現代 日本 人 と 家の宗教 "
一 JGSS‑2000/2001からのデータを中心として 一
木 村 雅 文
( 大阪商業大学総合経営学部)
TttЮ Contemporary Japanese and Falllllly Religion・ ・ From the Data ofJGSS‑2000/2001 and Otller Social Surveys
Masanlmi KIMURA
The aitIIl of thiS monograph is some considerations on the contemporary Japanese r e l i g i o u s c o l l s c i O u S I l e s s i n t c r r l l l s o f " 脇 m i l y r e l i g i o r ' b y t h e u s e o f s o m e d a t a s t t o m JGSS‑2000/2001 and otttr social surveys, We collrlrm four characteristic features
about ths problem.(1)A littlemany cottemporary Japallese chooses Ⅲ Although not
practiced,I have a ttmily rell」 on" in seぃ adrrllttstered questionnaire of JGSS‑2000/2001.(2)We ind SOIIle new expranations for all sorts of category with rettreNe to this the距 ,making use of Ⅲ 勉mily reli」 oド.(3)In preSent― day Japan,the
mttOrity Of reigious believer and possessor of Ⅲ family religion"is a Buddhist to bc
renected traditional Japanese religious culture since Tokugawa(Edo)periOd・ (4)The
r e l i g i o n w i t h s u t t e c t s も p O u s e s i n o u r p r t t e c t d O n o t I I l a k e l i t t l e d i f t t r e n c e t t o m l l i s o r
her partncr's olle.It Seems to us that this phenorrlena is also ttnctioned by '9farrllly
reliJOnⅢ .
Key words i JGSS‑2000/2001, contemporary Japanese,Hfarlily religion''
本稿の 目的は、JGSS‑2000/2001か ら得 られたデータを中心にし、その他の社 会調査の結果 も参照 しなが ら現代 日本人の宗教意識を、とくに 家の宗教 "と いう観点か ら考察するところにある。ここでは、以下のような特徴のあること が確認された。(1)」 GSS‑2000/2001に おいて現代 日本人は、「 特に信仰 してい ないが家の宗教はある」 という選択肢 を選ぶ人がやや多い。(2)この 家の宗 教 "を
参照することで、現代 日本人の宗教意識の説明に当たつてさまざまな力 テゴ リーの分析 における新 しい解釈が可能になる。(3)現代 日本においても 家 の宗教"という江戸時代以来の伝統的な宗教文化が反映 しているために宗教名 としては仏教が多 く挙げ られている。(4)調査対象者のうちで配偶者のある者 に対 しては、配偶者の宗教を尋ねたが、本人の場合 と大差のないものが得 られ た。これも 家の宗教 "が
機能 しているか らだと思われる。
キ ーワー ド : J G S S ‑ 2 0 0 0 / 2 0 0 1 、 現代 日本 人、 家の宗教 ' '
1 . は じめ に
本稿 は、現代 日本人の宗教意識の特徴 を ̀̀家
の宗教 "と
い う観点か ら考察す るこ とを 目 的 としている。 しか し、 この 日本人の宗教意識 とい うテーマについては、宗教学や宗教社 会学な どの学問分野において非常 に多 くの研究や論評がな されてお り、 これ らのすべて を 参照することは とて もで きない ように思われ る。
そこで、本稿では、この研究論文集が調査結果 として用いている JGSS‑2000および JGSS―
2001に よって得 られたデータを中心に した経験科学的な方法を中心に したい。ただ し、JGSS は、今後 も継続 されるけれ ども、 まだ 2000年 度 と 2001年 度 に実施 された本調査 が二回行 なわれただけであるので、長期 にわたる経年的な トレン ドを知 るこ とがで きない とい う限 界 がある。また、JGSSの 成 り立ちか ら言つて当然 に国際的な比較 を視野に入れてい るもの の、そこまでは蓄積 が及んでいない。このため、本稿 においては、JGSS‑2000と JGSS‑2001 の集計数 を合計することでサ ンプル数 を大 き くし、 よ り信頼性のある分析 がで きるように 試みた。そ して、最近 に実施 された他 の社会調査 の結果 も参照 しなが ら、JGSS‑2000/2001 による宗教意識研究か ら何が明 らかになったのかを紹介 してみることに した。
2.現 代 日本 人 の宗教 事情 2.1 現 代 日本 人 に見 られ る宗教性
毎年刊行 されている 『宗教年鑑』 には、現代 日本 における最新 の宗教統計が掲載 されて いる。その平成 13年 版 を見 る と、わが国には 2000年 12月 31日 現在の数字で 22万 6117 の宗教団体 (宗教法人 を含む)が 存在 し、それ らの信者数 を合計する と2億 1537万 人 とな る、とまとめ られている (文化庁編、 2002、 31東 )。これ に対 し、2000年 10月 1日 に実施 さ れた国勢調査 の確定値 と して発表 された 日本の総人 回は、1億 2693万人なのであるか ら(矢 野恒太記念会編、 2002、 45頁 )、公表 された統計上では 日本人は一人が二つ近 くの宗教の信 者 を兼ねてなっている とい うことになるわけであ る。 もとよ り、 この ような数字な どは、
