 後期 前期 中老 中年 若年 後期 前期 中老 中年 若年 後期 前期 中老 中年 若年 南地区 東地区 各地区の自営業  西地,区 表5−3 区の自営業﹂によれば、農林漁業が西地区 で前期高齢期が一三%後期が五%、東地区 で前期が一九%、後期が二四%、南地区で 前期が二五%、後期が一九%であった。東 地区と南地区が農林漁業で近そうに見える が、この項目は多数回答で取ってあるた め、更に東地区に商エサと、自営・その他 で比べると前期高齢期に圧倒的にこの多く のカテゴリーが集まっている。 57

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 第二節 三つの地域社会における政治態度の違い  ︵一︶ 政治参加  ﹁表514 団体集会の三つの地域社会間差﹂によると、西地区の団体参加の特徴は、若I中 年まで参加が上がらず、中老になると三〇%から六六%に跳ね上がるという特徴を持っている。 しかも比軟的に﹁よく出席﹂するものがいてそれは増え続けて後期高齢期には半数に達するとい ういわば民主的な側面を持っている。更に、前期高齢期にはハ割を超えそれは後期高齢期まで殆 ど維持されるという活況を呈する。  比較のし易さから、次に南地区を見てみよう。西地区と対照的に、既に四四%という中年レペ ルから盛んな参加があって西地区と同じ六五%という参加へと連続する。ところが、高齢期にな ると後期高齢期で参加度が維持できない︵五六%︶という違いが出てくる。更に、前期高齢期に ﹁よく出席﹂するものが集中し中老以下が﹁よく出席﹂に参加度が低いという特徴がある。  東地区の場合、中年では若干低いものの五〇%という参加があり、それは前期高齢期まで同じ だが後期高齢期になると急に落ち込むという特徴がある。  団体集会参加傾向が政治集会参加︵表5−5 政治集会の三つの地域社会間差︶になると極端 な形で現れてくる。  西地区は南地区も中年までは政治集会参加は一〇%、をきるという低さで、中老になると 認

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第五.章 三つの政治文化−ボランティアを進める政治・社会的文化 実数→ (以下全 て同じ) S11嘔 若年 p<0, 後期 前期 中老 0 1 西地区 ・政治集会出席しない ロ政治集会ときどき出席 ・政治集会よく出席 後期 前期 中老 中年 若年 p<0,5 東地区 表5−4 団体集会

函藍ΞΞl

24SI 20% 6% % 若年中年中老前期後期 p<o。01西地区 卯 ・aぼブsiJ` 若年 n S , 後期 前期 中老 東地区 表5−5 政治集会 西地区東地区 若年17若年10 中年40中年30 中老55中老34 前期30前期15 後期16後期14 中年 p く 0 , 南地区 若年12 中年43 中老52 前期21 後期30 一 中前後 老期期 01南地区 西地区 若年17 中年40 中老52 前期29 穏E蔓目 東地区 若年10 中年30 中老34 前期15 ほIIll 南地区 若年10 中年30 中老34 前期15 '1 4

9−“

若年 中中前後 年老期期 p<O。01南地区

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南地区 若年11 中年39 中老46 前期21 東地区 西地区 若年17 若年10 中年40 中年30 中老51 中老33 前期29 前期12 後期15 後期11  後期11後期27 「耳両7司 後期 前期 中老 中年 若年 【豆函Ξ豆】  S保守一革新革新的  ロ保守‐革新やや革新的   ・保守一革新中間  ロ保守一革新やや保守的  ●保守一革新保守的 EΞΞヨ 後期 前期 中老 中年 5 1 若年 後期 前期 中老 中年 若年 南地区 東地区 西地区 n 。 S , n , S , n 。 S 表5−6 保守一革新 一 1 - i - ¥ 一● % ント 前期高齢期六 - ¥ 一%、後期高齢期はコーポィ 程度減るものの、まだ﹁よく出席する﹂ものは 逆に増えている。南地区は、中年まで一〇%のレペ ルを維待し、その後は後期高齢期での落ち方が西地 区より強い。東地区では、非高齢層は南地区とほぼ 同じとしても高齢期になると他地区で見られた盛り 上がりは全く見られなくなる。  ⊇日でまとめると、五〇歳以上で活発な西地区、 高齢者で不活発になる東地区、大体全ての年齢層で 活発な南地区ということになるであろう。 ︵二︶保守−革新  通常党派性で全面的に議論するのだが、町との話 し合いで政党支持等が入れられなかったので、やむ を得ず保−革単発で議論をする。  この変数の一般的性格としては、外的対象を持た ずに内面的な態度が主となる。その動きの特色とし 卯

