現代地域教育 の性格 と論理
猪 山 ・勝 利
St udy. OnChar ac t e randLogi c ofMode r nCom血unl t yEduc at i on
Kat s ut os hi ・ , I yama
1 .地域教育研究の現代的視角
本稿 の 目的 は,現代地域教育 の基本的性格 と論理 を明 らか にす ることにあ る。
筆者 は
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年 に 「地域教育 の論理 と課題」 を提起 したが(1), 当時 と対比 して も地域 教 育 は格段 に拡充 してお り, これか らの教育改革 のあ り方 を左右す るはどの新 たな胎動期 を 迎 えていると言 って も過言 で はない。 しか も,地域教育 の在 り方 は教育界 のあ り方 を規定 す るだけでな く,地域社会 のあ り方 を規定す る大 きな要因 とな って いる。 しか し,教育 サ イ ドに とって も,学校教育 に対比 して地域教育 の研究 は個別教育実践 の研究 は蓄積 されて いるが, その基本論理 と全体構造 につ いての研究 は些少 であ り, これか らの課題 とな って いる。 さ らに,地域 サイ ドに とって も地域 の担 い手づ くり教育 を中心 に限定す る傾 向があ り,地域創造 における教育 の総合的位置づ けや役割 の研究 はこれか らの課題 と して残 され ている。 したが って,現代地域教育論 を構築す るには,以下 のよ うな現代的研究視角の設 定が不可欠 とな っている。(1)教育 ゐ現代的性格
第 1は,地域教育 も含 めた教育 の現代的性格 に関す る問題 であ る。
周知 のよ うに,世紀 の転換期 の
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年 に近代教育 の基本性格 を転換 させ る2つの国際的 な教育 レポー トが提起 された。UNES CO
の 「学習 ・内な る宝」 とOECD
の 「すべて の人 に生涯学習 を」 であ る(2'。前者 が人間 に とっての学習 ・教育 の意義,後者が社会 に と って の学習 ・教育 の意義 を強調す る点 で は, ニュア ンスの相違 はあ るが,近代教育 を超 え る以 下 のよ うな新 たな教育 の基本性格 を提起 している点 で は共通 している。その1は,教育 が 目的 とす る人間の発達 を近代教育 のよ うに 「労働力」形成 とす るよ う な工業社会 の 「手段的位置」 か ら,人間の発達 自体 を 目的 と し,社会 の主導力 とす る 「目 的的位置」 に転換す ることである(3)。したが って,一教育 の 目的 は 「社会適応力」 の形成 か
ら,「社会創造力」 の形成 に シフートア ッ70してい くのであ る。
その2は,人 々にとって教育 の権利 は選別 による格差 を帰結す る教育 「機会」 の受教育 権 で はな く,すべての人 々に とって個性的な発達が保障 され る学習権 であろとと らえてい
ることである。
その3は,教育展開において学習者の自己決定力を基本 とし,学習者の主体性 を第一義 とすることである。 この学習主体性 は,成人期 に止 ま らず,子 ども観の転換 と連動 して青 少年期において も通底す る教育原理 として確定 されつつある。
その4は,教育内容 は知識主体の学習ではな く,知識 とWORK(体験や経験) を総合 化することであ り,豊かな自己実現力のある人間形成を基本内容 として構成す ることであ
る。
その5は,教育機会 は年齢的にはどの発達段階において も 「生涯にわたって」保障され, 近代の学校主導の教育機会ではな く 「学校 も含めた種々の重層構造」の機会が保障 される
ことである。
以上のような現代教育の基本動向か ら現代地域教育 を把握すれば,地域教育論 は近代学 校教育の 「補完
」
あるいは 「補充」型の地域教育論ではな く,新 たな教育創造を形成 してい く主要 な教育領域 の研究領域 として位置づけ られよう。
(2)地域の現代的動向
第2に,地域教育が展開 され る地域 自体 に大 きな転換が生起 している・=とに注 目す る必 要がある。
その1は, 日本の近代社会 における国家主導の政治 システムにおいて,地域 は主権性 を 保持す る位置づげをあたえ られて こなか ったが,近年 「地方分権政策」動向が進展す る中 で,欧米のような 「地域主権」的権限は法定 されていないとはいえ,地域が決定権を もつ 権限が付与 されっっある。
