3 章 動的応答問題における寄与分析手法 前章では,相互平均コンプライアンスを用いた静的問題における寄与分析手 法と相互応答の寄与度にひずみエネルギを適用することの問題点を数学的な定 式化から示した.本章では静的問題から動的問題に拡張した.動的問題の場合, 負荷点と応答点が異なることの影響に加えて,応答値が複素数となる影響があ り,新しい寄与度の定式化を提案する必要がある.始めに動的応答に対する寄 与度の定式化を示し,次に質量・減衰・剛性に分離した場合の寄与の分離手法 と感度解析手法を示す.最後に,はり構造を例題とし,提案する寄与分析手法 の有効性を示す.
3.1.解析手法 3.1.1.動的応答に対する寄与部位の導出 ここでは前章までの静的な考え方を動的な定常応答に拡張する.また平均コ ンプライアンスを一般系として相互平均コンプライアンスで扱う.図 2-1 で示 す構造物の離散化された運動方程式は次式となる.
{ }
F =[ ]
M{ }
U&&+[ ]
C{ }
U& +[ ]
K{ }
U (3.1) ここで,[ ] [ ] [ ]
M , C , K は質量,減衰,剛性行列を示す.この右辺で示される行列 は動質量行列[ ]
B として表すと,式(3.1)は次式で示される.{ }
F =B( ) { }
ω U (3.2) 式(3.2)の関係は,式(2.1)の関係と同等である.式(3.2)は,静剛性を動剛性で 関係付けることで表現される.故に式(2.8)で示す相互平均コンプライアンスは, 動的な問題の場合,周波数ωの関数として次式で示される.[ ]
Bi は要素動剛性行 列を示し, ,a b は相互平均コンプライアンスの実数部,虚数部をa b は離散化i, i された各要素の相互平均コンプライアンスの実数部,虚数部を示す.( )
{
( )
}
( ) ( )
{
( )
}
( )
( )
( )
( )
(
)
1 1 n t i i i n i i i l a jb a jb ω ω ω ω ω ω ω ω ω = = = = + = +∑
∑
V B U (3.3) 通常の動的応答問題では減衰項の存在のため相互平均コンプライアンスは複素 数となり,このままでは定量値の指標としての寄与度を求めることができない. そこで応答の振幅値を定量化した指標値 w を式(3.4)で示す.なお式中のωは省略 する.l は各要素の相互平均コンプライアンスを示し,式中の上付き記号*は複i 素共役値を示す.( )
( )
( )
( )
* 2 2 * 1 1 2 2 1 1 n n i i i i n n i i i i w l l a b l l a b = = = = = × = + = × = + ∑
∑
∑
∑
(3.4) 動的応答に対する寄与度を導出するためには,式(3.4)から各要素の相互平均コ ンプライアンスを求める必要がある.1 例として,市販ソフトの中では各要素の ひずみエネルギe を次式で求めているi (85).( ) ( ) (
)
[ ] [ ]
(
)
2 2 * 2 1, 2, ,in the case of Strain Energy
i i i i i i i e = l ×l = a + b i= n = L ; B K (3.5) しかし式(3.5)から求めた全要素の総和は,各要素の位相関係が考慮されていな いため式(3.4)とは一致しない.以下に簡単な数値例を示す.3 つの要素の相互平 均コンプライアンスを式(3.6)として考えるとそれらの総和は式(3.7)となる.式 (3.4)から求めた結果は式(3.8)となり両者は一致しない.つまりこの方法では厳 密な寄与度を示していないことになる. 1 2 3 (1 ) (1 ) ( 1 ) l j l j l j = + = − = − − (3.6) 3 * 1 2 2 i i i l l = × =
∑
(3.7) (1 ) (1 ) 2 w= − × +j j = (3.8) そこで各要素の寄与度を示す新しい指標を式(3.9)を用いて提案する.まず式 (3.4)の平方根の中を各要素の値に分離可能な式変形を行う.次に既知の w を分 母とすることで,平方根を外した式変形を行い,各要素の寄与度を抽出可能とする.w は各要素の相互平均コンプライアンスの振幅値を示す. i
( )
( )
( )
( )
( )
( )
(
)
(
)
( )
