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運動発達を評価することの意義

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運動発達を評価することの意義 213  成長に伴い変化する基本運動の状態を運動発達と呼び,おも に静的および動的姿勢の安定性の成熟過程といえる。人の動作 を見る場合,四肢先端に注目しがちだが姿勢の安定なしに,四 肢を操作することはできない。人が姿勢を保つには数十の骨格 筋が活動し関節を安定させる必要がある。姿勢保持は静止した 状態の維持ではなく,変わり続ける状態への対応の結果であ る。常に転倒を回避するために全身の骨格筋が協調して活動し ている。この協調した筋活動は非常に複雑で,意識下の反応機 構が不可欠であり,これが姿勢制御機構である。姿勢制御機構 の成熟と粗大運動発達は表裏の関係にあり,粗大運動発達は無 意識下で姿勢コントロールが可能となる過程といえる。運動発 達評価は同月齢の大多数児と比較のうえで評価が行われる。  人は未成熟の状態で生まれ,成長に伴い機能が完成されてい く。出生時立位保持も座位保持も自力では行えず,安定して頭 部を空間に保持することすらできない。通常約 1 年で歩行可能 な段階へと変化する。このために状態がきわめて重度なものを 除き,早期に障害の有無を判断することは困難である。運動発 達の状態が平均的であるか,遅れているかは障害レベルを判断 する指標となる。同時に治療の効果の判定も行われる。運動発 達の過程を知ることは,小児分野において,障害の程度を知り, 治療プログラム立案のために欠くことができない。  また小児の評価においては,健常児であっても発達の到達レ ベルとスピードが個々に異なることを充分理解する必要があ る。また疾患により標準月齢から逸脱したものに関しては,障 害の過程で大きく差が生じ,将来像もまったく異なるものと なってしまう。このために発達段階での介入はその効果を示す 場合,対象児の予後の予測が必要である。  一つひとつの運動,姿勢制御はある日完全な形で現れるわけ ではない。日々の経験の中で形成され,徐々に強固なものへと 成熟する。例として定頸はどのような姿勢であっても,安定し て頸部を床に対して垂直に支えられることを意味している。頭 部コントロールは突然可能となるわけではなく,生後 2 ヵ月頃 から表れ,8 ヵ月をかけて完成する1)。  報告では背臥位と腹臥位における頭部コントロールの状態を 計測すると月齢と安定化の変化を確認継時的に確認している。 背臥位から上体を引き上げたときに頭部と体幹を直線的に保持 可能な角度と,腹臥位で頭部を挙上可能な角度について調査し ている。どちらも頭部のコントロールが月齢 2 ヵ月頃から徐々 に表れ,7 ヵ月頃に完成する様子が観察された。 具体的な評価方法  以下に示すのは運動発達評価に有用な尺度である。これらは 正常発達を基に作成されている。研究者により多少の月齢の差 がみられる。 1. デンバー式発スクリーニング検査(Denver Dvelopmental Screening Test)2)  一定の月齢幅をもたせて参考値を示している。これは運動発 達の実情を反映したものといえる。 2.Bobath による「乳児の運動発達表」3)  姿勢毎に運動発達が詳細に示されており,評価に有用である。 3.Gross Motor Function Measure(GMFM)4)

 Gross Motor Function Measure(GMFM)は,動作が可能 か否かでしか表せない項目が,段階的にその程度を記録するこ とが可能となっている。

4. 粗大運動能力分類システム:Gross Motor Function Clas-sifi cation System(GMFCS)

 脳性まひ児のための粗大運動能力尺度である5)。座位(体幹 のコントロール)および歩行に重点をおいた,粗大運動能力分 類システムであり,脳性まひを 5 つのレベルに分類する。 姿勢反射  姿勢反射は様々な反射・反応を含む広い概念である。この中 に原始反射,立ち直り反応,平衡反応が含まれる。

 原始反射(primitive refl ex)は,出生後早期に出現し,やが て表面的には観察されなくなる反射である。一定の時期がくる とより高いレベルの反射によって統合され,反射は抑制され観 察され難くなる。  立ち直り反応(righting reaction)は,空間において頭部を 正常な位置に保つように反応する。人の場合頭部の正しい位置 とは垂直となり口裂が水平となる状態であり,反応は視覚,迷 路,固有感覚等様々な感覚器官からの刺激により起こるとされ ている。この反応が欠如すると空間で頭部を垂直に保つことが できない。

