【論 文 】 日本建 築 学会構造 系論文報告集 第438号
・
1992年8月 JQurnal ofStruct、
ConsLr.
Engng,
A匸J,
No.
438,
Aug.
,
1992シ
ー
リ
ン
グ
材
の
断 面 形
状
の
耐疲
労
性
に
及
ぼ す
影 響
EFFECT
OF
CROSS
−
SECTIONAL
SHAPES
OF
SEALING
BEADS
ON
THEIR
FATIGUE
RESISTANCE
TO
JOINT
MOVEMENT
田
中 享
二 *,
平 居 孝 之
* *
,橋 田
浩
* * *,小 池 迪 夫
* * * *駒
oガ
TAIVIAKA
,Takayufei
HIIRAI
,Hiroshi
UASII7JDA
and
Michio
KOIKE
Five
kinds
of sealingbeads
that weredifferent
in
depth
of、
their concavity were repeatedly ex.
tended and contractedby
afatigue
machine.
Cracks
appeared in the corner or the center on thesurfaces of sQme specimens
.
The
しi
皿e to crackingbecame
clearly shorter on the speciments ofdeeper
cQncave shapes.
To
know
ヒhe
reason of these results,
the stressdistribution
on the sur−
faces
of sealingbeads
壷ere calculatedby
theboundary
eleme 皿t method.
It was concluded by the
both
experimen しal and analytical results that a durable cross.
sectional shape of a sealingbead
to fatigue is a slightly concave shape・
κε岬 or 幽 :5副 αηち こ厂05躍 σ彦加 at・S θ
,
fatiglte
厂esistance,
ayclic’65’,
丿oint movemen ち 58α伽9bead
シ
ー
リン グ材,
断 面 形 状,
耐 疲 労 性,
繰 返し試 験,
ムー
ブメ ン ト,
シー
リング ビー
ド 1.
は じめに シー
ル ドジ ョ イン トの設 計で最も考 慮すべ き は,
ムー
ブメ ン トの繰り返 し に よる長 期 間 安 全 性であ る。 その中 で中 心 をなすのが目 地 幅と目地 深 さの検 討であ る。 この 問 題につ い て は古く は Egons TonsL}に始ま.
る多くの 研 究があり,
筆 者らも近 年の 目地 幅が大き く な る傾 向を踏 ま えて,
広 範 囲にわ た る目地 幅と目地深さ の耐疲労性に 及ぼ す影 響につ い て検 討 を 行っ たZ)。
そ し て基 本 的に は 目 地 幅 と 目 地 深 さの比, 形 状 係 数の検 討 を中 心に据え た こ の方 法で シー
ル ドジョイン トの設 計は可 能である こと を 示し た。
し か し こ れ らはすべ て シー
リング材の断 面 形 状 が 矩 形である こと を前 提 として いる。一
方,
現 実に施 工 さ れる シー
リング材は表 面が直 線であ るこ と は ほ と ん ど な く,
必 ず わ ず か な 凹 面 を 持 っ てい る。
これは施 工の 際,
ヘ ラで押し な が ら仕上げ る た めに凹面になる こと, あ るい は シー
リング材 中に含ま れ る揮 発 成 分 等の散 逸に よ る 体 積 減 少 等の た めで ある。
そ うい う意 味で は設 計段 階で 図面に書か れ たもの と現 実の もの と で は同じ で な い といえ る。
こ の こと がシ=
一
リング ジョイン トの繰り返し に対す る耐 久性にとっ て悪 影 響を 及 ぼ すの か及ぼ さな い の か とい っ た点にっ いて は,実はよく解明 され て い な い。
直感的に は多 少曲面を持つ ほ う が シー
リング材の コー
ナー
が な め ら かに被 着 体と接 合さ れ る た め望ま しいよ う に も 思え るが,
凹形 状の 深さ が深 すぎ る と シー
リング ビー
ド の中 央 部 断 面が減 少し,
逆に危険な よ うに も 思 え る。
そ ういっ た意 味か ら は,
も し施工上あ るい は材料の 性質上必然的に曲率を持たざるを得ない とし て も,
そ の 影 響にっ いて の適 正 な 判 断 と 理 解が必 要 と され る。
本 研 究は以上の観点か ら シー
リン グジョ イン トの断面形態が 耐 疲 労 性に及ぼ す影 響につ いて明ら か に し よ う と し た も の であ る。 2.