その2は,市町村合併 にみ られるように 「基礎 自治体」の自治形成力が形成 されは じめ てお り,地域特質を生か した地域教育 ビジョンや計画 。施策が胎動 しつつある。
その3は, 自治体職員の専門性形成 と住民の地域参画,および両者 の協働態勢が進展 し は じめてお り, それ らの基盤づ くりである 「地域政策学習 システム」 が形成 されつつ あ る(4)。
その4は,地域 トレーガ‑が従来の 「指導者」層を超えて,種々の活動領域 において, 多世代の参画が組織化 されつつあ り, その トレーガーには子 どもの地域参画 も胎動 してい る(5)。 このような動向の進展 は,多様な地域参画学習を生起 させてお り,地域教育 の発展 を促進 している。
(3)「地域 ・教育」論的研究視角
第3は
,
「地域 と教育」 の関係をとらえる研究視角である。地域教育の研究視角には,「社会 と教育」 の関係研究が遭遇す る基底視座 につ いて明確 に しておかなければな らない課題がある。 すなわち,「地域」 と 「教育
」
の相互 関係 を把 握す る視座の問題である。第1のタイプは,「手段論的」視座である。 総合的学習など最近の 「学社連携」 論 にみ られるような教育活性化の手段 として地域導入を図 る視角, その反対 に地域活性化の手段 として教育を利用 しようとす る教育手段論がある。 この論 は手段化 されるサイ ドは内発力 を喪失 しがちで,継続性を もった対応性が乏 しく,利用サイ ドも一時的な利用 に止 まるこ
とが大半 であ る。
第2の タイプは,近年 の 「生涯学習 の地域 お こ し」論 にみ られ るよ うに, 「外 発 的」 的 視角 の地域教育論 であ り,教育 の主体性 や独 自性,逆 に地域社会 の主体性 や独 自性 の双方 を希薄化 して関係 させ る論 であ り, イベ ン ト的で 「内発的」創造性 を担保 しえない視角で あ るといえ る。
第3の タイプは,地域,教育 それぞれの主体性 や独 自性 を担保 しなが ら相互 に 「内発的」
創造性 を誘発 して協働 してい くタイプであ り, この タイプの 「地域 ・教育」論 的視角 こそ 現代地域教育研究 の視角 と して定立 してい くことが求 め られている(6)。
2. 地域教育 の基本性格
上記 の研究視角 にた って,地域教育 の基本性格 を把握すれば,以下 の基本性格 が析 出で きる。
(1)地域教育の位置
第1は,地域教育 が教育 に占め る基本性格 であ る。
現代 の教育 ・学習 のほとん どの組織領域 において強弱 はあるが,地域教育 を内包 してい くことが要請 されている。 もっとも自己完結的であ るといわれ る家庭教育 において も,覗 荏,地域 と連関 し,地域教育 を内包 しなければ,弱体 な ものにとどまる(7)。 しか し,1930 年代 の 「全村学校」論 や1950年代 の経験主義教育論 のよ うに, 教 育 の基 本 性格 イ コール 地域教育 と して把握す る視角 は,教育 の基礎 ・基本 を軽視 し,基礎学力 の低下 を招 くとい う教育史 の史的教訓 に学 び,否定 すべ きであろ う。 すなわち,教育 は基礎 ・基本 の教育分 野 を基底 と して地域教育 を内包す るのであ り,地域教育 を内包 しない教育 は現代的教育課 題 に対応性 を欠 くといえ るが,教育 の全性格 を地域教育主導 に把握 す る論 も否定的 に とら え るべ きであろ う。
なお,地域教育 は社会教育 であ るとす る教育論があ るが, それ は誤 りである。 すなわち, 社会教育 は地域教育性 を他 の教育領域 に対比すれば高 い比重 で内包す るが,社会教育 に も 基礎 ・基本 の教育性 は内包 されてお り,社会教育以外 の教育領域 において も地域教育性 は 内包 されているか らであ る。
(2
)地域教育 の推進組織第2は,地域教育推進組織 の基本性格 である。
地域教育 の推進組織 は,公教育組織 や機関 だけでな く,住民 の社会協同組織 や諸種 の民 間組織 か ら構成 され る。地域教育 の推進組織 を大別すれば,社会的教育組織 と公的教育組 織 に大別 され る。 それを構造化すれば,以下 のよ うにな る。
〔地域教育 の推進組織〕
《社会的教育組織≫
A
