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中 村 賢

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(1)

ー は じ め に

二 改 正 点

三 大 衆 討 議 の 修 正 提 案 の 採 択 状 況

四 特 色 と 問 題 点 五 法 文

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ート~~

—_

ソ 連 の 勤 労 者 集 団 法

中 村 賢

四 五

3‑2‑239 

(香法

' 8 3 )

(2)

況をみたのち若干の問題点を考察することにしたい︒実施経過の報告もすることにした︒

第四条②

管理参加の諸原則中の企業管理部の単独責任制に

注目のいわゆる勤労者集団法が一九八三年六月一七日のソ連 邦最高会議で採択され︑同年八月一日より施行されることにな

(l ) 

った︒ソ連政府は当初一九七七年︱二月︱二日付ソ連邦最高会

議幹部会および︑同年︱二月三

0

日付閣僚会議で︑新憲法に関

連した立法作業の一環としてのこの勤労者集団の権限にかんす る 法 律 制 定 の 最 終 期 限 を 一 九 七 九 年

︱ 一 月 一 日 と 予 定 し て

(2 ) 

いた︒にもかかわらず︑同法案が約三年後の今年一九八三年四

月︱二日付の党および政府の機関紙等にようやく発表される や︑ニヶ月後にはもう正式の採択手続がとられることになった

のであるから︑それまでの本法の立法経過からしてもかなり急

テンポに本制定作業がすすめられたといえる︒アンドロポフ政

権の本法によせる熱意と期待︑

ことができる︒

法案と法案発表以降の大衆討議内容の一部についてはすでに

(3 ) 

本誌前号で紹介しておいた︒そこで本稿では︑まずその主要な 改正点と大衆討議のなかで出たこの修正提案の本法への採用状

法案第五条をさし替え︑

は じ め に

および政治姿勢をうかがい知る

本法制定の翌日︑すなわち一九八三年六月一八日付のソ連邦 政府の機関紙﹁イズベスチャ﹂掲載のソ連邦閣僚会議議長代理

(4 ) 

ゲ・ア・アリエフの本法案にかんする詳細な総括報告によると︑

ソ連邦最高会議連邦ソビエト・民族ソビエトの立法提案委員会

は︑大衆討議で出てきた修正提案を詳細に検討したうえ︑全法

文二三条項のうちのニ一条項にわたって何らかの修正を加え︑

(5 ) 

0

数個所もの補足訂正をしたとある︒本項では微細な語句修

正はさておき︑これら修正された各条文の重要な該当個所のみ

全くの新条項であり︑経営体の構造次第で同一勤

労者集団内に複数の集団を組織できるようにした︒

問う新規定②を挿入した︒

第三条第二条を新設したため法案第二条が第三条とさし替

わり︑同条の②では人民代議員地方ソビエト問題をあらたに同

集団の審議事項に加えた︒⑤では集団に決定内容とさらにその

第二条 を列記しておく︒

第一条②

改 正 点

さらに本法違反者の引責を

四 六

(3)

﹁勤労者の広汎な管理参加と結びついた﹂との新しい表現を補

( 6 )   足︒本法中でも重要な意味をもつ修正個所である︒⑤では﹁個

性の全面的開発のための条件の創出﹂との語句を追加︒

第五条法案第三条のさし替え規定︒①では集団の審議事項

に集団と利害関係のある法律案と地方ソビエトの決定案を加え

た︒③では︑地方ソビエトの各部局の報告も聴取することにす

る︒⑤では︑集団がソビエト代議員と人民裁判官の召還問題を

提起し︑人民参審員をも召還できるよう追加規定した︒⑥集団

の代表者選出範囲をさらに常設生産会議・人民統制委員会・グ

ループと同官・同志裁判所裁判官等にまで拡大した新規定︒

第八条③項を新設し︑集団が土地・地下資源などの自然資 源の合理的利用措置をもとることにした︒④劣等・規格はずれ

の不良品製造責任者の引責問題も審議することにした︒

第九条③国家的報奨受与に推薦される候補者選出について も意見することにした︒⑤常に労働規律には厳格に対処し︑違

反のでないような状況を職場内につくりだすとの語句を挿入︒

⑥労働規律違反者にたいする制裁措置として︑低賃金労働への

一時的左遷を加えた︒

第︱一条②は︑いわゆる労働生産性刺戟策として著名なシ

(7 ) 

チョキノ方式を導入した注目すべき新規定を挿入したものと考 えたい︒③では︑②の新規定挿入により法案②を本条項の③と

第︱二条②では︑優勝者の道徳的・物質的奨励策の決定作

業を追加した︒

第一三条①では優秀な勤務成績の集団メンバーの昇級・昇

進の推薦作業を追加規定した︒③は今日のソ連型管理参加の焦

点となる重要な人事規定の追加修正であり︑企業・施設・組織 の指導的労働者の任命の決定には社会組織を通じて参加する

が︑そのさい管理部が勤労者集団の意見を参考にするのは︑任

(8 ) 

命とさらに解任のさいも同様とした︒④では集団がその支援す

る学校学生の職業指導改善もすることにした︒

第一四条②経済的刺戟フォンドをもちいて︑居住条件の改 善等にまで物質的援助をおこなうこととした︒同集団の同意を 物質的報奨等のフォンド利用の必須要件にしたのは本法の特色

の︱つである︒

第一五条②生産の組織と文化の向上策を提案するだけでな

く︑その実施にも積極的に参加することにした︒③は勤労婦人

の労働生活条件の改善と母性・幼児保護強化策の策定をもり込

んだ全くの新規定である︒⑥では環境保全策の提案のみならず︑

その実施にも参加するようにした︒⑦では労働保護規則・環境 こ ︒

四 七

し︑技術的根拠のある労働支出ノルマの適用普及のみならず︑

その実施条件の創出の提案策定についても参加できることにし

3‑2‑241 

(香法

' 8 3 )

(4)

保全立法違反者の引責を問題にする新規定を導入した︒

第一六条⑤輸送活動状況を審議事項に追加︒⑩は法案⑨の 旧集団メンバーの青年教育活動への積極的参加者のなかに大祖 国戦争参加者を追加︒社会的に引退することなく彼らがソピエ

トの国民的伝統の教育活動を展開することを強調した︒

第一七条①集団メンバーたることの自覚と誇りを育て︑ソ ビエト的伝統・儀礼の育成策をたてることを追加︒②児童教育 と政治・文化活動・共産主義道徳の確立・育成条件の創出に参

( 9 )   加 す る た め の 新 規 定

' 第一八条①生産作業班集団の基本的権限に︑従業員の技能 資格の向上と作業班メンバーの教育を追加規定し︑②では特に

( 1 0 )  

作業班長の解任条件を明記した︒

第一九条④総会閉会中に管理部と労組委員会が代行する集

団の権限行使状況の情報提供義務を明記︒

第二

0

条①第一条②の規定と重複するが同一集団内の各レ ベルの集団の総会開催についての再確認規定︒②集団の代表者

会議の組織要件を特に明記した新規定︒

第ニ︱条①集団の総会での決定事項内容の同集団全メンバ ーヘの通知義務を追加︒③同じく総会決定事項の実施監督を委 任された労組委員会・管理部双方にたいしてその実施経過を通

( 1 1 )  