既 往の研 究 : シー
リング材の断 面の プロ ポー
ショ ン に関す る研 究は 非 常に多いがS)−
S),
その形状に関す る研究は少ない 。 寺 内ら9)・
L°1 の 凹状断 面を もつ シー
リン グ材の内 部 応 力にっ いての解 析 的 研 究が ある の みで ある。
そ の なかで,
応 力 の高く なる部 分は曲 率の強い部 分に生じ る こと を示し, し かもそ れは凹 形 状の深さ が深く な るに従っ て増 加 する と述べ こ の問題の重 要 性を指 摘し て い る。 ただこの研 究 では凹形 状と応 力の分 布 状態 との関 係お よ び実 用上問題 と な る欠 陥発 生 現 象 との関 係に つ い て まで は論 究 されて い ない た め, シー
リング材の設 計におい て どの ように考 え てい け ば よい の か の筋 道が十 分 示さ れ て い る とは い え ない。
.
1 東 京工業大学工業材 料 研 究 所 助 教 授・
博士 (工学 ) # 大分大学 工学 部 教 授・
博 士 (工 学 ) *# 清水建設株式 会社 研究員 * * * * 千 葉工業 大 学 教 授・
博士 〔工学)Assoc
.
Prof.
,
Research Laboratory o正Engineering Mate πials,
TokyoIns1孟luLe of Tecltnology
,
Dr.
Eng.
Prof.
,
Oita University,
Dr.
Eng.
Research Engineer,
Shimizu CorpQration Prof.
,
Chlba Institute of TechnQ[ogy,
Dr.
EIlg.
3.
各 種断面 をもつ シー
リング ジョイン ト の疲 労 試 験3.
1
試験体 シー
リング ジョ イン トで は シー
リング材が図一
1に示 す よ う な 2 枚のパネル と目地 深さを調 整す る バ ッ ク アッ プ材に よ り構 成さ れ る空 間に充 填され る。 それゆえ本 研 究で は こ れ を 図一
2に示す よ うな試 験 体に モ デル 化し た。
試 料は2
成 分 型 ポ リサル ファ イ ド系シー
リング材 を 使 用し た。 試 験 体の作 成 方 法は以 下の と おり で ある。 被着体には ア ク リル樹 脂 焼 付 けボッ ク ス状ア ル ミニウム形 材 (長さ 200mm >を 使 用 し,
これ を2
本平行に固定す る。
裏面 側は種々 の形 状を持つ エ ポキ シ樹脂で成 形し た バッ ク ア ップ材 を装 着 する。こ の 空 間にシー
リン グ材を充填し, 表 面 をバ ック ア ップ材と同一
の形状を もつ ヘ ラで仕上 げ る。
こ れ ら試 験 体を室温 環境下 (20−
25DC )に 2週間放 置後,50
±2°
C
環 境 下でさ らに』
1週 間 養 生 した。な おバ ッ ク ア ップ材は試 験 中の シー
リン グ材 裏 面か らの観 察の た め,
試 料 硬 化 後は こ れ を除 去 し た。
3.
