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「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて、消防団の活動能力を強化するための方策はいかにあるべきか」

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Academic year: 2021

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「東京2020オリンピック・パラリンピック

競技大会に向けて、消防団の活動能力を強化す

るための方策はいかにあるべきか」

答 申

平成30年3月 日

渋谷区消防団運営委員会

資 料

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2 第1 はじめに 消防団は、「自分たちのまちは自分たちで守る」という地域愛護の精神に基づき、 様々な職業に従事しながら災害活動をはじめ、地域住民に対する防火防災指導や各 種行事等の警戒活動など、昼夜を問わず地域防災のため献身的に活動を行っている。 首都東京においても、直下型地震の発生が切迫性を持って危惧されており、地域 密着力、要員動員力、即時対応力を兼ね備えている消防団には大きな期待が寄せら れているところである。 このような状況の中、2020年には、東京2020オリンピック・パラリンピ ック競技大会(以下「東京2020大会」という。)が開催される。 東京2020大会で消防署と消防団がどのような役割分担で警戒活動を実施す るのか現時点では明確になっていないものの、大会開催期間中の災害の未然防止と 災害発生時における人的・物的被害を最小限にとどめることは、渋谷区の安全・安 心に資するものであり、開催都市の消防団として、組織力を最大限に発揮して警戒 活動を実施していく必要がある。 現在、渋谷消防団では、災害出場のほか、防火・防災指導や応急手当の普及啓 発、地域の祭礼に伴う消防特別警戒の実施など、数多くの業務を推進していると ころであり、これ以上の負担増は物理的に対応できないとの意見もある。また、 国際的なスポーツイベントである東京2020大会が渋谷区内で開催されること に伴い、訪日外国人や障がい者のより一層の増加が見込まれることから、来街者 の多様性に応じたコミュニケーション方策等、きめ細やかな対応も求められる。 渋谷消防団では、これまでも地域のために様々な警戒活動を実施してきたところ であるが、東京2020大会の成功に向け、消防団を取り巻くこれら諸課題の解決 を図り、消防団の活動能力を更に強化していくための具体的な方策について検討し、 提言するものである。 第2 東京2020大会に向けて検討すべき事項 1 長期間にわたる広域かつ大規模な警戒活動の実施 東京2020大会は、特別区内を中心に複数の競技会場で広範囲に実施される ことから、広域かつ大規模な警戒活動を実施する必要がある。大会期間中は、競 技会場及びその周辺だけでなく、来街者の宿泊先や繁華街等でも相当の混雑が予 想されることから、災害発生時における人的・物的被害を最小限度にとどめるた めには、あらかじめ災害対応に精通した警戒要員と装備資機材を、数多く準備し ておく必要がある。 また、メイン会場である新国立競技場は、渋谷区と新宿区にまたがり、港区の 明治神宮外苑にも隣接していることから、複数の消防団が協力して警戒活動を実 施することが予想される。

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3 加えて、警戒活動が長時間に及ぶことが予想されるため、警戒活動に従事する 消防団員の負担軽減方策も検討しておかなければならない。 2 訪日外国人の増加 日本政府観光局(JNTO)が公表している近年における訪日外客数の推移を 見ると、2006年には約733万であったものが、2016年には約2,40 4万人となっており、急激に増加している。渋谷消防団では、訪日外国人の増加 傾向を踏まえ、外国語を話すことができる者を特殊技能団員として指定するなど 訪日外国人対策を推進しているところであるが、東京2020大会は、国際的な スポーツイベントであり、大会の開催に向けて訪日外国人のより一層の増加が見 込まれることから、訪日外国人対策の更なる強化が求められる。 3 障がい者への配慮 東京2020パラリンピック競技大会では、区内競技会場(東京体育館・国立 代々木競技場)で、パラ卓球、ウィルチェアーラグビー、パラバトミントンの3 種目が実施されるが、当該会場には、多数の障がい者の来場が予想される。東京 2020大会の基本コンセプトの一つである「多様性と調和」を実現する上でパ ラリンピック競技大会の成功は極めて重要な要素であり、「ちがいをちからに変え る街」を標榜する渋谷区の消防団としても、障がい者に配慮した各種活動が期待 されている。 4 夏季対策 東京2020大会は、7月下旬から9月上旬にかけて開催されることから、熱 中症の傷病者が多数発生することが予想される。 また、この時期は、台風が多く発生する時期であるほか、近年では、局地的な 短時間豪雨によって下水道等の排水・流水能力を超え、低地の冠水やマンホール からの逆流など都市型の水災も増加傾向にある。こうした夏季特有の災害への備 えについても充実させていかなければならない。 5 東京2020大会を契機とした組織基盤の強化 渋谷消防団では、他の消防団と同様に消防団員の減少及び高齢化が進み、入団 促進と活動力強化が喫緊の課題となっている。東京2020大会における警戒の 万全を期すためには、国際的なスポーツイベントである東京2020大会を契機 として更なる入団促進を図り、組織基盤の強化を図っていかなければならない。 第3 具体的な提言