各宗教団体が 自分 たちの基準で報告 した信者数の合計 に過 ぎない もので、 とて も信 ず るに 足 らない とも言えるであろう。 しか し、実は、 ここか らだけで も現代 日本人の宗教性 の特 徴 の一端 を考えることがで きるように思われ る。
①神道系の信者数は 1億 795万人で、つま り日本人の 85%が 知つてか知 らないかの うち に神社の氏子になつているのであつて、これには驚 く人がいるかも知れない。それで も、読売新聞が 2001年 12月 に行つた 「 宗教観」についての世論調査によれば、70%
が 「 正月に初 もうでに行 く」 と答えてお り (読売新聞社世論調査部編、2002、 377頁 )、
実際2003年の初話で客の予想は310万人の明治神宮を筆頭に全国のおもな箇所だけで 02年 より 236万 人多い 8725万人もの参拝が見込 まれているほどである (2002年 12 月 19日付新聞報道)。こうして見ると、神道の公称信者数 というものが、大変な水増
しだ とは言いに くいような気もして くる。すなわち、日本 とは、なお八百万の神が人々
の身近 に宿 つてい る神道国だ として良いのではないか とも感 じられ る。
②仏教系の信者数は 9542万 人で、 これ も日本人の 75%に 及 んでいる。同 じく読売新 聞 調査 によって調べ ると、仏教思想 にもとづ く「盆や彼岸な どにお墓参 りをす る」が 76%
ある (読売新 聞社世論調査部編、 前掲書、 376頁 )。やは り、 日本 とは、仏教国 としての 性格 も強 く有 している と言える。
③ いわゆ る新興宗教 とか新宗教 と言われ る宗教団体な どが分類 されている諸教の信者数 は、1021万人で、国民の約 8%を 占めてい る とされ る。 これ らの宗教 団体は、 当然 に 独 自の教義 を強調 しているけれ ども、その成 り立ちや教えを神道か仏教のいずれかあ
るいは双方に求めた り、要素 と して取 り入れてい るものが大部分である。
こう して見て くると、近代化 の進んだ現在 のわが国において も、 た とえば読売新 聞調査 で 「家 に神棚や仏壇 な ど神仏 をまつ る場所があ る」とい う回答が 78%も あ るように (読売 新 聞社世論調査部編、 前掲書、 377頁 )、神 と仏が併存 して融合 しあ つている とい う日本独特 の宗教文化がい まだに色濃 く残 つている と しなければな らないのであ る。
④ キ リス ト教徒 は、177万 人で 1%を 超 えているに過 ぎず、明治時代 の解禁以来 の布教 の歴史や ミッシ ヨンスクールによる教育活動、第二次世界大戦後 にはアメ リカ文化 の 圧倒 的な影響 があ つたにもかかわ らず、 キ リス ト教がわが国に定着 している とは とて も言い難い。 しか し、現代 日本人に とって、教会での結婚式やク リスマスが人気 を集 めてい ることもあ り、キ リス ト教が まつた く関心を引いていない との判断はで きない。
さ らに、文部省 (現、文部科学省)の 統計数理研究所 が 1953年か ら 5年 ごとに行なって い る 「国民性調査」のなかで、83年 か ら 98年 までの 4回 において調査項 目になった 「『宗 教的な心』 とい うもの を大切だ と思いますか」 とい う問いに対 して 「大切」 と した回答が 80%か ら 68%程 度あつたこ とは (統計数理研究所、1999、 74頁 )、近代 的な科学技術の発達
した現在 であつて も 宗教的な心 "が
依然 と して高 く評価 されていることを表 している。
この ように、現代 日本 においては、古代以来 の雑種的な宗教 とシンク レテ ィズム (宗教の 混合 ・重層信仰 )に よって 「どんな宗教 だつてか まわない」 とい う真剣 さに欠 けている と い う批判 するべ き面があ るけれ ど、「海をこえて、南の島や西の大陸か ら渡 つて きた宗教は、
片は しか ら採 り入れ られて、われわれの先祖 たちの精神 的血 肉にな った」 とされてい るよ うに (久木幸男、1965、 6頁 )、多様で豊かな宗教文化が営 まれてい る。そ して、宗教的な雰 囲気 に対 する精神 的な共感 が 日本人の生活のなかに見 られ るのは、各人がライ フコ ースに おいて経験 する通過儀礼や毎年繰 り返 され る年中行事の多 くの ものが、それぞれ神道 と仏 教 を中心 としつつ、 これ にキ リス ト教 も加わ つた宗教 とのかかわ りを強 く持 つて歴史的 ・ 民俗 的 に行なわれて きているところか らも理解で きるのではないか と思われ る。
2.2 現 代 日本人の 信仰のない宗教 "
それでは、現代 日本人で何 らかの宗教 を信仰 してい る と表明 してい る者の割合は、 どれ
くらいなのであろうか。JGSS‑2000/2001では、宗教関連項 目として 「あなたは、信仰 して い る宗教があ りますか」 と問い、対象者 に信仰する宗教の有無を尋ねている。その結果 を 見 る と 「ある」は 9,7%に 過 ぎず (対象者数 5863)、われわれは漠然 と した 宗教的な心 "
は大切だ と思 つてはい るけれ ど、特定の宗教 に対 して信仰 を表明する とい うコ ミッ トメ ン トをあ ま り持 つていない こ とが分か る。実際、 自分の信条 と して不信心や無宗教、あ るい は無神論者 と称 す る人は多いのである。以上のような、相反 する現代 日本の宗教事情 につ いては、かねて よ り関心が寄せ られて きた ところであるが、その訳は どこにあ るのであろ うか。
①神道は、わが国独 自の民族宗教であるが、その起源は原始的なアニ ミズムに出来 する 自然宗教であ つたか ら、 もともと明確な教義があつたわけでな く、古代以来 の 日本人 は八百万の神 を畏敬 し、恐れた りすることが主であった。それに、神道 (神社 )に と つての重要な出来事は、近代 になる と明治政府の国民教化政策 によ り 「国家の祭祀執 行の場、国民道徳 の源泉 とされ、国家神道 として歩み始め…宗教 と見なされず、宗教 を超越 するもの」とな り、 神社 は宗教 にあ らず "と
