論文 鋼繊維補強コンクリートの曲げ強度特性の向上に関する研究
平田 隆祥*1・川西 貴士*2・伊藤 智章*3・玉滝 浩司*4
要旨:国内における鋼繊維補強コンクリートは,トンネルや法面,土間へ適用1)されることが多い。鋼繊維 を使用すると,供用の過程で点錆が発生する短所があるが,添加によりコンクリートの曲げ強度や曲げ靱性 などの性能は格段に向上する。また,有機繊維2)と比べて材料が安価という長所がある。そこで,本論文は 2種類の鋼繊維を比較し,鋼繊維を添加することで曲げ強度特性をどの程度向上できるか,検討した結果を報 告する。実験の結果,改良した繊維を用いることで,同一の曲げ強度特性を得るのに,従来の鋼繊維より添 加量を35%程度低減できる可能性があることを明らかにした。
キーワード:鋼繊維,繊維補強コンクリート,曲げ強度,曲げ靱性,付着性試験,生産性向上
1. はじめに
鋼繊維補強コンクリート(以下,SFRC と表記)は,
普通コンクリートと比べて曲げや引張などの強度特性を 向上することができる3)4)5)6)。さらに,靱性も向上し,
ひび割れ発生後の変形挙動が,普通コンクリートと比較 して格段に優れる利点1)を持つ。この性能は,構造上十 分な曲げや引張強度を確保できれば,鉄筋の省略も可能 となることから,プレキャストコンクリート製品(以下,
PCaと表記)等の生産性向上に役立つ。
一般に,コンクリートに鋼繊維を添加していくと,曲 げ強度が向上する。しかしながら,添加量の増加に伴っ て,コンクリートの流動性が低下する。添加量をさらに 多くすると,鋼繊維同士が絡まってファイバーボールが 生じ,鋼繊維をコンクリートに均一に分散することが難 しくなる。従って,鋼繊維の添加量には上限があり,曲 げ強度の向上効果にも限度があると考えられる。
これまでに,鋼繊維の混入率に増加に伴い,曲げ強度 や曲げ靭性が向上すること,両端にフックを設けること でコンクリートとの定着効果が増大し,引抜き抵抗が増 加し,曲げ強度や曲げ靭性係数が増加することなどが報 告されている1)3)5)。
本研究では,従来から使用されている鋼繊維(以下,
従来タイプと表記)よりも,さらなる曲げ強度特性の向 上を目的とし,改良を加えた鋼繊維(以下,改良タイプ と表記)について検討することとした。写真-1に示す この2種類の鋼繊維について,コンクリートの曲げ強度 をどの程度まで向上できるかを実験的に明らかにした。
2. 実験概要
実験に使用した鋼繊維の形状を図-1に示す。また,
使用した材料の種類と物性を表-1に示す。
改良タイプの鋼繊維の形状は,従来タイプに比べて,
両端部の折曲がりが多くなっており,鋼繊維直径もやや 小さい。また,従来タイプの鋼繊維の引張強度は,
1,440N/mm2であるのに対し,改良タイプは 1,850N/mm2
のものを用いた。鋼繊維の長さは,市販のレディーミク ストコンクリートへの添加を想定して,長さ 30 ㎜~35
㎜のものを選定した。なお,従来タイプの鋼繊維は,国 内において多量に使用されている汎用品である。
次に,実験に使用したコンクリートの配合を表-2 に 示す。配合は,鋼繊維の効果を確認するために,トンネ ル向けのコンクリートや,PCaを想定した超高強度モル
*1 (株)大林組 技術研究所生産技術研究部副部長 工博 (正会員)
*2 (株)大林組 技術研究所生産技術研究部主任研究員 工修 (正会員)
*3 宇部興産(株)技術開発研究所コンクリート開発部・グループリーダー (正会員)
*4 宇部興産(株)技術開発研究所コンクリート開発部・主席 工修 (正会員)
写真-1 比較した鋼繊維 従来タイプ 改良タイプ
図-1 鋼繊維の形状 長さ30mm
長さ35mm
直径0.62mm
直径0.55mm
両端のフック形状
:2回折り曲げ
両端のフック形状
:3回折り曲げ 従来タイプ
改良タイプ
コンクリート工学年次論文集,Vol.39,No.1,2017
タル7)など,強度レベルが異なる4種類とした。実験の 組合せを表-3 に示す。曲げ強度を確認することを目的 とし,それぞれの配合において,鋼繊維は外割添加とし た。なお,本実験ケースの範囲内では,それぞれ試験体 を均一に作製することが可能であった。