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4 第2を踏まえ、消防団の活動能力を更に強化していくための具体的な方策につい て、次に掲げる事項を提言する。 1 広域かつ大規模な警戒活動を長期間継続できる体制の確保 (1) 情報通信用装備資機材 ア 消防団専用無線通信機(MCA無線機)の増強 特別区消防団専用に整備された無線通信機であり、災害現場等における情 報伝達に使用している。現在、団本部、団長、分団長、各消火班に配置され ているが、消防団は、分団単位に、副分団長の指揮のもと、情報収集班、消 火班、住民指導班及び消防隊応援班(分団区域内に消防署所がある場合のみ) をそれぞれ編成して活動することになっていることから、副分団長及び消火 班以外の班にも増強配置することが望ましい。また、団本部と分団施設間の 情報伝達体制を確実なものとするため、分団本部以外の分団施設にも配置す ることが望ましい。 イ 受令機の増強 受信専用の無線機であり、東京消防庁警防本部からの災害情報を受信する ために使用している。消防団の情報収集手段の一つとして、現在、団長、副 団長、分団長及び可搬ポンプ積載車に配置されているが、災害時の活動体制 では、副分団長の指揮のもと各班を編成して対応することになっていること から、消防団員による災害出場の迅速性向上を図るため、副分団長にも配置 することが望ましい。 ウ 携帯型情報収集端末の新規配置 対象区域が広範囲に及ぶ警戒を効果的に実施するためには、災害や傷病者 等の発生場所を警戒本部で早期に把握することが重要である。スマートホン 等、GPS機能を有する携帯情報端末が広く普及している現在の状況を踏ま えると、消防団の警戒活動においても、こうした技術の進歩を反映させてい く必要がある。例えば、位置情報機能を装備した携帯型情報収集端末を全団 員に配置するなど、警戒活動の高度化を図っていくことが望ましい。 エ 遠隔操作可能な無人マルチコプター(通称「ドローン」)の新規配置 近年、我が国でも遠隔操作可能な無人マルチコプター(通称「ドローン」) の普及が進んでいる。対象区域が広範囲な警戒活動を効果的に実施するため には、災害がどこで、どのように発生しているかを正確に把握することが重 要であり、全体の状況を俯瞰して把握できるドローンは、情報収集の観点か ら非常に有効であると考えられる。また、ドローンは、緊急性を要する物資 輸送にも使用することが可能であり、例えば、傷病者発生地点までAED(自 動体外式除細動器)を輸送するなど、警戒活動においても有効に活用できる と考えられる。