言われて宗教 と しての要素 をな く していた時期 があ つたことであろう (幸・ 扇 日・ 開川、1990、 163〜168頁 )。現在 は、神 社神道 も宗教法人の一つ となっているけれ ども、やは り宗教 として信仰の対象 とす る には違和感 が残 る と言 うのには、それな りの歴史的な理 由があつたように思われ る。
②仏教は、キ リス ト教やイスラム教 とな らぶ世界宗教の一つであ り、また開祖 やその教 えが継承 されてい るとい う点で創唱宗教 と しての性格 を持 つている。周知の通 り、 日 本 には古代 に伝来 して きて後、平安仏教 ・鎌倉仏教に代表 され る幾つ もの宗派が誕生
し、室町時代 にも一向一挟 な ど仏教 に深 く根差 した社会 的な運動が見 られた。 この仏 教が変化 してい つたのが、江戸時代である。すなわち、江戸幕府 は、 その前期 に本末 制度 ・寺壇制度 を確 立することによって仏教 を統制下 に置 き、全国の世帯 については 構成員全体が特定 の寺 を旦那寺 とする檀 家 となるように定 めた。 しか も、その世帯 と は、夫婦一代限 りの ものではな く、「家族員の出生 ・死 亡 ・婚姻 な どによる変動にかか わ らず、各世代 を買 く一種 の 自己同一性 の観念を以て、過去か ら不断 に連続 して きた 直系の系譜体 … ともい うべ きものであつて… 日本独特の もの」 とされ る 家 "と
して の性格 を強 く持 つていた (竹田聴州、1996(1976)、 250頁 )。そ して、かかる 家 "は
、
「日本社会の礎石であると同時に、 日本宗教の礎石で もある」 とも言 うべ きものであ つたか ら (エアハー ト,H.B.、 1994(1984)、 129頁 )、江戸時代 の仏教は今 日あ る ところの
家 "を
伝 えて くれた祖先 を崇拝 するとともに子孫の繁栄 を祈 る とい う心情 と結びつ いて 家の宗教 "と
しての地位 を獲得 し、「日本的 『家』意識 と共 同体 を宗教生活の単 位 とす る日本文化 の基層 の うえに定着」することになつた (寺川幽芳、2000、 134頁 )。
こう して、 日本人全員が許可された宗派の仏教徒であることが家 を単位 として義務づ
け られ、「江戸時代 には、信仰 の 自由がな くな り…生 まれた途端 に、宗 旨が決 まる」よ
うに定め られたのである ( 橋爪大三郎、 2 0 0 1 、 1 9 0 〜1 9 1 頁 )。この結果、仏教の寺院や 僧侶 は、民衆の生活の管理 を任 され、経済 的な保 障を得 たものの、 その代わ りに布教 や宗教 目的の集会 など葬儀や法要以外の活動 を抑 え られて 「形骸化 し、教団 と しての 仏教の衰退 ・無気力化」 に陥 つて しまうに至 った ことを忘れてはな らない ( 幸ほか、
前掲書、 2 0 8 〜2 1 0 頁 )。すなわち、現在で も 葬式仏教 " や
供養仏教 " と
言われて仏 教が那給 されている要因は、 このあた りにあ ったのであ る。
以上の ように、わが国の宗教史 を概観 す る と、伝統仏教 も神社神道 も江戸幕府や明治政 府 の宗教政策 によって事実上の国教 として位 置づけ られ たのであ るが、そのために、かえ つて宗教 としては形式化 して しまい、 日本人にとっては信仰の対象 と しに くい事情 を作 り 出 したのではないか と思われる。
③先 に見たように文化庁 が諸教 と して分類 してい るものには、多数の新宗教の団体 が属 している。 これ らの諸教は、江戸時代の末期 ごろか ら近現代 にかけて神社神道や伝統 仏教 に対するもの として生 まれ、神道や仏教 に代わ る信仰 の受け皿 と しての役割 を担 つて きた部分があつた。そ して、 このなかには、活発な活動や信者間の固い団結で知 られ るもの も少な くない。 ところが、現代 日本人が持 つてい る新 宗教の団体へのイメ ー ジは悪 く、「金 もうけ主義、強引な勧誘、怖い ・ぶ きみ、教組の強い個性」に回答が 集 中 し、これ らを信頼で きるとするのは少数であ つた、と報告 されてい る ( 石井研 士、
2 0 0 2 、 2 4 4 頁 )。JGSS‑2000/2001に おいて も、い ろいろな組織への信頼度 を尋ね るなか で宗教団体 を取 り上げているが、 ここで も 「とて も信頼」が 2.3%、「少 しは信頼」が 1 0 . 6 % と低 く、「ほ とん ど信頼 していない」が 67.8%も挙 げ られていた。すなわち、 と て も ル
では、国会議員 をわずかに上回つてい るものの、 信頼 していない " が
掲げ られ た 1 5 の 組織のなかで一番多 くなって しまつてい るのである (図 1)。
(単位 名 :%)
10 20 30国 とても信頼 物炒 しは信頼
□信頼 していない 田 わか らな い 圏 無 回 答
図 1」GSS‑2000/2001に おける組織への信頼度
こうした調査結果の適用は、何 も新宗教の団体だけの問題 に限 られることではない訳で、
現代 日本人のなかに制度化 された宗教への強い不信感があることを示 している。すなわち、
現状では、 とても宗教を信 じる気になれないという心理 を表 しているように思われる。
国会議 員 宗 教団体 市 区町村 議 員 大企 業 労働組 合 中央 官庁 金融機 関 自衛隊 テ レ ビ 警察 学校
学者 ・研 究者
裁 判所
病院
新 聞
④ キ リス ト教の意義は、幕末 ・明治 以降の 日本 に西洋文化 を伝 え、 家の宗教 "に 代表 され る伝統的な 日本人の宗教意識 に個人の救済 とい う個人主義的な要素を加 えたこと であ ろう。近代 日本人は、 このキ リス ト教の個人主義 に飛びつ き、 自己流 に受容 して 伝統 的な集団主義 とこの新 しい個 人主義 を共存 させて きた とされているが (山折哲雄、
1997、 143頁 )、同時 に 「キ リス ト教は 日本宗教の精髄 ともい うべ き祖先崇拝の問題 に、
根本的に取 り組む ことを怠 つて きた」と言われ、「キ リス ト教が 日本伝道 をさ らに実 り あ るものにすることがで きるか どうかは、実 にこの祖先崇拝の問題 を どうク リアする かに関わ つている」と述べ られてい ることにも注 目するべ きであ ろう(山折哲雄 、1999、
47頁 )。やは り、 キ リス ト教は、近代以降の外来文化 と しての限界 と彼 らの理解不足 があったために大 き く信仰 を獲得 することがで きなかったのである。
