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日本鉄鋼業の労使関係と鉄鋼労働者像

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(1)

日本鉄鋼業の労使関係と鉄鋼労働者像

著者

十名 直喜

雑誌名

研究年報

8

ページ

33-115

発行年

1995-12-30

URL

http://doi.org/10.15012/00000854

Copyright (c) 1995 十名直喜

(2)

日本鉄鋼業の労使関係 と鉄鋼労働者像

【日

次】

1.は

じめに

2.日

本の鉄鋼労働者像 (1)日 本型鉄鋼労働者像の基本形

-70年

代の鉄鋼労働者像 一 ① 国際比較調査にみる鉄鋼労働者像 ② 鉄鋼労連等の意識調査 にみる鉄鋼労働者像 (2)80年代における鉄鋼労働者像の変容

3.日

本型鉄鋼労使関係論 (1)鉄鋼労使関係分析の視角 ① 鉄鋼労使関係にみる光 と影 ② 鉄鋼労使関係分析への視点 (2)日 本型鉄鋼労使関係の構造 と機能 ① 機能主義的アプローチ とその到達点 ② 組合民主主義的アプ ローチ とその今 日的意義 ③ 総括

4.鉄

鋼労使関係の歴史的変遷 (1)鉄鋼労使関係の歴史的区分をめ ぐって (2)鉄鋼労使関係の画期

5.お

わ りに 一 総括 と展望 一

1.

は じめ に 労使協調

,ス

トな し「一答回答」 に象徴 され る「 日本的労使関係」は

,1970

年代か ら80年代 中頃にかけては内外か ら高 く評価 された。敗戦や石油危機 な ど種 々の危機 を乗 り越 え

,国

際的に も比類のない高度成長や国際競争力を築 き

(3)

34 名 古屋学院大学研究年報 上 げる主要な原動力の一つ とみなされたか らである。 この「 日本的労使関係」の形成・確立に大 きな影響力を及ぼ し

,そ

れ を主導 して きた もの として

,

きわめて「 日本的」 な特徴 を有す る鉄鋼労使関係 を上 げ ることがで きる。 これを日本型鉄鋼労使関係 と呼ぶ ことにす る。 やがて

,80年

代後半か ら90年代 を迎 えて

,

日本の大幅 な貿易黒字構 造 な ど を背景 に国際経済摩擦や急激 な円高が進行す る。国内において もバブル経済の 崩壊や政・官・ 財の癒着問題,サラ リーマ ンの過労死問題 な ど「企業 中心社会」 としての種 々の病理現象が噴 出 し

,

日本の社会経済 システムがは らむ負の側面 が露呈す るに至 った。その システムの担 い手 としての「 日本的労使関係」に対 して も内外か ら懐疑 と批判の眼が注がれている。 小論では

,こ

の「FI本的労使関係」の先駆 をな し上台 ともなったIl本型鉄鋼 労使関係 とは何か

,歴

史的にどの ように形成 され今 日に至 っているか

,そ

れは 今 日どの ような課題 を抱 えているか等 について

,先

行業績 を手がか りに しなが らアプ ローチす る。 さらに, Fl本型鉄鋼労使関係の下 における日本の鉄鋼労働 者像 とは何か

,そ

れは国際的にみて, また他産業 と比較 して どの ような特質 を もち

,今

日どの ように変容 して きているか, といったテーマについて も明 らか にす る。 そ して

,こ

れ らのテーマについて,「戦後50年」 とい う大局的 。歴 史 的な視点か ら総括 を試み るものである。 2。 日本 の鉄 鋼 労働 者像

(1)日

本鉄鋼 労働 者像 の基 本形

-70年

代 の鉄 鋼労働 者像 一 ① 国際比 較調 査 にみ る鉄鋼 労働者像 国際社 会科 学協議 会 は

,1970年

代 の 半 ば に 日米欧 10ヵ 国の鉄鋼労働 者 を対 象 に調査 し

,そ

の うち調査 結果 を入手 した8ヶ国 につ いて ま とめ た。 この国際 比較調 査 は

,対

象 人数 は少 な い (表

1)も

の の

,70年

代 半 ば にお け る 日本 の 鉄鋼労働者像 の国際的特 質 を浮かび 上が らせ てお り

,興

味深 い もの とな って い る。

(4)

1

調査対照職場 と労働 者 注 :国 際社会科 学協議 会 日本委員会 は、鉄鋼連盟 な らび に鉄鋼労連 の協 力を得て、1974年12月∼75年 1月 に本調査、1975年12月 ∼ 76年 1月 に追調査 を実施 した。 日本の調査対 象 は、新 日本製鉄・ 君津製鉄所 、川崎 製鉄・ 千 葉製鉄所、住友金属・ 鹿 島製鉄所、神戸製鋼 。加古川製鉄所、 新 日本製鉄 。名古屋製鉄所、 日本鋼管・ 福 山製鉄所 で あ る (調 査 日程 順)。 出所 :国 際社会科学協議 会 [1984]『鉄鋼労働者の国際比較調査』京 都大学経済 研究所 、29ペ ー ジ。 国 会社数 工場数 職 場 数 。種 類 労働者数 オ ー ス ト リ ア 1 2 分 熱 塊 延 2 2 244 フ ィ ン ラ ン ド 1 1 連 製 条 中 鋳 鋼 鋼 板 1 1 1 1 132 ス ウ ェ ー デ ン 1 1 連

鋳 4 ブル ー ミング

3

延 6 109 フ ラ ン ス 1 1 連 製 鋳 鋼 1 1 97 西 独 1 1 連 製 分 執 鋳 鋼 塊 延 1 1 1 2 136 ユ ー ゴス ラ ビア 熱

延 3 105 英 国 分 塊 2 163 日 本 5 6 分 執 塊 延 6 6 217

(5)

36

名古屋学院大学研究年報 日本の鉄鋼労働者 の評価 が高 いの は

,労

働 の 内的体験 にか かわ る諸項 目であ る。 まず

,表

2にみ られ るように能力開発お よびその活用に関 しては

,

日本 に

2仕

事 関 連 意 識 オース トリア フ ィン ラ ン ド スウ ェ ーデ ンフランス西 独 ュ ー ゴ 共 同「

1

本 仕 事 の 面 riさ 仕 事 の 変 化 5.6 6.1 竹: 自 繊i・ 性 判 断 の 余 地 責 任 の 度 合 持 場 の 離 脱 結 果 を 知 る 機 会 十 + ∼* ∼* 6.2 6.9 3.9 5.9 育ヒ ノJ 開 ,手 ;こ `口 ″ 用 知 識 活 用 の 機 会 工 夫 の 余 地 新 しい事 を学 ぶ 必 要 能 力 仲 張 の 機 会 技 能 仲 張 の 機 会 教 養 向 上 の 機 会 + 5.6 6.3 7.0 5.5 5_4 4.6 関 同 僚 と 係 の 仕 事 中 の 会 話 頻 度 互 に 助 け あ う 度 合 同 僚 へ の 関 心 度 合 十 十 十 十 十 5.9 6.8 6.0 l由: 属 の と 監 の 瞥 関 拷 係 │^分 な 指 示 説 明 仕 事 を ま か せ る 話 しを聞 い て くれ る 出 来栄 の 公111な評 価 l・分な技 能をもっている 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 +十 十 + 5.3 6.7 6.8 5.8 6.5 労 ′

_働

11= ィ4 業 馨 木 と │ト 作

量 肉 体 的 き つ さ ホ青 ネ申的 き つ さ 安

全 就 業 時 間 の 都 合 作 業 環 境 十 十 十 十 + 十 十 + 十 十 十 十 十 十 十 +十+ 十 + 4.0 4.7 3.6 3.3 3.7 3.0 労 そ 働 の 条 他 件 の 賃

金 雇 用 保 証 昇 進 の 可 能 性 + + 十 十 4.5 7.2 3.7 (注)・ [I本の欄 にあるのは平均値 であ る。 その とき1点 (最も否定的)∼ 5点 (中間) ∼9点 (最も肯定的)の値 をとる。一――>――>―で 日本 よ り否定的、 十十十

>++>十

で より肯定的 なこ とを意味す る。 ・*印 :イ ギ リスはこれに該 当す る設間がない。 出所 :国 際社会科学協議会 [1984]前掲書、29∼ 30ペー ジ。

(6)

比べ て他 の7ヶ国 の評価 が 目立 って低 い。特 に「工夫 の余地」「新 しい こ とを学 ぶ必要性 」 の項 目で

,そ

の傾 向が顕著 にみ られ る。 提 案 活動 の体験 と会 社 に よるその受理機 会 が際立 って高 いの も

,

日本 の特徴 で あ る。図1にみ る ように提 案経験 者 は三分 の二 にのぼ ってお り

,他

の7ヶ国 の2∼

3倍

の 高 い比 率 とな って い る。会 社 に よ る提 案 の受 理機 会 も

5割

に達 し

, 1∼

2割強 の レベ ル に とどまる他の 7ヶ 国 を引 き離 してい る (表 3)。 この 0 50 100% オ ース トリア フ ィン ラン ド ス ウ ェーデ ン フ ラ ン ス 西

独 ュ ー ゴ 英

国 日

本 23.4% 22.9 27.5 34.0 27.9 27.6 31.3 66_8 前掲 書 、38ペー ジ。 出所 :国 際社会科学協議会 〔1984〕 図

1

提案経験者 表

3

提案の受理 出所 :国 際社会科 学協議 会 [1984]前掲 書 39ペ ー ジ。 受 い け く 1‐つ へ i 」^ クリ ら

L

れ葉

た が ら 全 れ く な 受 か け つ 人 た れ 日 ド 検 討 11 分 ら な し オー ス トリア 15.6 4.1 2.5 77.8 フ ィンラ ン ド ll.4 4.5 7.6 76.5 ス ウ ェー デ ン 21.1 1.8 0.9 76.2 フ ラ ン ス 17.5 8.2 7.2 67.1 西 独 21.3 4.4 1.5 72.8 ゴ 20.0 2.9 8.6 68.5 英 国 14.7 6.7 8.0 70.6 Il 本 50.2 3.7 4.1 41.9

(7)