練混ぜ方法は,2 軸強制練ミキサを用いて山岳トンネ ル覆工用のW/B:50.0%の配合は1分間,シールドトン ネル覆工用のW/B:30.0%の配合は3分間練り混ぜた。
同様に超高強度高靱性セメント系材料用のうち,W/B:
25.0%の配合は5分間,W/B:15.5%の配合は18分間練
り混ぜた。いずれも,鋼繊維以外の材料を最初に練り混 ぜた後に,鋼繊維を添加してさらに60秒間練り混ぜた。
硬化した材料の実験は,最初に,JIS A 6208の附属書B の呼び繊度による種類Ⅱ類の付着性試験方法を参考に,
鋼繊維の付着力を測定した。試験体の形状・寸法を図-2 に,試験の状況を図-3 に示す。次に,2 種類の鋼繊維 の違いを明らかにするために,JSCE-G 552の鋼繊維補強 コンクリートの曲げ強度および曲げタフネス試験方法に 基づき,寸法 100×100×400mm の供試体を用いて曲げ 試験を行い,曲げ強度や曲げ靭性係数を比較した。曲げ 靭性係数は式(1)のとおり算出した。
bh2
l f T
tb b b
(1) ここに, fb:曲げ靭性係数(N/mm2)
Tb:tbまでの面積(N・mm)
tb:スパンの1/150のたわみ(mm)
l:スパン(mm)
b:破壊断面の幅(mm)
h:破壊断面の高さ(mm)
無し
0.0 0.5 0.6 1.0 2.0 3.0 0.2 0.4 0.5 0.6 1.0 2.0 3.0 山岳トンネル
覆工用 50.0 ○ ○ ○ ○ ○
シールドトン
ネル覆工用 30.0 ○ ○ ○ ○ ○
25.0 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
15.5 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
超高強度 高靱性 セメント系
材料用
鋼繊維の混入率(vol%)
従来タイプ 改良タイプ
水結合 材比
(%)
コンクリート の種類
表-3 実験ケース 表-1 使用材料
種類 記号 各材料の種類および物性
練混ぜ水 W 水道水
(P1)普通ポルトランドセメント,密度3.16g/cm3
(P2)
普通ポルトランドセメント50%,密度3.16kg/m3 高炉スラグ微粉末50%,密度2.89g/cm3
(P3)超高強度用特殊結合材 細骨材 S 砂,密度2.61g/cm3,粗粒率2.60 粗骨材 G 砕石,密度2.64g/cm3,粗粒率6.61
WR AE減水剤
(SP1)高性能AE減水剤
(SP2)高性能減水剤
SF1 鋼繊維(従来タイプ),引張強度1440N/mm2 直径0.62mm×長さ30mm,密度7.85g/cm3
SF2 鋼繊維(改良タイプ),引張強度1850N/mm2 直径0.55mm×長さ35mm,密度7.85g/cm3 短繊維
減水剤
粉体 P
SP
表-2 コンクリートの配合
W/B s/a
(%) (%) W P S G WR SP 山岳トンネル
覆工用 50.0 50.0 175 350※1 874 883 1.00 - シールドトンネル
覆工用 30.0 54.3 185 616※2 837 713 - 1.10※4 25.0 - 180 888※3 1315 - - 0.73~
0.88※5 15.5 - 230 1830※3 330 - - 0.73~
0.88※5
※1 粉体P1:普通ポルトランドセメント
※2 粉体P2:普通ポルトランドセメント50%+高炉スラグ微粉末50%
※3 粉体P3:超高強度用特殊結合材
※4 混和剤SP1:高性能AE減水剤
※5 混和剤SP2:高性能減水剤 コンクリート
の種類
単位量(kg/m3) 混和剤混入量
(B×%)
超高強度 高靱性セメント
系材料用
図-2 試験体の形状・寸法
5.7±0.5 5.7±0.515
5.7±0.5 15 5.7±0.5 仕切り板
試料 15 42±1
仕切り板 5.7±0.5
155.7±0.5
t 77±1 L1 L2
LS
単位 mm L1:埋込み長さ t:仕切り板の厚さL2:定着長さ LS:定着長さ
図-3 試験の概要
30±2 ヒンジ構造
12±2
供 試 体
供 試 体
30±2
12±2
単位 mm