 平衡反応(equilibrium reactions in standing position)は, 座位,立位などにおいてバランスが崩れたときに,姿勢保持の ために反応する。バランスが崩れたときに,肢位を変化させる ことで,基底面外に重心線が外れることを妨げ,これにより転 理学療法学 第 41 巻第 4 号 213 ∼ 216 頁(2014 年)

運動発達を評価することの意義

新 田   收

**

スタンダードセミナー

Meaning of Evaluating Movement Development **

首都大学東京大学院 教授

(〒 116‒8551 東京都荒川区東尾久 7‒2‒10) Osamu Nitta, PT, PhD: Tokyo Metropolitan University キーワード:運動発達,姿勢反射,発達障害

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理学療法学 第 41 巻第 4 号 214 倒を防ぐ反応と定義される。  脳性まひにおける異常は,姿勢反射協調性の崩れが原因と なっている。特に原始反射が一定期間を過ぎても強く観察され る場合,本来出現するはずの立ち直り反応,平衡反応の成熟を 妨げることとなってしまう。Milani-Comparetii6)は姿勢運動 発達検査表のなかで,各姿勢反射の関係を説明している。  姿勢反射の異常は陽性徴候と陰性徴候によって説明される。 神 経 徴 候 は 陽 性 徴 候(positive sign) と 陰 性 徴 候(negative sign)に分けられる。前者は正常では観察されない現象の出現, 後者は正常で観察される現象の消失である。陰性徴候は病変部 位の機能障害によって生じたと仮定される。一方,陽性徴候は, 上位中枢が損傷をうけた場合,損傷をまぬがれた部位(下位中 枢)の活動が上位中枢の抑制から解放されて強くなった現れで あり,解放現象(release phenomenon)と呼ばれる。たとえ ば月齢 8 ヵ月で非対称性緊張性頸反射陽性であれば陽性兆候と 解釈され,月齢 12 ヵ月で立ち直り反応陰性であれば,陰性兆 候とされる。これらはどちらも異常さを示すサインであり,脳 性まひが疑われる。  姿勢反射の評価は運動発達を知るうえで重要である。姿勢反 射の評価方法に関して多くの書籍では①肢位,②刺激,③反応 という形で示されている。これは典型的な刺激と反応のパター ンであるが,臨床においてこのような典型的な反応が観察され ることはほとんどない。運動発達に関して前述したが,変化は ある日突然現れるわけではない。あいまいな変化が現れ,これ があきらかな違いへと変化していく。このことは姿勢反射でも 同様である。このことをふまえ姿勢・運動の中にある異常さを 観察する必要がある。  図 1 に示したのは 14 歳脳性まひ児の四つ這いである。起立・ 立位保持はできない。四つ這い時極端に頭部を後屈しているこ とがわかる。動作を観察すると四つ這い位をとるときは常に頭 部を後屈している。こうした現象は上肢伸展力を補完する目的 で,対称性緊張性頸反射を利用していることが疑われる。対称 性緊張性頸反射は教科書的には頭部後屈すると上肢伸展,下肢 屈曲位,頭部前屈すると上肢屈曲,下肢伸展すると述べられて いる。ただしこの反応は除脳猫による実験で観察されたもの で,人の反応としては下肢の反応ははっきりとはしない。図に 示した脳性まひ児は上肢伸展筋力を補う目的で原始反射を利用 している。この場合四つ這い移動可能であっても,対称性緊張 性頸反射陽性と評価できる。  図 2 に示すのは,寝返りをする脳性まひ児である。15 歳, 座位肘可能だが,起立は不可。この寝返りを観察すると動作途 中であきらかな非対称性の肢位が見てとれる。これは非対称性 緊張性頸反射の影響と解釈できる。脳性まひ児であっても頸部 を回旋させる刺激のみで,四肢が非対称肢位をとる反応が観察 されることはない。図にあるように寝返りなど運動負荷を与え たときに反応が現れる。ミラーニチャートでは非対称性緊張性 図 1 脳性まひの四つ這い動作 図 2 脳性まひの寝返り動作