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第五章 三つの政治文化−ボランティアを進める政治・・社会的文化 ては、日本人の特色として加齢=保守化であり、それで主たる供給源となるのが﹁中間﹂派であ る。そして後期高齢期になると﹁中間﹂派が増える形で政治的に不活発化してゆく。  ﹁表5−6 保守1革新﹂によれば、ここでは東地区がその典型の形を示す。前期まで順調に 保守化︵﹁保守十﹁やや保守﹂︶は二〇%から五八%まで増えてゆく。後期高齢期に入ると保守化 は逆行し三六%まで落ち、変わりに﹁中間﹂派が実に六四%にのびる。 ところが、これに対して西地区と南地区が程度の差があるがそれを示して いない。西地区で は四三%の中老時に保守化は止まり後期高齢期になっても四〇%と一定である。南地区では、 五九%にはなるけれどもそのままの値で後期高齢期まで行く。  動きの内訳は、都市部と農村部の違いを見せる。西地区では、中老のハ%から後期の二七%ま で﹁保守的﹂という保守の強化が進むし、同じ年齢層に革新的な階層が二五%入り込み、結果﹁中 間﹂が割り込みにくそうにしている。対照的に、南地区では保守の内訳は中年で完成するととも に﹁革新﹂系の後退も顕著である。 第三節 ボランティアと政治 ︵一︶高齢者ボランティア 三つのグラフ﹃表517∼5−9 高齢者ボランティアの経験−西ヽ束ヽ南地区ヒがいずれ 司

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70% 60% 50% 40% 30% 20% IO%  ○% 70% 60% 50% 40% 30% 20% 10%  ○% 70% 60% 50% 40% 30% 20% 10%  O% 若年 中年  中老 西地区 前期 後期 EI禰径盾奥:そ{カ偕l 回5家丿弼i22α}美化, a4生1づ・;詑 ロ44非句 口3おg柊・l喫祷S 一21升り豪氏 ロ 2 1 1 1 ■ 1 固 1 1 1 1 ゲー.ム 硬筆 季芸 藁里ll・姜容 精判ョ的ケア ・介・鍾璧●甫坦】 眉辺の世話 表5−7 高齢者ボランティアの経験一西地区 若年 中年 表5−8 若年 中淘Ξ    良5−9 ロ経験:その他 一5家眉辺の美化 四4生け花 EI4俳句 113お茶・喫茶 ロ2折り紐 ロ2ゲーム 111硬筆 ロ1手芸 sl理髪・美容 ゜1精神的ケア sl介護補助 ロ1周辺の世話  中老 前期 後期 高齢者ポランティアの経験一東地区 こ1癩琵験:そa)1也 圖S家周辺の美化 S4生│づ・?包 lコ44非句 □3まS禍l・1喫蓼霧 四21奸り癩氏 ロ2ゲー/、 sl石吏筆 E11弓≡1・ 圖1輿里髪・美1自l SI摩庸享巾白勺ケア ロ1 ・n・里董李痢垣】 ゜lj蜀IZIα)i武言舌 中jき 前期 後期 高齢者ボランティアの経験一南地区 心

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第五、章 三、つの政治文化−ボランティアを進める政治・社会的文化 南地区 若年12 中年45 中老52 前期23 後期33