2 2 1 1 1 1 1 1 1 1 1 2 2 1 1 n n i i i i n n i i i i i n n i n i i i n i i n i i i i n i i w a b a a a a b b b b a a b b a a b b a b w w = = = = = = = = = = + + + + + = + + + + = + = + =∑
∑
∑
∑
∑
∑
∑
∑
∑
L L L L (3.9) 上式は図 3-1 の関係となり,全体の相互平均コンプライアンスを各要素の相互 平均コンプライアンスのベクトル和で示している.換言すると,各要素で取り 出した式(3.10)が求めたい応答の振幅値に対する各要素の寄与度を示すことに なる.そこで,式(3.10)を応答に対する各要素の寄与度として提案する.これは, 符号を含めた全体に対する寄与度の指標と考えることができる. Fig. Fig. Fig.Fig. 3333----1111 Relation between each element l and whole i l
a
+
jb
i
i
a
+
b
2
2
a
+
b
a
n
+
b
n
1
1
a
+
b
Real
Imag
(
)
2 2 1, 2, , i i i a a b b w i n a b + = = + L (3.10) 式(3.6)の例を式(3.10)に適用すると式(3.11)となり,要素 2 の寄与が高いことが 示される.( )( ) ( )( )
( )( ) ( )( )
( )( ) ( )( )
(
)
1 1 1 2 2 2 2 2 2 2 3 3 3 2 2 3 1 1 1 1 1 0 2 1 1 1 1 2 2 1 1 1 1 0 2 2 i i i a a b b w a b a a b b w a b a a b b w a b w a a b b = + − + = = = + + − − + = = = + − + − − + = = = + =∑
+ = (3.11) 3.1.2.成分分離した寄与度の導出法 静的問題の場合,寄与度は剛性の効果のみで決まるが,動的問題の場合,剛 性の効果に加えて質量や減衰の効果が含まれる.そのため,寄与のメカニズム を理解するためには,成分分離した値を求める事が有用である.要素動剛性行 列[ ]
Bi は,式(3.1)の全体行列と同様に,式(3.12)に示すように質量・減衰・剛性 成分に分離することができる.一般的に減衰成分はレイリー減衰(86)で示される が,ここではヒステリシス系の構造減衰を用いる.その理由は,車体を構成す る鉄やブッシュのゴム材料の減衰特性として構造減衰特性を使用する場合が多 いためである.βiは要素毎の構造減衰定数に相当する.式(3.12)から成分分離し た要素毎の寄与度を導出する.[ ]
[ ] [ ]
[ ]
(
)
[ ]
[ ]
2 1, 2, , i i i i i i i j i n ω ω β ω = − + + = = L B M K C C K (3.12) 式(3.12)を式(3.3)に代入すると次式となる.am ak aci, i, iは要素相互平均コンプラ イアンスの質量・剛性・減衰成分の実数部を,bm bk bci, i, iは虚数部を示す.{ }
[ ]
{ }
{ }
(
[ ] [ ]
[ ]
)
{ }
(
) (
) (
)
{
}
2 1 1 1 n n t t i i i i i i i i i i i n i i i i i i i l j am jbm ak jbk ac jbc ω β = = = = = − + + = + + + + +∑
∑
∑
V B U V M K K U (3.13) 各要素の質量・剛性・減衰成分の寄与度をwm wk wci, i, iとすると式(3.14)となる. 式(3.14)を用いることで,評価点の振幅値に寄与の高い要素に対して,質量・剛 性・減衰成分の効果を明確化することが可能となる.(
)
2 2 2 2 2 2 2 2 ; 1, 2, , i i i i i i i i i i i i i i i i am a bm b wm a b ak a bk b wk a b ag a bg b ak b bk a wc a b a b w wm wk wc i n β + = + + = + + − = = + + = + + = L (3.14) 3.1.3.動的応答に対する感度の導出法 上述した要素毎の相互平均コンプライアンスは,現在の状態の対象とする応 答に対する寄与度を示す.つまり,その部位の寄与度を小さくすれば応答を低 減できる可能性が大きい.現実には寄与度を小さくすることに相当する物理量 を変更する.例えばはり要素であれば断面の形状寸法であり,板要素であれば 板厚といった量に相当する.しかし,その物理量をどのよううにどれぐらい変 更すれば適当かは不明である.2章で示した静的問題の場合は剛性の効果のみで あったが,動的問題では,剛性に加えて,質量や減衰の効果も加わり,どの成 分をどの方向へ変更すれば良いのかは,寄与度だけからは判断できない場合も 考えられる.そこで,静的問題の時と同様に,寄与度に加えて要素相互平均コ ンプライアンスの設計変数に対する感度を導出する.例えば独立の設計変数 xi が要素毎に1つ存在するとすれば,動的問題の感度は式(2.18)~式(2.20)より次式 となる.{ }
