印度學佛教學研究 第 64 巻 第 2 号
平成
28
年3
月 (213
)Vinayavibhafiga
の
梵 文 写本 断簡
に
お
け
る
問題 点
生
野 昌 範
0
.筆者
は ,現在 Deutsche
Forschungsgemeinschaft
(DFG
)の一 プロ ジェ ク トと し て, ア メ リカ合衆
国ヴ ァ ー ジニ ア州
の 個 人 コ レ ク シ ョ ン 】)の 内でVinayavibhahga
に属 する梵
文写本 断簡
の公表
に向
けた研 究を行 なっ て い る.これ らの 写本断簡
は,ブラ ーフ ミー文 字の一書 体で ある
Proto
−Sarada
(もしくはGilgi
ゼBamiyan
肺 eII
)で書 か れてお り,こ の書
体は紀 元 後 約7
世紀か ら10
世 紀に か けて使
用 さ れ た と考
えら れてい る2).Vinayavibhafiga
に属 する こ れ らの梵文 断簡
は今
まで 主に チベ ッ ト訳 と 漢 訳で しか知られて い なか っ た 『根 本説
一切有
部 毘奈
耶』(Dn
・,3
,pn
・,1032
,S
n・.3
;大正 第23
巻, no .1442
)に相当す
るも
の で ある 3).これ らの
梵文
断簡
の内
には数枚の フ ォリオが付着
して重 なり合
っ た ま まの断簡
も存
在 する . そ して, その こと が写 本 断簡の 情 報 を読み解 くこ と に 関 して解
決 困 難 な問題 を引 き起 こ し てい る . 以 下 にこの 問題 に関する例を二 つ 取 り上 げたい .1
.最 初の 例は,
F6
.1
とII
.4
という
二 つ の 断簡
である.F
6
.1
に おい て,表面は 三層の フ ォ リ オ に属 する断簡
が部
分 的 に 重 な り合っ てい るが ,裏 面は 主要 な一つ の フ オ リ オ に属して い る (F6
.1
の表面における 三層をA
・B ・C
とし て表示する).一 方,II
.4
に おい て は,表
面 ・裏
面 ともに破 損 して い る箇 所は見られ るが ,大 部 分 は そ れ ぞ れ 主要な一つ の フ ォ リ オ に属 して い る. なお,II
.4
の表
面の5
・6
行
目の 破 損 箇 所にお い て別の フ ォ リオ に属 する テキス トを読み取
る こ とがで き るの で, その箇所
をZ
という記号
で表
し,それ 以外
の 主 要 な部 分 をY
として表示 する. これ ら二 つ の 断簡を考 察 した結 果は以下の 通 りで ある : 先 ず,F6
.IA
とII
.4Y
はFol
,[2
亅4
[8
亅に属
し4) ,『
根本説
一切有
部毘奈
耶』のPEyattika
第四条に お け るDCha
253a2
−255a2
,P
Je
235al
−236b4
,S
・Cha
・245b5
−248b5
, 大 正770b3
−12
に相 当する .次
に,F6
.IB
は,249
という
フ ォ リ オ番号
を保持
してい るの で, フ ォ リオ249
の表 面であ りt
『
根 本 説一切 有 部毘
奈
耶 』のPaya
耽
ika
第五条におけるD
・Cha
・256a5
−257al
,P
Je
237b4
−238a5
,S
Cha
250a6
−251a5
,大正770cl9
−771a9
に相 当
する .The Japanese Association of Indian and Buddhist Studies
NII-Electronic Library Service
The Japanese Assoclatlon of 工ndlan and Buddhlst 二 St二udles
(214 )
Vinayavibhahga
の梵文写本 断簡に おける問題 点 (生野)
続
い て,F6
.IC
とII
.4Z
は直接