│ΞZZΞl

東地区 若年10 中年30 中老36 前期16 西地区 若年17 中年41 中老54 前期30 後期18    − ロまったく関心なし Iあまり関心なし ロある程度関心 ●非常に関心あり

「霖m77n

EIZココ

% 48% 50% 42%・,44% 39% 後期 a 前 期 E中老 ﹄中年 a 若年 3 r7]サこF Lji■6s‘ 13゛・l 56% 4・ 54%ぐ4S 1 % 13% 中中前後 年老期期 若年 後期 南地区 東地区    n。s ポランティア関心      n。S。 表5 −10 24%44=ぷi2∴……… 葦UU n。s.  西地区 も異なる形をしている。第一に、全体の量で言え ば明らかに南地区が一番多い。次に西地区、そし て東地区と  第二に、 いう順香になるだろう。 どの年飴層に偏っているかとい ふノこと では、西地区は中老以上、東地区は中年、南地区 は中年中老で低下するもののほぼ全年齢層にわ たってボランティアが盛んである。更に、高齢者 ボランティア種別という問題もあり、どの地区に どのようなボランティア盛んであり、どのボラン ティアが不足しているか、どのようなボランティ ア器具が足りないのか、講師は必要か、などなど 様々な問題があり、自治体への提言に有用である が、今回のテーマとはずれるので割愛する。  高齢者ボランティア総量の違いからいって、何 がいえるのか。  第一に、都市型高齢者ボランティアの自治的性 格の強まりである。西地区だけではないが、調査 硲

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には殆ど元気な高齢者が関与しており、地区では後期高齢期といえども前期におとらず関与して いる。自治的というゆえんは、非高齢者の関与が少ないことである。  第二に、農村型高齢者ボランティアの全コミュニティ関与的性格の強まりである。南地区に典 型的に見られるのだが、中年中老は仕事・子育て等で多忙であるのは分かるが、むしろ二〇歳代 の若いグループに関与が﹁すごい﹂面が見られる。逆に、後期高齢期になるとかなり衰える人も いて関与が衰退するが、それでも三つの地域社会の中では西地区と並ぶほどである。  第三に、中老以上殆ど関与がなくただ中年のみが細々と関与を継続させている東地区の存在は 異常である。この地区に高齢者ボランティアの条件がないのか、二つの特養の存在により関与意 欲を阻喪させられてしまったのか、これは今後の調査課題である。  ︵二︶ボランティアと政治  従属変数を決めておこう。現在の事実ではなく、これからやろうとするボランティアに対する 準備状態と、それに回帰させる変数の決定である。  ボランティアの準備状態としては、﹁ボランティアに対して関心がありますか﹂と聞いた質問 を取り上げた。同質問は、高齢者ボランティアに特定せずにデフューズなボランティアについ て、現在関心があってやっているものも、将来関心が持てる可能性があるものも、聞いたもので ある。 碍

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第五章 三、つの政治文化−ボランティアを進める政治・・社会的文化 表5−11 西地区 東地区 南地区 r2 0.1 0.1 O。2 ボランティア奉仕日-2値 *0.2 (-0.1) **0.3 演説会・報告会一連続 *0.3 *0.3 *0.23 *=p<0,05 ¨=p<0,01 ( )=有意性なし。  独立変数は、政治集会参加、高齢者ボランティアの経験である。  仮説としては、政治集会参加と高齢者ボランティアを経験したもの は、ボランティアー般に対する関心も高めるし、今一層ボランティア ヘの意志を強める。特に、中老以降には顕著に現れる。  今一度従属変数の特性を見ておこう。﹁表5110 ボランティア関 心﹂によると、西地区と南地区はこれまで都市型と農村型としてみ てきた変数の上下を示す。再説すると、西地区では若年で低く、高 齢者で後期も含め高く、南地区では若−中年1中老︱前期高齢期で たかく、後期高齢期で低い。問題は東地区であり、﹁関心﹂は若年の 三〇%から後期高齢期の七一%まで有屑上がりに伸びきっている点に ある。  結果は、ほぼ仮説通り、中高年における社会参加と政治参加がボラ ンティアに重要な役割を果たすことを示している︵表5−H︶。ただ 容易に予想されたことであるが、束地区の高齢者ボランティアがなんの役割りも果たしていない ことである。それでも、政治集会の効果は厳然としてあり、これは﹁おわりに﹂で議論すること にしよう。 硲

