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成人病定期検診における胃潰瘍の臨床的検討 : 再発を中心に

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90 臨床報告 ( 東 女 医 大 誌 第55巻 第3号1 頁 330-335 昭和60年3月j

成人病定期検診における胃潰蕩の臨床的検討

一再発を中心にー

東京女子医科大学附属成人医学センター(所長:渋谷実教授〉 ナカジマ ヤ ヨ イ カワムラ マ サ エ ナ カ イ テ イ コ マ エ グ アツシ

中 島 弥 生 ・ 川 村 雅 枝 ・ 中 井 呈 子 ・ 前 田

日目英三.宗主

.

Z

屯尖員

ヤマシタ カ ツ ヨ ヨコヤマ イズミ

山 下 克 子 ・ 教 授 横 山

(受付昭和59年12月21日〕 1.はじめに 消化性潰虜の治療にあたり,臨床的に最も重要 な問題は,いかにして再発を防ぐかということで ある.潰蕩病巣そのものは,比較的簡単に治癒し でも“oncean ulcer, always an ulcer"と言われる ように,潰虜症から離脱することはきわめて困難 であり,今だにこの問題は解決されていない. 今回我々は,年

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回定期的に検診を受けている 健康管理科の会員の中から,内視鏡検査で胃潰蕩 または胃潰蕩撒痕と診断された症例について,主 に再発の問題を中心に検討した.

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対 象 対象は, 4,188名の健康管理科会員の中から,内 視鏡検査で胃潰蕩または胃潰蕩癒痕と診断した 342例である〔表1).その内訳は,胃潰蕩148例, 胃潰蕩癒痕194例,男性295例,女性47例であり, 年齢は29歳-82歳で40代, 50代, 60代の中高年層 が84%を占めている.観察年数は 1年以内- 8 年に至る〈表2).対象症例は, 目覚症状が軽く, 一般外来に比し病識が強くないことが特徴であ る 表1 対 象 症 例 痕 疲 性 蕩 蕩 女 齢 数 潰 潰 胃 胃 性 総 男 年 342 148 194 295 : 47 29歳-82歳 (1975年4月1日-1983年12月31日) 表2 対 象 症 例 の 観 察 年 数 1年未満 46例 1-2年 49仔』 2 - 3年 24例 3-4年 36例 4-5年 41例 5-6年 32例 6-7年 47例 7-8年 67例 総数 342例

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1.胃潰蕩の再発率 発見時の潰虜を胃潰蕩と胃潰蕩癒痕の2群に分 けて検討すると,再発率は胃潰虜群で26%,撒痕 群で14%,平均19.3%であった(表3).表4は累 積再発率を示したものである.治癒後

1

年以内の 再発率は22%であるが,その後年数を重ねるごと に再発率は増えている.

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胃潰蕩の再発部位 先行した潰虜と再発した潰蕩の関係を部位別に

Yayoi N AKAJIMA, Masae KA W AMURA, Teiko N A区AI,Atsushi MAEDA, Daizo YAMAUCHI, Akira AKAGAMI

Mutsuo UECHI

Kats叫wYAMASHITA and Izumi YOKOYAMA CThe Institute of

Geriatrics CDirector: Prof. Minoru SHIBUYA), Tokyo Women's Medical CollegeJ : Clinical investiga. tion of gastric ulcer in periodic adult disease examination with special reference to recurrence.

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% % % 11ζuq'hM 率 一 例 例 例 発 一 日 航 筑 再一 の 一 発 蕩 一 再 漬 一 癒 痕 後 閏 同 一 治 癒 一 衆 療 治 3

一 ノ ↑ 、

表 一 蕩例 0 6 潰 1 田 胃 胃潰蕩費量痕 194例

1

2

167例(86%) 27例(14%) 総数 342例 表4 当 セ ン タ ー に お け る 胃 潰 蕩 の 累 積 再 発 率 潰経蕩過治年癒数後 再発例/全治癒例│ 再発率 1年以内 25/115 22% 1 -2年 46/111 41% 2-3年 50/104 48% 3-4年 53/94 56% 4-5年 57/88 65% 5-6年 59/83 71% 6年以上 61/82 74% 表5 胃 潰 蕩 の 再 発 部 位 再発部位 例 数 計 胃 体 上 部 3 同 あ一部位 胃 体 中 部 8 544F%t るL、fi 胃 体 下 部 12 (82%) その近傍 回同ヨ 角 28 幽 門 3 幽門 1 胃 角 一 ( 体 下 2 体 上 2 遠隔部位 幽門一一→胃角 3 12例% (18%) 胃角 2 1 体 中 1 みると,先行潰虜と同一部位あるいはその近傍へ の再発が82%であった.遠隔部位に再発したもの は12例(18%)で,その内8例がもとの潰蕩より 噴門側に発生している(表

