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現代 中国語 の 「時制 」 の意 味研 究

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現代 中国語 の 「 時制 」 の意 味研 究

加 藤 宏 紀

0.は じめ に

本 稿 は 現 代 中 国 語 の 時 間 体 系 の 構 成 要 素 で あ る 「時 制(tenses)」 を, Reichenbach(1974)の 手 法 を適 用 して,明 らか に す る。 私 は現 代 中 国語 の 時 間 体 系 が 「時 相(phases)」,「 時 態(aspects)」,「 時 制 」 の 三 つ の 時 間 概 念 か ら構 成 され て い る と仮 定 して い る。 この三 つ の 時 間 概 念 は そ れ ぞれ が そ れ 自体 でひ とつ の範 疇 を 形 成 しつ つ,同 時 に 相 互 に 関連 しあ っ て もい る 。

した が って,現 代 中 国語 の 「時 制 」 とい う時 間範 疇 が どの よ うに 形 成 され て い るか を 追 求 す る こ とは 中 国語 の 時 間 体 系 を 明 らか にす る の に有 効 で あ る と言 え る。

よ く知 られ る よ うに,中 国 語 に は動 詞 の 形 態 変 化 に よ っ て表 さ れ る 「時 制 」 は な い 。 つ ま り,述 語 動 詞 とそ れ が 要 求 す る名 詞 成分(主 語 や 目的 語) か らな る単 純 な 命 題(文)だ け で は,そ の 「時 制 」は確 定 しな い。 この ため, 中 国語 の文 の 「時 制 」を確 定 す る に は,文 中 に 「発 話 時 間(speechtime)」,「 出 来 事 時 間(eventtime)」 の ほ か に,第 三 の 「参 照 時 間(referencetime)」 が 必 要 とな る。Reichenbachの 手 法 を適 用 す る と,こ の 「参 照 時 間 」 を 現 代 申国 語 の 「時制 」 の 中 に 明確 に 位 置 づ け る こ とが で き る 。 か く して,現 代 中国 語 の 「時 制 」 は 「発 話 時 間 」,「参 照 時 間」,「出来 事 時 間 」 とい う三 つ の 時 間 の 時 間軸 上 に お け る相 対 的 位 置 関係 と して 捉 え られ,明 示 的 に表 さ れ る。

(2)

1.絶 対 時制 と相 対 時 制

Reichenbach(1974)は 「発 話 時 間 」,「参 照 時 間 」,「出来 事 時 間 」 を 用 い て英 語 の 「時 制 」 を定 式 化 した。 「発 話 時 間 」 は 文 が発 話 さ れ た時 点 で あ る。 「参 照 時 間 」 は 「発 話 時 間 」 の ほ か に基 準 とな る時 間 で あ る。 「出 来 事 時 間」は命 題 で表 され る 「出来 事 」が 発 生 した 時 間 で あ る。 中国 語 の文 の 「時 制 」 は この 三 つ の 時 間 の時 間軸 上 に お け る相 対 的 位 置 関係 に よ っ て確 定 す

る1。

「発 話 時 間」は文 が発 話 さ れ た 時 点 と必 ず 一 致 す る とい う意 味 で 「絶 対 的 」 で あ る。 これ に対 し,「 参 照 時 間 」 は必 ず しも文 の 発 せ られ た時 点 と一 致 す る わ け で は な い の で 「相 対 的 」 で あ る。 よ っ て,「 発 話 時 間 」 に 対 して 定 ま る 「時 制 」 を 「絶 対 時 制(absolutetense)」 と呼 び,「 参 照 時 間」 に 対

して 定 ま る 「時 制 」 を 「相 対 時 制(relativetense)」 と呼 ぶ 。

「絶 対 時 制 」 は 「過 去 」,「現 在 」,「未 来 」 を確 定 す る 。 す な わ ち,「 発 話 時 間 」 の前 に 「出 来事 時 間 」 が あれ ば 「過 去 」 であ り,「発 話 時 間 」 と 「出 来 事 時 間」 が重 な れ ば 「現 在 」 で あ り,「 発 話 時 間」 の 後 に 「出来 事 時 間」

が あれ ば 「未 来」 で あ る。 一 方,「相 対 時 制 」 にお け る 「参 照 時 間 」 と 「出 来 事 時 間」 との時 間軸 上 の 位 置 関係 を 「已 然 」,「単 純 」,「未 然 」 と呼 ぶ。 「已 然 」は 「出来 事 時 間」が 「参 照 時 間 」の 前 方 に位 置 す る関 係 を 指 す 。 「単純 」 は 「出 来事 時 間 」 と 「参 照 時 間」 が 重 な る位 置 関係 の こ とで あ る。 「未 然 」 は 「出 来事 時 間 」 が 「参 照 時 間 」 の 後 方 に位 置 す る関 係 を 指 す 。

本稿 で は,「絶 対 時 制 」 と 「相 対 時 制 」を組 み 合 わ せ た結 果 を 「時 制 構 造 」 に よ って 表 示 す る。 た とえ ばe「出 来 事 時 間 」が 「発 話 時 間 」に 先行 しか つ 「出 来 事 時 間 」 が 「参 照 時 間 」 の 後 に位 置 す る場 合,そ れ を 「RES」 と い う 「時 制 構 造 」で表 示 す る(詳 し くは 第 三 章 を参 照)。 このrR‑E‑S」

とい う 「時 制 構 造 」 は,「 未 然過 去 」 とい う 「時制 」 を 表 す 。 な お,「 時 制 構 造 」 中 の 「R」は 「参 照 時 間」 を,「E」 は 「出 来 事 時 間 」 を,「S」 は 「発

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現 代 中 国 語 の 「時 制 」 の 意 味 研 究3

話 時 間」 を そ れ ぞれ 表 して い る。

2.「 時 相 」,「時 態 」 と 「時 制 」 の か か わ り

本 稿 で は,中 国 語 の 「時 制 」 は 「時 相 」,「時 態 」 と関 連 性 を 持 ち つ つ, 時 間体 系 の 中 に位 置 づ け られ てい る,と の仮 定 に基 づ い て論 を 進 め て い く。

そ こで,中 国 語 の文 の 「時 制 」 が どの よ うに確 定 す る か を 論 じる前 に,「 時 制 」 の 「時 相 」 お よ び 「時 態 」 とのか か わ りにつ い て 言及 しよ う。

2.1「 時相 」 と 「時 制 」 の か か わ り

「時 制 」を確 定 す る三 つ の時 間 の うち,「出 来 事 時 間 」は 「出 来 事(events)」

が 発 生 す る 時 間 を 指 す 。 「出来 事 」 は そ れ 単 独 で は 発 生 した時 点 を 確 定 で きな い 。 よ って 「発 話 時 間」 と 「参 照 時 間 」 を 用 い て,そ の時 点 を 明 示 す る の で あ る。 この 「出 来 事 時 間」 と して 表 示 さ れ る 「出 来 事 」 の 内容 は ど

こで形 成 され る の だ ろ う?