38 名古屋学院大学研究年報 両項 目は

,他

のすべての項 目の内で も際立 った特質 を示す ものである。 これ らは

,日

本の労務管理 における「能 力開発的 アプ ローチ」(1)の側面 を 如実に反映 した もの といえよう。労働の内的体験 にみる日本の鉄鋼労働者の高 い水準 は

,学

歴や知識・技能水準の高 さや労働意欲の高 さのあ らわれであると 共 に

,そ

う した活動や機会が また労働意欲 を刺激 し高め る とい う関係 に もあ る。 他方

,作

業負荷

,監

督者の項 目については 日本の評価 は必ず しも高 くない(表 2)。高い責任感 と緊張

,仮

睡の出来ない夜動 を伴 う

3交

替労働 な どは

,作

業負 荷 に対す るマ イナス評価の背景 とみ られ る。 職場の インフ ォーマルな人間関係 については

,

日本の場合

,表

4にみ るよう に同僚 との人間関係の親密 さが示 されている。役付 との人間関係 について も日 常的に非常に濃密である一方,役付の差別的態度 を強 く意識 している。これは, 作業長制度の下で人事権 を役付 に握 られてお り

,役

付の査定によって昇進・昇 格な どが決定的 に左右 され るとい う「能力主義管理」 システムによるもの とみ られ

,そ

れ を強 く意識 していることが うかがえる。 表

4職

場 の 人 間 関 係 オース トリア フ ィン ラ ン ド スウ ェ ー デ ンフランス 西 独 ュ ー ゴ英 国 日 本 の 同 関 僚 係 と 同僚 と仕 事 外 で 話 す 同 僚 間 の 招 待 十 2.8 2.0 関 役 小l ス タ フ と 係 の 役付との仕事外での会話 役 付 と の 食 事 役付との旅行やスポーッ 役 付 か ら の 招 待 役 付 の 差 別 的 態 度 + + 2.1 2.0 2.1 1.7 1.8 (注)加重平均値 (│1本の欄

)3点

:しば しば、 2点 :まれに、 1点 :まった くない 一― :│1本 に比べ頻度が非常に少ない、一 :や や少ない、 十 :や や 多い 出所 :国 際社会科学協議会 [1984]前掲書、30ペー ジ。

(1)石

田英 夫 [1976]『 日本の労使関係 と賃金決定』東洋経済新報社,172∼ 173ペー ジ。

(8)

「総合的な仕事の満足感」(表

5)に

ついては

,

日本は「満足」

(=「

非常に満 足」

+「

やや満足」)が

31.7%と

最 も低 く,「不満」

(=「

非常に不満」

+「

やや 不満」)が

19.8%と

最 も高 くなっている。「仕事の面白さ」や「仕事の変化」,「能 力開発 と活用」,「同僚 との関係」等に高い評価がみ られるにもかかわらず

,仕

事の満足感には結びついていない。「労働負荷 と作業条件」や「直属の上司 と の関係」における評価の低さなどが

,強

い規定要因として作用する結果 となっ ている (表 2)。 表

5

総合 的 な仕事の満足感 不 lり] りI: 常 に 不 1商 や や 不 i両 い ど 、ム え 7 『 と い も や や ,商 足 リト 常 │こ 1両 足 12 均 値 オー ス トリア 1.2 0.4 3.7 26.2 33.6 34.8 3.9 フ ィンラン ド 3.0 0.7 7.6 45.5 39.4 3.8 3.3 ス ウ ェー デ ン 1.8 0.9 3.7 26.6 55.0 11.9 3.7 フ ラ ン ス 4.1 4.1 6.2 19.6 47.4 18.6 3.6 西 独 0.0 0.7 3.7 32.4 31.6 31.6 3.9 こと ゴ 0.0 0.0 4.8 40.0 45.7 9.5 3.6 英 国 2.5 4.3 11.0 39.9 28.8 13.5 3.3 ll 本 0.5 3.2 16.6 47.9 27.6 4.1 3.1 (注

)平

均値 の内容 は、「非 常 に満足」5点∼「非常に不満」 1点 である。 出所 :国 際社会科学協議 会 [1984]前掲 書 、31ペ ー ジ。 経 営 にお け る意思決 定へ の労働者 の要求 の フ ィー ドバ ックにつ いては

,表

6 にみ られ るように 日本 は低 い。 これ は

,労

使協議 制度の充実 を強調 す る労使 ト ップ の 発 言 とは対照的 で あ る。労使協議 制度 の内実が あ らため て間われ る とこ ろ とい え よう。 労働組 合 に対す る評価 に

,

日本 の低 さが際立 ってみ られ る。特 に「不十分」 とす る評価 が高 いの は,「 賃 金 。退職 金 。年 金 の改 善」(69.6%),「就 業 条 件 の

(9)

加重平均値 オ ー ス ト リア 7.4% 17.2 34.8 25.4 11.5 3.05 フ ィ ン ラ ン ド 17.5 25.2 42_7 10.7 2.4 2.51 ス ウ ェ ー デ ン 2.8 22.9 38.5 30.3 4.6 3.08 フ ラ ン ス 29.9 14.4 26_8 18.6 4.1 2.34 西 独 11.0 22.1 33.1 22.8 10.3 2.97 二L ゴ 1.9 18.1 34.3 37.1 8.6 3.32 米 │:」 21.5 26.4 28_2 14.7 5.5 2.45 日 本 13.8 44.7 32.7 7.8 0.5 2.35 40 名古屋学院大学研究年報 表

6 (会

社 は意思決定 の さい従 業員の要望 を十分考慮 してい ますか) (注

)(1)選

択肢番号の内容は、以下の通 りである。

1.全

く思わない

2.そ

う思わない

3.ま

あまあだ

4

5.全

くそ う思 う (2)加重平均値

=「

全 く思わない」の%× 1点+…

+「

全 くそ う思 う」の%× 5点 出所 :国 際社会科学協議会 [1984]前掲書、35ペ ージ。 そ う思 う 改善」(65.9%),「苦情処理や トラブル処理」

(65.9%)で

あ る (表 7)。職場 の 労働条件や処遇 などを決定す る最 も重要な項 目において

,国

際的にみて も際立 って低 い組合評価 は

,

日本の労働組合の組合 としての存在意義 とその実質的な 機能に対す る根底的な疑 間 と批判 を提起す るもの として注 目され る。 「総合的な組合満足度」 については

,オ

ース トリア

,ス

ェーデ ン

,フ

ィンラ ン ドが

50%水

,英

,西

,フ

ランス

,ユ

ー ゴスラビアが30∼

40%水

準で あ るの に対 し

,

日本の場 合

,15%水

準 と満足度が際立 って低 い。 これ につ い て,「不満足度が過半数 を越 え

,他

国 にはみ られない様相 を呈 している。 しか も

,同

時 に満足 している部分が きわめて少ない」 と評 している。(2)この重要 な データが図表 として公開 されていないのは残念である。 「 日本的労使関係」の典型 とみなされて きた鉄鋼労使関係 において

,そ

れを

(2)国

際 社会科 学 協 議 会 「 オ ー トメー シ ョン と工 業 労働 者― 鉄 鋼 業一 」プ ロ ジ ェ ク ト・ チ ー ム ロ本委 員会・ 研 究 者班 [1984]『 鉄 鋼労 働 者 の 国際比較 調 査 』京都大 学経 済 研 究所, 18ペー ジ。

(10)

賃金・退職金。年金 の改善 就業条件の改善 文化教育活動の推進 余‖r'保障 と レク リ エン ヨンの 充実 オース トリア 0.0 73 8 26.2 3.3 67 6 27.9 2.0 63 9 30.3 0.4 49 6 48.4 フ ィンラ ン ド 0.0 50 8 48.5 0.8 39.4 57.6 0.0 53 8 43.9 0.0 43.9 54.5 ス ウ ェーデ ン 0.0 59.6 38.5 00 38 5 60.6 0.0 67 0 28.4 0.0 61.5 33.9 フ フ ン ス 4.1 59 8 28.9 21 59.8 28 9 3.1 59 8 24 7 3.1 67.0 18.6 西 独 1.5 61.8 36.8 29 52.9 43 4 0.7 48.5 48 5 29 33.1 63 2 ゴ 54.3 45.7 0.0 44.8 54.3 10 16.2 83 8 00 26 7 72.4 1.0 英 国 1.2 62.6 36.2 1.2 52.8 44 8 1.8 37 4 57 7 18 35.0 62.0 日 本 0.9 28.6 69.6 2.3 31.3 65.9 218 48.8 47.9 18 32.7 65.0 表

7

組 合 活 動 の 評 価 (注)選択肢番号の内容は以下の通 り。 国家政策に 影響力行使 吉情処理や トラブル処理 仕事満足向上の ための仕事の再編成 33 72.1 19.3 0.8 58 6 37 3 1.6 70.1 25.4 2.3 53 8 40.2 0.8 68 2 25 8 0.0 30.3 67.4 1.8 64.2 26.6 0.0 56.9 40 4 0.0 44.0 49.5 13.4 46 4 17.5 8.2 67 0 17.5 0.0 51.5 36.1 51 55 1 35.3 2.2 54 4 42.6 0.7 55.1 43.4 152 80 0 3.8 35.2 64 8 0.0 28.6 71 4 0.0 141 51.5 29.4 2.5 718 24.5 0.6 46.0 52.1 51 50 7 42.9 0.0 34.1 65.9 0.5 43 3 55.3 出所 :国 際社会科学協議会 [1984]前掲書、48ペ ージ。 映 す鏡 で あ る労 働 組 合へ の評価 と満 足 度 の際立 った低 さは

,一

,何

を物 語 る もの で あ ろ うか。 ② 鉄鋼労連等の意識調査 にみ る鉄鋼労働者像

I

分析視角 1969年か ら81年にかけて

,鉄

鋼労連が傘下の企業連等が実施 した労働者の 意識調査 は

,

日本の鉄鋼労働者像の基本的特質 を浮かび上が らせ るもの となっ

1.必

要上

2.適

切 3. イく■‐′′)

(11)

