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地方単独事業の地域差と財源保障 ―義務教育費を 中心に―

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(1)

中心に―

著者 栗山 久範

著者別表示 KURIYAMA Hisanori

雑誌名 人間社会環境研究

号 40

ページ 1‑17

発行年 2020‑09‑30

URL http://doi.org/10.24517/00060057

Creative Commons : 表示 ‑ 非営利 ‑ 改変禁止 http://creativecommons.org/licenses/by‑nc‑nd/3.0/deed.ja

(2)

地方単独事業の地域差と財源保障 ―義務教育費を中心に― 1 人間社会環境研究 第40号 2020.9

地方単独事業の地域差と財源保障

―義務教育費を中心に―

人間社会環境研究科 経済学専攻(2019年度修了)

栗 山 久 範

  要旨

 義務教育においては,国からの財源措置が地方交付税による一般財源措置が中心であるため に,最終的な支出の判断は市町村の裁量に委ねられている。したがって,行政サービスの水準の 地域差が生じやすい分野といえ,市町村レベルにおいて義務教育費の確保が行われているのかと いう問題があり,義務教育費を取り巻く財政状況や事業状況を掌握し,今後の国による財源措置 のあり方について検討する必要がある。

 具体的には,総務省の「地方財政状況調査」等の財政データを活用し,先行研究でも用いられ ている「一般財源等の歳出決算額」÷「基準財政需要額」(以下「予算措置率」)を計算し,行政 サービスの地域差を把握した。さらに,「都市Ⅰ-2 」に区分される類似団体を対象にアンケー ト調査を行った。

 その結果,財政力と予算措置率は弱いながら相関関係があるが,その相関は年々弱まってきて いる。社会状況の変化により市町村で取り組まれる事業が徐々に拡大しており,全国的に支出を 増やしつつあるものの,同じような財政力であっても,市町村による政策選択の優先順位などに より,取り組み状況に差が開きつつあるのではないかと思われる。また,本来であれば基準財政 需要額に盛り込まれるべき性質の行政需要の拡大があり,それに対して市町村が支出を余儀なく されているものの,実態として基準財政需要額に適時適切に反映されていない現状が見られた。

このような市町村の財政支出の拡大が続けば,いわゆる財政力のない市町村から順に対応しきれ なくなっていき,行政サービスの内容・水準における地域差が拡大していく要因となりえた。

 このような状況に対処するには,国による財源保障の拡大を行う必要がある。現状としては,

社会環境の変化への対応に国が十分な責任を果たしているとはいえない。市町村による地方自治 を尊重しつつも,同時に国による義務教育の内容・水準の保障が十分に行われていく必要がある。

キーワード

 義務教育,地域差,財政力

  

Regional Differences and the Financial Security of Local Independent Projects: Focusing on Compulsory Education Expenses

Division of Economics, Graduate School of Human and Socio-Environmental Studies (Graduated in 2019 academic year)

KURIYAMA Hisanori

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はじめに

 財政の状況など様々な地域差がある中で,それ ぞれの市町村が各事業に取り組んでいる以上,行 政サービスには一定の地域差が生じている。この ような行政サービスの水準の地域差は執行が義務 付けられている事務,ある意味では国全体で統一 して一定水準の行政サービスが求められている事 務においても例外ではない。その中でも義務教育 においては,国からの財源措置が地方交付税によ る一般財源措置が中心であるために,最終的な支 出の判断は市町村の裁量に委ねられている。し たがって,行政サービスの水準の地域差が特に生 じやすい分野といえ,市町村レベルにおいて義務 教育費の確保が行われているのかという問題があ

る。そのため,本稿では,義務教育1)を中心に行 政サービスの地域差について考えていく。

 まず,義務教育に対する支出は,1953年に制定 された義務教育費国庫負担法の下で都道府県・市 町村それぞれ次のように実施されている。都道府 県においては,教職員給与が主なものであり,三 位一体改革により国庫負担率が 2 分の 1 から 3 分 の 1 に引き下げられたものの,国による義務教育 費国庫負担制度が一部機能している。一方,市町 村においては,教材,設備,備品の整備,基幹的 な教職員以外の職員(市町村費非常勤講師など)

の人件費,その他学校運営に必要な経常的な経費 は,小・中学校の設置者である市町村が負担して いる。学校建設事業では義務教育費国庫負担制度 が機能しているものの,教材費を除く大部分の経 Abstract

 In compulsory education, since funding from the central government mainly consists of general revenue sources from locally allocated taxes, the final decision on expenditures is left to the discretion of municipalities. Therefore, it can be said that there is a tendency for regional differences in the level of administrative services to occur, and there is an issue with whether compulsory education expenses are secured at the municipal level. It is necessary to understand the financial and business situations surrounding compulsory education expenses and to examine how the central government should handle financial measures in the future.

 Specifically, I use financial data from sources such as the “local financial status survey.” To understand regional differences in administrative services, we calculated the value obtained by dividing “settlement of general revenue sources” by “basic financial needs” to obtain the “budget action rate.” In addition, I conducted a survey of similar organizations classified as “Cities I-2.”

 As a result, it can be observed that a municipality’s financial strength and budget action rate are weakly correlated, but the correlation is weakening each year. Due to changes in the social situation, municipal projects are gradually expanding, and spending is increasing nationwide. If the budgetary expenditures of municipalities continue to expand, municipalities that lack economic strength will be unable to respond effectively, which may become a factor in increasing regional differences in the content and level of administrative services.

 To cope with such a situation, it is necessary for the central government to expand financial security measures. At present, the central government is not fully responsible for responding to changes in the social environment. While respecting the local autonomy of municipalities, it is also necessary that the content and quality of compulsory education be guaranteed by the central government.

Keyword

 compulsory education, regional differences, economic strength

(4)

常的な経費の財源は市町村の一般財源となってい た。1985年に国庫負担制度の対象であった教材費 も一般財源化されている。この一般財源化による 措置は地方交付税によって行われている。地方交 付税は市町村固有の財源であり,配分を通じて,

市町村間の財政調整機能を担っている。一般財源 であるゆえに財源の使途が制限されないため,市 町村レベルにおいて義務教育費の確保が行われて いるのかという問題,ひいては行政サービスの水 準の地域差という問題がある。

 義務教育といえば,憲法第26条2)において,国 民の教育を受ける権利について規定され,「普通 教育」を受けさせる義務を保護者に課し,また,

それに基づいて,全国一律で事業が行われている 印象が強いと思われる。しかし,事業実施にあ たっての多くの財源は一般財源で措置されている ために,あくまでも最終的な支出の判断は市町村 の裁量に委ねられている。したがって,印象とは ある意味では真逆ともいえるが,むしろ行政サー ビスの水準の地域差が生じやすい分野といえる。

だが,支出の標準が全く示されていないわけでは ない。地方交付税の積算の過程において,標準的 な行政を行う場合に必要な一般財源の額を示す基 準財政需要額の算出を通してナショナル・ミニマ ムが見積もられており,最終的な支出の判断は市 町村の裁量に委ねられることになるが,国の想定 するナショナル・ミニマムの行政費用は財源保障 されている。しかし,それが漠然としたものであ るために,市町村によって,一般財源の投入量や 使途が異なる。