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5 オ 情報通信用装備資機材の取扱いの習熟を目的とした教育訓練の充実 情報通信用装備資機材については、各種訓練や警戒活動での使用を通じて 取扱いの習熟を図っているところであるが、東京2020大会では、無線機 を通じてやりとりされる情報量が非常に多いと予想される。よって、簡潔な 表現で情報を端的に伝達する能力を更に高めていくため、情報通信用装備資 機材の焦点を絞った教育訓練が必要である。 (2) 消火用資機材 ア 可搬ポンプの更新期間の短縮 搬送台車又は可搬ポンプ積載車に積載されたB-2級消防ポンプであり、 消火活動に使用している。現在、分団施設毎に配備されているが、更新期間 が概ね10年となっており、古いものは頻繁に不具合が発生している状況で あることから、更新期間の短縮を図っていく必要がある。 イ 可搬ポンプ積載車の増強 車両には赤色灯とサイレンが装備され緊急走行が可能となっており、災害 出場や各種警戒、広報活動等で使用している。現在、第1、第3、第6、第 7、第8、第11分団に配置しているが、消防団の機動性向上のため、未整 備分団にも早急に配置していくことが望ましい。特に、受持区域内に競技会 場の一つである東京体育館が存在する第5分団は、東京2020大会が開催 される前までに配置を完了しておくことが望ましい。 ウ スタンドパイプの新規配置 消火栓に差し込み、ホースと管そうを結合することで、毎分100ℓ以上 の放水ができる消火用資機材である。消火用資器材としては軽量で操作も簡 単であり、狭隘地域や木造住宅密集地域では、火元直近の消火栓・排水栓を 活用した有効な消火活動が実施できる。現在、消防団には配置されていない ことから、分団施設毎に配置していくことが望ましい。 (3) 救助救急用資機材 ア 携帯型油圧救助器具の増強 拡張操作と切断操作により閉所からの救助活動等で使用している。現在、 各分団に配置されているが、分団施設毎の配備が望ましい。 イ 救急カバンの増強 各種災害や警戒等において、傷病者が発生した際の応急救護活動で使用し ている。現在、各分団に5個づつ配置されているが、消防団員が救急事案に 遭遇した場合に直ちに応急救護能力を発揮できるように、警戒員全員が携行 できるよう配置することが望ましい。 ウ AED(自動体外式除細動器)の新規配置 AEDは、心臓に電気ショックを与えて元の正しいリズムに戻すための医 療資器材である。学校や駅等、設置場所が増えているものの、現在のところ

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6 消防団施設には配置されていない。高い救命効果が見込まれることから、少 なくとも分団本部毎に配置することが望ましい。 エ 各種救助資機材の新規配置 閉所からの救助においては、障害物等を取り除いていく必要があるが、そ の局所的な破壊活動を効果的に実施するため、消防署隊に配置されているエ ンジンカッター、油圧切断機、削岩機等の装備資機材を消防団隊にも配置し ていくことが望ましい。 なお、新たな装備資機材が配置された場合には、その取扱いの習熟を目的 とした教育訓練が必要となる。 (4) その他 ア 携帯拡声器の増強 衆人環視や喧噪の中で活動する消防団が、簡潔・明瞭に命令伝達等を行う ために配置されている装備資機材であり、災害活動や防火防災指導時に使用 している。現在、団本部と分団施設毎に配置されているが、消防団は、分団 単位に、副分団長の指揮のもと、情報収集班、消火班、住民指導班及び消防 隊応援班(分団区域内に消防署所がある場合のみ)をそれぞれ編成して活動 することになっていることから、副分団長及び消火班以外の班にも増強配置 することが望ましい。 イ 組立水槽の増強 軽量で折り畳み式のため、収納・運搬が容易となっており、災害活動や防 火防災指導時に使用している。現在、分団単位に配置されているが、組立水 槽は、遠距離送水時の中継水利として活用することが可能であり、大規模災 害の発生を見据えると、分団施設単位に設置することが望ましい。 ウ 消防機動力の充実 渋谷消防団では、平成16年4月に渋谷区から原動機付自転車を配置され、 情報収集用バイク(通称「赤バイ」)として運用しているところであるが、配 置から11年以上が経過しており、頻繁に不具合が発生するなど、修繕等の 対応に苦慮している状況にある。対象区域が広範囲に及ぶ警戒活動を効果的 に実施するためには、迅速に災害現場に駆け付けることが重要であり、相当 の混雑が予想される競技大会開催中は、自動二輪車等、機動性に富む移動手 段が望ましい。車種にあっては、震災や爆破テロ等により道路が損傷してい る状況であっても走行できるよう、オフロードタイプが望ましい。 なお、新たな消防機動力が配置された場合には、その取扱いの習熟を目的 とした教育訓練が必要となる。 エ 活動環境の整備 消防団の拠点施設は、車両や資器材の収納場所であり、消防団員の教育・ 訓練の場であり、各種会議の実施場所でもあるが、同時に、大規模災害時に

