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スルーベーン形圧縮機の運転特性に関する研究

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Academic year: 2021

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スルーベーン形圧縮機の運転特性に関する研究

著者 神谷 治雄

雑誌名 静岡大学大学院電子科学研究科研究報告

16

ページ 171‑173

発行年 1995‑03‑28

出版者 静岡大学大学院電子科学研究科

URL http://hdl.handle.net/10297/1259

(2)

氏名。(本

)  

  

  

  

(愛知県) 学 位 の 種 類

  

 

 (工

)

学 位 記 番 号

  

工博甲第

  95  

学位授与の日付

  

平 成 6年 3月 23日 学位授与の要件

  

学位規則第4条第 1項 該当

研究科専攻の名称

  

電子科学研究科

 

電子応用工学専攻

学位論文題ロ

   

スルーベーン形圧縮機の運転特性に関する研究

論文審査委員   (委員長)

教 授

教 授

 

教 授

教 授

 

教 授

 

教 授

 

 

カーエアコン用スルーベーン形圧縮機 は、従来のスライデ イングベー ン形圧縮機 とは異な リベ ンが ロータを貫通する構造 を有 してお り、理想的にはベーンの両先端がシリンダ内壁 と絶えず しゆう接 し なが ら圧縮 を行 う機構 となっている。 しか し実際の圧縮機では、滑 らかな回転 を保証するためにベー ンの長手方向にシリンダ内壁 との間に微小 なす きまが設 けてあ り、圧縮機運転中のベーンは一方の先 端ではシリンダ壁 と接触 した状態、他端では非接触 の状態で回転 している。 この とき、シリンダ壁 と 接触 しているベーン先端部では じゆう動摩擦損失が、また非接触の先端部では漏れ流れが発生 し、そ れ らは圧縮機の性能に少なか らぬ影響 を及ぼ している。本研究は、スルーベーン形圧縮機 における摩 擦損失や漏れ損失 に関連 した現象を解明する とともに、それ らが圧縮機の性能に及ぼす影響 を理論的 な らびに実験的に検討 した ものであ り、本論文の内容は以下の ように要約 される。

本論文は全6章で構成 されている。第1章は序論であ り、本研究の背景 と目的を述べている。

第2章 では、スルーベーン形圧縮機の構造 について説明 し幾何学的な解析 を行 っている。

第3章 では、ベアンに作用する力およびモーメン トの釣合い式か らベーン先端 とシリンダ内壁 との間 に作用する押付け力 を求めることにより、ベー ン先端の接触 しゆう動範囲を理論的に明 らかに した。

その結果、ベーン先端は回転角度 にしてお よそ

70°

か ら

250°

の範囲でシリンダ内壁 と接触 を保 つてい ることが明 らか とな り、そのことの妥当性 は圧縮機内部 を可視化 した実験 により確認 された。

第緯 では、ベーンしゅう動部における潤滑特性お よび摩擦損失 について述べている。モデル実験に

(3)

よリベーン先端における曲率の異 なる二円筒面間のすべ り摩擦係数 を測定 し無次元潤滑特性数 との関 係 において整理 した。その結果をベーン先端部お よび側面部に適用 して しゅう動部の潤滑特性 を評価 したところ、圧縮機の一回転の間にも潤滑状態が変化 していることが明 らかになった。 また潤滑特性 を考慮 して摩擦損失 を求めた結果、ベーン先端における摩擦損失 は従来の研究 にように摩擦係数 を一 定 として (例えば境 界潤滑 に近い値0.1と して)求めた場合よ りもか な り小 さくなることも明 らか と なった。 さらに、 しゆう動部の表面粗 さやベーン先端半径 (等価曲率半径)と潤滑特性 との関係 を調 査 した ところ、表面粗 さ力Ⅵヽさくなるほど、また等価曲率半径が大 きくなるほど流体潤滑の限界は無 次元潤滑特性数の小 さな方向へ移 り、金属接触の限界 となる許容油膜厚 さは小 さくなることが明 らか となった。 さらに、本研究 によ り実際の圧縮機における摩擦損失が、無次元化 された摩擦特性線図に 基づいて、 しゅう動部の表面粗 さや等価曲率半径 を考慮 に入れて定量的に評価で きるようにな り、運 転条件 に適合 した圧縮機の設計指針 とすることが可能 となった。

第5章 では、ベーンの先端部、側面部および端面部のす きま、ならびにロータのアキシヤルシール部 のす きまにおける漏れ損失特性 について述べている。それぞれのす きまの大 きさを変えて圧縮機の運 転性能 を測定 して漏れが圧縮機性能 に与える影響 を実験的に調査するとともに、当該部の漏れ媒体 を 冷凍機油あるいはガス冷媒 と仮定 した場合の理論的な解析 を行つた。それ らの解析結果 と実験結果 と を比較するこ とにより、当該部の漏れ媒体の状態 を推定するとともに、漏れ損失の定量的な評価方法 について検討 し、結果 として以下の ことが明 らかとなった。