3. 実験結果および考察 3.1 鋼繊維の付着性試験
試験法に基づき作製したW/B:50%のモルタルと,超 高強度高靱性セメント系材料用のW/B:15.5%のモルタ
ルを用いて,従来タイプと改良タイプの2種類の鋼繊維 の付着性試験を行った。その結果,図-4,図-5に示す ように,最大引抜け荷重後の軟化靭性は,改良タイプの 方がやや優れるものの大きな差は無かった。
次に,2 種類の鋼繊維の最大引抜け荷重を図-6に示 す。最大引抜け荷重は,W/B:50.0%の場合は改良タイ プが 7%程度低下したが,W/B:15.5%では 16%と若干 増加した。また,W/B:15.5%の方が,W/B:50%より最 大引抜け荷重が大きかった。仕切り面に現れた鋼繊維は,
いずれの試験体も端部のフックが引き抜け,破断してい なかった。このことから,両端のフック形状,鋼繊維の 引張強度,モルタルと鋼繊維の付着面積などが影響して いると考えられる。
図-2 付着性試験結果(従来タイプ,W/B=50%)
図-5付着性試験結果(W/B=15.5%) 0
200 400 600 800 1000 1200
引抜け荷重(N)
1本目 2本目 3本目 4本目 SF1:従来タイプ
W/B:15.5%
0 200 400 600 800 1000 1200
0 5 10 15 20
引抜け荷重(N)
変位(mm)
1本目 2本目 3本目 4本目 SF2:改良タイプ
W/B:15.5%
図-4付着性試験結果(W/B=50%) 0
200 400 600 800 1000 1200
引抜け荷重(N)
1本目 2本目 3本目 4本目 SF1:従来タイプ
W/B:50.0%
0 200 400 600 800 1000 1200
0 5 10 15 20
引抜け荷重(N)
変位(mm)
1本目 2本目 3本目 4本目 SF2:改良タイプ
W/B:50.0%
表-4 圧縮と曲げ強度試験結果
鋼繊維の
混入率 圧縮強度 曲げ強度 曲げ靱性 係数
(vol.%) (N/mm2) (N/mm2) (N・mm)
無し 0.0 46.4 4.8 -
従来タイプ 0.6 44.1 4.8 3.6
0.2 45.0 4.5 2.5
0.4 44.4 5.1 4.0
0.6 45.2 5.4 4.8
無し 0.0 93.3 5.2 -
従来タイプ 0.6 92.5 6.2 4.8
0.2 90.5 6.0 3.9
0.4 93.3 8.7 7.2
0.6 90.4 10.2 8.5
0.5 146.6 7.5 6.1
1.0 144.6 11.8 9.8
2.0 145.0 20.1 15.9
3.0 146.8 20.6 15.8
0.5 145.0 9.5 8.2
1.0 146.2 15.0 14.2
2.0 146.7 22.5 18.7
3.0 148.3 29.3 24.3
0.5 187.5 8.4 7.3
1.0 184.0 12.6 9.4
2.0 180.4 18.7 14.3
3.0 182.1 19.7 15.7
0.5 197.2 10.0 7.3
1.0 186.9 19.0 15.0
2.0 179.6 22.9 18.1
3.0 180.2 30.2 24.5
鋼繊維の 種類 コンク
リート の種類
改良タイプ 山岳
トンネル 覆工用
(W/B=50%)
シールド トンネル 覆工用
(W/B=30%) 改良タイプ
従来タイプ
改良タイプ 超高強度
高靱性 セメント系
材料用
(W/B=25%)
超高強度 高靱性 セメント系
材料用
(W/B=15.5%)
従来タイプ
改良タイプ
図-6 付着性試験結果 0
200 400 600 800 1000 1200
W/B:50.0% W/B:15.5%
最大引抜け荷重(N)
従来タイプ 改良タイプ
3.2 鋼繊維の違いが曲げ強度に及ぼす影響
全ての配合の圧縮強度,曲げ強度,曲げ靱性係数の試 験結果を表-4に示す。
比較的鋼繊維の添加量が少ない 0.2vol.%~0.6vol.%の 範囲の,曲げ強度試験の荷重たわみ曲線を図-7に示す。
