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社 会 主 義経 済 学 論 争 小 史(一)

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〈資 料〉

社 会 主 義経 済 学 論 争 小 史(一)

ヰ1木 寸 斗∠ ノ\

[解 題]

1991年12月,ソ ヴ ェ ト社 会 主 義 共 和 国 連 邦 が 崩 壊 した 。 そ れ は,20世 紀 最 大 の 世界 史 的 事 件 で あ る。 す な わ ち,1917年 ロ シ ア ト月 革 命 に始 ま る社 会J:

建 設 の実 験 は,1991年8月 の ソ連 共 産 党 の 自滅,同 年12月 の ソ連 邦 の 解 体 を も っ て終 了 した 。 ゴ ル バ チ ョフ連 邦 共 産 党 書 記 長 兼 連 邦 大 統 領 の ペ レ ス トロ イ カ は,① 再 生 した ソ連 共 産 党 が 人 民 の 支持 の も と に政 権 を保 持 し民 主 的 社 会 主 義 を再 建 す る,② そ の さ い15の 共 和 国 か ら成 る連 邦 制 は維 持 す る,と い う制 約 内 の もの で あ っ た。 だ が ペ レ ス トロ イ カ の 下 で 成 長 した ソ連 の勤 労 民 衆 お よ び 諸 民 族 は,ゴ ル バ チ ョフ に 代 表 さ れ る ソ連 共 産 党 保 守 派 の 上 記 二 っ の 制 約 を 突 破 し,ソ 連̲ff産 党 に も ソ連 邦 に も"HET"を 突 きっ け,こ れ に 引導 を 渡 した の で あ る。

当 然 の こ と な が ら この 事 実 は,世 界 史 に お け る ソ連 時 代,す な わ ち 社 会 宅 義 時 代 の 科 学 的 総 括 を要 請 して い る。 お よ そ 社 会 科 学 者 ・経 済 学 者 で あ る もの,

と りわ け マ ル ク ス 主 義 者 ・共 産 主義 者 は,世 界 の勤 労 民 衆 と被 差 別 民 族 の た め に,ソ 連 社 会 主義 の74年 の 営 為 に つ い て,原 点 に 立 ち戻 って 真 摯 に 反 省 しな け れ ば な ら な い。 こ の解 題 お よ び資 料 は,そ の た め の 準 備 作 業 の一 っ で あ る。 そ れ は,社 会 主 義 の 大 義 に殉 じた 有 名,無 名 の 人 々 に さ さ げ るrequiemで あ り, 1950年 代 に 自 己 形 成 し た 旧 友 と 私 自 身 に 贈 る 挽 歌 で も あ る 。

わ れわ れ の見 地 に よれ ば,ソ 連 ・東 欧 に お け る社 会 主義 の挫折 は,発 展(開 発)途 上 社 会 主義 の挫折 を意 味 す る。1991年 まで,現 実 に存 在 した社 会 主義 国

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を 発 展 途 上 国 の ヴ ァ リア ン トの一 っ と規 定 す る 見 解 は,珍 奇 な 見 解 で あ り,国 内 的 に も国 際 的 に も承 認 を 得 る に い た ら な か った 。 しか し,1991年,IMF(国

際通 貨基 金)やWB(世 界銀行)は,ソ 連 ・東 欧 諸 国 に お け る 「中 央 計 画 経 済 」 の 崩 壊 を うけ て・ ソ連 ・東 欧 諸 国 を 発 展 途 上 国 に 分 類 す る に い た っ た 。ち な み に,

これ ま で 世 界 経 済 は,「 先 進 市 場 経 済 」,「 発 展 途 上 市 場 経 済 」,「中 央 計 画 経 済=

社 会 主 義 経 済 」 の三 っ に 分 類 さ れ て き た。

ソ連 ・東 欧 ・中 国 の 共 産 党 政 権 は,自 国 を 形 容 詞 な しの 社 会 主 義 国 と定 義 し て きた 。 な か で も ソ連 ・東 欧 の 有 力 な 論 者 は,先 走 っ て ソ連 の 発 展 段 階 を 「発 達 した 社 会 主義 」 と規 定 し,共 産 主 義 社 会 へ の 移 行 を 展 望 す る と い った 重 大 な 誤 りを お か して き た。 しか しな が ら,旧 ソ連 ・東 欧 諸 国 の 経 済 政 策 面 に お け る 主要 課 題 は,人 間 と して の基 本 的 欲 求(basichumanneeds)を 満 た す た め の 経 済 発 展 で あ っ た。 っ ま り,国 の経 済 的 後 進 性 か らの 脱 却 と,そ の た め の工 業 化 の 推 進 を 目的 に して き た。 周 知 の よ う に,こ の 課 題 は,い わ ゆ る南 北 問 題 に お け る 「南 」 の 諸 国 の経 済 課 題 と同 一 で あ る。

ソ連 ・東 欧 の理 論 家 と は異 な り,わ れ わ れ は ,旧 ソ連 ・東 欧 な ど の 社 会 主 義 を,発 達 した 資 本 主 義 の 止揚 形 態 と して の社 会 霊義 だ と は認 識 せ ず,「途 上 国 型 社 会 主 義 」 あ る い は 「社 会 主 義 型 途 上 国 」 と考 え て き た。 な ぜ な ら,客 観 的 諸 事 実 か ら出 発 す る か ぎ り,こ れ らの 国 は,そ の 出 発 点 か ら終 着 点 に い た る ま で, ま ぎれ も な く途 上 国 型 の 経 済 構 造 と経 済 発 展 水 準(し たが って政 治構 造 と政 治発 展水 準)を 特 徴 と して い た か らで あ る。 こ れ らの 国 は,共 産 党 政 権 の 独 裁 の 下 で,工 業 化 に 着 手 し,一 連 の 社 会 政 策 を 積 み 重 ね て き た 結 果 ,「 中 進 途 上 国 」 の 水 準 に ま で 発 展 した 。 だ が そ の 国 が,経 済 的 ゆ きづ ま り と民 主 主 義 の 欠 如 の ゆ え に,勤 労 民 衆 に 見 離 され,瓦 解 した の で あ る。1990年 代 の 現 在 ,1日 ソ連 ・東 欧 諸 国 は,「 計 画 経 済 」 を や め,国 営(有)企 業 の 民 営(有)化 を は か り,資 本 主 義 的 市 場 経 済 へ の 移 行 を 目 指 して い る。

経 済 学 の 歴 史 か らみ れ ば,旧 ソ連 ・東 欧 の 社 会 主 義 経 済 学 は,第 二 次 世界 大 戦 後 に生 ま れ た 「南 」の 発 展 途 上 国 の 開 発 経 済 学 の 先 駆 者 で あ っ た と 言 え よ う。

と こ ろ が,過 去 ・現 在 の 社 会 主義 国 に お い て ,経 済 学 は,『 資 本 論 』 に代 表 さ れ

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る資本 主 義 経済 学 に対 抗 す る社 会 主 義 経 済 学 の構 築 を課 題 と して きた。 「途 上 国 型社 会 主Jを 研 究対 象 とす る社 会 主 義経 済 学 は,経 験科 学 と して で は な く, 規 範科 学 と して存在 した。 これ は大 きな悲 劇 で あ った。規 範 経 済学 に も とつ い て,経 済政 策 を策 定 し,実 行 す る こ と,そ れ は,工 業 化 の初 期段 階 に は一一定 の 肯 定 的意 義 を有 した がi工 業 発 展 の先 端 科学 時代 に は否定 的 存在 に転 落 す る。

わ れ わ れ の考 え に よ れ ば7ソ 連 ・東 欧 に お いて経 済 学 は,開 発 経 済 学 の一 つ と して,す な わ ち社 会 主義 的 開発 経 済学,「 計 画 と市 場 」の経 済 学 と して展 開 さ れ るべ きで あ った。 と ころが実 態 はそ うで はな か った。 か く して,ソ 連 に お け る社 会 主 義経 済 学 史 を振 り返 る と き,な ん と多 くの イ デ オ ロギ ー過 剰の不 毛 の 議論 が行 わ れて きた こ とか。 多 くのす ぐれ た頭 脳 が神 学 問答 に さ さげ られs浪

費 さ れた。 社 会 科学 も経 済学 も,現 実 との 関連,緊 張 関 係 を失 い,時 の政 権 の 政策 を賛 美 す る疑 似科 学 に 堕落 した。

ソ連 ・東 欧 な どの社 会主 義 型 途 上 国 が経済 的 に崩 壊 した の と対 照 的 に,1980 年 代,ア ジアNIESが 彗 屋 の ご と く世 界 経済 に登 場 した。 韓 国 に代 表 され るア

ジアNIESは,1960年 代以 来,社 会.;経 済 学 とは別 の系譜 に属 す る開 発 経済 学 に依拠 し,「 中進 途 上 国」 へ の成 長 を実現 し,1990年 代 の現 在,経 済 的 に ソ 連 ・東 欧 を追 い抜 くに い た った。 こ う して わ れ われ は,「東 」の社 会 主 義経 済学

と 「南」 の開 発経 済 学 とを学 史 的 に比 較 検 討 し,歴 史 と現 実 に よ って 検証 し直 し,よ りす ぐれ た開発 経 済学 を構 築 す る とい う課 題 に直面 して い る。

上 記 の課 題 の遂行 は,重 要 で あ る。なぜ な ら,経 済学 研 究 の現 状 を見 る と き, マル ク ス経済 学 派,欧 米経 済学 派 を問 わ ず,大 多数 の研 究者 は,も っぱ ら先進 市場 経 済 を研 究 対 象 と して お り,「 南」 と 「東 」の途上 国 の経 済 を研 究 対 象 とす る研究 者 は少数 で あ り,研 究 の学 問 的蓄 積 も少 な いか らで あ る。 世 界 の現 状 は これ と正反 対 で あ り,「 南 」 と 「東 」 の途 上国 人 口 は世 界 人 口 の90%近 くを 占 め,解 決 を要 す る未決 の問 題 を次 か ら次 へ と提起 して い る。