[ ]
{ } { }
[ ]
{ } { }
[ ]
{ }
{ }
[ ]
{ }
{ }
[ ] [ ]
{ }
{ }
[ ] [ ]
{ }
1 1 t t t i i i i t i i i i i l x x x x x x x x x − − ∂ ∂ ∂ ∂ = + + ∂ ∂ ∂ ∂ ∂ = − ∂ ∂ ∂ = − ∂ ∂ ∂ ∂ = − ∂ ∂ V B U B U V U V B B V U U B B U V B B V Q (3.15) 式(3.15)の感度も相互平均コンプライアンスと同様に複素数となるので,式(3.4) で示す変位応答の振幅に対する感度を導出する.(
)
* * * * 1 Real 1, 2, , i i i i w w l w l x l x l x l l i n x l l ∂ =∂ ∂ + ∂ ∂ ∂ ∂ ∂ ∂ ∂ ∂ = = ∂ × L (3.16) 上式と式(3.10)を用いて,現在の応答に対して寄与が高く設計変数の変更に対す る効果が大きい部位を選択する.しかし,板厚等を設計変数として考えると, 変更した効果が質量,剛性,減衰のすべてに影響を与える.そこで,各成分の 影響を独立して考えるために,前項で示した質量,剛性,減衰に分離した成分 について,要素毎の密度ρ ,ヤング率E,構造減衰係数β を設計変数とした応 答振幅に対する感度を式(3.16)より導出する.(
)
(
)
(
)
1 1 1 1 1, 2, , i i i i i i i i i i i i i w wm wm w wk wk wc wk E E E E if wk wc w wc wc i n ρ ρ ρ β β β ∂ = ∂ = − ∂ ∂ ∂ = ∂ = − + ≅ − ∂ ∂ ∂ = ∂ = − ∂ ∂ = ? L (3.17)これらから質量・剛性・減衰に相当する感度は,おおよそ各寄与成分の逆符号 の値と考えることができる.つまり,質量,剛性,減衰に成分分離した寄与成 分を求めれば同時に感度の情報も推定することができる.つまり式(3.14),(3.16) を用いて応答振幅に寄与の高い部位と成分を推定することが可能となる. 最後に,相互平均コンプライアンスを用いた寄与部位の選定手順をまとめる. (1) 成分分離した相互平均コンプライアンスにより,質量成分・剛性成分の大きい部 位を抽出する. (2) (1)の中で剛性成分・質量成分が単独で寄与する部位は,質量の増減予測を考慮 しながら寄与部位を選定する. (3) (1)の中で剛性成分と質量成分が混在する部位は,具体的な対策方法が剛性成分 と質量成分のどちらに有利に働くかを考慮し,寄与部位を選定する. (4) 減衰成分の寄与の高い部位を選定する. (5) (1)~(4)について,設計変数に対する感度が抽出可能であればそれも考慮 して寄与部位を選定する. 3.1.4.付加構造の感度解析による寄与分析手法 今までは既存の構造の寄与や感度を導出し,それを用いた対策部位の選定法 について提案した.大規模振動・騒音問題の場合,対策方法は,全体の質量に 対して微小な付加構造(微小な質量増加)による場合が多く存在する.その場 合,微小な構造をどこに付加するかが重要なポイントの 1 つとなる.故に,付 加構造について,その感度の情報から寄与部位を選定することも有用な選定法 の 1 つと考えられる.今,各要素に加える付加構造の動剛性行列を
[ ]
Bi newとす ると,新しい動剛性行列[ ]
B newは次式となる.[ ]
[ ]
[ ]
1 n new new i i= = +∑
B B B (3.18) 加振力が一定と考えると,実際の加振力と仮想的な加振力に対する変位の関係 は次式となる.{ }
[ ]
{ }
{ }
[ ]
{ }
new new = = F B U G B V (3.19)設計変数を要素毎の付加構造の特性とすると,式(3.15)は次式となる.