つ ま り、 日本の宗教 には、われわれが信仰 を表明することが低 い とい う点 について神道 も仏教 も新宗教 もキ リス ト教にも、 日本人の精神史か らくる ところの問題点がそれぞれ に 存在 したのである。 こう した状況か ら、現代 日本人に とっての宗教 を、初詣でや墓参 りや お祭 りや ク リスマスな どだけが盛んに行なわれるような家族 (家)や地域社会 における 「人 間関係 を中心 と した儀式 とか儀礼 が まず存在 し、重視 され る」ところの ̀̀信
仰 のない宗教 "
とい う一つのタイプの宗教だ と して性格づける見解 には (柳川啓 一、1991、 10〜13頁 、引用 は 69頁 )、妥 当する面があるのではないか と考え られ る。
3。 現代 日本 人 の宗教 意識 におけ る 家 の宗教 "
この ように、われわれの宗教意識 を個人の信仰 とい う点か ら捉 えるだけでは 日本の宗教 文化 か ら考えて不十分だ とした ら、 ここで注 目しなければな らないのは現代 日本人が 「個 人 としては信 じていないけれ ども家の宗教は これ これです」 とい う答 え方 をよ くす る とい
う事実であろう (柳川、前掲書、67頁 )。
前に紹介 したように、JGSS‑2000/2001で 「 信仰 している宗教がある」と した回答は、9.7%
と非常 に低 くかつたけれ ども、他 の社会調査 においてはそれほ どではない。た とえば、
最近の ものでは、「 第 2回 世界価値観調査」 (1995年)に おいて 日本人のなかで 「 何 らかの 宗教 を持 つている」と回答 した 37.8%(電 通総研 ・ 余暇開発セ ンター編、1999、 147頁 )、「第 10回 国民性調査」 (1998年)で 「何か宗教 をもつている、信 じている」 と して現れた 29%
(統計数理研究所 、 前掲書、 73頁 )、あるいはNHK放 送文化研究所 が ISSP国際調査 の一環 と して 日本で行なった宗教意識調査 (1998年)の なかで 「 信仰 する宗教あ り」と言 う 35%
(小野寺典子、1999、 53頁 )、同 じくNHK放 送文化研究所 による 「第 6回 日本人の意識調 査」 (1998年)の なかの 「神 を信 じる」32%・ 「仏 を信 じる」39%(NHK放 送文化研究所 編、 2000、 131頁 )、前掲 の読売新 聞調査で 「何か宗教 を信 じている」が 22%(読 売新聞社世 論調査部編、 前掲書、 376頁 )、とい つた結果が出ているか らである。
この ような差が認め られ るようになつている原 因は何 なのであ ろうか。その理 由 と して
は、JGSS‑2000/2001では対象者の信仰 している宗教の有無 を尋ねた設間に続 いて、わが国 の宗教文化 を参考 に して 「特 に信仰 していないが、家の宗教はある」 とい う他の調査 には ない第二の選択肢 を用意 したか らではないか と考え られ る。なぜな ら、 この 「家の宗教は あ る」とする回答が 24.9%あ り、「信仰 している宗教がある」と合わせ る と34.6%と なって 読売新 聞調査 を除いた他 と近 くなるか らであ る。おそ ら く、他の調査 の回答 においては、
信仰 している と明確 に認識 していないのにもかかわ らず、 日常生活のなかで接触すること の多い 家の宗教 "が
念頭 にあったか ら、「宗教がある」とか 「宗教 を持 つている」と思 つ て答が出たのでないか と推察 され る。すなわち、JGSSh2000/2001では、 日本人の宗教への 捉 え方に見 られ る一つの興味深い特徴 を知 ることになったわけであ る。
さて、この 家の宗教 "と
は、「世代 を超 えた家 と特定 の宗教 とが譜代的な関係 において 結合 しているもの。典型的には伝統的仏教 における寺壇関係 にみ ることがで きる」(ナ │1崎恵 時、1994(1968)、 424頁 )と 定義 されている。この寺檀関係は、前に紹介 したように江戸時代 にその起源を有 しているが、「明治民法が法制化 した直系家族制の もとで存続 し、さ らに第 2次 世界大戦後 の夫婦家族制への転換期 も、生活慣習 として機能 している直系家族制のイ エ意識の もとで、伝道基盤 としての機能 を維持 して きた」 と述べ られているか ら (寺川、
前掲書、135東 )、現代 日本人であ つて も自らが主体的 にある宗教 を信仰の対象 として選ん だ とい う契機 よ りも、 家の宗教 "と
して先祖 か ら伝 え られて きた何 らかの宗教 (と くに仏 教)が 自分の家族生活のなかにすで にあった といった ことの方が多いのではないか と考え
られ る。 この ように、われわれの宗教意識のなかに 家の宗教 "と
い う伝統 的な性格 が残 つているのだ と した ら、それは どの ような現れ方をするのであろうか。JGSS‑2000/2001の 結果 を利用 して幾つかのカテゴ リー を取 り上げ、先行研究 を参照 しなが ら検討 を試みてみ たい。
3.1性 層」
男女の別に分 けて見 る と、「 信仰 している宗教がある」では、男性 が 8,9%・女性が 10,4%
であ つて女性 が少 し高 く、一般 的に他の調査か らも言われ る 女性が リー ドする宗教性 "
を裏付 けてい るようであ る。それでは、なぜ こうなるのかについてであるが、 女性 らしさ "
に関 しての精神分析学的な説明は ともか くとして、 ここでは家事全般 にかかわ ることの多 くが女性 の役割 となってお り、そのなかで神棚や仏壇 の掃除 を し、水 を換 え供 え物するよ うになるので、「こう した行為の延長線上 に、神棚や仏壇 を拝むな どの宗教行動が行なわれ る」 (石井研士、1997、 91・ 92頁 )と い う解釈 があることに注意 を したい。 しか し、この説明 では、 こう した行動が信仰 に結びついて行 くとい うよ りは、やは り 家の宗教 "の
ための 儀礼 的な行動が反映 しているか らだ とした方が適切な ように思われ る。
そ こで、「家の宗教はある」 を見 る と、逆 に男性 27.5%・ 女性 22.8%となって男女で 4.5
ポイ ン トも差がついている。 これ には、明 らかに 「家はそれ 自身固有の宗教的制度であ つ