42 名 占屋学院大学研究年報 て い る。 鉄鋼 労連 が第

1回

の包括的 な組 合 員意識調 査 を行 な ったの は

,1969年

の こ とで あ る。 この時期 は

,鉄

鋼 業 にお いて も

,鉄

鋼 労働運動 と して も「大 きな転 換期 」 にあた る。 すなわ ち

,60年

代後半 には新鋭製鉄所が相 次 いで稼働 し

,プ

ロセ ス・ コン ピュー タの本格的な導入 とあいまって

,生

産技術 と労働の形態 と内容が一変 し つつあった。企業間競争が激 しさを増 す中で

,1970年

には新 日鉄が誕生 し, 鉄鋼業 は「協調的寡 占体制」 を確立す る。 一方

,こ

れ らに対応 して

,労

務統括機構 の再編 。強化がはか られてい く。50 年代末か ら60年代前半 にかけてライ ン・ スタ ッフ制度 と作業長制度の導入が 進行 し

,そ

れ をベースに して66∼67年には

,鉄

鋼大手各社が職能的資格制度 を一斉に導入 し

,さ

らに小集団活動 を相次 いで開始 す る。70年には

4組

3交 替制が一斉に実施 され

,タ

イム レコー ダを廃止 して「現場面着制」に移行す る。 鉄鋼労働運動の右旋回が鮮明になるの も, またこの時期 であった。

1957,59

年の大 ス トライキ闘争 を契機 に活動 を公然化 した「労働組合主義」グループは, 経営側 の理解 と支援 を背景 に影響 力を拡大 し

,62∼

63年頃 には大手組合の主 導権 を掌握 す る。 さらに

,66年

には鉄鋼労連 内で も多数派 を占め るに至 り, 鉄鋼労連 は第33回大会 (66年

)で

IMF oJCへ

の加盟 を決定 した。68年には 宮田執行部が発足 し

,69年

の第41回大会 で安保 闘争不参加 と「第

1期

長期 賃金政策」 を決 定す る。72年には新 日鉄労連 が鉄鋼労連 に一括 加盟 し

,企

業 連 を軸 に鉄鋼労連の中央集権化が一層進行す る。 こうして60年代後半には「協 調的労使関係」が確立 した。それはまた

,鉄

鋼大手各社が労務統括機構 の再編 成や本工の要員「合理化」,社外工制度の拡大 を自在 に展開 しうる保障 ともなっ たのである。(3) 鉄鋼労連 に よる第1回の組合員意識調査 は

,ま

さにこ う した渦中 (69年) に行なわれた。これは,その後の精 力的な意識調査の端緒 をな した とい う点で, また右派執行部の本格的な政策 。要求造 りのデータとして利用す るというその

(3)道

又健治郎 [1978]「序論 戦後『合理化』 と鉄鋼業」道X健治郎編 『現代「l本の鉄鋼 労働問題』北海道大学図書刊行会。

(12)

後の原型 をな しているという点で も

,注

目され る。 「調査の 目的 と視点」につ いて

,次

の ように記 してい る。「最近の ように構 造変動がいち じる しい状況下 にあっては

,労

働者の意識 をより根底的 に

,

また より構 造的に とらえて全体像 とい うものを把握す る必要がある」。) ここで問われ るべ きは

,意

識調査 を行なう際の仮説のたて方 と質問事項

,調

査で得 られたデータの解釈の仕方

,そ

して何 よりも運動 にどの ように生か して い くか とい う点であろ う。仮説のたて方や質問事項 には種 々の制約 をは らみな が らも

,調

査結果や その分析 には貴重な示唆や教訓が随所 に合 まれている。む しろ

,そ

れ らが現場 を基礎 に した組合運動の再生の方向に十分 に生か されてい ない うらみがある。 鉄鋼労連の行なって きた一連の意識調査 (表

8)の

この ような制約 をふ まえ 表

8

鉄鋼労連 によ る労働者意識調査 略 ′; 調 査 li体 69 鉄 鋼 71 りII 鉄 73 鉄 鋼 教 宣 部 、 労 調 協 川 鉄 労 連 、労 調 協 調 査 部 組織 部 、 労 調 協 新 li鐵労 連 、 労 調 協 組織 部 、労 調 協 川 鉄 労 連 、 労 調 協 新 川餓 労 連 、 労 調 協 組織 部 、労 調 協 調 査 部 、労 調 協 調 査 部 、労 調 協 新 ‖鐵 労 連 、労 調 協 神 鋼 労 連 調 査 部 連 鐵 鋭 鉄 鐵 関 新 新 川 新 小 鋼 鐵 鐵 鋼 鋼 中 鉄 新 新 神 鉄 出所 :鉄 鋼労連・労働調査協議会編 [1980]『鉄鋼産業の労使関係 と労働組合』 日 本労働協会、477ペ ージ、「総合的意識調査報告」(79神鋼) 『鉄鋼新聞』

82.1.21∼

28付 (81鉄鋼)

(4)鉄

鋼 労連・ 労働 調査 協議 会編[1980]『鉄鋼 産業 の労 使 関係 と労働 組 合』Fl本労 働協 会, 4ペー ジ。 調 査 名 実施ll,期

(繁

1畿 ) 発表 時 期 意 識 調 査 意 識 調 査 賃 金 と生 活 につ い て の 意 見 と要 求 関 連 組 織 調 査 意 識 調 査 新 鋭 製 鉄 所 組織 調 査 意 識 調 査 組 合 活 動 を中心 と し た意 識 調 査 中 小 組 織 調 査 査 査 調 調 識 識 意 意 政 政 査 介 調 調 識 識 意 意 意 識 調 査 1969. 10 1971. 1 1973. 8 1974. 8 1974. 10 1976. 1 1976. 12 1977. 7 1978. 2 1978. 8 1978. 9 1979. 10 1979. 1981. 6 39,128 22.911 28,088 402 54,967 4,914 26,33() 12,()8() 5,343 7,974 6,063 4,812 3,800 9,660 (合川 鉄) 1970. 3 1971. 6 1974. 5 1975. 2 1975. 6 1977. 9 1977. 7 1978. 1 1979. 11 1979. 1 1979. 2 1980. 3 1981. 4 1982. 1

(13)

44

名古屋学院大学研究年報 な が ら

,な

お そ こ に惨 み 出 る本 音

,実

像 の 内 に

,変

革 主 体 と して の 鉄 鋼 労 働 者 像 を探 り出 して み た い。

II

鉄鋼労働者の労働意識

i

仕事のや りがい感 働 きがい (仕事のや りがい

)は

,労

働者 に とって根源的 ともいえる要求であ る。労働 は人間の 自己表出活動であ り

,労

働 において彼 は 自然お よび社会 とか かわ り, 自己の肉体的精神的諸能力を開発 し発達 させ る。 それ故

,仕

事 に充実 感や能力・ 創造の発揮

,社

会的使命感 などを見いだそうとす る欲求 もまた根強 い ものがある。 一方

,資

本 に とって も

,高

い「労働意欲」と「仕事のや りがい」を引 き出 し, 表

9

仕事の「や りがい」 。「は りあい」 る は り あ い が あ 思 別 つ に て ど い う な と い も ‐ ま ら な い

N

A

69

鋼 26.9 52.5 19.6 0.9

71

│1

鉄 22.4 60.7 15.6 1.4 76 り│1 鉄 24.2 64.5 8.9 2.4 い か が な あ り る や り が が ま あ あ る や l, が い い あ が ま な り い や り が が ま い つ が た な く い や り

N

A

74新

日 鐵 16.1 44.0 29.1 5.9 4.9

79新

日 鐵 14.8 51.5 26.9 5.0 1.8

81

鋼 21.5 55_7 18.7 2.2 鉄鋼労連・労働調査協議会編 [1980]『鉄鋼 産業の 労使 関係 と労働組 合』493∼494ペ ー ジ。 ただ し、81鉄 鋼 のみ『鉄鋼新 聞』

1982.1.25付

。 出 所

(14)

資本蓄積 に総動員 してい くことに最大の力を注いでいる。 「仕事のや りがい」は

,ま

さに

,こ

の両者のせめぎあいの接点にある。 した がって

,そ

の動向は

,労

働者の労働に対する根源的欲求や発達欲求

,な

らびに 資本による労働者掌握の深 さをみる上での重要な指標 となる。

74,79年

調査 (新日鉄

)で

,仕

事に対 して程度の差 こそあれ「や りがい がある」 と感 じている層が全体の 6割 台を占め

,81年

(鉄鋼

)調

査では

8割

弱に達 してお り

,増

加す る傾向がみ られる (表 9)。80年 調査の電機

,ゼ

ンセ ンと比較 して も高いレベルにあ り,「鉄鋼労働者のや りがい感は相当に強い」 との指摘 (鉄鋼新聞

82.1.25付

)を

裏付けている。 それでは

,こ

の ように高い「や りがい」感 をもつ理由は何であろうか。表10 にみるように

, 3つ

の調査のいずれにおいて も

,仕

事に対する適性 と習熟

,能

10

「仕事 にや りが い」感 をもつ理由 2.4

81

鋼 N   A 鐵 鐵 ri 新 新 ら やれ ば 評 価 さ れ る か 7 出所 :74・ 79新 日鉄 は、鉄鋼労連・労働調査協議会編 [1980]『鉄鋼産業の労 使関係 と労働組合』494ペ ー ジ。 81鉄 鋼 は、『鉄鋼新 聞』1982. 1.25付 仕 事 が 自 分 に あ っ て い る か ら 仕 事 の 意 味 や 使 命 感 を 感 じ ら れ る か ら 能 力 や 創 意 が 発 揮 で き る か ら 職 場 の 人 間 関 係 が よ い か ら 作 業 環 境 が よ い か ら 仕 事 に 励 め ば 、 生 活 が よ く な る か ら 収 入 の わ り に 仕 事 が 楽 だ か ら 仕 事 に 励 め ば 、 昇 進 が 期 待 で き る か ら 31.2 27.6 16.0 10.8 4.8 3.9 2.3 0.8 29.1 31.8 20.2 9.9 2.8 2.5 0.8 0.5 い ま の 仕 事 が 自 分 に 合 っ て い る か ら 仕 事 に 使 命 感 が 感 じ ら れ る か ら 自 分 の 能 力 や 創 意 が 発 揮 で き る か ら 職 場 の ふ ん い き が よ い か ら 29.5 26.3 19.0 14.4

(15)