{ }
[ ]
{ } { }
[ ]
[ ]
{ }
{ }
[ ]
{ }
[ ]
1 0 n new new i new t t i i i i new t i i i i i l x x x x x = ∂ + ∂ ∂ = − = ∂ ∂ ∂ ∂ = ∂ ∂ = ∂ ∑
Q B B B V U V U B V U B (3.20) 式(3.20)を式(3.16)に代入することにより,付加構造の振幅に対する感度を導出 することができる.付加構造をスカラーばね要素やはり要素と仮定すると,動 剛性行列とその設計変数に対する感度は既存構造に依存することなく任意の 2 点間について,解析的に記述することができる.つまり,付加構造による新し い変位やその感度は,式(3.19),(3.20)より容易に導出可能である.通常,シ ェル要素で構成された既存構造の場合,差分感度を求めるための処理を必要と する事と比較すると,簡便に感度を計算することが可能である.後述の5章,6 章では縮退技術と付加構造を用いた最適設計法を提案するが,その中で式(3.20) を用いた感度を採用している.3.2.実施例:動的問題を対象とした寄与部位の抽出 前節までに相互平均コンプライアンスによる評価点の動的応答に対する寄与 部位の抽出法を提案した. 本項ではこの手法を片持ちはりに適用し,その有効性を示す.ここでは図 2-4 の例題について,与えられている加振力を周波数に対して一定のホワイトノイ ズとした動的問題を考える.なおすべての要素で一定の構造減衰係数β =0.01を 与える.動的問題ではコンプライアンスよりもイナータンスの次元で考える場 合が多い.そのため式(3.10),(3.16),(3.17)にω2を乗じた値を寄与度・感度 として採用する.図 3-2 の周波数応答線図で示すように,34Hz で 1 次,216Hz で 2 次の曲げ固有値に起因するピークが発生する.そこで評価点に対する寄与 度を 1 次曲げについては 30~40Hz の平均値で,2 次曲げは 210Hz~220Hz の平均 値で式(3.10)の相互平均コンプライアンスから算出する.
1-th Real Mod e (34H z)
2-th Real Mod e (216H z)
0
50
100
150
200
250
300
10
40
70
100
130
Frequency H z
A
c
c
e
le
ra
ti
o
n
d
B
0dB=1mm/s
2 Fig. Fig. Fig.Fig. 3333----2222 Frequency Response Function at the Target Point : Target Point
図 3-3 に 1,2 次モードを対象とした要素毎の相互平均コンプライアンスを式 (3.14)で示す質量・剛性・減衰成分に分離した値と共に示す.また式(3.5)で示 す 2 乗和で求めた場合を図 3-4 に示す.図 3-3(a)の 1 次のモードの寄与度にお いて,全体の寄与度がはりの中心より根元側で正,先端側で負の値を示しその 総和が評価点の応答量に相当する.また根元側は剛性の寄与で決まり,先端側 は質量の寄与で決まっている.つまり,変形を分担している部位が根元側であ り,質量として運動している部位が先端側であることを示している.また式 (3.17)よりヤング率,密度に対する感度は成分寄与度の逆符号になるため,こ の場合の対策は,根元側を太く,先端側を細くする一般的な傾向を読み取るこ とができる.図 3-4(a)の 2 乗和の寄与度でも根元と先端の寄与が大きい事が読 み取れるが,特性の寄与までは不明である. 2 次モードの寄与度について,図 3-4(b)の 2 乗和で求めた場合はどの部位でも 正値となり,部位間の相殺の効果が不明である.一方,図 3-3(b)に示す寄与度 では,部位によって寄与の正負が逆転する.つまり 2 乗和で算出した寄与の大 きい部位での剛性向上対策が必ずしも正しいとは言えない.しかし,図 3-3(b) で示す全体の寄与度からもそれだけの情報からは寄与部位を見出せない.そこ で成分分離した寄与度を見ると次のことが推測される. (1)x=800mmより先端側は質量の効果のみ. (2)x=200mmより根元側は減衰と剛性の効果. (3)x=200~800mm の中間では主に質量と剛性の寄与が相殺した上で全体の寄 与が決まる. (4)はりの根元と中心で減衰の寄与がある. はりの先端では質量成分の寄与が大きく,密度に対する感度で考えると質量増 加の対策を示している.根元側では減衰と剛性がほぼ相殺している.中間では 質量増加と剛性低下の対策を示している.今,正方形断面の辺長を設計変数と して考えると,曲げ剛性は 3 乗で影響し,質量には 1 乗で影響する.つまり設 計変数を変更した時の効果は質量よりも剛性の方が大きいと考えられ,剛性の 寄与が大きい部位の辺長を短くする対策が有効と考えられる.この対策は,式 (3.16)より算出した感度からも推測される.図 3-5 に示す感度では,x=600mm 付 近の部位が正の感度が最大となり,辺長を短くする対策を示している.