 これらの認識を踏まえ,本稿は,市町村レベル において義務教育費がどのように確保されている のかを考えることを課題とする。すなわち,地方 交付税算定が市町村によってどのように解釈され ているのか,義務教育における「単独事業」とは どの範囲か,「財政力」によって義務教育費支出 状況が異なるのか,異なるのであればそれをどう 捉えるかを考える。

 具体的手法としては,まず,先行研究の状況を 確認し,先行研究における主な限界とそれを踏ま

えた本研究の独自性について整理する(第 1 章)。

その後,義務教育における国及び地方公共団体の 役割,教育条件整備に対する国の財政的支援を中 心に義務教育をめぐる制度的背景を確認していく

(第 2 章)。続いて,総務省の「地方財政状況調査」

等の財政データを活用し,財政支出の視点で行政 サービスの地域間比較を行うこととする。具体的 には,「一般財源等の歳出決算額」÷「基準財政 需要額」(予算措置率)を計算することで,行政 サービスの地域差を把握する(第 3 章)。さらに,

国等で公表されている統計データでは捕捉しきれ ない地域差およびその要因を明らかにするために

「都市Ⅰ- 2 」に区分される類似団体を対象にア ンケート調査を行った(第 4 章)。

 これらの分析により,義務教育費を取り巻く財 政状況や事業状況を把握し,今後の国による財源 措置のあり方について検討する。

第1章 先行研究と本研究の課題 1.1 先行研究の状況

⑴ ネクストステージに向けた都市自治体の税財 政のあり方に関する研究会3 )の調査

 ネクストステージに向けた都市自治体の税財政 のあり方に関する研究会が全国814市区に行った 調査4)(以下,ネクストステージ(2018))では,

地方単独事業の実施状況の調査を行っている。以 下ではまずこの調査結果で明らかにされた義務教 育の単独事業について概観していく。

 「貴市区では,教育(義務教育)の単独事業と してどのような施策を実施していますか。」との 問いへの回答では,学校職員の雇用を中心に様々 な事業が行われていたことが窺われる。報告書で も,「特別支援教育支援員,ALT5)雇用の実施率 は 8 割を超えている一方で,実施率が数パーセン トの事業もあり,事業によって,実施率にばらつ きがある。」とされている。ただしこの 2 つの地 方単独事業の間でも財政上の取り扱いには違いが ある。特別支援教育支援員については,基準財政 需要額の算出根拠に挙げられているものの,ALT

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については,同じように実施率が 8 割を超えてい るにもかかわらず,基準財政需要額の算出根拠に 挙げられてはいない6)

 また「財政力指数別クロス集計(教員及び学校 職員の雇用に関する設問のみ抜粋)では,教職員 雇用に関する単独事業については,財政力指数が 低下するほど,実施率は低下する傾向がある。」

とも報告されている。財政力がある一部市区で は,財源保障された内容を超えて地方単独事業を 行うことができている状況が考えられる。

 しかし,ネクストステージ(2018)のアンケー トは,対象を市区としており,町村を含んでいな い。そのため,町村を含めると財政力指数との関 係はどのようになるのか,町村の単独事業の状況 はどうか,ということについては掴むことができ ていない。また,「単独事業」を明確に定義せず にアンケートを行っているため,市区の回答には ばらつきがあるとも予測される。

⑵ 教育財政学分野からの研究

 教育財政学の分野では,義務教育費における地 域間格差を実際の教育費データから描き出そうと 試みた研究は古くから存在するが,近年において も様々な手法により研究が行われている。

 山本(2008)は,基準財政需要額に対する決算 額を予算措置率とし,予算措置率を都道府県ごと に調査した。さらに,「地方財政状況調査関係資 料」にある都道府県の財政力指数を重ねて,比較 を行った。その結果,教材費と支援員等の配置費 に対する地方の財政力格差の影響は否定できず,

地方財政措置は教育の機会均等を保障する手法と しては不適切である可能性が高いと指摘した。他 方で,支援員等の配置および教材費の両方で,財 政力と関係なく予算を決定している県が散見され たと指摘した。

 中村(2010)は,「地方教育費調査」の都道府 県別集計を用いて,教員あたり児童生徒数や学級 あたり児童生徒数を基準に,支出の配分がどのよ うになされているかを,回帰係数の推移で評価し た。その結果,教員あたり児童生徒数,あるいは 学級あたり児童生徒数の少ない(財政的に貧し

い)地域に支出が多く配分されているという傾向 があり,また,その傾向が近年強まっていること などを示した。実際の教育支出に自治体間不平等 が存在すること,更に,教育費の配分ルールにも 不平等が存在すること,そして,時系列的に評価 することによって地域間不平等の拡大や縮小は経 済や財政の状態に左右されることを明らかにした。

 大久保(2014)は,文部科学省の「地方教育費 調査」及び総務省の「地方財政統計年報」を用い て,各市町村の基準財政需要額を標準的な活動と 理解し,これに対する実支出額の比率と財政力指 数の関係をもって都道府県間で比較している。そ の結果として,都道府県単位に積み上げた市町村 の教育費,特に「建築費を除く」教育費について,

財政力によって格差が生じていることを指摘した。

 これら,教育財政学分野の先行研究では,都道 府県レベルでの比較にとどまっているという限界 がある。市町村の教育費に関するものについても 都道府県単位に積み上げた市町村データによる 比較にとどまる。これは,「地方教育費調査」の データが都道府県単位での集計となっているため である。

⑶ 地方財政学分野からの研究

 地方財政学分野においては,教育費における支 出に限らず,様々な分野の費目を取り上げ,歳出 決算の一般財源部分と費目別の基準財政需要額と の多寡から,基準財政需要額の算定の問題点や行 政サービスの地域差を描き出す研究が行われてい る。

 齊藤(2010)は,大阪府下の市町村を分析対象 として,費目別の基準財政需要額と歳出決算額の 一般財源部分を比較し,留保財源が費目ごとにど れだけ割り振られているかを明らかにし,費目別 の基準財政需要額と歳出決算額の一般財源部分の 大きさの関係から基準財政需要額が本来の意味を 果たしているのかを分析している。また経年変化 により三位一体改革の影響を計測している。その 結果として,土木費において,基準財政需要額が 削減されており,基準財政需要額の算定が,実際 の行政需要を充当できていないこと,また厚生費

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においてはその逆の結果となっていることなどを 指摘している。

 蜂屋(2018)は,地方自治体の提供する行政サー ビスを,全国で実施される「標準的な行政サービ ス」と地方自治体の裁量による「独自の行政サー ビス」の二つに分け,実際に支出された一般財源 等と基準財政需要額を比較し,後者の額を超える 前者の額を,独自の行政サービスに充てられた一 般財源等と見なすこととして分析を行っている。