5)

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再発因子 胃潰蕩の再発が,何らかの因子により左右され るとすれば,それらの因子をコントロールするこ とにより再発が予防できるはずである.そこで 我々は,医療を含めて人為的に変えることができ る因子を動的因子,変えることが不可能な因子を 固定因子として,再発との関連性を検討した. 91 表6 年 齢 と 再 発 率 年 齢 再発例/全治癒例 再発率 20 - 29

/1

%

30 - 39 4/21 19% 40 - 49 22/92 24% 50 - 59 29/130 22% 60 - 69 8/66 12% 70 - 79 3/12 25% 80 - 0/1

%

0.50<pく0.70 有意差なし 表7 性 別 と 再 発 率 性 別 再発例/全治癒例 再発率 男 51/273 19% 女 15/50 30%

.05<p<0.10有意差なし 表8 潰 蕩 部 位 と 再 発 頻 度 潰蕩部位 再発例/全治癒例 再発率 噴 門 部

/3

%

胃 体 上 部 4/11 36% 胃 休 中 部 9/42 21% 胃 体 下 部 16/64 25% 胃 角 39/200 20% 幽 門 8/29 28% 吻合部潰蕩 0/4

%

言 十 76/353 22% 0.50<p<0.70有意差なし 1.固定因子 1)年齢 表6に年齢別の潰虜再発率を示す.働き盛りと いわれる40代, 50代および70代に再発率が高い傾 向がうかがわれるが,各年代間で統計的有意差は ない 2) 性別 性別の再発率は,男性19%,女性30%であるが, 男女間に統計的な有意差はない(表7). 3) 潰虜の発生部位による再発率 潰虜の発生部位と再発の関係をみると,胃体上 部が36%と最も高く,次いで幽門(28%), 胃体下 部(25%),胃角 (20%)の順であったが,統計学 的な有意差は認めていない(表8).

4

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潰蕩数と再発率

(3)

92 表9 潰 蕩 数 と 再 発 率 再発例/全治癒例 再発率 単 発 │ 49/263 19% 多 発 │ 17/57 30% 0.02<p<0.05有意差あり 表10 潰 蕩 型 と 再 発 率 再発例/全治癒例 再 発 率 44/253 17% 5/10 50% 0.02<p<0.05有意差あり 表11 職 業 と 再 発 率 織 業 再発例/全治癒例 再 発 率 管 理 職 33/190 17% 事 務 職 17/58 29% 自由業・技術者 7/42 17% 主 婦 8/27 30% そ の 他 1/6 17% 0.10<pく0.20有意差なし 潰療を単発潰蕩と多発潰虜に分けて検討する と,多発潰虜群に再発が多く統計的有意差が認め られた〔表

9)

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5) 潰虜型と再発率 潰虜型について検討すると,円形や不整形の潰 蕩より線状潰蕩に再発率が高く,統計的に有意差 が認められた(表10). 6)治癒までの期間と再発率 図1において,潰虜が癒痕化するまでの期間と 再発率を検討したが,一定の傾向は得られなかっ

T

こ 2.動的因子 1)職業 職業別に再発率を検討したが(表11),各群間で 統計的有意差はなかった.

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曙好品 1 タノミコ 1日10本以上の喫煙者に再発率が高く,非喫煙 者および1日10本以下の喫煙者で再発率が低い. 喫煙と再発の間には,統計的にも有意の相関が認 1.5ヵ月以内 1.5-3ヵ月 3-6ヵ月 6 -12ヵ月 12-24ヵ月 24ヵ月以上 50 - 再 発 群 亡 コ 未 再 発 群 4例 :28例 :35例 29例 17例 : 16例 100(%) 図l 治 癒 ま で の 期 間 と 再 発 率 (%) 100 50

(%) 100 50 匿~再発群 Eコ 未 再 発 群 10-20 101 以前,+ (-) (本数)

L

。山く

0.02有 意 差 あ り 」

L

OOO1くP<O.OI有意差あり」 以前(+) 喫煙歴のあるもの (ー) 全〈喫煙慶のないもの 図2 喫 煙 と 再 発 率 3杯↑ 1~2杯(ー) 0.50< p <0.70有意差なし 図3 コ ー ヒ ー と 再 発 率 ~:再発群 亡コ;未再発群 められた(図2).