報する義務を新しく規定した︒

の提案︵アルマ・アタ市の毛皮コンビナート製帽工場の集会で

ここでは本誌前号で一部紹介しておいたプラウダ・イズベス チャ・タ刊モスクワ・経済新聞紙上の大衆討議のなかで出た修 正提案︵前号の紹介件数四

0

件︶なるものが︑例えば︑どのよ

( 1 2 )  

うな型で新法に反映・採用されたのか次に参考にみておく︒

法 案 第 三 条

e )

ソビエト代議員︑人民裁判官︑人民参審員 の報告の聴取のみならず︑彼らが職務に違反乃至は怠慢の場合 には︑選出母体の勤労者集団に召還権をあたえるようにとの提 案︵トビリシ市ソビエト代議員︑ゼキテアシュビリ︒五月七日

付プラウダ︶は新法第五条④⑤︶に採択された︒

法案第八条③資源の合理的利用にかんする立法の違反者の 引責問題について︑妥協的な決定をすることを防止する意味か

らも︑法案の﹁必要な場合には﹂との文章を削除してほしいと る ︒

大衆討議の修正提案の採択状況

前述のゲ・ア・アリエフ報告によると︑

ビエト市民が大衆討議に参加し︑ 一億一千万以上のソ

︱二三万の勤労者集団の総会

が開かれ約五

00

万以上の市民がそれに出席して本法案を審議 した︒また約一三万件もの提案・意見が出されたといわれてい

四 八

(5)

に採択された︒ の意見︒プラウダ通信員︑ア・ペ・トロショフ︒五月七日付プ

ラウダ︶は︑新法第八条④に実現︒

法案第九条⑥労働規律違反常習者にたいして︑勤労者集団

が三ヶ月の期間内で低賃金の仕事へ配転できるよう規定を修正

するとの提案︵労働ベテラン︑カ・ニクリシン︒五月六日付夕

刊モスクワ︶および︑労働規律違反者にたいする減俸︑さらに

欠勤者にたいする定期休暇・追休の一部剥奪の権限を勤労者集 団に付与するとか︑労働規律違反による被解雇者の労働歴の中

断措置を考慮するとの提案︵バクー市︑工業建設機械化トラス

ト作業班長イ・クリバーノフ︒五月六日付プラウダ︶は︑新法

第九条⑥にいずれも採用されている︒

法案第一三条

反映している︒

④奨学金で技能学校を卒業した青年労働者が

何らかの口実をつけて元企業をやめるケースにたいし︑職場定着

策をより具体的に規定してほしいとの提案︵アルコ・アタ市︑毛皮

コンビナート製帽工場の集会での意見︑プラウダ通信員ア・ペ

トルショフ︒五月七日付プラウダ︶は新法第一三条の④に若干 法案第一五条⑤集団が環境保全について自然損傷者の引責

問題を提起するよう規定せよとの提案︵化学研究所所長エリ・

ゴレロワ︒五月︱︱日付夕刊モスクワ︶は︑新法第一五条の⑦

四 特 色 と 問 題 点

法案第一八条生産作業班集団の組織に関連してでた多数の

従業員をもつ大企業での総会開催は︑事実上無理であり︑その

効果的運営のためには︑開催と活動のしやすい型態の職場集団

を組織し︑その基本的権限を生産作業班集団と同様に規定する

との提案︵レニングラード︑キーロフ名称エレベータ設備工場

組立工作業班長︑

四 九

エリ・ミハイロフ︒経済新聞︑一九八三年︑

第一七号︶は︑新法第一条②および第二

0

条の①に採用︒なお︑

生産作業班集団が同メンバーの技能向上に努め︑委託された職 務に責任をもつよう彼らを教育するとの提案︵クラスノダル生

産合同作業班長︑エリ︑ムジチカ︒四月二八日付プラウダ︶は︑

新法第一八条の①に若干反映した︒

ソ連市民の労働•生産生活の原基的組織体として構成される

勤労者集団を規制した本法の課題は︑生産過程のなかで集団と

して存在する労働主体にどのような位置付けをあたえ︑管理権

限を配分することが現段階において労働生産性を向上させ︑ひ

いては現体制下での社会主義的自治を発展させるのに最もふさ

わしいシステムづくりができるかにあると考える︒戦後生産に

おける民主化の発展のなかで伝統的にソ連型生産管理構造の根

3‑2 ‑243 (香法'83)

(6)

幹をなしてきた単独責任制は︑国内的にも国際的にも新たな刺 戟をうけながら何らかの変容を迫られていたといわねばならな

い︒社会主義的生産において直接民主制と代表民主制をどのよ

うに組み合わせれば︑より一そう積極的に生産管理へ労働者を

引き入れられるのか︑﹁合議制と単独責任制のあらたな社会主義

的結合﹂の模索が進行していたのである︒これに関連しここ数 年来管理部人事について検討されてきた選挙制への移行方式を

含むこれまでのソ連法学界の論調の動向からしても新法では︑

この基本問題について︑極めて妥協的かつあいまいな規定にな

っていることを先ず指摘しておく︒︵第四条②︑第一三条③︑第

一八条①⑨冷︾︑本条の作業班評議会の構成原則が不明︶

さらにまた︑新法が広汎に審議決定に参加する権限を勤労者 集団に付与したことは︑すでに存在し同じ活動をしてきた社会 諸機関︵例えば労働組合とその委員会︑常設生産会議等︶との 権限行使の重複をいかに合理的に調整するかといった複雑な問

( 1 3 )   題の処理が必要になる︒新法第一九条は︑これに一定の方向を

示しているが︑この方式のみが生産民主主義を充分かつ有効に

保障するに最もふさわしい最良のものなのか︑今後の運用の実 態をみなければ確言できない︒総会閉会中の集団の重要な権限

の代行を既存の社会組織に委ね︑その活動報告による情報収集

と聴取のルートを確保することだけで︑代表民主制の欠陥が補 強できるわけでもない︒それをチェックできる効果的な方法は︑

( 1 4 )  

より豊富でより多様でなければならない︒

労働者集団を政治制度のなかに組み込んだ新憲法は︑第八条

でその権限と機能を次のように規定した︒﹁労働集団は︑国家的

および社会的な事項の討議と決定に︑生産計画および社会発展

計画の策定に︑人材の養成と配置に︑企業および施設の管理︑

労働と生活条件の改善︑生産の発展ならびに社会的・文化的施

策および物質的奨励にあてられた資金の利用の諸問題の討議と

決定に︑参加する︒

労働集団は︑社会主義競争を発展させ︑先進的な作業方法の

普及および労働規律の強化を促進し︑集団の成員を共産主義的

道徳の精神で教育し︑彼らの政治自覚︑文化および職業的技能

( 1 5 )  

の向上について配慮する︒﹂

基底的勤労者集団にあたえられた以上のような広汎な権限の

なかには︑今日のソ連の労働者生活の現状にたいする鋭い洞察

をふまえ︑さまざまな意図をもった改善策がもられているのに気

付かざるをえない︒そこには︑労働能力の開発・養成とその適

正配置を住居その他の労働•生活条件等の労働環境の改善整備

を通じて確保しようとする労働力の合理的利用策︑さらにまた

それらと関連して集団メンバーの労働規律順守や生産意欲を積

極的に引き出すための物心両面にわたるさまざまな刺戟装置が

五 〇

(7)