旧 と現 の社 会 主 義 国,つ ま り旧 ソ連 ・東 欧 諸 国 にお いて,ま た現 代 中 国 にお いて発 達 した社 会 主 義経 済 学 を開発 経 済学 の一 つ とみ なす 見地 は,こ れ まで皆 無 で あ った。 だ が この見地 は,重 要 で あ る。 す で に指 摘 した よ うに,旧 現 の社

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会 主 義 国 で 発 達 した 社 会 主 義 経 済 学 は,実 際 の 経 済 か ら出 発 す る と い うよ り, マ ル ク ス主 義 の 教 条(ド グマ)か ら出 発 す る と い う誤 りを お か して き た

。装 飾 用 の 教 条 を は ぎ とれ ば,素 顔 が 現 れ る。 こ の 素 顔 を あ る が ま ま に研 究 す る こ と

, これ が 「東 」 の発 展 途 上 経 済 研 究 の 出 発 点 と な らね ば な らな い

。 い わ ゆ る社 会 セ義 経 済 学 の 論 争 史 に つ い て 考i察す る場 合 に も,こ の態 度 が 人 切 で あ る。

ソ連 でX985年 に ペ レ ス トロ イ カ が 開 始 され て以 来,わ れ わ れ は,ソ 連 の 経 済 学 者 が ・70年 に お よぶ 社 会 室義 経 済 時 代 に 関 して ,ど の よ う に総 括 して い る か に つ い て 強 い 関 心 を い だ き,関 連 論 稿 ・著 作 の 入 手 に っ とめ が,残 念 な が ら私 の 期 待 に 応 え る仕 事 は な か っ た。30年 近 く ソ連 経 済 を 研 究 し,社 会 主 義 に っ い て 考 え て きた 一 研 究 者 と して,わ れ わ れ 自身 }そ の 回 答 を 示 さ な けれ ば な らな い こ と は重 々 承 知 して い る。 だ が ,学 説 史 的 研 究 の 成 果 を 示 す に は,余 りに も 文 献 不 足 で あ る。 も っ と も ソ連 の研 究 者 の 場 合 も,長 年 に わ た って 学 問 研 究 の

臼由 を 奪 わ れ,ス ター一リ ン主 義 に反 対 し これ を 批 判 す る者 は 研 究 を 禁 止 され ,

「反 党 ・反 人 民 的 」文 献 ・資 料 へ の 接 近 を 禁 じ られ て き た の で あ る か ら,事 情 は 同 じで あ る の か も しれ な い。 した が っ て,こ れ ま で 利 用 を 禁 じ ら れ て き た 文 献 ・資 料 の 公 開 を ま た ね ば,本 格 的 な 論 稿 は 期 待 で き な い と思 わ れ る。

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以 下に お いて紹 介 す る論 文 は,中 国 で1985年 に 出版 され た 『経 済 研 究』編 集 部編 『建 国 以 来 社会 主義経 済 理 論 問題 争 鳴1949‑1984』 一ヒ,下(中 国財政経済出 版社,1985年)に 掲 載 され て い る章良 猷論 文 「芳朕 六 十年 来 社 会 主義 政 治 経 済学 若iN問 題 的争 論」 の全 訳 で あ る。 この論 文 は,付 録 と して 上掲 書 の下 巻 に収 め

られ て い る。収 録 の理 由 は,思 うに,中 国 で建 国 以 後議 論 され て きた社 会主 義 経 済 理 論 の論 争 テ ー マ は,ほ ぼ すべ て ソ連 で も論 争 の 的 に な って い るので,参 考 に すべ きで あ る,と い う観 点 か らで あ ろ う。

中 国 で は,1979年 に経 済 改 革 を開 始 す る にあ た って,中 国 の経 済学 界 に お け る これ まで の経 済 論 争 を総 括 し,改 革 に役 立て るた め,『 経 済 研 究』 編 集 部 と

『経 済 動 態』編 集 部 は共 同 で,『 建 国以 来 政 治経 済 学 重 要 問題 争 論(1949‑1980)』

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(中国財政経済出版社,1981年)を 公1=ljした。同 書に は18の テー マが取 り上 げ られ て い る。好 評で あ った同 書 を大 幅 に拡 充 し,1984年 まで の文献 を検 討 対 象 に含 め て 出 版 され た の が 『建 国 以 来 社 会 主 義 経 済理 論 問 題 争 鳴1949‑1984』 で あ る。

参 考 の た め,1985年 版 の テ ー マ33を 掲 げた い。「経 済学 の対 象 経 済学 の社 会 主義部 分 の体 系,生 産 力 と生 産 関係,経 済 と政治 の関 係 社 会 主義 社 会 の生 産 手 段所 有 制,中 国 の特色 を そ なえ た社 会 主義 農 業,経 済 体制 改 革,社 会 主義 の基 本 的経 済 法 則,国 民経 済 の計 画 的 で釣 り合 い の とれ た発 展法 則,社 会 主義 の商 品生産,社 会 主義 制 度 の下 で の価値 法 則,社 会 主 義経 済 に お け る計 画 と市 場,社 会 主義経 済 にお け る価格,社 会t義 の経 済計 算,社 会 主義 の再 生 産,国 民経 済 の総 合 バ ラ ンス,社 会J¥の 生 産 的労 働 と不生 産 的労 働 経 済 ・社 会発 展 戦 略,社 会 主義 の経 済構 造(以 上,上 巻),農 業 の現代 化 と農業 発 展 戦略,農 業 は国 民 経済 の基 礎,社 会 主義 の商 品流 通,社 会 †義 の物質 利 益,労 働 に応 じた 分配,労 働 力 の所 有制,社 会 主義 地 代,社 会 主義 の財 政,社 会a;の 金 融 社 会riの 経済 効 率,社 会 主義 の消 費,特 区経 済,社 会 主義 の人 口理論 生産 力 の経済 学(以 上,ド 巻)」。

さて,章 論 文 は,1経 済 学 の対象,経 済 法則,社 会 主義 の基 本 的経 済法 則,商 品生 産 と価値 法 則,価 格 形成,生 産手 段 生 産 の優 先 的 発 展 の法 則,経 済学 の体 系 」の七 節 か ら構成 されて い る。今 回紹 介 す るの は,「経 済 学 の対 象 経 済 法 則, 社 会 主義 の基 本 的経 済法 則」 とい う三 節 で あ る。 章論 文 に は,当 然 の こ となが

ら,ソ 連 の文 献 が多 数 引用 されて い る。訳 者 の力 不足 か らして,そ のす べ て に っ い て,原 文 献 に あた る こ とが で きな か った こ とを記 して お きた い。

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ソ連 にお け る社 会 主義 経 済 学 の若 干 の 問 題 に関 す る この60年 の論 争

一 経済 学の対象

こ の60数 年,ソ 連 の経 済 学 界 は,経 済 学[PoliticalEconomy]の 対 象 の 認 識 に お い て,曲 折 に み ち た 過 程 を た ど って き た 。{泪 革 命 後,経 済 学 は資 本 並義 的 生 産 関 係 だ け を 研 究 す るの で あ る と い う 「社 会?'義 経 済 学 消 滅 論 」 が,ソ 連 で 支 配 的 地 位 を 占 め た 。1929年 に 「ブ ハ ー リ ンの 著 書"過 渡 期 の 経 済"へ の レー ニ ンの 評 注 』 が 公 表 さ れ て 後,ソ 連 で は よ うや く広 義 の経 済 学 の 観 点 が 確 Iiし た 。30年 代 に は 主観 セ義 が 盛 ん で あ った た め,ソ 連 の 経 済 学 者 は,経 済 政 策 に 合 わ せ て 経 済 学 の 研 究 を す る こ と を 過 度 に 強 調 し た。50年 代 初 め に い た り,ス タ ー リ ン が 『ソ連 邦 に お け る社 会 主 義 の 経 済 的 諸 問 題 」 の な か で ヤ ロ シ ェ ンコ を 批 判 した 後,は じめ て こ の よ う は傾 向 は 正 され た 。 この 時 期,ソ 連 の経 済 学 界 で は次 の よ う な観 点 が 形 成 され た。経 済 学 の 対 象 範 囲 は,生 産 関 係, と りわ け 物 的 生 産 分 野 に お け る生 産,交 換,分 配 の 三 種 の 関 係 に 限 定 され るy だ が 生 産 力 と 上部 構 造 と の 関 連 も研 究 しな け れ ば な ら な い,と 。60年 代 以 後 , ソ連 の 経 済 学 者 は,上 述 した観 点 を 突 破 し は じめ ,生 産 九 経 済 政 策,消 費 関 係,不 生 産 的 分 野 の 関 係 な ど の,経 済 学 の 対 象 に お け る位 置 づ け の 問 題 を 討 論 す る よ うに な り,経 済 学 の 対 象 の 拡 大 化 傾 向 が 現 れ た 。 以 下,二 っ の 時 期 に 分 け て,こ の 問 題 の 変 遷 と討 論 の 状 況 に つ い て,概 括 的 に紹 介 して み た い 。

20年 代50年 代 の 討 論

1.経 済 学 の対 象 範 囲 は資 本 主 義 だ け に限 定 され るか

ト月 革命 後,ソ 連 の圧 倒 的 多 数 の経 済学 者 は,経 済 学 は資 本 主義 だ け を研 究 す る と考 え た。た とえ ば リュ ビー モ フは こ う述 べ て い る。「経 済学 は,資 本 主義 経 済 のな か で人 々の 間 に どの よ うな相 互 関係 が 形成 され るか を研 究 す るの で あ

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ぢヨ。 当時,経 済 形 態 は組 織 され た経 済 と非 組 織 的経 済 とに分 か れ る,と い う 観 点 が流行 した。「自然 経 済 お よび社 会 的 に組織 され た経 済 はy組 織 され た経 済

に属 す る。 交換 経 済 は非 組織 的経 済 に属 す る。 非組 織 的経 済 の なか で建 設 され る生 産 関係 は,繍 学 の研 究対 象 で あ 乱 しカ・しなが ら,「礁 され た社 会 の 生 産 関 係 は,す き とお る よ う に透 明 で あ る。 そ こで は生 産 物 の 生 産 と分 配 を 支 配 す る原 則 は現 象 の 表 面 に あ り,こ れ は す べ て の 人 々 に 見 え る し,は っ き り し