て、先祖 が崇拝対象であ り、男性 の家長が崇拝の指導者であ り、 一単位 としての家族は宗 教制度の構成員 と して奉仕 する」 と して きた 日本宗教の特徴 が出てい ると言えるであ ろう (エアハー ト、前掲書、130頁 )。この結果、「ない」は、62.4%対 65.4%で男性 の方がやや少 な くなっているのであ る。
3.2年 齢階層別
年齢 は、宗教意識 を知 るうえで重要な ファクターの一つである。図 2は 、男女別の年齢 階層 における結果 を表示 してい るが、 一見 して年齢が高 くなるほ ど 「信仰 している宗教が あ る」がやや増 えていることが分か る。言 うまで もな く、加齢 による心身の表 えによる死 への恐れか ら来世での救 いを求める気持 ちが宗教に向かわせ るであろうことは考え られ る のであ つて、ここか ら「宗教 を信 じる "こ
とは…年齢 (カ ロ齢 )に よって大 き く左右 され る。
つ ま り、歳 を とると宗教 を信 じるようになる」 と言 う国民性調査 か らの総括 にもかな りの 妥当性 があるように感 じられる (林知己夫、 2001、 168頁 )。
しか し、JGSS‑2000/2001による と、「家の宗教はあ る」 も年齢 とともに増加 し、 と くに 男性 の場合の増 え方が大 き く、70歳 代以上では女性 よ り 10ポ イ ン ト程度 も多 くな つてい るこ とに限が向 く (図 2)。 すなわ ち、彼 らは、第二次世界大戦の前か中に普通教育 を受け て育 つた世代であ る し、社会構造的にも 家の宗教 "に
触れやすい世代 であ つた。そ して、
この うちの大部分が喪主な どと して親の葬礼や法要を行な うことによ り、 家の宗教 ''が 存 在 することを自覚 し、今 日まで守 つて きた とも言えるのであ る。
2 0 歳 代 3 0 歳 代 4 0 歳 代 5 0 歳 代 6 0 歳 代 7 0 歳 代 8 0 歳 代 全体
0
□ある
物尿の宗教はある
□ない 団無回答
図2 JGS卜2000/2001に おける現代日本人の信仰の有無 (性別 ・年層別) 3.3学 歴別
現代 日本人の宗教意識 と学歴 との関係では、 当然 に学歴が高いほ ど近代主義 に則 つた学 校教育 を受ける期間が長か つたため、信仰の有無 については 「肯定 回答率が減少 し … こう
女 性 (単位名 :%)
60 70 80
した傾 向は時代や調査の相違 にかかわ らず同 じである」とされてい る ( 石井、1 9 9 7 、 8 6 頁 )。
これ を、JGSS‑2000/2001の データで調べ ると、「信仰 する宗教があ る」は 中学卒 ( 男性 1 2 . 6 % ・ 女性 14.5%)、高校卒 (男性 8,0%・女性 8.6%)、短大卒 (男性 9.5%・女性 9.1%)、
大学卒以 上 ( 男性 6 . 6 % ・女性 1 0 , 7 % ) と なつてお り、男性 についてはサ ンプル数の少ない 短大卒 を除けば一定の推移 を明 らかに読み取 ることが可能である。
しか し、「家の宗教はある」で見 る と、男性の方も中学卒か ら順 に 2 9 . 3 % ・2 6 。 4 % ・ 2 6 . 6 % 。 2 7 . 7 % と傾 向が崩れて しまい、女性 の 25.0%。22.3%・21.5%・22.4%と同様 には っ
き りしな くなって しまう。つ ま り、 ̀ ̀ 家
の宗教 ' ' に ついては、学歴 とい うフアクターはあま り効 いていないのである。この理 由は、 家の宗教 " と
い うものが個人の精神構造 に何 らか の課題 を突 きつけているのではな く、外 面的な儀礼 と して守 つていれば済むか らではない か と思われ る。
3 口 4 地 域別 口市郡別
第二次世界大戦後、とりわけ 1 9 6 0 年代の高度経済成長以降になつて現代 日本社会 に都市 化 とい う大 きな社会変動が もた らされた状況が 日本人の宗教 に大 きな影響 を及 ば して きた ことには、疑 間の起 きる余地はない。 この問題 については、 た とえば 「都市が非宗教的で あることは世論調査か ら裏づけ られてお り、 きわめて 自明であるかの ようにみ える…都 市 規模 が大 き くなるにつれて宗教意識は低下 してゆ く」と説明されれば ( 石井、1 9 9 7 、 9 8 頁 )、
誰で も 「その通 りだ」 と容易 に受け入れ ることがで きるであ ろう。
J G S S ‑ 2 0 0 0 / 2 0 0 1 の 結果では、どの ような ことが分か るのであろうか。J G S S ‑ 2 0 0 0 / 2 0 0 1 で は、全国 を北海道 。東北、関東、 中部、近畿、中国 ・四国、九州の 6 つ の地域 ブロックに 分け、それぞれのなかで 1 3 大 市 ( 札幌市 ・仙台市 ・千葉市 ・東京都 区部 ・サ │ 1 崎市 ・横浜 市 ・ 名 占屋 市 ・京都市 ・大阪市 ・神戸市 ・広 島市 ・北九州市 ・福 岡市) 、その他 の市、町村 とい
う地方公共団体 の人口規模別によって標本抽 出を行なったが、 この方法に従 つて信仰 して いる宗教の有無 を検討 してみ ることに しよう (図3)。
それ によれば、北海道 ・東北で 「ない」がやや高いのは、北海道が明治時代以降 になっ て本格的 に開拓 された地域であ る ところか ら本州 とは異 なった宗教文化が見 られることを 示 してい るようである ( 柳川、 前掲書、1 4 〜1 7 頁 ) 。また、関東で 「ない」が を 超 えて突 出 してい るのは、やは り東京都 を中心 とする世俗性 の強い巨大都市圏を含 んでいるためで あ ろう。そ して、 と くに 「家の宗教はある」が 2 0 % を 切 つている事実は、 この地域で核家 族化 や単身世帯化 が非常 に進んでい るとい う構造変動 を表 しているもの と思われる。 これ らに対 して中部以西の西 日本においては 「家の宗教はあ る」が高 く、 と くに男性では中部 3 0 . 8 % 、近畿 3 3 . 1 % 、中国 ・四国 35.5%、九州 33.9%にまで連 してお り、 どうも日本全国 が 家の宗教 " の
存在 に関 しては社会構造の面で大 き く二つ に分 けることが可能な ような
印象 さえ残 る。
しか し、 もつと特徴 が明瞭 に出 るはずなのは市郡別であ る。 ここでは、 まず 「信仰 して い る宗教があ る」については、上で紹介 した一般的な見解 と異なつてほ とん ど差がないこ とに注意 を したい。つ ま り、マス ・コ ミユニケー ションな どで大衆文化 がすみ ずみ にまで 行 き渡 つている現代 日本社会では、脱宗教化は都市規模 ともはや関係 ない ところにきてい るのか も しれない。ところが、なぜか市郡別の違いが気 になるのは、「家の宗教はあ る」と