「出来 事 」 は 「ひ と ま と ま り」 の も の と して 捉 え る こ との で き る 動 作 行 為 の こ とで,次 の二 種 類 が あ るz。 ひ とつ は,"死(死 ぬ)"や"去(な くす)"

の よ うに動 作 行 為 あ る い は 変 化 が 瞬 間 的 に達 成 され る性 質 を表 す も の で あ る。 も うひ とつ は,動 詞 単 独 で は理 論 上,そ の 動 作 行 為 は 永遠 に持 続 す る が,動 詞 以 外 の統 語 成 分 が 意 味 上 「自然 の 終 結 点 」 を 明 示 す る こ とで動 作 行 為 が 「ひ と ま と ま り」 に な る も の で あ る。 た とえ ば,"看 憧(見 て わ か る)"と い う動 詞 結 果 補 語 構 造(VR構 造)に お い て,結 果 補 語"憧(わ か る)"

は動 詞"看(見 る)"が 表 す 理 論 上 際 限 な く続 く行 為 の 結 果 を述 べ,そ の 「自 然 の 終 結 点 」 を 明 示 して い る。

「時 相(phases)」 に は 「出 来 事 」の ほ か,「状 態(states)」 と 「活 動(activities あ るい はprocesses)」 が あ る。 つ ま り,「時相 」は 「出 来 事 」を 表 す 場 合 と,「非 出来 事 」(状 態 や 活 動)を 表 す 場 合 が あ る。 そ こで,「 時 相 」 を 「充 足 した 時 相 」 と 「未 充 足 の 時 相 」に分 け る と,「出 来 事 」は 「充 足 した時 相 」に よ っ

(4)

て 表 さ れ る,と 言 い 換 え る こ と が で き る3。

こ の よ う に,時 間 軸 上 に 「出 来 事 時 間 」 と し て 表 示 さ れ る 「出 来 事 」 の 内 容 は 「時 相 」 の 中 で 形 成 さ れ る 。 こ こ に 「時 相,と 「時 制 」 の か か わ り が 見 て 取 れ る 。

2.2「 時 態 」 と 「時 制 」 の か か わ り

「時 態(aspects)」 は 一 般 的 に,「 出 来 事 内 部 の 特 定 の 段 階 に お け る あ り 様 を 述 べ る も の 」 と し て 定 義 づ け ら れ る(巽 千 炎1995:44)。 た と え ば,

"了

a"が 表 す 「… し て し ま っ た 」 とい う 「完 了 」,"迂a"が 表 す 「… した こ とが あ る 」 と い う 「過 去 の 経 験 」,"着a"が 表 す 「… し て い る 」 と い う 「動 作 行 為 の 結 果 の 持 続 」 な ど が そ れ で あ る9。 こ れ ら の 諸 要 素 か ら 形 成 さ れ る 「時 態 」 と い う 時 間 範 疇 が,中 国 語 の 時 間 体 系 に お い て,「 時 制 」 と ど の よ う に か か わ っ て い る の だ ろ う?

「時 態 」 は 「出 来 事 」 の あ り様 を 述 べ る も の な の で,意 味 上 「出 来 事 」 と結 合 して い る 。 す る と,「 出 来 事 」 に は,「 時 態 」 と結 合 し て い な い 「出 来 事 」 と 「時 態 」 と結 合 し た 「出 来 事 」 の 二 種 類 が あ る こ と に な る 。

ま ず 「時 態 」 と 結 合 し な い 「出 来 事 」 と 「時 態 」 と 結 合 し た 「出 来 事 」 と の 違 い に つ い て 考 え て み た い 。「… して し ま っ た 」と い う 「完 了 」を 表 す 「時 態 」"了a"を 例 に しよ う。 次 の 例(1a)は 動 詞"抽(吸 う)"の 行 為 対 象"姻

(た ば こ)"の 数 量 が"三 根"に よ っ て 「三 本 」に 限 定 さ れ る こ と に よ り,「時 相 」 が 充 足 し,"抽 三 根 姻(三 本 の た ば こ を 吸 う)"で 「出 来 事 」 を 表 し て い る 。 一 方,(1b)は(1a)の 動 詞"抽"に 「… して し ま っ た 」 と い う意 味 の 「完 了 」 を 表 す"了a"が 付 加 し,意 味 上 「時 態 」 と結 び つ い た 「出 来 事 」 で あ る 。

(1)a.老 李 抽 三 根 燗 。(李 さ ん は 三 本 の た ば こを 吸 う。) b.老 李 抽 了 三 根 燗 。(李 さ ん は 三 本 の た ば こを 吸 っ た 。)

(5)

現 代 中国 語 の 「時 制 」 の 意 味研 究5 こ の(1a)が 表 す 「時 態 」 と結 合 し な い 「出 来 事 」 は,"老 李(李 さ ん)"

の あ ら ゆ る 時 点 で の 「た ば こ を 三 本 吸 う」 と い う 行 為 を 述 べ て い る 。 こ れ に 対 し,(1b)の 「時 態 」 と結 び つ い た 「出 来 事 」 は あ る 時 点 に お け る, 個 別 の 行 為 を 述 べ て い る 。 こ の こ と は,(1a)と(1b)そ れ ぞ れ に 「恒 常 性 」 を 表 す 時 間 表 現"毎 天(毎 日)"を 付 加 して 得 られ る(2a)と(2b)の 違 い か ら 明 か で あ る 。 文 頭 の 星 印(*)は,そ の 文 が 成 立 しな い こ とを 表 す 。

(2)a.老 李 毎 天 都 抽 三 根 姻 。(李 さ ん は 毎 日三 本 の た ば こ を 吸 う 。) b.*老 李 毎 天 都 抽 了 三 根 姻 。

以 上 の 簡 単 な 例 か ら,充 足 した 「時 相 」 に よ っ て 形 成 され る 「出来 事 」 は そ の 行 為 に共 通 す る 「性 質(property)」 を 表 す 「内包 的 出 来 事 」 で あ り, 充 足 した 「時 相 」 と 「時態 」 が結 合 した 「出来 事 」 は 「内 包 的 出 来 事 」 か

ら個 別 的 に現 れ た 「外 延 的 出 来 事 」 で あ る と言 え る。

「時 制 」 との か か わ りにお い て ,「 内 包 的 出来 事 」 と 「外 延 的 出来 事 」 は 決 定 的 な違 い を 見 せ る。 本 稿 で は,「時制 」を確 定 す る に は,「発 話 時 間 」,「参 照 時 間 」,「出 来 事 時 間 」 の 三 つ の 時 間 が必 要 で あ る と主 張 して い る。 この 主 張 に基 づ くと,文 中 に は そ れ ぞ れ 三 つ の 時 間 に対 応 す る 表 現 が 含 まれ て い な け れ ば な らな い 。先 の(1a)(1b)に は 文 そ の もの が表 す 「発 話 時 間 」と「充 足 した 時 相 」 が表 す 「出 来 事 時 間」 しか な い 。 そ こで 「参 照 時 間 」 に あ た る表 現,た と えば 時 点 を 表 す 名 詞"昨 天(昨 日)"を そ れ らに 挿 入 して み る。

「参 照 時 間 」 とな る"昨 天"を 「内 包 的 出 来事 」 と結 び つ け た(3a)は 不 成 立 で あ るが,そ れ を 「外 延 的 出来 事 」 と結 びつ け た(3b)は 成 立 す る。

(3)a,*老 李 昨 天 抽 三 根 姻 。

b.老 李 昨 天 抽 了 三 根 姻 。(李 さ ん は 昨 日三 本 の た ば こ を 吸 っ た 。)

(6)

この こ とか ら,「時制 」 とか か わ る 「出来 事 」 は 「内包 的 出 来事 」 が 「時 態 」 と結 び つ い た 「外 延 的 出 来 事 」 で あ る,と い う こ とが わ か る。 つ ま り, 中 国語 の 時 間 体 系 に お い て,「 時 態 」 は 「時 相 」 と 「時 制 」 を 結 び つ け る 役 割 を 果 た して い る,と 言 え る。

