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グリオーマ細胞株における低分子量型ニューロフィラメント蛋白とGFAPとの共存

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Academic year: 2021

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116 氏名(生年月日) 本     籍

学位の種類

学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件

学位論文題目

論文審査委員

(42) トオ   ヤマ         タカシ

隆(

博士(医学) 乙第1388号

平成5年9月17日

学位規則第4条第2項該当(博士の学位論文提出者)

Co・expression of low molecular weight neuromament protein and glial  Hbrillary acidic protein in established human glioma cell lines

 (グリオーマ細胞株における低分子量型ニューロフィラメント蛋白とGFAP

 との共存) (主査)教授 高倉 公朋 (副査)教授 小林 愼雄,大森 安恵

論 文 内 容 の 要 旨

 目的  細胞骨格蛋白はその発現に細胞学特異性があること より脳腫瘍の診断に広く応用されている.たとえば glial飾rillary acidic protein(GFAP)はダリア系腫 瘍に,neuro創ament(NF)はニューロン系の腫瘍に発 現する.今回,これらの蛋白の腫瘍細胞自身の産生を 検出する目的で,グリオーマおよび未分化神経外胚葉 性腫瘍(PNET)細胞株を用いて,細胞骨格蛋白の発 現を,mRNAおよび蛋白レベルで検索した.  方法  悪性神経膠腫由来培養細胞5株,PNET 7株より Poly(A)十RNAを抽出し, GFAP, NF, microtubule- associated proteins(MAPs)をコードする. cDNA probeを用いてNorthern blottingを行った.これら の蛋白の発現を確かめるため,同細胞株よりTriton-X 不溶性蛋白を抽出し,GFAP, NF, MAPsに対する抗 体を用いてWestern blottingを行った.さらに,免疫 蛍光抗体法による二重染色を行った.  結果  Northern blotting法ではPNET 7株のうち6株に NF mRNAを検:出したが, GFAP mRNAは検出され

なかった.また6株にMAPsの1っであるMAPlbが

検出され,MAP 2mRNAは1株のみに認められた.

グリオーマ細胞株ではGFAP mRNAは5株中2株に

おいて検出された.一方,NF-L(70kD)mRNAは4 株に認められた.NF-M(160kD)ならびにNF-H(200 kD)mRNAは検出されなかった.Western blottingに よりグリオーマ2株においてCFAP, NFL蛋白に相 当するバンドが確認された.さらに同培養細胞を蛍光

抗体二重染色法にて染色するとGFAPとNF↓が同

一細胞上に存在する所見が得られた.MAPlb mRNA

はグリオーマ5閉すべてに認められたが,MAP2

mRNAは3株のみに認められた.

 考察

 PNETはニューロンとダリアの両方向への分化を

持つとされているが,PNET細胞株では神経細胞に特 異なNFのみ遺伝子発現が見られ, GFAPは検出され なかった.一方,グリオーマ細胞ではダリアに特異的 なGFAPと神経細胞に特異なNF-しの両者を発現す る腫瘍細胞が存在した.グリオーマ細胞におけるNF- しの発現は,細胞の悪性化の際の,又は培養条件下に溶 ける遺伝子発現の異常も考えられるが,一方,これら の腫瘍細胞が,ダリアとニューロンの両方向への分化 能を有する幹細胞に起源していることを示唆してい る.  結論

 GFAPとNF-しの両者を発現するグリオーマ細胞

株を見いだし,グリオーマの細胞起源につき新しい知 見を報告した. 一722一

(2)

117

論.文審査の要旨.

 悪性脳腫瘍の中で最も頻度が高いグリオーマがどのような細胞から発生するのか,その起源については不明 である.最:近細胞骨格蛋白を分析することにより,その起源を探る研究が進み,glia肋rillary acidic protein (GFAP)はダリア骨腫瘍で, neuro創ament(NF)はニューロン系腫瘍で特異的に産生されることがわかって きた.  本論文は,各種脳腫瘍培養株の中でグリ.オーマ株とニューロン系腫瘍の代表であるprimitive neuroectoder・ mal tumor(PNET)株を用い,細胞骨格蛋白をWestern blottingと免疫蛍光抗体法で分析した.その結果

PNETは神経細胞に特異的なNF蛋白のみの遺伝子発現がみられるが,グリオーマ細胞ではGFAPとNF両

蛋白の遺伝子発現がみられることを発見し,グリ.オーマ細胞がダリアと二.ユーロンの両.方向への分化能を有す る幹細胞に起源していることを明らかにした.脳腫瘍発生の機序解明に貢献する意義が高い学術的価値ある論 文である. 主論文公表誌

Co-expression of low molecular weight

 neurofilament protein and glial丘brillary acidic  protein in establ量shed human glioma cell lines  (グリオーマ細胞株における低分子量型ニューロ  フィラメント蛋白とGFAPとの共存)   American Journal of Pathology Vol.142 No.3   883-892頁(1993年発行)Tohyama T 副論文公表誌 1)Nestin expression in embryonic human neuro-   epithelium and in human neuroepithelial   tumor cells(ヒト胎児神経上皮および脳腫瘍に   おけるネスチンの発現).Lab Invest 66:   .303-313(1992)Tohyama T, Lee VM.Y, Rorke   LB, Marvin M, McKay RDG, Trojanowski   JQ 2)Medulloblastoma and related primitive neuro-   ectodermal tumors of childhood recapitulate   molecular milestones in the maturation of   neuroblasts(髄芽腫および未分化神経外胚葉性   腫瘍の分子表現型は神経芽細胞の分化を模倣す   る).Mol Cheln Neuropathol(1992)Trojanow-   ski JQ, Tohyama T, Lee VM-Y 3)Molecular milestones that signal axonal   maturation and the commitment of human』   spinal cord precursor cells to the neuronal or   glial phenotype in development(ヒト胎児脊   髄幹細胞のニューロンおよびダリアへの分化と   神経軸索の成熟).JComp Neurol 310:  285-299(1991)Tohyama T, Lee VM-Yl Rorke  LB, Trojanowski JQ 4)播種性転移を示した延髄血管芽腫の1例.脳外  18(1):83-88(1990)遠山 隆,久保長生,草  野 良,三浦直久,氷室 博 5)MedulloblastomaのGFAP, Neur面lamentに

  よる免疫組織学的検索.脳外16(11):

 1243-1250(1988)遠山 隆,久保長生,片平真  佐子,坂入光彦,田鹿妙子,田鹿安彦,氷室 博,  喜多村孝一 6)多彩な組織像を呈する小児テント上腫瘍の3  例.脳外 14(4):537-544(1986)遠山 .隆,  久保長生,氷室 博,田鹿安彦,田鹿妙子,坂  入光彦,山本昌昭,神保 実,喜多村孝一 7)Electron microscopic studies of subepen-  dymal gi3nt cell astrocytomas(上衣下巨細胞  性星細胞腫の電顕的.検索).JClin.Electron  Microsc 19;5-6(1986)Tohyama T, Kubo  O,Sakairi M, Tajika T, Tajika Y, Inoue N,  Him口ro H, Kitamura K 8)小児髄膜腫の臨床病理像一悪性髄膜腫を中心に   .脳外 13(4):383-389(1985)遠山 隆,  久保長生,田鹿安彦,井上憲夫,田鹿妙子,氷  室 博,喜多村孝一 9)Electron microscopic findings of subepen・  dymoma(上衣門守の電顕像). J CIin Electron  Microsc 18:5-6(1985)Tohyama T, Kubo  O,Onda H,. Himuro H, Inoue N, Taj量ka Y,  Tajika T, Sakairi M, Kitamura K 一723一

参照

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