46 名 古屋学院大学研究年報 力や創意の発揮 といった主体的な動機づ けや 「使命感」が

,高

い比率であげ ら れている。 76年 (新鋭

)調

査で も,「国 を支 えている基幹産業」意識 と「経営の安定, 生活の保障」意識が 目立 って高 く

,仕

事上 での「は りあい」の

2本

柱 となって いるこ とが うかが える(表11)。 その反面

,こ

の ような意識 は,「鉄 は国家な り」 とい う土台

,お

よび経営安定 と「終身雇用」慣行 による生活保障の上で成立 し ているが故 に

,そ

う した基盤が動揺すれば意識の動揺 もまぬがれない。 一方

,仕

事 に対す る適性 と習熟

,能

力や創意の発揮 という主体的な動機づ け 表11 鉄鋼労働 者の企 業評価 と仕事の「 は りあい」(3つ回答) 76 新 鋭 78 1Ⅲ ′」 ① 企業の経営が安定 してお り、生活の保障がある 給 与 水準 が 高 い 信 頼 で き る仲 間 が 多 い コンピューター管理のもとで、仕事の単調化が進んでいる や りが いの あ る仕 事 が 多 い 企業の規模が大きすぎて、個人の主体性が生かせない 労 務 管 理 が きび し く、 人間 味 が な い 公害や製品値上 げ等で企業エゴがある 地 域 の 生 活 向上 に貢 献 して い る 世界最高水準の機械や設備を動かしている 輸 出 を通 して国 民 経 済 の 発 展 に寄 与 している 国 を支 え て い る基 幹 産 業 で あ る 福 利 厚 生 面 が 充実 して い る 親会社の影響 が大 きく独 自性の少ない会社だ 製 品 を通 して社 会 へ 貢献 して い る N A 89 113 い まの 会 社 に 入社 して よか った 143 116 14.0 14 0 118 出所 :鉄 鋼労連 。労働調査協議会編 [1980]『鉄鋼産業 の労使関係 と労働組合』490 ∼491ペ ー ジ。 注 :空欄 は該 当項 目な し。 ① 感 し な い あ ま り 感 し な い ま っ た く 感 じ る 強 く 感 じ る 時 々 感 じ な い あ ま り 感 じ な い ま っ た く N   A ② 感 じ る 強 く 咸 0 し る 時 々 38 0 7_7 24 8 50.1 164 17 70 41 5 9.8 35 6 1.6 12.2 58 5 174 103 5.5 32 2 62 85 34.6 40 4 58 10.7 14 5 102 36 3 33 1 30 8 97 111 33 152 42 8 90 106 136 6.8 30 8 21.9 28 98 61 81 27.4 42 1 81 25.6 40 0 38 4 50 103 35 13 9 32 5 41 6 57 110 2.2 94 32 3 34 4 61 105 116 13 6 35 4 33 8 65 110 152 161 32 6 38.7 78 11 1 93 12.7 29 8 21 8 45 28.7 29 2 35 4 32 199 46 3 190 18.8 26 3 30.8 128 31.6 33 6 79 10.2 32 4 36 6 9.2

(16)

の高 さは

,小

集 団 を基 礎 とす る能 力主義管理

,そ

の下での 自主管理活動や企業 内教 育の成果 とみ られ る。 li 労働能力の向上 。発達欲求 日本の鉄鋼労働者は また

,旺

盛 な労働能力の向上 。発達欲求 をもっている点 が注 目され る。 74年 (鉄鋼

)調

査では,仕事 にかかわ る要求 の中で技 術習得要求が,労働の 軽減要求や経営・生産への参加要求等 を上 回 って最 も高 くなってい る(表 12)。 「 もっと技能 を身につけたい」「 もっ とむずか しい仕事 を したい」 という技術習 得要求 が

5割

を越 えるに至 ってい る。同様 の傾 向 は

,74,79年

(新日鉄

)調

12

仕事 につ いての要望事項 (3つ回答)(74鉄鋼)

1.技

術習得要求 もっ と技術 を身 につ けたい もっ とむずか しい仕事 につ きたい

2.労

働 の軽減要 素 人手 をふや してほ しい 仕事 の量 を減 ら しては しい もっ とや さ しい仕事 にかわ りたい 労務管理 を緩 和 してほ しい

3.経

営や生産への参 加要求 経営や生産 に現場の意見 を反映 したい 自分 の仕事 には もっ と責任 をまかせ てほ しい 仕事 につ いて もっ と私 の意見 を聞 いてほいい

4.作

業現場改善要求 5。 人間関係改善要求

6.作

業の方法 についての要求 もっ と多人数 で仕事 を したい もっ と少 人数 で仕事 を したい チ t

l │ { (52 44 7 (43 25 10 2 5 (39 17 14 7 (39 (35 (10 8 2

2%)

9 3 7) 5 3 6 3 7) 7 1 9 9) 9) 7) 7 0 出所 :鉄 鋼労連 『企 業 内教育訓練意識調査』1974年 6月 。 査で も如実に示 されている (表 13)。 しか も

,こ

れ らの要求 は高 まる傾向がみ られ,「いろいろな仕事を経験 して幅広い知識・技能を身につけたい」「自分を

(17)

74新

Π鐵 25.2 33.2 12.1 2.3 〔注〕50.0 6.7 29 12.3 12.0 16.0 48 名古屋学院大学研究年報 表

13

仕 事 につ いての希望事項 (3つ回答) 特 に希望 はな い いろいろな仕事を経験 して幅広い知識・技能 を身につけたい 自分 を伸 ばす ため もっ と難 しい仕事 に と り くんで み たい 仕事で昔労 した くないので、もっとや さしい仕事に変 りたい 作業方法や作業環境 を改善 して もっと働 きやす くしてほ しい もっと人手をふや し、 1人当 りの仕事量 をへ らしては しい もっと多人数でや る仕事 を したい 上司は仕事 に関する私の意見や悩みをもっととりあげてほ しい 経営方針や生産計画に もっと現場の声 を反映 しては しい 職場の人間関係 をもっと明 るくしてほ しい

79新

日鐵 25.1 42 9 17.3 4.4 36 6 18.5 51 17.2 19 0 20.7 N A (注)74年 調査 は、「作業環境 を改善 してほ しい」(27.3%)、「作業方法 を改善 して ほ しい」(22.7%)を合 わせ た もので あ る。 出所 :鉄 鋼労連・労働調査協議 会編 [1980]『 鉄鋼産業 の労使 関係 と労働組合』496 ペ ー ジ。 伸ばすため もっと難 しい仕事にとりくんでみたい」 という

2つ

の要求 をあわ せ ると

,79年

調査では

6割

に達 している。 それは

,QCや

ZDな

ど小集団活動である自主管理活動に対す る評価にもあ らわれている。69年 (鉄鋼)調 査では

10%だ

った肯定的評価が

,71年

(川鉄) 調査では

32%,76年

(新鋭

)調

査 には

59%へ

と増加 し

,81年

(鉄鋼

)調

査 によると

7割

台に達 している (表14)。 「自主管理活動が どんな点で役立 っているか」 との設問 (81年調査

)に

対 して,(1)生産性向上 とコス トの節減 (①

+②

=91.3%),(2)職 場のモラルアップ (③

+⑥ +⑦ +⑪

=83.5%),(3)各 人の能力の向上 (④十③

+⑩ +⑫

=63.2%)

をあげている (表15)。専門技術に関す る集合教育を十分 に受ける機会がな く 「自己啓発」に努めるしかない一般労働者にとって

,自

主管理活動の技術 。技 能的側面に引 き付けられて参加 しているケースが少な くないのである。(5)

(5)道

又健治郎 [1978]「第 4部 掲書,455ペー ジ。 『高度成長』の破綻 と鉄鋼労働問題」道又健治郎編 前

(18)

14

小集団活動 への評価 。態度 14-1 (69 鉄鋼)調査 最近会社の労務管理 として「 目標管理」「

ZD運

動」「QC」 などとい うことが行なわ れていますが、あなたはどう感 じますか。 69(鉄鋼

)計

N   A 大 手

5社

計 3.9 7.9 中 小 計 14-2 (71 川鉄)調査 や む を 得 な 感 じ る が 、 多 少 負 担 は あ い が で る 仕 事 に は り わ か ら な い じ る に 負 担 を 感 た り 精 神 的 に し く な っ 10.0 14.1 32.2 38.8 12.3 33.8 39.8 10.2 18_3 28.4 36.6 9.6 入 って積極 的 にや ってお り、 よい と思 う 入 ってい るが、 あ ま りよい とは思 わない 入 っていない N A あなたはQC、 考 え る小集 団 な どのサ ー クル に入 ってい ますか。 32.0 31.0 27.2 10.7

14-3 (76

新鋭・78 中小)調査

QCや ZDサ

ー クルな ど小集団活動 につ いてあなたは どう考 えますか。

N

A

76新 鋭 78中小 15.2 21.6 す べ き だ だ か ら な く 働 者 に 有 害 か え っ て 労 わ か ら な い ま で よ い り 現 状 の ま 満 足 し て お す べ き だ 実 ・ 改 善 を て い る が 充 一 応 満 足 し き だ に 改 善 す べ の で 抜 本 的 不 満 が 多 い 4_7 20.9 14.1 7.0 38.1 15.8 13.0 14.0 11.3 24.4

(19)

名 占屋学院大学研究年報 14-4 (81 全鉄 鋼)調査 自主管理活動への態度 中 小 大 いにや る気 14.2% あ るてい どや る気 47.2% 仕方な くや ってい る 30.2% 全 くや る気 な し

5.5%

出所 :鉄 鋼労連・ 労働調査協議 会編 [1980]前掲 書、503ペ ー ジ お よび (81鉄鋼

)の

み鉄鋼新聞 [1982.1.26]。 表

15

自主管理活動の役立 ち (31鉄鋼) '81全鉄鋼 大 手 19.2% 20.7% 53.1% 54.9% 23.0% 20.8%

2.4%

1.4% ①作業能率、品質の向上 ② コス トの低減 ③職場の一体感、チームヮークづ くり ④仕事に対する知識 。技能・創意工夫の向上 ⑤事故や災害の防止 ⑥仕事に対する意欲の向上 ⑦仕事のや りやすさ ③文章 。分析 。発言能力の向上 ⑨会社の方針 。施策の徹底 ⑩ 自己形成能力の向上 ①集団をまとめていく能力の向上 ⑫仕事に対する自信の深まり 48.0% 43.3 38.8 37.8 24.1 22.2 15.3 12.6 8.4 7.9 7.2 4.9 出所 :『 鉄鋼新聞』

1982.1.26付

この12年間 に 自主 管理 活動 が職 場 に浸透 し

,労

働 者 を深 くと らえて い るこ とが うかが える。 こ う した背景 には

,能

力主義 管理 が職場 に浸透 し

,小

集 団 単 位 の管理 と個 々の労働者 に対す る査 定が強化 され

,

自主管理活動が その重要 な 要 素 と して位 置付 け られ て い る とい う事情 が あ る。作業長や工 長 に とって, 自 主管理活動 の推進 は主要 な仕事 の一つ とな ってお り

,一

般工 に とって も参加の 積極性 の度合 いが上 級 資格へ の昇進 な ど査 定上 の一つの要 素 とな ってい る。(6)

(6)安

井恒則 [1981]「第Ⅳ章 鉄鋼 コンピナー トにおける労働 と管理」石田和夫編『現代 日本の鉄鋼企業労働』 ミネルヴァ書房,197ベージ。

(20)

鉄鋼労働者に とってこうした目標管理の運動 は,高い労働意欲 と「や りがい」 を引 き出す反面,「肉体的・精神的エネル ギーの支 出競争」を余儀 な くさせ る。 それは,「労使関係の現段階における一つの統合運動」 としての側面 を もっ。(7) それは,「自主管理活動 についての問題点

,改

善点」 についての設間に もあ ら われている。なん らかの意味で負担の重 さを訴 えるものが

84.5%に

のぼ って いる。 また

,肯

定的な立場 をとりなが らも

,や

り方の改善 を求め る ものが43.

