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高温耐性 FRP の開発に関する研究

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Academic year: 2021

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高温耐性 FRP の開発に関する研究

研究予算:運営費交付金

研究期間:平 27 年度~平 29 年度 担当チーム:材料資源研究グループ

研究担当者:西崎 到、古賀 裕久、櫻庭 浩樹

【要旨】

本研究では、高温負荷が繊維強化プラスチック(以下、 FRP )の物性に及ぼす影響の解明および FRP の高温耐 性向上技術の開発を目的として検討を行った。トンネル等のはく落防止工として適用されている FRP シートを対 象として、付着性および押抜き抵抗性を検討した結果、 300 ℃程度の加熱を受けた場合に、外観が変化し、物性が 顕著に低下することを明らかにした。次に、外観と付着性もしくは押抜き抵抗性の関係を検討した結果、外観の 変化からこれらの物性の低下を確認できる可能性を示した。さらに、耐火被覆材の適用性を検討し、耐火被覆材 の種類によっては、 300 ℃程度までの加熱に対して効果が期待できる可能性を示した。

キーワード:FRP、高温、付着性、押抜き抵抗性、外観

1.はじめに

繊維強化プラスチック(以下、FRP)は、トンネル 覆工等のコンクリート構造物のはく落防止対策や橋梁 点検路等に適用されている。 FRP をはく落防止対策と して用いる場合、コンクリート表面に繊維を配置して 樹脂を含浸、硬化させて接着することではく落を防止 する(このような工程で繊維と樹脂を一体化したもの を以下、 FRP シートと記す) 。このように FRP シート を用いる場合、コンクリートとの付着性、コンクリー ト片の落下に対する押抜き抵抗性が重要な物性となる。

一方、FRP を適用した部位の周辺で、火災が発生す ることも想定されるが、火災による高温負荷が、FRP の物性に及ぼす影響は十分に明らかになっていない。

また、トンネルの重要性、構造形式、延長等に応じて、

火災対策として耐火被覆材の設置等がなされる場合が あるため、 FRP を適用した部位においても、条件によ っては耐火被覆材を設置する可能性があると思われる。

本研究では、火災による高温負荷が、 FRP シートの 外観、付着性および押抜き抵抗性に及ぼす影響を検討 した。また、 FRP の高温耐性を向上させるため、耐火 被覆材の効果についても検討した。その他、FRP を板 状に成形した FRP 成形材の引張特性についても同様 に検討したが、本報では FRP シートの検討について紹 介する。

2.検討方法 2.1 供試体

供試体は、図-1 に示すように、モルタルあるいはコ

ンクリートの基盤に FRP シート(炭素繊維にエポキシ 樹脂系接着剤を含浸)を接着したものとした。モルタ ル基盤は付着性試験、コンクリート基盤は押抜き試験 用の供試体に用い、それらの寸法は、それぞれ、 7 × 7

× 2cm および 40 × 40 × 6cm とした。 FRP シートと耐火 被覆の仕様を表-1 に示す。耐火被覆材はアクリル系ポ リマーセメントモルタルもしくはアクリル系の発泡型 耐火塗料とした。

2.2 加熱条件と測定項目

供試体の加熱については、付着性試験に用いるもの はオーブンを用いて加熱し、押抜き試験に用いるもの は電熱線を供試体の表面に配置して加熱した。加熱温

a) 付着性試験 b) 押抜き試験 図-1 供試体の例

表-1 FRP シートと耐火被覆の仕様

種類 主成分 標準塗布量

(kg/m2FRP

シート

プライマー エポキシ系 0.2 パテ エポキシ系 1.0 含浸樹脂 エポキシ系 0.6

耐火 被覆材

プライマー エポキシ系 0.2 ポリマーセメ

ントモルタル

アクリル系ポリ

マーセメント 20.9 中塗り樹脂 アクリル系 1.5

(2)

