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橋上空間の視覚特性

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Academic year: 2021

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橋上空間の視覚特性

舛野 拓也,田中 一成

Visual Characteristic on Bridge

Takuya MASUNO and Kazunari TANAKA

Abstract: Bridges are important as traffic means. It has been having six roles;

passing, protecting viewing, supporting, gathering, and resting. The purpose of this study is to quantify the visual characteristic on bridges in urban space. The method is to analyze the view with GIS, CAD/CG. The sequential change of view, the visual characteristic of space and the difference from other urban spaces have investigated.

As a result, the visible range spreads out on the bridge space the scene from the space has continuity in a bridges. Three area; the close view, the middle view and the distant view can be classifid by analysis about the image elements.

Keywords:橋上空間(space in a bridge), 視覚特性(view characteristic),景観分 析(landscape analysis)

1.はじめに

大阪は水の都といわれ,「浪華の八百八橋」と称さ れるほど多くの橋が架けられている.ある地点の川を 渡る目的として架けられた橋は,次第に道路の一部と して機能するようになり,現代では道路網の付属とし て配置され橋としての意味を失いつつある.橋の機能 は「渡る」だけでなく「支える」・「守る」・「観 る」・「憩い」・「集う」という様々な機能が存在し,

それらの役割によって川の風景と調和したり,街のラ ンドマークとなり人々を楽しませたりすることができ る.また,世界の橋梁では,橋上で商業を営む,家を

建てて生活をするなどの光景を目にする.これからの 時代,特に都市内の橋は都市環境・景観に対し重要な 意味を持ち,周辺環境を配慮した設計がなされなけれ ばならない.新たな観点から橋をとらえなおし,都市 内の橋の特徴を見出すことができれば,その都市の特 性を活かしたよりよい未来の都市づくりにつながると 考えられる.現在ある都市内の橋の多くは,河川等を 歩行者や自動車などが渡ることを主に目的として機能 している.しかし橋上では他の都市内では得られにく い地上レベルでの見通しもあり,自分の位置を認識す ること,その都市をイメージすることができる場所と 言える.一連の研究では,都市のイメージに影響を与 える橋の役割を見出し,記述することを最終的な目的 とする.

舛野:〒535-8585 大阪市旭区大宮 5-16-1

大阪工業大学大学院 工学研究科都市デザイン工学専攻 TEL: 06-6954-4109(内線3140)

e-mail: [email protected]

(2)

まず,大阪市 DM データと LIDAR データ(航空機搭 載型レーザー測量データ)を用いて地形モデル,建物 モデルの生成を行う.橋が特殊な場所と考えるにあた って,視点場を橋上空間と街路空間とし,ランドマー ク(大阪城)を対象に GIS による可視・不可視分析 を行い,街路と橋上の可視範囲の差を比較しデータを 抽出する.また、並行して橋を渡る歩行者の視線変化 を可視・不可視分析結果と合わせて,心理的にも評 価・検討する.また,対象地区を CAD/CG 上でモデ リングし,橋と交差点での距離別の見えの面積の比率 を画像解析により抽出し,ヒストグラムを用いて比較 する.そこから橋上空間と街路空間での景観の連続性 に関する特性を明らかにし,それにもとづく橋上空間 の視覚特性を考察する.

本研究では,まず橋上空間と都市内の街路空間を比 較,検討し,橋上空間の特殊性を記述することを目的 としている.そこで,橋上空間から川の流下方向への 可視領域と都市内の街路での可視領域を見ていくこと で両者の差異を明らかにする.さらに,橋上空間から の視覚特性を数量的に記述する方法を検討し,それに よる景観の特性の記述,及び他の都市空間との差異を 明らかにする.

2.研究対象地

本研究の対象地区として,大阪市北区と都島区の境 界に位置する大川,寝屋川,第二寝屋川に架かる 10 橋を選定する.橋上から見えるランドマークとして,

大阪の代表的なシンボルでもある大阪城を対象とする.

対象地区は,湾曲した広がりのある河川空間により眺 望にめぐまれており,川沿いの公園の緑や橋梁,建築 物などが調和した優れた景観とされている.

3.1 可視・不可視分析

橋上からランドマークの見えについて GIS を用い て橋上と街路での可視・不可視分析を行った.街路空 間では対象から視点場が 100m~200m 離れるとの対 象への見えはほとんどなくなるが,橋上では1km~

2 km となり,橋上での見えは街路に比べて可視範囲 が広がるという結果になった(図-2)(図-3).

さらに,現地調査にて橋上の歩行者の視線の変化を調 査した結果と,歩行者の心理性と可視性を照らし合わ せ,橋上での空間評価を行なった.この結果,歩行者 が心理的に視線を変化しやすいポイントと橋上から大 阪城が見えるポイントが重なり視覚的に重要と考えら れるポイントを抽出した.

川沿いの建築物等は,対岸等の遠方から見られるこ とを意識し,建物の外形や色調,スカイラインなどの 周辺との調和に配慮されている.寝屋川,第二寝屋川 における大阪ビジネスパークのビル群が川面に映る景 観は,水の都大阪の代表的水景の一つである.周辺で は,主に一戸建住宅,共同住宅販売商業施設,業務施 設,医療・厚生施設,文教施設などであり,高層ビル,

マンション,民家が混在した都市構成となっている.

3.分析方法

本研究では,GIS と CAD/CG を統合的に用い分析 していくことで橋上空間での視覚特性を把握する.

図-1 対象地区

図-2 橋上での可視範囲

(3)

それぞれ視点場から画像を抽出し,ヒストグラムを用 いてそれぞれでの範囲の見えの面積を算出するし橋上 と街路を比較する(図-5)(図-6)(図-7).