5%あ

,活

動の前進 を求め る立場 か らの積極的提言

58.8%と

あわせ て,「や り方の改善」 を求め る声が大 きいことを示 している。鉄鋼労連の次の ような指 摘 は

,組

合運動 に生か されなければなるまい。 「 自主管理 を見つめ る職場の眼 はきわめて冷静・ 的確であ り

,こ

れ らの意味 す るところの問題の所存 を正確 につかんでいる」。(8) iii 定着 志 向 と「生 きが い」 鉄鋼労働者 の 「労働 意識」 の特徴 と して

,次

に定着志向の高 さ (勤続 意思 の 強 さ

)を

あげ るこ とが で きる。 81年 (鉄鋼

)調

査 で は,「 定年 まで勤め たい」 とす る国答が

7割

強 を占め, 電機

,ゼ

ンセ ン と比較 して も際立 ってお り

,鉄

鋼 労働者 の企業へ の定着志 向が 特 別 に高 い こ とを示 して い る (表16)。69年 (鉄鋼),71・ 76年 (川鉄

)調

査 と 比べ て も

,定

着志 向が, よ リー 層高 まって い る点 が注 目され る。 そ う した背景 と して

,鉄

鋼 労連 は,「 鉄 鋼 労働 者 の仕 事 に対 す るや りが い感 の強 さ

,愛

着 と誇 り」 を強調 し

,こ

れ を実現 させ たのが労使協調路 線 で あ る と 胸 を張 る。(9)そ う した側 面 もさ る こ となが ら

,む

しろ,「 低 成 長」 。長期 不況 下 での転職 条件・機 会 の悪化

,鉄

鋼 労働者 の年令構 成の高 ま りとい った側面 も 無視 で きな い とみ られ る。

(7)熊

沢誠 [1972]『労働 のなかの復権』三一書房,77∼ 79ペー ジ。

(8)鉄

鋼新聞 [1982.1.27]。

(9)鉄

鋼新聞 [1982.1.26]。

(21)

名古屋学院大学研究年報 表

16

企 業 への 動続 意 思 (69鉄鋼、71・ 76川鉄)調査 16-1 あなたはい まの会社 につ いて。

69

鉄 鋼 計 N   A 1.9 2.0

71

月1 鉄 2.0

76

り│1 鉄 2.5 出所 :鉄 鋼労連 。労働調査協議 会編 [1980]前掲 書、486ペ ー ジ。 16-2 (81鉄鋼、78電機、80ゼンセン)調査 企 業 へ の 勤 続 意思 ゼ ンセ ン (80年) 定年 までつ とめ たい 53.5% 近 い将 来転職 したい 良い会社があれば移 りたい とくにきめていない 出所 :『 鉄鋼新 聞』1982. 1.26付 III 鉄鋼労働者の生活意識 81年 (鉄鋼

)調

査では,「生 きがいを感 じる場」 として,「自由な時間」(34.

0%)や

「家庭生活」

(30.0%)を

あげるものが多 く,「仕事や職場」

(17.8%)を

大 きく上 回ってい る。それでは,「生 きがい」の基盤 である生活の各領城 につ いて, どの程度の充足感 をもっているであろ うか。 74・ 79年 (新日鉄

),81年

(鉄鋼

)調

査 によると

,生

活の各領域 における「満 足」層の比率は上昇す る傾向を示 してお り

,衣

食住 に関 して上昇度が 目立つ。 その反面

,老

,賃

,一

時金についての満足度が際立 って低 い点が注 目され 、 ぇ ナ ヽ ぃ い 機 会 に 変 な る べ く 早 が な い 考 え た こ と つ も り 将 来 も 働 く め る ま の ま ま 勤 し ば ら く い 50.9 29.1 7.9 10.1 27.6 32.7 10.2 9.9 計 計 社 小 手 大 中 6.9 11.3 45.5 34.3 54.7 26.5 4.0 12.3 鉄

鋼 (81年) 電

機 (78年) 71.1% 54.8%

2.1%

6.9%

18.9%

(22)

る (表 17)。 表

17

生活各領域 の満足度 N A 3.9 4.3 36 81 鉄 鋼 食 4i 活 衣 ′li 活 の レ ジ ャ 住 宅 事 情 通 勤 事 情 耐 久 消 費 財 子 供 の 教 育 自 分 の 健 康 3.7 (余暇 と生活) 67.0 28.9 53 33 21.4 3.4 4.1 5.6 4.7 老 後 へ の 備 え 地域の1矢療事情 賃 金 水 準 ‐時 令 水 準 34 出所 :74、 79(新日鉄

)は

、鉄鋼労連・ 労働調査協議 会編 [1980]『 鉄鋼産業 の労 使関係 と労働組 合』482∼483ペ ー ジ。 81(鉄鋼

)は

、『鉄鋼新 聞』

82. 1.21付

それでは

,鉄

鋼労働者の生活満足度が何 によって支 えられた ものであるのか が

,次

に問われて くる。 家計状況 における「ゆ とり感」調査 によると

,69年

か ら

81年

までの各調査 を通 して,「苦 しい」層(「や りくりが大変」

+「

非常 に苦 しい」)が

4割

前後 を 占めている (表 18)。79年 (神鋼

)調

査 をみ る と

,職

掌別で は技 術職 (ブルー カラー

)に

「苦 しい」層が 多 く (45.5%),年齢 別 にみ る と30才台 (46.0%) 74 新 ll 鉄 79 新 │1 鉄 満 足 不 満 か 満 な り 足 ま あ だ ま あ や や 不 i蘭 不 満 大 い に N     A か 満 な リカ亡 ま あ だ ま あ や や 不 '両 不   満 大 い に N     A な ま あ ま あ や や 大 変 5.9 47.6 20.0 165 165 75.7 20.6 3.3 43.0 25 6 197 19 7 (衣・ 食生活) 6.557.025.5 76 34 71.0 25.1 8.0 26.3 20.1 17.9 17.9 10.6 45.8 26.5 136 3.5 64.1 31 6 72.5 23.9 3.3 26.5 23.2 30 4 30 4 56 7 38 0 2.5 34.6 20.7 33 8 33 8 3.2 44.7 33.7 133 5.1 61 3 17 3 5.9 47.6 18.8 27 7 27 7 10.8 63.2 18.2 4.4 3.4 (健康 と体養) 71 5 25 1 2.0 24.5 32.8 23 5 23 5 1.9 27.5 31.3 25.4 25 4 (余暇生活) 1.518939.136.0 4.4 16 10 0 26.8 22.3 22.3 3.9 44 3 35.0 13.1 3.7 19.7 74_7 1.5 13.4 27.9 22.3 22.3 18 26 1 37 1 30.9 4.1 7.4 46 0 28 7 11.3 3.7 (1矢豪 サ ー ビ ス) 49 9 45_4 34 4 62.3 64 1 32 5

(23)

54 名古屋学院大学研究年報 表

18

家計状況の「ゆとり」感 出所 :69鉄 鋼、73鉄 鋼、76川鉄 は、鉄鋼労連 。労働調査協議会編[1980] 『鉄鋼産業の労働関係 と労働組合』478ペ ージ。 79神 鋼 は、神鋼労連 『総合的意識調査報告』

1980.4.1付

81鉄 鋼 は、『鉄鋼新聞』

1982.1.21付

と40才台

(44.1%)に

多い (表 19)。さらに,「本 人の賃金収 入だ け」層の場 合,「苦 しい」 は平均 で

46.9%に

達 してお り

,家

族の収入に支 えられている層 に比べて生活の窮迫感が強いの も特徴的で あ る (表20)。鉄鋼労働者 は生活負 担の重圧 に もが きなが らも

,や

りくりや家族の収入などに支 えられて一定の生 活水準 を維持 してお り

,老

後の備 えに心 を砕 いている

,

といえよう。 か あ な る り 余 裕 が 多 あ 少 る ゆ と り が ま と あ か ま な あ る な ん や 大 り 変 く り が リト 常 │こ 苦 し い よ わ か く ら な い

N

A

'69 鉄鋼 0.9 7.2 50.5 28.6 11.2 1.2 0.3 '73 鉄鋼 0,7 7.0 49.7 30.2 9.0 1.7 1.7 '76 川鉄 0.8 5.8 50.1 28.1 13.1 1.7 0.5 '79神鋼 余 裕 が あ る ま と あ か ま や 女 つ “ ノ ィ な tヽ 2 ち ′ν ′Э 少 し 苦 し い ど な う い │こ も な ら

N

A

4.1 55.2 32.6 7.2 0.9 '81鉄鋼 ゆ と り が あ る ま て あ い ま る あ や や 労 り し く て り い に る 苦 り:ト 常 │こ 苦 し い 10.4 52.4 29.4 7.1

(24)

余 裕 が あ る ま か あ や ま つ あ て な い ん る と 少 し 苦 し い ど つ に も な ら な し 回 欠 な し 総 計 4.1 55.2 32.6 7.2 0.9 性 =」 男 子 計 3.6 53.5 34.4 7_4 1.1 女 子 計 8.9 73.1 13.8 4.2 職 掌 別 技 術 職 2.9 51.5 36.6 8.9 0.1 企 画 職 5.6 61.8 28.4 4.2 男 子 年 令 男」 29才 以下 6.2 51.1 33.4 9.3 30∼39,ヤ‐ 2.9 51.1 38.1 7.9 40∼491´‐ 1.6 54.3 36.2 7.9 50才 以上 4.3 69.6 23.5 2.6 表