2

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コーヒー コーヒーについては,有意差は認められなかっ た〔図3). 3 アノレコーノレ 飲酒者と非飲酒者間で再発率に統計学的な有意 差は認めなかった.飲酒者間で比較すると飲酒量 の多い人ほど再発率が高い傾向にあるが,統計的

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-332-(%)

匿iJ':a:再発群 仁 コ 未 再 発 群 大 中 小 (ー) (アルコール量) 0.10< p <0.20 有意差なし 1大‘ビール3本).ウイスキー 57杯↑. D 3.5杯↑,日本酒3合1

i

中 そ の 中 間 小 ビール 1本1.ウイスキー5 2杯.0 1杯,日本酒 1合i 図4 飲 酒 と 再 発 率 表12 服 薬 状 況 と 再 発 率 規 則 的 不 規 則 再 発 率 30% 33% に有意差はない(図 4). 3) 服薬状況 治癒後の服薬状況を規則的,不規則に分けて検 討したが,有意差はみられなかった(表

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,)

4

)

その他 更に食事の規則性,季節との関係も検討したが, 再発との間に有意差は得られなかった. VI.潰療の治療 1.治療薬剤 治療薬剤について検討すると,最近臨床的に広 く使われているヒスタミン

H

2受容体拾抗剤服用 例における再発率は

36%

で,他の抗潰蕩剤服用例 より高い傾向がみられた(表

1

3

),また,服薬なし の症例群には,発見時癒痕だったものが多く含ま れており,このため再発率も低いものと思われる. 不明としたものは,検査のみに来院する会員で治 療状況が明らかでない症例である. ヒスタミン

H

2受容体拾抗剤服用の22例につい ては,治癒後他剤に変更したり服薬を中断した例 での再発が多く,治癒後もヒスタミンH2受容体 拾抗剤を減量し継続服用した例では少なかった 〔表

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,)

2

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赤色痕痕と白色掻痕 通常内視鏡的に潰蕩癒痕を赤色癒痕 (Sj)と白 93 表 13 治 療 薬 と 再 発 症 例 数 再 発 未 再 発 ヒ ス タ ミ ンH,弗受j容体 拾 抗 22 8(36%) 14(64%) その他の抗潰蕩剤 151 40(26%) 111(74%) 服 薬 な し 144 14(10%) 130(90%) 不 明 6 4(67%) 2(33%) 言 十 323 66(20%) 257(80%) 表

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ヒ ス タ ミ ン

H

2受 容 体 拾 抗 剤 使 用 例 clヵ月から22ヵ月服用例) 再 発 群 未再発群 A. . ~,.~にて治癒後H.B減量継続服用 2 (15%) 11(85%) B. ~他2剤.Bににてて継治続癒服後薬 3 (60%) 2(40%) C E123にて治癒後 -服薬〔ー〉 3 (75%) 1(25%) 表15 疲 痕 か ら の 再 発 51→ 5

計 再発例(再発率〉 40(73%) 15(27%) 55 〔例数〕 表

1

6

治 癒 か ら 再 発 ま で の 期 間 再発例数(再発率) 1年 以 内 25(41%) 1-2年 21(34%) 2-3年 4( 7%) 3-4年 3( 5%) 4-5年 4( 7%) 5-6年 2( 3%) 6年 以 上 2( 3%) 〔再発例 61例〕 計 13 5 4 (例数) 色痕痕 (S2) に分類しているが, この

2

者間で再 発率を比較すると,赤色癒痕からの再発が非常に 高率であった〔表

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)

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3

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治癒から再発までの期間 一旦治癒した潰蕩が再発するまでの期間は 1 年以内

41%

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-

2年

34%

で年を経るごとに再発 率は低くなっている(表

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)