て お り」,現 象 と本 質 は一 致 して い る の で,「 理 論 的 な 経 済 研 究 は 不 必 要 で あ 器31。 この よ う な観 点 に よ れ ば,社 会 主 義 社 会 は組 織 さ れ た 社 会 に 属 す る の で, 社 会 主 義 社 会 は経 済 学 を 必 要 と し な い 。

こ の よ うな 「社 会 † 義 経 済 学 消 滅 論 」は,19世 紀 末 か ら20世 紀 初 め に す で に 生 ま れ て い た。W・ ゾ ンバ ル ト,R・ ヒ ル フ ァデ ィ ン グ,R・ ル ク セ ンブ ル ク, M・N.ト ゥガ ン ーバ ラ ノ フ スキ ー が,こ の よ うな 観 点 を 主 張 した 。 十 月 革 命 後,こ の観 点 が ソ連 で 特 に 広 範 に 広 ま った の で あ る が,そ れ は ブハ ー リ ンが 積 極 的 に宣 伝 した か らで あ る。1919年 に 彼 は,『 金 利 生 活 者 の 経 済 学 』の な か で こ

う述 べ て い る。「経 済 学 と い う科 学 は,商 品 社 会(あ るい は商 品資本 主義社 会)だ け を 対 象 と す る の で あ り」,「社 会 主 義 制 度 の も と で は,経 済 学 は そ の 意 義 を 失 6曾.1920年,r過 渡 期 の 経 済 』 の な カ・で ブ ・・一 リ ン は ・ こ の よ う な 観 点 を 一 歩

進 あ て,次 の よ うに展 開 した。経済 学 は非組 織 的社 会 経 済 に関 す る科 学 で あ り,

「組 織 され た社 会経 済 の研究 」に お いて は,「 経済 学 の あ らゆ る基本 的"諸 問題"

価値 ・価 格 ・利 潤 な どの諸 問 題 は消 え て しま う」。 「か く して資本 主義

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的 商 品 社 会 の 終 末 は,経 済 学 の 終 末 で もあ る」 。

しか し当 時,ご く少 数 と は い え反 対 派 が 存 在 し,そ の代 表 的 人 物 は ボ グ ダ ー ノ ブ と ス テパ ー ノ ブ で あ った 。ボ グ ダ ー ノ ブ は こ う考 え た 。「経 済 学 の 研 究 範 囲

は,人 と人 との間 の ・社会的労 働関係nで あ 乱 資本議 唖 囲 に限定 され な い。彼 が著 した 『簡 明経 済 学 教程 』 と,ス テ パ ー ノ ブ との共 著 書 『経 済学 教 程 』 は,原 始 共 産主 義 制 度 か ら社 会 主義 まで の そ れぞ れ の歴 史 時代 を含 ん で お

り,彼 らの主張 が広 義 の経 済学 で あ る こ とを明 確 に示 して い る。

1925年,共 産 主義 ア カ デ ミー は経 済 学 の対 象 に関 す る討 論 会 を開 催 した が,

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ll6商 経 論 叢 第27巻 第3号

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この討論 会 で ステパ ー ノ ブは,「経 済 学 とは何 か」 とい う報 告 を行 い

,広 義 の経 済 学 の 主張 を系統 的 に述 べ た。 彼 は次 の よ うに強 調 した。 経 済学 は,歴 史 的科 学 で あ り,「それ は資本 主義 の時代 お よ び国 だ けに限 定 され ずJ,「個 々の経 済 発 展 の時代 の理 論 で はな く,異 な る社 会経 済 構 成 体 の運 動 と理論 を提 供 す べ きで あ る」。 それ ゆ え経 済学 は,「 視 野 を二 っ の方 面 ,す なわ ち前方 と後 方 に,社 会 主 義 と・封 建 主 義 に」,さ らに は原始 時代 に向 け るべ きで 劣名。

しか し討 論 会 で は,広 義 の 経 済 学 の観 点 は支 持 を 得 られ ず

,ブ ハ ー リ ン,プ レオ ブ ラ ジ ェ ン ス キ ー な ど の 出 席 者 の 反 対 に で あ っ た

。 この 討 論 会 後,次 の よ う な状 況 が っ く りだ さ れ た 。社 会 主 義 経 済 学 消 滅 論 は,「 ドグ マ の性 質 を帯 び た と 言 い う る ほ ど確 信 され る に い た り,い か な る経 済 学 者 と い え ど も この 問 題 を 改 めて考 察 しよ うとす る こ とは溜 酬 行 為 だ と考 え られ 遭

。 2.過 渡経 済 と して の ソ ヴ ェ ト経 済 は経 済 学 を必 要 とす るか

この時期,ソ 連 は まさ に過 渡 期 に位 置 して い た。 実 践 は,出 現 した新 しい状 況 と生 まれで た新 しい問題 にっ いて,理 論 的説 明 を行 うこ とを要求 した。 ソ連

の経 済 学 者 は,次 の よ うな問題 に直 面 した。 も し 「消滅 論 」 に よ るな らば,社 会 主義 は理 論経 済 学 を必要 と しな い,で は資本 主義 か ら社 会 主義 へ 移行 しっっ あ る ソヴ ェ ト経 済 は理論 経 済学 を必 要 とす るだ ろ うか。 か か る ソ ヴェ ト経 済理 論(す なわち過渡経済 の理論)の 必 要 性 の問題 にっ い て,ソ 連 の経 済 学者 は,20年 代 の後 半 に討 論 を行 った。

レオ ンチ エ フ と フメ リニ ッカ ヤ は,過 渡経 済 は理 論経 済 学 を必要 と しな い, と考 え た。 彼 らの見解 に よれ ば,資 本 主義 以 後 の社会 経 済 構 成体 は社 会主 義 に 属 し,こ の社 会経 済 構 成体 で は 「理 論研 究 に前途 はな い」。 「資本 主義以 後 の社 会 経 済 構 成 体 は,静 態 的 に も動 態 的 に も,理 論 経 済 学 の領 域 の問 題 を 含 ま な い」。r過 渡 経 済 に つ い て 言え ば ,特 別 の理 論 体 系 を た て る必 要 は な し曾 。

こ の よ うな 観 点 は,多 くの 人 々 の反 対 に で あ った

。 以 下 に 述 べ る ボ リ リ ン の 意 見 が 代 表 的 で あ る。彼 は こ う述 べ た 。「わ れ わ れ が 完 全 な,成 熟 した社 会 主 義 的 生 産 関 係 の 体 系 を も っ て い る な らば 」,「た しか に 専 門 的 な 理 論 科 学 は い ら な

い」。 「問 題 は,わ れ わ れ の経 済 は社 会 主 義 と同 じで な く

,た だ 社 会 主 義 へ の 過

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渡 的経 済 にす ぎず,組 織 的 な社 会 主義 の要 素 の ほか に,ま だ 自然発 生 的 な再 生 産 の生 産 関 係 を保 持 して い る こ とで あ る。 それ ゆえ,生 産 関係 の転 化 お よび質

くユの

的 改 造 の過 程 を研究 す る理論 科 学 が必 要 で あ る」。

この二 っ の観 点 は結 論 が異 な る に もか か わ らず,そ の理 論 的 出発 点 は同一 で あ った。 彼 らは,社 会主 義 経 済学 消滅 論 を 前提 に して い た。 ソ ヴ ェ ト経 済 理論 が必 要 だ と認 め て い る者 で あ って も,や は り経 済学 は資 本 主義 的生 産 関係 だ け を研 究 す る,と 考 え て い た。 そ こに は,当 時 の社 会主 義 経 済学 消 滅 論 の ソ連 に お け る影響 の深 さを 見 て とる ことが で きる。

3.広 義 の経 済 学 ・狭 義 の 経済 学 と は何 か

1929年10月,ブ ハ ー リ ンの著 書 『過 渡 期 の経 済 』に対 す る レー ニ ンの評 注 が 公 表 され た。 レーニ ンは評注 の なか で,ブ ハ ー リンの社 会 主義 経 済 学 を否 定 す る観 点 を鋭 く批 判 した。 レー ニ ンの評 注 は,ソ 連 の経済 学 者 の経 済 学 の対 象 に 対 す る見 方 を180度 転 回 させ,広 義 の経済 学 の観 点 が ソ連 で そ の地 位 を確定 し

た。 だ が当 初,広 義 の経 済 学 とは何 か,狭 義 の経済 学 とは何 か に関 して,ソ 連 の経 済 学 者 は一 致 した見解 を もって いな か った。

あ る見解 に よれ ば,個 々の社 会経 済 構 成体 の経済 学 は,狭 義 の経 済 学 で あ り, す べて の狭 義 の経済 学 を加 え る と,広 義 の経 済学 に な る。 ローゼ ンベ ル クは こ う述 べ た。「異 な る経 済構 成 体 に応 じて,異 な る経済 理 論,す なわ ち狭 義 の経 済 学 が あ る」。 広 義 の経 済学 は特 別 な研 究対 象 を もたず,「 狭義 の経 済 学 の総 和 と

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み な す べ き で あ る」 。

別 の 見 解 に よ れ ば,広 義 の 経 済 学 と狭 義 の経 済 学 は,マ ル ク ス主 義 経 済 学 の 二 っ の 異 な る発 展 段 階 と み な さ れ た 。 プ ロ シ コ は こ う述 べ て い る。 「マ ル ク ス ニ

レー ニ ン主 義 の 狭 義 の 経 済 学 は,一 定 の歴 史 的 条 件 に も とつ い て,主 と して 資 本 主 義 的生 産 様 式 を研 究 す る。 広 義 の 経 済 学 は そ の 一 歩 発 展 し た もの で あ り, 帝 国 主 義 期 と 共 産 主 義 へ の 過 渡 期 と に お け る プ ロ レ タ リ ア ー トの 革 命 的 任 務 に 対 応 す る。 マ ル ク ス=レ ー ニ ン主 義 経 済 学 は,広 義 の経 済 学 で あ る」。 な ぜ な

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ら,広 義 の経 済学 は狭 義 の経 済 学 の 「現 代 的 発展 段 階」 だか らで あ る。

