九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
歯科用インプラント体埋入によって初期圧縮メカニ カルストレスが負荷された周囲骨におけるephrinB2 とEphB4の機能解析
北村, 和幸
http://hdl.handle.net/2324/2236159
出版情報:九州大学, 2018, 博士(歯学), 課程博士 バージョン:
権利関係:やむを得ない事由により本文ファイル非公開 (3)
(様式6-2)
氏 名 北村 和幸
論 文 名 歯科用インプラント体埋入によって初期圧縮メカニカルストレスが 負荷された周囲骨におけるephrinB2とEphB4の機能解析
論文調査委員 主 査 九州大学 教授 築山 能大 副 査 九州大学 教授 久木田 敏夫 副 査 九州大学 教授 和田 尚久
論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨
口 腔 インプラント治 療 は、欠 損 歯 列 の口 腔 機 能 と審 美 性 を回 復 することを目 的 とした有 用 な治 療 法 として広 く普 及 している。一 方 、不 適 切 なメカニカルストレスによるオッセオインテグレーションの獲 得 ・ 維 持 失 敗 や骨 壊 死 、インプ ラント体 や アバットメントの破 折 といった予 後 不 良 の報 告 もあり臨 床 上 の問 題 となっている。したがって、メカニ カルス トレスに対 するイン プラン ト周 囲 組 織 の反 応 につい て理 解 す る こと は、さらなる 口 腔 イン プ ラント 治 療 の 成 功 に つ ながる と 考 え られ る 。近 年 、メカニ カル ストレス環 境 下 での細 胞 分 化 に e ph rin /Ep h fa mily が関 与 することが報 告 されている。そこで本 研 究 は、歯 科 用 インプラン ト体 埋 入 時 の初 期 圧 縮 メカニカルストレス下 でのインプラント周 囲 骨 におけ るeph rinB2 と E phB4 の機 能 解 析 を行 うことを目 的 とした。
はじめに、周 期 的 圧 縮 刺 激 が MC3T 3 -E l細 胞 (マウス由 来 骨 芽 細 胞 様 細 胞 株 )における骨 芽 細 胞 分 化 マーカーおよび、eph rinB 2とE phB 4の発 現 に与 える影 響 について検 討 した。その結 果 、周 期 的 圧 縮 刺 激 は MC 3T 3 -E l 細 胞 における O ste rix mRNA の発 現 を有 意 に低 下 させた。一 方 、 eph rinB2 と Ep hB4 の発 現 を mRNA およびタンパクレベルで増 加 させた。次 に、周 期 的 圧 縮 刺 激 後 に e ph rinB 2 -Fc または EphB 4 -Fc を添 加 し、それらが MC 3T3 -E l 細 胞 における Oste rix mR NA の 発 現 に 与 え る 影 響 に つ い て 検 討 した 。e ph rin B2 -Fc の 添 加 は 周 期 的 圧 縮 刺 激 に よ る Oste rix mRNA の発 現 低 下 を有 意 に抑 制 したが、E phB 4 -Fcの添 加 は O ste rix mRNA の発 現 に有 意 な変 化 を 与 え なか った 。さ ら に 、イン プ ラン ト 体 埋 入 時 の 初 期 圧 縮 メカニ カ ルス ト レ ス が 周 囲 骨 に お ける Osterix、ep h rinB 2 および EphB 4 mRNA の発 現 に与 える影 響 について検 討 した。その結 果 、ラット の口 蓋 部 にミニインプ ラント体 を 埋 入 した 群 は、埋 入 窩 形 成 のみを行 った群 と比 較 して、周 囲 骨 に おけるO sterix mRNAの発 現 が有 意 に低 かった。一 方 、e ph rinB2 mRNAとEp hB4 mRNAの発 現 は有 意 に高 かった。最 後 に、e ph rinB 2 -Fc もしくは E phB 4 -Fc をコーティングしたミニインプラント体 の埋 入 が周 囲 骨 における Oste rix mRNA の発 現 に与 える影 響 について検 討 した。ep h rinB 2 -Fc コ ーティングは、ミニインプラント体 の埋 入 によって低 下 する周 囲 骨 の O ste rix mRNA の発 現 を有 意 に回 復 させたが、E phB 4 -Fcコーティングは、周 囲 骨 のO ste rix mRN Aの発 現 に有 意 な変 化 を与 え なかった。
以 上 よ り、インプ ラント体 埋 入 時 の初 期 圧 縮 メカニカルストレスによって引 き起 こされる周 囲 骨 での eph rinB 2 と E phB 4 の発 現 増 加 が、同 刺 激 による骨 芽 細 胞 の初 期 分 化 抑 制 作 用 を調 節 している 可 能 性 が示 唆 された。
本 研 究 で 得 ら れ た 結 果 は 、 イ ン プ ラ ン ト 埋 入 時 の 初 期 圧 縮 メ カ ニ カ ル ス ト レ ス に よ る 細 胞 分 化 に 関 する新 しい知 見 をもたらすものであり、博 士 ( 歯 学 ) の 学 位 授 与 に 値 す る 。