上 に述 べ た 「時 相 」,「時 態 」,「時 制 」 の 時 間 体 系 に お け る関 連 は,次 の よ うな モ デ ル に よ っ て表 す こ とが で き る。 次 の(4)に 示 した モ デル に お い て,左 か ら右 に 向 か う矢 印 は時 間 軸 で あ る。 文 字 囲 い され た 「時 相 」は 「充 足 した 時 相 」を 表 して い る。 そ こか ら上 にの び た矢 印 は 「時態 」を 表 し,「出 来 事 」 を 時 間 軸 の 上 に置 く,す な わ ち 「時 相 」 を 「時 制 」 と結 び つ け る。

(4)現 代 中 国 語 の 時 間 体 系 の モ デ ル

(時 制)

3.九 種 類 の 「時 制 構 造 」 と 「時制 」 の 確 定

1で,中 国 語 の 「時 制 」 は絶 対 時 制 と相 対 時 制 を 組 み 合 わせ て得 られ る

「時 制 構 造 」 に よ っ て確 定 す る,と 述 べ た 。絶 対 時 制 に 三 種類(過 去 ・現 在 ・ 未 来),相 対 時 制 に 三 種 類(已 然 ・単 純 ・未 然)あ る の で,両 者 を 組 み 合

わせ て 得 られ る 「時 制構 造 」 お よび それ に よ って確 定 す る文 の 「時 制 」 の タイ プは 九 種 類 で あ る。 そ こで こ こで は,実 際 の 文 か ら この 九 種 類 の 「時 制構 造 」 が どの よ うに 形 成 され,そ れ ぞ れ の 文 の 「時 制 」 が確 定 され る か を 述 べ る。

次 の 文(5)の 「時 制 」 が どの よ うに 決 定 され る か を 説 明 しよ う。 ま ず例 を 見 られ た い 。

(7)

現 代 中国 語 の 「時 制 」 の 意 味 研 究7

(5)昨 天 我 赴 到 他 家 吋,他 却 寓 升 家 好 几 天 了 。(糞1995=34)

(昨 日私 が 彼 の家 に駆 け つ け た とき,彼 は家 を離 れ て数 日に もな っ て い た。)

「参 照 時 間」 は 波 線 部(次 頁)"昨 天 我 赴 到 他 家 吋(昨 日私 が 彼 の 家 に駆 け つ け た とき)"に よ って 指 示 さ れ る。"昨 天(昨 日)"が あ る こ とで,「 発 話 時 間 」 が 「今 日」 であ る こ とが わ か る。 つ ま り 「参 照 時 間」 は 時 間軸 上

「発 話 時 間 」の左 側 に 配 置 され る。 「出来 事 時 間 」は"他 寓 升 家 好 几 天 了(彼 は家 を 離 れ て 数 日 に もな っ て い た)"に よ っ て表 され る。 そ こで は 非 持 続 的 な行 為 を表 す 述 語 動 詞"寓 升(家X(家 を)離 れ る)"は そ れ単 独 で 「時 相 」

を充 足 す るの で,"他 寓 升 家(彼 は家 を離 れ る)"は 「出来 事 」 を 表 す 。 そ れ に続 く"好 几 天(数 日間)"は"寓 升"と い う行 為 が 終 わ った あ との 経 過 時 間 を表 して い る。 そ して 文末 の"了2"は あ る時 点 に お い て 「新 しい 状 況 が 発 生 」 した こ とを述 べ る 「時態 」で あ る5。(5)で い えば,「参 照 時 間」

の 時 点 で 「彼 が 家 を 離 れ た あ との 経 過 時 間 が 数 日に もな った」 とい う こ と で あ る 。 つ ま り 「彼 が 家 を離 れ る 」 とい う 「出 来事 」 は 「私 が 彼 の 家 に 駆 けつ け る」 そ の 前 に 発 生 して い る。 よ って(5)の 「出 来 事 時 間 」 は時 間 軸 上 「参 照 時 間 」 の 左 側 に置 か れ る。 以 上 の こ とか ら,(5)の 時 間 軸 に お け るS、R、Eの 三 つ の 時 間 の 相 対 的位 置 関 係 は次 の 図5の よ うに な る。 そ れ をrE‑R‑S」 とい う 「時 制 構 造 」 で 表 す 。

な お,以 下 の 図 中 で 図 に対 応 づ け られ る 文 中 の成 分 で,文 字 囲い され た 成分 は 「発 話 時 間(S)」 を指 示 し,波 線 部 の 成 分 は 「参 照 時 間(R)」 を指 示 し, 太 い 下 線 の成 分 は 「出 来 事 時 間(E)」 を 指 示 し,二 重 下 線 部 の成 分 は 「時 態 」 で あ る こ とを表 す6。

(8)

我 赴 到 他 家吋,他 却 寓 升 家 好 几 天 了 。(E‑R‑S)

E R 図5

S

「E‑‑R‑S」 の 「時 制 構 造 」 で は 時 間 軸 上,「発 話 時 間 」Sを 基 準 に 「出 来 事 時 間 」Eは 左 側 に あ る 。 す な わ ち 「絶 対 時 制 」 は 「過 去 」 で あ る 。 ま た 「参 照 時 間 」 を 基 準 に 「出 来 事 時 間 」Eは 左 側 に あ る 。 す な わ ち 「相 対 時 制 」 は 「已 然 」 で あ る 。 よ っ て,「E‑R‑‑S」 の 「時 制 構 造 」 か ら(5) の 文 の 「時 制 」 は 「已 然 過 去 」 に 確 定 す る 。

次 の 文(6)の 「時制 」 につ い て 考 え てみ る。 まず例 を 見 られ た い。

(6)在 小 三 子 赴 回去 以前,現 在 姫 娼 娼 正 在 牧 拾 屋 子 。(巽1995:34)

(三 女 が 駆 け戻 っ て い く前 に,い ま彼 女 の 母 親 は ち ょ う ど部 屋 の 片 づ け を してい る と こ ろ だ。)

(6)で 「参 照 時 間」は"在 小 三 子 赴 回 去 以 前(三 女 が 駆 け戻 って い く前 に)"

が 指 示 す る。"在 … … 以 前"は 「… …」 の 部 分 を基 点 と して そ の 前 に 動 作 行 為 が 起 こ っ た り,あ る状 況 に あ る とい う こ とを 表 す。 つ ま り"地 娼 娼 正 在1拾 屋 子(彼 女 の母 親 は ち ょ う ど部 屋 の片 づ けを して い る と ころ だ)"

とい う 「出来 事 」が 起 こ った の は 「三 女 が 駆 け 戻 って い く」そ の 前 で あ る。

これ に よ っ て時 間軸 上 「出 来 事 時 間 」 と 「参 照 時 間」 の 位 置 関係 が確 定 す

(9)

現代中国語の 「時制」の意味研究9 る。 す な わ ち,時 間 軸 上 「出 来 事 時 間」 は 「参 照 時 間 」 の左 側 に あ る。 注 意 しな け れ ば な らな い の は,"地 娼 娼 正 在 牧 拾 屋 子"が 「出 来 事 」 を 表 す の は 副 詞"正"の は た らき に よ って い る とい う こ と で あ る。"姥 娼 娼 牧 拾 屋 子(彼 女 の 母 親 は部 屋 掃 除 を す る)"は そ れ単 独 で 考 えれ ば,「部 屋 掃 除 」