2 シー
リング材の 断 面 形 状 シー
リング材の断 面 形状の基本目地幅は20mm
と し た。
目地深 さはJASS
8中の 形 状 係 数の範 囲の 目安11)を も とに 13mm (形状 係 数約 2/3)と した。
こ れ は通 常 設 計さ れ る中で比 較 的多く採 用される寸 法であり,
かつ 予 備 試 験による と ジョイン ト50% 縮 小 時で もシー
リング 材が座屈 す ること な く単 純に圧 縮され る限 界の形 状で あっ た た め である。
ま た断 面の凹形 状は楕 円形 を採 用した。
これは凹 状の 浅い もの か ら深い もの まで ひとつ の楕円方 程 式 (x: /A2 +Y2
/(10
mm )2=1,
こ こ でA
は 図一
2に示す楕 円の短 軸の長さで あ る。
こ の場合は目 地 幅 が20mm
と 固 定さ れてい る た め目地深さはA
の寸法で決定され る こ と に な る。)を利用 し て曲率を段 階 的に変え ながら その深さ を 自 由に変 化させ る こと ができ る こと,
また楕 円はシー
リン グ材の端 部で被 着 体と な め ら か に接す る た め で あ る。「 5° π
鴛
]
昿
5Dmr 一 図一
1 シー
リング ジョイン ト の形 状 n ∫ 酒◎
◎
◎
◎
図一
2 試 験 体の形 状と だ 円 に よ る近 似 だ 円 Aの寸 法 被着 体 萠 而と 同一
面の 堝 合 被 着 体 前 面よ り 内 側の場 合 oに
=
125mmに 江
25匡
匹
5mm江
‡
lo江 塞
図一
3 対称 断 面試 験体の形 状・
寸 法 だ 円のA の寸 法 褒 面 側 裏 面 側 一Omrn
一 一 2.
5mm 一25mm
一 5mm 「一 IOmm 一 図
一4
非 対称 断 面 試 験 体の形状・
寸法 試 験 体の形 状は表 裏 対 称 形を基 本と し た が,
実 際の シー
リングジョイン トで は裏 面に用い ら れる バ ック ア ッ プ材 が 矩 形 も しくは円形 断 面の 2種であり,
シー
リング 材の断 面 形 状が表 面 側と裏 面 側と で は非 対 称と な る こと が多い。 その ため さ らに断 面の非 対 称 性が耐 疲 労 性に及 ぼ す影 響を調べて お く必要も あ り,
表 側の凹形 状の深さ をA=
2.
5mm とし,
裏 面 側の深 さ を種々変え た 試験 体 も作成し た。 ま た シー
リン グ材の施工位置 は,
通常 施工 さ れ る被 着 体と 同一
面の もの と,
被 着 体 前 面か ら10mm 後退 し た もの の 二 種とし た。
こ れ は シー
リング材 表 面が被 着 体 表 面と同一
面の場 合 圧 縮 時に シー
リング材 が 被 着 体の コー
]
ナー
の外側に は みで て,
被 着 体の くい込み に よ り,
シー
リング材が 切断され る よ う な挙 勤が予 想され る ため, そ匡
の影響を除去し た純 粋に断面形状の影 響だ けを 調べ る た§
めの 讖 体も 必要で あ る と考耽 か らで あ る。
図一3
に」
表 面 側と裏 面 側の形 状が対 称であ る試 験 体の断 面を,
図一
4に非 対称試 験 体の断 面 を示す。
3.
3 疲 労 試 験の概 要 疲 労 試 験に は 写真一
1に示す小 型 部 材 疲 労 試 験 機 を 用 いた。
本試 験 機は油 圧 サー
ボア クチュ エー
タにより駆 動一
24
一
す る も の で全体が恒温槽内に設 置さ れ て お り
,一
定温 度 環 境 下で の試験 が可能で あ る。
試験条 件は以 下に示 す 前 撮Z矩 同様の条 件と し た。(1 ) ム
ー
ブメン ト ムー
プメ ン トの基 本 波 形は,
拡 大・
縮 小を繰り返す サ ィンカー
ブで あり,
振 幅は試 験 体 目 地 幅の ±10%, ±30
%,
±50% の 3段 階と し た。
こ こ で の 目地 幅は 20mm である の で 各々 ±2mm,
士6mm,
±10 mm とな る。
周 期は lo秒 (6回 /分)と し た。 これ は現 実に観 測 され る ムー
ブメン トよ り か な り速いが,
試 験 時 間短 縮の た めこ の 速度 を採用した。
(2) 繰返 し 回 数 繰 返し回 数は原 則と して欠 陥の発 生す る時まで とし, 欠 陥の 生じ ない 場合は lOO万 回で試 験 を打ち切 っ た。
(3) 試 験 温 度 試 験はすべ て 20±2℃ で行っ た。 (4 ) 試 験体の観察 観 察は最 初の 100回 まで はユ0
回 ご と,
1,000 回ま で は 100回ご と,
その1後 は 1,000
回ご と に試 験 機を停 止 し,
表面お よ び裹 面 (フ ァ イバー
ス コー
プを 用い て 観 察1
につ い て亀裂発生の有
無, お よ び そ の位 置,
進 行 状 態など を 調べ た。
(5 )試 験 体の数 断 面の形 状とムー
ブメ ン トの振 幅の種 類ご とにそ れ ぞれ 2個 ずっ 試 験 を 行っ た。
3.
