第4章 線形システムの安定性
■本章では,線形システムの安定性,すなわちシステム内部の信号の有界 性や収束性について議論し,そのためのさまざまな条件を紹介する.
■状態
x(t)
,入力u(t)
,出力y (t)
の状態方程式˙
x(t) = Ax(t) + Bu(t) (96) y(t) = Cx(t) + Du(t) (97)
もしくは等価的に伝達行列
G(s) = (A, B, C, D) (98)
で与えられる線形システムについて考える.
109
第4章の内容
1.
安定性:応答の収束性を保証•
入出力安定性•
状態の安定性•
内部安定性2.
安定性の条件•
極による条件•
ラウス・フルビッツの安定判別法110
1 入出力安定性
■入出力安定性:システムに任意の有界入力を印加したとき,出力が発散 しないこと
⇒
制御システムに対するもっとも基本的な仕様■数学的定式化 1入出力系:
|u(t)| ≤ c < ∞, ∀ t
ならば|y (t)| ≤ M < ∞, ∀ t (99)
多入出力系:
(
どのベクトルノルムを使ってもよい)
ku(t)k ≤ c < ∞, ∀ t
ならばky (t)k ≤ M < ∞, ∀ t (100)
u G y
x(0)
111
2 入出力安定の条件
定理
4
1入出力系G(s)
が入出力安定となるための必要十分条件はZ ∞
0
|g (t)|dt < ∞ (101)
で与えられる.また,多入出力系の場合単位インパルス応答行列を
g(t) = L −1 [G(s)]
とすると,入出力安定条件はZ ∞
0
kg (t)kdt < ∞ (102)
となる.ただし,
g(t) = L −1 [G(s)]
は単位インパルス応答行列を表す.■絶対積分の計算が必要、使用しづらい
112
(
証明)
出力y(t)
は畳み込み積分で与えられる.ˆ
y(s) = G(s)ˆ u(s) ⇒ y (t) =
Z t
0
g(τ )u(t − τ )dτ (103)
|u(t)| ≤ c ∀t
ならば,|y (t)| =
¯ ¯
¯ ¯ Z t
0
g(τ )u(t − τ )dτ
¯ ¯
¯ ¯ ≤
Z t
0
|g(τ )| · |u(t − τ )|dτ
≤ c
Z t
0
|g(τ )|dτ ≤ c
Z ∞
0
|g(τ )|dτ (104)
従って,
R ∞
0 |g(t)|dt
が有界ならば,y(t)
も有界.逆に,入力を次の特別なものに選んだとき
u(τ ) = g(t − τ )
|g(t − τ )| ⇒ |u(τ )| = |g(t − τ )|
|g(t − τ )| = 1 (105)
113
その出力は
y (t) =
Z t
0
g(τ )u(t − τ )dτ =
Z t
0
g(τ ) g(τ )
|g(τ )| dτ =
Z t
0
|g(τ )|dτ
⇒ |y (t)| =
Z t
0
|g(τ )|dτ (106)
となる.システムが安定であるとき,
|y (∞)| < ∞ ⇒
Z ∞
0
|g(t)|dt < ∞
114
3 伝達関数の安定性
定義
4
伝達行列(
関数)G(s)
のすべての極が負の実部を持つとき,G(s)
は安定であるという.逆に,
G(s)
のすべての極が零以上の実部を持つと き,G(s)
は完全不安定であるという.また,G(s)
に一つでも非負の実部 を持つ極があるとき,不安定であるという.■完全不安定な伝達関数は不安定であるが,不安定な伝達関数はすべて 完全不安定になるわけではない.
