1.電気をエネルギーとして実感させる
本単元では、電気を自分たちで生み出し、それを貯めたり使ったりする活動を通し、さらに日常生
活の中で電気の果たす役割と重ね合わせていくことにより、電気エネルギーの有用性と共にその大切
さを感じ、電気を自分たちの財産として捉えられるようにすることをねらっている。
子どもたちの身の回りには、多くの電子機器や電化製品があり、それらの利便性を享受しながら生
活している。その源は、発電や蓄電による電気である。その過程を実際に目の前の事実で見て、自分
の手で電気をつくり出すことで実感させたい。
このような学習により、運動エネルギーや光エネルギーが電気エネルギーに変換されることや、そ
のエネルギーを保存できるという見方や考え方が養われると共に、電気の利用の仕方を考えた生活が
できるようになると考えている。
2.「発電・蓄電」の教材性
子どもたちは、これまで電気回路の見方や直列・並列のつなぎ方の違いによる電流量の違い、電流
の向きなど、電気の基礎的な内容について学んできた。
ここでは,さらに磁力とコイル、光電池を用いて電流を生成し、さらにコンデンサによる蓄電につ
いての量的変化を,その条件制御しながら調べ,計画的に追究する能力を育てていきたい。
子どもにとって、これまでは電気と磁石はそれぞれ別個のものという素朴概念をもっている。しか
し、この学習により磁石とコイルを用いて運動させることで電流を生み出すことができることを学習
し、両者の関係性の不思議さを知らせたい。
光電池については、光エネルギーを電気エネルギーへと変換させるものであるが、生み出された電
気が豆電球等の点灯などで再度光に変換したりモーターを回す運動エネルギーへと変換していくとい
うエネルギー循環の見方の素地を培いたいと考えている。
3.「おや」「なぜ」を生み出す授業
単元の導入部分で、災害用ラジオ・ライトでの手回し発電機を取り上げ、発電機の仕組みを調べて
みたいという意識を引き出したい。そして、子どもは、コイルと磁石の存在、さらにはコイルを回転
させることで電流が生まれることを見つけていく。これまで別々のものとして学習してきた磁石と電
気が、互いに関係し合うことで、新たな事象が起こっているのである。子どもたちは、このことに不
思議さを感じ、追究の原動力となっていくと考えている。
追究の過程では、分かったこと(はっきり言えること)と曖昧なこと(はっきり言えないこと)を
確認し、次の追究すべきことを明確にするようにする。これにより、子どもの意識が連続し追究を深
めていくことができるのである。
6年
理科
「電気の利用」
電気の基本的な性質や規則性を学習してきた
子どもたち。ここでは、電気を生み出すことと
貯めて使うことについて学習しエネルギー変換
と保存の見方や考え方を育みます。
■「電気の利用」
(12時間)
主な学習活動
指導上のポイント
【第1次 電気をつくろう(4)】
○発電したり蓄電したりした電気が生活の中で生
かされていることに気づかせ意識を向けていく。
○静電気や交流電流、蓄電池についての気づきも
出てくることが考えられるが、ここでは扱わな
・災害用ラジオ ・公園の時計 ・充電池 い。
・水力発電 ・電卓 ・バッテリー
・自転車のライト
・たくさん回すと電流がたくさん流れるね ○災害用ラジオなどの実物を提示する
・中を調べてみたいな
・コイルや磁石 ○手回し発電機を使って電流を流したり中の仕組
・中にモーターのよ も 入 っ て い みを調べることから、コイルと磁石で電流を作
うな物が入ってい て 回 転 す る ることができそうだという見通しをもたせる。
て回転するんだ ようだ
○モーターを工夫して回転させることからその大
・モーターを回転させると電流計が動いた 変さを感じ、手回し発電機のよさに気づかせ、
・モーターは電流で動くけれど、電流を作ること さらに蓄電の必要感をもたせたい。
もできるんだ
・自転車のライトや水力発電もこの方法で電気を
作っていたんだ
・ずっと回し続けないといけなくて不便だよ
・災害用ラジオや公園の時計は電気をためて使っ
ているはずだよ ○市販の災害用懐中電灯(発電式)を提示しても
よい。
コイルと磁石で電気を作ることができるんだ。
これをためることができると便利に使えるよ。
【第2次 電気をためよう(4)】 ○コンデンサの提示
・公園の時計にはコンデンサという物が使われて ○コンデンサに電気を貯めて豆電球を点灯させた
いるんだって り、モーターを回転させたりなど、条件を変え
て調べる。
<光電池> <手回し発電機> ○さらに、コンデンサに流れる電流やコンデンサ
蓄えられるけれど から放電される電流を電流計
すぐに消えてしま で測定することも考えられる。
うね…
これまで学習した乾電池や交流電流の他に
電気(電流)の働きで動いたり働いたりす
るものを調べよう。
手回し発電機ってどんな仕組みなのかな
モーターで電流を作ることが
できるのだろうか
コンデンサに電気をためて働かせてみよう
主な学習活動
指導上のポイント
○「たくさんの電気を使えるようにしたいという
子どもたちの願いをもとに、コンデンサおよび
強い光で 速く回して 光電池を使って様々な工夫ができるようにし、
発電量と放電量の規則性をとえられるようにし
直列につないで たい。
時間を長く 多く回して ○電流計を用いて、ある程度定量的に発電された
電流量と放電された電流量を条件を変えながら