4 疲 労 結 果お よ び考 察 繰 返 し疲 労の ために シー
リング材に は 亀裂が生じ た が,
その発 生 位 置は図一
5 。絆
C→13
漸
に示 す三 カ所の位 置か ら であ
っ た。
す なわち,
a ;被 着 体に沿っ た シー
リング材 表 面の両端部 (被 着体表 面か ら の界 面は く離で は ない ),b
;シー
リング材の両端か ら 内側 数ミリの範 囲 (この場 合は細い亀 裂が一
本入 るの で はなく,
まずし わ状の疲労 破壊を起こ し その中の い くつ か も し く は一
本が次 第に内部に深く裂け 入っ て ゆ く), c ;シー
リング 材の中央 部 (こ の 場 合は亀裂が一
本だけ 中 央 部に入 り そ れ が内部に深 く裂け 入っ てゆ く)で ある。
多くの場 合 亀 裂 はただ「 種 類の もの だけが成 長し て ゆ く が,
変 形 率の大きい場 合は途 中で新た な亀 裂 が 生 ずる場 合も ある。
犀
こ
ob
←−
c O;端部b
:端部か ら内側 数ミ リ部分b
OC :中央 部 図一5
亀 裂の発 生 位 置 写 真一
1 疲 労 試 験の状況 図一
6 対称断 面試 験 体の疲労試 験 結 果 (シー
リン グ材が被 着 体 前 面 と 同一
面の場合 ) 図一
7 対称 断 面試 験体の疲 労試 験結果 〔シー
リン グ材が被着 体 前面 か ら10mm 内側に入っ て い る場 合 ) 異常 なし’
表面側 亀 裂発 生 だ円 Aの寸 畩 ムー
ブメ ント の 振 幅 「 欠 陥 発 生 まで の繰 返し回 数一
r 。
.
霤
一
→ く 裏面 側亀 裂発 生貨 通 亀 裂 発 生 位置 衷 面 側 裏 面 側 ■ l l l l5 1 Omrno
霹
一
弧』
2.
5 5 よ30% asmm10卩
図一
8 非 対 称 断 面 試 験 体の疲 労試 験結果一
25
一
これ ら疲 労試験の結果を対称 断面試 験体の シ
ー
リング 材が被着体 前 面と 同一
面の場 合につ い て は 図一
6に,
シー
リング 材 が 被 着 体 前 面 か ら10
皿m 内 側 に 入っ て い る場 合に つ い ては図一7
に,
非 対称断 面試験 体につ い て は図一
8に示す。 図中の各欄では2
本の線で 2個の試 験 体の結 果を表して い る。
多くの 試 験体で は 数 百 回 から数 千回の繰 返し回 数で上記 亀 裂が発 生 し,
それ が次 第に深 く大き く なり,
数 万 回で破 断し た。
ただし ムー
ブメ ン ト の振 幅の小 さい 場合は,
100万 回の繰返 しで も欠 陥の発 生し ない も の も あっ た。 (】) 耐 疲 労 性に 及 ぼ す 凹形 状の深 さの影響 図一
9に シー
リング材 断面の 凹 形状の深 さ と 亀裂 発生 までの繰 返し回数を示す。
シー
リング材の表面が直線で あ る矩 形 断 面 より, 多 少 曲率のつ い た 凹形 状の ほ う が耐 表・
−
1 凹 形 状の深さと亀 裂 発 生 位 置 凹形状の深 さ 惰 円Aの 寸 法 【mml 対 称 断 面 試 験 体 シー
リング 材 が 被 着 体{
前面と同一
面の場合 対 称 断 面 試 験体1
轢
澱
非 対 称断面試 験 体o
q 0 q1.