実験の結果,W/B:50.0%の山岳トンネル覆工用コンクリ ートで,従来タイプの鋼繊維を0.6vol.%添加した荷重た わみ曲線と,改良タイプを0.4vol.%添加した場合がほぼ 同等の荷重たわみ曲線となった。また,W/B:30%でシ ールドトンネル覆工用コンクリートで,従来タイプの鋼 図-7 曲げ試験の荷重たわみ曲線(0.2vol.%~0.6vol.%)
(普通コンクリートと高流動コンクリートの比較)
0 10 20 30 40 50
荷重(kN)
1本目 2本目 W/B:50.0% 3本目
山岳トンネル覆工用
SF1:従来タイプ:0.6vol.%
0 10 20 30 40 50
荷重(kN)
1本目 2本目 W/B:50.0% 3本目
山岳トンネル覆工用
SF2:改良タイプ:0.2vol.%
0 10 20 30 40 50
荷重(kN)
1本目 2本目 W/B:50.0% 3本目
山岳トンネル覆工用
SF2:改良タイプ:0.4vol.%
0 10 20 30 40 50
0 1 2 3 4 5 6
荷重(kN)
たわみ(mm)
1本目 2本目 W/B:50.0% 3本目
山岳トンネル覆工用
SF2:改良タイプ:0.6vol.%
0 10 20 30 40 50
荷重(kN)
1本目 2本目 W/B:30.0% 3本目
シールドトンネル覆工用
SF1:従来タイプ:0.6vol.%
0 10 20 30 40 50
荷重(kN)
1本目 2本目 W/B:30.0% 3本目
シールドトンネル覆工用
SF2:改良タイプ:0.2vol.%
0 10 20 30 40 50
荷重(kN)
1本目 2本目 W/B:30.0% 3本目
シールドトンネル覆工用
SF2:改良タイプ:0.4vol.%
0 10 20 30 40 50
0 1 2 3 4 5 6
荷重(kN)
たわみ(mm)
1本目 2本目 3本目
W/B:30.0%
シールドトンネル覆工用
SF2:改良タイプ:0.6vol.%
繊維を0.6 vol.%添加した荷重たわみ曲線の場合も,改良
タイプを0.4vol.%添加した場合よりやや小さい添加量で
同程度の曲線となることが確認できた。いずれの場合も,
改良タイプの方が曲げ強度の向上が大きかった。
一方,W/B:25.0%の超高強度高靱性セメント系材料用
モルタルで,鋼繊維の添加量を0.5 vol.%,1.0 vol.%,2.0
vol.%,3.0 vol.%と増加し,従来タイプと改良タイプとを
比較すると,図-8 に示すように,鋼繊維の添加率が 0.5vol.%~3.0vol.%のいずれにおいても,改良タイプの方 が曲げ強度が高くなることが確認できた。
図-8 曲げ試験の荷重たわみ曲線 (高流動コンクリートW/B:25.0%) 0
20 40 60 80 100 120
荷重(kN)
1本目 2本目 W/B:25.0% 3本目
超高強度高靱性セメント系材料用
SF1:従来タイプ:0.5vol.%
0 20 40 60 80 100 120
荷重(kN)
1本目 2本目 W/B:25.0% 3本目
超高強度高靱性セメント系材料用
SF1:従来タイプ:1.0vol.%
0 20 40 60 80 100 120
荷重(kN)
1本目 2本目 W/B:25.0% 3本目
超高強度高靱性セメント系材料用
SF1:従来タイプ:2.0vol.%
0 20 40 60 80 100 120
0 1 2 3 4 5 6
荷重(kN)
たわみ(mm)
1本目 2本目 W/B:25.0% 3本目
超高強度高靱性セメント系材料用
SF1:従来タイプ:3.0vol.%
0 20 40 60 80 100 120
荷重(kN)
1本目 2本目 W/B:25.0% 3本目
超高強度高靱性セメント系材料用
SF2:改良タイプ:0.5vol.%
0 20 40 60 80 100 120
荷重(kN)
1本目 2本目 W/B:25.0% 3本目
超高強度高靱性セメント系材料用
SF2:改良タイプ:1.0vol.%
0 20 40 60 80 100 120
荷重(kN)
1本目 2本目 W/B:25.0% 3本目
超高強度高靱性セメント系材料用
SF2:改良タイプ:2.0vol.%
0 20 40 60 80 100 120
0 1 2 3 4 5 6
荷重(kN)
たわみ(mm)
1本目 2本目 3本目
