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肺癌摘出治験例

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Academic year: 2021

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〔贅無慮鯵♂繍舞箏謂〕

肺癌摘.出治験例

大阪帝國大町讐三部小澤外科教室 (指導 小澤凱夫敏授)

棘女子騨専門劉交講師鬼頭阿佐夫

キ bウ ア サ ヲ (受付昭和17年10月26日) 内 容 目 次 緒 言 自家症例 考 結 丈 按 頻 度 臨床症厭及輕過 診 臨 療 法 献 緒 言 肺臓腫瘍に樹する外科的侵襲は1895年P6anがChondrom を除去せしに始まり爾來外科的 , 技術の進歩は診闘學の進歩と相侯ちて成功例の報告増魏せるも,悪性腫瘍殊に肺臓癌に封ずる肺切 除の稜達は逞々として進歩せす僅:かに切開,掻爬乃至腫瘍を含む肺葉の部分的勤除等の極めて姑良、 的手術の行はれたるた過ぎす,1901年Heidenhainが原酒性肺臓癌に於セ肺葉摘出に成功,更に 1933.年E.A. Grahamが現はれて原獲性肺臓癌の一側肺全摘出に成功して以來欧米に於ては盛 に行はれ最近数ケ年間に於ける進歩は目畳ましく殊に米國に於ける夫れには注目す可きものあり。 然るに我が國に於ける肺葉切除乃至肺臓癌に樹する外科的療法を顧みるに昭和13』年4月日本外科 學會総會に於て小澤教授が肺切除の宿題報告をせらる製迄は實に蓼々たるものにして肺葉切除及摘 出例を合せて僅々10例内外なりき。當i教室に於ては昭和12年以來雫墜開胸,局所麻欝の下に多 数の一側肺全摘出並に肺葉全摘出を行ひたるも最近叉子宮癌韓移による右月市上葉癌に於て肺葉全摘 一一k 71 一

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出に成功せるを以て舷に追加報告せんとす。 自・家 症 例 患者 生○キOm 55歳 ♀ 家族歴 特記す可き亀のなし 臨離調 生來健康なりしも昭和・14年3戸郵歌山某病院にて子宮癌の診噺の下に子宮全摘出術を受け約40日 にて全治退院せり’o 現病歴 昭和17年2月初より感冒の氣味にて暖1軟,略湊あり全身倦怠,盗汗甚だしく某讐より肺結核と診闘 され治療を牽けたる屯咳漱,略湊は頑固にして輕快せず,剰へ2月末頃よりは右胸腔内に搏動を呈するが如き異 様の感を訴へ且時々騨膝隠糠の疹痛を訴へたり,X線検査により右上葉に腫瘍を養見され當科に紹介され昭和17 年4月13H入院せり。 現症入院時の主訴 咳漱翠略疾 入臨時の一般的所見盟格,榮養申等度にして貧血あるも悪液質は之を認めず全身駅態佳良にして呼吸,脈搏 正常,淋巴腺腫脹なく瞳孔,口腔,頸部,心臓,腹部及四肢に異常を認めず,下腹部正中線に手術疲痕あ撃内診 するに手術創は疲痕を以て治癒し潰瘍,硬結,腫脹等なく又Douglas氏窩,直腸に於ても特認す可きものなし。 局所々見 胸廓の黄緯及運動は左右封稔的にして胸腹式呼吸をなす,右第H肋骨よP上方は打診督短縮して呼 吸督を訣き之に相馬する背部re於ても輕濁普を認めたるも他の部分に於ては異常を認めず。 X線所見 錫載せる貫属に見る如く右肺上葉部κ:手拳大,田園形にして境界頗る鮮明なる陰影像を獲見せり肺 門部淋巴腺の腫脹を認めず,透硯により腫瘍は鋤骨及前方の肋骨とmitbewegenし第一斜位にて撮影するに腫: 蕩は肺葉の中間に在り後壁との間に多少の間隙を有す。 入院後の臨床酌諸掛査成績 略湊 少量粘液駅にて悪臭なし血液,腫蕩細胞,毛髪,結核菌等を謹湿せず。 血液所見 血色素量39(nach Sahli),白血球数8200,赤血球数361;4×104,白血球百分率,中性嗜好白血球 72%,「エオヂン」嗜好白血球2%,「モノチーテン」3%,淋巴球23%にして,輕度の異同赤血球症,雑赤 血球症及多染色性赤血球症を認むるも有核赤血球を見ず。 赤」血球沈降速度 1時間90,2時間116,中間値73. 』血液「ワ」情事雌i陰性 .飛型 A型 i血.項曼 120−76mm 水銀柱 肺槻軽重膿1露量 31.5% 呼吸停止醜聞27秒 基礎代謝偏差 17.2%善進 術前1週間人工氣胸術を行ひ約600ccの塞氣を注入せ% 上詑の所見よ)手宮癌韓移による右肺上葉癌と推定し右肺上葉以外には癌韓移を認め$“るを以て試験的開胸術 を行ひ肺切除可能なる時は之を行はんと決定せり。 昭和17年4月23日手術(小澤敏授執刀) 一一一 72 一一