115
例
伝達関数
G 1 (s) = 1
(s + 2)(s + 5)
の極が
p = −2, −5
であり,安定である.これに対して,伝達関数G 2 (s) = 1
(s − 2)(s − 5)
の場合,極が
p = 2, 5
であるので,完全不安定である.そして,伝達関数G 3 (s) = 1
(s + 2)(s − 5)
は極が
p = −2, 5
であり,不安定である.しかし,完全不安定ではない.116
4 極による安定条件
定理
5
線形系の入出力安定性はその伝達行列の安定性と等価である(
略証)
まず,G(s)
の極が重複しない場合G(s) = X c i
s − p i + d ⇒ g(t) = X
c i e p
it + dδ (t), t ≥ 0 (107)
極は
p i = a i + jb i
とおける.e p
it = e a
it e jb
it
及び|e jb
it | ≡ 1
を使うとZ ∞
0
|g(t)|dt ≤
Z ∞
0
hX |c i |e a
it + |d|δ(t) i
dt (108)
(|a + b| ≤ |a| + |b|
を用いた)a i
がすべて負のとき,上式の右辺は|d| + X |c i |
−a i < ∞
逆に,例えば
a 1 ≥ 0
のとき,e a
1t
は発散するか定数になるので,その積 分R ∞
0 e a
1t dt
が発散してしまう.117
極による安定条件
また,重複する極がある場合,例えば
p = a + jb
が2
重極であるときG(s) = c 1
(s − p) 2 + c 2
s − p +
ほか⇒ g(t) = c 1 te pt + c 2 e pt +
ほか(109)
第
1
項の積分だけを調べればよい.a < 0
とすると,Z ∞
0
¯ ¯ te pt ¯
¯ dt =
Z ∞
0
¯ ¯ te at ¯
¯ dt =
Z ∞
0
te at dt = 1
a 2 < ∞
よって,重複する極がある場合でもインパルス応答の絶対積分が有界と なり,入出力安定である.
118
例
■安定システム
G(s) = 1/(s + 1) 2
の単位インパルス応答g(t) = te −t , t ≥ 0
よって,
Z ∞
0
|g(t)|dt =
Z ∞
0
te −t dt = 1
となり,有界である.
■一方,不安定伝達関数
G(s) = 2/(s − 1)(s + 1)
の単位インパルス応答g(t) = e t − e −t , t ≥ 0
この場合,明らかに積分
Z T
0
|g(t)|dt = e T + e −T − 2
が
T → ∞
のときに発散する.119
例題
G(s) = s/(s 2 + ω 2 )
に以下の入力u
を印加したときの出力y
を求めよ.(a) u(t) = 1(t) (b) u(t) = sin ωt
120
例題
G(s) = s/(s 2 + ω 2 )
に以下の入力u
を印加したときの出力y
を求めよ.(a) u(t) = 1(t) (b) u(t) = sin ωt
【解答】
(a) ˆ u = 1/s
よりˆ
y(s) = s
s 2 + ω 2 u(s) = ˆ 1
s 2 + ω 2 ⇒ y (t) = 1
ω sin(ωt), t ≥ 0 (b) ˆ u(s) = ω/(s 2 + ω 2 )
及びL[tf (t)] = − dF ds (s)
よりˆ
y (s) = s s 2 + ω 2
ω
s 2 + ω 2 = ωs
(s 2 + ω 2 ) 2 = − 1 2
d ds
· ω
s 2 + ω 2
¸
⇒ y (t) = 1
2 t sin(ωt), t ≥ 0
入力が有界であるにも拘らず,出力は発散する.理由は
G(s)
が虚軸上に 極を持つから.⇒
「臨界安定性」は無意味!(hm41.mdl)
121
5 状態の安定性
■自由システム:外部入力が
u(t) ≡ 0
のときの線形システム˙
x(t) = Ax(t), x(0) 6= 0 (110)
■任意の初期状態に関する状態の応答が原点に収束するとき,すなわち
x(∞) = lim
t→∞ x(t) = 0 (111)
のとき,状態
x(t)
が安定であるという.122
6 状態の安定条件
定理
6
自由システムの状態が安定となるための必要十分条件は,行列A
のすべての固有値が負の実部を持つことである.
x(t) = T −1 e Jt T x(0), t ≥ 0 (112)
e Jt =
e
J1t. . .
e
Jmt
, e J
it = e λ
it
1 t · · ·
( 1ri−1)!
t
ri−11 . . . . .
. . . . t 1
■一つでも実部が非負の固有値があると,状態を原点へ収束させないよ うな初期状態は必ず存在するので,状態が安定でない.
■そして,
Re(λ i ) < 0
ならばlim
t→∞ e λ
it = 0
及び次式より結論が分るt→∞ lim t j e λ
it = lim
t→∞
t j
e −λ
it = lim
t→∞
jt j −1
−λ i e −λ
it = · · · = lim
t→∞
j !
(−λ i ) j e λ
it = 0
123
1 自由度振動系の例
■外力がないとき
˙
x(t) = Ax(t) =
· 0 1
− M K 0
¸
x(t)
■
A
行列の固有値:det(sI − A) =
¯ ¯
¯ ¯ s −1
K
M s
¯ ¯
¯ ¯ = s 2 + K
M ⇒ λ = ±j
r K M
■固有値の実部が零なので,このシステムは不安定である.