,社会協同セ クターa,学習集団 b,社会組織体 C,地域 コ ミュニテ ィ
B,市場 セクター
a,学習産業 b,産業組織
《公教育組織≫
a,学校教育機関 b,高等教育機関 C,社会教育機関 d,行政専門機関
地域教育 は,上記のような多重の組織 によって推進 されつつあり,近年では,社会協同 セクターの教育諸組織の発展が著 しい。 しか し,近年の 「学社融合」施策の多 くが示 して いるように,地域教育の推進主体を学校教育機関や社会教育機関のような公教育主導 に推 進主体を措定 し,地域住民の社会協同組織や民間組織 は 「協力」的位置づけに止 まり,主 体的推進的位置づけをされていない場合が多 い。 これには,長 い間の公教育主導の教育組 織化 により,住民や民間組織の教育主体意識や推進力の未成熟, その裏返 しとして公教育 依存意識が基因 している。 しか し,近年 の学校教育限界論の台頭や青少年の 「問題」 の多 発化が地域教育の必要性 を喚起 されつつあり, さらに,地域住民の多様な地域参画活動の 活発化 による社会力の形成 にともなって,地域住民や民間組織の地域教育推進力 も醸成 さ れっっある。 そのような動向の進展 は,地域住民や民間組織の地域教育推進主体 としての 意識化や参画性を高め,活動参加 に止 ま らず,施策立案や企画への参画を進展させている。
(3
)地域教育の基本内容第3は,地域教育の学習 ・教育内容の性格である。
地域教育 も人間の発達 に関わる教育 として基礎学習性を内包 しているが,基礎 ・基本教 育の発展教育や地域社会の地域特性をふまえた (地域)社会の創造教育, さらには,学習 者の発達段階による強弱 はあるが青少年期 も含めて実働教育性を内包 した教育である。 し たが って,基礎教育 に地域教材を加味す る程度の地域教育性や単なる行事, イベ ン ト的体 験教育 として教育内容を倭小すべ きではな く,地域特性 と発達段階に対応 した総合的教育 プログラムが構築 される必要がある。 その内容 は,発達課題 とともに地域社会創造課題教 育を総合化 してお り,地域社会創造課題 も社会 ・文化領域 に限定 されず,環境,健康 ・福 祉,経済 ・生活,政治領域の学習など総合性を もった教育内容 として構成 される。
一方,地域社会サイ ドの地域教育の展開において,従来,発達課題を軽視 した地域活動 課題を対象 とす る実働性を中心 とした地域教育が取 り組 まれ ることが多か った。 したが っ て, その教育 は特定地域課題学習に終始 し,一過性の学習で終わることが多 く,継続的, 発展的な地域創造主体の形成 に結 びつかない教育 として展開 されていたといえる。 しか し, 近年の地域サイ ドの地域教育 も基礎 。基本学習を内包 した総合的教育内容が構築 されつつ あ り,単 なる実働教育性を超えた教育展開が台頭 している。
(4)教育組織間関係
第4は,地域教育 と他の教育組織 との関係性である。
近代教育の教育体系の転換が
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年代 に入 って,生涯学習理念 に基づいて進展 しつつあ る。 その方向は,垂直的 (発達段階)再編成 として青少年期主体の教育機会を 「生涯 にわ たる‑life/long」教育機会 として保障す る統合 と学校教育主導の教育組織 を家庭教育, 学校教育,社会教育などの総合的教育組織 として再編成す る水平的統合である。 前者の生涯 にわたる教育機会 の再編成 については,近年,成人教育 や高齢者教育 Tilど拡充 しつつあ る。目しか し,後者.の教育組織再編成 については種 々の論議が展開 されてお り,教育体系創 造 の方向 は定説が確率 しているとは言い難 い。 ここでは,後者 の問題 を中心に考察 したい。
第1点 は,学校教育主導教育体系の社会的組織化 の転換問題である。すなわち,学校 を 主体 とす る公教育主導 システムの転換問題 であるが,近年 の市場的民間活力主導 の導入問 題である。 この方向性 は,市場 の一定の利潤性 は当然の ことと して,公教育 の財政負担 の 軽減 と市場利潤 を主体 として導入 されてお り,教育参加 を経済基盤 で左右す る点や採算性 のない教育活動 に消極的である点で問題 は多 い。筆者 は,民間 ・市場 の参画 と同時 に,社 会協同セクタ‑の参入が重要 であ・ると考える。近年,NPOや地域教育集 団, 地域 コ ミュ ニテ ィなどの社会協同セクターの教育参画が進展 してお り, このセクターの地域教育参画 と平行 して市場 ・民間セクターの参入がなされ るべ きであろう。