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第1圖右肺上葉癌

(生○キ○エ 55歳 ♀) 手術創は第一期癒合を螢めるも8日目頃より咳 漱及少量の喀疾あり,術後22日目粘i稠なる喀 疾を喀出し氣管枝痩形成かと思、はれしも其後撒 日にして手術創の一部自潰,獲麟と同檬の分泌 物を多量に排出してより咳漱懇懇疾は急激に止 み氣分爽快となれり,分泌物は次第に減じ約3 週聞にて閉鎮し全治退院せり。 摘出標本の肉眼的所見 摘出せる標本を前頭 面切断により腫瘍の中心を通過する如く切割す るに腫瘍は外側方を占め境界極めて明瞭にして 第皿圖に示すが如し。 糸蓼藍哉學自撰1三愈≡査…によれば蟹隈癌 (Carcinorna solidum)にして壊死の傾向張く岡質に乏し核 分裂著明,細胞の形粥こ,配列等より普通に見ら るx原獲性肺臓癌とは異なり他臓器よりの蒋移 と解すべきものなり。 手術所見 術前1時間「ナルコポンスコポラ ミン」0・8cc皮下注射,局所麻酢の下平墜開胸 にて右第皿肋骨を胸骨より中騰鍵盤に至る迄切 除して開胸するに上葉に手懇懇,軟骨硬,境界 明瞭なる腫瘍を簸れ,該上葉は廣く繊維性に癒 着し特に腫瘍の存したる外側面に於ては胸壁と 勝豚様に癒着せるを以って之を艦壁胸膜を腫瘍 につけ内胸廓筋膜Fascia endothoracicaの部 分に於て完全に剥離せり,肺門部淋巴腺に癌縛 移を認めす,先づ肺門部に局所麻酢を施し肺動 静脈を夫々二重結紮切断し最後に氣管枝を横断 し上葉を完全に摘出せり,氣閑麗薩i.端は崎原式 氣管枝瞬】1端庭’置法を/t−」ひて完全に埋波せしめた り。胸壁は排膿管を挿入する事なく閉胸器を用 ひて肋膜,筋暦,皮膚と遂暦的に縫合閉鎖せり。 術後の経過 山々順調にして術後7日日按綜 第丑圖 摘出せる右肺上葉(割面) (間隔キ○エ 55歳 ♀) 一 73 一一