25
’
bb
,c C25
Gb
,c c5
C C Clo
c G C 回 の 嚠 颱Q
粒 梶 姻 課 繭 衄N
q: 被 着 体に沿っ
たシー
リ ング桝の両端部 b‘ シー
リング 材の両 端か ら内 側数ミ リ の範囲 C; シー
リング 材の中 央 部 図一
9lO6
で異 状な し 疲 労 性は向 上 する。
た だ し凹 形 状が深く な りすぎ る と耐 疲 労 性は逆に低 下 する。
本 試 験で耐 疲 労 性が最 良であっ たの は A薈
1.
25mm (凹形 状の 深さ が目 地 幅の 1/16) の 時で あっ た。
こ の傾 向はムー
ブメ ン トが ±30 %,
± 50%の いずれ の場 合に も見られ るが, 凹形 状の深す ぎ る場 合の耐 疲 労 性の低 下は ±50%の 場 合に特に著 し か っ た。
(2) 亀 裂の発 生 位 置と 凹形 状の深さとの関 係 亀 裂 発 生 位 置と凹 形 状の 深 さとの関 係 を表一
ユ に整 理 し示す。
深さ が ゼロの時,
す な わ ち矩 形 断 面の場 合には 亀裂は すべ て シー
リング材の 両 端 部で発生し てい る。
深 さ がL25 − 2.
5mm の場 合に は シー
リング材の両 端か ら ご く わずか内側に 入 っ た領域で発 生す る。一
部シー
リン グ材の中 央 部に亀 裂 が 発 生 す る もの も あ る。
深 さ5mm 以上の場 合は すべ て シー
リング材の中央部で亀裂が発 生 し た。
(3) シー
リング材の被 着 体 表 面か らの位 置の影 響 同 じ く図一9
に シー
リング材が被 着 体 前 面から10mm 内側に人っ た位 置に施工 さ れた場 合の疲 労 試 験 結 果 を同一
面に施 工 さ れ た場 合と 比較し て示 す 。 明ら か に シー
リ ン グ材の 目地 内で の位 置の 影 響が見ら れ る。 通 常の 施工 で行わ れ る,
シー
リング材表面が被着体 表面と同一
面の 場 合に は,
後 退 して い るもの に比べ て亀 裂 発 生 までの回 数は早く なる。
た だ しこ れ は凹形 状が浅い場 合に の み顕 著である。
こ れ に は目 地 縮 小 時の シー
リング材の形 態 が 関 係し て お り,
凹形 状の浅い場 合に は目地 縮 小 時に シー
%
03
・ 工蠶
’
−
…
ト
%
05
十一
鹽
,
「
訓 調・
鷺”
』
,
OLa5
255
1001
.
25
255
シー
リ ン グ 材 断 面 の 凹 形 状の 深.
さ (だ 円 のA
の 寸 法 )、
mm 対称形 シー
リン グ材の亀裂発 生まで の繰 返し回数 と断 面 の凹形 状の深さ との関 係10
一
26
一
1 O
,
0 0 鹹 回 ∂ 園 覇 sP 榔 州 麒 繭 認 1 士30
% ・ 面・憂
・・ o1LL.
q 富 督 躍 5』
』
2、
50・
IO 裏 面 側 凹 形 状の深 さ (だ 円のAの寸 法 )、
肥 図一
10 非 対称 形 シー
リング材の亀裂 発生 まで の繰返 し 回 数 と 裏 面 側凹 形状の深 さ との関 係 リング材が被着体
表 面の外側に はみ出る よ う な状態にな り,
被 着 体の コー
ナー
に くい 込む ような挙 動が生 じ る た め と 思 わ れ る。
し た がっ て凹形状が深く な り,
目地縮小 時にシー
リング材が被着体表 面か ら外側へ は み出さ ない 場合に は,
シー
リング材の 目地 内で の位 置による差は見 ら れ な く な る。 (4 ) シー
リング材の断 面 形 状が非 対 称で ある ことの影 響 図一
10に非 対 称 形シー
リン グ材の亀 裂 発 生まで の繰 返 し回 数を表面 側と 凹形状の深さ を変え た裏面 側と を 比 較し示す。 ま ず裏 面 側で あ る が,
こ の 面は前 項 試 験と同 様の傾 向が見 ら れ て お り,
深 さ2.