底的集団にあたえられているのである︒ もり沢山に新しく導入されている︒とりわけ︑過剰労働力のかかえ込みや予想外の職場移動から生ずる労働力不足による要員計画や労働規律の混乱の是正のために︑人材の養成と適正配置

( 1 6 )  

によって集団内の労働力の定着化・安定化をはかった第一三条︒

多様な労働規律順守策を設け︑それについて広汎な権限を規定 した第九条︒人員削減をして省力化による節約分を労働者に還 元する新しい賃金支払い刺戟方式を導入した第︱一条︒経済的 刺戟フォンドの配分利用にかんする権限を強化した第一四条等

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展計

画の審議策定への参加とか︑人民代議員ソビエト代議員や人民 裁判所裁判官候補者等の選出・召還権など生産作業班集団を含 めて広汎な権限が共同的労働活動をおこなう全従業員のこの基 しかし︑このような広範囲の管理参加事項や審議権限の拡大

も︑それらが既存の社会機関により代表民主制をたてまえとし て運用される場合には︑労働主体のより積極的なこれら権限行 使を可能にする技術・知識︑および意見交流と提案実現を実質 的に保障するシステムとその監視装置が確立されなければなら ないのであって︑これら社会主義的自治にとりきわめて重要な 多岐にわたる管理参加のルートと権限を法文上明記することだ

( 1 7 )   けでことたりるわけでもない︒それを実現しプロモートする知

恵とエネルギーを日常的に育て︑たくわえ︑持続させていくメ

カニズムの創造こそが重要である︒それが確保されない場合に

は︑これらの過大な権限の不十分な行使が集団の自主活動を逆

に萎縮させ︑労働規律の監視機関化や党・政府のプロパガンダ

のたんなる宣伝機関・上意下達機関化する危険性を生じさせな

いという保障はないのである︒とわいえ︑現代の情報化現象を

反映してか︑新法が代表・執行機関にたいし多くの活動報告と

情報提供の義務をかして情報アクセスを容易にする一方で︑勤

( 1 8 )   労者集団にもさまざまな勧告・提案権を付与したことは︑同集

団の下からの自主活動を一そう活性化させ硬直化を予防し︑そ

のロボット化を抑止する有効な措置となるかもしれないので ( 1 9 )  

ある

勤労者集団ならびに企業・施設・組織の管理上のその役割向 ︒ 上にかんする全連邦の法律

企業・施設・組織の勤労者集団は︑社会主義社会の基礎とな

る細胞であり︑ソ連邦憲法にしたがって︑国の政治・経済およ

び社会生活について広汎な権限を行使する︒ソ連邦における勤 労者集団の活動は︑生産手段の社会主義的所有と経済の計画的

五 法

3‑2‑245 (香法'83)

(8)

あり︑国全体の代表者であることを自ら実感しなければならな

勤労者集団は︑

なる

れる

発展にその基礎をおいている︒勤労者集団内においては︑同志

的協力と相互扶助の原則にもとづいて共同労働がおこなわれ︑

国家・社会・個人の利害の統合が保障され︑集団にたいする従

そして彼らにたいする集団の責任原理が確認さ

業員個々人の︑

の資源を合理的に活用し︑集団メンバーならびに彼らの労働・

成熟した社会主義社会のもとでは︑生産・社会・国家生活に ンテリゲンチャの企業・施設・組織の管理への積極的参加の可

能性が拡大し︑共産主義建設のなかで発展する真の社会主義的

自治が実現する︒

勤労者集団の活動における自覚的規律性と高度の組織性︑同 集団メンバーの創意力と積極性︑集団的技術創造性が︑生産を 強化し科学技術進歩を促進し︑社会的労働生産性を高め︑ソビ エト国民の福祉の向上と個性の全面的発展のための必須要件と 共産党とソビエト国家は︑社会主義的民主主義をさらに発展

させる方針をとるなかで︑勤労者各人が自分の企業の経営主で

ソ連邦共産党組織の指導のもとで︑ソ連

いという勤労者の管理参加にかんするレーニンの命題を逐次実 現するのである︒企業・施設・組織の管理を一そう民主化する ことと︑勤労者集団内でなされる社会諸組織の活動の向上とは 不可分の関係にある︒勤労者の政治意識︑彼らの文化的ならび に職業上の水準の向上と管理・経営の完成化が︑勤労者集団の 権限の拡大と社会にたいするその責任強化の前提をつくること

第 一 条 企 業

・ 施 設

・ 組 織 の 勤 労 者 集 団

①企業・施設・組織の勤労者集団とは︑国営・公共企業︑施

設︑組織︑コルホーズおよびその他の協同組合組織内で共同的労

働活動をおこなう全従業員の結合体

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②企業・施設・組織の構成によっては︑同一勤労者集団内に

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の複数の同集団が組織さ

③ 

邦の社会構造と社会主義的生活様式の全面的強化発展のための

経済・社会・政治機能を実現し︑勤労者の生産・社会・国家生 ex 

おける勤労者集団の役割が高まり︑労働者・コルホーズ員・イ る ︒ 生活休息条件の改善について絶えず配慮することを要請され

にな

る︒

れる︒勤労者集団は︑国の物質的・精神的財産を増大し︑現存

BC‑

(9)

② 

る ︒ 活と企業・施設・組織の管理への積極的参加を促進する︒

④勤労者集団の本分と義務とは︑高度の生産的労働︑党決 定の実現・ソビエト諸法・政府決定の確固たる実施︑国家計画

と契約債務の遂行、労働の実効性と質の向上、労働•生産・国

家規律の強化︑集団メンバーの労働・社会・政治活動の発展に たいする日常的な配慮と共産主義建設者としての道徳原理を彼

立法

そのおわされ らに教育することである︒

⑤ソビエト国家は︑勤労者集団にたいして︑

た課題を遂行し︑その権限の実現に必要な条件をつくりだす︒

第 二 条 勤 労 者 集 団 に か ん す る 立 法

①勤労者集団にかんする立法とは︑勤労者集団の基本的権 利・義務と︑企業・施設・組織のその管理上の諸権限を規定し た本法︑同集団の活動上の個別問題にかんするその他の全連邦

ならびにそれに関連して発令される各共和国立法からな 勤労者集団にかんする立法に違反した者は︑所定の手続

にしたがって責任をおう︒

第 三 条 勤 労 者 集 団 と 国 家 権 カ

・ 管 理 諸 機 関

①国家権カ・管理機関は︑ソ連邦憲法とソビエト諸法にし たがって︑その権限の範囲内で民主集中主義にもとづいて勤労

者集団の活動にたいする国家指導を確実におこなう︒

①  ②  制 ︒

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第四条

勤労者集団は︑人民代議員ソビエトとその下部機関の持 込む国家・経済および社会文化建設問題を審議する︒当該領域 内の経済・社会の総合的な発展︑ならびに当該地方ソビエトの 権限内に属するその他の諸問題にかんする提案を人民代議員地

方ソビエトの審議に持込む︒

③勤労者集団の意見と提案は︑当該企業・施設・組織の活 動にかんする決定採択のさい︑国家権カ・管理機関により考慮

人民代議員ソビエト︑

その執行・管理機関︑各省︑国家 委員会と各官庁︑経済機関は︑企業・施設・組織が間断のない リズミカルな活動をするための条件を確保し︑勤労者集団活動

における民主主義的原則の発展を全面的に促進する︒

活動と採択した決定およびその実施経過について情報を提供す る ︒

勤労者集団の企業・施設・組織の管理参加の諸原則 勤労者集団は︑次の原則にもとづいて企業・施設・組織の管

理に参加する︒

国家・社会・集団および個人の利害の調和的結合︒

勤労者の広汎な管理参加と結びついた管理部の単独責任

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⑤国家権カ・管理機関は︑勤労者集団にたいして︑自己の

④ 

る︒

② 

3‑2‑247 (香法'83)