そして,実際の財政支出に基づく地方の行政サー ビスを比較検討した結果,①費目間の一般財源配 分にメリハリ付けがみられること,②各地方自治 体の提供する行政サービス全体として地域差があ ること,③行政サービス全体の地域差が近年拡大 傾向にあることを確認している。

 しかし,地方財政学分野の先行研究では,土木 費など費目レベルで費目間の比較を行うなど,財 政支出全体を見渡す,大枠での研究にとどまって いる。義務教育費に特化した研究は行われていな い。

1. 2  先行研究における主な限界を踏まえた本研 究の独自性

 前節において概観した,各分野の先行研究にお ける限界を踏まえ,本研究の独自性は,主に 3 点 挙げられる。

  1 点目は地方財政状況調査の市町村単位データ の活用による分析である。具体的には,都道府県 レベルの比較では見えてこない市町村レベルの比 較を行う。前述のように,教育財政学分野の研究 の多くは,市町村の教育費に関するものについて も都道府県単位に積み上げた市町村データによる 比較にとどまっている。 1 つのデータとして見な された同一都道府県内の市町村といっても,例え ば都道府県庁所在都市とそれ以外の市町村では一 般的には財政力や規模が異なるのは明らかである。

 本研究では市町村レベルのばらつきに着目する ため,文部科学省の「地方教育費調査」ではなく,

市町村単位で集計が行われている総務省の「地方 財政状況調査」等の財政データを活用し,都道府

県レベルではなく市町村レベルでの比較・分析を 行う(表 1 参照)。それによって,財政力による 行政サービス,特に地方単独事業の地域差が市町 村間で生じているかを明らかにする。

  2 点目に,教育費という費目レベルではなく,

義務教育費という細目の事業内容に即した比較を 行う。単純に市町村の教育費といっても,義務教 育費に限らず,社会教育費をはじめとした様々な 費用が含まれており事業の幅が広い。したがって,

より効果的に義務教育の行政サービスの実態を把 握するには,費目レベルで教育の全体像を大まか に捉えるよりも,より細目の事業内容に焦点をあ てることが必要になってくる。これまでの地方財 政状況調査を活用した研究においては義務教育費 に焦点をあてた研究は行われてこなかった。理由 として考えられるのは,義務教育費にかかる費用 が教育総務費,小学校費,中学校費,保健体育費 の学校給食費と多区分にわたるためである。本研 究においては後で詳述するように,教育総務費の うち,物件費と補助費に着目し,分析を行うこと で,この課題を克服した。

  3 点目は類似団体へのアンケート調査である。

国等で公表されている統計データでは捕捉しきれ ない地域差およびその要因を明らかにするために アンケート調査を行う。具体的には「平成28年度 類似団体別市町村財政指数表」において「都市Ⅰ

- 2 」に区分される団体を対象に,人口・産業構 造の面でほぼ同一の特色を持つとされる類似団体 を比較する。それにより,類似団体間においても 表1:教育費に関する先行研究との違い

本研究 先行研究

主な使用

データ 地方財政状況調査

(総務省) 地方教育費調査

(文部科学省)

使用データ

の集計単位 市町村レベル 都道府県レベル

データ数

1698市町村

(特別区,政令指 定都市,一部事務 組合及び広域連合 除く)

47都道府県

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地域差が生じているのか,生じているとすればど んな要因があるのか,どのような事業において地 域差が生じているのか,またどのような事業が共 通して行われていて標準化しているのかなどを分 析する。

第2章 義務教育をめぐる制度的背景 2.1 義務教育における国及び地方公共団体の役割  この章においては義務教育をめぐる制度的背景 をたどっていく。

 まず,義務教育における国及び地方公共団体の 役割7)について見ていく。教育基本法第4条では,

教育を受ける権利の保障,教育の機会均等,障害 のある者や経済的理由によって修学が困難な者へ の国や地方公共団体の支援の義務を規定してい る。また,教育基本法第 5 条第 3 項における「義 務教育の機会を保障し,その水準を確保するため,

適切な役割分担及び相互の協力の下,その実施に 責任」を負うことを国及び地方公共団体に課して いる。

 国の主な役割としては,「学校教育法」等によ る学校制度に関する基本的な制度の枠組みの制 定,学習指導要領等の教育課程に関する全国的な 基準の設定,教職員給与費や校舎建設等に要する 経費の国庫負担をはじめとする教育条件整備に対 する財政的支援などがある。学習指導要領は,全 国どこの学校でも一定の水準が保てるよう,文部 科学省がおよそ10年に 1 度,改訂している教育課 程(カリキュラム)の基準であり,教科書や時間 割は,これを基に作られている。

 都道府県の主な役割としては,市町村立小・中 学校等の教職員の任命といった広域的な処理を必 要とする教育事業の実施,市町村立小・中学校等 の教職員の給与費の負担といった市町村における 教育条件整備に対する財政的支援などがある。市 町村・学校の主な役割としては,市町村立の小・

中学校の設置管理といった学校等の設置管理,教 育の実施がある。

 簡潔に言うと,国が学校制度の枠組みと教育環

境を決定し,都道府県が学校教員の採用試験の実 施・教員配置や給与の支払いを担い,市町村が公 立小中学校の敷地を用意し,校舎を建てて,それ を管理運営することにより,それぞれ義務教育に おける役割を担っている。

2. 2  地方公共団体における教育条件整備に対す る国の財政的支援の概要

⑴ 義務教育費における国による財政的支援の経緯  実際に学校を運営していくには,教職員給与 費,建物等維持修繕,教材用図書及び備品の購 入,学校図書館図書の配置など様々な経費がかか る。2004年 5 月に出された中央教育審議会初等中 等教育分科会教育行財政部会教育条件整備に関す る作業部会の報告書「義務教育費に係る経費負担 の在り方について(中間報告)」8)によれば,「義 務教育については,市町村に対して小・中学校の 設置義務が課されており,これらの学校の経費は,

「設置者負担主義」(学校教育法第 5 条)9)に基づ き,原則としてその設置者が負担すること」とさ れている。しかしながら,経費の全てを市町村に 負わせることは,市町村の財政にとって大変な負 担となるため,国・都道府県により一部が負担さ れる制度がとられている。

 さらに,同報告書では義務教育費負担をめぐる 歴史から,次のような教訓が得られるとまとめら れている。

・義務教育費の中心問題は常に教職員給与費だっ たこと

・義務教育の無償制と完全就学の実現,義務教育 の水準維持と地域間格差の是正のため,国によ る義務教育費の財源保障が必要だったこと

・義務教育費の国庫負担は地方財政の健全化にも 資するものだったこと

・義務教育費の財政保障制度は,地方間の財政調 整制度とは別に設けられる必要があったこと  なお,当時に義務教育費に係る経費負担の在り 方について検討が求められていた背景には,教育 の地方分権改革及び三位一体の改革があった。こ の報告書が提出された後,三位一体改革で義務教

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育費国庫負担法等の改正により,国庫負担割合が 2 分の 1 から 3 分の 1 へと削減されていることを 念頭においておく必要がある。