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運動発達を評価することの意義 215 頸反射の消失と巻き戻し反応の出現は同時に起こり,このこと が寝返り獲得の条件となると示されている。ところが脳性まひ 児を詳細に観察すると,非対称性緊張性頸反射と巻き戻し反応 が混在することがあり得ることがわかる。つまりこの時期はど ちらの姿勢反射も完全ではなく移行期にある。これらを理解し たうえで姿勢反射の評価をすべきである。 歩行獲得後の運動発達  投球・ボールキックのような動作は歩行獲得後,学齢期に大 きく変化する。この変化には姿勢反射をさらに進化させた機構 が関わっている。姿勢反射は様々な感覚器からの情報を一旦中 枢に伝達し,この情報を解釈,整理した後に末梢の運動器を反 応させる。末梢の感覚器から姿勢に関する情報を中枢神経へ伝 達する機構を利用した姿勢制御がフィードバック制御である。 フィードバック制御には末梢からの情報により制御するため, 最低限の処理時間が必要とされる。このためにより速い動きに 伴う姿勢保持には異なる制御機構が必要と考えられている。乳 児がはじめて立ち上がるとき,あるいは子供が新たな運動技術 を取得しようとした場合などはフィードバック制御が全面的に 関わっているが,習熟するにしたがい,末梢からのフィード バックなしに運動器が反応するようになる。この反応は動作に したがい次の瞬間姿勢になにが起きるのか予測し,運動器が活 動する。この反応を予測制御という意味合いでフィードフォ ワードと呼ぶ7)。 フィードフォワード(オープンループ)制御  フィードフォワード制御は,あらかじめ必要な運動プログラ ムが中枢神経に用意されており,一連の運動は感覚のフィード バックなしに行われる。一連の運動プログラムは意識されるこ となく遂行される。これらの運動プログラムは,運動経験やト レーニングによって形成される。運動プログラムの蓄積には小 脳が関与していると考えられている。幼児がはじめてサッカー ボールを蹴る動作を行うとき,ゆっくりとした動作でなければ 行えない。動作は不安定で,動作の途中でたびたび運動の微調 整を必要とする。この状態はフィードバック制御に依存した動 作と考えられる。こうした動作では動きに合わせて全身の筋が 協調して活動する必要がある。動作は軸足で立ちながら,反対 側の足を振り上げ,ボールを蹴るという一連の姿勢変化を伴っ ている。各動作でバランスを保ち転倒を防ぐため,感覚フィー ドバックにより体幹および四肢の筋活動を調節する。同じ動作 を繰り返し経験すると,一連の姿勢変化に伴う筋活動が運動プ ログラムとして小脳に形成される。運動プログラムが形成され ると,感覚フィードバックを遮断した状態でも動作が遂行可能 となる。さらにフィードバックを必要としなくなる,当該動 作はよりスムーズに敏速に遂行可能となる。このようにして フィードフォワード制御が形成されると考えられている8)。 発達障害  ここ 10 年ほど「発達障害」という言葉をよく聞くようになっ た。地域の通園施設などの臨床現場では発達障害児に対する理 学療法を求められる機会も増加している。ここで少しいわゆる 「発達障害」について触れることにする。我が国において「発 達障害」が広く認識されたのは,平成 17 年に施行された「発 達障害者支援法」の影響が大きい。支援法では「発達障害」の 定義として以下のように示している。 ・発達障害支援法(平成 17 年 4 月 1 日より施行) 発達障害の定義 「自閉症,Asperger 症候群とその他の広汎性発達障害,学習障 害,注意欠陥・多動性障害,その他これに類する脳機能障害で あって,その症状が通常低年齢において発言するもの」  「自 閉 症」「Asperger 症 候 群 」 は 1940 年 代 に Kanner と Asperger が報告して以来,多くの研究が行われているが,原 因については未だに不明な点が多い。どちらも社会関係の質的 障害および,限局した興味や関心,反復的・常同的な行動とい う特徴を有しているが,自閉症ではさらに言語発達の遅れがみ られる。一般に自閉症と Asperger 症候群の違いを知的能力の 差によって分ける傾向があるが,最近では,自閉症スペクト ラム障害(Autistic Spectrum Disorder:ASD)の中で「自閉 症」「Asperger 症候群」は説明されることが多い。自閉症の中 で知的障害の幅が広いことを捉えるために構築された概念であ る。自閉症と Asperger 症候群は広汎性発達障害(Pervasive Development Disorder:PDD)とともに,さらに大きな枠組 みに含めている。さらに学習障害(Learning Disorder:LD), 注意欠陥・多動性障害(Attention Defi cit/Hyperactivity Dis-order:ADHD)は,広汎性発達障害に隣接する障害と考えられ, 自閉症を合併する例も多い。このように発達障害支援法で取り 上げている「発達障害」は,自閉的傾向と学習上の障害を主症 状としており,その原因は脳機能にある。  周産期医療の変化により,障害児像が変化しつつある。歩行 獲得を目標とする脳性まひは減少し,重症心身障害児が増加す る傾向が報告されているが,他方走り回る障害児である発達障 害が増加していると考えられる。発達障害領域の対象児を理学 療法と作業療法のどちらが担当するか明確な基準はない。この ために理学療法士が担当する場合も多い。ところで理学療法士 養成課程において,小児分野の対象疾患は脳性まひの比重が大 きく,続いて筋ジストロフィー,二分脊椎等などが中心であり, 発達障害についてはあまり触れられない。現在の状況を考える と理学療法士養成課程においても「発達障害」に時間を割くべ きかもしれない。 発達性協調運動障害(Developmental Coordina-tion Disorder: DCD)  「発達障害」の特徴として運動の不器用さやぎこちなさが指 摘されている。運動は発達の過程で歩行や走行を獲得し,順調 に経過しているように見える児において,学齢期前あるいは学 齢期において,物を扱うときの不器用さ,転びやすさなどが目 立つようになる。こうした運動面の問題について,特に発達性 協調運動障害(Developmental Coordination Disorder:以下, DCD)という概念で認知されることが多い。発達性協調運動 障害の診断基準のポイントは以下のとおりである9)。 ①運動協調の障害であり,このため日常活動に支障がある。 ② 障害の判定は歴年齢・知的水準から期待されるレベルを十分