(10)

① 

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③勤労者集団の権利・義務の統一︒

④労働•生産・国家規律、社会主義的適法性の断固たる順

守︒同集団各メンバーの権利と法益の擁護︒

⑤同集団メンバーの労働・社会・政治活動と創造的創意カ

の全面的開発︒勤労者集団の権限行使への全メンバーの参加︒

個性の全面的開発のための条件の創出︒

⑥企業・施設・組織の活動問題の集団的審議・決定︒

⑦批判・自己批判の展開︒公務員およびその他の集団メン

バーの活動にたいするあらゆる角度からの評価︒彼らの課題の

履行責任の強化︒

⑧集団メンバーにたいし企業・施設・組織の活動の公開と

系統的な情報提供︒世論の配慮゜

第五条勤労者集団の国家・社会問題の審議・決定にかんす

る基本的諸権限

勤労者集団は︑ソ連邦および連邦構成各共和国の法律にした

が っ

て ︑

勤労者集団と利害関係のあるもち込まれた法律案︑人民

代議員地方ソビエトの決定案︑およびその他国家・社会生活に

かんする問題を審議し︑それらについて独自の提案をおこなう︒ ①  人民代議員ソビエトの代議員候補者と選挙管理委員会の ②  代表者を推薦する︒ ③勤労者集団が推薦した人民代議員ソビエトの代議員の報 告︑および人民代議員地方ソビエト執行委員会・その各部局の 報告を聴取する︒

④人民裁判官候補者を推薦し︑地区︵市︶人民裁判所の人

民参審員を選挙し︑その報告を聴取する︒

⑤人民代議員ソビエトの代議員・人民裁判官の召還問題を

提起し︑選挙民の信頼に副わなくなった地区︵市︶人民裁判所

の人民参審員を召還する︒

その他の国家・社会生活問題を審議する︒ 裁判所裁判官および勤労者集団内で活動するその他の社会機関 を選挙し︑彼らの報告を聴取する︒

⑦ 

企業・施設・組織の管理にかんする勤労者集団の基本的

諸権限 第六条経済・社会発展計画化にかんする勤労者集団の権限

勤労者集団は︑

企業・施設・組織の経済・社会発展のための将来計画と

当面の計画︵行動計画︶案の策定と審議に参加する︒当該計画

⑥常設生産会議・人民統制委員会・グループと同官・同志

五 四

(11)

案は︑勤労者集団が審議したのちに承認される︒

② 

る ︒

補足的余裕と可能性をふまえた呼応計画を策定・採択す

③計画および契約債務履行と経済計算の強化発展のための

諸方策をおこなう︒

④労働生産性︑生産の実効性︑労働とその結果産出された

生産物の資質向上のための措置を承認・実施する︒

⑤計画および契約債務の履行の経過︑その計画変更事由︑

生産・経済活動の成果について管理部より聴取し︑相当の勧告

をなし︑必要な場合には︑上級機関にこれを通告する︒

策七条団体協約締結にかんする勤労者集団の権限

勤労者集団は︑

①団体協約の策定に参加・審議し︑それにかんする決議を 採択し︑企業・組織の労組委員会に同協約を署名する権限を付

与す

る︒

② 

③ 

団体協約の履行を確保するための策をおこなう︒

団体協約の履行にかんする企業・組織の管理部と労組委 員会双方の報告を聴取する︒必要な場合には︑団体協約上の債

務を履行しなかった者の引責問題を提起する︒

第八条物質的資源の社会主義的所有の保全と合理的利用の 確保にかんする勤労者集団の権限

五 五

社会主義的所有の保全と増殖を保障し︑不経済性と人民 財産にたいする怠慢な態度と闘争し︑国有・公共財産の横領予

防のための対策をおこなう︒

②所蔵資源のより完全な摘発利用︑原材料・エネルギー・

燃料資源の科学的消費規正と浪費︑欠陥製品の原因の一掃によ りそれらの合理的・経済的利用を確保し︑設備・機械その他の

基本フォンドを有効利用するための提案と諸対策をおこなう︒

③土地・地下資源・水•森林その他の自然資源の合理的利

用のための措置をこうずる︒

④所定の手続により︑社会主義的所有の保護と物質的・財 政的資源の合理的利用にかんする立法に違反し︑劣等かつ規格

はずれの欠陥品を製造した従業員の引責を問題にする︒

第九条労働規律維持にかんする勤労者集団の諸権限

勤労者集団は︑

①企業管理部と労働組合委員会の提出した内部労働管理規

則を承認し︑その順守を確保するための対策を採択する︒

②労働規律順守状況を審議し︑その強化策を実施する︒

③労働を成功させるための社会的奨励策をおこない︑道徳 的・物質的奨励をなすための従業員を推薦し︑国家的報賞受与

に推挙される候補者について意見をのべる︒

① 

勤労者集団は︑

3‑2 ‑249 (香法'83)

(12)

④同目的のために生産革新者や模範労働者および企業・施 設・組織内の長期優良勤続者にたいし︑現行規程上分与できる

資金を使って割増的特恵や特典を設定する︒

⑤労働規律違反を容赦しないような状況の創出を確保し︑

労働義務の履行に不真面目な従業員には︑同志的厳格さを表明 する︒労働規律違反の集団メンバーには社会的処分︵同志的叱 責・社会的注意︶をおこなう︒労働規律違反者にかんする資料

を同志裁判所の審理にふす︒

⑥法律にもとづき労働規律違反者にたいし︑低賃金労働ヘ の一時的左遷と解雇に及ぶまでの引責問題︑年間実績や年功に よる奨励金・手当︑および間断のない労働歴にたいする追休の 全部乃至一部の剥奪問題︑企業・施設・組織に生じた物質的損 害賠償問題︑住居使用順番制の変更およびその他の法上の制裁

の適用問題を提起する︒

⑦勤労者集団は︑同集団メンバーがあらたな規律違反をせ ず︑誠実な従業員に戒心した場合は︑同集団のかした処分をそ の適用の日より一年経過以前に撤回する権限をもち︑懲戒処分 の期限前撤回︑乃至は労働規律違反により企業管理部のなした

その他の処分行為の停止について請願をおこなう権利をもつ︒

第一〇条科学・技術の成果を導入し従業員の創造的創意力 を発展させる面での勤労者集団の権限

勤労者集団は︑

①科学技術の進歩を促進し︑科学の成果・新技術・先駆的 技術・科学的労務組織と管理を生産その他の生活分野に幅広く

導入するための措置をとる︒

②大衆的技術創造•発明と合理化、生産革新者の権利の保

護を助成する。学術・科学技術協会•発明家と生産合理化運動

家組織を支援する︒

③道徳的刺戟策をとり︑新しい技術装備や技術の研究の導 入と進歩的経験の普及に積極的に参加するよう従業員の奨励規

程を提案する︒

④ 

企業管理部より︑科学・技術の成果の導入と創造的創意 カ・発明と合理化の発展策の実現について聴取し︑相当な勧告

をおこなう︒

生産性向上と省力化した人員で策定した計画の遂行と労 働時間の改善を促す進歩的労働組織形態の導入策を提案実施す

②従業員が現行ノルマ︵課題︶より多くの労働量をこなす る ︒ よう刺戟するために︑人員削減の結果所定の手続により同集団

① 

権限勤労者集団は︑ 第︱一条組織化・ノルマ化・労働支払面での勤労者集団の

五 六

(13)

