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相続人の居住用または事業用の宅地については2 割または5 割評価にするという小規模宅地等の評価減の特例があるが 平成 22 年度税制改正により 原則として申告期限まで居住または事業を継続していなければ適用が認められなくなっている 今回 基礎控除額が引き下げられることと合わせ 都市部の独居老人が亡くな

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Academic year: 2021

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25 共済総研レポート 2011.4

1.相続税の基礎控除の引下げ

 改正の趣旨 相続税の基礎控除は、バブル期の地価急騰 に対応して引き上げられてきたが、その後、 地価は下落を続けているにもかかわらず、基 礎控除の水準は据え置かれている。そのため、 死亡者数に対する相続税の課税件数の割合が 4%程度に低下しており、相続税の再分配機 能が低下している。 地価動向等を踏まえた基礎控除の水準調整 を図り、相続税の再分配機能を回復し、格差 の固定化を防止する。  改正の内容 相続税は、課税価格の合計額(簡単にいう とすべての相続人等が取得する遺産の総額) から基礎控除額を控除して算出される。よっ て、課税価格の合計額が基礎控除額以下であ れば、相続税は課税されない。 この基礎控除額が次のとおり引き下げられ る。 改正前 改正後 5,000万円+ 1,000万円× 法定相続人の数 3,000万円+ 600万円× 法定相続人の数 (注)1.法定相続人の数は、相続の放棄があった場合 には、その放棄がなかったものとして数える。 また、法定相続人の数に含めることができる養 子の数には制限がある。 2.課税価格の合計額が基礎控除額を超える場合 でも、配偶者の税額軽減等の適用により納付税 額がない場合もある。 3.死亡共済金にかかる非課税金額の算式と異な り、「法定相続人の数」にかかる法定相続人の範 囲については改正されない。  具体例 例えば、相続人が妻と2人の子の場合は法 定相続人の数は3人となるので、改正前後の 基礎控除額は次のとおり計算される。 改正前 改正後 5,000万円+ 1,000万円×3人 =8,000万円 3,000万円+ 600万円×3人 =4,800万円  適用時期 平成23年4月1日以後の相続または遺贈に より取得する財産にかかる相続税から適用す る。  改正の影響 ① 課税ベースの拡大 の例の場合、改正前は、課税価格の合計 額が8,000万円以下であれば相続税の心配は なかったが、改正後は、4,800万円を超えると 原則として相続税が課税されることになる。 政府税制調査会資料によれば、基礎控除額 の引下げにより、死亡者数に対する相続税の 課税件数の割合は4%から6%程度に上昇す るとされている。 なお、相続税の課税価格を計算する際、被

平成23年度税制改正(相続税関係)のポイント

JA共済連 全国本部 普及部

吉川 厚

本稿では、平成23年度税制改正のうち、共済契約に関係する相続税の改正とその影響について 見ていく。内容については政府税制調査会の税制改正大綱にもとづいているが、現時点(3/28) では詳細が明らかになっていない点があること、また、東日本大震災等の影響により、税制改正 法案自体が成立しないおそれもあることについて、ご留意いただきたい。なお、文中、意見にか かる部分は私見であることを申し添える。

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26 共済総研レポート 2011.4 相続人の居住用または事業用の宅地について は2割または5割評価にするという小規模宅 地等の評価減の特例があるが、平成22年度税 制改正により、原則として申告期限まで居住 または事業を継続していなければ適用が認め られなくなっている。今回、基礎控除額が引 き下げられることと合わせ、都市部の独居老 人が亡くなったような場合には、相続税の課 税が発生するケースが増えるのではないかと 思われる。 ② 税負担の増加 課税価格の合計額が基礎控除額を超えて、 相続税が課税される場合には、この改正によ り税負担が増加することになる。 (例)相続人が妻と2人の子、課税価格の合 計額が2億円の場合の相続税額 改正前 改正後 950万円 1,350万円 (注)1.相続人が相続分どおり財産を取得するものと して計算している。 2.妻について配偶者の税額軽減を適用している。