i
接
合 してい て ,Fol
,(
250
)
5)の表
面であ り,『
根
本説一切
有
部毘奈耶』
のP
巨yattik
巨第
五条 にお けるDCha
258al
−b6
,P
Je
239a2
−b6
,S
Cha
252b3
−253b4
,大正771b5
−21
に相 当する.そ して,
F6
.1
の 裏 面 とII
.4
の裏 面は直 接 接 合 してい て,Fol
.(
250
)
の裏
面であ り, 『根 本 説一切 有 部毘奈
耶』
のPayattika
第五 条 から六条
におけるDCha
259a5
−260a6
,
p
Je
240a4
−241a3
,S
Cha
254a6
−255b5
, 大正
771c2
−29
に相 当する .以上の 通
り
,F6
.1
におい て表 面はABC
の 三層か らな り, その 内A
は248
の表 面,B
は249
の表
面,C
は250
の表 面であ り,裏
面は250
の裏
面に属 して い るが, 一方 IL4
にお い て は表面
であるYZ
の 内,Y
は248
の表
面 ,Z
は250
の表面
であ り,裏
面は250
の裏面
に属
し てい るt こ の よう
に裏 面が直接接合
してい る二 つ の 断簡 (F6 .1
とIL4
)で あっ て も, そ れ ぞ れ の 断簡に おい て数枚 のフ ォ リ オ が付 着 し て重 な り合っ てい る ごとに よっ て表面
が同
一 の フ ォ リ オ に属 する とは 限 らな くな る.も
し数枚
の フォ リオが重 な り合っ て い る写本断簡
を別
々 に分離す
るこ とがで きた なら ば ,現在
では覆い 隠さ れ てい て見る こ とがで きない 梵 文テ キス トを 回収
する こ とが見 込 まれ るの で ある が ,現在
の 状況では写 本の修 復 作 業 を行
なう
こと は困難な よう
で ある 6). こ の よう
に数枚
の フ ォ リ オ が重 なり
合っ てい て, フ ォ リ オ番 号 も確 認で きない 場 合,テキス トの 同定や重 な り合っ た数枚の 断簡の順 序を 決定す
る唯一の手掛 か りは チベ ッ ト訳や 漢訳のみで ある7).2
.二
番
目の 例 は,F
15
.2
という
断 簡で ある. この 断簡
は左端
が欠損
してい るの で,フ ォリオ番号
は不明
であ
る.Fl5
.2
に関
しては,A
面とB
面を別々 に考察
する.先ず
,F15
.2
のA
面の転 写テ キス トは 以下の通 りで あ る 8).1
〃1
+ + + + + + + + + m [a]yati
naissargik 互payatti
ll
sa卑bahul
百血i
cakracarakUIEninEnopavictirErpi katamani[yl.[th]9pi tat sa1pbahu1 巨ni + + +〃
1
2
1
〃+ + ,[r]..[yl.+ + + + dh[司rapalp naki
エp cid api 励ikakulam
ekopavicdra [恥]k
[a]tamat* yathapi ttattinhikakUlarn
ekad !Stikarpbhava
[t]i
ekak 爭巨n[t]ikam ekaruci + + +11!3 〃1+ 1.nti samidha sthapayaty ajinavalkaldni
dapdakama
ロdalO
皿i
srugbh 司an亘ni sth巨payanty
agni 叩
prajvalayanti
samidhojuhvanti
ya [t]r」+ + + + +・[i1+ + +”/4 〆〃 [v]. [c司ra毎
bhik
寧ur abhyantare o脚arakapi sth互payitva
pUrvavad
yavad
atraru4amatinamayati nais [s]a[r1.