③技術的に根拠のある労働支出ノルマの適用普及とその実

施条件の創出にかんする提案の策定に参加する︒

④労働支払の完全化と︑各従業員の賃金を本人の労働の貢 献度に適合させることを保障し︑集団のなした労働の最終成果

で賃金を加減するよう提案をする︒ る ︒

従業員の打与金の給付を完全にし︑

⑤その他の支払い•特

恵を物質的報償基金から支給する提案を審議・承認する︒

⑥現行の労働ノルマと賃金支払条件の適用について監督す

⑦コムソモール青年集団の創設にかんするコムソモール組 る ︒

織の提案を審議し︑勧告をおこなう︒

第︱二条従業員の労働の積極性の発展と社会主義的競争の 組織化にかんする勤労者集団の権限

勤労者集団は︑

①あらゆる手をつくして集団メンバーの労働の積極性を高 め︑社会主義的競争と労働にたいする共産主義的姿勢のために

運動を展開する︒

②企業・施設・組織における社会主義的競争の条件を確認

し︑優勝者の道徳的・物質的奨励策を決定する︒ が人手した賃金フォンドの節約分の利用問題の決定に参加す

③ 

義的競争の公開性を確実にし︑ 社会主義的約定をなし︑

決定

する

五 七

その実施策をおこなう︒社会主 その総括をおこない︑優勝者を

④進歩的経験の普及・導入策の策定実施に参加する︒

⑤他の勤労者集団との社会主義的競争と創造的連帯の契約

を締結する︒

⑥ 

社会主義的約定の履行を促す組織・技術的方策の実施に

ついて︑企業管理部と労働組合委員会双方より情報を聴取し︑

相当な勧告をおこなう︒

第一三条要員の養成と技能資格の向上および配置にかんす る勤労者集団の権限

勤労者集団は︑

①要員の養成・配置および合理的活用︑同集団の安定性の 確保︑企業・施設・組織構造の完成の問題の審議・決定に参加 する︒優秀な勤務成績の集団メンバーの昇級︵昇格︶昇進を推

薦す

る︒

②要員の技能資格の向上︑新職種研修︑指導者育成︑先駆

的労働方式の研究のため学校活動の問題を審議する︒

③企業・施設および組織の指導的労働者の任命問題の決定

には︑ソ連邦立法にしたがって︑社会組織を通じて参加する︒

これらの労働者の任命および解任には︑勤労者集団の意見を考

3‑2 ‑251 (香法'83)

(14)

的・個人的住宅建設と居住条件の改善ないしは家庭設備

061 物質的報償フォンド︑社会・文化対策および住宅建設フ

ォンド︑生産開発フォンドの資金利用の問題の決定に参加する︒

これらのフォンドの支出予算を審議・承認し︑その執行状況を

監督する︒企業および組織で積立てられた物質的報償フォンド︑

社会・文化対策および住宅建設フォンドの資金は︑勤労者集団

の同意なしにもち出すことができない︒

②所定の手続により︑物質的報償フォンドと社会・文化対 策および住宅建設フォンド︑およびこれらの目的のために予定 されているその他のフォンド資金をもちいて︑従業員の協同

① 

企業・組織の資金を利用して有給奨学生として上級・中 級の専門学校に学習のため派遣する生産模範労働者資格を確認

する

第一四条経済的刺戟フォンドの配分•利用にかんする勤労

者集団の権限

勤労者集団は︑

⑤ 

勤労青年の教育・職業訓練︑彼らを同集団内に定着させ

る問題を共産青年同盟組織とともに審議し︑相当な提案をおこ

ない︑その支援学校の学生の勤労教育と職業指導の改善を助け

る ︒ 慮しておこなう︒

④ 

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HH

質的援助をする問題の決定に参加する︒こうした物質的援助の

うけられる従業員候補者を確認する︒

労働条件と労働保護の改善にかんする勤労者集団

①労働条件と労働保護および保健衛生対策の総合的改善計

画を審議・承認し︑同計画の遂行を監督する︒

②技術的改装・機械化・オートメ化︑生産組織の改善︑生 産文化の向上︑手動作業・未熟練・肉体的重労働の削減策を提

案し︑その実施に積極的に参加する︒

③勤労婦人の労働•生活条件の改善と母性と幼児保護の強

化策を策定・実施する︒

④企業・施設・組織において労働保護に予定された資金の

利用と全従業員の労働保護規則と指令の順守を監督する︒

⑤社会保険資金の利用問題を審議し︑相当の提案をする︒

⑥環境保全改善策を提案し︑その実現に参加する︒

⑦労働保護規則および環境保全立法違反者の引責問題を提

起す

る︒

第一六条従業員の社会・文化および居住生活条件の改善に

かんする勤労者集団の権限

の権限 第一五条

勤労者集団は︑

して物

, . n ;

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HHMX03RHCTBOMにつ~

五 八

(15)

社会・文化対策および住宅建設フォンド︑必需品フォン

ドおよびその他こうした目的を予定した企業・施設・組織のフ

ォンドの資金をもちいた住宅︑就学前児童施設やその他の文 化・生活用の設備の建設にかんする決定を採択する︒これらの

フォンドをもちいて建設した建物の居住面積は︑勤労者集団の

同意なしに他の組織に譲渡したり︑他の目的に利用できない︒

④住宅建設協同組合組織にかんする提案をする︒

⑤公営の生活・医療事業・商業・共同食堂制・輸送活動の

各状況を審議し︑相当な提案をする︒

⑥サービスおよび予防医療施設面での企業・組織の活動に

たいし社会的監督をおこなう︒

⑦ 企 業 お よ び 組 織 の 副 業 経 営 の 組 織 化 と 活 動

︑ 集 団 的 園

芸・菜園経営︑個人的副業経営の発展の問題の決定に参加する︒

⑧集団メンバーとその家族の休息の組織化︑体育・スポー

ツの発展の問題の決定に参加する︒

③ 

勤労者集団は︑①社会・文化対策と住宅建設計画を審議・承認し︑その実施にかんする報告を聴取する︒

②住宅条件の改善を必要とする者のための問題決定に参加

し︑相当な勧告をおこなう︒住宅配分のさいの統制と公開性を

確保

する

⑩ 

五 九

⑨集団メンバーとその家族のためのスポーツ・防衛大衆活

動や保健・児童・文化啓蒙施設の活動状況を審議し︑相当の提

案をおこなう︒

大祖国戦争参加者およびかつて勤労者集団メンバーであ

った年金生活者について配慮し︑社会的労働や青年にソビエト

国民のもつ革命・戦闘・労働における伝統を教育することに彼

らが積極的に参加することを促す︒

共産主義教育活動の組織化にかんする勤労者集団

集団メンバーにたいして思想・政治・労働・道徳・法・

経済にかんする総合的な教育をし︑同集団内に健全な道徳心理

的状況を確保し︑自己の集団メンバーであることの誇りを勤労

者の間に育成し、かつまたソビエト的伝統と儀礼を導入•発展

させるための諸措置をおこなう︒

②住民のなかに政治・文化啓蒙活動と︑家庭を守り︑児童

教育を改善し︑生活のなかに共産主義的道徳規範の確立を促す

ための諸条件の創出に参加する︒

③文化・啓蒙対策計画を確認する︒

④ソビエト愛国主義︑社会主義的国際主義︑国民の友情と

親交︑順法と社会主義的共同生活規律の尊重︑人民の財産を大

第一七条 の

権 限

勤労者集団は︑

① 

3‑2  ‑253 

(香法

' 8 3 )