計画的に調べられるようにする。
方法によって、発電される電流量が違う。たく
さん発電するほどたまるが、限界もあるようだ。 ○光電池と手回し発電機の各条件による結果を比
較し、関係づけながら結論を導き出すようにす
【第3次 電気の消費(4)】 る。
○豆電球、モーターの他、発光ダイオード(LED)、
・電子オルゴールやダイオードは長持ちするが、 電子オルゴール、携帯ラジオに電流を流して働
モーターや電球は短時間で電気を使ってしまう かせてみることから、使う物による消費量につ
・LEDを使うと節電になるよ。信号も… いて気づかせたい。
・使う物(働かせる物)によって、消費する電気
が違うんだ ○災害用懐中電灯(発電型)の、豆電球を使用し
・家でも、電気ストーブやエアコンは電気をたく た物とLEDを使用した物で点灯時間を比較する
さん使うって聞いたことがある などして、実感的にとらえられるようにしたい。
温度が高くなるものは、たくさん電気を使うん ○発電-蓄電-放電の一連の流れから、エネルギ
だ。せっかく発電した電気を大切に使いたいね。 ーの変換と保存について気づかせたい。
・すごく熱くなる物とそうでない物があるね。 ○変える条件と変えない条件の条件制御をしっか
りおさえ、グラフ化するなどして電流の強さと
導線の太さとの関係をとらえさせ、電気のエネ
電流の強さ 導線の太さ 時間の長さ ルギーが熱に変換されていることに気づかせる。
・電流が強い ・磁力が限界に ・時間を延ばし
と速く熱く なると電流は ても電流が弱 ○水の温まり方やロウのとけ方などにより、発熱
なる 熱になる いとだめだ の仕方を調べる。
電磁石で磁力にならない電流は熱になる。電流
を強くするほど発熱量は多くなる。
○ドライヤー、電熱器、発泡スチロールカッター、
発熱のはたらきを利用した物を調べよう。 アイロン、電気ストーブ等を調べ、ニクロム線
が利用されていることをとらえるとともに、そ
れらは消費電力が大きいことにも気づかせたい。
もっとたくさんためるには?
蓄えた電気を使ってみよう
発熱は何に関係しているのかな
■授業例
◆授業のねらい
光電池や手回し発電機を使ってコンデンサに多くの電気をためるための条件を変えて発電量や放電
量を調べることから、蓄えられた電気について推論することができる。
主な学習活動
指導上のポイント
○手回し発電機でコ
ンデンサに電気を
コンデンサ 手回し発電機 貯めて電子オルゴ
ールとモーターで
使える時間や電流
量を調べる。
電子オルゴール モーター
使える時間が違うね ○電子オルゴールは
電流量が違うのかな? 少ない電流で長い
時間使うことがで
電子オルゴールが長く使えるのは使われ きることをとらえ
る電流量が小さいからだったんだ。 る。
音を鳴らすことは、物を動かすことより使われる電流が
小さく長持ちするんだ
○同じ働き(明かり)
をするLEDと豆
電球で使える時間
を比べ、その違い
LEDはとても長持ち 豆電球はすぐに から電流量を調べ
するんだね。 消えてしまうよ。 ていく。
LEDは流れる電流が 豆電球はいっきにたくさん
とても小さいんだ。 電流が流れるんだね。 ○LEDが普及して
だからLEDが信号や懐中電灯に使われる いくことについて
ようになったんだよ! 消費電力から考え
られるようにする。
●前時まで
光電池と手回し発電機を使って、コンデンサに電気を貯めてみた。
思ったよりも豆電球が点灯する時間が短かった。そして、他の物
ではどれ位使えるのか試してみたいという意識が生まれてきた。
コンデンサに貯めた電気を使ってみよう
LEDは少ない電流で明かりをつけることができ
るんだ。とても省エネルギーなものなんだね。
明かりになるLEDと豆電球は使える
時間は同じなのかな?
■発展的な学習のアイディア
主な学習活動
指導上のポイント
○自転車のダイナモを使い、電化製品を稼働させ
自分の体力を使って発電する。
○ラジカセ、高出力の懐中電灯、レーシングカー ・息が切れ、汗が出てくるなどから、強い電気を
などの使用が考えられる。 生み出すためには多くのエネルギーが必要なこ
とを実感としてとらえさせたい。
主な学習活動
指導上のポイント
○清掃工場、藻岩ダムなどの現地学習などで、発
電所の仕組みを調べる。
・大きな電流を生成する発電の仕組みも、基本的
○発電のためには、蒸気や水力でタービンを回転 な仕組みとして、磁石とコイルを用いて運動エ
させていること、大きなコイルと磁石を用いて、 ネルギーを電気エネルギーに変換することで発
学習したことと同様の原理で発電していること 電していることをとらえられるようにする。
を調べる。また、風力発電について取り上げる ・モーターの回転による電流の生成ということで
ことも考えられる。 学習を展開してもよい。
主な学習活動
指導上のポイント
○白熱灯の電球と蛍光灯の電球の耐用日数を調べ
る。 ・高価な蛍光灯の電球と廉価な白熱灯、どちらを
買うのがお得か話し合うことから導入したい。
○値段の安い白熱灯の電球と、高価な蛍光灯を用
いた電球、耐用日数と共に周囲の温度、明るさ ・双方の価格と消費電力(電気代)を比べる必要
などを調べる。蛍光灯は長持ちし、周囲の温度 感をもたせて追究させたい。
も白熱灯に比べて低いことをとらえ、エネルギ
ー効率に優れていることに気づかせたい。
◆体験!電気をつくろう(1時間)
◆発電所の仕組みを調べよう(
2時間)
◆節電するために(
2時間)