そ の後,ソ 連 の経 済 学 者 は,上 述 した二 っの観 点 は誤 りで あ る とい う認 識 に

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到 達 し,徐 々 に次 の よ うな観 点 に統 一 され て い った。「す べ て の経 済 構成 体 の根 本 的特 徴,そ れ らの発展 ・消 滅,あ る経 済構 成 体 か ら別 の経 済 構 成 体 へ の移 行 法 則 を研 究 す るマ ル クス主義経 済 学 は,広 義 の経 済 学 と呼 ば れ る。 狭義 の経 済 学 は,広 義 の経 済学 の構 成 部分 で あ り,そ の任 務 は,資 本 主義 経 済 の生 成 ・発 展 哨 滅 の劇 を も っぱ ら研 究 す る ことで あ 紘 この駄 はx在 もなお, 広 義 の経 済学 と狭義 の経 済学 に関 して ソ連 で通 用 して い る見方 で あ る。

4.社 会 主 義経 済 学 と経 済 政策 との関 係

30年 代 は,ソ 連 の経 済 学 に お いて 主観 主 義 が盛 ん だ った時代 で あ る。 プ ロ レ タ リアー ト独裁 は,ソ 連 の発 展 の基礎 とみ な され,ソ ヴ ェ ト国 家 の経 済 政 策 は, 社 会 主 義 制 度 の 下で のす べ て の経 済 的 現 象 お よ び過 程 の最 終 原 因 と認 識 され た。 この よ うな状況 は,社 会 主義経 済 学 の対象 と任 務 に関 す る経 済 学者 の認 識 に影 響 を及 ぼ さ ざ るを得 な か った。 た とえ ば ヴ ォズ ネセ ンスキ ー は こう述 べ て い る。「社会 主 義経 済 の時代 に は,プ ロ レタ リアー トの国 家 の経 済 政 策 が研 究 の

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中 心 にな らな けれ ば な らな い」。ボ リ リンは こ う述 べ て い る。「社 会 主 義経 済 学 の教程 は,ソ 連 の社 会 主義経 済 の発 展 を含 ま な けれ ば な らず,プ ロ レタ リア ー

ト独裁 が 行 う政 策 か ら寸時 も離 れて はな らな い。 ソ連経 済 の発 展 全体 は,か か る経 済 政 策 の作 用 を基 礎 に建 設 され る。 ソ連経 済 の全 発 展 は,ま さ に この経 済 政 策 の作 用 に も とつ い て建 設 され る」。 「だ か ら社 会 主義 経 済 学 な ど考 え られ ず 繍 政 策 を科 学 的 に研 究 しない な ど と い う こと は想 像 もで きな8雪.こ の よ うな観 点 に もとつ いて,客 観 的経 済 法則 の研 究 はz経 済 政策 の実 施 の系統 化 に よ って 置 き換 え られ て しま った。 した が って 当時 つ くられ た広 義 の経 済 学 の 社会犠 部分 には,い かなる経済法則 も含 まれてい罐1.繍 学 にお ける繍 政 策 の地 位 をか く も過 大 に持 ち あ げ る思想 は,40年 代 を ず ば り表 現 して い る。

た とえ ば コナ コ フは こ う述 べ た。 「ボ リシ ェ ヴ ィキ党 と社 会 主義 国 家 の政 策 が ソ連 の経 済 発展 に お いて決 定 的 で 主導 的 な作 用 をお よぼ す点 につ いて研 究 す る こ とは,社 会 主義 国民 経 済 の法則 を科学 的 に探究 す る基 礎 で あ 者? 。

1951年,経 済学 教 科 書の草 稿 の討 論 会 で,ヤ ロ シェ ンコは上述 した観 点 を極 度 に発 展 させ た。 彼 によれ ば,社 会 主義 経 済学 の主 要 問 題 は,生 産 関 係 を研 究

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す る こ とに あ るの で は な く,「 社 会 的生 産 に お け る生 産 力 の組 織 の科 学 的理 論 国民 経 済 の発展 の計 画作 成 の理論 を研 究 し発展 させ る こ とにあ る」。彼 は,二 っ の経 済 学 の観点 を提 起 した。 その一 っ は,社 会 主義以 前 の各 種 の社 会構 成 体 の 経 済 学 で あ り,「 その研 究 対象 は,人 間 の生 産 関 係 の研 究 で あ る」。 も う0つ は 社 会 主 義 の 経済 学 で あ り,「そ の対 象 は,生 産 関係 す な わ ち経 済関 係 の研 究 で は

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な く,生 産 力 の 合 理 的 組 織 の 諸 問 題 の研 究 で な け れ ば な らな い」。ヤ ロ シ ェ ン コ の 定 義 に は生 産 関 係 の 地 位 は な く,そ れ は社 会 主 義 経 済 学 か ら放 逐 さ れ て い た 。

ヤ ロ シ ェ ン コ の観 点 は,ス タ ー リ ンの厳 しい 批 判 を 受 け た。 ス タ ー リ ンは,

『ソ連 邦 に お け る社 会 主 義 の 経 済 的 諸 問 題 』 の な か で,次 の よ う に 強 く指 摘 し た。「生 産 力 の合 理 的組 織 国 民 経 済 の 計 画 作 成 な ど の 問 題 は,経 済 学 の 対 象 で は な く,指 導 関 係 の 経 済 政 策 の 対 象 で あ る。 こ れ は 二 っ の 異 な っ た領 域 で あ っ て,そ れ らを 混 同 して は な らな い 」。 「経 済 学 に経 済 政 策 の 諸 問 題 を 背 負 わ せ る こ と は,科 学 と して の 経 済 学 を 台 な しに す る」(rス ター リン選集』下巻,中 文,594 ペ ー ジ)。ス タ ー リ ンは こ う述 べ た 。「経 済 学 の対 象 は,人 間 の 生 産 関 係 で あ る」。

こ れ に包 括 され るの は,生 産 手 段 の 所 有 形 態 生 産 に お け る 人 間 の 地 位 お よ び 相 互 関 係,生 産 物 の 分 配 形 態 で あ る(rス ター リン選 集」 ド巻,中 文,594ペ ー ジ)。

こ の定 義 は後 に,生 産 関 係 の 三 分 方 法 と称 さ れ た。

ス タ ー リ ンの上 述 した観 点 は,50年 代 全 体 を ほ ぼ 支 配 した 。

60年 代以後 の討論

60年 代 以 後,ソ 連 の経済 学 者 は,社 会 主 義経 済 学 の対象 の問題 に関 して,多 くの新 しい見解 を提 出す るよ うに な り,ス ター リンの観 点 に対 して も異 論 を提 出 す るよ うにな った。 主 な もの は,次 の四 つ の問 題 で あ る。

1.生 産 力 は経 済 学 の対 象 か

生 産 力 が経 済 学 の対 象 か否 か と い う問 題 は,ソ 連 で長 期 にわ た って論 争 され て きた古 くか らの問題 で あ る。20年 代 後 半 に は,経 済 学 の方法 論 に関 す る討論 の なか で,経 済 学 の対 象 にお け る生 産 力 の地 位 の問題 にまで及 ん だ。 ル ー ビ ン を は じめ とす る 「観 念 論 派」 は,経 済学 は生 産 関 係 に関 す る科 学 で あ る と し,

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生 産 関 係 と生 産 力 と を 絶 対 的 に 切 り離 し,生 産 力 は経 済 学 の 対 象 と ま っ た く無 関 係 で あ る,と 考 え た。 ベ ッ ソ ノ ブお よ び コ ー ンを は じめ とす る 「機 械 論 派 」 は,経 済 学 の研 究 対 象 は物 質 の 生 産 過 程 で あ り,し た が っ て この 過 程 の 両 側 面 一 … 生 産 関 係 お よ び 生 産 カ ー一一 一は 等 し く経 済 学 の 対 象 に 属 す る (19)

,と 考 え た。

1930年,ミ リ ュ ー チ ンお よ び ボ リ リ ン署 名 の この 討 論 に 関 す る総 括 的 論 文 が 発 表 さ れ,L記 の.二っ の 観 点 は いず れ も批 判 され る に い た った。 こ の 論 文 は,「 経 済 学 は 生 産 関 係 を 研 究 し,生 産 関 係 を 当 該 社 会 構 成 体 の 生 産 力 の発 展 形 式 と し

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て 研 究 す る」 と した。 こ の 定 義 は,広 く ソ連 の経 済 学 者 に 受 け入 れ られ た 。 そ れ は,経 済 学 の 対 象 は生 産 関 係 で な け れ ば な ら な い が,生 産 力 か ら離 れ て の研 究 は あ り得 な い,と い う思 想 の 最 初 の 表 現 で あ った 。 そ の 後,次 の よ う な 考 え 方 が 形 成 さ れ た 。経 済 学 は,生 産 関 係 と生 産 力 と の 相 互 関 連(あ るい は相一互作川)

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にお いて3生 産 関係 を研 究 す る,と 。 この観 点 は,一 面 で は,経 済学 の対 象 は 生産 関 係 だ けで あ り,生 産 力 は技 術 的範 躊 で あ り,経 済 学 の対 象 に は含 まれ得 な い と し,同 時 に ま た,ノk産 関係 を研 究 す る さい に,生 産 力 を軽 視 して はな ら な い と した。 この考 え 方 は,50年 代 を通 じて 支配 的地 位 を 占め,こ れ に異議 を 1唱え る者 はい なか った。

60年 代 初 め,共 産 主義 の物 質 的 技術 的基盤 の建 設 とい う任務 よび科学 技 術 革 命 の展 開 に鑑 み,客 観 的実 践 の影響 の下 で,… ・部の経 済 学 者 は,社 会 主義 経 済 学 は よ りい っそ う生 産 力 を研 究 しな けれ ばな らな い,と した。 彼 らは,上 述 し

た伝統 的 考 え 方 とは異 な る見解 を提 出 しyス ター リンが 『ソ連 邦 に お け る社会 主 義 の経 済 的 諸 問題 』 の な か で述 べ た 「人 間 の生 産 関係 だ け が社会 主義経 済学 の対 象 で あ り,経 済 法 則 はK生 産 関 係 の発 展 法則"と み な され,経 済 学 は生 産 力 を 研究 す る必 要 はな い」とい う考 え を批判 し,こ れ は「経 済学 を,新 社会 の物 質