「ない」 とが都市規模 において対照的な結果が出ているか らであろう。これは、性別の と ころで見たように ̀ ̀ 家
の宗教 " を
持つこ との多い男性 において よ リ ー層はつき りとしてい る。 すなわち、「家の宗教はある」は、1 3 大 市 2 1 . 3 % 、その他の市 2 6 . 7 % 、町村 3 3 . 6 % な の に対 して、「ない」は同 じ順で 68.1%、64.3%、54.0%となってい るか らであ る。 ここに も、 日本の宗教文化が個 人主義的 と言 うよ り、やは り家 と村 を中心 と した集 団主義 と言わ れ る社会的な基礎 の上で成 立 していた名残 りが現れてい る と感 じられ る。
(単位名 :%)
ゴヒ洋 手】三・】 馬ゴヒ 関東
中部 近 畿 中国 ・四 国 九 州
1 3 大 市 その他 の市 町村
国ある
物際の宗教はある 田ない
田膝回答
図3 JGSS‑2000/2001に おける現代日本人の信仰の有無 (地域別 ・市郡別) 3 . 5 信 仰の度合 い
J G S S ‑ 2 0 0 0 / 2 0 0 1 で は、宗教関連項 目と して 「信仰 してい る宗教があ る」 と 「家の宗教は あ る」 と回答 した対象者 に対 して、 その 「信仰の度合 い」 を尋ねてい る。それ によれば、
「熱心であ る」7。 4 % 、 「まあ まあ熱心であ る」2 4 . 9 % 、「そんなに熱心でない」6 2 . 9 % とな つてい る。つ ま り、た とえ 「宗教があ る」とい うなかであ つてさえ、 熱心 さ " を
表明 して い る者は少数派なのであ り、 信仰 のない宗教 " と
い う日本人の淡泊な宗教性 を物語 つてい るように受け取 ることがで きる。
ただ、この設間 を男女別 に見 ると、女性 の方が 「熱心」8 . 8 % 。「まあまあ熱心」3 1 . 8 % で あ り、男性 よ りも 1 3 . 8 ポイ ン トも高 く、信仰 の度合いでは女性の宗教性の方が強 く現れて い る。これは、女性 には、男性 よ りも 家の宗教 " に
拘束 され る部分が少ないので、 現世 利益的 " と
言われ る女性 の宗教意識や行動が率直に出て くるか らか も知れない( 石井、1 9 9 7 、
9 3 頁 )。
3 . 6 宗 教団体 への加入
いかなる宗教や宗派 に とって も、その教義の展 開 と教団 (信者がつ くる団体や会 )の 活 動は大 きな意義 をもつていると思われる。
さて、J G S S ‑ 2 0 0 0 / 2 0 0 1 で は、いろい ろな組織 を挙げ、 これ らに加入 しているか どうかを 聞いているが、このなかで 「宗教の団体や会」へ入 つてい る人の害J 合は 6 。 9 % と い う少な さ であ る。た しかに、前で見た通 り 「 信仰 する宗教があ る」と言 う人が全体 の 9 . 7 % に過 ぎな いのであ るか ら、それぞれの宗教の信者 団体 の一員 となつている人が さらに少数なのは当 然 な結果である。ただ し、「信仰 している宗教があ る」と答 えた人では宗教団体への加入が 5 5 , 0 % もいるのに対 し、「家の宗教はある」は 4.4%、「ない」は 0.6%となっている事実か ら、「家の宗教はあ る」 と言 う人程度では個 人 としての行動 には消極 的で、「ない」の方 に む しろ近い と見 るべ きであ ろう。
3 , 7 宗 教名
J G S S ‑ 2 0 0 0 / 2 0 0 1 で は、「信仰 している宗教があ る」 と 「家の宗教はある」 とい う回答 を した対象者 に対 して具体 的な宗教名が何 かを答えて も らつている。それでは、現代 日本 に おいて 「 信仰 している宗教がある」か 「家の宗教はあ る」 として挙げ られている宗教名 に は、 どの ような ものが どれ くらい存在するのであろうか ( 表 1 ) 。
表 1 」GS併2000/2001において挙げられた宗教名 仏教 497(25。 2%)
真言宗 137(7.0%) 天台宗 23(1,2%)
浄 土宗 101(5。 1%) 浄上真宗体願寺・ P弓 徒宗・ 南無卜 可 弥陀仏)409(20.8%) 禅宗 (曹洞宗・ 臨済宗) 178(9.0%)
日蓮宗 102(5,2%)
日 寺オ〔 2 ( 0 . 1 % ) 法華宗 1 0 ( 0 。 5 % )
創価学会 立正佼成会 霊友会 幸福の科学 崇教真光 ・ 真光 天理教
真如苑 霊波之光 仏所護念会 百光 PL教 団 生長の家 金光教
大 山祇命神示教会 御嶽教
世界救世教
105 (5。 3%) 9 (0.5%) 2 ( 0 。1 % ) 2 ( 0 。1 % ) 7 (0,4%) 25 (1.3%) 8 (0。 4%) 6 (0.3%) 1 ( 0 . 1 % ) 1 ( 0 。1 % ) 2 ( 0 。1 % ) 6 (0。 3%) 5 (0.3%) 2 (0。 2%) 1 ( 0 . 1 % ) 4 (0,2%) 神道 44(2.2%)
稲荷大明神 3(0.2%) キリス彬教 27(1,4%) カトリック 15(0.8%) プロテスタント 7(0.4%)
日本ハリストス正教会 1(0,1%)
エホバの証人 3(0.2%)
これ を見 る と、仏教 とい う回答が、単 に 「仏教」 とだけ したもの と具体的な宗派名 を挙 げた ものを合わせ る と 74.1%と圧倒 的に多い とい う特徴 が現 れてい る。そ して、神道が 2.4%あ り、キ リス ト教はエホバの証人を含 めて 2.9%に とどま り、 さ らに諸教 に数 え られ ているものが合計で 9.7%となってい る (これ ら以外 に 「仏教 プラス神道」 と した り、「先 祖供養」 とい つた 日本 らしい ものを含んだその他 の表現、わか らない、無回答が合わせて 224例 で該 当数 1969)。
この ように、21世 紀 に入 つた現在 のわが国であつて も仏教 (および仏教の諸宗派 )が 自 分の信仰 してい る宗教か、あるいは 家の宗教 "と
して挙げ られ ることが 目立 っていて、
い まだに 家の宗教 "と
は、すなわち 家の仏教 "で
