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絹糸強化 FRP の成形および機械特性

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Academic year: 2021

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絹糸強化

FRP

の成形および機械特性

知能材料学研究室 田中 晶久

1. 緒言

壊れにくく腐らないなどという FRP の大きな利点は,廃 棄処理の点で考えると環境に大きな負荷をかけてしまう.そ こで近年の環境問題に対する意識の高まりに応じて注目を集 め始めているのが,材料に天然資源を使い,その材料が持つ 生分解性(土中などの微生物分解)を利用した環境調和性の 高い FRP である.本研究では,環境調和性が高く柔軟性の 優れた FRP の創生を目的として,繊維に強度が高くて優れ た柔軟性を持つ絹繊維を使い,樹脂には生分解性と柔軟性を

持つPBS(ポリブチレンサンクシネート)を採用した.そし

て制作したFRPの機械特性を調べた.

2. 実験材料および方法 2.1生分解性FRPの成形方法

繊維には150Tの絹の撚り糸を使用し,樹脂にはPBS(ビオ ノーレ #1050)を使用した.成形方法の手順は,まず15g 粒状PBSを金型(縦17cm,横17cm)に入れて,ホットプ レスにて加熱・加圧成形(135℃,0.2MPa,10min)を行い,

薄いシート状に成形する.次に,金型に絹糸を100回巻きつ け(200本),先ほど作ったシート状樹脂を金型に合わせて切 り取り,糸束を挟むようにして設置する.そして,0.5mm スペーサーを置いてホットプレスにて加熱・加圧成形(135℃,

0.6MPa,10min)を行う.

2.2引張試験

機械特性を調べるためにFRP(繊維+樹脂),樹脂のみ,繊 維のみの引張り試験を行った.FRP と樹脂の試験片は縦 110mm,横15mm,厚さ0.5mmVf0.51であった.ま た引張り試験では荷重と伸びを取得し,応力とひずみを算出 した.一方繊維の引張試験にはロ型に切り取った厚紙に絹繊 20 本を接着し,試験機に取り付けた後に,厚紙の両端を 切り引張試験を行った.

3. 実験結果および考察

1に撚り糸1本あたりの荷重―ひずみ曲線を示す.グラ フよりひずみが0.04付近までは線形を示し,それ以降から非 線形になっている事が分かる.ひずみが0.04までの線形部分 の傾きを剛性として評価すると,繊維の平均剛性は86.1N なった.またグラフを見ると分かる通り最大荷重は5.24N~

5.89Nで平均最大荷重は5.45N,最大ひずみがおよそ0.15~

0.18となっており,絹糸が高い伸度を持っている事が分かる.

2にはFRPと樹脂の応力―ひずみ曲線を示す. FRP 場合は初期滑りを抜いて考えるとひずみ0.02~0.04の間で線 形であり,0.04を超えた値から非線形になっている.そのた 0.02~0.04付近の傾きからヤング率を算出した.またPBS の場合は線形になっているひずみ0.02~0.06の傾きからヤン グ率を求めた.FRP試験片の平均ヤング率は1.79GPa,樹脂 の平均ヤング率は0.25GPaとなり,強化繊維により7倍以上

剛性が大きくなる事が分かる.また FRP の最大平均応力は 112.7MPa,樹脂の平均最大応力は23.8MPaとなり,強化繊 維を入れる事でおよそ5倍近く強度が大きくなる事が分かっ た.しかし今回の引張試験では,つかみ部の応力集中で破壊 が起こっているため実際の強度はさらに高いと思われる.

複合則を用いて,FRP のヤング率を算出すると,理論値 1.89GPa となり実験値1.79GPaに非常に近い値となった.

よってひずみ 0.04までの範囲では,FRPの特性が複合則に 従っている事が分かる.

0 1 2 3 4 5 6

0 0.05 0.1 0.15 0.2

Lo ad (N)

Strain

図1.撚り糸1本あたりの荷重―ひずみ曲線

0 20 40 60 80 100 120 140

0 0.02 0.04 0.06 0.08 0.1 0.12

Stre ss (M P a)

Strain

Silk/PBS

PBS

2.PBS樹脂とSilk/PBSの応力―ひずみ曲線

4. 結言

今回の FRP では一方向のみで繊維を入れているため強度 と剛性どちらの値も大きくなっている.その事を考え,繊維 を直線に入れるのではなく角度をつけて繊維を入れていく事 で剛性を低くすることが可能になる.また FRP の引張試験 の結果を見ると樹脂の方で先に破壊が起きているため絹繊維 の伸度を最大限に活かせていない.そのため PBS 以外の樹 脂を使うことでさらに高い柔軟性を持った FRP の成形が行 えると考えられる.

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