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考 按 頻度原獲性肺臓癌の存在は十八世紀の言葉に至りて漸く確認せられたるものにして飛州は極めて稀有なる疾 患とされ’たるも其後次第に檜加の傾向を示せるは我國及諸外國の統計の示す所なb,人艦諸器官癌襲生頻鹿より 襯察す礁肺臓癌は男子に於ては胃及駄ついで第三位,好譲ては子宮,胃,蛎,腸鑓,卵巣,膵臓 に次ぐ第八位を占む。而して肺臓癌に封ずる肺切除は原獲性肺臓癌が近來智加せり乏は言へ荷且稀有なる疾患に 還し早期診噺趣めて困難な、る事實と,其辺黒鉱は肺門部附近に獲生し其全摘出は至難なりと蜥定されて僅かに肺 周邊部に獲生せる癌腫に限りて腫瘍を含む肺葉の部分的切除の行はれたるlc iNぎず,其後胸部外科の進歩tcfS ひ1933年Grahamによりて左肺氣管枝癌の一側肺全摘出の成功を見るに至η以來肺臓癌に封ずる摘出治験例 は世界各國より多数報告せらるるに至れり◎本邦霊獣に記載されたる肺臓癌手術例は三宅氏の2例(1920), 佐藤氏(1922),河石,江崎民(1931),乱国,櫻井氏(1933),篠井氏(1935),石山氏(1935),濱口民(1937),大槻氏 (1937),江崎氏(1937),戸田氏(1940),等の各1例,干頭,長谷川氏の2例(1941)及小澤教授の4例(1942) κ漉ぎず。 更に績二一肺臓癌に封ずる肺切除の症例は調性島上極めて少数なるは固よb日記にしてArce Jos6(工927)の 皮離の三三及離卵鞭瘍の一下三二の2例・Pi・i・ 」i・i(1932)の子宮癌の左回牒誌面1鰍 當教室千頭,長谷川爾學士の報告せる(1941)子宮癌の左肺下葉韓移の1例あるのみ。 臨床症状虚血過 は腫瘍の獲生部位,大さ,混合感染の有無等よ’ip左右せらるXも初期臨床連歌 は屡々三三にして何等の特徴を呈する事なく特に大中氣管枝の閉塞乃至狭窄を伴ふ事なき肺周淺部 癌に於ては臨床症状を全く.訣くもopあb。初期症駄として屡々護現するは腰漱,側胸部,背部の重 塵二二は二二・喀疲,血疫,喀nit・二二・呼吸困難・全身違和・食思不振・三重減少等にして本疾 患に特有の臨床症状なし:J・從ひて悪性肺疾患の存在の可能性に關する自畳をも欲き之を放置して速 に手術可能の圏外に出つるもの少しとせす。故に癌齢にして適切なる療法を行ふも何等の反慮なく 頑固なる咳漱,点鼻,血疫,胸痛等存幽し而かも原因不明なる場合に断ては可及的早期に徹底的に 共原因探究に勉むべきなり。手術可能時の早期診断こそ望ましき事なり5 経過は一般癌腫と同様多少の緩急はあれ共速に病攣進行し肺の廣範疇が侵さる玉に至れば高度の 呼吸困難を毒す,叉更に進みで肋膜,胸壁に浸潤すれば激しき胸痛,肋間神経痛を卒す,淋巴腺縛 移が肺門,縦隔管及頸部に起り食道,粛瞥,.氣管枝,血管神経等の黙迫症歌を惹起する。更に多く の場合他臓器(肺臓:一肝臓,心臓,心嚢,脾臓,副腎,臓,骨等に)鱒移を起し彼我相助けて悪液 .蝉騒はり自畳軍歌の断煙古帳多くは1ケ年以内に死の輻醤をとる。 診噺 1・X線検査は早期診断を可能ならしむる必須の診断法の一一一・vaして「工学家によりても早く施行 せ’らるX所適確なる槍査は之によのて殆んど蜥定的の判断を下し得て治療方針決定の上にも重要な る擦黙となり得るも鼓に注意す可きは本法が屡々重要覗せらるx結果,良性肺腫瘍,肺結核,肺「ア テレクターゼ」,肺膿瘍,肺葉闇限局性膿瘍又は其他炎症性疾患乃至縦隔貴腫瘍と誤診せらる工事 一 74 一一一

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多き黙なり。帥X線槍査に際しては三二の諸富査成績を綜合して愼重に判証す旧きなり。樹同時に 人工氣胸,氣管枝撮影法,立雛X線爲眞等を併用する時は有力なる診断の測線を與ふる事多し。特 に人工氣胸懸のX線検査は之を原則的に施行す可きものなりと信ず。 2、氣下枝鏡槍査 も腫瘍の獲生部位,其の大さを知り或は試験的切片探取による組織三三診断 を可能ならしめ同時に手術可能憐に關する判定等に甚だ有力なりとして亦諸家の推奨する所なるも 周邊部癌に樹しては其の無力なるや言ふを侯たぎる所なり。 3.喀疫の顯微鏡的稔査 GrahamはDudgeon法によりて90%診断可能なりと回し,叉古瀬 氏は65%に於て癌細胞を喀疲中に誰明L肋腔瀦溜液の細胞學的槍査を併用する時は75%に於て へ 診断可能なりと登表せり,試む可きものと思考す。 更に諸槍査成績批判の上試験的開胸術を推奨する者すらあり。 療 法 1.内科的療法は全く数なし,唯甥症的に「モルフィンll等にて患者の苦痛を去るのみ。 2.X線照射,「ラヂウム」照射等も一時輕回する事あるも永久的敷果を期し難し。 3・從って現在に於ては他臓器癌腫と同様早期診断を下.L循瑛器障碍なく三三移を件はざる限り 肺葉摘毘乃至は一側肺全摘出を以て唯一無二の療法なりと信ず。 手術は當敏室に於ては術前約一週聞の間に1−2同の人工氣胸を術側胸腔に施すを原則とし何れ 第 圖