第2点 は, 日本では産業構造政策 の転換が主導 して教育体系 の転換がなされ る傾向が強 いため,公教育性 (財政).を低下 して市場 ・民間セクターの導入がなされがちである。 し か し,公教育主導体 系の転換 を公教育性 の低減 とイコールで考 え るべ きで はな く,地域教 育 において も公教育の拡充がなされ るべ きである。特 に,教育施設,教育専門職 の配置, 教育活動費 などの点 において,現状 において も学校 に対比 して地域教育 の公教育 の整備 は 低 レベルであ り,早急 な拡充が求 め られている。
第3点 は,近年,学校教育以外の教育組織 の重要性が見直 されつつあるが,学校教育以 外 の教育組織 の位置づけは学校教育 の 「補充」
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「補完」 の位置づ けが強 く, その独 自性の 評価 は低 い段階に止 まっている。 その根底 には,
「単位制」問題があるが, 欧米 の よ うに 仕事体験 を学校単位 と して評価 した り,技能制 を超 えた生活文化や社会活動 に関す る 「資 格制」 の拡充 をはか るなどの新 たな教育評価 システムの導入が不可欠である。.さ らに,地 域教育が形成す る社会協同参画性や環境 ・生活文化参画などの社会創造学習や活動 の社会 的評価制度 の導入 など教育的社会評価 の改革が不可欠である。第4点 は,教育組織間関係であるが,現在 において も第3点 とも連動 して学校主体型 の 関係構造 が依然 として基本的 に継続 している。 今後 は,学社融合政策 のよ うな 「新学校主 体」 の関係ではな く,諸教育組織が対等の 「協働」関係 を形成す ることが課題 で あ る(8)0 そのためには,学校教育以外 の教育組織が一層拡充 され ること求 め られ るとともに,地域 社会 に総合的教育経営組織 の組織化が不可欠 とな っている。
3. 地域教育の論理
(1)学習主体性
.生涯学習理念の浸透 によって,学校教育 も含 めて教育 における学習者 の主体性が重視 声 項 まじめていやム●しか し,学習者 の主体性 は 「学習の主体性」,すな.わ ち,'自主 的 な学 習 姿勢 や自主的な学習活動 ととらえ られ ることが多 く, 自己教育力 ととらえ る論理 は弱体で ある。
学習主体性 は,学習姿勢や 自主的な学習活動 を担 えて,学習者が学習課題 の設定,学習 計画ゐ策定,学習企画づ くり,学習運営,学習評価 のプロセスに主体者 と して参画す るこ
とであ り,学習者の自己教育力 (学習 エ ンパ ワーメン ト) として措定 され る。
さらに, その教育力 は 「個的」 な ものとしてとらえるのではな く,個人の主体性を源基 とす るが,協同的な主体性 を内包す るものであ り,個 ・協同力 としてとらえてい くべ きで ある。
そのような地域教育 における学習の主体性 は,成人期や高齢期 に限定す るのではな く, 少年期以降の青少年 にも容認 される。
(2
)活動 ・実働性地域教育 も基礎 ・基本学習を内包す るが,基礎 ・基本の発展学習や具体的活動 ・実働を 中心的な内容 として構成す る。
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年代の経験主義教育 においては生活,社会の経験 を教育の原動力 とす る教育活動が 展開 されたが,その後,科学 。技術革新の時代風潮 と学力低下批判 に当面 して,教育の科 学知主導の教育が主導 になり,教育 における生活 ・経験の意義 は軽視 しされ るようにな った。 しか し
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年代 にはいって,青少年の学習 ス トレス問題,無力化問題,第4
型 の非 行問題が台頭 し,種々の願意を込めて 「体験学習」 という学習形態が提唱 。展開 されつつ ある。 しか し,その体験学習の多 くは,現在のところ,学習の自発性の醸成,道徳性や社 会性の形成,基礎 ・基本学習の 「補完」 ,
「補充」 としての教育的意義以上の位置づけを超 えてないようにみえる。 しか し,地域教育 における 「活動」 (ヴィゴッキー) や 「実働」(ロー リン) は上記 した教育的補完体験ではな く,独 自な教育的意義 を もつ営為 と して位 置づける。