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理学療法学 第 41 巻第 4 号 216 下回る。 ③ 症状としては運動発達の遅れ,不器用,スポーツが不得手, 書字がきたない。 ④こうした症状が学業成績や日常生活を阻害している。  DCD 児はボディーイメージの低さが指摘されている。この点 は末梢からのフィードバック機能,およびその処理過程の障害 が予想される。また不器用さ,姿勢の不安定さはフィードバッ ク機能に加え,フィードフォワード制御の障害が考えられる。 発達障害児の立位バランス機能  発達障害児の特徴として姿勢の不安定さが指摘されている。 このことに着目し松田らは発達障害児のバランス機能を計測し 報告している。以下に要約を示す。  軽度発達障害児群 17 名(平均 5.4 歳),健常児群 17 名(平均 5.4 歳)を対象とした。対象児の立位バランス能力は重心動揺計に て定量的に評価した。両群を比較した結果,開眼・閉眼時とも 軽度発達障害児群において健常児群よりも単位面積軌跡長,矩 形面積,外周面積,実効値,実効値面積,X 方向動揺速度の平 均値に有意差を認めた。開眼時では X 軸上での重心動揺変化・ 動揺速度が大きく,閉眼では Y 軸上での重心動揺変化・動揺 速度が大きかった。軽度発達障害児群において閉眼時で各因子 の数値が開眼時より重心動揺は増大していた。総軌跡長や単位 軌跡長などの項目で閉眼時において有意に健常児群よりも重心 動揺の増大を認めた。以上健常児群と比較して軽度発達障害児 群で動揺が大きく,姿勢制御能力の未熟さのあることが示唆さ れた10)。  これまで発達障害児の姿勢不安定さについて量的に示したも のは少なかったが,上記報告から同年齢の健常時に比較し姿勢 が不安定であることが確認された。 DCD 児の基本的運動機能評価方法  DCD 児の基本的運動機能評価法に関して,広く認識されて いる方法は見あたらない。岡らは Towen の Soft Neurological Sign の中の協調運動に関する項目を参考としている。以下に その一部を示す9)。 ・立位バランス ①閉眼にて 10 ∼ 15 秒立位保持させる。 正常発達でも 6 歳以下では足のわずかな動きを認める。7 歳 以降は安定する。 ② 足を 5 cm ほど離して開眼立位とし,肩を少し押してバラ ンスを崩す。 評価:正常発達 6 歳以下では足の踏み出し,上肢外転が観察 される。7 歳以上では体幹の動きのみで迅速にもとの姿勢へ 戻る。 ①②に対して DCD 児では不安定で側方へ倒れそうになる。 ・片足立ち,片足飛び ①得意な脚一側で立位保持。 評価:正常発達では 5 歳で 10 ∼ 12 秒,6 歳で 13 ∼ 16 秒保 持可能。 ②その場で 20 回けんけんする。 評価:正常発達では 4 歳で 5 ∼ 8 回,5 歳で 9 ∼ 10 回,6 歳 で 13 ∼ 16 回,7 歳以上では 20 回以上可能。DCD 児では安 定して姿勢保持ができず,けんけんも連続でできない。 ・直線歩行 ① 6 歳までは普通に 20 歩歩行させる。7 歳以上では継足歩 行で 20 歩歩行させる。 