2.相続税の税率構造の見直し

 改正の趣旨 相続税の基礎控除額の引下げと合わせて、 税率構造の見直しを図ることにより、相続税 の再分配機能を回復し、格差の固定化を防止 する。  改正の内容 取得金額のうち1億円超にかかる部分の税 率が細分化され、最高税率が55%に引き上げ られる。(相続税の速算表参照)。  適用時期 平成23年4月1日以後の相続または遺贈に より取得する財産にかかる相続税から適用す る。 <相続税の速算表> 改正前 改正後 法定相続分に応ずる取得金額 税率 速算控除額 法定相続分に応ずる取得金額 税率 速算控除額 1,000万円以下 10% - 1,000万円以下 10% - 1,000万円超 3,000万円以下 15% 50万円 1,000万円超 3,000万円以下 15% 50万円 3,000万円超 5,000万円以下 20% 200万円 3,000万円超 5,000万円以下 20% 200万円 5,000万円超 1億円以下 30% 700万円 5,000万円超 1億円以下 30% 700万円 1億円超 3億円以下 40% 1,700万円 1億円超 2億円以下 40% 1,700万円 3億円超 50% 4,700万円 2億円超 3億円以下 45% 2,700万円 3億円超 6億円以下 50% 4,200万円 6億円超 55% 7,200万円 (注) 相続税額=法定相続分に応ずる取得金額×税率-速算控除額

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27 共済総研レポート 2011.4

3.死亡共済(保険)金の非課税措置

の見直し

 改正の趣旨 死亡共済(保険)金の非課税措置について は、「相続人の生活安定」という制度趣旨を徹 底するとともに、他の金融商品との間の課税 の中立性確保の要請等を踏まえ、算定の基礎 となる法定相続人の範囲を縮減する。  改正の内容 次の契約形態で受け取る死亡共済金は、み なし相続財産として相続税の課税対象にな る。 契約者 (掛金負担者) 被共済者 死亡共済金 受取人 A A B 死亡共済金受取人Bが相続人の場合は、死 亡共済金のうち次の金額まで相続税が非課税 になるが、改正により「法定相続人の数」に かかる法定相続人の範囲が限定される。 改正前 改正後 500万円× 法定相続人の数 500万円×法定相続人(未 成年者、障害者または相 続開始直前に被相続人と 生計を一にしていた者に 限る)の数 (注)1.法定相続人の数は、相続の放棄があった場合 には、その放棄がなかったものとして数える。 また、法定相続人の数に含めることができる養 子の数には制限がある。 2.複数契約から死亡共済(保険)金が支払われた 場合でも、契約ごとにこの金額が非課税になるわ けではなく、相続人が受け取った死亡共済(保険) 金の合計額に対してこの金額が非課税になる。  具体例 (例)妻と長男は被相続人と生計を一にして いたが、長女は別生計の場合の非課税金額 (長女は未成年者および障害者ではない) 改正前 改正後 500万円×3人 =1,500万円 500万円×2人 =1,000万円  適用時期 平成23年4月1日以後の相続または遺贈に より取得する財産にかかる相続税から適用す る。  改正の影響 死亡共済(保険)金の非課税措置の見直し は、会計検査院の「死亡保険金の非課税措置 については、高所得者も適用しており、節税 目的と思料されるものも見受けられる」(政 府税制調査会資料より引用)との指摘がきっ かけになったとみられる。確かに、相続人の 生活安定という本来の趣旨よりは、資産家の 節税目的に活用されているという実態にある と思われる。 改正にかかる留意点は次のとおりである。 ① 生計を一にしていた者 生計を一にしていた者とは、法案成立後に 税務当局の見解が示されると思われるが、現 時点では不明である。なお、所得税基本通達 には次のとおり定められているが、規定の目 的が異なるため、相続税の取扱いも同様にな るとは限らない。 所得税基本通達2-47 法に規定する「生計を一にする」とは、必ずし も同一の家屋に起居していることをいうもので はないから、次のような場合には、それぞれ次に よる。  勤務、修学、療養等の都合上他の親族と日常 の起居を共にしていない親族がいる場合であ っても、次に掲げる場合に該当するときは、こ れらの親族は生計を一にするものとする。 イ 当該他の親族と日常の起居を共にしてい ない親族が、勤務、修学等の余暇には当該他 の親族のもとで起居を共にすることを常例 としている場合 ロ これらの親族間において、常に生活費、学 資金、療養費等の送金が行われている場合  親族が同一の家屋に起居している場合には、 明らかに互いに独立した生活を営んでいると 認められる場合を除き、これらの親族は生計を 一にするものとする。