 義務教育の水準維持と地域間格差の是正などの ため,国による義務教育費の財源保障が常に必要 とされてきた。具体的には,国が市町村に対して 行わなければならない事業を個別具体的に決め て,それに対して直接保障する方法ではなく,都 道府県が負担する教職員給与費に集中して財政的 支援を行う方法である。国全体で義務教育という 事業を行い,また,国が安定した財源保障を行っ ているわりには,市町村による個別具体的な事業 内容のばらつきが生じやすい制度的構造を持って いるといえる。

⑵ 義務教育費に関する国庫支出金等の財源措置 の状況

 以下では市町村が実施する義務教育事業に焦点 化し,国による国庫支出金等の財源措置の現況を 詳しく見ていく。

 まず,日本国憲法第26条第 2 項における「義務 教育無償の原則」に基づき,教育基本法第 5 条第 4 項では,「国または地方公共団体の設置する学 校における義務教育については,授業料を徴収し ない」と定め,無償制が明示されており,これに 対しての国としての負担分が国庫支出金等に反映 されている。具体的には義務教育諸学校の教科用 図書の無償措置に関する法律による措置がある。

 また,地方財政法第10条では「地方公共団体が 法令に基づいて実施しなければならない事務であ つて,国と地方公共団体相互の利害に関係がある 事務のうち,その円滑な運営を期するためには,

なお,国が進んで経費を負担する必要がある次に 掲げるものについては,国が,その経費の全部又 は一部を負担する。」と明記されている。義務教 育費に関するものとしては,「一 義務教育職員の 給与に要する経費」,「三 義務教育諸学校の建物 の建築に要する経費」が該当しており,それらに 対しての財源措置がされている。この財源措置は それぞれの法律に基づく国庫負担金と地方負担分 の交付税措置(地方財政法第11条の 2 )からなる。

具体的には義務教育費国庫負担法や義務教育諸学 校等の施設費の国庫負担等に関する法律による措 置がある。

 さらに,理科教育振興法による小中学校におけ る理科教育のための設備への国の補助や,市町村 が学齢児童生徒の保護者で生活保護法にいう「要 保護者」である者に対し,学用品,通学に要する 交通費,修学旅行費を支給する場合に対しての国 の補助などが行われている。

⑶ 義務教育費に関する地方交付税措置

 前述のように,義務教育費負担の中心問題は常 に教職員給与費であった。だが,市町村にとって は,学校等の設置管理,教育の実施には建物等維 持修繕,教材用図書及び備品の購入,学校図書館 図書の配置など様々な経費がかかる。これらの経 費は前述の「設置者負担主義」のもとで市町村が 負担することになるが,それらに対する国の財源 保障として行われているのが,地方交付税法(昭 和25年法律第211号)に基づく地方交付税による 一般財源措置である。

①地方交付税制度の概要

 地方交付税は本来地方の税収入とすべきである が,団体間の財源の不均衡を調整し,すべての地 方団体が一定の水準を維持しうるよう財源を保障 する見地から,いわば,国が地方に代わって徴収 する地方税であり,一定の合理的な基準によって 再配分するものである。地方交付税交付金には,

普通交付税と特別交付税の 2 種類がある。以下の 説明は普通交付税が中心となる。普通交付税の額 の決定方法として,以下の式により算出される。

各団体の普通交付税額=(基準財政需要額-

基準財政収入額)=財源不足額

基準財政需要額=単位費用(法定)×測定単 位(国調人口等)×補正係数(寒冷補正等)

基準財政収入額=標準的な地方税収入見込額

×原則として75%+地方譲与税等

 ここで算定の基礎となる基準財政需要額につい ては,各地方団体の財政需要を合理的に測定する ために,当該団体について地方交付税法第11条の 規定により算定した額である(地方交付税法第 2

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条第 3 号)。その算定は,各行政項目別にそれぞ れ設けられた「測定単位」の数値に必要な「補正」

を加え,これに測定単位ごとに定められた「単位 費用」を乗じた額を合算することによって行われ る。基準財政需要額は,各地方団体の標準的な水 準における行政に必要な一般財源を算定するもの である。

 2018年度の交付税制度を例にすると,市町村の 義務教育費に関する算定項目として,「小学校費」

と「中学校費」の 2 種類があり,それぞれ,「標 準的な規模の施設」を想定し,単位費用を算定し ている。単位費用の積算に当たっては,国によっ て作成された全国的な基準の指針と連動も図られ ているが,必ずしも算出された基準財政需要額の とおり支出する義務はない。最終的な支出の判断 はあくまでも市町村の裁量に委ねられている。

 小学校費の測定単位は,「児童数」,「学級数」

及び「学校数」であり,「児童数」を測定単位と するものにあっては学校給食及び就学援助に要す る経費を,「学級数」を測定単位とするものにあっ ては建物等の維持修繕並びに教育教材及び学校図 書館図書整備に要する経費を,「学校数」を測定 単位とするものにあっては学校医,特別支援教育 支援員,学校司書等に対する報酬及び学校情報化 に要する経費を主に算定することとしている。中 学校費の測定単位は,「児童数」の代わりに「生 徒数」を用いる。小学校費と中学校費で見積もら れている内容は基本的に同じである。ただし,中

学校費「学校数」においては,小学校費「学校 数」に見積もられていない部活動指導員の項目が ある。

 図 1 は標準施設,すなわち,標準的な「児童数」

または「生徒数」が在籍し,標準的な「学級数」

を編成した,標準的な学校 1 校において見積もら れる一般財源額の推移である。2010年度に引き上 げられているが,その後ほぼ横ばいとなっており,

近年若干の減少傾向が見て取れる。

②義務教育費における基準財政需要額算定のため の補正係数

 基準財政需要額は,基本的には,測定単位の数 値に単位費用を乗じて算定される。その単位費用 は測定単位ごとに標準的な団体または施設を想定 して算定された額が法定されている。しかし,実 際の測定単位当たりの行政経費は,自然的・社会 的条件によって大きな差があるので,これらの行 政経費の差を反映させるため,その差の生ずる理 由ごとに測定単位の数値を割増しまたは割落とし している。これが測定単位の数値の補正であり,

補正に用いる乗率を補正係数という。

 義務教育費の特徴的な補正としては,密度補正 では,スクールバス及びスクールボートの数に基 づいた遠距離通学者のための通学対策の補正,教 育扶助受給児童生徒数等に基づいた準要保護児童 生徒に対する補助分の一般財源化に伴う補正があ る。また,数値急減補正では,学校統合その他の 理由による学校数及び学級数の急激な減少に伴う 急減緩和の補正がある。これら補正係数に計上さ れている遠距離通学者のための通学対策などはあ らかじめ行政経費に地域差が出ることが想定され ているといえる。

第3章 地方財政状況調査市町村データを    用いた行政サービスの地域差の分析 3. 1  データ分析の手法

 市町村義務教育施策の地域差を測るにあたっ て,施策の内容や水準は市町村によって様々であ り,地域間比較をどのように行うかといったこと 図1: 標準施設に対する一般財源所要額の推移