0
200
400
600
800
10 00
-3E3
-2E3
-1E3
0E0
1E3
2E3
3E3
w
iof Total w
iof K
w
iof M w
iof C
Location on X Direction mm
C
o
n
tr
ib
u
ti
o
n
R
a
te
s
m
m
/s
2(a) Between 30 Hz and 40 Hz
0
200
400
600
800
10 00
-6E4
-3E4
0E0
3E4
6E4
Location on X Direction m m
C
o
n
tr
ib
u
ti
o
n
R
a
te
s
m
m
/s
2w
iof Total w
iof K
w
iof M w
iof C
(b) Between 210 Hz and 220 Hz Fig. Fig. Fig.0
200
400
600
800
10 00
0E0
2 .5E3
5E3
7 .5E3
1E4
Location on X Direction mm
C
o
n
tr
ib
u
ti
o
n
R
a
te
s
m
m
/s
2(a) Between 30 Hz and 40 Hz
0
200
400
600
800
10 00
0E0
1E6
2E6
3E6
Location on X Direction mm
C
o
n
tr
ib
u
ti
o
n
R
a
te
s
m
m
/s
2 (b) Between 210 Hz and 220 Hz Fig. Fig. Fig.0
200
400
600
800
10 00
-3E3
-1.5E3
0E0
1.5E3
3E3
Location on X Direction mm
S
e
n
s
it
iv
it
ie
s
N
/s
2 Fig. Fig. Fig.Fig. 3333----5555 Sensitivity w.r.t. the Length of the Edge
以上から,質量増加を伴わず,評価点応答を低減するためにはx=600mmの周 辺を細くすることが有効であると考えられる.図 3-6,3-7 に評価点の応答結果 を以下の対策を施した場合について示す. (a)x =600mm を中心に 5 要素の辺長を 20mm とする. (b)x =300,700mm を中心にそれぞれ 5 要素(計 10 要素)の辺長を 35mm と する. (c)根元からx =100mm までの減衰定数を 0.05 に変更する. (d)x =500,600mm までの減衰定数を 0.05 に変更する (e)x =900,1000mm までの減衰定数を 0.05 に変更する 図 3-6 の対策(a)では固有値が 20Hz 以上低下し,対象周波数では大幅な低減 効果が得られている.しかし,図 3-4 で示した 2 乗和の寄与が大きい部分での 対策では,さほど大きな効果は得られなかった.これは,本来は考慮する必要 のある位相関係や成分の効果を無視し,定量的に寄与度を評価している事に起 因する.一方,対策(a)では,図 3-3(b)に示す全体の寄与度がほとんど 0 となっ ている.しかし,成分別の寄与度を考慮することで有効な対策部位として見出 すことができる. 次に,図 3-7 では,減衰定数を変更した(c)~(e)を示す.この結果より, 根元と中心での減衰の効果は他の部位よりも大きいことが確認された.これは, 図 3-3(b)で得られた寄与度の傾向と一致する. 以上より,相互平均コンプライアンスを成分寄与と共に示すことで,質量増 加を伴わない有効な寄与部位の抽出が可能であることを示した.
150
170
190
210
230
250
70
90
110
130
Frequency H z
A
c
c
e
le
ra
ti
o
n
d
B
Initial
(a) (b)
0dB=1mm/s
2 Fig. Fig. Fig.Fig. 333----6366 Comparison between 3 cases 6
200
210
220
230
100
105
110
115
120
125
130
Frequency H z
A
c
c
e
le
ra
ti
o
n
d
B
Initial (c)
(d) (e)
---- Fig. Fig. Fig.3.3.まとめ 本章では,動的問題に対して,相互平均コンプライアンスを用いて寄与部位 を効率的に抽出する選定法を提案した.内容を以下にまとめる. (1) 動的問題における位相を考慮した相互平均コンプライアンスを用いた寄与 度の算出法を提案した. (2) 質量,剛性,減衰成分に分離した寄与度とその感度の考え方を提案した. (3) 相互平均コンプライアンスを用いた寄与部位の選定手順をまとめて示した. (4) 片持ちはりの応答問題に適用し,成分分離した寄与度と感度から,質量低下 による低減案を提示し,本手法の有効性を検証した.