とい う 「生 活 習 慣 的行 為 」 を 述 べ て い るに す ぎ な い。 副 詞"正"は 持 続 す る動 作 行 為 を 「目の 当 た り」 に して い る こ とを 表 す 。 つ ま り"正"は 「臨 場 性 」 とで も言 うべ き意 味 を持 っ てい る。 この"正"が 持 つ 「臨 場 性 」 に よ り,動 作 行 為 お よ び そ の 対 象 は 「特 定 」 な い しは 「確 定 的」 に な る。 「確 定 的 」 な動 作 対 象 を 持 つ こ とで動 作 行 為 は 「ひ と ま とま り」 の もの と して 捉 え る こ とが で き,「時 相 」は 充足 す る。 よ って(6)の 述 語 部 分"牧 拾 屋 子"

は 「生活 習 慣 的 行 為 」 で は な く 「出 来 事 」 と して捉 え られ る。 ま た"正 在"

は,持 続 す る動 作 行 為 が あ る基 準 とな る時 点 と同 時 に行 わ れ て い る こ とを 表 す 「時 態」 であ る。 この とき基 準 とな る時 点 は発 話 時 で あ っ て も,そ れ 以 外 の 時 点 で あ っ て も よい 。(6)で は 「部 屋 を掃 除 す る」 とい う動 作 行 為 の 「進 行 」は 「発 話 時 間」を 指 示 す る"現 在(い ま)"と 同 時 の もの で あ る。

なぜ な ら,別 に基 準 とな りえ る"在 小 三 子 赴 回去 以前"は 「出来 事 」 の 発 生 を そ れ 以 前 に求 め るか らで あ る。以 上 の こ とか ら,時 間 軸 上"現 在"が 指 示 す る 「発 話 時 間」 は"地 娼 娼 正 在 牧 拾 屋 子"が 指 示 す る 「出 来 事 時 間 」

と重 な る。 ま た そ れ らは 時 間 軸 上"在 小 三 子 赴 回 去 以 前"が 指 示 す る 「参 照 時 間」 の 左 側 に あ る。 次 の 図6に 示 す よ うな時 間軸 上 の 相 対 的 位 置 関 係 か ら,(6)の 「時 制 構 造 」 は 「S,ER」 とな る。 な お,時 間軸 上及 び 「時 制 構 造 」 中の カ ンマ は複 数 の 時 間 が 重 な って い る こ とを示 して い る。 以 下 同様 。

(10)

S.E R

E‑R)

図6

「STE‑R」 の 「時 制 構 造 」で は 時 間 軸 上,「発 話 時 間 」Sと 「出 来 事 時 間 」 Eは 重 な っ て い る の で,「 絶 対 時 制 」 は 「現 在 」 で あ る 。 ま た 「相 対 時 制 」 は 「已 然 」 で あ る 。 「出 来 事 時 間 」Eが 「参 照 時 間 」Rの 左 側 に あ る か ら で あ る 。 よ っ て(6)の 文 の 「時 制 」 は 「已 然 現 在 」 を 表 し て い る 。

次 の(7)の 「時 制 」 は ど う で あ ろ う。 例 を 見 られ た い 。

(7)等 到 明 天 再 吃,迭 些 菜 就 都 変 履 了 。(糞1995:34)

(明 日 に な っ て 食 べ る こ ろ に は,こ れ ら の 料 理 は ど れ も と っ く に 変 質 して し ま っ て い る だ ろ う。)

(7)で は"等 到 明 天 再 吃(明 日な っ て食 べ る こ ろ)"が 「参 照 時 間」 を 指 示 す る。 そ の 中 に"明 天(明 日)"が あ るの で,時 間 軸 上 「参 照 時 間」は 「発 話 時 間」 の 右 側 にあ る こ とが確 定 す る。 残 る 「出 来 事 時 間 」 は"速 些 菜 就 都 変 辰 了(こ れ らの 料 理 は どれ も とっ くに 変質 して しま っ て い る)"に よ っ て 指 示 され る。 そ の 述 語 動 詞"変 辰(変 質 す る)"と い う変 化 は瞬 間 的 に 達 成 さ れ,そ れ 単 独 で 「時 相 」 を 充 足 させ,「 出来 事 」 とな る。 この 「出 来 事 」 に付 加 して い る"了"は 述 語 動 詞 に付 加 し,か つ ま た文 末 に あ るの

(11)

現代中国語の 「時制」の意味研究11 で,"了a"と"了2"が あ わ さ っ た も の と い え る 。"了a"は 変 化 の 「完 了 」 を 表 し,"了2"は 「あ る 時 点 に お け る 新 しい 状 況 の 発 生 」 を 表 す 。 こ の

"了

a+了2"と い う 「時 態 」 が"返 些 菜 変 贋(こ れ ら の 料 理 が 変 質 す る)"

とい う 「出 来 事 」 を 時 間 軸 上 に 配 置 す る 。 問 題 は そ の 位 置 で あ る 。 こ こ で

"変 廣"の 直 前 に あ る 副 詞"都"に 注 目 す る

。 こ の"都"は 主 語"速 些 菜"

の 範 囲 を 限 定 す る だ け で な く,そ の 後 ろ に あ る 述 語"変 辰"が 表 す 変 化 が す で に 実 現 済 み で あ る こ と を 述 べ て い る 。"都"が 表 す 「す で に 、と っ く に 」

と い う意 味 は 「出 来 事 」 が 実 現 し て か ら あ る 基 準 と な る 時 点 ま で に い た る 経 過 時 間 が 長 い と い う評 価 で あ る 。 つ ま り"都"が 時 間 軸 上 「出 来 事 時 間 」 を 「発 話 時 間 」 な い し は 「参 照 時 間 」 の 左 側 に 配 置 す る と い う こ と で あ る 。 (7)に お い て 文 末 の"了(了2)"は"等 到 明 天 再 吃"の 時 点,す な わ ち 「参 照 時 間 」 に お け る 新 し い 状 況 の 発 生 を 述 べ て い る 。 よ っ て 時 間 軸 上,「 出 来 事 時 間 」は 「参 照 時 間 」の 左 側 に 配 置 さ れ る 。 以 上 ま とめ る と,(7)の 「時 制 構 造 」 は 時 間 軸 上 のS、R、Eの 相 対 的 位 置 関 係 か らrS‑E‑R」 と

な る 。 そ れ は 次 の 図7の よ う に 示 さ れ る 。

等 到 日 天 再 吃,迭 些 菜 就 董 変 辰 了 。(S‑E‑‑R)

S E

図7

R

「S‑E‑‑R」 の 「時 制 構 造 」 は,時 間軸 上 「発 話 時 間 」Sを 基 準 に 「出 来 事 時 間」Eが 右 側 にあ る の で,「絶 対 時 制 」 は 「未 来 」 で あ る。 一 方 「参 照 時 間 」Rを 基 準 に 「出来 事 時 間」Eが 左 側 にあ るの で,「相 対 時 制 」は 「已然 」

(12)

で あ る 。 よ っ て(7)の 「時 制 構 造 」「S‑E‑R」 か ら 「已 然 未 来 」とい う 「時 制 」 が 確 定 す る 。

次 の(8)の 「時 制 」 を説 明 す る。

(8)中 秋 市 違 后 那 几 天f他 迩 没 有 寓 升 迭 里 呪 。(巽1995:35)