5n
}m か ら5mm
(こ の 場 合の 試 験体に は 深 さ 1.
25mm の試 験 体は含まれ て お らず, 試 験は され て い ない。
〉で耐疲労性が良 好で こ れ よ り も浅す ぎて も深す ぎて も耐 疲 労 性は低 下する。
次 に表 面 側す なわ ち打 ち込み面 側である が,
「
多 少の バ ラツ キは見られ てい るもの の裏 面の凹形 状の い か ん に か か わ らず 亀裂発 生ま での回 数 が 約 ユ04程 度 とほぼ一
定の値 と な っ て いる。
こ の ことは この程 度の プロ ポー
ショ ンの断 面 形 状の場 合に は表側と裏 側の非
対 称 性は お互い にそれ ほ ど影 響を与え ていない と推定さ れ, 実用 上 各々 の面は 独立 し て考えて も良い よ うに思わ れ る。
4.
シー
リ ング材 断 面の縁 応 力につ いて 疲労試 験で明らか に し たように,
シー
リング材の 断面 形 が矩 形の場 合と,
凹形 状で は その深 さ が 深い 場 合に耐 疲 労 性が著しく低 下し た。 これは明 らか に断 面 形態に よ り応 力状 態が異な る た め で あ り,
こ の こと を考 察す る た め に応 力の数 値計算を 試みた。
シー
リング材の破 壊はす べ て そ の表 面か ら生 じてお り,
その観 点か らはシー
リン グ材より剛 性の大き な被 着 体か ら強 制 変 形さ れ る シー
リ ング材 断 面の縁 応力 が重 要で あ り,
こ こ で は 異種 材料の 接合 問 題[2 惚 精 度の良い結 果の得ら れ る境界 要素法のプ ロ グラム を用い て解 析を行っ た。 4,
1 解 析の概 要 (1) 解 析モ デル 解 析モ デル は図一
1ユ に示す 二次 元モ デル で あ る。
予 備計 算に より そ の精 度を検 討 し,
隅 角 部で そ の分 割を細 か く し た矩 形で 64要 素,
凹形 状が深く な るに従っ て要 素数 を 増や し,
最 大88要 素 (A ;
10mm の 場 合 ) まで の モデル を設定した。
現 実の シー
リング材は奥行き方 向 に長く連続し ていることを考 慮し平 面ひずみ状聾
で計 算 し た。
試 験 体の断 面 形 状 と 同じ になるよ うに凹 形 状 深さ (A
の値)を0か らIOmm まで変 化さ せ た シー
リング 材断 面5
形 態につ い て モデル を作 成 して数 値 計 算 を行っ た。
(2 ) 数 値 計 算上の諸 条 件 現 実の シー
リング材の 多くの もの は粘 弾 性 的 性 質 を示 すが,
こ こ で は 比較 的短時間 で あ る10
秒の周期でムー
ブメ ン トを 与 え た疲 労試 験にお ける試験 体の応 力 分 布の 概 要を知るこ と を目的と してい る た め,
時間依 存性の材 料 的 性質を考慮せず静 的弾性解析と し た。
試験に用いた 2成 分 形ポ リ サル フ ァイ ド系シー
リン グ材は 図一12
の 引 張・
圧 縮 試 験 結 果に示さ れ る よ うにヤング率が低く大 き な変 形 を生じ,
ま た応 力レ ベ ル が上が るにつ れてヤン 図一
11 解析モデルと 要素の設 定 {A=
2.