19

家計状況の年令別「ゆとり感」 出所 :神 鋼労連 『総合的意識調査報告』 表

20

家計状況 と収入源の関連 家 計 状 i兄 (男子計) 収     入     源 出所 :神 鋼労連 『総 合的意識調査報告』1980年 4月 l11 応   答   数 余 裕 が あ る や っ て い る ま あ ま あ な ん と か い 少 じ 苦 し ど う に も な ら な い 回   答   な   し 本 人 の 賃 金 収 入 だ け 2184 2.7 49,7 38.7 8.1 0.8 妻 の 収 入 が あ る 583 5.5 65.2 23.2 4.1 2.0 そ の 他 家 族 の 1又入が あ る 306 7.2 70.6 15.4 6.5 0.3

(25)

56 名 古屋学院大学研究年報 Ⅳ 鉄鋼労働者 の要求 。課題 意識

i

職 場 生活 にお け る不満・ 不安 と要求 。課題 76年 (新鋭

),78年

(中小

)の

「職場 生活 にお け る不満・ 不安」調査 (表 21) 表

21

職場生活の不満・ 不安 職場生活の中で、 いまいちばん不満や不安 に思 っているこ とをつ ぎのなかか ら3 つ だ け選 んで下 さい。 78 中小 仕事量に比べ要員が少ないこと ② 36.3 時間管理や コス ト管理が きび しいこと 仕事が単調で知識や技能 を高める余地が少ないこと 配属の仕方が よ くないこと 付:」卜liのまとまりが よくないこと 気心の知れた人がいないこと 仕事がむずか しす ぎること 早出、残業、夜勤が 多いこと 作業環境がわるいこと 昇進 、昇 格 に不 公平 が あ るこ と 賃金が安いこと 賃金 の きめ方 に不 公 平が あ る こ と 仕事の責任や権 限が少ないこと 休 日・体暇が十分に とれないこと 仕事が減少 して雇用不安があること 企業に将来性がな く、不安であること 労働災害や職業病の危険があること ⑨ 10.9 7.6 ⑩ 10.6 4.0 1.8 7.7 7.7 ⑤

154

③ 25.2 10.4 ① 50.3 ⑦ 12.1 4.1 ③ ll.3 ⑥ 12.2 90 福利厚生施設が よくないこと ④ 19.6 職場の慣行や既得権が奪われていること 5.2 5.7 出所 :鉄 鋼労連・ 労働調査協議 会編 [1980]497ペ ー ジ。 によると,「賃金が安 い」

(41.0%,50.3%)が

第一位 を占め賃金問題 の切 実 さ を如実に示 している。「作業環境が悪い」(34.0,25.2%),「 要員が少ない」(29.9,

36.3%)が

続 いている。 81年 (鉄鋼

)の

同調査 (表

22)で

,賃

金な どに関す る項 目が入 っていな N A 76 新鋭 ③

299

⑦ 12.1 ⑥ 12.7 10 3 ⑩

108

76 4.9 5.3 ② 34.0 10 1 ① 41.0 ⑧ 12.0 6.6 ⑤ 15.5 5.9 1.0 ④ 22.2 ⑨

108

4.2

(26)

い中で,「要員不足 と仕事の きつ さ」

(63.6,77.0%)が

群 を抜 いて高 くな って お り

,要

員削減や労働強化な ど減量経営「合理化」の進行 を示 している。次 に, 「仕事 と管理の きび しさ」

(28.0,25.0%)を

指摘す る声 も多い。 これは

,役

職 が高 まるほ ど増加 し

,作

業長 。工長 クラスでは第

1位

の問題 となってい る。 第二 に

,昇

進・昇格問題

(22.8,18.5%)が

あげ られ る。 これは30代で高 く, 高度成長期 に入社 した彼 らが

,生

活負荷の増大 と低賃金の下で

,減

量経営 によ る役職 ポス トの制約

,昇

進・昇格 と連結 した賃金格差の問題 に直面 しているこ とを物語 っている。 職場 におけるさまざまな不満 。不安 を抱 く鉄鋼労働者が

,労

働組合にどの よ うな取 り組 みを求めているのであろ うか。

69年

(鉄鋼),71年 (川鉄

)調

査 で は

,賃

上 げ

(68.9,65.4%),一

時金引 き上 げ

(36.9,29.7%),住

宅問題(23.3,

23.5%),時

(23.1,12.6%)等

への要求が高 くなっている。 この傾向は

,81年

(鉄鋼

)の

調査 に もみ られ る。 まず,「賃上 げ

,一

時金ヘ の とりくみ」に最大の ウェー トがかけ られていることである。ついで時間短縮 が

5割

近 くの高率 を占めている。「退職金への とりくみ」(47.5%)「物価 。社会 保障 など政策制度への取 り組み」

(34.9%)の

高 さは

,前

述の老後生活への不満 ・ 不安の大 きさと関連づ けて とらえる必要がある。 また

,大

手組合では昇進 。 昇格問題

(30.7%)が

中小 に比べて際立 って高 くなっている (表23)。 表22 職場における不満・不安(81年鉄鋼

)

表23 労働組合としてとりくむべき課題(81年鉄鋼) 中小% 大手;ilの回答 多数順位 中小 計 A、 要 員 不 足 と仕 事 の きつ さ B、 責 任 と管 理 の きび しさ C、 労 働 時 間 、 休 日体 暇 D、 昇 進 、 昇 格 E、 作 業 環 境 F、 雇 用 不 安 G、 職 場 の 人間 関係 H、 仕 事 の 内 容 に関 す る問題 770 第1位 ①69.9 25 0 214 185 25 3 17 7 107 127 ②475 ③460 ③237 4 出所 :『 鉄鋼新聞」82.1.27付 注 :設 間は16の項 目にわけて 3つ 以内で問題 を指摘す る方法が とられている。 ここでは、問題群別にグ ルー ビング した結果が表わされている。 ④425 ⑩196 ⑥316 ⑨209 ⑦244 9 大手% 63 6 28 0 20 5 22 8 20 8 124 84 12 6 鉄 鋼 計 大 手 計 賃11げ、一 時 金 へ の と り くみ 時 間短 縮 へ の と り くみ 退 職 金 へ の と り くみ 物 価 、 社 会 保 障 な ど政 策 制 度 へ の と り くみ 要 員確 保 へ の と り くみ 労 災・ 職 業 病 ・ 作 業 環 境 へ の と り くみ 昇 進・ 昇 格 制 度 へ の と り くみ 企 業 内 福 利 厚 生 へ の と り くみ 配 置 転 換・ 応援 問題 ヘ の と り くみ 雇 用確 保 へ の と り くみ ② ③ ⑥ ①733 ④389 ⑤37.8 ③282 ⑦29.1 ⑨254 ⑩179 ①7   ②4 ③4 ④3 ⑤378 ⑥364 ⑦307 ③284 ⑨26.8 ⑩1601 出所:『鉄鋼新聞』1982. 1.28付

(27)

名古屋学院大学研究年報 li 労 働組合への評価

66年

か ら

69年

にかけて

,鉄

鋼労連 は

4年

連続 して統一ス ト権の批准 に失 敗 した。この理由について

,69年

(鉄鋼

)調

査では,「連帯意識が弱い」(42.9

%),「

ス ト権 をたててもみせかけにすぎない」(30.3%),「 職制の切崩 しが激 し い」

(24.3%)等

をあげている。(10) 組合の要求 を通すための方法 について

,69年

(鉄鋼),71年 (川鉄

)調

査で は,「ス トによって要求を通す」(6.7,8.2%)「団交で解決 しない場合ス ト」(56.9,

55.3%),「

ス トをさけ団交」

(30.5,24.6%)と

なっている。(H)ス ト権 が困難 になっている局面において も

,な

お単純なス ト回避論に組 しないでス トライキ 闘争の意義 を7割が認 めている点は注目される。 71・ 76年(川 鉄),78 年 (中小

)調

査 に よる と

,労

働組合に対す る 評 価 は

,表

24にみ る ように全体 として「不 満」「不 十 分」 に傾 い て い る。 と くに,「大 いに満足」がきわめて 少数なの に比べ,「大 いに不満」は2害ll前 と日立 って 多い。また, 79年 (新 日 鉄

)調

査 で は

,組

合 で重要 な こ とを決 め る際

,一

般 組 合 員 の意 見 よ りも役 員 や 外部 の意見が重視 さ 表24 労働組合評価 鉄 連 に つ い て 企 連 に つ い て 単 組 に つ い て 78 11イヽ 3.9 18.7 20.9 20.0 (注)208 15 8 65 27.4 29.0 162 (注)8.4 10.7 出所 :鉄 鋼労連・労働調査協議会編 [1980]『鉄鋼産業の労使関 係 と労働組合』511ページ。 注:中小のばあいの選択肢は、「わか らない」である。 (10)鉄鋼労連・ 労働調査協議会編 [1980]前掲書,530∼ 531ペー ジ。 (11)同上,530ペー ジ。 りII 鉄 71川鉄 76川鉄 大 い に,両 足 あ る 程 度 満 足 や や 不 満 大 い に 不 満 あ ま り関心 な し N A 3.1 24 5 29 2 17.0 20.2 6.1 大 い に 満 足 あ る 程 度 満 足 や や 不 満 大 い に 不 満 関 `しヽな し N A 1.9 23.1 27 2 20.1 22.6 52 3.2 26 2 31.0 18.9 14 5 6.2 大 い に 満 足 あ る程 度 満 足 や や 不 満 大 い に 不 満 関 心 な し

N A

30 26.9 29.8 168 16.0 75

(28)

れるとみるものが

8割

に上つてい

表25 組合決定にあたり重視される意向 る (表 25)。組合民主主義の官僚

(79新

日鉄) 化・形骸化 に対す る批判が きわめ て高いことを示 している。 この ような組合への不信感や組 合民主主義の形骸化は

,鉄

鋼労働 者 を個 人的次元での頑張 りとあ き らめに追い込む ことにな らざるを 役員が組合員の意向をよく吸収 してきめて いる 10.1 組合員の意見 より機関役員 (支部委員や中 央委員)の意向によって 37.9 単組、中央役員の一 方的な意向 25.6 マスコ ミや外部団体の意向が働 いている 17.2 N A 9.2 出所 :鉄 鋼労連・労働調査協議会編[1980]『鉄鋼産 えない。仕事や労働条件に不満が

業の労使関係と労働組合』520ページ。 生 じた場合,74・ 79年 (新日鉄

)調

査によると,「何 もしない」「個人的に処理 する」が多 く

,個

人的 レベルの対応にとどまる傾向が強いことを示 している。 この傾向は,「昇進・昇格」「賃金配分」など査定に関わる問題 において鮮明で ある。 しか も,「組合 と話 し合 って処理する」は数パーセン トにす ぎず