第1に,活動や実働 は基礎 ・基本学習の基盤 となるとともに,基礎 。基本学習を身体性, 感性,知性 を 「総合化」 して 「わざ化」 し,主体的に修得 させ る意義 を もつ(9)。 この点 に ついては, ヴィゴッキ ィ論の現代的評価をベースとして,現代認知心理学の最先端研究 も 明 らかに している(10)。 この点 にかかわ って,地域教育 は座学 に止 まらず,調査学習, ワ一・
クショップ,体験,討議 などの方法を多用 している。
第2に,基礎 。基本学習を応用す るに止 ま らず,発展的創造学習へ発展 させる意義をもっ ている。
第3に,地域教育 における活動 ・実働 は,実際生活や地域社会を学習を通 して,改善, 改革,創造 してい く意義を もっている(ll)。 この点 は,従来の機能的専門化が社会機能の領 域 セク ト化を進展 させていたが,そのあ り方を超える機能連関化が問われる現在,教育 と 実社会の連関性 として注 目されよう。
(3)社会協同性
地域教育 は,青少年,成人を問わず弱体化 し,変動 している社会性や遺徳性を育成す る 教育 として注 目されつつある。 しか し,その内実 は 「あいさつ」や 「感謝」 などの不易的 社会性が強調 され,現代地域教育が形成 しつつある新 たな社会協同性の論究は些少である。
ここでは,その点 にかかわ って,若干の問題提起を試みたい。
第 1は,社会関係がいわゆる 「集団主義」を超えて,「個
」
の析出とともに 「個 ・協同」化 してい くことを求め られつつある現在(12),個人性を基底 に し,個性を生かす社会協同関 係性を創造 し,育成す る意義を もっている。
第2に,身体文化 の協 同活動 や協 同学習 ・活動 を通 して,共感性,語 り合 い性,人格交 流性 な どの 「現代 コ ミュニケー シ ョンカ」 を育成 す る意義 を もって い る。
第3に,社会適応 を内容 とす る社会性 の育成 に止 ま らず,社会創造 的 な干 ンパ ワーメ ン トす なわち, 「社会力
」
を形成 す る意義 を もって い る。第4に,地域教育 の諸学習 や活動 は 「社会協 同」 セ クターを基盤 に,公機 関 と協働す る 事例 が増 えてお り, この ことは従来 の公行政主導 の 「公共性」 で はな く,住民主体 の社会 協 同性 を基底 に した 「新 たな公共性」 を創造 して い く要因 とな りつつ あ る。
(注)
(1) 猪山勝利 「地域教育 の論理 と課題」佐伯重幸,猪 山勝利編著 『現 代 離 島教 育 の構 造 と展開』長 崎大学教育学部 1990年
(2) UNESCO ̀̀LEARNING・thereinTREASURE" 1996 0ECD ̀̀LIFE‑LONGLEARNINGFORALL" 1996
(3) L,Rohlin ̀̀StrategicLeadershipintheLearningSociety "1994 AB,Sweden 神野直彦 『人間回復 の経済学』岩波新書782 2002年
(4) 猪 山勝利 「地方分権時代 にお ける地域活性化 と人づ くり」公務研修 No,190 2001年
(5) 猪 山勝利 「こど もの地域参画 に関す る研究」平成9年度長 崎大 学 生 涯 学 習教 育 研 究 セ ンター年報 1998年
(6) 猪山勝利 「学社 融合 の基礎 的研究一学社 融合関係 を中心 と して
‑」
長 崎 大 学 教 育 学部紀要 一教育科学 一第60号 2001年(7) 猪 山勝利 「家族学習 のあ り方 と支援 に関す る研究」長崎大学 教 育 学 部 附属 教 育 実 践総合 セ ンター紀要第2号 2003年
(8) 猪山勝利,前掲6論文参照
(9) 高取憲一郎 『ヴ ィィゴツキー ・ピア ジェと活動理論 の展開』京都 ・法政 出版 1994年
L,Rohlin,ibid.
(10) 佐伯 ゆたか
『
「学 ぶ」 とい うことの意 味』岩波書店 1995年 J, レイ ヴ他 『状況 に埋 め込 まれた学習』産業図書 平成5年(ll) 猪 山勝利 「こど もの生活体験学習 の現代 的構成 に関す る研究」 日本 生 活 体 験 学 会 誌NO,1 2001年
猪 山勝利 「公民館 を通学合宿 の場 に」 月刊公民館No,543 2001年
(12) 経済企画庁 国民生活局 『個 の実現 を支 え る新 たな緋 を求 めて』 大蔵省 印刷局 1994年