評価:9 歳までは 1 ∼ 3 回程度それでも正常とするが,DCD 児ではそれ以上に不安定。 発達性協調運動障害に対する理学療法  姿勢制御のためには,体幹筋全体が常に協調し,その瞬間の 状態に適応して活動する必要がある。動作中の姿勢制御にも中 枢性神経コントロールが重要な役割を果たしている。素早い動 作ではフィードフォワード制御が必要となる。フィードフォ ワード制御のための運動プログラムは運動経験に基づいて構築 される。介入は機能的動作中に求められる体幹と四肢の協調性 を改善させる。運動の正確性,筋の適切な収縮力と活動するタ イミングを向上させることで協調性のある動きを獲得すること を目標にする。  介入の注意点としては,DCD 児はボディーイメージの低い ことを十分配慮する。この点は末梢からのフィードバック機 能,およびその処理過程の障害を意味している。また不器用さ, 姿勢の不安定さはフィードバック機能に加え,フィードフォ ワード制御の障害が考えられる。具体的に姿勢制御練習を行う 場合,対象児が自らの姿勢,四肢の位置,関節の状態を理解で きるよう工夫する必要がある。具体的には①目的とする姿勢を 見せる,②四肢体幹を操作し他動的に姿勢をつくり,そのうえ で言語的に説明する,③各関節の状態を個々に経験させ,その うえで姿勢を構築する,といった手順をとる。目的姿勢が独力 で取れるようになったら,少しずつ動きを加え,動的な姿勢制 御へ進む11)。 文  献 1) 新田 收,小野純平,他:乳幼児の定頸に及ぼす原始・姿勢反射 の影響.姿勢研究.1990; 10(2): 127‒134. 2) 穐 山 富 太 郎, 川 口 幸 義, 他: 脳 性 麻 痺 の 早 期 診 断. 総 合 リ ハ. 1974; 2(1): 7‒22. 3) 楠和佐子:脳性麻痺のボバース法における評価.理学療法と作業 療法.1977; 11(3): 181‒188. 4) Russel D, et al.: GMFM- 粗大運動能力尺度 脳性麻痺児のための 評価尺度.近藤和泉,福田道隆(監訳),医学書院,東京,2000. 5) 近藤和泉:リハビリテーションに対する近年の考え方と評価尺度. リハビリテーション医学.2000; 37: 230‒241.

6) Milani-Comparetti A, Gidoni EA: Routine developmental examination innormal and retarded children. Dev Med Child Neurol. 1976; 9: 631‒638. 7) 三宅一郎:運動発達の科学.大阪教育図書,大阪,2009. 8) Kolt GS(編):スポーツリハビリテーション─最新の理論と実 践─.西村書店,東京,2006. 9) 岡  明:発達性協調運動障害.小児科臨床.2008; 61(12): 2552‒ 2256. 10) 松田雅弘,新田 收,他:軽度発達障害児と健常児の立位平衡機 能の比較について.理学療法科学.2012; 24(2): 129‒133. 11) 新田 收,笹田 哲,他:PT・OT のための発達障害ガイド,金 原出版,東京,2012.

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