まず、ベーン先端部での漏れは軸 トルクを増加 させ るが体積効率 にはほとんど影響 しない。 また、

この部分の漏れは冷凍機油が主体の漏れであると解釈 され、その漏れが圧縮機性能に与える影響 は二 円筒間の潤滑理論 を適用 し冷媒の解離 を考慮する (本研究では解離係数を0.3程度 とする)こ とにより 定量的に評価で きる。次 に、ベー ン側面部での漏れは体積効率 を低下 させ るが、本研究の場合のよう にロータ中央部の圧力が吐出 し圧力 よ りも適度に低い ときには軸 トルクヘの影響 は小 さい。 また、漏 れ媒体 は冷凍機油あるいはガス冷媒の単相 として取扱 うことは難 しく、それ らの二相状態 と推察 され る。供試圧縮機におけるベー ン側面部での漏れが圧縮機性能に与える影響 は、回転数が1000rpmの 場合 には油漏れ流れか らの冷媒解離係数 を0.8程度 として、1800rpmの 場合にはイス漏れ流れの流量係数 を 0.3程度 として定量的に評価で きる。 さらに、ベーン端面部での漏れは体積効率 を低下 させるが軸 トル クヘの影響 は小 さい。 また、この部分での漏れはガス冷媒 による漏れが支配的であると解釈 され、漏 れが圧縮機性能に与える影響 はガス漏れ流量 を流量係数により補正 して (本研究では0。8程度の値 を用 いて)定量的に評価で きる。最後に、アキシヤルシール部の漏れは体積効率 を大 きく低下 させるとと

もに、軸 トルクも減少 させる。 また、 この部分における漏れは冷凍機油あるいはガス冷媒の どち らか 一方が主体の漏れとは断定で きないが、漏れが圧縮機性能 に与 える影響 は、流体の粘性 とロータの回 転速度の影響が考慮 される冷凍機油の漏れ流れとして適当な冷媒解離係数 を用いて (本研究では0.6程 度 として)解析するほうが望 ましい。

第6章 は結論であ り、本研究 を総括 している。

(4)

の 要

本論文は、車両空調用スルーベー ン形圧縮機のベー ンしゅう動部における摩擦や内部漏れに関連 し た現象、お よびそれ らが圧縮機の性能に及ぼす影響 について理論的ならびに実験的に検討 した研究を

まとめたものであ り、全6章 で構成 されている。

1章は序論で、本研究の背景 と目的を述べている。

第2章 では、スルーベー ン形圧縮機の構造 について説明 し、幾何学的な解析を行つている。

第3章 では、ベーンに作用する力お よびモーメン トの釣合い式からベーン先端 とシリンダ内壁 との間 に作用する押付け力を求め、ベーン先端の接触 しゅう動範囲を理論的に明 らかにしている。 また、解 析結果の妥当性 を圧縮機内部の可視化実験 により確認 している。

4章では、ベーンしゅう動部における潤滑特性お よび摩擦損失について述べている。モデル実験に よ リベーン先端 における曲率の異なる二円筒面間のすべ り摩擦係数を測定 し、その結果 を実際の圧縮 機 しゅう動部に適用 して しゅう動部の潤滑特性 を評価 している。 さらにベーン先端 における摩擦損失 を潤滑特性 を考慮 に入れて解析 し、摩擦係数を一定 として求める従来の研究の場合よ りものかな り小 さくなることを明 らかに している。 また、 しゅう動部の表面粗 さやベーン先端半径 (等価 曲率半径) が潤滑特性や摩擦損失に与 える影響 について検討 し、無次元化 された摩擦特性線図に基づいて、実際 の圧縮機 における しゅう動部の表面粗 さや等価曲率半径 を考慮に入れた定量的な摩擦損失の評価方法 を提案 し、運転条件 に適合 した圧縮機設計のための評価基準 を示 している。

第5章 では、ベーンの先端部、側面部お よび瑞面部のす きま、ならびにロータのアキシャルシール部 のす きまにおける漏れ損失特性 について述べている。それぞれのす きまの大 きさを変えて圧縮機の運 転性能 を測定 して漏れが圧縮機性能 に与 える影響 を実験的に解明 している。すなわち、ベーン先端で の漏れは主に軸 トルクを増加 させること、ベーン側面部および瑞面部での漏れはそれ とは逆 に体積効 率 を低下 させること、アキシャルシール部の漏れは体積効率 と軸 トルクの両方 を減少 させることを明 らかにしている。 また、当該部の漏れ媒体 を冷凍機油あるいはガス冷媒 と仮定 した場合の理論的な解 析 を行い、それ らの解析結果 と実験結果 との比較 により、当該部の漏れ媒体の状態 を推定するととも

に、漏れ損失の実用的かつ定量的な評価方法 を提案 している。

第6章 は結論であ り、本研究を総括 している。

以上、本論文における冷媒圧縮機の しゅう動摩擦や内部漏れについての現象の解明およびそれらの 実用的かつ定量的な評価方法 に関する成果は、今後の冷媒圧縮機の開発0設計 にとって極めて有効で あ り、工学的意義 も大 きい。 よって、本論文は博士 (工)の学位 を授与するのに十分 な内容 を有す るもの と認定する

3

‑173‑

参照

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