(中 秋 節 が 過 ぎた あ との あ の 数 日は,彼 は まだ こ こを 離 れ て い な か っ た。)

(8)で 「参 照 時 間 」 を 指 示 す るの は"中 秋 市 道 后 那 几 天(中 秋 節 が 過 ぎ たあ との あ の 数 日)"で あ る。 指 示 代 詞"那(あ の)"が あ る の で,時 間軸 上 「参 照 時 間 」 は 「発 話 時 間 」 よ り左 側 に配 置 さ れ る。 「出 来 事 時 間」 は

"他 迩 没 有 寓 升 迭 里(彼 は ま だ こ こを離 れ て い な い)"に よ

っ て指 示 さ れ る。

述 語 動 詞"寓 升(離 れ る)"は 非 持 続 動 詞 で,そ れ 自体 で 「時 相 」 が 充 足 して い る。 つ ま り"他 寓 升 這 里(彼 は こ こ を 離 れ る)"は 「出来 事 」 を 表 す 。 副 詞"没 有(し て い な い)"は 「出来 事 」 を 時 間 軸 上 に 配 置 す る 「時 態 」で あ る。"没 有"は 「出 来 事 」が 表 す 動 作 行 為 の 発 生(ま た場 合 に よ っ て は,「 完 了」,「過 去 の経 験 」,「動 作行 為 の 結 果 の 持 続 」 な ど)を 否 定 して, あ る種 の状 態 を 表 す 。(8)で 言 う と 「彼 は こ こ に い る」 とい う状 態 で あ る。

この"没 有"に よ っ て表 され るあ る種 の状 態 は あ る時 点 に お け る もの で あ る。"没 有"を 「時 態 」 とす るゆ え ん で あ る。 そ して"没 有"の 前 に あ る 副 詞"迩(ま だ)"は そ の 状 態 が あ る基 準 とな る時 点 ま で続 い て い る こ と を 意 味 す る。 これ は裏 返 せ ば,"他 寓 升 逮 里"と い う 「出 来 事 」 が発 生 す る の は 基 準 とな る時 点 の 後 とい う こ とに な る。 理 論 上,基 準 とな る時 点 に は 「発 話 時 間」と 「参 照 時 間」が あ る。 た だ し(8)で そ の 基 準 とな るの は 「参 照 時 間 」 を 指 示 す る"中 秋 市 辻 后 那 几 天"で あ る 。 な ぜ な ら(8)が 発 話 の 時 点 で 「彼 は こ こ に い な い」 とい う状 況 を記 述 す る の に 対 し,「 発 話 時 間」

(13)

現 代 中 国 語 の 「時制 」 の 意 味 研 究13

を基 準 の 時 点 とす る と,発 話 の 時 点 で 「彼 は まだ こ こに い る」 こ とを 表 し, それ は(8)が 記 述 す る状 況 と矛 盾 す るか らで あ る。 以 上 の こ とか ら,時 間 軸 上 「出来 事 時 間 」 は 「参 照 時 間 」 と 「発 話 時 間 」 の 問 に 配 置 せ ざ るを え な くな る。(8)に お い て,S、R、Eの 時 間軸 上 の 相 対 的 位 置 関 係 は 次 の 図8の よ う に 示 さ れ る。 これ に よ り(8)の 「時 制 構 造 」 はrR‑E‑S」

とな る。

几 天,他 迩 没 有 寓 升 速 里 呪 。(R‑E‑S)

R

E

8 図

S

この 「時 制 構 造 」で は 「発 話 時 間 」Sと 「出 来事 時 間 」Eに よ っ て き ま る 「絶 対 時 制 」 は 「過 去 」 で あ り,「 参 照 時 間 」 と 「出来 事 時 間 」Eに よ って き ま る 「相 対 時制 」は 「未 然」で あ る。 よ って 文(8)の 「時 制 」は 「未 然 過 去 」 で あ る。

⑨ の 「時 制 」 を 説 明 す る。

(9)上 介 月 他 就 悦,今 天 会 友 生 事 故 的 。(糞1995:35)

(先 月 彼 は,「 今 口 事 故 が 起 こ る だ ろ う 」 と 言 っ て い た 。)

「発 話 時 間 」 は"今 天(今 日)"に よ っ て 指 示 さ れ,「 参 照 時 間 」 が"上 介 月(先 月)"に よ っ て 指 示 さ れ る の で,「 参 照 時 間 」 は 「発 話 時 間 」 の

(14)

左 側 に 配 置 さ れ る 。 「出 来 事 時 間 」 は"友 生 事 故(事 故 が 起 こ る)"に よ っ て 指 示 さ れ る 。 述 語 動 詞"友 生(発 生 す る)"は 瞬 間 的 に 達 成 さ れ る 変 化 で あ る 。 よ っ て"友 生"は 単 独 で 「充 足 し た 時 相 」 を 形 成 し,"友 生 事 故 (事 故 が 起 こ る)"は 「出 来 事 」 を 表 す 。(9)の"会"は 「将 来 」 に お い て, あ る 「出 来 事 」 や 状 況 が 発 生 す る と い う 「可 能 性 」 を 述 べ る 「時 態 」 で あ る 。"会"の 付 加 に よ り,"友 生 事 故"が 表 す 「出 来 事 」 を 時 間 軸 上 に 配 置 す る 。 問 題 は そ の 位 置 で あ る 。"友 生 事 故"は 「発 話 時 間 」 を 指 示 す る"今 天"と と も に"悦(言 う)"の 命 題 の 中 に 現 れ て い る 。 す な わ ち,「 出 来 事 時 間 」 は 「発 話 時 間 」 と重 な る 。 こ れ に よ り,"会"が 表 す 「将 来 」 は 「発 話 時 間 」 を 基 準 とす る 可 能 性 は 否 定 さ れ,「 参 照 時 間 」 を 基 準 とせ ざ る を え な くな る 。 ま た,「 参 照 時 間 」 を 基 準 と す る,将 来 を 表 す 可 能 な 「出 来 事 」 の 位 置 関 係 に は,「 発 話 時 間 」 の 前,「 発 話 時 間 」 と 同 時,「 発 話 時 間 」

の 後 の 三 種 類 が あ る が,上 に 述 べ た 前 提 に よ り,ひ とつ(「 発 話 時 間 」 と 同 時)に 絞 られ る 。 か く し て,(9)の 「時 制 構 造 」 は 「R‑S,E」 とな る 。

⑨ の 「時 制 構 造 」 は 次 の 図9の よ う に 図 示 で き る 。

上 ノト月 他 就 悦,A天 会/Y生 事 故 的 。(RSE)

… \ 辱く7

lI

R

図9

S,E

(9)の 「時 制 構 造 」 「RS,E」 は,時 間 軸 上 「発 話 時 間 」Sが 「出 来 事 時 間 」Eと 重 な り,「 参 照 時 間 」Rの 右 側 に 「出 来 事 時 間 」Eが あ る こ とを 示 す 。 つ ま り 「絶 対 時 制 」 は 「現 在 」 で あ り,「 相 対 時 制 」 は 「未 然 」

(15)

現 代 中 国語 の 「時 制 」 の 意 味 研 究15 で あ る 。 よ っ て(9)の 文 の 「時 制 」 は 「未 然 現 在 」 を 表 す 。

次 の(10)の 「時 制 」 を 説 明 す る 。

(10)当 称 明 天 劫 身 的 吋 候,我 可 能 迩 没 有 劫 身 。(i蓬1995:35)