■これはダンパ
(
摩擦)
がないと,振動が止まらないという物理現象と一 致する.124
1 自由度振動系の例
■減衰係数
D > 0
のダンパをつけるときの状態方程式˙
x(t) = Ax(t) =
· 0 1
− M K − M D
¸
x(t)
■
A
行列の特性多項式|sI − A| = s 2 + D
M s + K M
■その根は
− 2M D ± 1 2 q
( M D ) 2 − 4 M K
である.■
( M D ) 2 − 4 M K < 0
のときは複素数になり,そうでないときは実数と なる.いずれの場合においても実部がすべて負である.よって,安定で ある.125
7 Routh-Hurwitz の安定判別法
■極による条件では,特性多項式を解いて極を求める必要があった.し かし,システムの次数が高い場合,手計算はできなくなる.
■また,数値計算に頼って求めることができるものの,特性多項式に未定 のパラメータがある場合には対応できない.
■
Routh-Hurwitz
の方法:特性多項式の係数だけで根の安定性を判別定理
7
多項式p(s) = s n + a 1 s n−1 + · · · + a n−1 s + a n (113)
の根がすべて負の実部を持つための条件は以下のようになる.
必要条件
a 1 > 0, a 2 > 0, . . . , a n > 0
必要十分条件
Routh
表の1列目の要素がすべて正である.126
8 Routh 表
s n 1 a 2 a 4 · · · s n−1 a 1 a 3 a 5 · · · s n−2 b 1 b 2 b 3 · · · s n−3 c 1 c 2 c 3 · · ·
.. . .. .
s 2 p 1 p 2 s 1 q 1
s 0 r 1
b 1 = − 1 a 1
¯ ¯
¯ ¯ 1 a 2 a 1 a 3
¯ ¯
¯ ¯ , b 2 = − 1 a 1
¯ ¯
¯ ¯ 1 a 4 a 1 a 5
¯ ¯
¯ ¯
· · · c 1 = − 1
b 1
¯ ¯
¯ ¯ a 1 a 3 b 1 b 2
¯ ¯
¯ ¯ , c 2 = − 1 b 1
¯ ¯
¯ ¯ a 1 a 5 b 1 b 3
¯ ¯
¯ ¯
· · · .. . r 1 = − 1
q 1
¯ ¯
¯ ¯ p 1 p 2 q 1 0
¯ ¯
¯ ¯
■第
1, 2
行:p(s)
の係数を次数の高い順に一つずつ交互に第1
行,第2
行に入れ込むことで作られる.
■第
3
行以下:i
行目のj
番目の要素を計算するのに,その直前の二つの 行から取り出した1
列目とj + 1
列目で作った行列式を用いる.127
Routh 表
■計算に際し要素が不足するとき,
0
で補う.■さらに,次のことも知られている:
Routh
表第1
列の要素の符号変化回数=
開右半面根の数■ただし,
+, −, +
のような符号の変化は2回として数える.つまり,正から負は1回,負から正も1回の符号変化として数える.
■
Routh-Hurwitz
法による安定性判別の手順:1.
必要条件をチェックし,満たさなければ止める.2. Routh
表を作り,必要十分条件をチェックする.128
例
次の多項式の根の安定性を調べる
p(s) = s 4 + 9s 3 + 28s 2 + 38s + 24(= (s + 3)(s + 4)((s + 1) 2 + 1)))
必要条件は明らかに満足されている.
Routh
表は次のように求められる.s 4 1 28 24
s 3 9 38 0 s 2 23.78 24
s 1 28.91 0 s 0 24
b 1 = − 1 9
¯ ¯
¯ ¯ 1 28 9 38
¯ ¯
¯ ¯ = 23.78 b 2 = − 1
9
¯ ¯
¯ ¯ 1 24 9 0
¯ ¯
¯ ¯ = 24 c 1 = − 1
23.78
¯ ¯
¯ ¯ 9 38 23.78 24
¯ ¯
¯ ¯ = 28.91 d 1 = − 1
28.91
¯ ¯
¯ ¯ 23.78 24 28.91 0
¯ ¯
¯ ¯ = 24
1列目はすべて正なので,すべての根は左半面にある.
129
PI 補償器の設計例
■
PI(
比例積分)
制御系を考える.プラントP (s)
と補償器K (s)
:P (s) = 1
(s + 1)(s + 2) , K (s) = K P + K I
s = K P s + K I
s (114)
■閉ループ系の特性多項式:
p(s) = M P (s)M K (s) + N P (s)N K (s) = (s + 1)(s + 2)s + K P s + K I
= s 3 + 3s 2 + (K P + 2)s + K I (115)
■
Routh
表:s 3 1 K P + 2
s 2 3 K I
s 1 K P + 2 − K I /3 0
s 0 K I
130
PI 補償器の設計例
よって,閉ループ系が安定となるための必要十分条件は
K I > 0, K P + 2 − K I
3 > 0
となる.これを解くと,パラメータの安定範囲は
K I > 0, K P > K I
3 − 2 (116)
であることが分る.