あ つた とい う江戸幕府 の宗教政策 に 起源 を有する伝統 的な性格 が残 つていると言えよう。 また、具体 的な宗派名では、浄土真 宗が他 を引 き離 してい るが、これは 「現在の浄土真宗教団の構成員が、『家の宗教』の意識 をきわめて濃厚 にもつてい る… まさ しく現代 の浄土真宗が 『家の宗教』であ ることを示 し ている」 と言う記述 に符合 しているのではないか思われ る (寺川、前掲書、144〜145頁 )。
そ して、神道 は、やは り宗教 としてはあ ま り見なされていないことが分かる。 こう して、
日本では、い ろい ろな系統 を持 つたた くさんの宗教や宗派が信仰 上の激 しい諦いをあ ま り 演 じるこ ともな く併存 していることも事実で、われわれが多神教の ような文化 的な環境の なかで生活 をお くってい るのもまさ しく 日本的 ''な
ところなのであ る。
4日 配偶 者 の宗教 を ど う見て いるか
4.1配 偶者 における信仰の有無 と信仰の度合 い
この ように、現代 日本人の宗教意識においては、なお も 家の宗教 "が
かな り影響 を及 ば している事実が明 らかになった。そこで、JGSS‑2000/2001で は、調査時点で 「配偶者が ある」 と言 う対象者に対 して同様 の質問形式 を用いて現在 のパ ー トナーである配偶者の宗 教 を尋ね、かつての 家 "は
もはやないに して も、 この名残 りが現代 の家族生活に どの程 度あるかを確認することを試みた。
その結果、配偶者の信仰の有無 については、「信仰 している宗教がある」9.5%、「家の宗 教はあ る」24。 3%、 「ない」65。 6%と なってお り (該当者数 4160)、自分に関す ることとの 間 には大 きな相違は出ていない。 また、 同様 に 「信仰 してい る宗教がある」お よび 「家の 宗教はあ る」 とい う回答のあつた配偶者の信仰の度合 については、「熱心であ る」10.0%、
「まあまあ熱心である」28。 4%、 「そんなに熱心でない」58.3%となってお り、相手側 の方 に 熱心 さ "が
少 しあ る と見ていることが分かる。 これは、神棚や仏壇のお参 りな どの 日 常の宗教的な行動 について 自分の していることでは、そ うは思つていな くとも、
配偶 者が してい るのを見れば ̀̀心
が込 もつている "の
ではないか、 と感 じてい るのであ ろ
うか。 と言つて も、その差は小さ く、要するに夫婦であ る以上、お たがいに同 じような信
仰 の状態 にあ るもの と見ているように思われ る。
これ を、確 認 す るため に、 ここで は対象者本 人 の信仰 して い る宗教 の有無 と配偶 者 の信 仰 の有無 との ク ロス表 と対象者本 人の信仰 の度合 い と配偶 者 の信仰 の度合 い について の ク
ロス表 を掲 げ る こ とに したい ( 表 2 、 表 3 )
表2 対 象者本人の信仰している宗教の有無と配偶者の信仰している宗教の有無とのクロス表
信仰 している宗教 がある
(配偶 者 ) 家の宗教はある
︵ 本 人 ︶
信仰 している宗教 がある 家の宗教はある ない
2 6 4 ( 人 ) 7 5 5 1
熱′いである
631 し () 43 16
27 (1,9%)
57 81315 105
( 配偶 者 )
まあまあ熱′ 心である そ んなに熱心でない 合 計 表 3対 象者本人の信仰の度合 いと配偶者の信仰 の度合 いとの クロス表
︵ 本 人 ︶
熱心である まあまあ熱心である そ人ノなに熱 ′いでない
23 200 119
創価学会 立正佼成会 霊友会 幸福の科学 崇教真光 ・ 真光 天理教
真如苑 仏所護念会 百光
1 0 9 6 8 9 3 3 2
0と 1母 748
この表で、網掛 の してあ る交差 している ところの百分率 を対象者本人の側 か ら挙 げれば、
信仰 の有無では 6 7 . 1 % ・7 6 . 5 % ・9 4 . 0 % 、信仰の度合 いでは 6 5 . 6 % ・6 0 。 2 % ・ 8 2 , 0 % となっ て高率の値が並んでいる。大体 において、対象者は、夫婦 がたがいにかな リ ー致 した宗教 状況の もとに家庭生活 を営 んでい ると見ていると言えるわけである。
4 . 2 「配偶者の宗教」 として挙 げ られた宗教名
さ らに、「 信仰 す る宗教がある」 と 「家の宗教はある」 とした配偶 者の持 つている とす る 宗教名 に関 しては、以下の通 りの回答が得 られた ( 表4 ) 。
75 (5.30/0) 4 ( 0 , 3 % ) 4 ( 0 . 3 % )
1 ( 0 。1 0 / o ) 4 (0.3%) 21 (1.5%)
8 (0.6%) 1 ( 0 。1 % ) 1 ( 0 . 1 % )
表4 」GSS‑2000/2001において挙げられた配偶者の宗教名 仏教 393(28,0%)
真言宗 84(6.0%) 天台宗 14(1.0%) 浄 土宗 101(5.1%)
浄土真宗体願寺・ F弓 徒宗・ 南無ド 可 弥陀仏)267(19.0%) 禅宗 (曹洞宗・ 臨済宗) 123(8.8%)
日蓮宗 71(5。 1%)
法華宗 6(0,4%)
キリスト教 27(1,9%) カトリック 11(0,8%) プロテスタント 7(0,5%) エホバの証人 3(0.2%) 稲荷大明神
以上をまとめる と、仏教が仏教の諸宗派 を合わせて 73.3%(前 述の ような理 由か ら、浄 土真宗が多いの も同様である)、神道 2.0%、キ リス ト教がエホバの証人を含んで 3.5%、諸 教 を合計 して 9.7%と なつている (これ ら以外 に 「仏教 プラス神道」とした り、 「先祖供養」
な どのその他 の表現、わか らない、無回答が合わせて 108で 、該 当数 1403)。これを対象 者本人の言 う宗教名 と比較する と、 一二の出入 りやキ リス ト教の比率が少 し高 くなるとい う違いがあるものの、仏教 を圧倒 的多数 とするあた りにはおたがいの具体的な宗教名 に関 してはほ とん ど違いはない と見ているように判断で きる。
次 に、配偶 者のいる対象者が挙げてい る自分の宗教名 と配偶者の もの とい う宗教名 をク ロスさせて両者が一致する度数 と比率を調べ ることに したい (表5)。