(君 が 明 日 出 発 す る 頃,私 は た ぶ ん ま だ 出 発 し て い な い で し ょ う。)

「参 照 時 間」 は"当 伽 明 天 幼 身 的 日寸候(君 が 明 日出発 す る とき)"に よ っ て 指 示 され,そ の 中 に"明 天(明 日)"が あ るの で,「 参 照 時 間 」 は 時 間 軸 上 「発 話 時 間 」の右 側 に配 置 され る。「出 来 事 時 間」は"我 可 能 迩 没 有 劫 身(私 は たぶ ん ま だ 出 発 して い な い で し ょ う)"に よ って 指 示 され る。 述 語 動 詞

"劫 身(出 発 す る)"は 瞬 間 的 に達 成 され る動 作 行 為

で あ る。 す な わ ちt4我 劫 身(私 は 出 発 す る)"は 単 独 で 「時 相 」 を 充 足 し,「 出 来 事 」 を 表 す 。 そ の 直 前 に 付 加 して い る"没 有(し て い な い)"は そ の 動 作 行 為 の 発 生(お よ び 完 了)を 否 定 して,"没 有 劫 身"で 「(その場 に)い る」 とい う状 態 を 表 して い る。 さ ら にそ の 直 前 に付 加 してい る"迩"は あ る基 準 とな る 時 点 ま で あ る種 の 動 作 行 為 や 状 態 が続 い て い る こ とを表 す 。 す な わ ち"我 迩没 有 劫 身"は 「私 は あ る時 点 ま で そ の場 に い る」 こ とを意 味 してい る。 逆 か ら言 え ば,"我 劫 身(私 が 出発 す る)"と い う動 作 行 為 の発 生(お よ び 完 了) は 基 準 とな る時 点 の 後 の こ とに な る。 つ ま り(8)の"没 有"と 同様,こ こ で の"没 有"も 「時 態 」で あ る。"可 能"は 通 常 「将 来 」の 「可 能 性 」と 「以 前」の 「可 能 性 」の 両 方 を 表 す こ とが で き るが,こ こで は 主 語 が 発 話 者"我"

な の で,「 将 来 」 の 「可 能 性 」 しか 表 せ な い 。 つ ま り"我 劫 身"は 「将 来 」 にお い て の 「出来 事 」 で あ る こ とが 求 め られ る。 発 話 の 時 点 で は ま だ 出発

して い な い こ とは発 話 者 自身 が 認 識 して い るの で,「出来 事 」 の 発 生 が 「発

(16)

話 時 間 」 の後 に あ る こ とは明 白 で あ る。 問 題 は 「出来 事 」 の 発 生 が"当 休 明 天 幼 身 的吋 候"に よ っ て指 示 さ れ る 「参 照 時 間」 の以 前 か そ れ とも以 後 か とい う こ とで あ る。 結 論 か らい え ば,「 出来 事 」 の 発 生 は以 後 の もの で あ る。 なぜ な ら"我 可 能迩 没 有 劫 身"は 「参 照 時 間 」 にお け る記 述 だ か ら で あ る。 試 み に"我 劫 身"と い う 「出 来 事 」 が 「参 照 時 間 」 の 以 前(「 発 話 時 間 」 の以 後)に 発 生 した と仮 定 しよ う。 す る と 「参 照 時 間 」 の時 点 で はす で に 発 話 者"我"は そ の 場 に は い な い 。 これ は 文(10)が 述 べ て い る 状 況 と矛 盾 す る。 よ っ て時 間軸 上"我 可 能 迩 没 有 劫 身"が 指 示 す る 「出来 事 時 間 」は 「参 照 時 間 」の 右 側 に配 置せ ざ る を え な い 。 以 上 の こ とか ら,(10) のS、R、Eの 時 間 軸 上 に お け る相 対 的 位 置 関係 を 「S‑RE」 とい う

「時 制 構 造 」 で示 す こ とが で き る。 そ れ を 次 の 図10の よ うに 図 示 す る。

劫 身 的 吋候,我 可 能 迩 没 有 劫 身,(SRE)

117

SR

図10

E

(10)の 「時 制 構 造 」 か ら,「 発 話 時 間 」Sを 基 準 に 「出 来 事 時 間 」Eを 観 察 した 「絶 対 時 制 」 は 「未 来」 で,「参 照 時 間」Rを 基 準 に 「出 来 事 時 間 」

Eを 観 察 した 「相 対 時 制 」 は 「未 然 」 で あ る こ とが わ か る。 よ って 文(10) の 「時 制 」 は 「未 然 未 来 」 を 表 す 。

次 の(11)の 文 の 「時 制 」 を 考 え て み よ う。

(17)

現 代 中 国 語 の 「時 制 」 の 意 味 研 究17 (11)那 年 冬 天,祖 母 死 了,父 来 的 差 使 也 交 卸 了 。(糞1995:35)

(そ の 年 の 冬,祖 母 は 亡 くな り,父 も左 遷 で 役 職 を 引 き 継 ぐ こ と に な っ た 。)

「参 照 時 間」は"那 年 冬 天(そ の年 の冬)"が 指 示 す る。指 示 代 詞"那(そ の)"

は通 常 前 に現 れ た 事 物 を 再 度 指 示 す る と き に用 い る の で,"那 年 冬 天"は 過 去 の あ る時 点 を 指 示 して い る。 よ って 「参 照 時 間 」は 時 間 軸 上 「発話 時 間 」 の 左 側 に配 置 され る。 「出 来 事 時 間」は"祖 母 死 了,父 来 的差 使 也 交 卸 了(祖 母 は 亡 くな り,父 も左 遷 で役 職 を 引 き継 ぐこ とに な った)"に 指 示 さ れ る。

"祖 母 死 了

,父 来 的差 使 也 交 卸 了"に は"祖 母 死(了X祖 栂 が 亡 くな る)"

と"父 来 的差 使 交 卸(父 が 左 遷 で 役 職 を 引 き継 ぐ)"と い うふ た つ の 「出 来事 」が あ る。 前 者 をe1,後 者 をe2と しよ う。e1"祖 母 死"の 述 語"死(死 ぬ)"は 瞬 間 的 に達 成 され る変 化 を表 す 動 詞 で あ る 。 よ っ て それ 自体 で 「時 相 」 を 充 足 し,「出来 事 」 とな る。e2"父 来 的 差 使 交 卸"の 述 語"交 卸(引

き 継 ぐ)"は 内 部 に動 作 行 為 の 終 結 点 を持 つ の で,や は り単 独 で 「充 足 し た時 相 」 を 形 成 し,「 出来 事 」 とな る。(7)の"了"と 同様,こ のe1とe2 に そ れ ぞ れ 付 加 して い る"了"は 述 語 動 詞 の直 後 に あ りかつ ま た 文 末 に も あ る の で"了a"と"了2"が 結 合 した 「時 態 」 とい え る。"了a"はe1 に お い て 変 化 の 「完 了」を 表 し,e2に お い て行 為 の 「完 了」を 表 す 。ま た"了2"

はふ た つ の 「出来 事 」 が 実 現 した後 の状 態 が 「参 照 時 間 」 にお い て 発 生 し た こ とを 表 して い る。 つ ま りe1とe2に よ っ て 表 さ れ るふ た つ の 「出 来 事 時 間」 は 時 間 軸 上 と も に 「参 照 時 間」 と重 な って 配 置 され る。 以 上 の こ