5mm の時の例 }丁
“
Ei4 ミ o ヱ・
3
睡 R2壗
縮 小 率,
% 示o
50
−
30
一
1000IO30
「
50
一1 尉
E 拡 大 率,
% ミr
9
一
2n1
拠一
3R
恨 鑼燭
一
4
出 図一
12 試 験に用い た シー
リング材の力学 的 性 質 〔100mm /min )一 27 一
グ 率 が 小 さ く なる
。
こ の ため 目地 幅5% ご と の変形に 対し その応 力レベ ル のヤン グ率 とボア ソ ン比 を与え, モ デル各 要 素の変 形および応 力 を計 算し,
変 形は順 次 形 状 に加 算して増 加さ せ る作 業を繰 り返す逐 次 計 算の方 法に よ り, 大 変 形 を考 慮した解 析 を行っ た。
ボア ソ ン比は実 験よ り応 力レベ ル が異 なっ て もほぼO,
48 であっ たの で,
い ずれの場合も その値 を用い た。
4,
2
計算 結果お よ び考 察 (1) 縁 応 力 度の分布 シー
リング材の縁に沿っ て生 じて い る縁 応 力 度 を 図一
13に示す。
目地 幅の変 形 率 が 大 き く なる に従っ て縁 応 力 度が高く な るがそ の分 布は均一
で は な い。
目地 幅 拡 大 時,
縮 小 時の いずれ も極 値は シー
リング材の隅 角 部お よ び その近 傍と目 地 中 間 点の ニヵ所に存 在す る。 (2 > 凹 形状の深さ と縁応 力度の関係 縁 応 力 度 が極値 と な る位 置は 断 面の形 状 と 密 接に関 係 し て お り, 矩形断面の場合は隅 角 部で の応 力度が著し く 高く なっ て い る が,
凹形 状の 深さが 大き く な るに従っ て その位 置が少しずつ シー
リング材の 目地 中間点の方に移 動し て く る。一
方 中央 部の縁 応 力 度の極値の位 置は凹 形 状の深さ がい ずれで あっ て も目地幅の中間点である。 次に その大き さで あ る が,
図一
14に シー
リング材の 圧 縮 応 力度,
kgtcm2 引 張応 力 度,
k9!cm2一
15 →O
一
−50
5 10 15「
「
F
∫尸
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一
13 ジョイン ト拡 大 時,
縮 小 時の シー
リング材の縁応 力度 の分布 〔シー
リング材の 1/4の部分につ いて図示 } 疲 労 時の 亀 裂 発生に関 与 すると考え られ る 目地 幅 拡 大 時 につ いて, 隅角 部お よびその近 傍と 目地 中 間 点の縁 応 力 度の極 大 値 を 凹形 状の深さとの関 係で図示 する。 隅 角 部 近 傍に生 ずる応 力 度の極 大 値は凹形 状の深さ が深く な る に従い急 激に減少す る。一
方 中 間 点の応 力 度は凹形 状が 深く な るに従っ て増 加す る が そ れほど急 激で はない 。 当 然のこ とで あ る が,
目地 幅 拡 大 率が大きい場 合に は応 力 全体が高く な る が, こ の傾向は 目地 幅 拡 大率が10
% と 30 % と 50%の いずれで も 同様であ る。
(3
)疲 労 試 験の亀裂発生位置と縁応 力 度分布との関係 図一14
に さ ら に疲 労試 験に お け る亀裂 発生 位置を, 凹形 状の深さ ご とに,
図一
5に示 し たa,b,
c の表 示で 書き込み示す。
変形率±10%の疲 労 試 験の場 合で は矩 形 断 面の もの以 外は亀 裂 が 発 生 し ない。
±30%,
±50 %の 場 合は疲 労 試 験に お ける亀 裂 発 生の 位 置が (a) シー
リ ング材の両 端 部お よび (b
)シー
リング 材の両 端 か ら内 側 数 ミリの範 囲の場 合は,
計 算 結 果に よ る と隅 角 部および その近 傍の応力度の極値が目地 中間点応 力度よ りも大き く なっ て いる時であ る。一
方,
(c)シー
リングd 材の中 央 部で亀 裂が発 生した もの は
,