地形・建物・河川・樹木などのその他の景観構成要 素を含んだ橋上空間での分析では,視点場から距離が 離れればグラフ通り見えの面積比は減少していること がわかる(図-5).また,近似曲線と照らし合わせ るとポイントにバラつきがなく滑らかな曲線を描いて いることから,相関も高い.この結果から,橋上空間 から見る景観には連続性が見られるといえる.

図-3 街路での可視範囲

3.2 透視面積比分析

CAD/CG 内の地物モデルの橋上と街路交差点の視

点場から眺めた景観の画像を抽出し,それをもとに面 積比の算出を行う.以下では,地上の全ての要素を合 わせた統合型分析と,建物,樹木,地形,河川に分け た景観要素別分析を行う.

3.2.1 統合型分析

GIS にて LIDAR データから TIN を生成させ

CAD/CG にインポートさせる. LIDAR データにより,

地形,建物,河川,樹木などすべてが含まれている

(図-4).分析では,橋上と街路空間のそれぞれの 視点場から 50m ずつの距離別のレイヤーを作成する.

0 10 20 30 40 50 60 70

50 m

150m 250 m

350m 450 m 550 m

65 0m 750 m

85 0m 950 m 距離(m)

比率(%

R2=0.4577

図-6 TIN による街路での見え

0 10 20 30 40 50 60 70

50m 100m 150m 200m 250m 300m 350m 400m 距離(m)

比率(%

R2=0.761

図-7 TIN による街路での見え(橋上と相似)

一方,街路での見えの場合,視点場から近い範囲に

おいて 60%以上の面積比と 200m ほど離れると見え

の面積比はほとんど0%に近い値となっていることが わかる.(図-6)では距離を同比率で比較し,(図

-7)では、見える部分だけを橋上と相似関係拡大に して比較している。全体的に,ポイントにもバラつき が見られ,相関も低い値となっていることもわかる.

このことから,街路空間では連続性が見られにくいと 解釈できる.つまり,街路空間では,橋上空間のよう な連続性のある景観が見られにくいといえる.

図-4 TIN による構築

0 5 10 15 20 25

10 0m 20 0m

30 0m 40 0m

50 0m 60 0m

70 0m 80 0m

90 0m 距離(m)

比率(%)

R

2

=0.728

図-5 橋上での見え(源八橋)

(4)

0 2 4 6 8 10 12

50 m 15 0m

25 0m 35 0m

45 0m 55 0m

65 0m 75 0m

85 0m 950 m

距離(m)

比率(%)

3.2.2 景観構成要素別の分析

景観構成要素別の可視・不可視分析を行った.ここ では建物要素の透視面積比分析を示す.景観分析時と 同様に GIS にて構築したモデルを CAD/CG にインポ ートし,橋上を原点に 50m ずつのレイヤーを作成し た.さらに,橋上を視点場とした際のそれぞれのレイ ヤーの建物画像を取り出し,距離別の建物の見えの面 積を算出した.見え方と距離の関係を分析した.代表 的なものを以下に示す(図-9)(図-10).橋上で は,建物の面積は徐々に減少していき右下がりの値と なっているが,600m 付近以降では一定値を示してい る(図-9).

図-10 街路での見え 4.おわりに

橋上空間と街路(交差点)空間における可視・不可 視分析結果の比較によって,橋上は街路よりも可視範 囲が広がるということが確認できた.また,橋上の歩 行者の視線変化と可視分析を照らし合わせることによ り,橋上の歩行者の行動と見えの関係を評価すること ができた.さらに,透視面積比分析では,橋上空間は,

街路では見ることのできない連続性のある景観を見る ことができる特別な場所であることが提示された.景 観構成要素別の分析では,建物の見えの面積によって,

近景・中景・遠景を仮説的に定義することができ,都 市内の複雑なイメージに対する中景の影響を考察する ことができた.

図-8 建物要素のモデル

0 2 4 6 8 10

50m 150 m 250 m

35 0m 45 0m

550 m 650 m

75 0m 85 0m

950 m

距離(m)

比率(%)

今後は,透視面積比分析によって導かれた結果によ って,近景・中景・遠景と分かれている景観と,橋上 空間からの景観のように連続性のある景観の差異を検 討する必要がある.さらに,ここで抽出した結果をも とに,様々な場合を想定したシミュレーションを行い,

橋上空間の視覚特性をより明確に記述する.ここでは,

GIS や CAD での構築,可視分析の際に詳細な樹木形 状を考慮するなど,今後,現実モデルに近づけるため の,詳細なデータについて検討する必要がある.

図-9 橋上での見え

これに対し,交差点では 200m までの見えの面積は 高いが,250m から 650m 付近になると面積の凹凸が 見られる.さらに 700m 以降になると見えの面積は0 に等しい値になることが読み取れる(図-10).この 結果から,橋上での 550m までと交差点での 200m ま でを近景,橋上 600mから 1000m ,交差点 250m から 600m を中景と捉え,橋上,交差点でのそれ以降の範 囲を遠景ととらえることができる.

謝辞

本研究を行うにあたり,大阪市建設局橋梁課から大川 にかかる橋梁一般図の提供をいただいた.ここに記し て謝意を表します.

益岡了・材野博司(1997)シークエンス景観における歩 行者の行動と反応の研究, 「日本建築学会計画系論文 集」 , 163-169

また,都市内の複雑なイメージを持たせている空間

は,見えの面積比が凹凸型である中景であると考えら

れる.

参照

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