(16)

③ 

企業・施設・組織の管理にかんする勤労者集団の権限の 作業班班長の任命について企業管理部に同意をあたえる 切にする態度︑深酒・無頼行為・貧慾その他共産主義道徳に反 するものを容赦しない精神を集団メンバーに教育するための諸 措置をとる︒

⑤  法律違反の予防活動に参加し︑法律違反者の再教育策を

お こ

な う

団ズ

OJ IJ 18 KT MB

第一八条生産作業班集団の基本的権限

企業・組織の勤労者集団の基底的構成体をなす生産作業班集 コ

p0 :1 13 BO .. IJ :C TB eH HO H  6 p : 1 1 r a . I J , b l  

COBeT 

の権限は︑本法にしたがいソ連邦閣僚会議所定の手続により確 認される作業班規程が規定する︒

生産作業班集団は︑

①作業班の補充︑その活動の計画化・組織化︑賃金と労働

の刺戟化︑従業員の技能資格の向上︑作業班メンバーの教育︑

規律違反者の引責の問題の決定に直接あるいは作業班評議会

6p Mr a. II .b

を通じて参加する︒

l

②  が︑同集団の信任にそわない場合は同班長の解任を管理部に要

求する権利をもつ︒

社会機関である作業班評議会を選出する︒

②  行使 策一九条勤労者集団の企業・施設・組織の管理にかんする 権限行使の諸形態

勤労者集団の権限は︑直接企業・施設・組織の勤労者集団の

総会により行使される︒総会閉会中勤労者集団の権限は︑次の

ような形態で行使される︒

①企業管理部と党・労働組合・コムソモール組織の被選出

機関との共同で︒

②  各当該規約およびソビエト諸法にもとづいて︒勤労者集

団内で活動する労働組合とその他の社会組織により︒

③企業・施設・組織の管理部により︑その権限にもとづき︑

乃至は勤労者集団の委任により︒

④管理部と労働組合委員会は︑総会閉会中勤労者集団の権

限行使にかんする自己の活動について︑系統的に集団メンバー

にたいし情報提供をおこなう︒

第 二

0

条勤労者集団の総会︵代表者会議︶

①企業・施設・組織の勤労者集団の総会︵代表者会議︶は︑

勤労者集団の最も重要な生活および活動問題を審議する︒企

業・施設・組織の勤労者集団の総会︵代表者会議︶は︑職場・

部局・職区・作業班•その他の部門でも開催する。

勤労者集団の代表者会議は︑職場・部局・職区・その他

六 〇

(17)

企業・施設・組織の勤労者集団の総会︵代表者会議︶は︑

必要に応し︑少くとも年二回開催する︒

⑤総会の定足数は︑集団全メンバーの過半数であり︑代表

者会議のそれは代表者の三分の二とする︒

第ニ︱条勤労者集団の総会︵代表者会議︶の決定

①勤労者集団の総会︵代表者会議︶の決定は︑会議︵代表 者会議︶に出席する集団メンバーの多数決により挙手で採択さ れる︒企業・施設・組織の職場およびその他の部門の勤労者集 団の会議開催のさいは︑同会議に出席した勤労者集団メンバー の多数が賛成の場合に決定が採択されたとみなされる︒同決定

は同集団全メンバーに通報される︒

④ 

組織上の各部門の交代制ないしは地域的遠隔のため総会の召集が困難な場合に︑企業・施設・組織でおこなわれる︒代表者会議の代表者は︑勤労者集団の決定する規範と手続により選出され

る︒

③勤労者集団の総会︵代表者会議︶で審議される問題は︑

党・労働組合•その他の社会組織、管理部、人民統制機関、常

設生産会議︑集団の各メンバーの発議︑および管理部と社会組 織の共同発議によっても持込まれる︒勤労者集団の総会︵代表 者会議︶は︑企業・施設・組織の労働組合委員会と管理部の共

同で召集される︒

② 勤 労 者 集 団 の 権 限 と 現 行 法 に し た が い 採 択 さ れ た 総 会

︵代表者会議︶の決定は︑同集団メンバーと企業・施設・組織の

管理部双方を拘束する︒

③勤労者集団の総会︵代表者会議︶の決定実施の監督は︑

その権限にしたがい︑乃至は総会︵代表者会議︶の委任により︑

労働組合委員会と企業・施設・組織の管理部双方がこれをおこ

なう︒これらの機関は︑決定実施経緯について勤労者集団に通

報す

る︒

④勤労者集団の提案と勧告は︑管理部・労働組合その他の 社会組織により︑必要な場合は当該国家・社会機関によっても

︱ヶ月間審議される︒提案と勧告の審議結果を管理部とこれら

の組織・機関は勤労者集団に通報する︒

本法の効力とその適用の特則 第 二 二 条 本 法 の 効 力

①本法の効力は︑全企業・施設・組織の勤労者集団ならび

にそれぞれの職場・部局その他の部門の同集団にそれぞれの権

限の範囲内において及ぶものとする︒

②コルホーズ︑その他の協同組合と社会組織の勤労者集団

にたいしても︑本法がそれぞれの活動を規制する当該規約と規

程を考慮して適用される︒

3‑2‑255 

(香法

' 8 3 )

(18)

第 二 三 条 本 法 適 用 上 の 特 則 本法規定を国民経済の各部門や国家生活・社会生活の各領域 に適用するさいの特則は︑それぞれの特殊性を考慮しながら︑

ソ連邦立法︑ソ連邦閣僚会議および全連邦労働組合中央評議会

の決定により制定される︒

ソ連邦最高会議幹部会議長

ュ・アンドロポフ テ・メンテシャシュビリ

モスクワ・クレムリン︒

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月一

九日

︵日

曜日

︶付

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ベスチャ﹂第一七

0

号︵

0

五一六︶一ーーニページ︒本稿

の法文の邦訳は同紙に掲載された原典によった︒なお﹁ソ連

邦政府決定集﹂一九八三年︑第一五号︑参照︒なお︑新法各

条項の丸カッコ数字は︑便宜上訳者のつけたものである︒ 註

( 1

)

新法の原名は0

T P

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J J

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B b

l X

 

一九八三年六月一七日

MX 

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I H

 

ソ連邦最高会議幹部会書記

1 K

OJ

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( 7

)  

( 5

)  

( 2

)

﹁ソ連邦政府決定集﹂一九七八年︑第二号︑参照︒

( 3

)

拙稿﹁ソ連邦における勤労者集団法草案について﹂︿香川法

学﹀昭和五八年七月刊︑第三巻第一号︑一七五ーー̲︱九三ペ

ージ

参照

( 4

)