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28 共済総研レポート 2011.4 ② 相続開始時点の相続人の状況 法定相続人の数にかかる法定相続人の範囲 が限定されるため、相続の開始時点における 相続人の状況により、非課税金額が変わるこ とになる。現在は、親と子が生計を一にして いたとしても、親が亡くなる直前に生計を一 にしていなければ、非課税金額の基礎となる 法定相続人の数に数えることができない。子 が未成年の場合も同様で、成人して生計が別 になれば、法定相続人の数に数えることがで きなくなる。 ③ 既契約の取扱い 共済契約の契約日が平成23年4月1日前で あっても、死亡が同日以後であれば、改正後 の取扱いとなる。節税目的で共済に加入して いる場合は、改正後においても「法定相続人 の数」にかかる法定相続人の要件に該当して いるかどうか、確認してみる必要がある。 ④ 生計を一にしていない相続人が受け取っ た死亡共済金の取扱い 生計を一にしているかどうかが問題になる のは、非課税金額を計算する上での「法定相 続人の数」にかかる法定相続人についてであ る。受け取った死亡共済金が非課税の適用を 受けられるかどうかについては、死亡共済金 受取人が民法に規定する相続人であればよい。 前頁3の例の場合、生計を別にしている 長女が死亡共済金受取人だとしても、死亡共 済金のうち1,000万円は相続税が非課税にな る。

4.未成年者控除および障害者控除の

引上げ

 改正の趣旨 未成年者控除・障害者控除については、控 除額が長年にわたって据え置かれてきてお り、物価動向や今般の相続税の基礎控除等の 見直しを踏まえ、引き上げる。  改正の内容 ① 未成年者控除 改正前 改正後 6万円×(20歳- 相続開始時の年齢) 10万円×(20歳- 相続開始時の年齢) ② 障害者控除 改正前 改正後 6万円×(85歳- 相続開始時の年齢) 10万円×(85歳- 相続開始時の年齢) 特別障害者 12万円×(85歳- 相続開始時の年齢) 特別障害者 20万円×(85歳- 相続開始時の年齢)

5.相続時精算課税制度の適用要件の

見直し

 改正の趣旨 高齢者の保有資産の若年世代への早期移転 を促し、消費拡大や経済活性化を図る。  改正の内容 ① 制度の概要 生前贈与については、贈与を受けた年に110 万円の基礎控除を超える部分について贈与税 を課税する暦年課税制度のほか、一定の要件 に該当する場合には贈与税を課税せず、相続 時に精算するという相続時精算課税制度を選 択できる。 相続時精算課税制度については、65歳以上 の親から20歳以上の子が贈与を受ける場合に 選択することができ、通算で2,500万円までの 贈与については贈与税を課税せず、それを超 える部分の金額については一律20%の税率で 贈与税を課税し、相続時にその受贈財産と相 続財産を合計した価額をもとに相続税を課税 する。納付した贈与税については相続税額か ら控除することができる。

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29 共済総研レポート 2011.4 ② 改正の内容 ア.受贈者の範囲 現行の受贈者の範囲は20歳以上の子である が、これに20歳以上の孫を追加する。 イ.贈与者の年齢要件 贈与者の年齢要件を、65歳以上から60歳以 上に引き下げる。  適用時期 原則として、平成23年1月1日以後の贈与 により取得する財産にかかる贈与税について 適用する。 ③ 各人ごとの納付税額の計算 ア.各人の算出税額の計算 相続税の総額を各人の取得割 合であん分 イ.各人の納付税額の計算 課税価格 長男 9,000万円 (3/10) 課税価格 妻 15,000万円 (1/2) ① 各人ごとの課税価格の合計の計算 被相続人の相続人は、生計一の妻と長男、 生計別の長女。次のとおり財産を取得。 死亡共済金の非課税金額 500万円×生計一の法定相続人の数 (2人)=1,000万円。 ゆえに全額非課税。 死亡共済金 1,000万円 課税価格 長女 6,000万円 (2/10) (注) 基礎控除額等を計算する際の法定 相続人の数は、相続の放棄があって もないものとして数え、また、法定 相続人の数に含めることができる養 子の数には制限がある。 <参考>相続税の計算方法(改正後) 長女 (e)× 2/10= 1,144万円 基礎控除額=3,000万円+ 600万円×法定相続人の数 (3人)=4,800万円 ② 相続税の総額の計算 ア.基礎控除額の差し引き イ.法定相続分で仮に分割 ウ.速算表で仮の税額計算 個人の納付税額ではない エ.相続税の総額の計算 長男 (a)×1/4= 6,300万円 長女 (a)×1/4= 6,300万円 妻 (a)×1/2= 12,600万円 1,190万円 (c) 1,190万円 (d) (b)+(c)+(d)=5,720万円(e) 妻 (e)×1/2=2,860 万円 税額軽減額 △2,860万円 納付 税額 3,340万円(b) 長男 (e)× 3/10= 1,716万円 納付 配偶者の課税価格が法定相 続分または16,000万円以下 なら納付税額なし。 課税遺産総額= 30,000万円-4,800万円 =25,200万円(a)

参照

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