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的 基礎 を建 設 す る とい う極 め て重 要 な問題 か ら切 り離 す もの で あ る」と した。

経 済学 の対 象範 囲 を拡 大 し,生 産 力 を も含 め る と宅張 す る経 済学 者 の な か に は,「完 全 包 含 論 」 と呼 び得 る意 見 が あ った。 この考 え に よれ ば,経 済学 の対 象 は生 産様 式 で な けれ ば な らず,生 産 力 と生 産 関 係 とを等 しく経 済 学 の対 象 にす べ きで あ る,と い うこ とに な る。 トリフ ォノ ブは,最 初 に この よ うな観 点 を広

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めた経 済学 者 の ひ と りで あ る。 彼 の考 え に よれ ば,経 済 の領域 は生 産 関係 の範 囲 だ け と は限 らず,生 産 力 もまた経済 的範 疇 で あ る。それ ゆえ,「 生 産 力を社 会 経 済 の範 囲 か ら排 除 す るこ とはで きな い し」,「経済 学 が明 らか にす る経 済 法則 は,牛 産 関 係 の発展 を説 明 す るだ けで な く,生 産 力 の発 展 を も説 明 す る。 それ

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は生 産 様 式 全 体 の 法 則 で あ り 」,「そ の 研 究 対 象 は生 産 様 式 で あ る1。 ト リフ ォ ノ フ は次 の よ う に 考 え た。 生 産 力 は 生 産 関 係 の 唯 … の 基 礎 で あ り,経 済 学 は

「この 基 礎 に 依 拠 して は じめ て,生 産 関 係 の 発 展 の 合 法 則 的 過 程 を 明 らか に し 得 る の で あ り,か り に 生 産 力 自体 を 経 済 学 の 対 象 に 含 め な い とす れ ば ・ こ の 結

論 を下 す こと はで き な1紘 ボ リソフ もま た こ う 翫 た。「社 会 犠 繍 学 が生 産 力 と生 産 関係 との弁証 法 的 な 相 互関係 を深 く全 面 的 に明 らか に しよ うとす る

く ら 

な らば 」,そ の 対 象 は 「社 会 セ 義 的 生 産 様 式 で な け れ ば な らな いf。 この よ う な 観 点 を セ張 す る者 が 常 に 用 い る セな 論 拠 の … つ は,マ ル ク スが 『資 本 論 』 第 一 巻 序 言 で 述 べ た 「本 書 が 研 究 す る の は 資 本 掌 義 的 生 産 様 式 で あ る 」 と い う 文 章 で あ る(『 マル クス ーエ ンゲ ル ス全集』第23巻,中 文a8ペ ー ジ)。

この よ う な観 点 は,多 くの経 済 学 者 の反 対 に で あ った 。 た と え ば,グ ズ ニ ャ エ フ は次 の よ う に 考 え た。 「生 産 様 式 の 一二つ の 側 面 を 経 済 学 の 対 象 に 等 し く含 め て しま え ば,き わ め て ま ず い 結 果 を も た らす 。 第 一 に,そ れ は必 然 的 に社 会 主 義 経 済 学 を 技 術 学 化 させ る」。 「第 二 に,そ れ は生 産 力 と生 産 関 係 と の 相 互 連 関 の機 械 的 理 解 で あ り,最 終 的 に は,生 産 関 係 の独 立牲,社 会 的 生 産 の 発 展 に

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お け る生 産 関 係 の積 極 的作 用 の評価 不 足 を もた らす 」。 アバ ルキ ンは こ う考 え た。 生 産様 式 は二 っ の含 意 を もっ。 す な わ ち,広 義 の生 産 様 式 は,生 産 力 と生 産 関係 との統 一一を意味 し,狭 義 の生産 様 式 は,直 接 的生 産 過 程 にお け る生産 手 段 と労 働 力 との結 合形 式 を意 味 す る。 マ ル ク スが 『資 本論 』 第 一 巻序 言で述 べ た生産 様 式 は,狭 義 の生 産 様式 を指 して お り,「 マル クスの 『資本 論 』で は,生

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産 力 自体 は研 究対 象 で ない」 。

もう一 つ の見 解 は 「部 分 的包 含 論」 で あ る。 す なわ ち,生 産 力 を完全 に経 済 学 の対 象 に入 れ る とい う上記観 点 に反 対 し,同 時 に ま た生 産 力 を 単に技 術 的範 疇 とみ なす ことに も賛成 しな いが,だ が生 産 力が経 済 学 の対 象 で あ る こ とは否

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定 す る。 彼 らの考 え によ れ ば,生 産 力 は技 術 的側 面 と社 会 的側 面 と い う 二っ の 側 面 に分 け られ,経 済 学 は生 産 力 の社 会 的 側面 を研 究 しな けれ ば な らぜ㌍。 た とえば,グ ズ ニ ャエ フは次 の よ うに述 べ た。 「生産 力 の社 会経 済的 側 面(雄 産力 の発展水幣 生産 手段の完全 さの程度,直 接的生産 者の文化 ・技術水準)は ,社 会t義 的生 産 関 係 の実 体 お よ び性 格 に対 して決 定 的影 響 を 与え る」。 「社 会 主義 制 度 の 下 で は,社 会発 展 の各 時期 に異 な る水 準 の生 産 力 が あ り,各 段 階 の社 会 主義 的 生 産 関 係 の特 徴 は,生 産 力水 準 と分 か ちが た い関係 に あ る。 それ ゆ え,生 産 力 を社 会 毛義 経 済学 の対 象 か ら切 り離 す こと は人 きな誤 りで あ る。 同時 に,生 産 力 に は もう一 っ の側 面 が あ り,そ れ は生 産 力 の 自然 的属 性,技 術 的 過程 と関 係 が あ る。 それ は,す べ て社 会1経 済 学 の範 囲 外 にあ り,各 種 自然科 学 の研 究 対 象 で あ って,社 会 主義 経 済 学 の関 心 は,生 産 力の経 済 的側 面 だ けで あ(29)。

この観 点 と ソ連 の 伝 統 的 見 方 に は差異 が あ る。 ソ連 で過 去 に流 行 した観 点 は,生 産 を技 術 的側 面 と社 会 的側 面 とに分 け,生 産 の技 術 的側 面 を生 産 力 と同 列 に扱 った。 経済 学 は,生 産 の社 会 的側 面,す なわ ち社 会 的生 産 関 係 だ けを研 究 す るの で あ り,生 産 の技 術 的 側 面 は 自然 科 学 に よ って研 究 され る。 この よ う な観 点 に照 ら して,生 産 力 は,経 済 学 の対 象 か ら完 全 に除外 され た。 しか し, 生 産 力 を二 つ の側 面 に分 け る観 点 は,経 済学 は生 産 力 の社 会 経 済 的側 面 を研 究 すべ きで あ る とい う主張 で あ り,生 産 力 を部 分 的 に経 済学 の対 象 に入 れ る こと で あ った。

現在 ソ連 で最 も流 行 して い るの は 「連 係 論 」 で あ り,生 産 関係 と生産 力 との 相 互関 係 にお いて生 産 関係 を研 究 す る とい う観点 が主 張 され て い る。 いわ ゆ る 相 互 関 係 と は,一 般 に,生 産 力 の生 産 関 係 に対 す る決 定 的影 響,お よび生 産 関 係 の生産 力 発展 に対 す る反 作 用 を意 味 す る。 近 年,ソ 連 の 「連 係論 」 を 主張 す る経済 学 者 は,こ の理 論 につ い て さ らに新 た な解 釈 を提 起 し,経 済 学 は,上 記 の作用 ・反 作 用 の研 究以 外 に,さ らに生 産 関 係 と生産 力 との 「中 間範 疇 」 あ る い は 「学 際 的範 躊 」 を研 究 しな けれ ば な らな い,と い う見解 を もって い る。 た とえ ば,ア バ ル キ ンは次 の よ うに述 べ た。 生 産 関係 と生 産 力 との あ いだ に相 互 作 用 が 発生 す るの は,そ の接 合 部 に 「中 間 的 な関 係 お よ び形 式 が存 在 」 し,「そ

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れ ら は 同 時 に 二 っ の 隣 接 す る要 素 の 属 性 お よ び 特 徴 を も っ て い る」 か らで あ (30)

。 協 業,分 業,生 産 の集 中,専 門 化 な ど は,生 産 力 と生 産 関 係 と の 結 合 部 の 範 疇 に属 す る。 そ れ ら は 「まず 生 産 力 自 身 の 状 態 を 表 現 す る」。 ま た 「そ れ らを

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生 産 関係 の体 系 の構 成 部 分 とみ なす」 こ とが で き る。 ガ トフス キー は次 の よ う に述 べ た。 これ らの学 際 的経 済範 疇 は 「直接 に生 産 力 に関係 して い るので,伝 導 的,連 接 的 な環 節 に な り得 る」。 「生 産 力 の生 産 関係 体 系 に対 す る影響 お よ び 生 産 関 係体 系 の生産 力 発展 に対 す る影 響 は,ま ず最 初 に これ らの環 節 を通 じて 実 現 され 薯雪 。 ソ連 の 『経 済学 百 科 辞典 」 は,経 済学 の対 象 を説 明 す る さい に, 上記 の観 点 を採 用 した。同書 に よれ ば,「生 産 様 式 の 二っ の側 面 の相互 作 用過 程 で,中 間 に位 置 す る関係 お よ び範 疇(分 業,協 業,生 産組織 など)が 形成 され る。

そ れ らは,生 産 力 に も生 産 関係 に も属 す る。 そ れ らを,生 産様 式 を実 現 す る要 素(す なわち生産力 と生産関係)の 間 の連 係 的y学 際 的,あ るい は中 間 的 な関 係 も

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し くは範 疇 に よ って研究 す る こ とは,経 済 学 の対象 に属 す る」 。 2.経 済政 策 は経 済 学 の対 象 か