ik9
[p司 .[att]i
【k
】互・11
t−
r[th]
i
+ + [1
],[呵 + + + + ++ ++ + + 〃1
5 !〃 + + + + [ci]
ka
nfin巨bhipr
互yan tasyaka
upavic 互rab pratyekapratyekabkirp
s5dhdrallarp.[e]vakUla 叩
bhiksu
+ + + + [c]i[va]+ + + ++++ + + + + + + +11
/6
〃/+ + + + + + + [11
.ru1;am atinamayaty an 互pattib tirthikakuledevakule
va ci[va]r[ak].ni
sthapa .[i]+ + ++ + + ÷ + + + + + + + + + + + +
1
〃7
〃 + + + + + + 十h .1dni tirthikakUltiny ekad 『爭重ikani bhavamty e[k]ak爭互ntik巨ny ekanlciy
一
829
一Vinayavibhahga の梵 文写本断 簡に お け る問題 点 (生
野) (
215
)ek 亘bhipr互[
y
].+ + + + + + + + + + + + + + + + + +111
8
”
1
+ + + + + + + + + [)−a]nEni sthapayanti agni prajvalayanti[sa]midhojuhvanti
[ylatra
va te[apd].+ + + + + + + + + + + + + + + + + + +
1
〃9
1
”+ + + + + + ++ + + + + + + .[i
]+ + ...[i
].[ai]+ .[i
].,.,+ [t].[i
]ka ・11
[sa]m ..+ ++ .i+ + +十十 十十十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十
1
〃F15
.2
のA
面は ,「
根 本 説一切 有 部 毘 奈 耶』
のNaiss
∈江gika
P
浸yattik巨第
二条
における
DCha
51al
−b7
,P
Je47a7
−48a5
, S
Ca
479a5 −480a7 , 大 正713c9
−22 に相当する . 対 応 する チベ ッ ト訳の 一部に対 する和訳 を以 下 に提
示 する . な お ,梵
文 断簡
に対 応 する語句
は,梵文断簡
の行番号
を角括弧付
きで左肩
に付
し た 上で 太字に して 明 示 する . さ らに, 相 当箇 所の 後に梵 文の 復 元テキス トを提 示す
る.Eg
. D 51a2−6
, P 47a8−b5, S 479a6 −b4: 〔A2】領 域 を一つ の もの とする [一つ の ] 外道の 家 と は何か [tTrthikakulam ekopaVicara :pkatamat
* ]? つ まり,見 解を同一の もの と し,忍 耐を同一の もの と し, 願望 を同 一の も の と し,意向を同 一の もの とする[一つ の]外 道の家の ことである [
yathfipi
{t}tat tirthikakulam ekadgStika叩bhavati
ekakSEntikam ekarlci (kam
ek巨bhipr
五yam )],それの 領域 と は何 か ? 内部全て と外 部 1 ヴィヤ ーマ である か,そ こ に彼 らが諸々 の [牛 ]
糞を 広げ (塗布し),圃 諸々 の薪を置 き,諸々 の獣 皮と諸々 の樹 皮 と諸々 の杖 と諸々 の鍋
と諸々 の柄杓と諸々 の容器を置 き,火を点 け,諸々 の 薪 を燃 や す [samidha sthapaya <n>ty ajinavalkal 互lii
dapdakamaqdalilni
srugbhajan 五ni sth琶payanty agnirp prajv百layanti samidhojuhvanti
yatr(a)】と ころ,[ま た ] そこで彼 ら が 打 ち,炒め,ひ き砕い て,作 り,食べ , 飲み,軽食 をなす ところの そ れ が,そ れの【A4】領域 で あ る
[(tasyopa)v(
i
)carah ].比丘 が 内部に諸衣 を置いた 後に [
bhik
$ur abhyantare cTvarak 互ni sthEpayitva pUrvavad yavad ]領域内におい て 曙 を昇 らせ る時に,罪は ない .領 域 内に諸衣 を置い た後に内部 に おい て
曙 を昇らせ る時に も, 罪はない .
