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もちろん単独では診断も除外も難しいが それ以外の所見はさらに感度も特異度も落ちる 所見では鼓膜の混濁 (adjusted LR, 34; 95% confidence interval [CI], 28-42) や明らかな発赤 (adjusted LR, 8.4; 95% CI, ) が

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Academic year: 2021

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急性中耳炎の診断(110207)

小児の中耳炎の診断は結構奥が深いと思う・・・。「中耳炎がありそうです。」と説明したところ、 「耳鼻科に行ったら何でもないと言われました。」とか、「中耳炎はなさそうです。」と説明したとろ、 「耳鼻科で中耳炎になりかけていると説明されました。」とか、反対の説明を受けることが度々・・・。 基本はそれほど外していないような気もするけれど・・・これを機会に中耳炎の診断について復習 をしてみることにした。

急性中耳炎の診断にあたり、American Academy of Pediatrics (AAP)/American Academy of Family Physicians (AAFP)のガイドラインには、急性発症の病歴、中耳の浸出物の特定、中耳の 炎症症状/所見の評価を行うことが記されている。どれも重要な項目であることは分かるが、これ だけだと、所見の重要度が分からない。

To diagnose AOM the clinician should confirm a history of acute onset, identify signs of middle-ear effusion (MEE), and evaluate for the presence of signs and symptoms of middle-ear inflammation.

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ROCKY NOTE http://rockymuku.sakura.ne.jp/ROCKYNOTE.html

もちろん単独では診断も除外も難しいが、それ以外の所見はさらに感度も特異度も落ちる。所見 では鼓膜の混濁(adjusted LR, 34; 95% confidence interval [CI], 28-42)や明らかな発赤(adjusted LR, 8.4; 95% CI, 6.7-11)が診断に有用。正常の色調(adjusted LR, 0.2; 95% CI, 0.19-0.21)であれば 否定に有用。気密耳鏡検査をやったことがある方なら分かると思うが、これは結構判断が難しい と思う。専門医ならともかく、プライマリ・ケア医が判断するとかなり感度も特異度も落ちると思うの で、個人的にはこれでは判断しないことにしている(というか、この手技の習得は半分諦めてい る・・・)。

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(参考文献 2 より引用) なんだか、明らかな場合以外は決め手に欠けてすっきりしない。日本のガイドライン(参考文献 3)では「CQ19-1:急性中耳炎は,どのような状態のときに診断されるか」という項目で以下のよう な推奨がされている。 急性中耳炎は、以下に挙げられるような鼓膜所見が認められるときに診断され、鼓膜の詳細な 観察が不可欠である(図 8 に代表的な鼓膜所見 上出 2003)。(推奨度 B) 鼓膜の発赤、膨隆、光錐減弱、肥厚、水疱形成、混濁、穿孔 中耳腔の貯留液、耳漏、中耳粘膜浮腫

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ROCKY NOTE http://rockymuku.sakura.ne.jp/ROCKYNOTE.html  炎症による鼓膜の発赤も高頻度に観察されるが、啼泣や高熱により誘発された発赤、ウイル ス性中耳炎と鑑別する必要がある。  1 歳未満の乳児における急性中耳炎では膨隆が認められるにもかかわらず、発赤がほとん どみられない場合もある。  耳鏡検査で、急性中耳炎に関連する中耳貯留液や炎症を示す所見がみられた場合には診 断はほぼ確定である。 図 8 急性中耳炎の代表的な鼓膜所見 (参考文献 3 より引用) http://minds.jcqhc.or.jp/stc/0040/1/0040_G0000233_0029.html

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(Trommelfell Wikipedia より引用。せっかくなので、正常 の鼓膜所見と比較して目に焼き付けておきたい。)

http://de.wikipedia.org/wiki/Trommelfell

等のような記載がある。所見があればほぼ確定と言うことだが、THE RATIONAL CLINICAL EXAMINATION の記載のとおり、所見の特異度は高いということだと思う。もちろん、所見をとって、 判断する医師の側のスキルには大きく依存すると思うので、研鑽を重ねる必要はある・・・。 慣れていないと、発熱時は子供のほとんどは鼓膜が若干赤いので、これで間違える可能性があ る、鼓膜の発赤は発熱や啼泣だけでも認められることがあると言われている(参考文献 4)ので、 注意が必要。 客観的な指標としてはティンパノメトリーが挙げられると思うが、それらの検査特性はどうなって いるのだろうか。前述のガイドラインには以下のような記載がある。 急性中耳炎が詳細な鼓膜観察によって診断された後に行われる検査で、中耳貯留液の有無を 推測する際に用いることを推奨する。(推奨度 B)

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ROCKY NOTE http://rockymuku.sakura.ne.jp/ROCKYNOTE.html  しかし、チンパノメトリーでは貯留液の存在は確認できるが、急性中耳炎の急性期あるいは 炎症の消褪期といった時期の判定はできず、詳細な鼓膜所見の観察が必要となる。  また、急性中耳炎は、滲出性中耳炎より、罹患者が低年齢であり、痛みを伴った場合や、耳 垢塞栓、啼泣、外耳道の密閉不全、検査の協力を得がたいなどで、チンパノメトリー検査を施 行しにくい点を考慮する必要がある。  さらに、チンパノメトリーを用いて鼓室貯留液の推定を行っても、抗菌 薬投与の比率は変化 しなかったという報告(Spiro et al. 2004)もあり、その信頼性は限定的としている臨床医もみら れる。 ティンパノメトリーと中耳の液体貯留などに関しては滲出性中耳炎の項目でもう一度勉強し直し てみる。 いずれにしても、明らかな所見があれば確定診断、全く所見が無ければ可能性はかなり下がる。 もちろん、耳痛などの症状があれば、微妙な所見と合わせても確率はかなり上がりそう。微妙なと ころはやっぱり微妙で、時間を診断に有効に使うのが現実的と思う。「耳鼻科に連れて行った方が 良いですか?」という質問に対する答えは難しいが、おそらく、問題は診断とか除外とは別のとこ ろにもありそうなので、もう少し頭を冷やしてからもう一度考えてみたい。 参考文献

1. American Academy of Pediatrics Subcommittee on Management of Acute Otitis Media. Diagnosis and management of acute otitis media. Pediatrics. 2004 May;113(5):1451-65. 2. Rothman R, Owens T, Simel DL. Does this child have acute otitis media? JAMA. 2003 Sep

24;290(12):1633-40.

3. 日本耳科学会,日本小児耳鼻咽喉科学会,日本耳鼻咽喉科感染症研究会.小児急性中耳炎

診療ガイドライン 2009 年版

http://minds.jcqhc.or.jp/stc/0040/1/0040_G0000233_GL.html

参照

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