報告議題は﹁勤労者集団と企業・施設・組織の管理における

その役割の向上にかんするソ連邦法律案について﹂本報告は

同法制定までの経緯とその意義について論じた最高会議で

の総括報告である︒勤労者集団法全文発表の︵六月一九日︑

日曜日︶前日の﹁イズベスチャ﹂紙上にニページにわたって

掲載されたもの︒

一九八三年六月一八日付﹁イズベスチャ﹂第一六九号︵二

0

五一五︶三ページ参照︒

( 6

)

歴史的にもソ連型管理構造の基底を形成してきた本制度の

今日的在り方自体が問われ︑その解答が本法であるとすれ

ば︑本条項の修正の意味内容をあらゆる角度から追求する必

要があるが︑これについては小森田秋夫﹁ソ連国営企業にお

ける︿勤労集団﹀の法的構造をめぐってー│'改革論の動向に

かん

する

覚え

書│

│̲

﹂︿

北大

法学

論集

﹀第

3 0 巻第1号︑がその

作業の糸口になる︒

一九六七年シチョキノ化学コンビナート︿アゾート﹀で実験

され一九六九年一

0

月九日付のソ連共産党中央委員会決定

で全連邦に普及推奨された経済的インセンティプによる労

働生産性向上と労働資源の合理的利用策をいう︒すなわち企

' 

(19)

業が過剰に抱えている労働力を合理的に遊離した結果えら れる賃金フォンドの節約分を職務給の追給あるいはプレミ

アム支給の型で従業員に還元し︑その遊離労働力をその不足

する他のソ連経済部門に再配分活用しようという労働・経済

政策をいう︒村上範明﹁現代ソ連の労働力問題﹂︿労働問題研

究﹀一九八三年第四号︒五月社刊︒三七ページ以下およびア・

ゲ・オルロフ﹁法と労働創意﹂一九八二年︒モスクワ法律文

献出版所刊︒一四ニー一四六ページ参照︒

( 8

)

管理部人事への労働者集団の発言権強化の鍵は︑集団のもつ

人事管理参与権と管理部の人事管理権行使の接点を具体的

にどこに求めるかという問題に集約される︒③項のあいまい

な規定自体から集団が管理部人事に間接参加する際︑媒介機

関となる社会組織とは何を指すのか︒またこの場合の当該社

会組織と集団・管理部相互の権利・義務関係は何か︒また任

命・解任にかんする集団の意見表明が管理部の人事管理権の

行使にたいしてどの程度の法的拘束力をもつのか︑人事とい

う重要問題であるだけにこうしたいくつかの疑問点が出て

( 9

)

そもそもの新法のたてまえとするねらいは︑集団に結集する

労働主体の生産活動への積極性・能動性をひきだすために民

主的参加の強化が問題とされているのであり︑そのために同

時に本条の集団の教育機能がそしてまた労働規律維持機能

がとりわけ重要視されるのである︒ く

る︒

( 1 0 )

現場での勤労者集団の実際の機能の担い手は生産作業班で

あるから︑それによって具体的に行使される権限をさらに明

らかにするには︑作業班規程の内容や作業班評議会の組織規

定の分析が必要となる︒なお作業班班長の任命・解任につい

ては︑第一三条③のそれよりも︑生産作業班集団に一層強い

権限を付与した点が注目される︒

( 1 1 )

最低︑年二回開催の集団の総会閉会中は︑集団の権限を管理

部・労組がそれぞれ単独で︑あるいは管理部と党・労組・コ

ムソモール組織との共同で行使するが︑いづれの場合も︑そ

の活動報告義務をかして集団メンバー全員に情報提供と聴

取の場を十分保障している点は︑本法の特色の︱つである︒

︵例えば第三条⑤︑第四条⑧︑第五条③と④

R f

第六条⑤︑第

七条

③︑

第一

0

条④︑第︱二条⑥︑第一六条①︑第一九条④︑

第ニ︱条①⑤

e )

なお挙手を総会決定の採択方法に選んだの

は︑労働者集団が本来もつ教育・説得活動の結果を専ら重視

した善意の措置とも考えられるがきわめて問題を残す規定

であ

る︒

( 1 2 )

大衆討議進行中の特定期間中の︑しかも限られた紙上の提案

採用状況の調査だけで︑当抵その一三万件もの提案・意見の

処理の全貌を十分とらえきれるものではないことは云うま

でもない︒なお︑

一九

八︱

︱︱

年六

月︱

一日

付﹁

イズ

ベス

チャ

の第ニページ目に︑同紙編集局名で﹁勤労者集団法草案審議

に参加した同紙読者からの手紙の要約﹂と題した記事を掲載

3‑2‑257 

(香法

' 8 3 )

(20)

エジデナ︑ミンスク市のゲ・ボリセビチ︑チムケント市のア・ している︒そこでの注目される若干の提案を以下追加紹介しておく︒①欠勤・遅刻・深酒のために解雇になった悪質な規律違反者は就職斡旋機関の斡旋でしか︑しかも低賃金労働にしか再就職できないよう立法する︒︵トビリシの航空機製作者の意見︶②規律違反の事実を隠蔽した経営指導者には行政責任をかす︒労働規律向上策にはワンパターンの規律罰の加重だけでなく︑その他の制裁・説得や何らかの刺戟策などめくばりのきいた多種多様な効果的な教化措置が考えられはしまいか︒︵同紙読者のボロジスキー市のエヌ・ミロシニコフ︑モスクワ市のア・ニキホロフ︑ソチ市のヴェ・コルシュノフ︑ズラトウスタ市のア・トミロの意見︶③勤労者集団法第一条に﹁勤労者集団の最重要機能とはそれを構成する従業員の教育である﹂と規定する︒また労働規律違反を見逃さず審議する法的義務を同集団にかし︑違反者にたいし法が予定している措置をとらない経営者に責任をとらせる︒︵同紙読者のリガ市のエス・レフチェンコ︑テミルタ市のデ・オシキィ

リポ

ワ︑

ズベニゴロド市のア・ツケルマン︑

のエム・シャフロワの意見︶④作業班の仕事の最終成果の裁

量には︑関心度・意欲性・規律性を指標とするよう立法にも

り込む︒︵同紙読者のボログダ市のエヌ・チェルカソワ︑トウ

ーラ市のゲ・スミルノワ︑ カリーニン市

セミパラチンスク市のエム・ナジ ン︑ヤルタ市のテ・プレトネワ︑ボルゴグラード市のオ・フ

照 ︒ テュレバエワの意見︶

( 1 3 )

拙稿﹁ソ連の労働組合の地位ー̲ーその基層労組組織の権限と

機能ー﹂︿比較法研究﹀第四三号︒︱ニニー︱二四ページ参

( 1 4 )

新法での勤労者集団がもつ直接選出権限事項は︑ソビエト代

議員候補者・選挙管理委員会委員︵第五条②︶人民裁判官候

補者・地区人民裁判所人民参審員︵第五条④︶常設生産会議︑

人民統制委員会・グループ・同官︑同志裁判所裁判官︑集団

内で活動する社会機関︵具体的に何を指すか不明︶︵第五条

⑥)集団の代表者会議︵第二

0

条②︶作業班評議会︵第一八

条③︶である︒直接召還権をもつのは︑人民参審員︵第五条

⑤)︒召還問題の提起ができるのはソビエト代議員︑人民裁判

所裁判官︵第五条⑤︶︒管理部にたいする解任要求のできるの

は︑作業班班長︵第一八条②︶︒企業等のその他指導的労働者

の解任については︑意見表明権しかない︒︵第一三条③︶なお︑

社会経済計画の運用につき管理部および上級機関へ勧告す

るルートはある︵第六条⑤︶︒

( 1 5 )