内部か領域 内に諸 衣を置い た後に他 所 におい て曙 を昇 らせ る時に は, ナイッサルギカ
ー ・
パ ーヤッ テ ィ カーにな る [a<nya >tr亘rurpam atinamayati naissar(
g
)ik
五payattika
。11
],続い て,
F15
.2
のB
面の転
写テキス トは 以 下の 通 りで ある,2
〃!+ + + + + ++ + + + + + + + + + + + + + [t].[s].[tl,[y].+ + .... ti ram 。「t],._ .......,..+ +十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十 十
111
3
〃1+ + + + + + + + + + + + + + + .[y].[P
]utrL k[a]re kapolan datva cintap [a]r[o]Vyavasthita
bhadr
[e]anekadhana [s]..[u]+ + + + + + + + + + + + + + ++ +〃1
4 〃/+ + + + + + + +
gen
互cch巨dayeyam
eva即 mep
互買alaukikampathyadanalp
saφkr
窃mitalpbh
,vi筝ya [t]* ..+ + + + + + + + + ÷ + + + + + + +!〃
5
〃1
+ + + + + + [○]鱒 ab ek漁 ni鱒 a駅 a卑 麗hapat加 bhaga欟 曲yaya
血ay 巨The Japanese Association of Indian and Buddhist Studies
NII-Electronic Library Service
The Japanese Assoclatlon of 工ndlan and Buddhlst 二 St二udles
(
216
) Vinayavibhathgaの梵文 写本 断簡における 問題 点 (生野)
6
〃1+ + + + + + [○]sa glhapatir utthay 互san 巨d
ek巨卑sam uttarasamga1pk
[g]rV蕊 yenabhagav5
一卑[s1.「e]..毋 ..[
1
].[P
]L pamayya + + ..+ + + + + + + + + +!〃7
〃1
+ + + + + + [○]麗hapates
tUS4imbhavenaI
atha sa 麗hapathr
bhagavatas
tU爭p
了mbhfive−[nadhiv 司san 蕊mdhivasan5叩viditv 五
bhaga
[v].+ + +....[s]. v[alndit [v1.1
〃8 1〃 + ..[
y
]。bhoj[a]n[1]yalp samud 互niyakalyarn
evotth 巨y巨sanakEni prajfiapyodakamapi叩
prati
寧th
五pya
bh
.[g
].航 todUtena
k
互1am
互rocayatil
samayobhada
[nt1.+1
〃9
〃/[sy].p
互tracivaram互d
互ya
bhik
$uga ロaparivgeobhik
§usamghapuras toyena
tasyag
ぎhapater
bhaktfibhis巨ras tenopasarnlkrhritCh upasarpkramya
bhagavata
..++〃/10
〃1
+ + + [4a
]rp。.+ + [m ].kha
甲bhik
§usamgharp viditv 註忌ucin 互prapitena
khadanTyabh
()j
a−nfyena [s]vahasta 珥 santarpayati sarpprav互[r]a[
yj
.+ ++〃/B
面は, 『根 本 説一切 有 部 毘 奈 耶 』の
Naissargika
Payattika
e9
五条
に おけるDCha
99a5
−100a3
,P
Je
92a1
−b4
,S
Cha
30b1
−31b4
, 大正
727b2
−24
に相 当する.対応する チベ ッ ト訳の一
部
に対 する和 訳を 以下に提 示 する .E
.g
.D99a5
−b1
,P92a1 −
3
,S30bl
− 5:シュ ラーヴ ァ スティーにある家 長がい て ,その者は同等の家 系か ら妻を[B2 ]受け取っ た
[(tena sad;
Sat
kUIEt
kalatram
anT)t(aM )].そ して,彼は彼 女と一緒に楽し み,喜び [s(a)t(a)y(5 s訌rdhapda
)ti・ram(a)t(e)],満足する.[しか し]彼が 「私 の家は多 くの富 を有して い て も
私は他の 世界へ の糧 食.を少 しももた ら さ な かっ た」と 思っ た 後 に
, 手に 頬 を 寄せ か けて
もの思い に ふ けっ てい るの を妻が見て言っ た :「[B3]きちんとし た者に属する者よ, 君は何
ゆえ手に頬 を寄せ かけて もの 思い に ふけっ てい るの か [(ar)y(a)putr(a)
kare
kapolan
datva
cintaparQVyavasthito
]?」 「幸い な る女性 よ,私の 家は多くの 富を有 して い て も [bhadre anekadhana (samuditam me ggham )]私は他の世界へ の糧 食 を少しも もたらさなかっ た 、もし私が 仏陀を は じめ とする比 丘僧 団にお食事を 差 し 出 し,各々に新た に準備 さ れ た 衣一対 を[B4]着せる なら ば,それ に よっ て 私の他の世界へ の糧 食が も た ら さ れ た こ と になる であ
ろう[(
yu
)genacchadayeyam
eva ・P me pfiralaukikam pathyadanam sarpkratnitarpbh
(a)viSyati g)]」.妻は言っ た :「き ち ん と し た者に属す る者よ,その 通りに為さ れ な さい」.