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が問題といえる。本稿では,総務省の「地方財政 状況調査」10)等の財政データを活用し,財政支出 の視点で地域間比較を行うこととする。具体的に は,先行研究でも用いられている「一般財源等の 歳出決算額」÷「基準財政需要額」(以下,「予算 措置率」)を計算することで,地域差を把握する。

前章で述べたように,基準財政需要額は国が想定 する市町村事務における必要費用を見積もったも のであり,それと比較してどれだけ市町村が実際 に支出しているのかを分析する。なお,「一般財 源等の歳出決算額」においては,基準財政需要額 で見積もられている財政需要との対応関係から,

投資的経費に充当された一般財源等を除いている。

 義務教育費においては,全国的な指針と基準財 政需要額が連動すると考えられるから,分析にあ

たっては蜂屋(2018)と同じく,市町村の提供す る行政サービスを,全国で実施される「標準的な 行政サービス」と市町村の裁量による「独自の行 政サービス」の 2 つに分け,実際に支出された一 般財源等と基準財政需要額を比較し,後者の額を 超える前者の額を,独自の行政サービスに充てら れた一般財源等と見なす。すなわち,基準財政需 要額として見積もられる支出規模を「標準的な行 政サービス」の支出規模とし,その支出規模を超 える支出を「独自の行政サービス」に充てられた とみなす。

 用いるデータは2007年度分から2017年度分まで であるが11),表 2 に示すように,地方財政状況調 査における一般財源等の歳出決算額の項目と基準 財政需要額の算定項目の区分が異なっている。分

表2:分析に用いる各データ

使用データ 使用項目 使用項目説明

各年度地方財政状況調 査

「表紙」

財政力指数 地方公共団体の財政力を示す指数で,基準財政収入額を基 準財政需要額で除して得た数値の過去3年間の平均値。財 政力指数が高いほど,普通交付税算定上の留保財源が大き いことになり,財源に余裕があるといえる。

各年度地方財政状況調 査

「歳出内訳及び財源内 訳(その5)」

団体区分(都市類型) 市町村の態様を決定する要素のうちで最もその度合が強 く,しかも容易,かつ,客観的に把握できる「人口」と「産 業構造」により設定しており,政令指定都市,特別区,中 核市及び施行時特例市についてはそれぞれ1類型,都市に ついては 16 類型,町村については15類型を,2015年国勢 調査の結果を基に設定している。

歳入歳出区分 小学校費 中学校費

保健体育費_学校給食費 のうち一般財源等及び うち投資的経費充当の一 般財源等

「各項目の一般財源等」-「うち投資的経費充当の一般財 源等」を計算し,それぞれ「小学校費の一般財源等(投資 的経費充当分除く)」,「中学校費の一般財源等(投資的経 費充当分除く)」,「保健体育費・学校給食費の一般財源等(投 資的経費充当分除く)」として取り扱う。

歳入歳出区分 教育総務費のうち 物件費及び補助費

「物件費」及び「補助費」においては「うち投資的経費充 当の一般財源等」がないとみなせるため,「物件費」+「補 助費」を計算し,「教育総務費の一般財源等(投資的経費 充当分除く)」として取り扱う。

各年度市町村別(費目 別)基準財政需要額一 本算定ベース

(個別算定経費)

小学校費 中学校費

_児童数 _生徒数

_学級数 _学級数

_学校数 _学校数

項目ごとに積算された算定内容(3項目)の合計をそれぞ れ「小学校費の義務教育費にかかる基準財政需要額」,「中 学校費の義務教育費にかかる基準財政需要額」として取り 扱う。

注:期間中に合併算定替が行われた団体もあるが,継続的に比較するため一本算定ベースで比較した。

(11)

析にあたっては,教育費全体で比較するのではな く,義務教育にスポットを当てるため,義務教育 費支出が含まれうる区分のみを採用している。地 方財政状況調査上の区分における 4 区分(小学校 費,中学校費,学校給食費,教育総務費)の積み 上げと基準財政需要額上の区分における 2 区分

(小学校費,中学校費)の積み上げを比較するこ とにより,予算措置率を算出する。なお,教育総 務費については,教育委員会の運営にかかる経費 等も含まれるため直接的に義務教育に使用される 経費以外も含まれており,義務教育費にかかる費 用とそれ以外の費用を厳密に分けることができな い。そこで,義務教育費にかかる支出が大半を占 めると思われる物件費と補助費をすべて義務教育 費にかかる支出とみなして計上した。例えば,物 件費は臨時職員の賃金などを含んでおり,市町村 単独の臨時講師の雇用費用などに充てられている 経費である。補助費は報償費などを含んでおり,

スクールソーシャルワーカーへの報償費などに充 てられている経費である。

3. 2  データ分析の結果と考察

⑴ 市町村全体の予算措置率の状況

 まず,2017年度決算額をもとに各市町村の予 算措置率をみると,約 3 分の 2 の市町村で1.00~

1.60倍の範囲内にある。1698団体12)中121団体(約 7 %)の市町村で1.00倍を下回っており,「一般 財源等(投資的経費充当分を除く)」が「基準財 政需要額」を下回っている。なお,平均値は1.44 倍であり,中央値は1.38倍である。また,最高値 は5.38倍の長野県軽井沢町であり,最低値は0.39 倍の鹿児島県十島村である。

 続いて,財政力と予算措置率に関係があるのか を見ていく。図 2 は「財政力指数」と「予算措置 率」の 2 要素による散布図である。

 財政力指数が 1 未満の市町村では,相関係数は 高くないものの,財政力指数に比例して予算措置 率が大きくなる傾向がみられる。その理由として 考えられるのは,これらの市町村は地方交付税が 交付されており,独自の行政サービスの財源には,

基準財政収入額に算入されない留保財源が使われ るということである。財政力指数が大きくなるほ ど,基準財政需要額として見積もられる水準を超 えて行政サービスを充実させやすくなる。

 また,財政力指数が 1 未満の市町村の中でも,

予算措置率がおおむね1.00~2.00倍と大きな開き があるといえる。特に予算措置率が1.00倍を下回 る市町村については,市町村が基準財政需要に算 入される標準的な行政水準を維持しているとはい えない。この水準を下回る市町村が一定程度存在 しているということは,必ずしも基準財政需要額 を意識していないか,あるいは財政事情により他 の分野に財源配分を優先させている可能性がある。

 一方で,財政力指数が 1 以上の地方交付税が交 付されていない市町村では,予算措置率が大き い。留保財源に加えて,基準財政収入額が基準財 政需要額を上回っている分(財源超過額)も行政 サービスの財源として充てられることから,行政 サービスを充実させやすく,予算措置率はほぼ全 てが1.00倍以上となっている。

 また,図には示さないが市町村ごとの予算措置 率の2007年度から2017年度までの経年変化を分析 したところ,次のようなことも明らかになってい る。

 全体を通して見られる傾向として,経年による 予算措置率の順位にほとんど変動がない市町村が 多く見られ,上位から下位へ変動したり,下位か ら上位へ変動したりという例が多くなかった。