とか ら,(11)の 「時 制 構 造 」 は 「R,E‑S」 とな る。 「時 制 構 造 」rR, E‑S」 に よ っ て表 され る時 間軸 上 の相 対 的 位 置 関係 は 次 の 図11の よ う に示 さ れ る。 な お ふ たつ の 「出来 事 」e1、e2は あ わ せ て 「E」 と した。

(18)

磯天,祖 母 死 了,父 来 的 差 使 也 交 卸 了 。(RE‑S)

11

R.E S

図11

「時 制 構 造 」 「R ,E‑S」 は,「 発 話 時 間 」Sを 基 準 に 「出 来 事 時 間 」 Eは 時 間 軸 の 左 側 に あ り,「 参 照 時 間 」Rは 「出 来 事 時 間 」Eと 重 な っ て い る 。 す な わ ち 「絶 対 時 制 」は 「過 去 」で,「相 対 時 制 」は 「単 純 」で あ る 。 よ っ て 「R,ES」 の 「時 制 構 造 」 を 持 つ(11)の 文 の 「時 制 」 は 「単 純 過 去 」 に 確 定 す る 。

次 に(12)の 文 の 「時 制 」 を 説 明 し よ う 。

(12)現 在 遠 介 吋 候,他 正 在 伏 案 工 作 。(糞1995:35)

(い ま(こ の と き),彼 は ち ょ う ど 机 に 向 か っ て 仕 事 を し て い る と こ ろ で す 。)

「発 話 時 間 」は"現 在(い ま)"に よ って指 示 され る。 「参 照 時 間 」 は"迭 介 吋候(こ の とき)"が 指 示 す る。この ふ た つ の 時 間 表 現 は 同格 関係 に あ る。

つ ま り時 間 軸 上,「 発 話 時 間」 と 「参 照 時 間 」 は重 な っ て置 か れ る 。 「出来 事 時 間 」 は"他 正 在 伏 案 工 作(彼 は ち ょ う ど机 に 向 か っ て仕 事 を してい る と こ ろで す)"に よ って 指 示 され る。 述 語 動 詞"工 作(働 く)"は 持 続 動 詞 で 理 論 上 永 遠 に続 く動 作 を 表 す。さ らに そ の 前 に状 況 語"伏 案(机 に 向か っ て)"が 付 加 し"伏 案 工 作(デ ス ク ワー クす る)"と い う 「習 慣 的 行 為 」 を

(19)

現 代 中国 語 の 「時 制 」 の 意 味 研 究19

表 して い る。 と こ ろが"正"が 持 つ 「臨 場 性 」 に よ っ て,そ の動 作 行 為 は

「特 定 の 」 な い しは 「確 定 的 な」 も の とな る。 これ に よ り"伏 案 工 作"は

「デ ス ク ワー ク」 とい う 「習 慣 的 行 為 」 で は な く,「充 足 した 時相 」 とな る。

す な わ ち"正 在 伏 案 工作"は 進 行 中 の 「出 来 事 」 を 表 して い る。(6)の 例 で も述 べ た よ う に,「 進 行 」 は 「発 話 時 間 」 あ る い は 「参 照 時 間 」 を 基 準 と して,そ れ と同 時 に 動 作 行 為 が 行 わ れ て い る こ とを 表 す 。(12)で は す で に そ の ふ たつ の 時 間 は時 間軸 上 重 な っ て い る 。 よ っ て 「進 行 す る 出来 事 」 が 指示 す る 「出 来 事 時 間 」 も時 間軸 上 「発 話 時 間」、「参 照 時 間 」 と重 な る 。 以 上 の こ とか ら,(12)の 時 間 軸 に お け る三 つ の 配 置 状 況 は 次 の 図12の よ う に な る。 そ の 位 置 関 係 は 「S,R,E」 とい う 「時 制 構 造 」 と して 示 され る。

匪 国 迭 介 吋候,他 正 在 伏 案 工作 。(SRE)

S,R,E

図12

「S ,R,E」 の 「時 制 構 造 」 は 「発 話 時 間 」Sと 「出 来 事 時 間 」Eが 重 な っ て い る の で,「絶 対 時 制 」 は 「現 在 」 で あ る 。 ま た 「参 照 時 間 」Rと 「出 来 事 時 間 」Eも 重 な っ て い る の で,「相 対 時 制 」は 「単 純 」で あ る 。 よ っ て(12) の 文 の 「時 制 」 は 「単 純 現 在 」 に 確 定 す る 。

最 後 に(13)の 文 の 「時 制 」 を 説 明 す る 。

(20)

(13)下 介.月 中 旬,我 出 差 到 江 南 去 。(巽1995:35)

(来 月 の 中 旬,私 は 江 南 に 出 張 に い くで し ょ う。)

「参 照 時 間 」 は"下 介 月 中 旬(来 月 の 中旬)"に よ っ て指 示 され る。 そ の 中 に"下 介 月(来 月)"が あ る の で,時 間 軸 上 「参 照 時 間」 は 「発 話 時 間 」 の 右 側 に 置 か れ る。 「出 来 事 時 間」 は"我 出 差 到 江 南 去(私 は 江 南 に 出 張 に い く)"が 指 示 す る。 述 語 動 詞"出 差(出 張 す る)"は 持 続 動 詞 で あ る。"到 江 南(江 南 に)"が 「着 点 」 を 表 し,「 時 相 」 を 充 足 す る の で,"出 差 到 江

南(江 南 に 出張 す る)"は 「出 来 事 」を 表 す 。(13)に は 「時 態 」を 表 す 成 分 が 明 示 され て い な い が,"我 出 差 到 江 南 去"は そ れ単 独 で 「予 定 」 を述 べ る こ とが で き る7。 「予 定 の 出来 事 」はつ ね に 「将 来 」に お い て の もの で あ る。

時 間 軸 上 「将 来 」の 位 置 にあ るの は"下 ノト月中 旬"が 指 示 す る 「参 照 時 間 」 で あ る。 よ っ て"我 出差 到江 南 去"が 表 す 「予 定 の 出来 事 」 は 「参 照 時 間 」 に お い て 実 現 す る。 つ ま り時 間 軸 上 「出来 事 時 間 」 は 「参 照 時 間 」 と重 な る。 以 上 の こ と か ら,(13)の 時 間 軸 上 に お け る 相 対 的 位 置 関 係 は 次 の 図 13の よ う にな る。 そ の 位 置 関 係 は 「SR,E」 とい う 「時 制 構 造 」 で 表 され る。

爪 月 中 旬

,我 出 差 到 江 南 去 。(S‑RE)

SR,E

図13

rS‑RE」 の 「時 制 構 造 」 で は,「 出 来 事 時 間 」Eは 「発 話 時 間 」S

(21)

現代中国語の 「時制」の意味研究21 の右 側 に あ り,「絶 対 時 制 」 は 「未 来 」 で あ る。 一方,「参 照 時 間」Rと 「出 来 事 時 間 」Eは 重 な っ て い る の で 「相 対 時 制 」は 「単 純 」で あ る。 よ っ て 「S

‑R ,E」 の 「時 制 構 造 」を 持 つ 文(13)の 「時 制 」 は 「単 純 未 来 」を 表 す。

以 上,本 章 で は(5)一(13)の 九 つ の 文 を 例 に,可 能 な 九 種 類 の時 制 構 造 が いか に形 成 され,そ して そ れ ぞれ の 文 の 「時 制 」 が どの よ うに確 定 され る か を 説 明 した 。