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94

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考 察 健康管理科会員4,188名の中から,内視鏡検査で 胃潰虜および胃潰蕩糠痕と診断された342例につ いて,主に再発の面から検討を加えた. 胃潰虜の再発率は,342例中66例09.3%)であっ た.再発率は,母集団,治癒判定基準,経過観察 の方法および期間などの違いがあるため,報告者 によりかなりの差が認められるト4) 岡部は,日本 人における一旦治癒後の再発率はほぼ25%前後と 推測している4) また五の井の疫学的な検討から みた潰蕩の自然再発率は,対潰虜症患者の19.1% であるとし,この成績は我々と同様の結果である. このような成績が得られた理由として対象患者が 健康管理科の会員で,一般外来患者とは条件が異 なることが挙げられる.累積再発率は 1年以内 22%, 2年以内41%と,その後年を重ねるごとに 上昇する.小越らは,観察方法や観察手段を一定 にし,理想的な経過観察法に近づける努力をした 上での成績を報告しているが,これによると 1年 以内再発率10.3%,2年19.0%,以後増加し13年 で74.6%である5) 再発率が年を重ねるごとに増 加することは,どの成績をみても明らかで、ある が 川5),1年ごとの成績をみると,他施設に比し 我々の再発率はかなり高い数値を示している.こ れは健康管理科の会員は外来患者に比し自覚症状 が軽度で病識がなく治療の継続が困難である為と 推測される. 胃潰蕩の再発部位は,先行した潰蕩と同一ある いはその近傍が多く (82%),原らの報告と同様で ある3) しかし,殆ど同一部位への再発とみえても 切除胃について検討した結果では,少し離れたと ころ,あるいは治癒潰蕩の一隅から再発したもの が 多 い と す る 報 告6)7)もあり,更に検討を重ねた L

.

再発と年齢,性との相関をみると働き盛りで心 身の安静を守れない30-50歳代に,また心身の過 労 の 多 い 男 性 に 再 発 が 多 い と す る 報 告3)もある が,我々の検討では40歳代, 50歳代, 70歳代に多 く,また女性に多い傾向がみられたが統計学的に 有意差は認められなかった. 再発率を潰蕩発生部位別にみると,胃体上部に -334 36%と最も高く,一般に再発率が高L

3)といわれ る胃角部は20%と低率であった. 潰蕩数と潰虜型をみると,他報告別)と同様に多 発潰虜,線状潰虜に再発率が高かった.五十嵐は 再発潰蕩からおたまじゃくし形を経て短い線状潰 蕩が成り立つ経過として考察を加え,長大な線状 潰蕩は線状痕痕の両端における再発の反復の結果 である9)としている. 初発潰蕩治癒日数と再発率との相関は明らかで はなかったが,原は9カ月以上かかってやっと治 癒したような潰蕩では, 50%以上が再発を起こし たと報告している幻. 職業と再発率の聞には,統計的有意差は得られ なかったが,各人の仕事内容をもっと正確につか んだ上で検討した方がよりよい相関が得られるで あろう. 噂I好品と潰蕩については,第24回日本消化器病 学会のラウンドテーフ*ルディスカッションでとり 挙げられ,喫煙が潰蕩の発生や再発に深く関与す るという意見が大多数を占めた.我々も喫煙と胃 潰蕩再発の聞に有意の相関を得ている10) 喫煙と 消化性潰虜の関連については,古くから研究がな されているが,三崎らは噌好品の摂取量と潰虜発 生の因果関係をみるために相対危険度を求めて検 討したところ,タバコと香辛料には用量依存性を みたが, コーヒーとアルコールは認めなかったと 述べているIl)また喫煙者に胆汁の胃内逆流をみ る頻度が高いことや,喫煙により胃液分泌の瓦進 がみられること,重炭酸の分泌抑制が起こること などが知られている.最近では防御因子の面から 胃粘膜血流量が検討され,喫煙が粘膜血流量の減 少をひき起こし10)12) ひいては粘膜抵抗の減弱を もたらし潰蕩を発生させると考えられている. コーヒーやアルコールは,消化性潰蕩の発生に関 連しないとの報告も多く3)10)11},我々の成績も同様 であった. 服薬状況と再発率は服薬継続群に有意に再発が 少ないとする報告別)と,継続群と中止群で差がな いとする報告3)があるが,我々が規則的または不 規則服用と分けて検討したところ差は認めなかっ た

(6)