市町村の予算作成において前年度の予算に精査を 加えながら,新年度予算を組み立てていくことを 考えれば不思議ではないかもしれない。しかし,

予算措置率が固定化しているとすれば,累積で考 えると大きな差となる。例えば学校図書室におい て,図書の継続的な購入により蔵書が整備されて いるとすると,年々蔵書の数に差がついていく。

このことが過度な環境差につながっているのであ れば,教育の機会均等の観点から考えると,全国 統一的に行われている義務教育の現状として問題 がある。

⑵ 財政力と予算措置率の相関性低下について

(12)

 図 3 は財政力指数と予算措置率の相関係数の推 移をグラフ化したものである13)。データの入手で きた11年間で相関係数はほぼ一貫して低下傾向に

あり,財政力と予算措置率の相関は弱まってきて いる。

 そこで図 2 と図 4 を比較してこの理由を考えた い。図 4 は2007年度分の散布図である。2007年度 分と2017年度分を比べると,予算措置率が全体的 に上昇しており予算措置率が 1 を下回る団体数が 減っている。表 3 は2007年度と2017年度の予算措 置率における財政力指数別基本統計量をまとめた ものである。0.2刻みで設定した財政力指数の全 区分において,平均,中央値ともに2017年度のほ 図2:「財政力指数」と「予算措置率」の 2 要素によ

る散布図(2017 年度分)

図3:相関係数(「財政力指数」と「予算措置率」の 2要素)の推移

図4:「財政力指数」と「予算措置率」の 2 要素によ る散布図(2007 年度分)

注:2017年度分と比較を容易にするために軸の幅を 合わせて表示しているため,2007年度分におい て,(財政力指数,予算措置率)=(2.84,5.31)

の点(軽井沢町)を省いて図示している。

表 3:2007 年度と 2017 年度の予算措置率における財政力指数別基本統計量

2007年度 0.2以下 0.4以下 0.6以下 0.8以下 1.0以下 1.0超 全体 平均 1.00 1.06 1.09 1.17 1.27 1.60 1.15 中央値 0.96 1.04 1.07 1.14 1.21 1.45 1.10 分散 0.10 0.08 0.05 0.07 0.08 0.34 0.12 最小 0.29 0.45 0.52 0.61 0.70 0.70 0.29 最大 2.02 2.80 2.28 2.73 2.49 5.31 5.31

データ数 202 476 379 272 174 147 1650

2017年度 0.2以下 0.4以下 0.6以下 0.8以下 1.0以下 1.0超 全体 平均 1.39 1.39 1.37 1.44 1.59 2.00 1.44 中央値 1.35 1.32 1.35 1.42 1.54 1.78 1.38 分散 0.20 0.17 0.08 0.09 0.17 0.57 0.18 最小 0.39 0.69 0.82 0.76 0.77 1.11 0.39 最大 3.88 4.53 3.18 3.64 3.94 5.38 5.38

データ数 256 489 360 274 201 70 1650

注:経年変化を見るため、2007年度から2017年度までに合併を行っていない1650団体で比較している。

(13)

うが大きく,予算措置率が全体的に上昇している ことがわかる。また最大値及び最小値ともに2017 年度のほうが大きくなっており,特に最大値が大 きく伸びていることがわかる。分散を比較すると 2017年度の値のほうが大きく,同じ財政力指数の 区分の間においても予算措置率の差が大きくなり つつあり,その結果として財政力と予算措置率の 相関が弱まっていると思われる。

 また,前出図 1 の標準施設に対する一般財源所 要額の推移で2007年度と2017年度の値を見ると,

小学校費で約2.0%,中学校費で約2.9%の増加を 示している。標準施設に対する一般財源所要額を 標準施設の規模あたりの人数等で割ることによ り,基準財政需要額の単位費用を計算しているこ とから,基準財政需要額においても同程度の増加 傾向にあると思われる。したがって,基準財政需 要額の引き上げ以上に一般財源歳出決算額の拡大 が行われていることが推測される。

 これらを考慮すると,社会状況の変化により市 町村で取り組まれる事業が徐々に拡大しており,

全国的に支出を増やしつつあるものの,同じよう な財政力であっても,市町村による政策選択の 優先順位などにより,取り組み状況に差が開きつ つあるのではないかと思われる。基準財政需要額 の伸び以上に予算措置率が増えていることから,

予算措置率の増加の要因として全国的に標準化さ れた事業が含まれている可能性が高い。したがっ て,実際の事業の内容について詳しく見ていく必 要があるが,全国的に標準化されてきている事業 による行政需要の拡大があり,本来であれば基準 財政需要額に盛り込まれるべき性質のものに対し て市町村が一般財源充当を余儀なくされていると 考えられる。つまり実態として基準財政需要額に 適時適切に反映されていないと思われる。

第4章 義務教育支出に関するアンケート    調査

4. 1  アンケート調査の概要

 前章では,国が公表するデータを用いて,予算

措置率の地域差の量的分析を行った。しかし,こ の量的な地域差だけではその具体的内容を知るこ とはできない。そこで,統計データでは捕捉しき れない地域差およびその要因を明らかにするため に,本研究ではアンケート調査を行った。すなわ ち,義務教育費に関して実際にどのような事業が 行われ,その事業内容にどのような地域差が生じ ているのか,生じているとすればどんな要因があ るのかを明らかにする目的である。

 このアンケート調査では人口・産業構造の面で ほぼ均質の特徴を持つとされる類似団体に絞って 調査を行う方法をとった。アンケートの送付の対 象は総務省が公表している「類似団体別市町村財 政指数表」の平成28年度版において「都市Ⅰ- 2 」 に区分される73都市である。調査の対象とした「都 市Ⅰ- 2 」の団体は,人口 5 万人未満,産業構造

Ⅱ次・Ⅲ次95%以上かつⅢ次65%未満の都市であ る。したがって,小規模な地方都市で,工業を初 めとした第Ⅱ次産業が比較的盛んな都市である。

「都市Ⅰ- 2 」を対象とした理由としては,他の 区分と比較して対象となる市町村数が多いこと,

データ分析で対象とした期間において市町村合併 が行われた団体を含まないことが挙げられる。さ らに,「都市Ⅰ- 2 」は,町村や同規模の都市と 比較して,財政力指数の平均値が高く財政力があ り,政策を充実させやすいという特徴と大規模都 市と比較して,きめ細かく政策ができるという特 徴を持ち合わせていることから,グループ内でも 地域差が生じやすく,調査対象として適切と考え て選定した。調査票は義務教育主管課長あてに郵 送し,回答の方法は郵送またはメールとした。

4. 2  アンケート調査の結果と考察

⑴ 市町村の単独事業の状況

 質問表を送付した「都市Ⅰ- 2 」の全73団体中 19団体(回答率26.0%)14)から回答があった。残 念ながら十分な回答数が得られなかったため,ア ンケートの結果はあくまでも類似団体内の具体的 な取り組み内容を知る用途に限られるが,様々な 傾向が見られた。

(14)