これ を見 る と、 まず 「仏教」 と伝統仏教の各宗派 を合計 した場合では、 一致度が非常に 高 く、9 0 . 4 % にもなつてい ることに注 目したい。そ して、ケ ースの少ない宗教が多いので 偏差が出ることが懸念 された諸教系 については、1 0 0 % も 目立つている。すなわち、本人が
1(0。 1%) PL教 団 霊波之光 生長の家 金光教
大 山祇命神示教会 御嶽教
世界救世教
2 ( 0 . 1 0 / o ) 1 ( 0 。1 % ) 5 (0.4%) 6 (0.40/0) 2 ( 0 , 2 % ) 2 ( 0 。1 % ) 3 ( 0 , 3 0 / 0 )
表 5 対 象者の宗教名 が配偶 者の宗教名 と 一致 した度数(左が対象者、右が配偶者。括弧内は一致の割合)
仏教 337321(95。 3%) 真言宗 86‑72(83.7%)
天台宗 15‑10(66.7%) 浄土宗 64‑58(90.6%)
浄上真宗休願寺・ P弓 徒宗・ 南無卜 可 弥陀仏)268236(88.1%) 禅宗 (曹洞宗・ 臨済宗) 115103(89.6%)
日蓮宗 63‑58(92.1%)
日 寺宗 2‑ 0 ( 00/o) 法華宗 6 6 ( 1 0 0 % )
倉J価学会 立正佼成会 霊友会 幸福の科学 崇教真光 ・ 真光 天理教
真如苑 霊波之光 仏所護念会 百光 PL教 団 生長の家 金光教
大 山祇命神示教会 御嶽教
世界救世教
59‑56 (94.9%) 4‑ 4 (100%) 2‑ 2 (100%) 0‑ 0 ( 0%) 4‑ 4 (1000/o) 13‑13 (100%)
5‑ 5 (100%) 1‑ 1 (1000/o) 1‑ 1 (1000/o) 1‑ 1 (1000/o) 1‑ 1 (100%) 3‑ 2 (66.70/0) 3‑ 3 (1000/o) 2‑ 2 (100%) 1‑ 1 (1000/o) 3‑ 3 (1000/o)
神道 2 1 ‑ 1 9 ( 9 0 . 5 % ) 稲荷大明神 1 1 ( 1 0 0 % ) キリスト教 14‑11(78.6%) カトリック 10‑ 8(80.0%) プロテスタント 6 4(66.7%)
日本ハリストス正教会 併 0 ( 0 % )
エホバの証人 2 2 ( 1 0 0 % )
認知 している限 りではあ るけれ ど、彼 らと配偶者 との間の持 つてい る宗教は、大体 におい て一致 してい る とい うわけである。
この ことは、アメ リカで も起 こつてい る事柄であつて、 自由に交際 しているかに見 える アメ リカの若者 もいざ結婚 となる と同 じ信仰 の相手を選ぶ ことが多 く、それは宗教が異な る といろいろな宗教的な行動をめ ぐってカ ップルがもめ るもとになるか らだ、 とされてい る (幸ほか、前掲書、11東 )。これは、アメ リカで実施 されている GSSの 調査結果か らもた しかめ られていて、本人 と配偶 者 との宗教関係は宗教や キ リス ト教の各教派 について も同 じとい う例が 目立 ち、「結婚相手 を決める際 にも、宗教が これだけ多 くの人々の行動 を規制 してい る」 と述べ られているほ どである (大石編、前掲書、6〜9頁 )。
しか し、 日本では、 アメ リカよ りも宗教意識が低いために結婚相手 に希望する条件 と し て 「宗教はほ とん ど無視 され る」と言われているにもかかわ らず (湯沢死彦、1995、 86頁 )、
「宗教がある」 と言う夫婦 に限 られるに して も、表 5の ように高い一致が見 られるのは何 故なのであろうか。それには、夫婦 の どち らかが結婚後 に合わせ たのか、あるいは同 じ宗 教 団体 における活動を したことが交際の きつかけになって結婚 したのか、 な どが解釈 とし て思いつ くであろう。アメ リカでは、後者が大部分で 「教会 を通 じての出会 いの機会 がそ れほ ど多い」とされているが (大石編、前掲書、9頁 )、前 に見 た通 り日本では宗教 団体への 加入率は非常 に低 いのであるか ら、 こち らが多数 だ とは考えに くい。
この理 由と しては、やは り仏教 を宗教 と して挙げている夫婦 については、「家族 内で も夫 と妻が異なった宗 旨の寺 に属 していることもあつたが、ひ とつの家がひ とつの寺 と固定 し た関係 を結ぶ一家一檀那寺へ と次第 に変わ つていつた」との過程 を経 て (山折哲雄 ・ サ │1村邦 光、 2000、 105頁 )、夫婦 の どち らかが婚家先の 家の宗教 "の
方 に宗 旨変えを して合わせ る ようにさせ られた江戸時代以来 の制度がやは り機能 しているのではないか と考 え られ る。
つ ま り、「外 国人か らみた時 に非常に奇異 に感 じられ る…女性 が異なった宗教の男性 と結 婚 した場合、その相手の家の宗教 に変わ る、あるいは男性 が養子のケースでは養子先の宗 教 に変わ る」 とい うことであって 一 宗教 と言 うよ りも宗派 と言 つた方が よ り適切であろ うけれ ども 一 (幸ほか、 前掲書、10〜11頁 )、前者の理 由が大部分の家庭 で現在で も行な われているや り方 として当ては まつているのであ る。
5Bむ す び 一 家の宗教 "の
将来 は ?
現代 日本社会 は、第二次世界大戦後の半世紀 を超 える歴史 を通 じて 家郷喪失の時代 "
と言われ るような大 きな社会構造の変動 を経験 して きた。も し、「社会構造か ら文化のパ タ
ー ンを、したがって、宗教 というものを演繹」すると言 うのであれば (森岡清美、1970、145
東)、 伝統 的な宗教 を成 り立たせて きた社会 的な基礎は もうかな り掘 り崩 されて しまつた と
見 るべ きであろ う。た しかに、日本人の宗教意識の経年的な調査結果 によれば、「戦後多数
派であつた信仰 を持つ人は、戦後 50年 の間に緩やかに低下 してい き、現在 は少数派になっ
た」 と言われてお り (図4)、 これが高齢者層 にも及んで きている、 とされている (石井、
2 0 0 2 、 2 1 4 〜2 1 9 頁 ) 。われわれが、宗教 にかかわ る儀礼や行事 をあたか も習俗の ように して 行なっている様子は一応は盛んであ るに して も、現実 と しては宗教離れ とか脱 宗教化 がは
つき りと指摘 されているのであ る。
…◆… 時事通信 … ▲… 続売新聞 引 い―朝日新聞 ― ‐― NHK世 臨調査部
…■‐‐永末世臨調査所 ― 統計数理研究所
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