,職

制 への相談の半分にす ら達 していない (表26)。組合は

,職

場の中にあっては全 表

26

仕 事や労働条件 の不満処理 22 2 21 7 20.3 23.0 22.8 20.8 108 N   A ﹁   新 H 鉄 ﹁   新 日 鉄 11.3 10.9 118 11 4 が 多 い 何 も し な い こ と に 処 理 す る な る べ く 個 人 的 す る 話 し 合 っ て 処 理 な る べ く 職 場 で す る 話 し 合 っ て 処 理 な る べ く 職 制 と す る 話 し 合 っ て 処 理 な る べ く 組 合 と 39 5 132 80 9.4 7.7 賃金配分への不満 39.6 16.2 57 13 7 31 昇進・ 昇格への不満 29.3 105 17 4 173 5.2 要 員 配 置 へ の 不満 残業への不満 25.4 15.3 23.9 109 1.5 残業量への不満 23.3 12.8 23 9 15.5 1.7 11 作業方法への不満 176 10.8 33 2 16.5 賃 金 に関 す る不 満 40 7 32 2 6.5 98 昇進・ 昇 格 へ の 不 満 48 1 25 9 12.0 27 要 員や 応援 配 転 へ の 不 満 28.3 35.9 16 7 81 34 8 35.5 13 1 4.8 残業や休 日・体暇への不満 27.8 37.5 198 3.5 作業量への不満 19 1 37.1 28 3 4.6 作業方法や作業環境への不満 出所 :鉄鋼労連・ 労働調査協議会編 [1980]「 鉄鋼産業の労使関係 と労働組合」498ペ ー ジ。 109

(29)

60 名古屋学院大学研究年報 表

27

組合 強化 の方針 (2つ選択) 組合it ri身が もっと組′ヽに関心を もつこと 組合幹部が組合員の意向を忠実に会社 との 交渉で反映 させ ること 組 合 が もっ と職 場 の 問題 を と りあ げ る こ と 組 合 活 動 へ の 参 加 の機 会 をか や す こ と 組 合 員教 育 を もっ と強 め る こ と 職 場 組織 を もっ と充 実・ 強 化 す る こ と 役 員 の政 策・ 企 画 力 を たか め る こ と 会社の労務管理か ら組合員をもっと守 るこ 役 員 の 若返 り 長期間争にそなえて聞争資金の確率をはか ること (76年新鋭製鉄所) 46.2 33.5 34 4 196 加 占 川 111 74 108 81 56 6_1 出所:鉄鋼労連・労働調査協議会編[1980]『鉄鋼産業の労使関係と労働組合』148ベージ。 く頼 りに されて いない とい う組合像 が浮かび上 が る。 組 合 に対 す るこの よ うな低 い評価 と厳 しい批 判 を もちなが ら も

,鉄

鋼 労働者 はすで にみた ように組合 に対す る切 実 な要求 や課題 をなお 多様 に もってい る。 彼 らは

,組

合強化の方策 を何 に求めているのだろうか。76年 (新鋭

)の

「組 合強化のための重点課題」調査によれば,「組合員 自身が もっと組合に関心 を もつ こと」が圧倒的に多 く

, 5割

近 くに達 している (表27)。このことは

,組

合運動に彼 ら自身が関心 を示 しなんらかのや り方で参加することが組合強化に 不可欠なことを認識 したもの として注 目される。他方,「組合幹部が組合員の 意向を忠実に会社 との交渉で反映 させ ること」

(3割

台),「組合が もっと職場の 問題 をとりあげること」

(2∼ 3割

)が

大 きい比重を占めてお り

,職

場に根 ざ した組合活動の必要性 をつ よく訴えている。 君   沖 鹿   島 水   島 53 6 50.3 518 46.0 36 7 29 4 31.4 315 25 0 28 8 34.2 28 9 12 5 16 6 12.4 138 96 149 113 106 10 2 126 97 12 0 107 71 10_4 73 10_2 74 8.2 60 9.3 61 6.2 77 6_7 45 37 58

(30)

V

括 以上 にみ る70年代 日本の鉄鋼労働者像 を要約すれば次の ようになる。 職場では程度の差 はあれ「仕事のや りがい」 を感 じ

,技

術習得欲求 な ど強い 向上 。発達意欲 を もっている。転職環境の困難化や加齢化の下で定着志向が強 まってお り,職場 に眼 を向けざるをえない傾向 も出て きている。しか しなが ら, 「生 きがい」 を職場 の中に見いだす までには至 らず,「自由な時間」や「家庭 生活」のなかに求めている。 家庭生活 においては

,衣

食住などの一定の充足感 と生活の負担・ 不安感 を合 わせ持 ってお り

,や

りくりや家族の収入によって支 えられた「充足感」の不安 定性 を浮 き彫 りに している。また,加齢化 とともに全体 として「老後への不安」 が最大の関心事 として浮上 している。 こう した労働 。生活のなかにあって

,彼

らは多様 な要求 。課題 を もってお り

,そ

れを結集すべ き場 としての組合の現状 に強い不満 を抱 きつつ も

,組

合強 化への確かな方策 に気付いてお り

,そ

れ を求めている。

(2)80年

代 における鉄鋼労働者像の変容 ① 内外環境の変容 70年代か ら

80年

代 にかけて

,鉄

鋼賃金の相対的地位の急落 には目をおお う ものがある (表 28)。 1970年時点の鉄鋼賃金 は

,製

造業平均 (100)に比べ て 109.8と 高水準 にあ り

,金

融・ 保険業 よりも高い。 これは

,夜

勤や交替勤務の手当てを含んでの も のであ り

,つ

らい

3交

替労働が賃金総額でなん とかカバー され るとい う構図で あった。 しか し

,75年

には金融 。保険業 に逆転 され る。80年には

,相

対的優 位性 が製造業のなかに限定 され

,さ

らに

,80年

代 には製造業の 中での優位性 も崩れてい く。85年には製造業平均 レベル に まで下が り

,88年

には製造業平 均 を も大 きく割 り込むに至っている。 特 に

,年

収ベース (1,000人 平均

)で

み ると

,鉄

鋼賃金の相対的地位の低 さ が よ り鮮明に現 われ る。88年時点 では

,製

造業平均 の

9割

以下 にな り

,金

融 ・保険業の

6割

弱にまで落ち込んでいる。

(31)

62 名古屋学院大学研究年報 表20 パ ーシェ指数 (労働力構成 同一)でみた鉄鋼賃金の相対的地位の変化 (男子・高卒労働者

) (製

造業を100とする指数) (注)パ ンエ指数 とは、各産業の労働力構成に製造業の賃金をあてはめたものである。した がってそれによって算定 された製造業対各産業の相対関係 を横断比較す ることで労働 力構成 を同一 に した場合の産業間賃金の相対関係が とらえられる。 労働省 「賃金センサス」による。 出所 :鉄 鋼労連 [1989.12]『 鉄鋼業の構造改善 とその後の環境変化』 88年 (鉄鋼

)調

査 は

,プ

ラザ合意後の急激 な円高の下で大規模 な減量 「合 理化」の後 に実施 された ものである。「合理化」の厳 しさが調査結果 に も滲み 出た もの となっている。 所 定 内 賃 金 (規模計・ カ ソコ内は1,000人以11) 年収ベース (1,000人以 上) 1970年 1975年 1980年 1985■ ‐1988年 1985年 1988年 製

業 100 0 100.0 100.0 100.0 (100.0) 100.0 (100.0) 100.0 100.0 鉄

業 109.8 107.1 102.5 100.3 (99.9) 96.0 (94.9) 96 4 89.9 電 気 機 器 製 造 業 102 2 97.7 100.9 (1027)102.1 (102.9)101 7 104.7 103.7 運 輸 ・ 通 信 業 99.5 90.4 94.9 96 9 (93.2) 101.2 (99 3) 91.2 98.0 サ ビ ス 業 96.0 101.3 100.9 (107.8) 103.1 (107.7) 109.2 109.1 電気・ガス・水道業 92.6 99 3 106 7 (108.5)110.1 (114.7)115.9 106 1 114.8 建

業 103 7 104.5 1081 106.7 (114.2) 108.0 (1160) 112.8 114.3 卸 売 ・ 小 売 業 102.5 104.8 108.4 106.7 (110.5) 108.5 (113.3) 109.5 113 0 金 融 ・ 保 険 業 105.6 110.0 125.0 129.1 (132.8) 133.0 (137.9) 142.5 150.4

(32)

② 意識調査 にみ る鉄鋼労働者像の変容

I

生活の充足度 と家計状況 鉄鋼労連の総合意識調査 は84年に も実施 され てお り

,81年 ,84年,88年

の各調査結果の変化のなかに

,鉄

鋼労働者像が80年代 にどの ように変容 して いるかをみることがで きる。 「生活各分野の充足度」調査では

,賃

,一

時金

,老

後生活の「満足」(=「満 足」

+「

まあまあだ」)が

,88年

には何れ も

1割

台であ り

,他

の項 目に比べて その低 さが際立 ってい る (表29)。 に,賃金,一時金の落 ち込みが大 きく,8

1年

→88年 に 賃 金 は34.4→

17.5%

,一

時 金 は32.5→

12.6%へ

と急 落 している。賃金

,一

時金の この ような 満足度の急降下は

,鉄

鋼賃金の相対的 地位 の落 ち込み を顕 著 に反映 して い る。 それはまた

,家

計のや りくりが厳 し さを増 してい るこ とにつ なが って い る。

88年

の「家庭 内の心 配 ご と」調 査 では,「老後生活」が他 を大 き く引 き離 して第

1位

を占め る とともに, 第

2位

に「家計のや りくり」があげ ら れている。後者 は

,

日常の生活費の他 に「こどもの教育費」「住宅 ロー ン・ 月 賦の返済」 を含めた総体的な家計の苦 しさを物語 っている。

II

雇用不安 と要員不足への不満の急増 「職場生活上の不安・不満」の

84,88年

調査 では

,雇

用関連の不安 と要員 不足の不満が 日立 っている (表30)。第一 に,「配転や出向な ど異動が不安」(84 表

29

時系列比較でみ た 生活各分野の充足度 (技能計) 81 11

A食

[

B衣

生 活

C耐

久消費財

D住

宅 事 情 E子供の教育 F自分の健康

G家

族の健康 HIズ療 事1青 I `ミ ‖段′1:i舌

J老

後 生 活

K賃

金 L‐ ‐ ‖キ 全

M労

働 時 間 53 9 21.9 21.7 15.3 67 1 19 7 34 4 32 5 76.7 64 5 53 8 54.9 58.5 66 5 69 5 64 3 50 4 15.7 17.5 12_6 44.8 75.6 63 0 53.9 58 4 65() 74 1 75 7 71.0 56.7 64 1 613 71.3 (注