また,臨床的には赤色癒痕の時期 tこ抗潰湯剤を 中止した場合に再発率が高くなることが一般に認 められている叫が,我々も同様の成績をみた.白苔 消失後も一定期間治療を継続することが再発防止 に必要と思われる. 初発潰揚が治癒してから再発するまでの期聞は 1年以内41%,2年以内75%で)11井の報告14)と近 イ以している. 潰蕩の再発防止に関しては,治療薬の面からも すでに検討が加えられており,特にヒスタミン

H

2受容体拾抗剤投与中止後の再発は短期間にか なり高率に認められるとする報告11)が多く,我々 も同様の結果を得ている.この理由として

H

2受 容体拾抗剤が粘膜防御機構の低下を促すためとす る報告1印 6)も多い.しかし,防御因子の 1つである 血流については増加するとの報告もあり,現在 種々の面から検討されているので結論は今後の結 果を待ちたい.再発を抑えるためには,維持療法 を続けることが望ましいが, どの時点まで薬を服 用し続けるかは大きな問題であり,この点も今後 の課題であろう

H

2受容体括抗剤については,長 期の経過観察例がまだ少なく薬効や副作用などに 関してさらにデータの集積が必要である. 以上,胃潰蕩と再発について報告したが,胃潰 蕩の長期経過において潰虜の再発を防ぐことは最 大の難門であり,これからもさらに検討を重ねて いきたいと考えている.

VII

I . 結 語 潰蕩患者を潰虜体質から離脱させることは非常 に難しい問題と言われている. 我々は,健康管理科会員の中で内視鏡的に胃潰 虜または胃潰虜癒痕と診断された342例について, 定期的に経過を観察し,主に再発の面から種々の 検討を加えてみた.今回の検討結果により,喫煙・ 線状潰蕩・多発潰虜・赤色擁痕・服薬中止などが 335 95 統計的有意で再発の誘因となることがわかった. これらの因子をできるだけ避けることが再発予防 につながるものと考える.維持療法をいつまで継 続するかは,今後更に検討を要する. 文 献 1)五の井哲朗:日本人の胃潰蕩.新興医学出版社東 京 83-86(1977) 2)五の井哲朗:胃潰蕩のNatural History.胃と腸 13(6) 751-759(1978) 3)原 義 雄 . 胃 潰 蕩 の 再 発 率 と 再 発 の 因 子 に つ い て.胃と腸 13(5) 1619-1626 (1970) 4)岡部治弥.胃潰蕩の長期経過一再発,再燃,癌化, 悪性サイクノレなど<内科シリーズ, No. 2>胃・十 二指腸潰蕩のすべて.263-278 5)小 越 和 栄 潰 疹 再 発 の 時 間 特 性 と リ ス ク フ ァ ク ター.総合臨床 32(2) 221-225 (1983) 6)五十嵐勤 胃潰軍事の胃カメラ診断補遺〔ことに経 過からみた胃潰蕩の型と時相の診断について). Gastroenterological Endoscopy 6 146, (1964) 7 ) 原 義 雄 : 胃 潰 蕩 の 再 発 率 お よ び 再 発 部 位 の 検 討. 日消誌 63 1142(1966) 8)原 義 雄 . 胃 潰 蕩 の 長 期 経 過 と 予 後 < 外 科 Mook, No. 1>胃・十二指腸潰蕩, 85-96(1978) 9)五十嵐勤.胃潰蕩疲痕の経過とくにX線からみた 再発と短い線状潰蕩の成りたちについて.胃と腸 5 1627 (1970) 10)山下克子・他.曙好品と消化性潰蕩.第24回目本 消化器病学会抄録集, 123-129 (1982) 11)三崎文夫・川井啓市再発の頻度が高い潰蕩胃粘 膜の特徴.総合臨床 32 263-269(1983) 12)並 木 正 義 : タ バ コ と 胃 腸 . 診 断 と 治 療 948 -52 (1975) 13)福 地 創 太 郎 消 化 性 潰 蕩 一 再 発 対 策 . 内 科 50 479(1982) 14)川井啓市:再発・再燃性胃潰療の内視鏡的特徴と その内科治療.胃と腸 5 1645(1970) 15)岡 博 行 ・ 他 :Tetraprenylacetone (TPA)およ びH2一阻害剤Ranitidine(RNT)の臨床的検討 ー特に胃粘膜防禦能の立場から一.Prog Med 3 1231 -1237(1983) 16)荒川哲男・他・ラット胃粘膜prostaglandinE2に 関する研究(第4報)-Cimetidineによる影響. 日消誌 78 647 -651 (1980)

参照

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