K I K P
−2 o 6
131
例題:第4章 (5)(a)
ラウス・フルビッツの安定判別法を用いて
,
次の多項式の根がすべて負の 実部を持つために許されるK
の値の範囲を求めよ.p(s) = s 3 + 3s 2 + Ks + 1
132
例題:第4章 (5)(a)
p(s) = s 3 + 3s 2 + Ks + 1
【解答】必要条件より
K > 0
.また,ラウス表はs 3 1 K
s 2 3 1
s 1 K − 1 3 0 s 0 1
となる.ただし
− 1 3
¯ ¯
¯ ¯ 1 K 3 1
¯ ¯
¯ ¯ = 3K − 1 3
よって,安定条件は
K > 0, K − 1
3 > 0 ⇒ K > 1 3
となる.
133
9 内部安定性
■これまでは,与えられた一つのシステムについて安定性を説明してきた
■ところが,フィードバック系では,制御対象と制御器が直列及びフィー ドバックで結合されている.
■このような閉ループ系の安定性を考えるには,古典制御のように一つ の閉ループ伝達関数の安定性だけでは不十分である.
K P
−
e u y
d r
134
反例
K (s) = s − 1
s
,P (s) = 1 s − 1
■
P (s)
とK (s)
の間に不安定な極p = 1
と不安定な零点z = 1
の相殺が 起きている■
r
から出力y
までの伝達関数:H yr (s) = P K
1 + P K = 1
s + 1 (117)
安定である.
■しかし,外乱
d
から出力y
までの伝達関数:H yd (s) = P
1 + P K =
1 s−1
1 + 1 s = s
(s − 1)(s + 1) (118)
明らかに不安定である.従って,外乱応答は発散する.
135
内部安定性
■実システムは常に外乱と雑音の影響を受けるので,不安定な極零点相 殺が起きると,システムは暴走してしまう.
■不安定な極零点相殺がないことを保証できるのは,内部安定性である.
定義
5
外部信号(r, d)
から内部信号(y, u)
までの四つの伝達行列· P K (I + P K ) −1 P (I + KP ) −1 K (I + P K ) −1 −KP (I + KP ) −1
¸
(119)
がすべて安定のとき,閉ループ系を内部安定という.
K P
−
e u y
d r
136
10 有理関数の既約分解
■一般に,有理関数はその分母多項式と分子多項式の比で表わされるが,
分母,分子多項式のとり方は一意ではない.
■既約分解:共通因子を持たない分母,分子多項式による分解
G(s) = s + 2
s(s + 1)(s + 5) = N (s) M (s)
に分解したとき,
N (s) = s + 2, M (s) = s(s + 1)(s + 5)
ならば分解は既約である.しかし,
N (s) = (s + 2)(s + 10), M (s) = s(s + 1)(s + 5)(s + 10)
の場合は既約でない.
137
11 1入出力系の内部安定条件
定理
8
制御対象と制御器をP (s) = N P (s)
M P (s) , K (s) = N K (s)
M K (s) (120)
のように既約分解しておく.そして,特性多項式
p(s) = N P (s)N K (s) + M P (s)M K (s) (121)
を作る.内部安定性はこの特性多項式の根がすべて負の実部を持つこと と一致する.
K P
−
e u y
d r
138
(
証明) 1+P K + 1+P K = 1
が成立.よって1+P K
の安定性は1+P K
の 安定性と等価.ゆえに,内部安定性はH (s) =
· P K
1+P K P
1+P K K
1+P K
1 1+P K
¸
(122)
の安定性と等価.