W/B:25.0%
超高強度高靱性セメント系材料用
SF2:改良タイプ:3.0vol.%
すべての実験ケースの鋼繊維の混入率と曲げ強度の 関係を図-9に,鋼繊維の混入率と曲げ靭性係数の関係 を図-10に示す。
実験の結果,鋼繊維の混入率と曲げ強度の関係は,図
-9に示すようにいずれの実験ケースでも,従来タイプ より改良タイプの鋼繊維の方が,高い曲げ強度が得られ た。また,超高強度高靱性セメント系材料用モルタルの
W/B:15.5%と W/B:25.0%の曲げ強度は,ほぼ同じ値
となった。2 種類の鋼繊維の付着性試験結果に大きな差 がないにも関わらず,改良タイプの鋼繊維の方が曲げ強 度特性が向上した理由は,鋼繊維の両端のフック形状だ けでなく,繊維の引張強度が大きいことや繊維の直径が 小さく,繊維長が大きいことにより付着面積が増大した ことなどが考えられる。
特に,W/B:25.0%~15.5%の高強度領域では,従来タ イプの鋼繊維を使用すると,添加率2.0vol.%以上で曲げ 強度の向上が得られない頭打ち現象を確認した。一方,
改良タイプは,添加率3.0vol.%まで頭打ち現象は確認で きず,添加率3.0vol.%の時に,従来タイプと比較して約 1.5倍の高い曲げ強度の向上効果が確認できた。また,曲
げ靱性係数も図-10に示すように,同一の鋼繊維混入率 で比較すると,改良タイプの方が靱性に優れることが明 らかとなった。
今回の実験では,改良タイプの鋼繊維を使用すること で曲げ強度特性を向上できることを確認したが,そのメ カニズムの解明ついては今後の課題である。
4. まとめ
コンクリートの曲げ強度特性の向上を目的とし,鋼繊 維の添加でどの程度曲げ強度を増加できるかを,従来タ イプと改良タイプの2種類の鋼繊維を用いて比較した。
検討の結果,以下の知見が得られた。
(1) 従来タイプと改良タイプの鋼繊維を比較すると,最 大引抜け荷重の差は,7%~16%程度と比較的小さく,
いずれの鋼繊維も破断しなかった。
(2) 検討したすべての実験ケースにおいて,同一の鋼繊 維添加率の場合,従来タイプよりも改良タイプの方 が曲げ強度,曲げじん性がともに向上した。
(3) 改良タイプの鋼繊維を用いることで,同一の曲げ強 度特性を得るのに,従来の鋼繊維より添加量を35%
程度低減できる可能性がある。
(4) 改良タイプの鋼繊維は,従来タイプに比べてW/B:
25.0%より小さい高強度領域で,かつ2.0vol.%以上添
加した場合に,従来タイプより大きな曲げ強度の向 上効果を得られることが明らかとなった。
謝辞 本実験の推進にあたり,ベカルトジャパン㈱の皆 様にご協力いただきました。ここに感謝いたします。
参考文献
1) 石関嘉一ほか:鋼繊維補強コンクリートの諸物性の 改善,コンクリート工学年次論文集,Vol.29,No.1, pp.411-416,2007
2) 日本コンクリート工学会:繊維補強セメント系複合 材料の新しい利用方法に関するシンポジウム,委員 会報告書,JCI-C82,2012
3) 土木学会:鋼繊維補強コンクリート設計施工指針
(案),コンクリートライブラリー50,1983 4) 鋼材倶楽部:鋼繊維補強コンクリート設計・施工指
針(案),日本建築学会委託研究報告,1990 5) 日本鉄鋼連盟:スチールファイバーコンクリートの
手引,第4版,2004
6) 日本鉄鋼連盟:鋼繊維補強コンクリート設計施工マ ニュアル【トンネル編】改訂委員会,第2版,2002 7) 土木学会:超高強度繊維補強コンクリートの設計・
施工指針(案),コンクリートライブラリー113,2004 0
5 10 15 20 25 30
0 1 2 3 4
曲げj靱性係数(N/mm2 )
繊維混入率(vol.%)
△○
□
◇
▲ 15.5
●
■
◆ 25.0 50.0 30.0 従来
タイプ 改良 タイプ
W/B
(%)
図-10 曲げ靱性係数試験結果 0
5 10 15 20 25 30 35
0 1 2 3 4
曲げ強度(N/mm2 )
繊維混入率(vol.%)
△○
□
◇
▲ 15.5
●
■
◆ 25.0 50.0 30.0 従来
タイプ 改良 タイプ
W/B
(%)
図-9 曲げ強度試験結果