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7 は、長期間活動を継続するための活動拠点にもなる施設である。特に分団 本部施設については、分団の活動を支える拠点となるものであることから、 早期に全分団への整備が完了するよう計画的に推進していく必要がある。 オ 警戒活動に従事する消防団員の負担軽減 東京2020大会では、長時間の警戒活動が予想されることから、競技会 場等に消防団員が休息できるスペースを確保する必要がある。また、休息ス ペースには、警戒員が適宜水分等の補給を実施できるよう飲料水等を準備し ておくことが望ましい。 カ 他の消防団との連携や災害対応に関する教育訓練 都市部では、建築物が区境を越えて連坦しており、一度大規模、災害が発 生すると、各消防団の垣根を越えて連携した災害活動が必要となる。渋谷消 防団では、隣接消防団と顔の見える関係を構築していくため、区境に木造住 宅密集地域が存在している中野消防団と平成27年度から合同訓練を実施 しているが、渋谷消防団は、この他にも赤坂、麻布、高輪、品川、四谷、新 宿、目黒、世田谷、杉並の各消防団とも隣接しており、これらの消防団との 合同訓練についても順次実施していく必要がある。 特に、東京2020大会のメイン会場である新国立競技場で実施する警戒 活動については、複数の消防団が協力して実施することが予想されることか ら、他団との連携に齟齬を来さないようあらかじめ警戒計画を策定し、連携 要領等に習熟するための教育訓練を実施していく必要がある。 2 訪日外国人対策の強化 (1) 消防団員の語学能力の向上 ア 外国語能力向上(外国文化の理解を含む。)に資する教育訓練の実施 訪日外国人の増加傾向を踏まえ、消防団員の外国語能力向上を目的とした 専門的な教育訓練を実施していく必要がある。 なお、消防団員の外国語能力の向上にあたっては、外国文化の理解が欠か せないことから、当該教育訓練は、外国文化の理解を促進する内容であるこ とが求められる。 イ 語学に堪能な消防団員の入団促進 現役消防団員の外国語能力向上と併せて、日本国籍を取得した外国人等、 語学に堪能な消防団員の入団についても積極的に促進していく必要がある。 (2) コミュニケーション支援資機材の充実 ア コミュニケーション支援ボードの新規配置 日本語によるコミュニケーションが難しい方々が、イラストを指差すこと で自分の意思を伝えるツールとなるコミュニケーション支援ボードの普及

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8 が日本各地で進んでいる。東京2020大会で災害等が発生した場合にもス ムーズに意思疎通が図れるよう消防団員用のコミュニケーション支援ボー ドを作成し、配置していく必要がある。 イ 翻訳アプリがインストールされた携帯端末の新規配置 スマートホン等に、GPS機能を有する携帯情報端末が広く普及している 現在の状況を踏まえると、消防団の警戒活動においても、こうした技術の進 歩を反映させていく必要がある。例えば、位置情報機能を装備した携帯型情 報収集端末を全警戒員に配置するなど、警戒活動の高度化を図っていくこと が望ましい。 ウ コミュニケーション支援資機材を活用するための教育訓練の実施 コミュニケーション支援資機材が配置された場合には、その取扱いの習熟 を図るための教育訓練が必要となる。 (3) 大規模災害発生時における訪日外国人の避難誘導のあり方に係る検討の推 進 3 障がい者に配慮した警戒活動の実施 (1) 消防団員の障がい者対応能力の向上 ア 障がい者対応能力向上(障がい者の心情理解を含む。)に資する教育訓練 の実施 東京2020パラリンピックの開催を見据え、手話等、消防団員の障がい 者対応能力向上を目的とした専門的な教育訓練を実施していく必要がある。 なお、障がい者対応能力の向上にあたっては、障がい者の心情理解が欠か せないことから、当該教育訓練は、障がい者の心情理解を促進する内容であ ることが求められる。 イ 障がい者対応に精通した消防団員の入団促進 現役消防団員の障がい者対応能力の向上と併せて、障がい者支援施設で勤 務する職員等、障がい者対応に精通した消防団員の入団についても積極的に 促進していく必要がある。 (2) コミュニケーション支援資機材の充実 ア コミュニケーション支援ボードの新規配置 文字や話し言葉によるコミュニケーションが難しい方々が、イラストを指 差すことで自分の意思を伝えるツールとなるコミュニケーション支援ボー ドの普及が日本各地で進んでいる。東京2020大会で災害等が発生した場 合にもスムーズに意思疎通が図れるよう消防団員用のコミュニケーション 支援ボードを作成し、配置していく必要がある。