経 済学 の対 象 と して の生 産 関係 は,生 産 力 と関連 す る ほか,経 済 的 土台 と し て,上 部 構 造 と も関 係 す る。 上部 構 造,と くに経 済 政 策,あ るい は社 会 主義 国 家 の経 済 活 動 は,経 済学 の対 象 のなか で,ど の よ うな地 位 を 占 め るの だ ろ うか。

これ も近 年,ソ 連 の経 済 学者 が討論 して きた 問題 で あ る。

前述 した よ うに,ソ 連 で は30年 代以 降,経 済 政 策 は社 会 主 義経 済 学 の対 象 で あ る こ とが 確認 されて きた。ス ター リンが ヤ ロシ ェ ン コを,「経 済学 に経 済政 策 の諸 問題 を背 負 わ せ る こと は,科 学 と して の経 済学 を台 な しにす る」 と批 判 し て以 来,経 済 政策 は,ソ 連 の経 済 学者 に よ って経 済学 の対 象 か ら排 除 され て し ま った。た とえ ば,オ ス トロヴ ィチ ャノ ブは次 の よ うに述 べ て い る。「経 済学 と 経 済 政 策 とを 区別 しな けれ ば な らな い」,「社 会 主義 経 済学 は,社 会主 義 社 会 の 生産 関係 の発 展 を 支配 す る法 則 を研 究 し,経 済 政策 は,こ れ らの法 則 に依 拠 し

くヨの

て,経 済 ・文 化 建設 の面 にお け る具体 的 施策 を決 あ るの で あ る」 。 けれ ど も彼 は,「経 済 学 は,生 産 関係 を研 究 す るさい に,上 部 構 造 の生 産 関係 に対 す る反作

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用 を 考 慮 せ ざ る を 得 な い」 と述 べ た こ と が あ る。1958年 の 『経 済 学 教 科 書 』 第

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Ct71)

三版 は,経 済 学 の対 象 につ いて述 べ た さい,次 の よ うに 明確 に提 起 した。「経 済 学 は生産 関 係,社 会 的 土台 を研 究 す るの で あ るが,生 産 関 係 と上部 構 造 との相 互 作 用 にお いて・ す なわ ちイ デ オ ロギ ー諸 形 態 政 治 的観 点 お よ び制度 との相

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互作 用 に お いて研 究 す る」 。 この よ うな観 点,す なわ ち,経 済 学 は上 部 構 造 と の必 然 的 関連 に お いて生 産 関係 を研 究 す る とい う観 点 は,た ち ま ち流 行 した。

近 年,経 済 理 論 と経 済 建設 との実践 的連 係 を強 め る必 要 に もとつ いて,多 く の経 済学 者 が,経 済学 の対 象 に経 済政 策 を含 あ るべ きだ と主張 して い る

。30年 代 の観 点 と異 な る点 は,当 時 は,経 済政 策 を もって経 済 法則 の代替 と し,経 済 政 策 を 並要研 究 対 象 と した の に対 して,現 在 は,補 足 と して経 済政 策 を経済 学 の 対象 に入 れ て い る こ とで あ る。

この よ うな観点 を 主張 す る経 済学 者 は,通 常s社 会 主 義経 済 学 の特 殊 性 お よ び社 会 貌義 国 家 の特 殊 な役 割 か ら自己 の観 点 を 提唱 した。 た とえばyプ ロ ヴ ェ ル は次 の よ うに述 べ た。資本 セ義経 済学 の任 務 と異 な り,「社 会 主義 経 済 学 の任 務 は,建 設 的性 格 を帯 び てお り」,「社 会 主義 経 済学 は,客 観 的経 済 法 則 を研 究 す るだ けで な く,こ の法則 を有 効 に利 用 す る人 間 の意 識 的 活動 を も研究 す べ き で あ る。 経 営 活動 のt体 お よ び社会 主義 経済 の指 導 的 中心 と して の,社 会 主 義 国 家 の繍 的活 動 は,経 済 学 の全体 的分 析対 象 とす べ きで あ8コ.チ スチ ャ コ

フは こ う述 べ た。「社 会 ギ義 国 家 は,国 の経 済 生 活 面 を指 導 す る特 殊 な役 割 にお いて,社 会 主義 制度 の下 で の経 済 政策 の意 義 を向 上 させ,経 済政 策 の役割 に, 資本 主義 時代 と比 べ て,原 則 的 な変化 を発 生 させ た」。 「も し経 済 政 策 の 問題 が 社 会主 義 経 済 学 に属 さない と考 え るな らば,社 会 主義経 済学 は,共 産 主 義 建 設 の実践 との有機 的関連 を失 う」。した が って ,社 会 主 義経 済 学 を完全 な もの に し よ うとす るな らば,重 要 な ことは,「社会 主義 経 済学 にお け る経 済 政 策 の地位 の 問題 を原則 的 に解決 す る ことで あ る」。当然,経 済政 策 は,あ る部 門科学 の対 象 で はな く,経 済 政策 の各 側面 は,多 くの社 会 科学 の対 象 で あ るが,社 会 主義 経 済学 は,「社会 礒 国家 の経済政策 の王里論 的羅 を研究すべ きであ 罰 。

社 会 主義 経済 学 の対象 に経 済政 策 を含 め るべ きだ とセ張 す る経 済学 者 は,経 済政 策 の性格 の見 方 が 異 な り,論 証 の方 法 も異 な るの で,お おむ ね次 の二 っ に

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(170) 社 会 主義経 済学 論 争小 史←)125

分 類 す る こ とが で きる。

一つ の見 解 は こ うで あ る。 経 済 政策 あ るい は社 会 主義 国 家 の経 済 活動 自体 が 生 産 関 係 に属 す る。 そ れ ゆ え,経 済 政策 を経 済学 の対 象 に入 れ る こ とは,経 済 学 の対 象 の定 義 を改 め る もので も,そ の範 囲 を拡 大す る もの で もな い,と 。 た とえ ば,パ シ コ フは こ う述 べ て い る。 「社 会 主義 国家 は単 な る上 部 構 造 で はな い。生 産手 段 所 有制 の主 体 と して,経 営 主 体 と して,国 家 は この面 で,社 会 的 土 台 燗 の社 会 的生f係 一 に尉 斜.ブ ・ ヴ ェル も次 の よ うに述 べ て い る。「国 家 は,社 会 主 義社 会 のt要 な経 営 主体 と して,同 時 にま た社 会 主義 的生 産 関係 の 主要 な 主体 の一 っ で あ り,こ の資格 を もつ国 家 は社 会 主義社 会 の 経 済 的土 台 の重 要 な要素 の一 っ で あ る」。 「したが って,社 会主 義 国家 の経 済 活 動 お よび そ の経済 政 策 を社 会3経 済 学 の対 象 に含 め る こ とは,生 産 関係 の範 囲 外 に まで経 済学 の境 界 を拡 大 す る ことを決 して意 味 せ ず,反 対 に,生 産 関 係

 の

の総 体 を さ らに完 全 に包 括 す る ことを保 証 す る」。

も う一 っ の見解 は,経 済 政 策 を生 産 関 係体 系 の構成 部 分 だ とは見 な さず,経 済 学 の対 象 範 囲 の拡 大 を主 張 し,生 産 関係 の外 に経 済 政策 を入 れ る。 彼 らの考 え に よれ ば,経 済 理論 と社 会主 義 的経 営 の実 践 との密 接 な関係 を強化 しよ う と す るな らば,「経 済 法 則 の問題 と経済 法則 を実 際 に利 用 す る問 題 とを,社 会 主義 繍 学 の対 象 の なか で結 合 」 しな けれ 。ぎな ら縄 この よ うな観 点 の代 麹 人 物 で あ るアバ ル キ ンは,こ う述 べ て い る。「次 の よ うな状況,す な わ ち,経 済 法 則 を あ る科学 に よ って 研究 し,経 済 法 則 の利 用 にお け る国 家 の作 用 を別 の科 学 に よ って研 究 す る こ とな ど不 可能 で あ る。 この 二っ の 問題 は,同 一 の科 学一 一 社 会 主 義経 済 学一 の研 究 対象 で あ る。 経 済学 の対 象 の拡 大 が まず最 初 に存 在 す 幼 。

多 くの 経 済 学 者 は,経 済 政 策 を 直 接 に 経 済 学 の対 象 とす る こ と に 反 対 して い る 。 彼 ら の 考 え に よ れ ば,経 済 政 策 は 結 局 は 上 部 構 造 で あ り,̲1".観 的 で あ り, そ れ を 経 済 学 の 対 象 に 人 れ る こ と はsこ の 科 学 の 性 格 を 変 え る こ と で あ り,重 大 な 結 果 を も た らす こ と に な る。 ク ジ ミノ フ は 次 の よ う に述 べ た 。「社 会 主 義 国 家 は 特 殊 な 機 能 を も っ て い る け れ ど も,そ れ は結 局,社 会 主 義 の 土 台 の上 部 構

(18)

X26商 経 論 叢 第27巻 第3号

(169) 造 で あ る。 ま さ に こ の 土 台 が 国 家 の 性 格 を 決 め る の で あ りaそ の 反 対 で は な

く ゆ

い」 。 クDンmド は こ う述 べ た。 経 済政 策 を経 済 学 の対 象 の な か に入 れ る こ と は,経 済 学 を 「形 成 さ れ た土 台 の社 会 関 係 を研 究 す る科 学 か ら,別 の科 学

〜 土 台 と上 部 構 造 との 関 係 に 関 す る科 学 一一一 一に 変 え て しま ら艀

。 グ ズ ニ ャ エ フは・この点 につ いて か な り詳 し く論 じ,次 の よ うに述 べ た。「社 会 主義 ・共産 主義建 設 の実 践 にお いて経済 政 策 の影 響 を高 め る こ と と,社 会 主 義経 済 学 の対 象 の定 義 を修正 しな けれ ば な らな い こ と とを混 同 して論 ず る こ とは,誤 りで あ る。 経 済政 策 の意 義 が どん な に増 大 して も,経 済政 策 は社 会 主義 の経 済 関係 に はな り得 ない」。国 家 は社 会 主義 の条 件 の下 で積 極 的 に経 済 に関 与 す るの で,経 済 的 土 台 の構成 要 素 で あ るか の よ うに見 え る。 「だ が そ れ は表 面 的 な現 象 に す