以 上の通 り,
F15
.2
のA
面 はNaissargika
Payattika
ag
二 条に属 し,B
面はNaissargika
payattika第
五条
に属 して い る. この梵 文 断簡の 同 定はこの 通 りであるが, こ の 断 簡に関 して は な お明らか に しえない 問題点
が二 つ存在 す
る.例 えば チベ ッ ト訳 を参 考にする と,
A
面 とB
面に相 当 する箇所
の 問に は40 枚
以 上の フ ォ リ オ が介在す
るの で,梵文写
本に おい て も大 部の フ ォ リオ が介在
して い たこ とが 想定
されう
るの で あるが, しか しなが ら梵 文断簡
に おい てそ れほ ど大
部の フ ォ リ オ が重 な り合っ て付着
してい る よう
に は見
えない . この よう
に一つ 目 の 問題 点は,A
面とB
面との間に何 枚の フ ォ リ オ が重 な り合っ て付
着してい るの か とい うこ とで ある. 一827
一 N工 工一Electronlc LlbraryVinayavibhahga
の梵 文写本 断簡における問題 点 (生野 ) (
217
) また , 一枚の フ ォ リ オ か ら なる 断簡で あればチベ ッ ト訳 などを用い て テ キス ト を 同定す
ることが で きた な らば ,フ ォ リオ番
号が保持
さ れてい な かっ た と して も, 表 面 と裏
面 を決 定 する こ とがで きる. しか しなが ら,数 枚の フ ォ リ オが重 な り合っ て い る断簡
の場
合は, テ キス トを同定
した後
で あっ て も表
面と裏
面 を決定す
る こ とが困 難な場合がある .Fl5
.2
の場 合Naissargika
Payattika
第二条
に属 するA
面が 表 面であ り,Naissargika
P5yattika
n9
五条に属 するB
面が裏 面で あるとい うこ と が 先 ず 想 定 され うる . ところが,Fl5
.2
のA
面の 場 合,F8
,1
とい う別の 断簡 10)が あ り, そ の断簡の表
面がFl5
.2
のA
面に直
接 後続す
る フ ォ リオの表
面の 一部で あ る と考 え られる. 従っ て, この ことか らFl5
,2
のA
面 が も しF8
.1
と同一 の写 本 に属す
るの であ
れ ば,F
15
.2
のA
面
は裏
面であ
る という
こ とに な る.一方
,F
15
.2
の
B
面に 関 してはNaissargik
巨Paya
賃ika
第五 条にお ける対応 箇 所の 前 後に相 当する 梵 文 断簡は現 在 までの ところ見 出すこ とが で きてい ない の で,Fl5
.2
のB
面が表 面で あ るの か裏面で あ るの か を判 断 す る材 料 が ない . この よう
に二 番目の 問 題点 は ,数枚
の フ ォ リオ が重な り合
っ てい る断簡
におい ては , その断簡
のA
面 とB
面 のそ れ ぞ れ が表面で ある の か裏 面であるの か を決定
する こ とが困難 な場 合が存在
するという
こ とである ω. も し写 本 断 簡 を一枚一枚の フ ォ リオ に分 離 する こ とがで きる の で あ れば , より多
くの テ キス トを回収す
る こ とがで きるだ けで はな く, これ ら二 つ の問題 点を明 らか にす
るこ とが で きるの である が ,現
状で は写本の 修復
作 業 を行う
ことが で き る ように なる可 能 性はきわ め て低い 12).1
)この コ レクシ ョ ンに 関 して は,H
飢 ma andWille
2014 を参照の こ と.2
)Sander
1968
,1989
,ま た, こ の書体の名称に 関 して は,Sander
2007
.3
)生野2012;Hanmann
andWille
2014,
153
with n,26 ,4)
G25
.7 とい う別の 断簡が F6 .IA 及 び II.4Y と同一の フ ォ リオ に属 してお り, その G25
.7
の上 にこの [2
]4
[8
]とい うフ ォ リ オ番号 が保持さ れ ている.5
)フ ォ リ オ番号251
を保持するF4
.1
とい う断簡がF6
,IC
及 びIL4Z
の裏面 が相 当する箇所よりもさらに後の箇所 [