宮沢俊義編﹁世界憲法集﹂第三版︒岩波文庫︑二八六ーニ八

七ページ参照︒

( 1 6 )

これに関するソ連邦政府の最近の重要な措置は︑一九七九年

︱二月一三日付ソ連邦共産党中央執行委員会・ソ連邦閣僚会

議・全連邦労働組合中央評議会共同決定﹁労働規律の一層の

強化と国民経済における労働要員の移動の縮小について﹂拙

六 四

(21)

稿﹁ソ連の最近の労働立法ー│'労働移動抑止にかんする 七九年︱二月決定をめぐってー﹂日本労働法学会誌︑第五

九号﹁不安定雇用をめぐる法律問題││'派遣労働者問題を中

心にー│﹂綜合労働研究所刊︒昭和五七年五月刊参照︒

( 1 7 )

勤労者集団の諸権限の拡大が直接民主制の発展に直結する

とはかぎらない︒﹁企業の管理と労働の管理がたくさんの知

識︑経験︑高度な専門的技能資格を必要とする現在の条件の

もとでは︑全体としての勤労集団にこれらの問題の解決を担

わせることは︑適当ではあるまい﹂エス・ア・イヴァノフ︑

エル・ゼ・リーフシッツ﹁ソ連邦憲法と労働法の諸問題﹂C

ビエト国家と法﹀一九七八年第四号︒社会主義法読書会編﹁ソ

連における﹃勤労集団法﹄の立案をめぐって﹂︵小森田訳︶︿立

命館法学﹀一九七九年第一号︒八五ページ参照︒

(18)集団の勧告権にかんする規定は、第六条~、第一0条④、第

︱一条⑦︑第︱二条⑥︑第一六条②︑第ニ︱条④︒提案権に

関連する規定は︑第三条②︑第五条①︑第七条③︑第八条②④、第九条⑥、第―一条①e)、第一三条④、第一五条②⑤〶)、

第一

六条

④⑤

⑥︶

︑第

ニ一

条④

( 1 9 )

なお︑新法を解説した二種の立場の異った記事を参考資料と

して以下紹介しておく︒資料

0

は︑昭和五八年(‑九八三年︶

七月五日︵火曜日︶付の毎日新聞のニュースきようあす欄に掲載の「導入されるソ連型自主管理ー—出ク働者の声どこまで—」と題したモスクワ支局・江川昌氏のレポート。資料~

六 五

もちろん︑ここでいう自主管理と︑ポーランドの労働者た は︑一九八三年七月一五日付の﹁今日のソ連邦﹂第一四号に﹁労働集団に関する新しい法律﹂の見出しで発表された︑ノーボスチ通信︑政治評論員

F

・プレウス氏の解説した記事であ

る︒(‑九八三年九月二六日脱稿︶

資料

0

先のソ連最高会議︵国会︶で採択された﹁労働集団法﹂は

労働者の国ソ連での初の本格的労働法であり労働者によ

る自主管理の概念をまがりなりにも導入したものとして注

目さ

れる

﹁集団﹂とは﹁一緒に労働に従事している者﹂と想定されて

おり四︑五人のグループも集団なら一企業の労働者全体が集

団と呼ばれることもある︒この集団の権利と義務を明確にし

集団の力を経済管理に反映させ︑併せて﹁社会主義的民主主

義体制﹂を実現するのが新法の目的だ︒

労働集団の概念は︑一九七七年施行のプレジネフ憲法第八

条にうたわれているが︑ソ連が今これを法律化した背景には

ポーランドの自主管理労組﹁連帯﹂︵現在は非合法︶の運動が

影響を及ぼしているというべきだろう︒新法の前文で﹁発達

した社会主義﹂の下では︑労働集団の役割が高まるとともに

積極的な経営参加への可能性が広がり︑﹁真の社会主義的自

主管理﹂が形成されつつある︑と述べているのはこのためと

いっ

てよ

い︒

3‑2‑259  (香法 ' 8 3 )

(22)

ちが要求したものとでは言葉は同じでも内容はかけ離れて

いる︒新法では労働者の権利よりも義務と受け取られるもの

の比重が大きい︒集団の権利としては︑国家や地方レベルの

政治決定や経済決定を事前討議したり各種の提案を行うこ

とができる︒議員や裁判官の候補者を推薦することも認めら

れるが︑これはあくまで推薦にとどまる︒

﹁集団の経営への参加﹂の権利も認められている︒しかし︑

これには①国家︑社会集団および個人の利益を調和させる②

管理部門の単独責任制の上に立った労働者の広範な経営参

加③集団の権利と義務を一体化させる④労働と生産︑国家体

制 上 の 規 律 と 社 会 主 義 の 法 律 を 尊 重 す る ー な ど い く つ も

の前提条件が付けられている︒

これは労働者に経営の直接的な権利は与えないし︑社会主

義体制とは相いれないストライキも認めないということだ︒

これでは企業活動の諸問題を﹁大衆討議で決定し﹂活動状況

について管理部門から﹁常に情報を受け取る﹂という集団の

権利が生かされるかどうか問題が残るだろう︒

ユーゴ型の自主管理では︑労働者による経営者の選任が大

きな特徴となっているが●労働集団法もこの問題に触れてい

る︒ここでは︑労働集団は﹁社会的諸機関を通じ︑ソ連の法

に照らして﹂管理者の指名に参加し﹁その任命と解任は労働

集団の意向を考慮して行われる﹂と規定されている︒この条

文の表現はあいまいだが︑幹部の任命に労働者の意向を尊重 するということは︑ソ連としては画期的なことといっていいだ

ろう

これまで工場や農場の支配人は共産党の辞令"で一方的

に任命されてきたため︑腐敗がはびこる原因ともなってい

る︒腐販幹部の追放を目指しているアンドロポフ共産党書記

長としては︑経営の風通しを良くするため︑大衆の下からの

圧力に期待するところが大きいに違いない︒

新法の前文には﹁個人は集団に︑集団は個人に責任を持つ﹂

と述べられており︑集団のイニシアチブ発揮が大いに期待さ

れている︒集団はソ連社会全体の前進に力を注ぐことが義務

づけられ︑生産活動の効率化︑労働規律の強化︑規律違反者

の低賃金職場への配転や解雇︑産業への科学技術の導入促

進︑労働配置の適正化︑ボーナスの配分︑若年労働者の育成︑

住宅や労働条件の改善などさまざまな問題と取り組む︒

労働集団法が"ソ連版自主管理法として好ましい成果を

上げるかどうかは︑運用のいかんにかかっているといえるだ

ろう︒例えば︑集団は年に二回以上の総会を開くことになっ

ているが︑ここで労働者の生の声がどこまで聞こえてく

るかによって法律は生きも死にもしよう︒

また労働集団が︑ソ連共産党の﹁指導﹂のもとに置かれて

いるのも︑集団の活性化を妨げる恐れがある︒共産党以外に

政党のないソ連だから当然のことともいえるが︑硬直化し保

守化した利益集団としての共産党官僚組織が︑ソ連経済の阻

六 六

参照

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