ぎず,実 際 に は国 家 は本質 的 に上 部 構 造 で あ る」。 彼 は こ う述 べて い る

。 「経 済 関 係 と経 済 政 策 とを区分 す る基 本 的 標識 は,経 済 関 係 がっ ね に客 観 的 で あ るの に対 して,経 済 政策 は 主観 的 で あ る」。 「客 観 と主観 とは相 対 的 に独立 で あ るの で,異 な る社 会 科学 の研 究対 象 で あ る」。彼 は次 の よ うに考 え た。両 者 を 「結 合 して同 一 の研 究 対 象 に含 め る ことは大 きな危 険 が あ る。 なぜ な ら,そ れ は不 可 避 的 に客観 的要 因 と主観 的 要因 とを混 同 し,経 済政 策 の実 行 で も って経 済 理 論

に代替 す る現 実 的 可能 性 を提 供 し」,「社 会主 義 経 済学 に経 済 政 策 が 限 りな く浸 透 す る こ とを 許 して しま うか らで あ(45)あ る者 の 考 え に よれ ば,こ の種 の 「経 済 学 の対象 の拡 大 解 釈 は,主 観 主義 的結 論 に根拠 を提 供 す るの で あ8曾 。

現在 ソ連 で流 行 して い る観 点 は,依 然 と して 上部 構 造 と結 びっ けて生 産 関 係 を研 究 す る観点 で あ る。『経済 学 百 科辞 典 』の経 済 学 の対 象 に関 す る説 明 は,こ の面 で一定 の代 表 性 を もって い る。「経 済学 はa社 会 の上 部 構造 との統 一 にお い て,ま ず第 一 に経 済政 策 と法学 との相 互 関 係 にお いて,生 産 関 係 の体 系 を研 究 す る。 上 部 構造 の現 象 お よ び範 躊 は,直 接 に,経 済 学 の対 象 に属 さ な い。 … … しか し,経 済学 は生 産 関係 と上部構 造 との結 合 部 の具体 的経 済形 態 を注 意 深 く 分 析 す る」。 「生 産 関係 と上 部構 造 との相 互 作 用 お よ び連 関 の過 程 に お いて形 成

され る中 間範 疇 も し くは学 際 的範 躊(た とえば生産管理など)」は,「経 済学 の研 究

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領 域 に属 す る1。 この観 点 と50年 代 の観 点 を比 較 す る と,あ る程度 の発 展 が み

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Clfi8) 社 会 主 義 経 済 学論 争 小 史 ←)127

られ,経 済 学 は生 産 関 係 と上 部構 造 との 「結 合 部 」 あ るい は 「学 際 的範 疇」 を 研 究 しな けれ ば な らな い,と した。 この観 点 に よれ ば,経 済 学 の対 象 範 囲 は事

実 上拡 人 したの で あ る。

3.消 費 関 係 は経 済 学 の対 象 か

消費 は生 産 的消 費 と個 人的 消 費 とに区 分 され る。 生 産 的 消費 は,生 産 過 程 自 体 に属 す る。 それ ゆ え生 産 的消 費 につ いて,ソ 連 の経 済 学 者 はす べ て,生 産 関 係 の有 機 的構 成 部 分 で あ る こ とを一 致 して承 認 して きた。 しか し,個 人 的 消費 は生 産 関係 の総 和 の構成 部 分 だ ろ うか,す なわ ち経 済学 の対 象 だ ろ うか。 この 問題 は,ソ 連 で 長期 に わ た ってず っ と否定 され て きた。

早 く も20年 代 に,個 人 的消 費 は生 産 関 係 の要 素 で はな い,経 済 学 の対 象 で は な い,と 考 え られ た。た とえ ば コー ンは次 の よ うに述 べ た。「消 費 は完 全 に個 人 的 行為 で あ り,経 済 学 は社 会 的 関係 を研究 す る。 個 人 的消 費 が行 われ る場 合, 生 産 物 は社 会 的 関係 範 囲 を離 れ,純 粋 に生 理 的過 程 を開始 す る。 この よ うな過 程 は,社 会科 学 が研 究 す るので はな く,自 然 科学 が研 究 す(48)生 産 関係 を定 義 す る場 合,生 産 関 係 は生 産,分 配,交 換 の領 域 で形 成 され る関係 で あ り,そ

の な か に 消 費 を 含 め 課1,と 搬 さ れ た.ス タ ー リ ン は,r漣 邦 に お け る社 会 主 義 の経 済 的諸 問題 』 の なか で 生産 関 係 の 三分 法 を提 起 した。 彼 の解 釈 に よれ ば,生 産 関係 は生 産,分 配,交 換 の三 種 の関係 を含 み,消 費 は外在 的 な もの と

して 除外 され る。

ス タ̲リ ンの三分 法 は,50年 代 全体 を ほぼ 支配 した。60年 代 初 め に な り・生 産 関係 の三分 法 に対 して異議 を唱 え始 あ る者 が現 れ た。三 分 法 は一 連 の重 大 な 欠 陥 を有 し,そ の なか の一 つ は消 費 関 係 を含 めて いな い こ とで あ る・ と考 え た の で あ る。ク ロ ンロー ドは次 の よ うに提 案 した。「生 産 関係 の総 和 の構 成要 素 を 科学 的 に分類 す る場合,社 会 的再 生 産過 程 の統一 か ら出発 す べ きで あ り」,「な に よ り も::産 の諸 段 創 す なわ ち生 産 交換 分 配 消 費 の分 類 に従 うべ き で あ る。 ッ ァゴロ フ主編 の 「経 済 学教 程 』 は,ソ 連 の経 済 学 教科 書 の なか で最 初 に,生 醐 係 は四つの螺 槍 む と㌔・う議 を採 用 した・ 「獺 蠣 料 雑

産,交 換,分 配,消 費 の 部 面 に お け る人 と 人 との 関 係 は,生 産 関 係 と呼 ば れ る」。

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X28商 経 論 叢 第27巻 第3号

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同書 は,消 費 関 係 を生 産 関 係 の総 和 の なか に含 め たの で あ る。

ソ連 の経 済 学 者 が,生 産 関係 の総 和 に消 費関 係 を含 め るべ きで あ る と主 張 す る理 由 は,結 局 の と ころ次 の二 っ で あ った。

第 一 に,再 生産 の 角度 か ら見 れ ばa個 人 的消 費 は,生 産 に必 要 な要素 で あ る。

生 産過 程 は,分 配 にILま る こ とな く,消 費 に まで継 続 す る。 ツ ァゴ ロフ は こ う 述 べ た。「生産y交 換,分 配,消 費 は統 一 した全 体 の各 部 分 を形成 す る」

。「再 生 産 の 角度 か ら見 れ ば,個 人 的 消 費 は,生 産 の 分 割 し得 な い要 素 を 表示 して い る」。 「個 人 的 消費 は生産 自身 の も っと も重要 な要素 一一 労働 力 の"生 産" 一一一 で あ る」。 「生 産 物 の 生産 と個 人 的 消費 はみ な,同 一 の全 体 の要 素 で あ る」。 「生 産 は,不 断 の再 生 産 過程 と して,交 換,分 配 お よ び個 人 的消 費 を含 む の だか ら, 次 の よ うな結 論 を下 す べ きで あ ろ う。 生産 関係 は,生 産 自身 の関係 を含 む だ け でな ㌔ 聯 分配 および消費を羅1こ して人 々の あいだに生 ず る関係 の総和

を も含 む 」。

第 二 に,個 人 的 消 費 を 人 と物 の 関 係 だ け だ と見 な す こ と は で き な い

,と 考 え る。 コ レ ソ フ は こ う述 べ た 。「消 費 を生 物 が 物 質 的 資 料 を 食 べ る過 程 と帰 結 して は な らな い。 消 費 の性 質 は,個 人 的 占 有 と同 一 で あ り

,そ れ は,生 産,分 配 お よ び交 換 の 性 質 に よ っ て 決 定 さ れ る。 い わ ば 社 会 的 側 面 を 有 し

,さ もな くば 消 費 を::産 の螺 と翫 る こ とはで きな し(1福 る繍 潴 は,個 人 的消 費過 茉呈 を,経 済 的段 階 と非 経 済 的段 階 の二 っ の段 階 に区 分 す る。「個 人 的 消費 の経 済 的 段 階 の特 徴 はz人 間 が消 費者 と して相 互 間 に生 み だ す生 産 関係 で あ る」

。 「個 人 的 消費 の関係 の †体 は,社 会 全 体,労 働 者 集 団 お よ び個 々の社 会成 員 で あ る

。 社 会成 員 が労 働 に応 ず る分 配 の経 済 法 則 に もとつ いて … …獲 得 した物 質 的資 料 とサ ー ビスは,個 人 的 消 費 の関 係 の客体 で あ る。 個 人 的 消 費 の経 済 的段 階 の内 容 か ら見 る と,こ の段 階 に は一定 の関 係 が存 在 し,こ の面 で消 費 は再 生 産 の特 殊 な要 素 で あ り,し か もそ こで生 じた人 々 の関 係 は,生 産 関 係 の体 系 の特 殊 な 要素 で あ り,経 済 学 の対 象 に含 まれ る」。 しか し,「 個 人 的 消 費 の非 経済 的段 階 は,人 対物 の関 係,す な わ ち直接 の消 費 行為 で あ る。 この段 階 は,経 済 関 係 の 範 囲 外 に位 置 し,生 物 学,医 学,心 理学 な どの科 学 の研 究 対 象 とな ぎ翌。

(21)

社 会 主 義 経 済 学 論 争 小 史 ←)129(166)

60年 代 半 ば以 降,ソ 連 の経 済学 書 にお いて,生 産 関 係 の三 分 法 は ほぼ跡 を断 ち,生 産 関 係 の 四要素 構 成 が普 遍 的 に採 用 され た。経 済 学 の対 象 に関 して,一 致 した認 識 が得 られ た ので あ る。 経 済学 は,物 質 的資 料 の生 産,分 配,交 換 お

よ び消 費 の過程 で形成 され る生 産 関 係 を研 究 す る。 消 費関 係 が経 済 学 の対 象 と な る ことが確 認 され た ので あ る。