D
・Cha
・260b4
−262b3
,P
Je
241a7
−243al
,
SCha
256a4
−258b4,大正 772a8−c7 ]に相 当し てい るので,
F
6
,1C
+II
.4Z はフォ リ オ 251 よ り前で 249 よ り後の
250
とい うこ と に な る.な お,F6
.IC
は250
とい うフ ォ リ オ番 号を保 持 し てい る こと が予想さ れるが,こ の フォ リ オ番号の箇 所は フ ォリ オ 249 と重 な り合っ たままで あ
るの で,フ ォ リオ番 号は覆い隠さ れ てい て見るこ とがで きない .
6)Hartmami and
Wille
2014, 138− 139.
7)榎 本 2007 .
The Japanese Association of Indian and Buddhist Studies
NII-Electronic Library Service
The Japanese Assoclatlon of 工ndlan and Buddhlst 二 St二udles
(
218
) Vinayavibhahga の梵 文写本 断簡に おける問題点 (生野)
〈 〉 は 欠 損 してい ない 箇所での補い , {}は削除 .。は判読で きない 音節, .は判読で き
ない音節の一部, + は欠損して失わ れて い る音節 , * はvirhrna 。!〃はフ ォ リ オの破損,
・ と
1
とll
は写本におい て用い ら れてい る句読 点,○ は紐穴を 通すた めの空間を表わす.9
)写本で は bh(a)vi§yat*. 10)生 野 2012 匚cf. D Cha 52al− 53b7 , P Je 48a5 −50a3 ,S
Ca
480a7
−482b7
, 大 正713c22
−714a20
]. 11)生野 2015 において,A 面と B 面に関する別の問題 を取 り扱っ て い る.しか し,1
に おいて見 たように,数枚の フ ォ リオが重 な り合っ て い る断簡に おい て も多 くの場 合は, そ れ ぞ れの フ ォ リ オ は表面か裏 面の どちら か同じ面 を上 に して, 同じ向 きを向い て重 な り合っ てい る.12
)Hartmann
andWille
2014,138− 139.
〈略号>
S sTog Palace (Manuscript).
〈参考 文献>
Hartm
,Jens
−Uwe
, andKlaus
Wille
.2014
.“The
Manuscript
of theDirghagama
andthe
Private
Collection
in
Virginia.”In FTrom Birch Bark toDigital
Data
:Recent
Advances
inBuddhist
Manuseript Research, ed . Paul Harrison and Jens−
Uwe
Hartrnann
,
137
−
155
.Wien
:Verlag
der
6sterreichischen
Akademie der Wissenschaften.Sander
,Lore
.1968
.Paldographisches
zuden
Sanskrithandschriften
der
Berliner
Turfan
−sammlung . Wiesbaden :Franz
Steiner
Verlag
..
1989
.“Remarks
on the
Fomial
Brahml
ofGilgit
,B
五tniyfin, andKhotan
with an
Appendix
ofSelected
scriptions 丘omThor
North (Pakistan).”In Antiquities of Northern
Pakistan
! Reports andStudies
. Vol.1, Rock lnseriptions in the lndus Valley, ed .
Karl
Jettmar
in
collaboration withDitte
K6nig
and Volker Thewalt, 107 − 129. Mainz :Verlag Philipp von
Zabem
..
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.榎本 文雄