4.お わ りに

本 稿 で は,「 発 話 時 間 」,「参 照 時 間 」,「出来 事 時 間 」 の三 つ の 時 間 に よ っ て,中 国 語 の文 の 「時 制 」 が確 定 され る こ とを 論 じた。 この 「時 制 」 が確 定 さ れ る過 程 か ら,そ れ が た ん に 中 国 語 の 「時 制 」 を 明 らか に す る だ け で な く,私 が 仮 定 す る 中 国語 の 時 間 体 系 の 形 成 と も深 く関 わ って い る こ とが 明 らか に な っ た 。概 括 して言 う と,そ れ は次 の よ うな過 程 で あ る。 まず 「時 相 」 で 「出来 事 」 が 形 成 され る。 次 に,そ の 「出 来事 」 が 「時態 」 の意 味

と結 合 して,時 間軸 上 に配 置 され る 。 さ らに 「参 照 時 間 」 が 与 え られ,時 間軸 上 に お け る 「発 話 時 間 」,「参 照 時 間 」,「出 来事 時 間 」 の相 対 的 位 置 関 係 を表 す 「時 制 構 造 」 を 得 る。 最 終 的 に,そ の 「時 制 構 造 」 か ら文 の 「時 制 」 が確 定 す る。

本 稿 で 論 じた時 間 体系 の 枠 組 み は,大 筋 にお い て,説 得 的 で あ る と確 信 して い る が,ま だ細 部 に お い て,説 明 が 不 十 分 で あ っ た り,議 論 の 対 象 外 と した 部 分 が あ り,全 面 的 で な い こ と も事 実 で あ る 。 よ って,今 後 は そ れ らの 点 の 克 服 が課 題 とな ろ う。 ま た,こ の 中 国語 の 時 間 体 系 に つ い ての 理 論 を モ デ ル 理 論 的枠 組 み に よ っ て定 式 化 す る とい う取 り組 み も必 要 で あ る。

(22)

注釈

1Reichenbach(1974)は 「発 話 時 間(発 話 の 時 点)」 に 対 す る 「参 照 時 間(言 及 の 時 点)」

の 位 置 か ら,「 過 去 」・「現 在 」・「未 来 」 を 区 分 し,「 参 照 時 間(言 及 の 時 点)」 に 対 す る 「出 来 事 時 間(事 象 の 時 点)」 の 位 置 か ら,「 以 前 」・「単 純 」 ・「以 後 」 を 区 分 す る 方 法 を と っ て い る 。 しか し,後 の 議 論 で 見 る よ う に,中 国 語 で は 「発 話 時 間 」 と

「参 照 時 間 」 そ れ ぞ れ に 対 す る 「出 来 事 時 間 」 の 位 置 か ら 「時 制 」 が 確 定 す る 。 2.こ こ で 「出 来 事 」 はParsons(1990)の"Events"と い う 概 念 に 依 っ て い

る(Parsons1990=20‑21)。 こ れ は 単 文 に 対 す る 伝 統 的 な 四 分 類 の う ち, AccomplishmentsとAchievementsを 含 め た も の に 相 当 す る 。 前 者 は 自 然 の 終 結 点

を 持 つ こ と に,後 者 は 瞬 間 性 に 特 徴 が あ る 。

3.結 果 補 語 の ほ か,動 量 補 語 、時 間 量 補 語 、数 量 補 語 な ど の 「量 」 を 表 す 語 彙 成 分 も 「 相 」を 充 足 さ せ る は た ら き が あ る 。 た と え ば,(i)で は 「動 作 量 」を 表 す 動 量 補 語"一 次(一 度)"に よ っ て,"看"が 表 す 行 為 の 「量 」が 確 定 し,"看 一 次(一 度 見 る)"で 相 」 が 充 足 して い る 。 同 様 に(ii)で は 「時 間 量 」 を 表 す 時 間 量 補 語"一 ト小 日寸(一一 時 間)"に よ っ て"看"の 「時 間 量 」 が 確 定 し,「充 足 し た 時 相 」 とな っ て い る 。(血) は 行 為 対 象"fi1(本)"の 「数 量 」 が 限 定("三 本(三 冊)")さ れ て い る 場 合 で あ る 。 こ の 場 合 も 述 語"看"が 表 す 行 為 は 「ひ と ま と ま り 」 に な る 。 さ ら に(iv)に 見 る よ う に,行 為 対 象 が 固 有 名 称 を も つ 特 定 指 示 物..屯 影 《覇 王 別 姫 》(映 画7覇 王 別 姫 」)"

で あ っ て も 「時 相 」 を 充 足 さ せ る 。

(i)看 一 次(一 度 見 る)

(ii)看 一 ノト小 吋(一 時 間 見 る) (血)看 三 本 需(三 冊 の 本 を 読 む)

(iv)看 屯 影 《覇 王 別 姫 》(映 画 『覇 王 別 姫 三 を 見 る)

4.動 詞 の 接 尾 語 で あ る"了1""冠""着"は 「時 態 」 と し て は た ら く も の と 「時 相 」 の 中 に 現 れ る も の の 二 種 類 が あ る 。 両 者 を 区 別 す る た め,本 稿 で は 「時 態 」の"了1"

"迂""着"を"了

a""道a""着a"と 表 記 す る 。 一 方4「 時 相 」 の 中 に 現 れ る も の は"了p""違p""着p"の よ う に 表 記 す る 。 そ れ ぞ れ の 意 味 は 次 の と お り で あ る 。

(23)

Jρ07

現 代 中 国 語 の 「時 制 」 の意 味 研 究23

「時 態 」 の"了a""這a""着a"

・"了a"… 「〜 し て し ま っ た 」(動 作 行 為 の 完 了)

・"tea"… 「〜 し た こ と が あ る 」(過 去 の 経 験)

「〜 し た 」(過 去 に お け る 「出 来 事 」 の 発 生)

・"着a"… 「〜 して い る 」(動 作 行 為 の 結 果 の 持 続)

「時 相 」 の"了p""冠p""着p"

・"了p"… 「〜 し終 わ る 」(動 作 行 為 の お わ り)

・"冠p"… 「〜 し終 わ る 」(動 作 行 為 の お わ り)

・"着p"… 「〜 し て い る 」(動 作 行 為 そ の も の の 持 続)

本 稿 で は,文 末 の"了"も 「時 態 」 と 見 な し,"了2"と 表 記 す る 。

文 字 囲 い さ れ た 成 分 は 時 間 軸 上 の 「発 話 時 間 」 を 指 示 す る が,(1)の よ う に そ の 成 分 が 「発 話 時 間 」 そ の も の に 対 応 し な い 場 合 は 虚 線 で 示 し た 。

糞(1995)に よ れ ば,将 来 を 表 す 副 詞"将"あ る い は"要"を 挿 入 す る こ と が で き る 。

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参照

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2.先行研究 シテイルに関しては、その後の研究に大きな影響を与えた金田一春彦1950

〜は音調語気詞 の位置 を示す ○は言い切 りを示 す 内 は句 の中のポイ ント〈 〉内は場面... 表6

友人同士による会話での CN と JP との「ダロウ」の使用状況を比較した結果、20 名の JP 全員が全部で 202 例の「ダロウ」文を使用しており、20 名の CN

C−1)以上,文法では文・句・語の形態(形  態論)構成要素とその配列並びに相互関係

このように,先行研究において日・中両母語話

〔注〕

第四。政治上の民本主義。自己が自己を統治することは、すべての人の権利である