)い

ずれ も 〈満足〉(「満足」十「ま あまあだ」)の比率。 出所:鉄鋼労連[1989]『調査時報149 構 造転換Fの鉄鋼労働者―第2回 「鉄鋼労連総合意識調査」報告―』 32ページ。 88   年 84   年

(33)

64 名古屋学院大学研究年報 表

30

職場生活上 の不安・ 不満 (4つ選択) 88年 調 査 事 務 技 術 系 第1位 第2位 第3位 第4位 第5位 第6位 第7位 第8位 第9位 第10位 第 11位 第 12位 第 13位 第 14位 第15位 第16位 第 17位 第 18位 第 19位 第20位 第21位 第22位 第23位 第24位 第25位 不安 や 不満 は と くに な い 138 (注)前84年調査は、19選択肢中4つ以内選択。 「合理化・コスト低減の要求が厳 しい」は、前回調査では「コスト管理がきびしい」、 「職場の安全対策が不1-分」は、前回調査では「労働災害や職業病の危険が多い」であった。 出所:鉄鋼労遠[1989]前掲報告書、69ページ。 年31.3→88年 35.2%),「今の職場が どうな るか不安」(25.2→

29.2%),「

雇用 が維持 され るか どうか不安」(―→

15.8%)と

いつた雇用関連の不安 を多 くの労 働者が感 じてい るこ とで ある。調査項 目が

19(84年

)か

ら25項目 (88年) に増 えていて (選択4つは変わ らない),88年には低 く表示 され る仕組み にな っているに もかかわ らず

,何

れ も顕著 に高 くなっている。 仕 事 量 に対 して 要 員 が 少 な い 配 転 や 出向 な ど異動 が 不 安 で あ る 今 の職 場 が ど うな るか 不 安 で あ る 今 理 化・ コス ト低 減 の 要 求 が厳 しい 体『1・ 体‖:1が思 う よ うに とれ な い 作 業 環 境 が よ くな い 昇 進 や 井 格 が 思 う よ うに な らな い 雇 用 が維 持 され るか ど うか不 安 だ 夜 勤 や 交替 勤 務 が つ らい 仕 事 が きつ い 残 業・ 休11出勤 が 多い 職 場 の厚 生施 設が よ くな い 職 場 の 人間 関 係 が う ま くいか な い 知識 や 技 能 を高 め る こ とが で きな い 自主 管 理 活 動 が きつ い 仕事 上 の権 限 が 少 な い 現 在 の 仕事 が 自分 に合 わ な い 仕 事 上 の 責 任 が 大 きす ぎ る ME・仕 事 の 変 化 につ い て い け な い 残 業・ 休 日出 勤 が 少 な い 食事 交替 や 分 割 休 憩 が あ る 職 場 の 安 全対 策 が 不十 分 で あ る 自主 管 理 活 動 が で きな い 近 くに同僚 が い な い 男 女 の機 会 均 等 が 十 分 で な い 37.1 19 3 155 116 22 1 55 133 68 1.0 141 28 0 119 88 15 4 16 14_5 100 57 38 1.7 03 08 15 15 12 男 F計 職 場 生 活 の 評 価 技   能   系 満   足 不   満 88 年 調 査 84 年 調 査 大 手 組 合 中 小 組 合 34 9 40 9 32.4 26.3 19 5 163 17 0 17 3 11.3 118 10 7 69 83 80 74 72 62 57 53 47 36 24 23 14 0.6 36 8 18.9 20.1 20 5 23.7 23 3 12 6 11.6 21 8 18 1 20 7 15 8 11.3 9.8 97 74 69 75 4.9 40 40 51 24 2_4 1.3 35 3 38 4 318 27 1 20 3 19 9 155 17 5 16 0 13 2 108 85 90 7_3 91 60 53 62 54 5.0 43 33 25 16 0.7 32.3 42 1 32 7 26 1 174 169 132 20 0 13 9 83 83 85 54 6.5 8.1 50 25 60 59 5.3 40 2.7 2.6 1.5 05 40 2 33 5 30 8 29 0 24 8 24 7 19.2 141 193 20 5 14.6 87 14 2 87 10 5 7.7 106 66 47 45 48 43 24 18 0.8 35 4 35 2 29 2 24 8 20.6 18 1 15 9 15 8 140 134 133 92 91 85 80 73 64 61 52 45 3.7 31 23 16 07 33 9 313 25.2 94 20.3 21 5 16 7 19 1 161 10.1 96 130 136 92 70 8.1 104 7.5 1.1 151 102 96 92 148 10 0

(34)

第二 に,要員不足 に関す る不満が,「仕事量 に対 して要員が少ない」(33.9→ 35 .4%),「休 日・休暇が思 うように とれない」(20.3→20.6%),「残業・休 日出勤 が多い」(10.1→

13.3%)と

高水準 であ り

,84年

比 で もさ らにア ップ してい る ことである。 なお

,雇

用関連の不安は

,事

務・技術系に比べて技能系で圧倒的に高 くなっ ている。 これは

,80年

代後半の減量「合理化」が技能系 中心 に推進 され た こ とを端的 に反映 しているもの とみ られ る。 一方

,要

員不足 に関す る不満 は

,事

務・技術系の方が大 きい。 と くに,「残 業・休 日出勤が 多い」 とい う不満が際立つ。 また

,技

能系 に比べ て,「知識や 技能 を高め ることがで きない」「仕事上の権 限が少ない」「現在の仕事が 自分 に合 わない」 といった自分の仕事 に関連 した不満の強いことが特徴的である。 なお

,技

能系の場合

,要

員不足 に関す る不満 は役職が高 くなるほど強 くなる (表31)。工長層で「 自主管理活動 が きつ い」 とい う不満 が強 いの は

,こ

の層 が 自主管理活動の軸 になっていることを物語 っている。常昼勤務 に比べて交替 勤務の方が,「休 日・休暇が思 うように とれない」「仕事が きつ い」「合理化・ コ ス ト低減の要求が厳 しい」な ど要員不足 に関す る不満 は高 くなっている。 表

31

技能系組合員の職場生活における不安や不満 (4つ選択) 職 場 の 厚 生 施 設 が よ 職 場 の 安 全 対 策 が 不 ⑥ 作 業 環 境 が よ く な 自 i 管 理 活 動 が で き 自 主 管 理 活 動 が き つ 食 事 交 替 や 分 割 休 憩 C 休 日 ● 体 暇 が 思 う C 花 勤 や 交 替 勤 務 が ② 仕 事 量 に 対 し て 要 残 業 ・ 休 日 出 勤 が 少 残 業 ・ 休 日 出 勤 が 多 男 女 の 機 会 均 等 が 十 0 昇 進 や 昇 格 が 思 う 〓 甲 仕 事 の 変 化 に つ 地 純 穐 攣 咄 枷 材 ど 異 0 層 用 が 維 持 さ れ る か ど う か 不 安 Λ O A I の 職 ■ , が ど う な o る か 不 安 で あ る 知 識 や 技 能 を 高 め る 近 く に 同 僚 が い な い 職 場 の 人 間 関 係 が う 現 在 の 仕 事 が 自 分 に 仕 事 L の 権 限 が な い 仕 事 上 の 責 任 が 大 き Ю ¨ 刑 靴 ” わ レ ︲ヽ卜 低 88年調査副 92132271 62 60 58 9.0 16 73318175384 54155 07108 50353160203 43 91 25199 33 85 役   職   別 勤 務 ” ¨ 別 勁 カ ル 3 別 811322,045586689177332617939.54517909105513161712014780162203281 9 3 186274 9 1 6 0 39 9 2 1 2 7 031 5170384 7 311 1 0 2 11 0 1 137511921 5 3 812 5 4 6151 3 3 8 2 38 11 632 516 1 9 2 4 2 7 7 0.6 9.020613926 7 8 9 9 5 0 1 11 0 2 8400 7 6192 1 7 7 6 5 2 161 5 9 122 92187 62 90 62101 46 67300157242 58 65 … 97 67228111141 25 37 12171 37108 8,108301 55 56 52 79 12 6835319'473 58163 05 70 52354138192 41 90 26178 21 59 152 16 5 17 5 7 8 10 1 9 0 10 5 2 4 8 930 5 14 020 2 4 021 1 0 2 15 1 5.530 6 6 7 18 8 1 8 3 9 1.5 18 1 6 4 12 1 751152895245488.415603081743994313.70.711.0388602472326410.0242323481 1 8 10 824 2 7 9 8 6 , 1 9 9 1 8 9 533 4 17 635 7 7 5 18 6 0 6 10 5 7 031 1 1 1 15 4 0 6 7 5 2 6 14 3 3 2 9 3 役量 │: ││: 投 長 長 者 本来′)職場 ‖t 向 中 交iヽ勤 務 常i勤務 出所 :鉄 鋼労連 [1989]前掲 報告書,72ペー ジ。

表 1  調査対照職場 と労働 者 注 :国 際社会科 学協議 会 日本委員会 は、鉄鋼連盟 な らび に鉄鋼労連 の協 力を得て、1974年 12月 〜75年 1月 に本調査、1975年 12月 〜 76年 1月 に追調査 を実施 した。 日本の調査対 象 は、新 日本製鉄・ 君津製鉄所 、川崎 製鉄・ 千 葉製鉄所、住友金属・ 鹿 島製鉄所、神戸製鋼 。加古川製鉄所、 新 日本製鉄 。名古屋製鉄所、 日本鋼管・ 福 山製鉄所 で あ る (調 査 日程 順 )。 出所 :国 際社会科学協議 会 [198
表 14  小集団活動 への評価 。態度 14‑1 (69  鉄鋼 )調 査 最近会社の労務管理 として「 目標管理」「 ZD運 動」「 QC」 などとい うことが行なわ れていますが、あなたはどう感 じますか。 69(鉄 鋼 )計 N A 大 手 5社 計 3.9 中   小   計 7.9 14‑2 (71  川鉄 )調 査 やむを得な感じるが︑多少負担は あいがでる仕事にはり わか らないじるに負担を感たり精神的にしくなっ10.0 14.132.238.833.839.810.212.328.436.

参照

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