 まず,「義務教育の市独自の取り組みとしてど のような特徴的な施策を実施していますか。」と いう質問項目への回答として,学校職員非正規雇 用,スクールバスの運行,保護者教育負担の軽減,

ICT教育(ICT環境の整備を含む)が多く挙げら れた。

 2017年度決算額で多い傾向があったのは,学校 職員非正規雇用である。学校職員非正規雇用は事 業の種類においても多岐にわたっている。ALTを 初めとした授業指導関係,特別支援教育支援員を 初めとした支援事業関係,学校用務員を初めとし た学校校務関係,スクールソーシャルワーカーを 初めとした相談事業関係といったように様々な分 野で学校職員非正規雇用の役割が拡大しているこ とがわかる。ネクストステージ(2018)でも見ら れた傾向と同じく,ALT,特別支援教育支援員,

スクールソーシャルワーカーは回答団体において も事業が標準的なものとなりつつあることがわ かった。それ以外の事業は,生徒の国際化への対 応のための支援事業やスクールカウンセラーの配 置といった相談事業を中心に行われている。例え ば,滋賀県野洲市では,生徒の国際化への対応の ための支援事業としては英語及び中国語に対応し た日本語指導員をそれぞれ配置しており,相談事 業としては心のオアシス相談員などを配置してい る。これらの事業も今後標準的な事業となってい く可能性がある。

 学校職員非正規雇用に次いで大きな歳出額と なっている傾向があるのはスクールバスの運行で ある。過去10年間の学校統合状況の回答と組み合 わせてみると,学校統合が行われた市ではスクー ルバスまたは通学助成のいずれかが必ず行われて いる状況が見て取れた。学校統合にあたって遠距 離通学となるために,保護者や校区の住民に統合 を理解してもらうための条件となっていると思わ れる。財源措置については基準財政需要額の算定 における密度補正へのスクールバスの台数の反映 や,車輛の購入に対するへき地対策の国庫補助が あるものの,自治体財政にとって大きな固定的な 負担となっている。スクールバスと通学助成の支

出を合わせると学校職員非正規雇用と変わらない 規模の支出を強いられており,本来であれば教育 内容の拡充に使うことができた予算が割かれてい るともいえ,スクールバスと通学助成の実施の有 無が教育内容に地域差が生じる要因にもなりう る。また,今後も人口減少に伴い,学校統合が行 われていくことにより,この費用負担が増してい く可能性がある。

 続いて,保護者教育負担の軽減も大きな比重を 占めている。要保護就学援助,準要保護就学援助,

特別支援教育就学援助が事業のほとんどを占め る。いずれも全国的に行われている事業であり,

また後述するように国庫負担を含む予算措置のあ る事業分野であり歳出額が大きくなっている。

 ICT教育(ICT環境の整備を含む)の歳出額も 大きくなっている。PC等の維持管理費の支出に 加えて,教職員用タブレットや大型モニター整備 などの導入を行っている団体もある。2020年から 新学習指導要領によりプログラミング教育の必修 化が予定されることもあり,その対応にも迫られ ており,今後ますます歳出額が伸びていくと思わ れる。

⑵ 国が財源措置すべき経費

 歳出額の大きい各事業について詳しく見てきた が,それらの事業については,「義務教育につい て,国が財源措置をすべきと考えられる事務等が ありますか。」という自由回答の質問を行った中 でも,いずれも国が財源措置をすべきと考えられ る事務等として挙げられていた。その中でも特に 多くの意見を集めていた内容は,情報化社会にお いて必須ともいえる校務用や教育用のICT環境整 備,国際化教育の推進など教育環境の取り巻く変 化に応じたALTの任用を中心とした教職員の配 置,三位一体改革により国庫補助から一般財源化 が行われた準要保護援助事業,すでに措置が行わ れている要保護援助事業である。このように,実 際には財源措置がなされているものを回答者が挙 げているということを強調しつつ,表 4 ではこれ らの事業の現在の財源措置の状況をまとめた。

 表 4 に示すように,ICT環境整備,準要保護援

(15)

助事業,要保護援助事業については,地方交付税 による一般財源措置が行われている。要保護援助 事業については,さらに国庫補助金の対象にも なっている。ALT任用については,直接的な財 源措置の対象となっていない。

 アンケートにおいて,国が財源措置をすべきと 考えられる事務等としてこれらが挙げられてきた 理由としては,これらが一般財源として措置され ているがために国により負担されている印象が薄 いこと,国が財源措置していることを認識しつつ 引き続き負担すべき事業と考えられていること,

事業が全国的に行われるなど標準化してきており 統一的に整備されるべき環境であると考えられて きたこと,費用負担が市町村財政に大きな負担と なってきていることが理由として考えられる。な お,今回のアンケートは義務教育主管課長あてに 送付したものであり,地方交付税を管掌している 財政主管課長あてに送付をしたわけではない。し たがって,回答にあたっては義務教育主管部局と しての考えが強いと思われる。

⑶ 市町村が考える義務教育財政上の課題  最後に義務教育財政上の課題についても自由回 答で質問を行った。回答としては「近年財政上非 常に厳しいので教育予算も潤沢とは言えない。」

という厳しい財政状況にあること,そのような中,

「市の財政が縮減するなか,国の予算を増やすべ きである。教育への投資額が少な過ぎると考え る。」と国の財源措置の拡大を希望する意見があっ た。そして,支出先としては,「教師の働き方改 革による市の負担(支援員,部活動支援,校務支 援システムなど)が年々増加している」,「外国籍 児童・生徒の増加が将来的に見込まれる。日本語 指導の財源整備をお願いしたい」と教育ニーズの 拡大している分野への支出を求める声があった。

「ICT教育,プログラミング教育,英語教育等の 実施には自治体による環境整備が必要であるが,

財政力の格差が教育の格差につながる可能性があ る」といった指摘もあった。

結論

 本稿では,まず,総務省の「地方財政状況調査」

等の財政データを活用し,「予算措置率」を計算 することで市町村義務教育費の地域間比較を行い 分析した。

 その結果として明らかになったのは以下の諸点 である。第一に,予算措置率と財政力は弱いなが ら相関性があることがわかった。財政力指数が 1 以上の市町村では,行政サービスを充実させやす く,予算措置率はほぼ全てが1.00倍以上となって いた。一方で,財政力指数が 1 未満の市町村では,

おおむね財政力指数に比例して予算措置率が大き くなっていた。予算措置率は1.00~2.00倍の開き があった。

 第二に,予算措置率が1.00倍を下回る団体が一 定数存在していることから,市町村は基準財政需 要額の算定に即して市町村が支出水準を維持して いるとはいえないことがわかった。基準財政需要 額によって算出された水準がナショナル・ミニマ ムを規定していると市町村が解釈しているのであ れば,その水準を下回る支出をするとは考えにく い。必ずしも基準財政需要額を意識していない可 能性がある。または,財政事情からやむを得ずほ かの費目を優先して,予算配分の対象としている 表4:国が財源措置をすべきと考えられる事務等と

