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ラット常温全肝虚血再灌流時の血流評価 -- CCD生体顕微鏡による肝微小循環障害の観察 --

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Academic year: 2021

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Title

ラット常温全肝虚血再灌流時の血流評価 -- CCD生体顕微鏡

による肝微小循環障害の観察 --( 内容の要旨(Summary) )

Author(s)

安永, 寛

Report No.(Doctoral

Degree)

博士(医学)乙 第1361号

Issue Date

2003-03-13

Type

博士論文

Version

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12099/14925

※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

(2)

氏 名(本籍) 学位の種類 学位授与番号 学位授与日付 学位授与の要件 学位論文題目 審 査 委 貞 安 永 寛(岐阜県) 博 士(医学) 乙第 1361 号 平成15 年 3 月13 日 学位規則第4条第2項該当

ラット常温全肝虚血再溝流時の血流評価

-CCD生体覇微鍬こよる肝微小循環障害の観察-(主査)教授 鹿 瀬 (副査)教授 森 田 啓 之 教授 山 本

也 論文内容の要旨 背景と目的 肝切除術や外傷性肝損傷に対する手術においては,肝臓からの出血量減少のために肝虚血操作が必要な場合が ある。臨床的にはPringle法のような全肝虚血がしばしば行われ,術中の肝虚血再潅流による外科的肝障害は致 命的な場合がある。肝血流の途絶あるいは減少は肝障害の原因であり,また予後を左右する因子のひとつで,常 温肝虚血時の微小循環変化を簡便に直接観察することは臨床上重要と考えられる。 近年charge-COupleddevice(CCD)を用いた顕微鏡が開発され・生体臓器のリアルタイムでの観察に応用 されるようになった。従来報告されてきた蛍光顕微鏡下での肝虚血再湾流時の観察は色素投与をおこなう必要が あり,簡便とはいえない。 今回われわれは,CCD生体顕微鏡を用いて,門脈系の鬱滞のない状態で,常温全肝虚血再連流時のラット肝 微小循環を直接観察し,形態学的変化を評価するために以下の実験をおこなった。 対象と方法 全肝虚血による門脈系の鬱血の影響を防止するために雄性ウィスター系ラットの脾臓皮膜を剥離して左胸壁下 に固着して自家新生血管による門脈皮下静脈シャントを作製した。ラットを全身麻酔下に開腹して肝臓を露出し て,血管用クリップを用いて肝門部で門脈,肝動脈を一括に血行速断した。虚血時間は15分,30分および60分と し,再潜流時間は60分とした。また,加温マットを用いてラットの体温は37±1℃に保持した。 CCD生体顕微鏡での観察は虚血前と再濯流60分後におこなった。得られた肝血流像はデジタルビデオレコー ダに記録し,コンピュータ上で「類洞連流面積」と「濯流類洞腔長」とに画像処理し,NIHimageにより数値 化した。Millerらによる計算式に準じてVv,S/Vを算出した。(1)有効頬洞潜流領域比(Vv;Volume fracti。n。f sinus。ids):Vv=類洞港流面積(FLm2)/観察視野面積(FLm2)(2)類洞径ゐ変化(S/V; Surface/Volumeratioofsinusoids):S/V=潜流類洞腔長(FLm)/類洞連流面積(FLm2)×100 虚血前と再潜流後に採血し,ALT,AST,総ビリルビン,ヒアルロン酸を測定した。 結果 (1)有効類洞潅流領域比(ⅤⅤ)は15分虚血群では虚血前と再潜流後との間に変化をみとめなかった。虚血30 分群および60分群では虚血前後でⅤⅤはそれぞれ有意に減少していた。また,再湾流後のⅤⅤは,虚血30分群お よび60分群では虚血15分群に比して有意に減少していた。 (2)類洞径の変化(S/V)は15分虚血群では虚血前と再潅流後との間に変化をみとめなかった。虚血30分群 および60分群では虚血前後でS/Vはそれぞれ有意に増加していた。また,再潜流後のS/Vは、虚血30分群およ び60分群では虚血15分群に比して有意に増加していた。

(3)

(3)ASTおよびALTは,虚血60分群では虚血15分群に比して有意に増加していた。再潜流後のHAは,虚血60 分群では虚血15分群および30分群に比して有意に増加していた。再潜流後のT.Bilは虚血60分群においても差を みとめなかった。 考察 肝臓外科領域では術中の肝臓からの出血をコントロールするために肝流入血管の遮断をおこなう。とくに

Pringle法のような常温全肝虚血では肝障害が問題となる。常温肝虚郎再潜流時の微小循環の変化を検討するこ

とは重要と考えられる。CCD生体顕微鏡による観察の特長は生体臓器の微小循環動態をありのままに視覚化す ることである。心膜下組織血流,脳表面血流をCCD生体顕微鏡を用いて観察したという報告はあるが,肝臓の 全肝虚血再潜流時の類洞変化の観察報告はない。 Millerらはホルマリン固定された病理組織切片の肝類洞をVv,S/Vという指標を用いて形態的に評価した。 ⅤⅤは観察面積あたりの潜流類洞面積であり,S/Vは肝細胞と類洞血流との接触程度を意味する。 本実験において,再湾流60分後のⅤⅤは,虚血30分および60分群において虚血15分群に比して有意に減少して いた。S/Vは,虚血30分および60分群において虚血15分群に比して有意に増加していた。15分間の常温全肝虚 血は類洞レベルでは微小循環に変化をみとめなかったが,30分間あるいは60分間の虚血では有意な変化をみとめ た。すなわち30分,60分間の虚血で肝類洞潜流障害が生じたと考えられた。 肝細胞障害を反映するAST,ALTと類洞内皮細胞障害を反映するヒアルロン酸は,60分虚血群では有意に高 値であるが30分虚血群では差はなかった。15分から30分の常温肝虚血が肝虚血耐容能の安全限界という報告が実 験的にも臨床的にもなされており本実験の結果と矛盾しない。 結論 CCD生体顕微鏡を用いて門脈系の鬱滞のない状態での虚血再潜流後の肝微小循環の形態を観察した。15分間 の常温全肝虚血は虚血前後で,ⅤⅤやS/Vが示すごとく類洞レベルでは微小循環に何ら変化をもたらさないが, 30分間の全肝虚血では,血液生化学検査上は虚血15分群と比較して有意差をみとめなかったが,CCD生体顕微 鏡による観察上はⅤⅤの減少とS/Vの増加という類洞レベルでの変化が生じた。 論文辛査の結果の要旨 申請者 安永 寛 は,肝虚血再潜流時の微小循環をCCD生体顕微鏡を用いて直接観察し,その形態変化が 虚血障害の程度を示している可能性のあることを明らかにした。特に常温では15分以内では変化はみられないが, 30分以上では変化することを示した。 本研究は、肝臓外科分野の治療方針の決定に寄与するところが大であると認められた。 [主論文公表誌] ラット常温全肝虚血再港流時の血流評価 -CCD生体顕微鏡による肝微小循環障害の観察一 岐阜大医紀.2003;51:102∼106 「′

参照

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