逆に 目地 中 間 点で の応 力 度が隅 角 部およびそ の近 傍で の応 力 度 よりも大き くなって い る時である。
すな わ ち疲 労 試 験に お ける亀 裂 N ∈ ミ9
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凹 形状の深 さ (A値 ),
mm 図一
14 シー
リング材の縁応 力度の 二つ の極値お よび亀裂発 生 位置と 凹 形 状の深さとの関 係一
28
一
発生位置は
,
シー
リング材の隅 角 部お よ び そ の近 傍と目 地中間 点の縁応 力度の大 き さ との 大小に強い相関を示し てい る。 5,
耐 疲 労 性の観 点か ら見たと きの シー
リ ン グ材の最 適 断 面 形 状 隅 角 部およびそ の近 傍の縁 応 力度の極 値は凹形 状の深 さ が深く な る に従い 低 下し,
逆に目 地 中 間 部の縁 応 力 度 は 凹形 状の深さが 深く な る に従っ て増 加す る。
し たがっ て耐 疲 労 性 が 最 も良 好 と考え られるの は 二つ の縁 応 力 度 の大 き さが いずれ も 小 さ くバ ランス の と れ ている時で あ る。
図一
13の計 算 結 果に よる と二 つ の縁 応 力 度の極 値 の 大き さ が等し く な る 凹形 状の 深さ は 10% 拡 大 時で 2.
5 mm よ り少し大きい場 合,
30%拡 大 時で は 2.
5mm , 50 % 拡 大 時で は 2.
5mm よ り少し小さい場 合で あり,
図一
9,
図一
10の疲 労 試験結果におい て は,
1.
25mm (目 地 幅の 1/16 )も し く は 2.
5mm (目 地 幅の 1/8) 程 度の 時 であ り,
両結果は完全に一
致は し てい ないが ほ ぼ似た 領 域で耐 疲 労 性が最 大と なっ てい る。
す な わ ち耐 疲労性の観 点か’
らは シー
リン グ材の 断 面は 矩 形よ り は 凹形 状の方が望ま し く, その 凹形 状の深 さ は 最 適な断 面 形状の領域が あり,
例えば多く設計さ れ る 20mm 程 度の「
目地 幅で は凹 形 状の深 さ は1
/16− 1
/8
程 度が適して い ると考え ら れ る。6.
お わ り に シー
リング材の耐疲労 性に及ぼ す断 面形状の影 響につ いて検 討し た。
得 られ た結 論 を 要 約す る と以下のと おり であ る。
(1
) 疲労試 験よ り耐 疲 労 性の優れ る シー
リング材の断 面 形 状は矩 形よ り凹 形 状の時である こと,
また そ の深さ は深す ぎて も 良 くな いこ と を実験的に明ら か に し た。
(2) 数 値 計 算に よる縁 応 力 度の 解 析に より,
シー
リン グ材の表 面にそっ て応 力レベ ル の高い部 分が隅 角 部およ びそ の近 傍と,
目地中 間点の ニ カ所に生 ずるこ と を示し たQ また疲 労 試 験で亀 裂の発 生 する位 置はこ の応 力 度の 大 きい箇 所であり,
試 験 結 果の耐 疲 労 性は その縁 応 力 度 と強い相
関 を もっ て い る こと を明ら か に し た。
(3
) 耐 疲 労 性 を最 大と する最 適 断 面 形 状は縁 応 力 度の バラン ス が と れて いる場 合であ る と考え ら れ,多
く設 計 さ れ る 20mm 程 度の 目 地幅で は 深 さ が 目 地幅の 1/16−
1/8
程 度の浅い凹形 状の場 合であること を示した。 謝 辞 本 研 究を進め る にあた り,
試 験 体 製 作には鈴木秀樹氏 (昭 石 化工 (株 >>,
試 験の一
部に は林 文 秀 氏 (鮮 京 建 設 (株 ),
当 時 大 学 院 生 )の協 力を得ま した。 こ こ に謝 意を表しま す。 参 考 文 献1) Egons Tons :Theoretica]Approach 亡o Design of a Road
Joint Sea];Highway Research Board I (1959} 2)田中 享二