   挙げられた主な事業の財源措置状況

事業の内容 措置の方法

ICT環境整備 地方交付税による一般財源措置 基準財政需要額の単位費用で「教 育情報化関係経費」として計上 ALT任用 ALT任用自体への措置なし 準要保護援助

事業 地方交付税による一般財源措置 基準財政需要額の単位費用で「準 要保護児童関係経費」として計上 要保護援助事

業 国庫補助金(2 分の 1)

「就学困難な児童及び生徒に係る 就学奨励についての国の援助に関 する法律」他による

地方交付税による一般財源措置

(2 分の 1)

基準財政需要額の単位費用で「要 保護児童関係経費」として計上

(16)

ことも考えられる。

 第三に,財政力と予算措置率の相関は年々弱 まってきている。社会状況の変化により市町村で 取り組まれる事業が徐々に拡大しており,全国的 に支出を増やしつつあるものの,同じような財政 力であっても,市町村による政策選択の優先順位 などにより,取り組み状況に差が開きつつあるの ではないかと思われる。また,本来であれば基準 財政需要額に盛り込まれるべき性質の全国的に標 準化されてきている事業による行政需要の拡大が あり,それに対して全国の市町村が支出を余儀な くされているものの,実態として基準財政需要額 に適時適切に反映されていない現状が見られた。

 続いて,統計データでは捕捉しきれない地域差 およびその要因を明らかにするためにアンケート 調査を行った。アンケート結果からは,ICT教育,

外国語教育など今日の教育ニーズは多様化を極め 拡大の一途をたどっており,それら新たなニーズ への対応が市町村の単独による財政支出の拡大に より個別に対応している状況が明らかになった。

このような市町村の財政支出の拡大が続けば,財 政力のない市町村から順に対応しきれなくなって いき,教育サービスの内容・水準における地域差 が拡大していく要因となりうる。

 このような状況に対処していくためには,一般 財源の充当先となる「単独事業」も含め,国によ る財源保障の拡大を行う必要がある。そこで改め て地方単独事業について整理したい。通説的に は,国庫支出金の支出のない事業が地方単独事業 とされている。義務教育で行われる市町村の事業 は一部を除いてほとんどがこの地方単独事業にあ たる。しかしこの地方単独事業には,地方交付税 措置がある事業と地方交付税措置がない事業が含 まれている。さらに,地方交付税措置がある事業 については,明確な交付税算定基準が設けられて いる事業と基準が漠然としている事業に分けられ る。明確な基準が設けられている事業,基準が漠 然としている事業の一部は財政力指数との関係性 が希薄である。これは地方交付税措置が比較的手 厚く行われていることによる。基準が漠然として

いる事業の一部,および国庫支出金も地方交付税 措置もない事業は,留保財源や超過財源が充当さ れるため,財政状況による地域差が生まれる要因 となっている。

 では,国がどのように財源措置すべきかについ て検討していく。従来から地方交付税措置の対象 となっていて明確な基準が設けられている事業に ついては,ナショナル・ミニマムを担う地方交付 税措置を通じた財源保障措置を引き続き行いつつ も,その算出根拠となる単位費用等が適切な額で あるのかを検討していく必要がある。特に,基準 財政需要額で標準とされる水準を超えて,全国的 に標準化されつつある場合には,ナショナル・ミ ニマム基準が上昇している可能性もあり,この変 化に対応した単位費用の引き上げを検討する必要 がある。

 これまで地方交付税措置が行われていたものの 基準が漠然としている事業や地方交付税措置が行 われていなかった事業の中においても,少なくと も標準化している事業や全国的に必須となりつつ ある事業についてもナショナル・ミニマムとして の財源保障が必要となる。これらの事業は本来な らば財政状況によって差が生じるべきではない事 業になってきている。基準財政需要額において明 確化を行い,地方交付税措置を充実させて地域差 が生じないように対処する必要がある。

 現状としては,社会環境の変化への対応に国が 十分な財源保障責任を果たしているとはいえな い。市町村による地方自治を尊重しつつも,同時 に国による義務教育の内容・水準の保障が十分に 行われていく必要がある。

【注】

      

 1) 教育基本法第 5 条第 3 項では,「国及び地方公共 団体は,義務教育の機会を保障し,その水準を確 保するため,適切な役割分担及び相互の協力の下,

その実施に責任を負う」とされている。

 2) 憲法第26条 すべて国民は,法律の定めるところ

(17)

により,その能力に応じて,ひとしく教育を受け る権利を有する。

2 すべて国民は,法律の定めるところにより,

その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を 負ふ。義務教育は,これを無償とする。

 3) 全国市長会の政策推進委員会の下に設置された研 究会である。都市自治体が地域の実情に沿った行 政サービスを持続的に提供していくために,現在 の都市自治体が抱える税財政上の課題を検証しつ つ,自立した行財政運営が可能となる都市税財政 のあり方やこれに関連した都市経営のあり方につ いての調査研究を目的とした。全国の市長27人と 有識者 4 人により構成され,有識者の専門は財政 社会学,地方財政学,教育行政学であった。

 4) 「ネクストステージに向けた都市自治体の税財政 のあり方に関する研究会報告書」第Ⅲ部,pp. 91

-135頁,ネクストステージに向けた都市自治体 の税財政のあり方に関する研究会(2018),

http://www.mayors.or.jp/p_action/documents/

300518nextstage_houkokusho.pdf

調査対象:全国814市区(※2017年 9 月時点),調 査年:2017年(2016年度決算),回収率:601市区 /814市区=73.8%

 5) ALTはAssistant Language Teacherの略であり,

外国語を母国語とする外国語指導助手をいう。小 学校や中学校に児童・生徒の英語発音の向上等を 目的に各教育委員会から学校に配置され,授業を 補助する。

 6) JETプログラム(外国青年招致事業)の一部とし て,ALT任用する市町村に対する地方財政措置は 存在する。

 7) 義務教育における国・都道府県・市町村の役割分 担,文部科学省,

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/

chukyo3/038/siryo/08120806/002.htm

 8) 「義務教育費に係る経費負担の在り方について(中 間報告)」,文部科学省,

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/

chukyo3/gijiroku/04053101/002.htm

 9) 学校教育法第 5 条 学校の設置者は,その設置す る学校を管理し,法令に特別の定めのある場合を 除いては,その学校の経費を負担する。

10) 「地方財政状況調査個別データ」各年度分,政 府統計の総合窓口(e-Stat),https://www.

e-stat.go.jp/

11) 総務省ホームページには各年度市町村別(費目 別)基準財政需要額一本算定ベース(個別算定経 費)のデータは2014年度からの公開となっている が,総務省自治財政局交付税課に問い合わせたと ころ,2007年度からのデータ提供をいただいた。

12) 分析対象範囲については,第 1 章 1 . 2 節表 1 を参 照。

13) 経年変化を見るため,2007年度から2017年度まで に合併を行っていない1650団体で相関係数を計算 しており,図 2 の相関係数と図 3 の相関係数にず れが生じている。

14) 公務ご多忙の中アンケート調査にご協力をいただ いた市の皆様に深く感謝いたします。

【参考文献一覧】

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参照

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