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 おわりに  本論では、三つの地域社会における政治文化の違いと、ぞれが持ちうるそれぞれの高齢社会ヘ の将来への対処の見取り回が描けたと思う。本稿での結果をまとめておこう︵直接テキストで取 り上げていない内容も含む︶。  第一に、政治的態度の違いで、政治集会に対する参加では、五〇歳以上で活発な西地区、高齢 者で不活発になる束地区、大体全ての年齢層で活発な南地区ということになるであろう。また、 ﹁保守−革新﹂意識では都市部と農村部の違いを見せる。西地区では、保守の強化が進み、対照 的に南地区では保守の内訳は中年で完成するとともに﹁革新﹂系の後退も顕著である。一貫票で は、束地区と南地区の後期高齢者は超高齢期の有屑上がりを示しておりその意昧では発展途上で ある。西地区の後期高齢者は前期高齢者と同じという意昧で既に超高齢期がなくなっていること を示した。候補者に対する見方では、﹁地元か国か﹂では﹁地元﹂組が都市部の西地区に少なく、 農村部の南地区に多いというのが観察されたし、﹁党か人か﹂では西地区で﹁党﹂重視の傾向が あり、南地区では﹁人﹂重視の傾向を強めるT万、東地区の後期高齢者が﹁どちらでもない﹂と する超高齢型政治意識を示す。  第二に、地域社会等に対する信頼では、西地区の高齢者の人々は個人主義的でありながら活発 にボランティア活動に打ち込み、南地区の人々は集団主義の価値規範を持ちながらも西地区に劣 硲

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第五、章 三つの政治文化−ボランティアを進める政治・社、会的文化 らず活発にボランティアにかかわるが、東地区の人々は、南地区と同じく集団主義ではあるが、 ボランティアのような特定的な社会活動はまったくやらない。また、生活・政治満足では、東地 区で高齢期での不満がかなり高いし、これは政治満足に連続し政治不満派が極めて多いのが目 立った。国政信頼では、国政よりも地方の政治への信頼が強いし、農村部になるほどこの傾向は 強化される傾向を示す全体的傾向に東地区も足並みを揃える。不満はあれど不信ではないという ことか。  第三に、現実に実践している高齢者ボランティアに焦点を当てると、都市型高齢者ボランティ アの自治的性格の強まり、農村型高齢者ボランティアの全コミュニティ関与的性格の強まり、異 常な中老以上殆ど関与がなくただ中年のみが細々と関与を継続させている束地区の存在が明らか になった。  最後に、政治集会参加と高齢者ボランティアを経験したものは、ボランティアー般に対する関 心も高めるし、今一層ボランティアヘの意志を強めるということが観察された。ただ東地区で政 治集会のみしか影響を及ぼさなかった点は、ボランティアヘの道筋がか細いながらも描けている が、政治参加だけではあまりに弱い。一番大きな原因は、高齢者ボランティアの実数が少なかっ たことにあるが、高齢者のボランティアヘの関心も高く、かつ政治不満も高く、かなり豊かな退 職・引退者たちがなぜ現実の高齢者ボランティアを少なくしかやらないのか、地域で考えていく ぺき課題である。 ∂Z

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 現状では、都市部も、農村部も、あるいは、その中間に存在するコミュニティも、それぞれの 硲

課題を持ちながらも、ボランティアに対する実際の行動をしめし、またぞの意欲を持ち始めたと

いえる。三木町に内包する異なる三つの政治文化に対して、中高年における政治集会という共通

する文化が追加されたことは、高齢社会に対処する処方施の発展に対し大きな期待を与えるだろ

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