翅17ZY MeyerX気管投閉鎖決

.A

崎原氏気管枝閉鎖法

難1

窮 ll 繭;イtt 一一一 75

(6)

も李墜開胸,局所麻醇の下に肺門部操作の便を考慮して前方経路を選び洗づ肺動静脈を夫々二重結 紮切断し最:後に氣恩威の塵置をなす,直管枝断端は崎原式に從ひて閉鎮す,胸壁閉鎖には小澤式閉 胸器を用ひ遂暦齢に縫合閉鎖し暫く厘迫糊帯を施す。術後の痙白及咳蹴には好んで「モルヒネ」の 皮下注射を行ふ,疹痛性呼吸障碍を除去する爲なり。同時に酸素吸入を併用し彊心剤の注射を行ふ 脈搏不良の場合には輸」醜しを行ふを可とす。 最後に崎原式腎管枝事端庭置法に就きて述べんとす,第月界に示す如く先づ断端を一號絹綜を以 て全層を通過する数個の結節縫合をなし創面を相接着せしむ,次いで陥入を容易ならしむる爲其爾 端を岡に示す如く(斜線を施せる部分)三角形に切落し更に;藪個の結飾縫合を行ひて圓端を容易に 且完全に埋浅せしむ。當教室に於ては本法により翌々漏足す高き成績を得てみる,Willi Meyer 三法に比し陥波遙かに容易なる瓢を特徴とす,大方諸氏の追試批判を乞ふ所以なD。 結 余は55歳の女子に於て子宮癌手術後3年にして畿生せる韓移性脳肺上葉癌の肺葉全摘出治験例 を追加報告し併せて崎原式i氣管杖断端点置法を紹介せり。 終に臨み御懇篤なる御指導御校閲を賜りたる小澤教授に満腔の謝意を表す。 ・丈 獄 1) 石山福=鄭;東京悪事新誌 第59年第2916號378頁 (昭和10年2月) 2)濱口 榮鞍;.日本外科學會難誌第38同885頁(昭和ユ2年) 3)戸国 博;日本外科學會雑誌 第41同 第4號370頁 (昭和15年7眞) 4)千頭英男,長釜jll美逼;グレンッゲビート第15年第2號217頁 (昭和16年2月) 昏)小澤凱廉;日本外科學海難誌面42同第12號1863頁(昭和17年3月). 6)大槻菊男;實験回報24年88頁(昭和12年) 7) 5暫右夢』二=5髪…, 5麹1崎島頁B; 日封gタト科學會雑誌第 32 匡薯 1186頁 (fi霞rp0 6−7 年) 8)横田浩吉,櫻井鑑圏融 日本外科學會穀誌第34同興209頁 9)一中尾行保∫大阪醤學會雑誌 第37巻第3號569頁 (昭和13年3月) 10) 内幽 八欝5外科4谷8號841頁 (昭和15年8月) 11) 能勢 i義一』;H本藍科大學i叢誌11巻8號1211頁 (昭和15年8月) 12)松鰯募郡;グレンツゲビート14年3號992頁(昭和ユ5年8月) 13) 古灘… 印馴謹罷; 十全會難誌 42管 12號 (昭和12年) 14)江崎 辱;大阪讐事新誌11巷8號791頁(昭和15年8月) 15)崎原英…k;大阪讐學會雑誌第39谷5號699頁(昭和15年5月) 16)麟原英炎;大阪讐學會雑誌 第39巷5號661頁 (昭和15年5月) 17)崎原英央;大阪欝転写雑誌 第39谷5號651頁 (昭和15年5月) 18) 音感竃 英気3 日本臨月こ結核 第1名量3號279頁 (昭$n 15 年4月) 19) 謹目窪… 速; 日本外科學會雑誌 第 21 岡108頁 20)篠井金吾3日本外科學會難誌第36岡第5號1837頁(昭和10年8月) 21) 島田 雲華; 千葉肇茎學腰明藍誌 17釜 11號279!頁 (昭亀目 14年 11 月)

22) R. Nissen; Dtseh. Zsehr.・ f. Chir. Bd. 247, S. 289, 193g.

23) Sauerbruch, F. u. R. Nissen; Arch. f. kl. Chir. Bd. 170, S. 118, 1932. 24) Sau,erbruch; Zbl. f. Chir. Bd. 61, S. 1572, 1934.

25) E Sauerbruch; Dtseh. Zschr. f. Chir. Bd. 247, S. 298, 1936.

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