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9 4 夏季対策の強化 (1) 保冷剤の新規配置 保冷剤は、物体を低温に保つために用いられる薬剤であり、人体に対しては、 後頭部、首筋、腋窩部、鼠蹊部等、体表面近くの血液豊富な血管近傍を冷やす ことにより人体のアイシングやクーリング等の目的で使用される。現在、消防 団には配置されていないが、携行しやすく、熱中症患者の悪化防止に高い効果 が見込まれることから、分団施設毎に配置することが望ましい。 (2) 排水ポンプの新規配置 排水ポンプは、台風やゲリラ豪雨による冠水、浸水等が発生した場合に、そ の被害を最小限に抑えるために使用される資器材である。現在、消防団には配 置されていないが、水災発生時の被害低減に高い効果が見込まれることから、 少なくとも分団毎に配置することが望ましい。 (3) 冷却ベストの新規配置 冷却ベストは、消防署隊に配置されている装備資機材であり、活動隊員の体 温上昇の抑制に効果のある装備資機材である。現在、消防団には配置されてい ないが、長時間警戒活動に従事する消防団員の熱中症予防に高い効果が見込ま れることから、警戒員全員に配布できるよう配置することが望ましい。 (4) 給(貸)与品の増強及び改良 東京2020大会では、連日の警戒が予想されるが、各消防団員に給(貸) 与された被服の員数では、長期間警戒を実施するには十分とは言えない。警戒 活動は、原則として正服で実施することとされていることから、夏場の発汗を 想定して、男性用の夏帽及び夏服並びに女性用の冬帽及び夏服は、少なくとも 2着以上配置する必要がある。また、吸汗速乾素材や接触冷感素材といった最 先端の高機能繊維を使用するなど、給(貸)与品の改良を行い、快適性の向上 を図っていく必要がある。 5 東京2020大会を契機とした積極的な入団促進 (1) 消防団員のステータス向上 国際的なスポーツイベントである東京2020大会において警戒活動を実 施することは、消防団の威信を高める一助となるものであり、例えば、東京 警戒用員専用のユニフォームやワッペンを作成するなど、東京2020大会を 好機ととらえた消防団員のステータス向上を図っていく必要がある。

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10 (2) 協賛企業への働き掛け 東京2020大会の開催にあたっては、多数の企業から協賛の申し出がある と予想されるが、これらの企業に対して消防団の活動を丁寧に説明し、従業員 の入団促進について理解を得ていく必要がある。 第4 今後の課題 1 消防団員の負担軽減を考慮した警戒内容の検討 現在、消防団は、災害出場のほか、防火・防災指導や応急手当の普及啓発、地 域の祭礼に伴う消防特別警戒の実施など、昼夜を分かたず活動している。消防団 員は、特別職の地方公務員であり、それぞれ生業を持ちながら、崇高な使命感を 持ってこれらの活動を実施しているが、現行の態勢では、日々の活動を継続して いくことが精一杯であり、これ以上の負担増は物理的に対応できないとの意見も ある。東京2020大会消防特別警戒において各消防団が担う職務は、このよう な状況を踏まえて検討が進められるべきである。 2 消防団員が担う責任・権限の明確化と視える化の検討 東京2020大会では、テロ災害の発生も切迫性を持って懸念されており、消 防職員と消防団員が担う責任と与えられる権限は、自ずと異なるものになると予 想されるが、この違いが、対外的にも明示される必要がある。例えば、消防団員 は、「ファイヤーボランティア」と明記されたビブスやワッペン等を着用するな ど、消防職員と消防団員の違いが、来場者にも視覚的に識別できるようにしてお くことが望ましい。 3 震災等大規模災害発生時における旅行者等の誘導のあり方の検討 訪日外国人の増加に伴い、旅行者等が一般の住宅に宿泊する、所謂「民泊」の 増加も懸念される。震災等大規模災害が発生した場合、旅行者等は、帰宅困難者 として取り扱われることが予想されるが、誰が、どのようにして、彼らを帰宅困 難者支援施設に誘導するのか、現時点では必ずしも明確になっていない。住宅宿 泊事業法の成立など、「民泊」に係る関係法令等の整備が進められているところ であるが、震災等大規模災害時における旅行者等の誘導のあり方についても、関 係機関の間で検討が進められることが望ましい。 第5 まとめ 東京2020大会は、国際的なスポーツイベントであり、渋谷消防団がプレゼン スを発揮し、大会開催期間中の災害の未然防止と災害発生時における人的・物的被

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害を最小限にとどめていくことは、渋谷区の安全・安心に資するものである。 東京2020大会の警戒活動において、消防団がその組織と機能を最大限に発揮 するために、前述の活動能力強化方策を具現化していくことが必要であると提言す るものである。

参照

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