4.不 生 産 的分 野 の経 済 関係 は経 済 学 の対 象 か

不生 産 的分 野 は物 的 生産 物 の生産 に従事 しな い部 門 を指 し,こ の部 門 の労 働 成 果 は物 質 的財 貨 の形態 を と らず,主 と して サ ー ビスの形 態 を と る。 マ ル ク ス 主 義 占典 家 の規定 した経 済 学 の定 義 にお いて は,非 物 的生 産 は含 まれ な い ので あ る。 た とえ ば エ ンゲ ル ス は こ う述 べ て い る。 経 済学 は 「物 質 的生 活 資料 の生 産 と交 換 とを支 配 す る諸 法 則 に つ い て の科 学 で あ るJ(マ ルクス 軍エ ンゲルス選 集 第 一巻 中文,186ペ ージ).ソ 連 の経 済学 書 は,経 済学 の対 象 につ いて述 べ る さい,こ れ まで ず っ と物 的 生産 部 面 の生 産 関係 を範 囲 と して きた。 まさ に ソ連 の あ る経 済 学 者 が述 べ た ごと く,「今 に い た る も,経 済 学 が不 生 産 的分 野 の経 済 関 係 を 自己 の対 象 と認 め な いの は,不 生 産 的 分野 の経 済 関 係 が生 産 関 係 で あ る

(55}

こ とを認 め な いか らで あ る」。

近 年,科 学 技 術 の発 展 に よ り,不 生 産 的 分野 の国 民経 済 にお け る意義 はます ます 大 き くな り,不 生 産 的分 野 の経 済 問題 の研 究 は・ きわ めて 重視 され るに い た った。60年 代 後 半以 後,ソ 連 の 一部 の経 済学 者 は,非 物 的生 産 の なか の関 係 を生 産 関係 の体 系 に含 め よ う,し たが って経済 学 の研 究対 象 に入 れ よ う,と 主 張 して い る・ 彼 らは こ う考 え た・ 「繍 関係 は注 産 的分 鷲 含 む だ けで な く・

この範 囲 を乗 り越 え,ま す ます不 生 産 的分 野 に浸 透 して い る」。 「生 産 関係 の体 系 の なか に は,物 質 的 財貨 の生 産部 面 の関係 が含 まれ るだ けで な く,各 種 サ ー

ビスの生 産部 面 の関係 も含 まれ る。 … … そ れ らも物質 的財 貨 の生 産 の よ うに, 労 働 者 の物 的欲 求 を満 た し」,「そ れ らを消費 し生 産 す ると き,一 定 の人 と人 と

の関係 を表現 す 瓠 ある都 こう述べ た.「社会 議 の条件の下 で・物質 的財 貨 の牛産 お よ び運 動 の部 面 の関係 を 考察 す るだ けで,不 生 産 的 分 野 の経 済 的分 析 を行 わ な い こ とは不 完 全 で あ る」。 た とえ ば,「 社 会 主 義 の基 本 的 経済 法 則 を

(22)

130商 経 論 叢 第27巻 第3号(

ユ65) 実 現 す るため に はT物 的欲求 を満 たす だ けで な く,精 神 的欲 求 も満 た さな けれ ば な らな い・ それ は・ 物 的生 産 の増 大 と 栓 に よ って だ け で な く

,不 生 産 的分 野 の増 大 と 十全 に よ って は じめ て実 現 す るので あ る。 こ こで は必 然 的 に,不 生 産 的分 野 の運 営 の客観 的 目的 お よび 目的達 成 の手段 の 問題 を提起 しな けれ ばな

らな い」・ これ は 「

(58)に 繍 学 の範囲 内 の問題 で あ り・他 の いか な る科学 の範 囲 内の問 題 で もな い」。

この よ うな観点 を主 張 す る経 済学 者 の なか で,彼 らの見 方 はそ れ ぞれ 異 な っ て い る。

一 っ は

,不 生産 的分 野 もまた国 民所 得 をつ く りだ す,だ か ら物 資的 財 貨 の生 産 と同様 の特 徴 を もっ,と 考 えた。 物 質 的財 貨 の生 産 と非 物 的生産 物 の生 産 と が 同 じで あ る以 上,非 物 的 生 産 物 の 部 面 の関 係 と物 質 的 財 貨 の部 面 の関 係 と は,同 じよ うに生 産 関係 の総 和 を構 成 す るはず で あ る。 た とえ ば メ ドヴ ェデ フ は こ う述 べ て いる。「サ ー ビス分野 は,物 的生 産 分 野 と同 じ く,国 民 所 得 の創 出 に参 加 す る。 拡 大 再生産 の集 中的 源泉 を形成 す る うえで

,両 者 は,社 会 主 義 国 家 に対 して・ 同 じで あ る」。 だか ら彼 は次 の よ うな結 論 を ドした

。 「社 会 の経 済 的 土台 を形 成 す る生 産 関係 は,物 質 的 財貨 お よ びサ ー ビスの生 産,分 配,交 換 お よ び消 費 の 側 面 にお い て人 々 の あ い だ に生 じる関係 の総 和 で あ 乳 あ る ソ 連 の経 済学 者 の見方 によれ ば,こ の よ うな観 点 は 「物 質 的財 貨 の生 産 の特 徴 を

, 非 物 的生 産 に移 しJ,「 不生 産 的 分野 と物 的 生産 とを 同一 視 し,こ れ に よ って経 済学 の なか に不 生産 的分 野 を研 究 す る根 拠 を求 め る試 み で あ 斜 。

いま一 つ は,不 生 産 的分 野 の働 き手 が国民 所 得 を創 出 す る とい う説

,不 生 産 的 分野 と物 的生 産 とを 同一 視 す る説 に は同意 しな い。 だ が彼 らは、次 の い くっ か の側面 か ら不 生産 的 分野 に もま た生 産 関 係 が存 在 す る こ とを論 証 した

。 第一 に,「社 会 ド義 制度 の下 で は,労 働 者 の福 祉 の増 人 と個 性 の全 面 的発 展 と を保 証 す る関 係 はす べ て生産 関 係 で あ る」。 「社 会 主義 社 会 の 目的 は,物 質 的財 貨 と精 神 的 財貨 の生 産 を通 じて 実 現 す る。 だか ら物 質 的財 貨 の部 面 だ け に生 産 関係 が 存在 す る とは 言え な 調2。

第 二 に,社 会的 生 産関 係 は,「物質 的財 貨 の直接 的生 産 過 程 の 関係 を含 む だ け

(23)

社 会 ギ義 経 済 学 論 争 小 史{一)1310164)

で な くf.#.産 関係 の全 体 を も含 む 」。「生 醐{系 の全体 に は調 人 的消 費 も入 り, それ は,物 質 的財 貨 の消 費 と非物 留 」財 貨 の消 費 とに よ って構 成 され る・ だか

ら粧 関係 の全体 は,瀕 的財貨 の犠 ・分配・鹸 および消費 の関係 だ幣 は ない.そ れ は沸 物 質 的 財貨 の生 産,分 配 交 換 お よび消 費 の関係 を も含 む」・

第 ヨ こ,「社 会 醗 纏 物 の 大紛 が 不ん瞳 的 分野 の物 的 フ ォ ン ドと労 蘇 酬 フ ォ ン ドとを形成 す るた あ に使用 されて い る・ 矯 掴 雁 的 分野 の サ ー ビ

ス は,物 的生 産 の働 き手 に ます ます 享受 されて い る」・だ か ら 「社 会 的:'産 過 程 は,糠 的 財貨 と個 人 サ ー ビス との交 換 輪 まな くて はな らな い」・ 「現代 の 条 件 に お いて,蟻 の社 欝 主産 は詫 産 灘 お よび労 働 の再生 産 に参 加 す る不 纏 的..の 諸 部門 の有機 的続 で あ り・ そ れ は・ 糠 的 財貨 の4痙

だ けで な く,非 物 質 的財 貨 の生産 とそれ らの交 換 を 前提 とす る・ 物 質 的財 貨 と

 の

非物 質 的財 貨 との交 換 は生産 関 係 の体 系 に属 す る」。

この よ うな観 点 は,不 生 産 的 分 野 自体 の特 徴 に よ って 論 証 され るの で あ る が,そ れ は,生 産関 係 が 物 的オ毛産 の緬 だ け に存 在 す る とい うイ云統 的観 点 を 直 接 に否 定 す る。

現在,牲 産 的分 野 の関係 を経 済学 の対象 に入 れ る観 点 は・ まだ 多 くの者 に 受 け入 れ られ て い な い.漣 の経 済 ≠離 お いて通 親 られ る繍 学 の対 象

の定義 は,不 生 産 的分 野 の 関係 を含 ん で い な いので あ る。

ゴ  

q)JI.リ ュ ビ ー モ フr繍 学 教 程 』 捲,1923i#'一 文 版 ・19‑‑20ペ ー ジ ・ (2)H.ダ シ コ フ ス キ ーr経 済 学 簡 明 鞠 呈』・1924年 蹴 版 ・7‑8ペ ー ジ ・ (3)A・ コ ー ン 『経 済 学 教 程 』 上 冊,増 訂 第2版,1928年 露 文 版,9ペ ー ジ 。

{4)H.ブ ハ ー リ ンr金 禾囎 舌者 の 繍 学 』1A・ ボ グ ダ ー ノ フ ・M・ ス テ ノぐ一 ノ ブ 『経 済 学 教 程 』 ド巻,第2版,1923年 露 文 版,12ペ ー ジ よ り 引 用 。

{5)H・ ブ ハ ー一 リ ン 『過 渡 期 の 経 済 学 』 孔朕 書 店,1981年 中 文 版,1‑2ペ ー ジ 。 (6>A.ボ グ ダ ー ノ ブr酬 繍 学 教 程 』施 轍 訳r繍 学 大 綱 』 大 猪 舗1929年

中 文 版,2ペ ー ジ を 見 よ 。

(7)M.ス テ パ ー ノ フ 「繍 学 と は な1こ か 」r共 産 犠 ア カ デ ミ 樋 報 』1925年 第11

号,269,272,273ペ ー ジ 観 よ.[,沢 都1=r期 三}義 ア カ デ ミss報 』(BecTHHK

参照

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