P (s)
とK (s)
の既約分解の式を代入するとH (s) = 1 p
· N P N K N P M K M P N K M P M K
¸
= 1 p
· N P M P
¸
[N K M K ] (123)
(1)p(s)
の根がすべて安定であれば,閉ループ系は内部安定.(2)
閉ループ系が内部安定のとき,p(s)
に不安定な根があるとすると,こ の根はH (s)
の分子行列の零点によって消去されなければならない.と ころが,既約性から[N P M P ] T
も[N K M K ]
も零点を持たない.矛盾.139
12 多入出力系の内部安定条件
定理
9
プラントP (s)
と制御器K (s)
の実現をP (s) =
· A P B P C P 0
¸
, K (s) =
· A K B K C K D K
¸
とし,プラントの状態を
x P
,制御器の状態をx K
とする.このとき,以 下の命題が等価である.(1)
閉ループ系の状態[x T P x T K ] T
が安定(2)
閉ループ系(P, K )
が内部安定,かつ,上記実現が可安定可検出K P
−
e u y
d r
140
13 可安定性・可検出性
■部分システムの実現が可制御・可観測であっても,結合すると極零点相 殺が起き,制御できない状態あるいは観測できない状態が生じることが ある.この場合,フィードバック制御によって閉ループ系の状態を任意 に制御できないが,少なくとも安定性は確保したい.
定義
6 A + BF
を安定にする行列F
が存在すれば,システム˙
x(t) = Ax(t) + Bu(t) y(t) = Cx(t) + Du(t)
もしくは
(A, B )
が可安定(stabilizable)
であるという.また,
A + LC
を安定化する行列L
が存在すれば,(C
,A)
が可検出(detectable)
であるという.141
定理9の証明
■もし実現が可安定/可検出でなければ,状態
x P
/x K
に制御できない 不安定なものを持つ.よって,実現は可安定かつ可検出.■信号関係より
˙
x P = A P x P + B P (u + d), y = C P x P
˙
x K = A K x K + B K (r − y ), u = C K x K + D K (r − y)
これらの式を整理すると,閉ループ系の状態方程式:
· x ˙ P
˙ x K
¸
= A
· x P x K
¸ +
· B P D K B P
B K 0
¸ · r d
¸
(124)
· y u
¸
=
· C P 0
−D K C P C K
¸ · x P x K
¸ +
· 0 0
D K 0
¸ · r d
¸
(125) A =
· A P − B P D K C P B P C K
−B K C P A K
¸
(126)
142
(r, d)
から(y, u)
までの伝達行列の分母多項式は|sI − A|
であるので,A
が安定であれば,内部安定となる.■「閉ループ系が内部安定
⇒ A
安定」の証明もし
A
が不安定固有値λ
を持つと,内部安定性よりλ
は不可制御/不可 観測.不可観測の場合,∃[v T w T ] T 6= 0
· A P − B P D K C P B P C K
−B K C P A K
¸ · v w
¸
= λ
· v w
¸
· C P 0
−D K C P C K
¸ · v w
¸
= 0
を満たす.2番目の式から
C P v = 0, C K w = 0 (127)
これを1番目の式に代入すると
A P v = λv, A K w = λw (128)
143
A P − λI
C P v = 0, A K − λI
C K w = 0
可安定かつ可検出の仮定より,
v = 0, w = 0
となり,λ
は不可観測にな らない.同様に,λ
が不可制御にならない.つまり,A
は安定でなければ ならない.144
14 内部安定判定法のまとめ
•
特性多項式を用いる方法(
1入出力系)
定理
8
に従い,既約分解のもとで特性多項式を作り,次に特性多 項式の根を直接求めるかRouth-Hurwitz
の安定判別法を用いて特 性多項式の根の安定性を調べる.•
状態空間法(
多入出力系)
定理
9
に従い,各部分システムの状態方程式から閉ループ伝達行列 の状態空間表現を求め,そのA
行列の固有値を調べることによっ て内部安定性を判別する.A =
· A P − B P D K C P B P C K
−B K C P A K
¸
(129)
145
例
前記の反例
K (s) = s − 1
s
,P (s) = 1 s − 1
について,上述の方法で内部安定性を再度確認しよう.
■まず,特性多項式を使う方法では,制御対象と制御器はそれぞれ
P (s) = N P
M P , N P (s) = 1, M P (s) = s − 1 K (s) = N K
M K
,N K (s) = s − 1
,M K (s) = s
のように既約分解できる.すると,特性多項式は
p(s) = (s − 1)s + s − 1 = (s − 1)(s + 1)
となり,不安定な特性根
1
を持つから,閉ループ系は内部安定でない.146
例
■次に,状態方程式による方法では,
P (s)
とK (s)
の実現の一つはP (s) = (1, 1, 1, 0)
,K (s) = (0, −1, 1, 1)
である.すると,式
(129)
から閉ループ系のA
行列及びその固有値A =
· A P − B P D K C P B P C K
−B K C P A K
¸
=
· 0 1 1 0
¸
⇒ σ (A) = {1, −1}
を得る.同様に閉ループ系が不安定極