度は 100 ℃~ 360 ℃の範囲とし、加熱時間はオーブンを 用いた場合は 30 分、電熱線を配置した場合は 60 分と した。この加熱条件は、トンネルでの普通自動車の火 災を想定した

1)

加熱終了後、供試体を室温まで冷却し、外観変化を 記録および色差計を用いて色差を測定した。次に、

JSCE-K 524-2013 による付着強さ試験および JSCE-K

533-2013 による押抜き試験を実施し、付着強さおよび

押抜き荷重を測定した。

3 .検討結果 3.1 付着性

付着強さと加熱温度の関係を図-2 に示す。なお、

360℃まで加熱した場合、FRP が炭化したため、付着

強さの測定は 290℃まで加熱したもので実施した。

耐火被覆無し供試体および PCM 系被覆供試体では、

加熱温度 290 ℃の場合、付着強さは 0.4MPa 程度となり、

付着性の低下は顕著だった。一方、樹脂系被覆供試体 では、加熱温度 290 ℃としても 1.4MPa 程度の付着強さ を保持した。これは、塗料が発泡して断熱層を形成し た効果によるものと思われる。

加熱後の外観変化を図-3 に示す。加熱温度が 290℃

の場合、 耐火被覆なしが黒色、 その他は茶色に変色し、

200℃と比べて区別が可能な結果となった。

3.2 押抜き抵抗性

各温度における押抜き荷重と変位の関係を図 -4 に示 す。なお、押抜き試験については、耐火被覆材無し供 試体の結果のみである。 加熱温度が 100 ℃と 200 ℃の場 合は、 加熱なしの供試体と同等の結果を示した。 一方、

加熱温度を 300 ℃とした場合、載荷直後に FRP シート の剥離が生じ、押抜き荷重はほぼゼロであった。

加熱前後の色差の変化を図-5 に示す。300℃で加熱 した場合、色差は、変化が大きいと判定される 6 以上 となった

2)

。この結果は、図-4 の結果と対応している ことから、耐火被覆がない場合には、外観から押抜き 荷重の低下を把握できる可能性がある。

4.まとめ

本研究では、高温負荷を受ける FRP の物性および耐 火被覆材の効果について検討した。

1) 100 ℃~ 300 ℃程度で加熱して常温に戻した後、付着 強さと押抜き荷重を測定した結果、 300℃程度まで加 熱すると、 顕著に付着強さや押抜き荷重が低下した。

2) FRP の付着性と押抜き抵抗性が低下した 290~

300℃まで加熱すると外観に顕著な変化が認められ

た。外観観察から簡易に付着強さや押抜き荷重の低 下を推測できる可能性を見出した。

3) 耐火被覆材の適用性を検討し、耐火被覆材の種類に よっては、 300℃程度までの加熱に対して、効果が期 待できる可能性を示した。

参考文献

1)

日本コンクリート工学会:コンクリートの高温特性と コンクリート構造物の耐火性に関する研究委員会報告 書、pp.1-13、2012

2) 土木学会:表面保護工法 設計施工指針(案)、

pp.147-149

2005

0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5

0 100 200 300 400

付着強さ(MPa

加熱温度(℃)

耐火被覆なし PCM系被覆 樹脂系被覆

図-2 付着強さと加熱温度の関係

室温 120 200 290

被覆 なし

PCM系 被覆

樹脂系 被覆

青緑色から黒色へ

灰色から茶色へ

白色から茶色へ

図 -3 加熱後の外観変化

0 2 4 6 8 10 12 14

0 10 20 30 40

押抜き荷重(kN)

変位(mm)

加熱なし 100℃

200℃

300℃

図-4 各温度における押抜き荷重と変位の関係

0 2 4 6 8 10

0 100 200 300 400

色差ΔE*ab

加熱温度(℃)

300℃加熱後

図-5 加熱後の色差の変化

参照

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[r]

なお,第 2 章は「小川福嗣・近田康夫: トピックモデルを用いた橋梁点検結果.. Thompson : PONTIS: the maturing of bridge management systems in the USA, pp. Frangopol,

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